JP5661027B2 - 芯鞘繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、芯部樹脂と鞘部樹脂とを含む芯鞘繊維の製造方法に関する。
繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂(FRP)は、繊維原料を紡糸して繊維を形成させる工程の後、該繊維とマトリックス樹脂とを接触させて加熱することにより、マトリックス樹脂を介して複数の繊維を互いに接着させてFRPを形成させる工程を含む方法により製造される。この場合、通常は、繊維形成工程と接着工程との間に、繊維及びマトリックス樹脂の一体化工程が必要となる。当該一体化工程としては、例えば、繊維とシート状樹脂との積層、樹脂浴への繊維の含浸、及びパウダー樹脂の繊維への塗布のような工程が挙げられる。
非特許文献1は、リサイクル性向上のために、強化繊維とマトリックス樹脂とを同種の樹脂にしたFRPを記載する。当該文献は、前記FRPを製造するために、繊維とフィルムとを積層させる工程を含む方法を記載する。当該方法のように、一体化工程の実施は、FRPの製造工程を増加させることとなるため、製造コスト上昇の要因となる。
非特許文献2は、低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とからなる複数の芯鞘繊維を積層し、加熱及び加圧して接着することにより、繊維/マトリックス樹脂複合体を形成する方法を記載する。当該方法の場合、芯鞘繊維の紡糸工程において、マトリックス樹脂である鞘部樹脂と芯部樹脂とが接着されるため一体化工程は不要となるが、繊維自体の強度が低いため、FRPの強度も低くなる。
熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる繊維の強度向上には、種々の技術が知られている。特許文献1は、結晶性ポリプロピレンを溶融紡糸した後、50〜70℃の範囲で1段目の延伸を行い、次いで1段目の延伸より高い温度で2段目以降の延伸を行うことを特徴とする高強度ポリプロピレン繊維の製造方法を記載する。当該文献は、通常のポリプロピレン繊維の延伸温度に比べ、低温度で1段目の延伸を行い、1段目の延伸温度より高い温度で2段目以後の延伸を行うことにより、強度、伸度共に高い繊維を提供できると記載する。
特許文献2は、繊維に1 MPa以下の張力を与えながらレーザー光を照射することによって繊維を延伸する方法を記載する。当該文献は、上記方法によりレーザー光が照射された部分の繊維が延伸されて直径5μm以下の極細繊維が得られ、このとき繊維内の配向結晶化が生じて結晶性及び配向性の高い高強度の繊維が得られることを記載する。
特許文献3は、樹脂補強に用いるための芯鞘型複合繊維を記載する。前記複合繊維の芯部はポリエステルであり、鞘部は芯部のポリエステルより低融点であって、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分、1,4-ブタンジオール成分及び脂肪族ラクトン成分を含有する、融点が130〜200℃の共重合ポリエステルで構成されている。当該文献は、前記複合繊維の切断強度が3.8 cN/dtex(約520 MPaの引張強度に相当)以上であり、切断伸度が20%以下であることを記載する。
特許文献4は、ポリプロピレン未延伸繊維を特定の条件で前延伸及び後延伸することを特徴とする、ポリプロピレン繊維の製造方法を記載する。当該文献は、上記方法で得られたポリプロピレン繊維が示差走査熱量測定(DSC)において特定の吸熱・融解特性を示し、均一な結晶構造を有しており、耐熱性に優れ、しかも単繊維度が0.1〜3 dtex及び繊維強度が7 cN/dtex(約630 MPaの引張強度に相当)以上と強度にも優れていることを記載する。
特許第3997613号公報 特開2003-166115号公報 特開2007-321256号公報 特開2009-7727号公報 特許第4868521号公報
Journal of Applied Polymer Science, 第88巻, 2875-2883, 2003年 成形加工、第9巻第11号、p. 920-926、1997年
炭素繊維又はガラス繊維を用いるFRPの場合、マトリックス樹脂と一体で紡糸することが不可能であるため、追加的な一体化工程の実施は必須となる。
これに対し、非特許文献2に記載の方法のように、低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とからなる芯鞘繊維をFRPの製造に用いる場合、高融点熱可塑性樹脂が繊維を構成し、低融点熱可塑性樹脂がマトリックス樹脂を構成するため、追加的な一体化工程は不要である。しかしながら、当該文献に記載の方法で製造される芯鞘繊維は強度が低く、且つ芯鞘繊維の強度向上技術は知られていない。
例えば、特許文献1に記載の加熱二段延伸技術又は特許文献2に記載のレーザー光延伸技術を芯鞘繊維に適用する場合、芯部樹脂の融点付近での加熱が必要となるが、このような条件ではマトリックス樹脂となる鞘部樹脂は溶融するため、不均一な構造となり、結果として得られるFRPの品質及び強度が低下するという問題が存在した。
それ故、本発明は、特別な原料及び/又は手段を用いることなく高強度の芯鞘繊維を製造することができる芯鞘繊維の製造方法、及び該芯鞘繊維を用いた繊維強化樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、これまでに、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を溶融押出して溶融押出繊維を作製し、該溶融押出繊維をPHAのガラス転移温度+15℃以下に急冷、固化させて非晶質の繊維を作製し、該非晶質の繊維をガラス転移温度+15℃以下に放置して結晶化繊維を作製し、該結晶化繊維を延伸し、更に緊張熱処理をすることを特徴とする繊維の製造方法を開発した(特許文献5)。このように、非晶質の繊維をガラス転移温度付近に放置して結晶化繊維を作製する方法(以下、「微結晶核延伸法」とも記載する)により、結果として得られるPHA繊維の強度を向上させることができる。
さらに、本発明者らは、微結晶核延伸法をポリプロピレン(PP)に適用し、且つ溶融押出繊維を紡糸する際の押出速度に対する引取速度の比(以下、「溶融延伸比」とも記載する)を特定の範囲に調整することにより、特別な原料及び/又は手段を用いることなく高強度のPP繊維を製造することができるPP繊維の製造方法を開発した(PCT/JP2011/062346)。
上記のように、微結晶核延伸法及び溶融延伸比の最適化は、溶融紡糸繊維を加熱することなく繊維強度を向上させることが出来るため、芯鞘繊維の鞘部樹脂を溶融させることなく、芯部樹脂の繊維強度を向上させることが出来ると考えられた。
本発明者は、上記の知見に鑑みて、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、微結晶核延伸法及び溶融延伸比の最適化を芯鞘繊維に適用することにより、極めて高い強度を有する芯鞘繊維を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 融点T1を有する芯部樹脂P1と融点T2を有する鞘部樹脂P2とを含む芯鞘繊維の製造方法であって、以下の工程:
樹脂P1及び樹脂P2を、樹脂P1が芯部、樹脂P2が鞘部である芯鞘繊維を形成するように溶融押出し、溶融押出された芯鞘繊維を、芯部樹脂P1のガラス転移温度以下の温度において、引取りながら紡糸する溶融押出芯鞘繊維紡糸工程;
溶融押出芯鞘繊維紡糸工程で得られた溶融押出芯鞘繊維を、芯部樹脂P1のガラス転移温度±15℃の範囲の温度に維持する温度維持工程;及び
温度維持工程後に溶融押出芯鞘繊維を延伸する延伸工程;
を含み、
融点T1が、融点T2より50℃以上高い温度であり、
溶融押出芯鞘繊維紡糸工程の押出速度に対する引取速度の比が50〜400の範囲である、前記方法。
(2) 芯部樹脂P1がポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂であり、鞘部樹脂P2がポリプロピレンを主成分とする樹脂である、前記(1)の方法。
(3) 前記(1)又は(2)の方法で製造される芯鞘繊維。
(4) 前記(1)又は(2)の方法で製造される芯鞘繊維の集合物を融点T2以上且つ融点T1以下の範囲の温度で加熱して、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させる溶融一体化工程を含む繊維強化樹脂の製造方法。
特別な原料及び/又は手段を用いることなく高強度の芯鞘繊維を製造することができる芯鞘繊維の製造方法、及び該芯鞘繊維を用いた繊維強化樹脂の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の芯鞘繊維の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の繊維強化樹脂の製造方法の一実施形態を示す模式図である。
<1. 芯鞘繊維の製造方法>
本発明は、芯鞘繊維の製造方法に関する。
本明細書において、「芯鞘繊維」は、繊維状の芯部樹脂と、該繊維状の芯部樹脂の外周面に配置される鞘部樹脂とからなる繊維を意味する。芯鞘繊維の繊維径と該芯鞘繊維断面の芯部樹脂部分の直径との比は、0.1:1〜10:1の範囲であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲であることがより好ましい。
なお、芯鞘繊維の繊維径、芯部樹脂部分の直径及び鞘部樹脂部分の厚さは、限定するものではないが、例えば、芯鞘繊維を光学顕微鏡下で観察し、それぞれの長さを実測することにより、決定することが出来る。
本発明の方法で製造される芯鞘繊維は、融点T1及びガラス転移温度Tg1を有する芯部樹脂P1と、融点T2及びガラス転移温度Tg2を有する鞘部樹脂P2とを含む。芯部樹脂P1としては、限定するものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はナイロン6(PA6)を主成分とする樹脂を挙げることが出来る。PET又はPA6を主成分とする樹脂であることが好ましい。また、鞘部樹脂P2としては、限定するものではないが、例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)を主成分とする樹脂を挙げることが出来る。PP又はPEを主成分とする樹脂であることが好ましい。
本発明の方法で使用される芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2は、融点T1及び融点T2が以下で説明する条件を満たす組み合わせであることが好ましい。具体的には、芯部樹脂P1がPET又はPA6を主成分とする樹脂であり、鞘部樹脂P2がPP又はPEを主成分とする樹脂である組み合わせが好ましく、芯部樹脂P1がPETを主成分とする樹脂であり、鞘部樹脂P2がPPを主成分とする樹脂である組み合わせがより好ましい。
本発明の方法で使用される芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2は、上記の樹脂単位のみからなるホモポリマーの形態であってもよく、他のモノマーとの共重合体(コポリマー)の形態であってもよい。或いは、2種以上のホモポリマー及び/又はコポリマーの混合物の形態であってもよい。コポリマーとしては、ブロックコポリマー及びランダムコポリマーを挙げることができる。コポリマーを形成する共重合モノマーとしては、限定するものではないが、例えば、エチレン及び1-ブテン等を挙げることができる。
また、本発明の方法で使用される芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2は、結合剤、可塑剤、着色剤、安定剤、滑剤、充填剤、タルク及び安息香酸ナトリウムのような1種類以上の添加剤を含有してもよい。上記の添加剤は、芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2の樹脂性能を損なわない範囲で各々の樹脂に配合することが出来る。
以下で説明するように、本発明に係る芯鞘繊維の集合物を用いて繊維強化樹脂を製造する場合、鞘部樹脂P2は、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させるマトリックス樹脂として機能する。それ故、本発明の方法で製造される芯鞘繊維は、芯部樹脂P1の融点T1が鞘部樹脂P2の融点T2より高い温度である、芯部樹脂P1と鞘部樹脂P2とを含む。芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2を一緒に溶融押出して芯鞘繊維を紡糸するため、融点T1と融点T2との温度差が一定の範囲内であることが好ましい。具体的には、融点T1が、融点T2より50℃以上高い温度であることが好ましく、融点T2より50〜200℃高い温度であることがより好ましく、融点T2より50〜100℃高い温度であることが特に好ましい。
なお、融点T1及びT2は、限定するものではないが、例えば融点測定装置を用いて、使用される芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2の融点を予め測定することにより決定することができる。
上記の条件を満たす芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2を本発明の方法に用いることにより、当該樹脂を一緒に溶融押出して芯鞘繊維を紡糸し、従来技術と比較して高強度の芯鞘繊維を製造することが可能となる。
図1は、本発明の芯鞘繊維の製造方法の一実施形態を示す工程図である。以下、図1に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[1. 溶融押出芯鞘繊維紡糸工程]
本発明の方法は、樹脂P1及び樹脂P2を、樹脂P1が芯部、樹脂P2が鞘部である芯鞘繊維を形成するように溶融押出し、溶融押出された芯鞘繊維を温度Aにおいて、引取りながら紡糸する溶融押出芯鞘繊維紡糸工程(工程S1)を含む。以下で説明するように、本工程は、溶融押出芯鞘繊維中の芯部樹脂P1の分子の配向度を向上させる条件で実施される。
本工程において、芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2を溶融押出する手段としては、当該技術分野で通常使用される芯鞘繊維の溶融押出技術を使用すればよい。溶融押出する手段としては、限定するものではないが、例えば、樹脂原料を加熱、溶融した後、該溶融物を所定の加熱温度で加圧押出する押出装置を挙げることができる。上記の押出装置を本工程に使用することにより、結果として得られる芯鞘繊維の繊維径を好適な範囲に調整することが可能となる。
本工程において、芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2を溶融押出する押出速度は、以下で説明する押出速度に対する引取速度の好適な比を満たす範囲であればよい。
本発明者らは、芯部樹脂P1としてPETを、鞘部樹脂P2としてPPを含む芯鞘繊維の製造に、特許文献5に記載の微結晶核延伸法及びPCT/JP2011/062346に開示される溶融延伸比の最適化を適用すると、PHA繊維及びPP繊維と同様に、芯部樹脂P1であるPET繊維の強度が向上することを見出した。特許文献5に記載の方法は、PHAの溶融押出繊維をガラス転移温度以上且つガラス転移温度+15℃以下の範囲の温度に急冷することにより、溶融押出繊維を非晶形態とし、さらにこれを保冷して溶融押出繊維中に微小結晶核を形成させることを特徴とする。この微小結晶核は、延伸の起点(延伸核)となるため、1段階の延伸でもポリマー分子が高度に配向し、結果として得られる繊維の強度が向上する。それ故、本発明の方法においても、本工程で溶融押出芯鞘繊維を所定の温度Aに急冷することにより、溶融押出芯鞘繊維を非晶形態とし、さらにこれを以下で説明する温度維持工程で所定の温度Bに維持することにより、溶融押出芯鞘繊維中に微小結晶核を形成させることができると推測される。
本工程において、溶融押出された芯鞘繊維は、溶融押出手段における加熱温度から所定の温度Aに急冷され、該温度Aにおいて、引取りながら紡糸される。ここで温度Aは、芯部樹脂P1のガラス転移温度Tg1以下であることが好ましく、0℃以上且つTg1以下の範囲の温度であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「ガラス転移温度(Tg)」は、樹脂が可塑性を有する状態から硬化状態に転移する温度を意味し、限定するものではないが、例えば示差走査熱量測定(DSC)又は動的粘弾性測定により、決定することができる。
本工程において、溶融押出芯鞘繊維を溶融押出手段における加熱温度から温度Aに急冷する手段は特に限定されない。溶融押出芯鞘繊維を、当該技術分野で通常使用される液体又は気体の冷却媒体中に導入すればよい。本工程で使用される冷却媒体としては、限定するものではないが、例えば、水及び氷水、並びに空気、窒素及びヘリウムのような不活性気体を挙げることができる。水又は氷水が好ましい。これらの冷却媒体を用いて溶融芯鞘押出繊維を溶融押出手段における加熱温度から温度Aに急冷することにより、該繊維を形成する芯部樹脂P1を非晶形態にすることが可能となる。
なお、得られた溶融押出芯鞘繊維中の芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2の結晶形態は、限定するものではないが、例えばX線回折(XRD)により、決定することができる。
本工程において、溶融押出芯鞘繊維を温度Aにおいて引取る手段は特に限定されない。例えば、上記の冷却媒体に導入された溶融押出芯鞘繊維を、冷却媒体中、当該技術分野で慣用される通常の引取手段を用いて所定の引取速度で巻取軸に巻取り巻糸体を形成させるか、又は冷却媒体中を所定の引取速度で通過させた後、該冷却媒体の外で、通常の引取手段を用いて所定の引取速度で巻取軸に巻取り巻糸体を形成させることによって、溶融押出芯鞘繊維を温度Aにおいて引取ることができる。或いは、上記の冷却媒体で温度Aに急冷された溶融押出芯鞘繊維を、通常の引取手段を用いて所定の引取速度で引取りながら、予め温度Aに冷却された容器に収容することによって、温度Aにおいて溶融押出芯鞘繊維を引取ることもできる。いずれの場合も本工程の実施形態に包含される。ここで、上記の引取手段としては、限定するものではないが、例えば、ボビンのような巻取軸に繊維を巻取ることで巻糸体を形成させる巻取装置及びローラーを挙げることができる。また、溶融押出芯鞘繊維は、引取によって付与された該繊維の緊張状態を維持したまま上記の手段で回収され、以下で説明する温度維持工程に供されることが好ましい。例えば、溶融押出芯鞘繊維の巻糸体は、該繊維の両端を巻取軸に固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして温度Aに急冷することが好ましい。また、容器に収容された溶融押出芯鞘繊維は、該繊維の両端を容器に固定するか、又は一端を容器に、他端を重りに固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして温度Aに急冷することが好ましい。
本発明者らは、本工程の押出速度と引取速度との比を調整して、押出速度に対する引取速度の比(溶融延伸比)を当該技術分野で通常設定される値より高い範囲に最適化するとともに、溶融押出芯鞘繊維を温度Aにおいて引取りながら紡糸することにより、結果として得られる芯鞘繊維の強度が、通常の溶融延伸比で製造される芯鞘繊維(通常400〜600 MPaの引張強度)と比較して大幅に向上することを見出した。上記の効果は、溶融延伸比を従来技術と比較してより高い範囲に最適化し、且つ溶融押出芯鞘繊維を温度Aに急冷することにより、溶融押出芯鞘繊維を構成する芯部樹脂P1の非晶形態の分子の配向度が向上し、以下で説明する温度維持工程によって形成される微小結晶核による強度向上効果をさらに向上させるためと推測される。
本工程において、温度Aにおいて冷却媒体に導入された溶融押出芯鞘繊維を引取る引取速度は、10〜10000 m/分の範囲であることが好ましく、100〜1000 m/分の範囲であることがより好ましい。また、押出速度に対する引取速度の比(溶融延伸比)は、50〜400の範囲であることが好ましく、100〜300の範囲であることがより好ましい。押出速度に対する引取速度の比を上記の範囲に調整することにより、溶融押出芯鞘繊維中の芯部樹脂P1の分子の配向度を向上させて、結果として得られる芯鞘繊維の強度を向上させることが可能となる。
上記の条件で本工程を実施することにより、分子の配向度が向上した非晶形態を有する芯部樹脂P1を含む溶融押出芯鞘繊維を形成させることが可能となる。
[2.温度維持工程]
本発明の方法は、溶融押出芯鞘繊維紡糸工程で得られた溶融押出芯鞘繊維を、温度Bに維持する温度維持工程(工程S2)を含む。本工程において、溶融押出芯鞘繊維は、溶融押出芯鞘繊維中の芯部樹脂P1に微細な結晶核を形成させる条件(温度B)に維持される。
本工程において、溶融押出芯鞘繊維は、溶融押出芯鞘繊維紡糸工程で付与された該繊維の緊張状態を維持していることが好ましい。例えば、溶融押出芯鞘繊維の巻糸体の場合、該繊維の両端を巻取軸に固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして温度Bに維持されることが好ましい。また、容器に収容された溶融押出芯鞘繊維の場合、該繊維の両端を容器に固定するか、又は一端を容器に、他端を重りに固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして温度Bに維持されることが好ましい。
本工程において、溶融押出芯鞘繊維を維持する温度Bは、芯部樹脂P1のガラス転移温度±15℃の範囲の温度であることが好ましく、芯部樹脂P1のガラス転移温度±10℃の範囲の温度であることがより好ましい。溶融押出芯鞘繊維を温度Bに維持する時間は、24〜240時間の範囲であることが好ましく、24〜120時間の範囲であることがより好ましい。ここで、溶融押出芯鞘繊維を温度Bに維持する手段は、前工程における温度Aに急冷する手段と同様の手段を用いることが好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、溶融押出芯鞘繊維紡糸工程で得られた非晶形態を有するPPの溶融押出芯鞘繊維に、微細な結晶核を形成させることが可能となる。
[3. 延伸工程]
本発明の方法は、温度維持工程後に溶融押出芯鞘繊維を延伸する延伸工程(工程S3)を含む。
本工程において、溶融押出芯鞘繊維を延伸する手段としては、当該技術分野で通常使用されるプラスチック繊維の延伸技術を使用すればよい。延伸する手段としては、限定するものではないが、例えば、巻糸体から溶融押出芯鞘繊維を引きだし、ローラー等で延伸する手動式又は機械式の延伸装置を挙げることができる。
本工程において、延伸倍率には特に上限はなく、溶融押出芯鞘繊維が破断しない程度であればよい。具体的には、延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。また、溶融押出芯鞘繊維を延伸する温度は、芯部樹脂P1のガラス転移温度−50℃以上且つガラス転移温度+30℃以下の範囲の温度であることが好ましく、室温(例えば20〜25℃の範囲)であることが特に好ましい。
延伸芯鞘繊維はその後、通常の引取手段を用いて所定の延伸速度で巻取軸に巻取り巻糸体を形成させるか、又は容器に収容することができる。いずれの場合も本工程の実施形態に包含される。延伸芯鞘繊維は、延伸によって付与された該繊維の緊張状態を維持したまま上記の手段で回収され、以下で説明する熱処理工程に供されることが好ましい。例えば、延伸芯鞘繊維の巻糸体は、該繊維の両端を巻取軸に固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにされることが好ましい。また、容器に収容された延伸芯鞘繊維は、該繊維の両端を容器に固定するか、又は一端を容器に、他端を重りに固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにされることが好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、結果として得られる芯鞘繊維の繊維径を減少させることが可能となる。
[4. 熱処理工程]
本発明の方法は、場合により延伸工程後に延伸芯鞘繊維を熱処理する熱処理工程(工程S4)を含む。
本工程において、延伸芯鞘繊維は、延伸工程で付与された緊張状態を維持したまま熱処理することができる。或いは、延伸工程で付与された緊張状態を解放し、弛緩状態で熱処理することにより、無緊張状態又は弛緩状態の延伸芯鞘繊維を熱処理することができる。延伸工程で付与された緊張状態を維持したまま熱処理することが好ましい。例えば、延伸芯鞘繊維の巻糸体の場合、該繊維の両端を巻取軸に固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして熱処理することが好ましい。また、容器に収容された延伸芯鞘繊維の場合、該繊維の両端を容器に固定するか、又は一端を容器に、他端を重りに固定する等の常法によって、繊維が実質的に弛緩しないようにして熱処理することが好ましい。
本工程において、延伸芯鞘繊維を熱処理する手段としては、当該技術分野で通常使用されるドライオーブンのような加熱装置を使用すればよい。延伸芯鞘繊維を熱処理する温度は、芯部樹脂P1のガラス転移温度以上且つ融点以下の範囲であることが好ましく、芯部樹脂P1のガラス転移温度+20℃以上且つ融点−20℃以下の範囲であることがより好ましい。延伸芯鞘繊維を熱処理する時間は、1秒〜60分の範囲であることが好ましく、10秒〜30分の範囲であることがより好ましい。
上記の条件で本工程を実施することにより、高強度の芯鞘繊維を得ることが可能となる。
<2. 芯鞘繊維>
すでに述べたように、本発明の方法における温度維持工程後の溶融押出芯鞘繊維は、繊維中の芯部樹脂P1の分子の配向度が高く、且つ繊維中に延伸の起点(延伸核)となる微小結晶核を有する。このため、上記の特徴を有する溶融押出芯鞘繊維を延伸して得られる芯鞘繊維は、従来技術の方法で得られる芯鞘繊維(通常、400〜600 MPaの引張強度を有する)と比較して、極めて高い強度を有する。具体的には、本発明の方法で製造される芯部樹脂P1の引張強度は、通常、1.0〜1.9 GPaの範囲であり、典型的には、1.0〜1.6 GPaの範囲である。なお、芯部樹脂P1の引張強度(MPa)は、芯鞘繊維の引張試験において、鞘部樹脂P2破断後も荷重を負荷して芯部樹脂P1の破断時の荷重を測定し、芯部部樹脂P1の破断時の荷重(N)を芯部樹脂P1の繊維断面積(mm2)で除算することにより、決定することができる。
それ故、本発明はまた、上記の引張強度を有する高強度の芯鞘繊維に関する。かかる引張強度を有することにより、本発明の芯鞘繊維は極めて高い強度を発現することが可能となる。
<3.繊維強化樹脂の製造方法>
本発明の方法で得られる芯鞘繊維は、従来技術の方法で得られる芯鞘繊維と比較して極めて高い強度を有する。このため、本発明の方法で得られる芯鞘繊維を用いることにより、高強度の繊維強化樹脂を製造することが出来る。それ故、本発明はまた、本発明の芯鞘繊維を用いる繊維強化樹脂の製造方法に関する。
本発明の繊維強化樹脂の製造方法は、本発明の方法で製造される芯鞘繊維の集合物を温度Cで加熱して、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させる溶融一体化工程を含む。
本工程において、芯鞘繊維の長さは特に限定されない。芯鞘繊維の繊維径に対して10〜1000倍の範囲の長さにチョップド加工された短繊維の形態の芯鞘繊維を用いてもよく、連続繊維の形態の芯鞘繊維を用いてもよい。
上記の形態の芯鞘繊維の集合物を形成させる。芯鞘繊維の集合物の形態は、任意の形態であってよい。芯鞘繊維の集合物を構成する芯鞘繊維は、該集合物内において互いに交差することなく平行又は略平行に配置されてもよく、隣接する部分同士が交差するように配置されてもよい。
本発明の方法において使用される芯鞘繊維の集合物の一実施形態を図2に示す。層状の形態の芯鞘繊維の集合物101内において、樹脂P1である芯部2と樹脂P2である鞘部3とを含む芯鞘繊維1は、隣接する部分同士が互いに交差することなく平行又は略平行に配置されているか、又は隣接する部分同士が交差するように配置されている。
芯鞘繊維の集合物は、所望により、結合剤、可塑剤、着色剤、安定剤、滑剤、充填剤、タルク及び安息香酸ナトリウムのような1種類以上の添加剤を含有してもよい。上記の添加剤を含有することにより、結果として得られる本発明の繊維強化樹脂に様々な機能を付与することが出来る。
上記の特徴を有する芯鞘繊維の集合物を用いることにより、高い強度を有する繊維強化樹脂を製造することが可能となる。
本工程において、芯鞘繊維の集合物101を温度Cで加熱することにより、樹脂P1を主成分とする芯部樹脂2を実質的に溶融させることなく樹脂P2を主成分とする鞘部樹脂3を溶融させて、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させ、樹脂P1を主成分とする芯部樹脂4及び樹脂P2を主成分とするマトリックス樹脂5を有する本発明の繊維強化樹脂102を得ることが出来る。
溶融した鞘部樹脂P2は、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させるためのマトリックス樹脂として機能する。それ故、温度Cは、融点T2以上且つ融点T1以下の範囲の温度であることが好ましく、融点T2+10℃以上且つ融点T1−10℃の範囲の温度であることがより好ましい。
芯鞘繊維の集合物が層状の形態の場合、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を互いに圧着させるために、芯鞘繊維の層の外周面から加圧しながら温度Cで加熱してもよい。この場合、1〜1000 MPaの範囲の圧力で加圧することが好ましく、10〜100 MPaの範囲の圧力で加圧することがより好ましい。
以上詳細に説明したように、本発明の方法は、特別な原料及び/又は手段を用いることなく高強度の芯鞘繊維を製造することができる。また、本発明の芯鞘繊維は、高い引張強度を有するため、該芯鞘繊維を用いて製造される強化繊維樹脂は、軽量且つ高強度の特性を有する。そのため、本発明の繊維強化樹脂を用いることにより、自動車部品の軽量化及び強度向上が可能となる。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
<1. 高強度ポリプロピレン繊維の作製>
[参考例1〜3]
市販のポリプロピレン(PP)(FY6;Mw=5.1×105;Mn=1.2×105;Mw/Mn=4.1;mmmm分率=0.934;日本ポリプロ社)を押出装置に仕込み、種々の押出速度でPPを溶融押出した。ここで、押出装置の溶融温度は190℃の炉温度及び185℃のダイ温度に設定し、押出口のノズル径は0.5 mm(参考例1)又は1 mm(参考例2及び3)とした。溶融押出したPP繊維を、氷浴中にて0℃に急冷し、0℃において種々の引取速度で巻取軸に巻取り、巻取軸に繊維の両端を固定して溶融押出繊維の巻糸体を形成させた(溶融押出繊維紡糸工程)。得られた溶融押出繊維の巻糸体を、氷浴中にて0℃で48時間維持した(温度維持工程)。その後、溶融押出繊維の巻糸体から繊維を引きだし、手回し延伸機を用いて該繊維を室温で10倍に延伸した後、巻取軸に巻き取って延伸繊維の巻糸体を形成させた(延伸工程)。巻取軸に繊維の両端が固定された延伸繊維の巻糸体を、120℃で5分間熱処理して(熱処理工程)、本発明のPP繊維を得た。
[参考比較例1]
特許文献5に記載の方法で得られるPP繊維の例である。溶融延伸比が従来技術の範囲の値(17)となるように押出速度及び引取速度を調整した他は上記と同様の方法で、PP繊維を得た。なお、溶融延伸比は、押出速度に対する引取速度の比として算出される。
[参考比較例2]
従来技術の方法に本発明の溶融延伸比を適用して得られるPP繊維の例である。溶融延伸比が189となるように押出速度及び引取速度を調整して室温で溶融押出繊維を引取り、且つ温度維持工程を省略した他は上記と同様の方法で、PP繊維を得た。
[引張強度試験]
得られたPP繊維の引張強度を測定した。測定は、JIS-K-6301に基づき、10 mmの繊維長の試料を用いて行った。引張速度は20 mm/秒とした。結果を表1に示す。
Figure 0005661027
表1に示すように、0.5 mmのノズル径の押出装置を用いて紡糸した参考例1の場合、押出速度及び引取速度を調整して溶融延伸比を高くする程、引張強度が向上した。溶融延伸比が165の参考例1-3の場合、1.40 GPaの引張強度を示した。1.0 mmのノズル径の押出装置を用いて紡糸した参考例2の場合、溶融延伸比が200を超えると引張強度が低下した。参考例2のPP繊維の中で、溶融延伸比が189の参考例2-4の引張強度が最も高く、1.70 GPaの引張強度を示した。
これに対し、特許文献5に記載の方法に基づき調製された参考比較例1は、0.82 GPaの引張強度であった。また、参考例2で最も高い引張強度を示した参考例2-4と同じ溶融延伸比を適用して室温で溶融押出繊維を引取り、且つ温度維持工程を省略した参考比較例2は、0.83 GPaの引張強度であった。
<芯鞘繊維の作製>
[実施例]
芯部樹脂P1として市販のポリエチレンテレフタレート(PET)(RP560;T1=253℃;Tg1=69℃;東洋紡)を、鞘部樹脂P2としてポリプロピレン(PP)(FY6;T2=168℃;Tg2=2℃;Mw=5.1×105;Mn=1.2×105;Mw/Mn=4.1;mmmm分率=0.934;日本ポリプロ)を、それぞれ押出装置(マルチフィラメント紡糸装置;CMF-2EIH;中部マシン(株);ノズル径:0.7 mm×12穴)に仕込み、8.5 g/分(2.1 m/分)の押出速度及び50:50のP1:P2押出割合で芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2を溶融押出した。ここで、押出装置の溶融温度は芯部樹脂P1の融点T1(253℃)以上の温度(270℃のギヤポンプ温度及び280℃のダイ温度)に設定した。
溶融押出した芯鞘繊維を、室温(28℃)に急冷し、該温度において種々の引取速度で巻取軸に巻取り、巻取軸に繊維の両端を固定して溶融押出芯鞘繊維の巻糸体を形成させた(溶融押出芯鞘繊維紡糸工程)。得られた溶融押出芯鞘繊維の巻糸体を、70℃で72時間維持した(温度維持工程)。その後、溶融押出芯鞘繊維の巻糸体から繊維を引きだし、手回し延伸機を用いて該繊維を室温(28℃)で9倍又は12倍に延伸した後、巻取軸に巻き取って延伸芯鞘繊維の巻糸体を形成させた(延伸工程)。巻取軸に繊維の両端が固定された延伸芯鞘繊維の巻糸体を、140℃で15分間熱処理して(熱処理工程)、本発明の芯鞘繊維を得た。
[比較例]
上記実施例において、温度維持工程を省略した他は上記と同様の方法で、芯鞘繊維を得た。
[引張強度試験]
得られた芯鞘繊維の引張強度は、芯部樹脂P1の引張強度として測定した。測定は、JIS-K-6301に基づき、10 mmの繊維長の試料を用いて行った。引張速度は20 mm/秒とした。実施例の芯鞘繊維は、引張試験の初期に鞘部樹脂P2が破断した。その後も荷重を負荷すると、最終的に破断した。ここで、最終的な破断時の荷重は芯部樹脂P1のみに掛かっているので、芯部樹脂P1の引張強度(MPa)は、芯部樹脂P1の破断時の荷重(N)を芯部樹脂P1の繊維断面積(mm2)で除算することにより、決定した。すなわち、
芯部樹脂P1の引張強度(MPa)=
最終破断時の荷重(N)/芯部樹脂P1の繊維断面積(mm2
である。
比較例の芯鞘繊維は、引張試験の初期に芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2のいずれも破断した。この場合、最終的な破断時の荷重は芯部樹脂P1及び鞘部樹脂P2の全体に掛かっている。このときの芯鞘繊維全体の引張強度をσ(全体)とする。芯部樹脂P1の引張強度(σ(芯部強度))は、σ(全体)から鞘部樹脂P2の強度寄与分(σ(鞘部強度))を差し引いた値に相当する。ここで、実施例及び比較例の芯鞘繊維は、いずれも同じPP樹脂を鞘部樹脂P2として用いているので、実施例の鞘部樹脂と比較例の鞘部樹脂とは同等の強度を有すると考えられる。そこで、前記実施例の芯鞘繊維の引張試験において、鞘部樹脂P2の破断時に生じた荷重低下分を鞘部樹脂P2の強度寄与分とみなし、その値を比較例のσ(鞘部強度)とした。そして、以下の式に基づきσ(芯部強度)を決定した。
σ(全体)=σ(鞘部強度)×Vf50%(体積比率)
+σ(芯部強度)×Vf50%(体積比率)
結果を表2に示す。
Figure 0005661027
表2に示すように、実施例1〜3の芯鞘繊維は、温度維持工程を省略した比較例1〜3の芯鞘繊維と比較して、約4〜9倍の引張強度を示した。
以上の結果から、芯鞘繊維の製造に微細結晶核形成技術を適用することにより、従来技術では得られない極めて高い強度を有する芯鞘繊維を製造できることが明らかとなった。
本発明の方法により、単純な工程により高強度の芯鞘繊維を製造することが可能となる。本発明の高強度芯鞘繊維を所望の長さに切断した芯鞘繊維の集合物を加熱して、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させることにより、軽量且つ高強度の繊維強化樹脂を製造することが可能となる。これにより、自動車部品の軽量化及び強度向上が可能となる。
101・・・芯鞘繊維の集合物
102・・・繊維強化樹脂
1・・・芯鞘繊維
2・・・芯部樹脂P1
3・・・鞘部樹脂P2
4・・・芯部樹脂P1
5・・・マトリックス樹脂P2

Claims (4)

  1. 融点T1を有する芯部樹脂P1と融点T2を有する鞘部樹脂P2とを含む芯鞘繊維の製造方法であって、以下の工程:
    樹脂P1及び樹脂P2を、樹脂P1が芯部、樹脂P2が鞘部である芯鞘繊維を形成するように溶融押出し、溶融押出された芯鞘繊維を、芯部樹脂P1のガラス転移温度以下の温度において、引取りながら紡糸する溶融押出芯鞘繊維紡糸工程;
    溶融押出芯鞘繊維紡糸工程で得られた溶融押出芯鞘繊維を、芯部樹脂P1のガラス転移温度±15℃の範囲の温度に維持する温度維持工程;及び
    温度維持工程後に溶融押出芯鞘繊維を延伸する延伸工程;
    を含み、
    融点T1が、融点T2より50℃以上高い温度であり、
    溶融押出芯鞘繊維紡糸工程の押出速度に対する引取速度の比が50〜400の範囲である、前記方法。
  2. 芯部樹脂P1がポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂であり、鞘部樹脂P2がポリプロピレンを主成分とする樹脂である、請求項1の方法。
  3. 請求項1又は2の方法で製造される芯鞘繊維。
  4. 請求項1又は2の方法で製造される芯鞘繊維の集合物を融点T2以上且つ融点T1以下の範囲の温度で加熱して、芯鞘繊維の集合物内において隣接する部分同士を溶融一体化させる溶融一体化工程を含む繊維強化樹脂の製造方法。
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