JP5669206B2 - 波長スペクトル検出方法 - Google Patents

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Description

この発明は、波長スペクトルを検出する方法に関し、より詳細には、フォトダイオード(以下、単にPDと称する場合がある)の出力である光電流値の時間的な変化の仕方に基づいて波長スペクトルを検出するフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法に関する
通常、波長スペクトラム測定をするために光スペクトラムアナライザが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。この光スペクトラムアナライザは、モータ等によって角度を変えることができるように支持された回折格子に測定対象光を入射し、その回折光からスリットによって選択した光のレベルを受光器によって検出する光学部を有しており、回折格子の角度を連続的に変えることによりスリットを通過する光の波長を掃引して、入力光の波長毎のスペクトラムを求め、これを表示器の画面に波長軸とともに表示している。表示されるスペクトラムの波長情報は、光学部の機械的な情報、即ち、回折格子の角度情報に基づいて生成されている。
特開2002−168692号公報(第3頁、従来の技術)
しかし、上記した光スペクトルアナライザは大きな構造をとるため、持ち運びや設置に問題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、小型で持ち運びやすく、設置場所に制限されない装置が実現可能となる、PDを用いた波長スペクトル検出方法を提案することにある。
本発明にかかる光電変換素子を用いた波長スペクトル検出方法は、任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、光電変換素子の出力である光電流値の時間的な変化を記録(出力)できる出力回路を用いて、光電変換素子に、任意の光を入射させたときの光電流値の時間的な変化を検出・記録し、後述する数式に基づいて、前記任意の波長スペクトルを検出することを特徴とする。
本発明の波長スペクトル検出方法の具体的な構成は、任意の単一波長の光の波長スペクトルを検出する方法であって、光電変換素子の光電変換領域に前記任意の単一波長の光を入射可能に構成するとともに前記任意の単一波長の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、前記過渡応答I(t)の2つの時刻t 及びt における光電流値I(t ),I(t )に基づいて、或いは、或る時刻tにおける光電流値I(t)とその微分値dI(t)/dtに基づいて、単一の波長λの光を入射したときに生ずる光電流I(t)を示す以下の数式1により前記光電変換領域の光吸収係数α(λ)若しくはこれに対応する単一波長としての上記波長λと、当該波長λの光の波長強度φ(λ)との少なくとも一方を求めることを特徴とする。
ここで、tは入射時若しくは遮断時からの経過時間、Ab(λ)は波長λの光に対する前記光電変換領域の光電変換効率、Bは前記光電変換領域内のキャリア速度、α(λ)は波長λの光に対する前記光電変換領域の光吸収係数。
本発明の任意の光の波長スペクトルを検出する第1の方法としては、n個(nは2以上の自然数)の波長からなる任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、光電変換素子の光電変換領域に前記任意の光を入射可能に構成するとともに前記任意の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、前記過渡応答I(t)に基づいて、前記波長スペクトルを求める方法であり、前記過渡応答I(t)の測定時刻t(iは1〜2nの整数)における光電流値I(t)に基づいて、前記n個の波長それぞれの光に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 若しくはこれらにそれぞれ対応する前記n個の波長λ(jは1〜nまでの整数)と、これらの各波長λ にそれぞれ対応するn個の光の波長強度φ(jは1〜nまでの整数)との少なくとも一方を以下のi=1〜2nの2n個の数式2から計算することにより求めることが好ましい。
ここで、Ab=Ab(λ)、α=α(λ)。
本発明の任意の光の波長スペクトルを検出する第2の方法としては、n個(nは2以上の自然数)の波長からなる任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、光電変換素子の光電変換領域に前記任意の光を入射可能に構成するとともに前記任意の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、以下の数式4によりk=1(kは1〜nの整数)としてI(t)=I(t)が成立する測定時刻tを選定し、当該測定時刻t における光電流測定値I(t )及びその微分値dI(t )/dtを用いて、波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻tに対応するk=1とした以下の数式3から波長λの光の波長強度φ=I(t)/{Ab・exp[B・α・t]}を計算し、その後、k=2とした以下の数式4のI(t)=I(t)+I(t)が成立する測定時刻tを選定し、当該測定時刻t における光電流測定値I(t )及びその微分値dI(t )/dtと、m=1とした以下の数式5から得たI(t)=Ab・φ・exp[B・α・t及びその微分値dI (t )/dtの値を用いて、波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻tに対応するk=2とした以下の数式3から波長λの光の波長強度φ={I(t)−I(t)}/{Ab・exp[B・α・t]}を計算するというように、以下の数式4が成立する測定時刻tを選定するとともに前記測定時刻tにおける光電流測定値I(t及びその微分値dI(t )/dt と数式5から得た=1〜k−1までのIm(t )及びそれらの微分値dI (t )/dtの値を用いて、前記任意の光の波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻t に対応する数式3から波長λ の光の波長強度φ を計算するという手順を、kが1からnとなるまで順次に繰り返すことにより、n個の波長λ のそれぞれの光に対する前記光電変換領域の前記光吸収係数α 若しくはこれらに対応するn個の波長λ と、これらの各波長λ にそれぞれ対応するn個の光の波長強度φ との少なくとも一方を求めることが好ましい。
ここで、mは自然数、Ab=Ab(λ)、α=α(λ、Ab =Ab(λ )、α =α(λ
本発明にかかる光電変換素子を用いた波長スペクトル検出方法によれば、小型で持ち運びやすく設置場所に制限されない装置が実現可能となる。
具体例の構成(シャッターが閉まり光が入射されていない状態)を示す説明図である。 具体例の構成(シャッターが開いた状態)を示す説明図である。 具体例の構成において光電変換領域の浅い位置で光電変換された場合を示す説明図である。 具体例の構成において光電変換領域の深い位置で光電変換された場合を示す説明図である。 光の波長と光吸収係数αの関係を示すグラフである。 動作原理のイメージ図(1波長)を示すグラフである。 動作原理のイメージ図(2波長)を示すグラフである。 微分回路付1ピクセルの光検出回路を示す回路図である。
本発明の光電変換素子としては、光を吸収してキャリアを生ずる種々の素子を用いることができるが、本発明を実施するための最良の形態としては、pin型PD(フォトダイオード、以下同様。)を考えている。理由は、光の波長スペクトルを求める数式を立てやすいからである。ただし、その他のPDにおいても、その数式を導く考え方は同じである。
本実施形態において光電流の検出に用いる装置・素子の概略条件を以下に示す。
1.光電変換素子を用いる。
(高速応答できる素子が望ましい。)
2.電流値を記録できる装置を用いる。
(高速で記録できる装置が望ましい。)
3.光を遮光・入光操作できる装置
(高速で遮光・入光操作できる装置が望ましい)
具体例:上記の1〜3で示した装置・素子の具体例を以下に示す。
1.pin型フォトダイオード(pin型PD)を利用。
2.電流計を利用。
3.シャッターを利用。
具体例の構成を図1に示す。まず、図1を利用して「光が吸収される場所と電流検出の関係」を考える。図1では、シャッターが閉まっており、光が入射されていない。
図2にシャッターが開いた状態を示す。シャッターから入射された光はpin型PDに吸収され、代わりにキャリヤが発生する。キャリヤは電界の力により、移動し電流計で検出される(キャリヤとしては電子だけ表示している)。また白丸印は光子を示しており、黒丸印はキャリヤ(電子)を示している。このとき、光の入射方向は電界の印加方向とほぼ同じ方向とされる。
図2の下部には距離軸が設けられている。光がpin型PDの光吸収層(i層)の左端(p層とi層の界面)をx=0とし、光がキャリヤに変換された場所をx=x1とする。また光吸収層の右端(i層とn層の界面)をx=wとする。ここで、x方向は光の入射方向であり電界の印加方向でもある。
この時、光吸収層だけでの信号の伝達を考えるとx=0では光であった信号は、0<x<wの間でキャリヤに変換され、そのキャリヤがx=wから出ていく。
そのため、信号は0<x<wの間で「光での移動」と「キャリヤでの移動」の2つの移動方法をとる。具体的に図2の場合で考えると、x=0からx=x1までの間は「光での移動」となり、x=x1からx=wまでの間は「キャリヤでの移動」となる。
ここで、x=0からx=wまで信号が移動する速度を考える。x=0からx=x1までは、光であるのでv=2.99979×10[m/s]で移動する。それに対してx=x1からx=wまでは、電界によるドリフトによりキャリヤが移動するのでvSi=μ×Eで表わされる。ここでμはキャリヤ(電子)の移動度[m/V・s]を表わし値は約0.15である(T=300Kで10V/m以下の電界の場合)。Eは電界[V/m]を表わす。ここでは、pin−PDの構造をしているため、i層の場所で電界(E)の大きさが代わる事が無い。そのため、vSi値は一定となる。また、pin−PDの構造をしていない場合は、vSiの値は一定にならないが、PD中のEの変化を考慮した数式により表現する事ができる。
次にx=0からx=wまで信号が移動する時間を考える。光がキャリヤに代わる場所をx1とすると合計時間t(x1)は以下の数式6に示すようになる。
ここで、x1/vの項は(w−x1)/vSiの項と比べてとても小さくなるので、無視すると以下の数式7となる。
このように光吸収層での信号の伝達には吸収される場所x1が重要となる。吸収される場所が変化するとt(x1)も変化する。例えば図3、図4のように、吸収される場所x2、x3のように吸収される場所がx=wに近づくほどt(x2)、t(x3)は小さくなる。
次に「"光がキャリヤに代わる場所"と"波長"の関係」を示す。フォトダイオードへ入射される光は、波長によってPDに吸収される場所が異なる。それはフォトダイオード中での光の減衰特性で表わされる。光はデバイスの中に入ると、デバイスに吸収されながら、自身の強度を弱めていく。この強度を弱めていく過程が光の減衰特性となる。この減衰特性は、入射光の波長ごとに決まっている。
この減衰特性は吸収係数αの関数として以下の数式8で表わされる。ここで、数式8はxにおける光強度f(x)を示す。
ここで、吸収係数α、光強度φ(x=0での光強度)である。
ここで、キャリヤの生成を考える。キャリヤの数(単位膜厚での値)fa(x)は光強度に比例するので各場所(x)で以下の数式9のように表わされる。
ここでAは単位膜厚での光電変換効率である。吸収係数αは波長とともに変化する。吸収係数αと波長の関係を図5に示す。波長とともに吸収係数αは固有の値をとっている。このように、「"光がキャリヤに代わる場所"と"波長"の関係」は数式9で表わされる。
そして、最後に「光の波長と電流検出の時間の関係」を示す。光がキャリヤに代わる場所fa(x)が数式9で表わされ、xで発生したキャリヤがx=wまで移動するのに必要となる時間t(x)は数式7で表わされる。(数式7ではx=x1としている。)
数式7を変形すると、xとtの関係は数式10のようになる。
これを数式9に代入すると以下の数式11のようになり、これを整理すると以下の数式12のようになる。
ここで、以下の数式13及び14とする。
このようにすると、以下の数式15が得られる。
電流I(t)を考える場合、数式15にキャリヤの電荷量q、キャリヤの移動速度vSiを乗算する必要があるので、以下の数式16が成立する。
ここで、以下の数式17とする。
すると、以下の数式18が成立する。
したがって、電流I(t)は吸収係数αの関数として表わされるのがわかる。吸収係数αは波長により一意に決まる値であるので、「光の波長と電流検出の時間の関係」が数式18で表わされる。ここで「Ab」は光電変換効率となる。
ここで、一度発生したキャリヤの密度を変化させないために、光を入射しない状態を作る必要がある。具体的には、一瞬だけ光を入射させ、その後、一定期間は光を入射させないようにしなければならない。
このように、光電流を測定することで、波長を導くことが可能となる。この考え方は、入射する波長数が増加した場合でも成り立つ。ここまでは、本願発明に相当する実施形態に係るものであり、上記の第1の方法と第2の方法で共通の内容となる。
次に、第1の方法の内容に相当する実施例を説明する。ここで、「1つの波長の光が入ってきた場合」を考える。数式18では未知の値は「φ」と「α」である。電流値I(t)を時間を変えて2回(t1,t2)測定したときの電流値をI(t1),I(t2)とすると、数式18で未知の値である「φ」「α」を求める事が出来る。以下に解を示す。
I(t1),I(t2)の値は以下の数19及び20のようになる。
数式19より、以下の数式21が得られる。
これを数式20へ代入すると、以下の数式22が得られる。
これを変形すると以下の数式23乃至25が得られる。
数式25を数式21に代入すると、以下の数式27が得られる。このように「α」「φ」は数式19と数式20を解くと数式26及び27で表される。これが、入射光の波長が「1つの場合」の式となる。
このように、光電流を測定することで、波長を導くことが可能となる。この考え方は、入射する波長数が増加した場合でも成り立つ。
次に、「入射する波長数が2つの場合」を考える。以下に数式28〜31を示す。ここでt1,t2,t3,t4は電流測定を行う時間である。
数値を置き換えて整理すると、C1=I(t1)、C2=I(t2)、C3=I(t3)、C4=I(t4)、D1=Bt1,D2=Bt2,D3=Bt3,D4=Bt4,x1=Ab1φ1,x2=Ab2φ2,y1=α1,y2=α2として、以下の数式32乃至35が成立する。
このように数式32乃至35として、4つの未知数「x1,x2,y1,y2」があり、その方程式が4つある式を導く事ができるため、それぞれの未知数を明らかにすることが可能となる。
次に「n個の波長をもつ光が入射された場合」を考える。このとき、数式18は数式36のようになる。
この場合は、未知数の数が「Ab1×φ1からAbn×φn」のn個と「α1からαn」のn個となり、2n個の未知数がある。これらの2nの未知数の解は、電流値I(t)を時間を変えて2n回(t1,t2、・・・t2n−1,t2n)測定し、上記と同様に2n個の連立方程式を立てる事で、導く事ができる。
数値を置き換えて整理すると、C1=I(t1)、C2=I(t2)、C3=I(t3)、C4=I(t4),・・・,Cn=I(tn),・・・,C2n=I(t2n)、D1=Bt1,D2=Bt2,D3=Bt3,D4=Bt4,・・・,Dn=Btn,・・・,D2n=I(t2n)、x1=Ab1φ1,x2=Ab2φ2,・・・,xn=Abnφn、y1=α1,y2=α2,・・・,yn=αnとして、最初の4つの式は以下の数式37乃至40のようになり、数式41を含み、数式42までの全体として2n個の式が得られる。
以上が第1の方法の内容に対応する実施例である。ここで、これまでの記述は、上記シャッターが「閉じた状態」から「開いた状態」に変化した場合を想定している。しかし、上記シャッターが「開いた状態」から「閉じた状態」に変化した場合でも同様の原理が利用できる。また、それ以外にも、光に対する応答の過渡応答が得られる環境であれば、同様の原理が利用できる。この点は以下の第2の方法についても同様であり、本願発明の全ての実施形態において共通である。
次に、以下に第2の方法の内容に相当する実施例を説明する。
この実施例では上記第1の方法で示した内容に相当する実施例と異なる方法で、「入射光の波長」「光量」を求める。以下に、図6を用いて吸収係数αおよび光強度φを電流値I(t)から求める方法を説明する。まず図6(a)から図6(d)の説明を行う。
図6(a)は、pin型PDに電圧V(逆バイアス)を印加した状態で、1波長の光(photon)が入射(一瞬だけ)した時の、電流I(t)を測定しているイメージである。図6(b)は、光の強度がp層とi層の界面の場所でφの値を取る時の、xに対する光強度の減衰(光の吸収)の仕方を表したイメージである。この光強度の減衰の仕方は吸収係数αにより表す事ができる。ここで、xは距離を示しており、p層とi層の界面をx=0としn層に向かってxは増加し、そしてi層とn層の界面をx=Wとする値である。この減衰を表す関数f(x)はφexp(−αx)で表わされる。
図6(c)は、図6(a)に示す電流計で図6(b)のような光の吸収を行った場合の、光電流値(I(t))の変化(光入射直後の過渡特性)を示した図である。またtに対する値はφexp(Bαt)となる。図6(d)は、図6(c)で示した光電流値を微分するイメージである。微小電流変化dI(t)を微小時間dtで割る事で微分を行う。
数式18に示した光電流I(t)の式はαを含む関数である。このαの値は図5に示したように入射光波長毎に固有の値を持つ。そのためαの値を求める事で入射光波長を求める事が出来る。
「入射光が1波長の場合」を考える。このときの吸収係数α、光強度φの求め方を次に示す。図6(b)に入射光のPD中での強度の変化f(x)を示している。数式で表すと数式8のようになる。また図6(c)は、その際に流れる過渡状態での電流I(t)を示している。数式で表すと数式18のようになる。吸収係数αを数式18より求める。そのために数式18を微分すると数式43の様になる。数式43に対して数式18にBを掛けた値で割り算すると数式44のようになる。この数式44にあるように、電流値「I(t)」と、その電流値の微分値「dI(t)/dt」を測定する事で、吸収係数「α」を求める事ができる。ここでB=vsi(数式14)である。
またvSiは上で述べたようにμnとEを乗じた値であるため、デバイスに印加する電圧Vと、デバイスの空乏層幅(i層の膜厚)、そしてデバイス材料が決まれば求められる。また、数式18の値(I(t))は図6(a)の測定系により求める事が可能である。
次に、「φ」をもとめるために数式43をAb×exp(Bαt)で割る。また「α」の値は数式44より求められている。「φ」を求める数式は数式45の様になる。ここでAbの値は数式17より求められる。このAbの値は「α」の値を用いる必要があるが、数式44で求めた値を用いる。
このように1波長の光の場合、「α」、「φ」(φ:光強度)は数式44及び45により求める事が出来る。これにより「λ:αに対応した波長」と「Φ:その波長での光強度」が導き出される。
次に、「2波長の光が入射した場合」を考える。図7(a)は、pin型PDに電圧V(逆バイアス)を印加した状態で、2波長の光(photon)が入射した時の、電流I(t)を測定しているイメージである。図7(b)は、光の強度がp層とi層の界面の場所(x=0)でφ1、φ2の値を取る時の、xに対する光強度の減衰(光の吸収)の仕方を表したイメージである。ここで、φ1に対応する光波長の方がφ2に対応する光波長より短いとする。この光強度の減衰の仕方は吸収係数α1、α2により表す事ができる。ここで、xは距離を示しており、p層とi層の界面をx=0としn層に向かって増加しi層とn層の界面をx=Wとする値である。この減衰を表す関数f1(x)は数式8と同様に数式46に示される。
また、この減衰を表す関数f2(x)も同様に数式47に示される。
図7(c)は、図7(a)に示す電流計で図7(b)のような光の吸収を行った場合の、光電流値(I(t))の変化(光入射直後の微小時間)を示した図である。I(t)の値はI1(t)とI2(t)の合計である。I1(t)の値は数式18と同様に数式48に示される。
I2(t)の値も同様に数式49に示される。
ここで、Bの値は波長が変わっても同じ値をとる。また、Abの値は波長が変わるとαが変化するためAb1とAb2のように違う値をとる。数式18と同様に光電流I1(t)はα1を含む関数となる。また、光電流I2(t)はα2を含む関数となる。このα1、α2の値は図5に示したように入射光波長毎に固有の値を持つ。そのためαの値を求める事で入射光波長を求める事が出来る。
図7(d)は、図7(c)で示した光電流値を微分するイメージである。微分を行う時間(t1の時間)には、条件がある。1つ目の微分d(I(t1))/dt1を行う時間t1では、図7(c)のI2(t1)が十分小さい必要がある。入射光が2波長の場合の吸収係数α1、α2、光強度φ1、φ2の求め方を次に示す。
図7(b)に入射光のPD中での強度の変化f1(x)、f2(x)を示している。また図7(c)は、その際に流れる過渡状態での電流I(t)を示している。数式で表すと数式50のようになる。
ここで、上で示した条件を考える。時間t1ではI2(t1)の影響を受けない時間に設定される。例えば、α1<α2やφ1>φ2であることなどによりI1(t1)>>I2(t1)である時間t1を選定する。そのためI(t1)を考えたときI2(t1)は十分小さい。このとき、I(t1)は数式51で表わされる。
数式51に数式48を代入すると次の数式52が得られる。
また、I(t2)は数式53で表わされる。
ここから、2つの吸収係数(α1とα2)を求める方法を説明する。まず、吸収係数α1を数式52より求める。そのために数式52を微分すると数式54の様になる。
数式54に対して数式52にBを掛けた値で割り算すると数式55のようになり、吸収係数α1を求める事ができる。
ここで数式52の値は図7(a)の測定系により求める事が可能である。また、φ1をもとめるために数式52をAb1・exp(Bα1t1)で割る。またα1の値は数式55より求められている。φ1を求める式は数式56の様になる。
次に吸収係数α2を数式49より求める。さて、数式49に数式52を応用すると、数式57のようになる。
また、数式57を時間t2で微分すると数式58の様になる。
数式58に数式52を応用すると数式59の様になる。
ここで数式57と数式58、また数式52と数式54、Bの値を用いることで、数式60のようにα2を求めることができる。
ここで、数式52と数式54に対応する値は、数式55で求めたα1を用いる事で、計算により導かれる。そのため、数式57と数式58に対応するI(t2)とdI(t2)/dtを測定することにより、α2が求められる。また、φ2を求めるために、数式57と数式52、B、α2、Ab2を用いることで、数式61のようにφ2を求めることができる。
ここで、α2の値は数式60で求められた値を用いる。また、数式57に対応するI(t2)は測定により求められ、数式52に対する値は、数式55で求めたα1及び数式56で求めたφ1を用いる事で計算により求められる。このように2波長の光の場合、α1、φ1(φ1:光強度)は数式55、数式56より求める事が出来る。またα2、φ2(φ2:光強度)は数式60、数式61により求める事が出来る。これにより2つの波長に対応した「λ:αに対応した波長」と「φ:その波長での光強度」が導き出される。
次に、「n波長の光が入射した場合」を考える。n波長の光の場合に関係するαn、φnを導く式を以下に導出する。n波長の光の場合も2波長の場合と同様の手順を用いる。測定値I(t1)とその微分dI(t1)/dtからα1、φ1を求める。この結果(α1、φ1)と測定値I(t2)とその微分dI(t2)/dtの値からα2、φ2を求める。最終的にαn、φnの値は、α1、α2・・・αn−1の値と、φ1、φ2、・・・φn−1の値と測定値I(tn)とその微分dI(tn)/dtの値から求められる。ここで、Abn、Bも同様である。数式I(tn)の値は、数式62のように表される。
またIx(tn)の値は、数式63のようにαx、φxの値より求められる。
ここでxは0<x<nの整数である。また、φxに対応する光波長はφx+1に対応する光波長より短いとする。また、時間txの設定には条件があるため注意しなければならない。時間txはIx+1(t)の影響を受けない時間に設定する必要がある。ここで、I(tn)は光強度φ1、吸収係数α1をもつ光に対応する時間tnにおける光電流となる。またI(tn)は光強度φ2、吸収係数α2をもつ光に対応する時間tnにおける光電流となる。またIn(tn)は光強度Φn、吸収係数αnをもつ光に対応する時間tnにおける光電流となる。数式64よりαnを求める事ができる。
また、数式65よりφnを求める事ができる。
これらよりn個の波長に対応した「λ:αに対応した波長」と「φ:その波長での光強度」が導き出される。以上が第2の方法の内容に相当する実施例である。
(応用例)
発明は、PD及びその電流を検知できる回路であれば用いることができる。応用例の一つとして、図8にイメージセンサに応用した場合の例を示す。図8はイメージセンサの1ピクセルの出力部に微分回路を付け加えた例である。1ピクセルの構造にはAPS(active pixell sensor)構造を用いている。APS構造はNチャネルMOSFET6,7,8の素子およびPD(フォトダイオード)13から出来上がる。また、微分回路にはコンデンサ12,抵抗11の素子および増幅器14から出来上がる。また、APS構造からの出力と微分回路からの出力を分けて取得するために、NチャネルMOSFET9,10の素子を用いて選択できるような構造としてある。イメージセンサの出力は、信号を蓄積して読みだす方法をとる。このような場合でもイメージセンサにはPD13が備わっているため、応用することが可能である。また、この例では微分回路を用いているが、光信号の値を検知することができれば、PC(パーソナルコンピュータ)等で微分等の演算をすることができるため、微分回路がなくても利用できる。
以上本発明につき、好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。例えば、上述の実施例では、光電流の過渡応答I(t)から吸収係数α(λ)及び波長スペクトルφ(λ)を共に求めているが、吸収係数α(λ)を予め測定するなどの方法により予め既知の値として利用することで、波長スペクトルφ(λ)を求めるようにしてもよい。
1.入射光
2.シャッター
3.PDへの印加電圧
4.pin−PD
5.電流計
6,7、8、9、10 NチャネルMOSFET
11.抵抗
12.コンデンサ
13.PD
14.増幅器

Claims (3)

  1. 任意の単一波長の光の波長スペクトルを検出する方法であって、
    光電変換素子の光電変換領域に前記任意の単一波長の光を入射可能に構成するとともに前記任意の単一波長の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、前記過渡応答I(t)の2つの時刻t 及びt における光電流値I(t ),I(t )に基づいて、或いは、或る時刻tにおける光電流値I(t)とその微分値dI(t)/dtに基づいて、単一の波長λの光を入射したときに生ずる光電流I(t)を示す以下の数式1により前記光電変換領域の光吸収係数α(λ)若しくはこれに対応する単一波長としての上記波長λと、当該波長λの光の波長強度φ(λ)との少なくとも一方を求めることを特徴とする波長スペクトル検出方法。
    ここで、tは入射時若しくは遮断時からの経過時間、Ab(λ)は波長λの光に対する前記光電変換領域の光電変換効率、Bは前記光電変換領域内のキャリア速度、α(λ)は波長λの光に対する前記光電変換領域の光吸収係数。
  2. n個(nは2以上の自然数)の波長からなる任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、
    光電変換素子の光電変換領域に前記任意の光を入射可能に構成するとともに前記任意の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、前記過渡応答I(t)に基づいて、前記波長スペクトルを求める方法であり
    前記過渡応答I(t)の測定時刻t(iは1〜2nの整数)における光電流値I(t)に基づいて、前記n個の波長それぞれの光に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 若しくはこれらにそれぞれ対応する前記n個の波長λ(jは1〜nまでの整数)と、これらの各波長λ にそれぞれ対応するn個の光の波長強度φ(jは1〜nまでの整数)との少なくとも一方を以下のi=1〜2nの2n個の数式2から計算することにより求めることを特徴とする波長スペクトル検出方法。
    ここで、Ab=Ab(λ)、α=α(λ)。
  3. n個(nは2以上の自然数)の波長からなる任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、
    光電変換素子の光電変換領域に前記任意の光を入射可能に構成するとともに前記任意の光の入射方向に電界を印加して光電流を生じさせるように構成し、前記任意の光の入射後若しくは遮断後における光電流の過渡応答I(t)を測定し、
    下の数式4によりk=1(kは1〜nの整数)としてI(t)=I(t)が成立する測定時刻tを選定し、当該測定時刻t における光電流測定値I(t )及びその微分値dI(t )/dtを用いて、波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻tに対応するk=1とした以下の数式3から波長λの光の波長強度φ=I(t)/{Ab・exp[B・α・t]}を計算し、
    その後、k=2とした以下の数式4のI(t)=I(t)+I(t)が成立する測定時刻tを選定し、当該測定時刻t における光電流測定値I(t )及びその微分値dI(t )/dtと、m=1とした以下の数式5から得たI(t)=Ab・φ・exp[B・α・t及びその微分値dI (t )/dtの値を用いて、波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻tに対応するk=2とした以下の数式3から波長λの光の波長強度φ={I(t)−I(t)}/{Ab・exp[B・α・t]}を計算するというように、
    以下の数式4が成立する測定時刻tを選定するとともに前記測定時刻tにおける光電流測定値I(t及びその微分値dI(t )/dt と数式5から得た=1〜k−1までのIm(t )及びそれらの微分値dI (t )/dtの値を用いて、前記任意の光の波長λ に対する前記光電変換領域の光吸収係数α 、或いは、前記測定時刻t に対応する数式3から波長λ の光の波長強度φ を計算するという手順を、kが1からnとなるまで順次に繰り返すことにより、n個の波長λ のそれぞれの光に対する前記光電変換領域の前記光吸収係数α 若しくはこれらに対応するn個の波長λ と、これらの各波長λ にそれぞれ対応するn個の光の波長強度φ との少なくとも一方を求めることを特徴とする波長スペクトル検出方法。
    ここで、mは自然数、Ab=Ab(λ)、α=α(λ、Ab =Ab(λ )、α =α(λ
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