特許文献1の交通信号制御装置による信号制御パラメータの設定は、車載装置から取得した走行軌跡情報(例えば、プローブ情報)に基づいて旅行時間を算出しているので、旅行時間を算出するためのプローブ情報が、例えば、交通信号の数サイクルに1度程度の頻度で取得することができる場合には、有効である。しかし、プローブ情報を送信することができる車載装置を搭載した車両の普及率は必ずしも高くなく、旅行時間をタイムリーに求めることができる程度にプローブ情報を取得することができない可能性も高い。このため、交通状況に応じて適切な信号制御を実現することが望まれていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる信号制御装置、該信号制御装置を実現するためのコンピュータプログラム及び信号制御方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る信号制御装置は、車両の走行状態を示す情報を送信する送信手段を有する該車両の通行量に応じて交差点に流入する流入路に対する信号灯器の灯色を制御するための信号制御装置において、前記通行量に基づいて、任意の時間帯で前記送信手段を有する車両の通行頻度を算出する算出手段と、該算出手段で算出した通行頻度に応じて、前記信号灯器の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る信号制御装置は、第1発明において、前記複数の信号制御方式は、車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標を用いる信号制御方式と該交通指標を用いない信号制御方式とを含み、前記選択手段は、前記算出手段で算出した通行頻度の大小に応じて前記交通指標を用いる信号制御方式か該交通指標を用いない信号制御方式かを選択するように構成してあることを特徴とする。
第4発明に係る信号制御装置は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記複数の信号制御方式は、車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標に応じて、該交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する第2の信号制御方式を含むことを特徴とする。
第3発明に係る信号制御装置は、第1発明又は第2発明において、前記複数の信号制御方式は、時間帯毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から時刻に応じて一の信号制御パラメータを決定する第1の信号制御方式を含むことを特徴とする。
第5発明に係る信号制御装置は、第1発明又は第2発明において、前記複数の信号制御方式は、時刻及び車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標に応じて、時間帯毎及び該交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する第3の信号制御方式を含むことを特徴とする。
第6発明に係る信号制御装置は、第1発明又は第2発明において、前記選択手段は、前記算出手段で算出した通行頻度が第1閾値より小さい場合、下記の第1の信号制御方式を選択し、前記第1閾値以上である場合、下記の第2又は第3の信号制御方式のいずれかを選択するように構成してあることを特徴とする。第1の信号制御方式:時間帯毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から時刻に応じて一の信号制御パラメータを決定する信号制御方式。第2の信号制御方式:車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標に応じて、該交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する信号制御方式。第3の信号制御方式:時刻及び車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標に応じて、時間帯毎及び該交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する信号制御方式。
第7発明に係る信号制御装置は、第6発明において、前記選択手段は、前記算出手段で算出した通行頻度が前記第1閾値より大きい第2閾値以上である場合、前記第2の信号制御方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
第8発明に係る信号制御装置は、第7発明において、前記選択手段は、前記算出手段で算出した通行頻度が前記第1閾値以上であって前記第2閾値より小さい場合、前記第3の信号制御方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
第9発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、車両の走行状態を示す情報を送信する送信手段を有する該車両の通行量に応じて交差点に流入する流入路に対する信号灯器の灯色を制御するためのステップを実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、前記通行量に基づいて、任意の時間帯で前記送信手段を有する車両の通行頻度を算出する算出手段と、算出した通行頻度に応じて、前記信号灯器の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する選択手段として機能させる。
第10発明に係る信号制御方法は、車両の走行状態を示す情報を送信する送信手段を有する該車両の通行量に応じて交差点に流入する流入路に対する信号灯器の灯色を制御するための信号制御装置による信号制御方法において、前記通行量に基づいて、任意の時間帯で前記送信手段を有する車両の通行頻度を算出手段が算出するステップと、算出された通行頻度に応じて、前記信号灯器の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択手段が選択するステップとを含むことを特徴とする。
第1発明、第9発明及び第10発明にあっては、車両の走行状態を示す情報を送信する送信手段(例えば、車載装置)を有する車両(プローブ車両)の通行量に基づいて、任意の時間帯で送信手段を有する車両の通行頻度を算出する。走行状態を示す情報は、例えば、路上装置を介して車載装置から受信することができるプローブ情報であり、所定の周期(例えば、1秒)毎の車両の位置及び時刻、車載装置(車両)の識別コードなどを含む。また、送信手段(車載装置)を有する車両であるか否かは、当該車両が送信したプローブ情報を受信することにより認識することができる。車両の通行量は、例えば、予め設定された時間帯毎に流入路を通行したプローブ車両の台数である。通行頻度は、例えば、1日の任意の時間帯での車両の通行量(プローブ車両の台数)を所定の期間(例えば、1か月、3か月、6か月、1年など)の間収集し、所定の期間が経過する都度、収集した通行量の合計を所定の期間の日数で除算して1日当たりの数値を求め、プローブ車両の台数の任意の時間帯毎の1日当たりの平均として求めることができる。
算出した通行頻度に応じて、信号灯器の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する。複数の信号制御方式は、例えば、プローブ車両の台数(プローブ情報が取得される頻度)が少ない場合でも用いることのできる信号制御方式、プローブ車両の台数(プローブ情報が取得される頻度)に依存する傾向がある信号制御方式などである。算出した通行頻度が小さい場合には、プローブ情報が取得される頻度が少ない場合でも用いることのできる信号制御方式を選択し、算出した通行頻度が大きい場合には、プローブ情報に依存する信号制御方式を選択する。これにより、プローブ車両の台数(プローブ情報の取得頻度)の多少に応じて、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる。
第2発明にあっては、複数の信号制御方式は、車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標を用いる信号制御方式と当該交通指標を用いない信号制御方式とを含む。車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標は、例えば、プローブ情報に基づいて得られる道路区間の旅行時間などである。そして、算出した通行頻度が大きい場合には、交通指標を用いる信号制御方式を選択し、算出した通行頻度が小さい場合には、交通指標を用いない信号制御方式を選択する。交通指標を用いる信号制御方式は、例えば、プローブ情報に依存する信号制御方式であり、交通指標を用いない信号制御方式は、プローブ情報にほとんど依存しない信号制御方式である。なお、交通指標を用いない信号制御方式には、交通指標を全く加味しない信号制御方式だけではなく、交通指標によって信号制御パラメータ(サイクル長、スプリット、オフセットなど)がほとんど変化しない信号制御方式も含む。信号制御パラメータがほとんど変化しないとは、例えば、車両の走行状態を示す情報の変動による青信号時間の変動が数秒以内又は数パーセント以内である場合である。算出した通行頻度の大小に応じて交通指標を用いる信号制御方式か交通指標を用いない信号制御方式かを選択するので、プローブ車両の台数(プローブ情報の取得頻度)の多少に応じて、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる。
第4発明にあっては、複数の信号制御方式は、車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標に応じて、交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する第2の信号制御方式を含む。第2の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、交通指標(例えば、道路の任意の区間の旅行時間など)毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、実際に計測された旅行時間に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。プローブ情報の取得頻度が比較的高く、旅行時間などの交通指標をタイムリーに求めることができる場合に、有効な信号制御を行うことができる。
第3発明にあっては、複数の信号制御方式は、時間帯毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から時刻に応じて一の信号制御パラメータを決定する第1の信号制御方式を含む。第1の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択する方式である。事前に想定する交通需要に対する変動が少ない地域、時間帯に対して有効な信号制御を行うことができる。
第5発明にあっては、複数の信号制御方式は、時刻及び車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標(例えば、道路の任意の区間の旅行時間など)に応じて、時間帯毎及び交通指標毎に定めた複数の信号制御パラメータの中から一の信号制御パラメータを決定する第3の信号制御方式を含む。第3の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておくとともに、時間帯の中の特定の時間帯毎の交通指標に応じて使用する別の信号制御パラメータを定めておく。時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択するとともに、特定の時間帯で実際に計測された旅行時間に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。プローブ情報の取得頻度があまり高くなく、かつ事前に想定した交通需要に対する変動が生じやすい場合に、有効な信号制御を行うことができる。
第6発明にあっては、算出した通行頻度(例えば、任意の時間帯毎のプローブ車両の台数、プローブ情報の取得頻度など)が第1閾値TH1より小さい場合、第1の信号制御方式を選択し、算出した通行頻度が第1閾値TH1以上である場合、第2又は第3の信号制御方式のいずれかを選択する。第1閾値TH1は、プローブ情報の取得頻度が少ないか否かを判定するための閾値であり、例えば、30分、1時間当たり1個などの値である。プローブ情報の取得頻度が低い場合には、第1の信号制御方式を選択することにより、事前に想定した交通需要に対する変動が少ない地域、時間帯に対して有効な信号制御を行うことができる。また、プローブ情報の取得頻度が低くない場合には、第2又は第3の信号制御方式を選択することにより、旅行時間などの交通指標をタイムリーに求めることができる場合、または事前に想定した交通需要に対する変動が生じやすい場合に、有効な信号制御を行うことができる。
第7発明にあっては、算出した通行頻度(例えば、任意の時間帯毎のプローブ車両の台数、プローブ情報の取得頻度など)が第1閾値TH1より大きい第2閾値TH2以上である場合、第2の信号制御方式を選択する。第2閾値TH2は、プローブ情報の取得頻度が高いか否かを判定するための閾値であり、例えば、5分、10分、15分当たり1個などの値である。プローブ情報の取得頻度が高い場合には、第2の信号制御方式を選択することにより、旅行時間などの交通指標をタイムリーに求めて有効な信号制御を行うことができる。
第8発明にあっては、算出した通行頻度(例えば、任意の時間帯毎のプローブ車両の台数、プローブ情報の取得頻度など)が第1閾値TH1以上であって第2閾値TH2より小さい場合、第3の信号制御方式を選択する。これにより、プローブ情報の取得頻度があまり高くなく、かつ事前に想定した交通需要に対する変動が生じやすい場合に、有効な信号制御を行うことができる。
本発明によれば、プローブ車両の台数(プローブ情報の取得頻度)の多少に応じて、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる。
以下、本発明に係る信号制御装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の信号制御装置を含む信号制御システムの概要を示す模式図である。図1に示すように、信号制御システムは、信号制御装置100、交通信号制御機1、信号灯器2、路上装置3などを備える。
図1に示すように、道路R1、道路R2は交差点20で交差し、交差点20には4つの流入路が流入する構造をなす。道路R1の交差点20の上流側の適宜の地点(始端)と交差点20の流出地点(終端)との間で道路区間11、12を設けてある。同様に、道路R2の交差点20の上流側の適宜の地点(始端)と交差点20の流出地点(終端)との間で道路区間21、22を設けてある。道路区間11、12、21、22の始端は、旅行時間を算出することができる程度に適宜設定することができる。交差点20には、道路R1、R2に対する信号灯器2を設置してある。交通信号制御機1は、各信号灯器2の灯色の切り替えを制御する。路上装置3は、交差点20の各流出地点近傍に設置してある。
車両10には、車両10の走行状態を示す情報を送信する送信手段としての車載装置5が搭載されている。車載装置5は、所定の周期(例えば、1秒毎)に時刻、車両10の位置を走行軌跡情報として蓄積する。車載装置5を搭載したプローブ車両10が路上装置3の通信領域を通過する際、車載装置5は、蓄積した走行軌跡情報及び車載装置5(プローブ車両10)を識別する識別コードなどをプローブ情報(車両の走行状態を示す情報)として路上装置3へ送信する。車両走行軌跡として、所定の周期毎の時刻、車両の位置の代わりに、車両の速度が所定の閾値(例えば、時速5km/h)以下になった停止、あるいは車両の向きが所定の閾値(例えば、5度)以上変化した方向変動などのイベントが発生した時刻と位置とを蓄積してもよい。
路上装置3は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)などの局所通信装置であり、プローブ車両10の車載装置5との間で情報の送受信を行う。路上装置3は、車載装置5との間で通信を行うための通信部3a、通信部3aを制御する通信制御部3bなどを備える。路上装置3は、車載装置5からプローブ情報(アップリンク情報)を受信し、受信したプローブ情報を信号制御装置100へ送信する。路上装置3は、携帯電話の通信装置でもよく、その場合、交差点の流出地点近傍に設置する必要は無い。また、路上装置3は、車載装置から所定の周期毎の時刻及び車両の位置をアップリンク情報として受信し、受信したアップリンク情報を停止又は変動などのイベントが発生した時刻と位置との情報に加工した上で、信号制御装置100へ送信してもよい。
信号制御装置100は、路上装置3から送信されたプローブ情報を受信(取得)する。信号制御装置100は、プローブ情報を取得することにより、任意の時間帯(例えば、15分、30分、1時間など)毎のプローブ車両10(プローブ情報を送信する送信手段としての車載装置5を搭載した車両10)の台数(すなわち、プローブ情報の取得頻度)を算出し、算出したプローブ車両10の台数(プローブ情報の取得頻度)に応じて、信号灯器2の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する。なお、送信手段を有する車両の通行頻度とは、送信手段(車載装置)を有する車両が必ずプローブ情報を送信するとは限らないので、車載装置(送信手段)を有する多くの車両の中から、実際に路上装置3がプローブ情報を車両から受信し、路上装置3で受信したプローブ情報を信号制御装置100が取得することにより、信号制御装置100は、車両に車載装置(送信手段)が設けられていることを認識し、その頻度でプローブ車両10の台数(プローブ情報の取得頻度)を求めることができる。以下、信号制御装置100について説明する。
図2は本実施の形態の信号制御装置100の構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、信号制御装置100は、制御部101、通信部102、通行頻度算出部103、記憶部104、選択部105、旅行時間算出部106などを備える。
通信部102は、路上装置3及び交通信号制御機1との間で情報の送受信(通信)を行う。例えば、通信部102は、路上装置3からプローブ車両10の走行状態を示す情報であるプローブ情報を受信する。
通信部102は、プローブ情報を受信することにより、道路R1、R2でのプローブ車両10の通行量を取得することができる。プローブ車両10の通行量は、例えば、予め設定された時間帯(例えば、15分、30分、1時間など)毎に道路R1、R2(流入路)を通行したプローブ車両10の台数である。
通行頻度算出部103は、プローブ車両10の通行量に基づいて、任意の時間帯でのプローブ車両10の通行頻度を算出する算出手段としての機能を備える。
通行頻度算出部103は、通信部102で取得した通行量に基づいて、任意の時間帯でのプローブ車両10の通行頻度を算出する。通行頻度は、例えば、1日の任意の時間帯でのプローブ車両10の通行量(プローブ車両10の台数)を所定の期間(例えば、1か月、3か月、6か月、1年など)の間収集し、所定の期間が経過する都度、収集した通行量の合計を所定の期間の日数で除算して1日当たりの数値を求め、プローブ車両10の台数の任意の時間帯毎の1日当たりの平均として求めることができる。
選択部105は、信号灯器2の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する選択手段としての機能を備える。
選択部105は、通行頻度算出部103で算出した通行頻度に応じて、信号灯器2の青時間を制御するために予め定めた複数の信号制御方式の中から一の信号制御方式を選択する。複数の信号制御方式は、例えば、プローブ車両10の台数(プローブ情報が取得される頻度)が少ない場合でも用いることのできる信号制御方式、プローブ車両10の台数(プローブ情報が取得される頻度)に依存する傾向がある信号制御方式などである。
また、選択部105は、通行頻度算出部103で算出した通行頻度の大小に応じて、車両の走行状態を示す情報に基づく交通指標を用いる信号制御方式か交通指標を用いない信号制御方式かを選択する。交通指標は、例えば、プローブ情報に基づいて後述の旅行時間算出部106が算出する旅行時間などである。選択部105は、通行頻度算出部103で算出した通行頻度が大きい場合には、交通指標を用いる信号制御方式を選択し、通行頻度算出部103で算出した通行頻度が小さい場合には、交通指標を用いない信号制御方式を選択する。交通指標を用いる信号制御方式は、例えば、プローブ情報に依存する信号制御方式であり、交通指標を用いない信号制御方式は、プローブ情報にほとんど依存しない信号制御方式である。なお、交通指標を用いない信号制御方式には、交通指標を全く加味しない信号制御方式だけではなく、交通指標によって信号制御パラメータ(サイクル長、スプリット、オフセットなど)がほとんど変化しない信号制御方式も含む。信号制御パラメータがほとんど変化しないとは、例えば、車両の走行状態を示す情報の変動による青信号時間の変動が数秒以内又は数パーセント以内である場合である。算出した通行頻度の大小に応じて交通指標を用いる信号制御方式か交通指標を用いない信号制御方式かを選択するので、プローブ車両の台数(プローブ情報の取得頻度)の多少に応じて、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる。
旅行時間算出部106は、車両(プローブ車両10)の走行状態を示す情報(プローブ情報)に基づく交通指標の一例としての旅行時間を算出する。旅行時間算出部106は、通信部102を介して取得したプローブ情報からプローブ車両10の識別コード毎の走行軌跡情報を抽出し、記憶部104に記憶してある道路地図データの道路区間データに基づいてマップマッチング処理を行って、それぞれのプローブ車両10(車載装置5)が走行した道路区間を求める。そして、旅行時間算出部106は、道路区間の始端及び終端に最も接近している位置及びその位置での時刻を抽出し、終端に最も接近している位置における時刻から始端に最も接近している位置における時刻を差し引いて、当該道路区間の旅行時間を算出する。なお、旅行時間算出部106は必須の構成ではなく、信号制御装置100の外部の装置、例えば、車載装置5又は路上装置3に設ける構成であってもよい。その場合には、信号制御装置100は、車載装置5又は路上装置3から旅行時間を取得すればよい。
記憶部104は、取得したプローブ情報、信号制御パラメータ、道路地図データなどの所定の情報を記憶する。
次に、選択部105で信号制御方式を選択する選択方法の一例について説明する。図3は本実施の形態の信号制御装置100による信号制御方式の選択方法の一例を示す説明図である。図3において、横軸は1日の時刻を示し、縦軸は通行頻度であるプローブ情報の取得頻度、すなわち、プローブ車両10の通行台数を示す。
図3に示すプローブ情報の取得頻度は、例えば、1日を1時間毎の時間帯で区切り、各時間帯でのプローブ車両10の通行量(プローブ車両10の台数)を所定の期間(例えば3か月)の間収集し、所定の期間が経過した時点で収集した通行量の合計を所定の期間(3か月)の日数で除算して1日当たりの数値を求めたものであり、プローブ車両10の台数の1時間毎の1日当たりの平均として求めることができる。例えば、時刻が8:00から9:00の間のプローブ情報の取得頻度は、3か月間の間、毎日取得した通行量を合計し、合計した値を3か月に相当する日数で除算して1日当たりの平均値として求めたものである。なお、所定の期間は、3か月に限定されるものではなく、1か月、2か月、6か月、1年など適宜の期間を用いることができる。また、時間帯も1時間毎に限定されるものではなく、5分毎、10分毎、15分毎、30分毎、2時間毎など適宜の時間帯を用いることができる。
プローブ情報の取得頻度(通行頻度)による信号制御方式の選択は、予め定めた第1閾値TH1及び第1閾値TH1より大きい第2閾値TH2とプローブ情報の取得頻度とを比較して行う。第1閾値TH1は、プローブ情報の取得頻度が少ないか否かを判定するための閾値であり、例えば、30分、1時間当たり1個などの値である。また、第2閾値TH2は、プローブ情報の取得頻度が高いか否かを判定するための閾値であり、例えば、5分、10分、15分当たり1個などの値である。
例えば、ある時間帯でプローブ情報の取得頻度(通行頻度)が第1閾値TH1より小さい場合、当該時間帯では第1の信号制御方式を選択する。第1の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択する方式である。第1の信号制御方式は、交通指標を用いない信号制御方式に該当する。
また、ある時間帯でプローブ情報の取得頻度(通行頻度)が第2閾値以上である場合、当該時間帯では第2の信号制御方式を選択する。第2の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、交通指標(例えば、道路の任意の区間の旅行時間など)毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、実際に計測された交通指標に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。
さらに、ある時間帯でプローブ情報の取得頻度(通行頻度)が第1閾値以上であり、かつ第2閾値より小さい場合、当該時間帯では第3の信号制御方式を選択する。第3の信号制御方式は、例えば、複数の信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセットなど)の組を用意しておき、時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておくとともに、時間帯の中の特定の時間帯毎の交通指標(例えば、旅行時間など)に応じて使用する別の信号制御パラメータを定めておく。時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択するとともに、特定の時間帯で実際に計測された交通指標に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。第2及び第3の信号制御方式は、交通指標を用いる信号制御方式に該当する。
図3で示したように、選択部105は、通行頻度算出部103で算出した通行頻度が小さい場合には、プローブ情報が取得される頻度が少ない場合でも用いることのできる第1の信号制御方式を選択し、算出した通行頻度が大きい場合には、プローブ情報に依存する第2又は第3の信号制御方式を選択する。これにより、プローブ車両10の台数(プローブ情報の取得頻度)の多少に応じて、交通状況に応じた適切な信号制御を実現することができる。以下では、各信号制御方式について説明する。
図4は第1及び第3の信号制御方式に用いる信号制御パラメータテーブルの一例を示す説明図である。図4の例では、パターン番号1〜7で分類される7種類の信号制御パラメータを用いる。例えば、パターン番号1の信号制御パラメータは、サイクル長が60秒、道路R1と道路R2とのスプリットが0.5:0.5、オフセットが0秒である。他のパターン番号の信号制御パラメータも図示のとおりである。なお、信号制御パラメータは、一例であって、図4の例に限定されるものではなく、また、信号制御パラメータの数(パターン番号)も図4の例に限定されるものではない。
図5は第1の信号制御方式の一例を示す説明図である。上述のとおり、第1の信号制御方式は、複数の信号制御パラメータの組を用意しておき、時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択する方式である。
図5に示すように、時刻が0:00から6:00までの間は、パターン番号1の信号制御パラメータを使用するように定めてある。また、時刻が6:00から7:00までの間は、パターン番号2の信号制御パラメータを使用するように定めてある。他の時刻についても図5に例示のとおりである。第1の信号制御方式は、事前に想定した交通需要に対する変動が少ない地域、時間帯に対して有効な信号制御を行うことができる。
選択部105は、通行頻度算出部103で算出した通行頻度(例えば、任意の時間帯毎のプローブ車両の台数、プローブ情報の取得頻度など)が第1閾値TH1より小さい場合、第1の信号制御方式を選択する。プローブ情報の取得頻度が低い場合には、第1の信号制御方式を選択することにより、事前に想定した交通需要に対する変動が少ない地域、時間帯に対して有効な信号制御を行うことができる。
図6は第3の信号制御方式の一例を示す説明図である。上述のとおり、第3の信号制御方式は、複数の信号制御パラメータの組を用意しておき、図5に示すような時間帯毎に使用する信号制御パラメータを定めておくとともに、図6に示すような時間帯の中の特定の時間帯毎の交通指標(例えば、旅行時間など)に応じて使用する別の信号制御パラメータを定めておく。時刻に対応する時間帯の信号制御パラメータを選択するとともに、特定の時間帯で実際に計測された交通指標に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。
図6に示すように、第3の信号制御方式は、特定の時間帯(例えば、6:30から7:00まで等)毎に呼出条件、呼出パターン、実行時間が定められている。第3の信号制御方式では、特定の時間帯において、呼出条件を充足するか否かを判定し、呼出条件を充足する場合、実行時間で特定される時間の間、呼出パターンの信号制御パラメータを使用する。
特定の時間帯として6:30から7:00までの間においては、呼出条件は、道路R1の旅行時間T1が300秒以上である。なお、道路R1の旅行時間は、道路区間11、12それぞれの旅行時間のうち大きい方の旅行時間とすることができる。
また、特定の時間帯として16:30から17:00までの間においては、呼出条件は、道路R2の旅行時間T2が300秒以上である。なお、道路R2の旅行時間は、道路区間21、22それぞれの旅行時間のうち大きい方の旅行時間とすることができる。他の特定時間帯についても同様である。
次に、第3の信号制御方式について、さらに具体的に説明する。例えば、図5に示すように、時刻が6:00になった時点ではパターン番号2の信号制御パラメータを使用する。図4に示すように、パターン番号2の信号制御パラメータは、サイクル長が90秒であり、道路R1とR2とのスプリットが0.6:0.4である。
図6に示すように、時刻が6:30になった時点では、道路R1の旅行時間T1が300秒以上であるか否かの呼出条件の判定が行われる。この呼出条件は、道路R1が非渋滞時に比べて道路R1が混雑しているか否かを判定することができるものである。そして、呼出条件を充足する場合、すなわち道路R1が混雑している場合、パターン番号3の信号制御パラメータを使用する。図4に示すように、パターン番号3の信号制御パラメータは、サイクル長が120秒であり、道路R1とR2とのスプリットが0.6:0.4である。パターン番号3の信号制御パラメータを呼び出して使用することにより、道路R1に対する信号灯器2の青時間は、54秒から72秒に延長され、道路R1の渋滞を解消する方向へ交通信号制御が行われる。
図5に示すように、第1の信号制御方式では、6:00から7:00までの間ではパターン番号2の信号制御パラメータを使用し、7:00から9:00までの間では、道路R1の交通需要が増大するという経験則からパターン番号3の信号制御パラメータに切り替える。しかし、道路R1が混雑し始めると予想された時刻7:00よりも実際に混雑し始める時刻が早くなった場合、本来であればサイクル長を120秒程度の長さにしなければ捌ききれない程度の交通量になっているにも関わらず、サイクル長を90秒のままにしているため、1サイクルの間に交差点20を通過できる車両の台数が限定され、信号待ちの車両が増加し渋滞が発生する。
第3の信号制御方式を採用することにより、時刻7:00よりも30分早い時刻6:30から7:00までの間に、旅行時間に応じて通常よりも早い段階で時刻7:00以降に使用される予定のパターン番号3の信号制御パラメータを使用することができるので、交通状況が事前の交通需要の予想よりも早く変化した場合でも柔軟に対応することができる。
同様に、図5に示すように、第1の信号制御方式では、7:00から9:00までの間ではパターン番号3の信号制御パラメータを使用し、9:00から17:00までの間では、道路R1の交通需要が減少するという経験則からパターン番号4の信号制御パラメータに切り替える。しかし、道路R1の混雑がなくなると予想された時刻9:00を過ぎても混雑した状況が変化しなかった場合、本来であればパターン番号3の信号制御パラメータを継続して使用しなければならないところ、パターン番号4の信号制御パラメータを使用することによりサイクル長を90秒に短縮するため、混雑した交通状況がさらに深刻になる可能性がある。
第3の信号制御方式を採用することにより、時刻が9:00から10:00までの間で旅行時間T1が300秒以上となっている場合には、引き続きパターン番号3の信号制御パラメータを延長して使用するので、交通状況が事前の交通需要の予想よりも遅く変化した場合でも柔軟に対応することができる。
上述のように、第3の信号制御方式を選択することにより、プローブ情報の取得頻度があまり高くなく、かつ事前に想定した交通需要に対する変動が生じやすい場合に、有効な信号制御を行うことができる。
図7は第2の信号制御方式に用いる信号制御パラメータテーブルの一例を示す説明図である。図7の例では、パターン番号11〜22で分類される12種類の信号制御パラメータを用いる。例えば、パターン番号11の信号制御パラメータは、サイクル長が60秒、道路R1と道路R2とのスプリットが0.5:0.5、オフセットが0秒である。他のパターン番号の信号制御パラメータも図示のとおりである。なお、信号制御パラメータは、一例であって、図7の例に限定されるものではなく、信号制御パラメータの数(パターン番号)も図7の例に限定されるものではない。また、図7と図4とで同じ信号制御パラメータは同一のパターン番号に纏めることもできる。
図8は第2の信号制御方式の一例を示す説明図である。上述のとおり、第2の信号制御方式は、複数の信号制御パラメータの組を用意しておき、交通指標(例えば、道路の任意の区間の旅行時間など)毎に使用する信号制御パラメータを定めておき、実際に計測された交通指標に対応する信号制御パラメータを選択する方式である。
図8に示すように、道路R1の旅行時間T1が120秒より短く、道路R2の旅行時間T2が120秒より小さい場合、パターン番号11の信号制御パラメータを使用する。図7に示すように、パターン番号11の信号制御パラメータは、サイクル長が60秒であり、道路R1、R2のスプリットが0.5:0.5である。
そして、道路R2の旅行時間T2が120秒より短い状態のまま道路R1の旅行時間T1が増加して、240秒以上360未満となった場合、パターン番号15の信号制御パラメータを使用する。図7に示すように、パターン番号15の信号制御パラメータは、サイクル長が90秒であり、道路R1、R2のスプリットが0.6:0.4である。パターン番号15の信号制御パラメータに切り替えることにより、道路R1に対する信号灯器2の青時間は、30秒から54秒に延長され、道路R1の渋滞を緩和することができる。
上述のように、第2の信号制御方式を選択することにより、プローブ情報の取得頻度が比較的高く、旅行時間などの交通指標をタイムリーに求めることができる場合に、有効な信号制御を行うことができる。また、プローブ情報の取得頻度が低くない場合には、第2又は第3の信号制御方式を選択することにより、旅行時間などの交通指標をタイムリーに求めることができる場合、または事前に想定した交通需要に対する変動が生じやすい場合に、有効な信号制御を行うことができる。
次に、本実施の形態の信号制御装置100の動作について説明する。図9は本実施の形態の信号制御装置100の処理手順を示すフローチャートである。制御部101は、予め収集したプローブ情報に基づいて、時間帯毎のプローブ情報の取得頻度を算出する(S11)。
制御部101は、算出した取得頻度が第1閾値TH1より小さいか否かを判定し(S12)、取得頻度が第1閾値TH1より小さい場合(S12でYES)、第1の信号制御方式を選択し(S13)、時刻に応じた信号制御パラメータを選択し(S14)、処理を終了する。
算出した取得頻度が第1閾値TH1より小さくない場合(S12でNO)、制御部101は、算出した取得頻度が第2閾値TH2以上であるか否かを判定する(S15)。算出した取得頻度が第2閾値TH2以上である場合(S15でYES)、制御部101は、第2の信号制御方式を選択し(S16)、道路R1、R2の旅行時間を算出し(S17)、各道路の旅行時間に応じた信号制御パラメータを選択し(S18)、処理を終了する。
算出した取得頻度が第2閾値TH2以上でない場合、すなわち算出した取得頻度が第1閾値TH1以上であって第2閾値より小さい場合(S15でNO)、制御部101は、第3の信号制御方式を選択し(S19)、道路R1、R2の旅行時間を算出し(S20)、時刻及び各道路の旅行時間に応じた信号制御パラメータを選択し(S21)、処理を終了する。
なお、図9に示す処理は、所定の周期で繰り返し行うことができる。
本実施の形態の信号制装置100は、CPU、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図9に示すような、各処理手順を定めたプログラムコードをコンピュータに備えられたRAMにロードし、プログラムコードをCPUで実行することにより、コンピュータ上で信号制装置100を実現することができる。
上述の実施の形態において、信号制御装置100は、選択した信号制御パラメータを交通信号制御機1へ出力する。交通信号制御機1は、選択された信号制御パラメータを用いて信号灯器2を制御する。なお、信号制御装置100を交通信号制御機1に組み込む構成とすることもできる。
上述の実施の形態では、プローブ情報を使って得られる交通指標として旅行時間を用いる構成であったが、交通指標は旅行時間に限定されるものではなく、プローブ車両の交差点上流側の停止位置を用いることもできる。交差点から停止位置までの距離と旅行時間とは、相関関係があるからである。旅行時間に代えてプローブ車両の停止位置を用いる場合には、道路R1、R2それぞれでの停止位置に応じて信号制御パラメータを選択すればよい。
上述の実施の形態では、信号制御パラメータの組を定めた信号制御パラメータテーブルを記憶する構成であったが、これに限定されるものではなく、CPUなどの演算部によりリアルタイムで算出するようにしてもよい。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。