JP5680820B2 - 石膏鋳型の解体方法 - Google Patents

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本発明は、石膏により形成した鋳型(石膏鋳型)により鋳造品を製造した後、石膏鋳型を鋳造品から分離して解体する石膏鋳型の解体方法に関する。
例えばタイヤ加硫用金型等の多品種小ロットで生産されるアルミニウム合金製の鋳造品は、コストや加工性の観点から、それらに優れる石膏鋳型を使用して鋳造される。このような鋳造品は、製品の反転形状を内部に形成した石膏鋳型内に、アルミニウム合金の溶湯を鋳込んで冷やし固めて所定形状に形成された後、石膏鋳型を解体して内部から取り出される。この石膏鋳型の解体には、従来、石膏鋳型に外側から機械的な振動や打撃を加え、その衝撃により石膏を割って粉砕等して、鋳造品から脱落させる装置が使用されている(特許文献1、2参照)。
ところが、このように石膏鋳型を解体すると、解体作業時に石膏の粉塵が飛散して、作業環境が悪化し、或いは、周辺機器の故障の原因になることもあり、長期的には人体へも影響を与える恐れがある。そのため、この場合には、作業エリアに集塵設備を設けて発生した粉塵を除去するとともに、防塵マスクや保護めがね等の保護具を常備して装着させ、各問題に対処する必要がある。また、石膏の硬さの程度や、石膏鋳型と鋳造品との固着の強さ等によっては、石膏鋳型の割れや脱落が確実に行えずに、鋳造後の解体が困難になることがある。
これに対し、従来、機械的な振動や打撃だけでは対応できないときには、人手により、ノミ状の工具(治具)を使用して、石膏に割れの起点となる亀裂を入れてから衝撃を加え、或いは、石膏鋳型を外側から次第に粉砕する等して、人手によるフォローを行っている。しかしながら、硬い石膏の人手による解体作業には多大な手間や時間を要し、作業効率が極めて低くなると同時に、作業に疲弊を伴うという問題がある。また、解体中に、工具が狙いの位置から外れて鋳造品に接触し、鋳造品に傷をつけてしまう恐れもある。
特開平5−104236号公報 特開2003−290908号公報
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、鋳造後の石膏鋳型を鋳造品から人手による解体作業を要さずに確実に分離させ、作業環境の悪化を防止しつつ、石膏鋳型の解体を、鋳造品を傷つけずに確実かつ短時間で行えるようにすることである。
本発明は、鋳造後の石膏鋳型を鋳造品から分離させて解体する石膏鋳型の解体方法であって、前記石膏鋳型よりも凝固収縮量が大きい材料でできた鋳造品とその周りを覆う石膏鋳型の外部に露出した境界に向かって加圧気体を噴射する工程と、噴射した加圧気体により石膏鋳型を鋳造品から分離させる工程と、を有し、前記加圧気体を噴射する工程は、鋳造後の石膏鋳型と鋳造品の冷却に伴う石膏鋳型と鋳造品の凝固収縮量の差に基づき発生する隙間に、加圧気体を噴射する工程を有し、前記分離させる工程は、噴射した加圧気体の衝撃により石膏鋳型を割る工程と、噴射した加圧気体を石膏鋳型と鋳造品との間に入り込ませて石膏鋳型を鋳造品から剥離させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、鋳造後の石膏鋳型を鋳造品から人手による解体作業を要さずに確実に分離させることができ、作業環境の悪化を防止しつつ、石膏鋳型の解体を、鋳造品を傷つけずに確実かつ短時間で行うことができる。
以下、本発明の石膏鋳型の解体装置及び解体方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の石膏鋳型の解体装置は、鋳造用の石膏鋳型に溶融金属等を鋳込み、内部の鋳造品(例えばアルミニウム合金製のタイヤ加硫用金型)が冷却されて固まった後に、鋳造後の石膏鋳型を鋳造品から分離させて解体する。その際、この解体装置は、高圧エアー等の加圧された気体(加圧気体)により、石膏鋳型を分離させる。
図1は、本実施形態の石膏鋳型の解体装置を模式的に示す要部斜視図であり、鋳造後の石膏鋳型50と、その内側の鋳造品51も模式的に示している。
この石膏鋳型50の解体装置1は、図示のように、解体する石膏鋳型50等を囲うカバー2(図では内部を透視して示す)と、カバー2内で石膏鋳型50及び鋳造品51を所定状態に保持する保持手段(図示せず)と、加圧気体Gを噴射する噴射装置10と、を備えている。
カバー2は、内部空間を外部から遮断可能な箱状をなし、内部に石膏鋳型50とともに噴射装置10を収容できる大きさに形成されている。また、カバー2は、内部を開放及び閉鎖する扉部(図示せず)を有し、この扉部を開閉して、石膏鋳型50の内部への収納及び、解体した石膏鋳型50と鋳造品51の取り出しが行われる。解体装置1は、このカバー2内に、石膏鋳型50と噴射装置10とを収容し、それらの全体を囲って外部から遮断した状態で、噴射装置10により石膏鋳型50を鋳造品51から分離させて解体する。
噴射装置10は、鋳造品51と石膏鋳型50の境界Kに向かって所定圧力の加圧気体Gを噴射し、噴射位置付近の石膏鋳型50に衝撃を加える衝撃発生手段であり、カバー2内で移動可能な加圧気体Gの噴射や停止を制御する本体部11と、その側面から突出して設けられた噴射ノズル12とを有する。また、噴射装置10は、本体部11に、カバー2外に設けられた加圧ポンプ等からなる加圧気体供給源13が、加圧気体Gの供給・停止を切り替える切替弁14、及びホース15を介して接続され、本体部11内の管路等を経由して、供給される加圧気体Gを噴射ノズル12から所定方向に向かって噴射する。
その際、この噴射ノズル12は、加圧気体Gの噴射口が、上記した境界Kを中心に、その近傍の比較的狭い範囲に向かって加圧気体Gを噴射可能な形状及び大きさに形成され、境界K付近に重点的に加圧気体Gを噴射する。また、噴射ノズル12は、本体部11の移動装置(図示せず)による予め設定された位置への自動での移動に伴い、加圧気体Gの噴射方向を境界Kに向けて配置され、かつ、その噴射位置が境界Kの所定位置に設定される。ここでは、噴射装置10は、加圧気体Gとして、所定圧力に加圧された高圧エアーを使用し、噴射ノズル12を、鋳造品51と、その周りを覆う石膏鋳型50の外部に露出した境目を狙ってセットし、噴射ノズル12から境界Kに加圧エアーを噴射して衝撃等を発生させる
図2は、解体装置1により石膏鋳型50を鋳造品51から分離させた状態を、図1に対応して模式的に示す要部斜視図である。
石膏鋳型50の解体時には、解体装置1は、解体対象の石膏鋳型50と噴射装置10の本体部11とをカバー2内に収容(図1参照)し、噴射ノズル12の噴射口を、鋳造品51と石膏鋳型50の境界Kに向けて所定位置及び距離に配置する。次に、この境界Kに向かって、噴射装置10の噴射ノズル12から加圧気体Gを噴射し、噴射ノズル12を境界Kに沿って徐々に移動させる等して、噴射した加圧気体G(図2参照)により、石膏鋳型50を鋳造品51から分離(図2の矢印V)させる。これにより、分離後の石膏鋳型50を鋳造品51から脱落させ、境界Kの鋳造品51を外部に露出させる。
ここで、例えばアルミニウム合金製の鋳造品51を石膏鋳型50により鋳造すると、冷却に伴うアルミニウム合金の凝固収縮量が石膏鋳型50の収縮量よりも大きいため、鋳造後のそれらの界面には必ず隙間が発生する。このように、解体時の石膏鋳型50と鋳造品51の境界Kには、ある程度の隙間が存在しており、境界Kを狙って加圧気体Gを噴射すると、その衝撃で石膏鋳型50に亀裂が生じる等して境界K側から割れが発生する。同時に、噴射された加圧気体Gが、噴射位置の境界Kから隙間の内部に向かって石膏鋳型50と鋳造品51の界面に入り込み、加圧気体Gの圧力で、鋳造品51を覆う石膏鋳型50が、界面に沿って鋳造品51の表面から剥離する。その結果、石膏鋳型50が、複数に砕かれて分割されつつ鋳造品51から一瞬にして脱落し、内部の鋳造品51が露出する。
このように、解体装置1は、噴射した加圧気体Gの衝撃により石膏鋳型50を割り、同時に、噴射した加圧気体Gを石膏鋳型50と鋳造品51との間に入り込ませて石膏鋳型50を鋳造品51から剥離させ、それらを互いに分離させる。続いて、解体装置1は、本体部11をカバー2内で移動させて、噴射装置10の噴射ノズル12を、次に分離させる石膏鋳型50と鋳造品51の境界Kに向かって配置し、上記と同様に加圧気体Gを噴射する。このようにして、解体装置1は、各境界Kで加圧気体Gを順次噴射して同様の手順を繰り返し、鋳造後の石膏鋳型50を、鋳造品51の全体又は所定範囲から分離させて解体する。
以上説明した本実施形態の解体装置1及び解体方法によれば、鋳造品51と石膏鋳型50の境界Kに向かって加圧気体Gを噴射するだけで、石膏鋳型50を鋳造品51から分離でき、鋳造後の石膏鋳型50の解体を短時間で確実に行うことができる。同時に、石膏鋳型50の硬さや鋳造品51との固着の強さ等に起因して解体が難しいときや、タイヤ加硫用金型のような形状が複雑な鋳造品51であっても、人手による解体作業を要さずに、石膏鋳型50を鋳造品51から確実に剥離して分離させることができる。その際、加圧気体Gを噴射ノズル12から噴射するため、加圧気体Gを強い圧力で、かつ、噴射方向を境界Kに正確に配置して精度よく噴射でき、石膏鋳型50の分離をより確実に短時間で行うことができる。また、石膏鋳型50をセットするだけで、鋳造品51に接触することなく分離できるため、鋳造品51に傷をつけるのを防止できるとともに、解体の手間を削減して作業効率を高めることもでき、作業に伴う疲弊をなくすことができる。
更に、石膏鋳型50の解体時に、加圧気体Gの噴射に伴い石膏鋳型50を直ちに分離できるため、従来の長時間を要する機械的な振動や打撃、又は人手による解体に比べて、石膏等の粉塵が飛散するのを抑制することができる。その結果、作業環境の悪化を防止でき、粉塵に伴う周辺機器の故障の発生や人体への影響を改善できるとともに、粉塵を除去するための集塵設備の設置や、防塵マスクや保護めがね等の保護具の装着の必要性を低減させることができる。加えて、この解体装置1のように、解体する石膏鋳型50を囲うカバー2を設け、その内側で石膏鋳型50を分離させることで、周囲への粉塵の飛散をより確実に防止して、作業環境を一層向上させることができる。
なお、石膏鋳型50の解体は、加圧気体G以外に、例えば高圧ジェット水を噴射して行うこともできる。しかしながら、この場合には、排水の処理が必要であり、かつ、鋳造品51や金枠等の周囲の部材が熱い状態のときには、それらが噴射された水により急冷されて変形することがある。そのため、水を使用するのは実用的でなく、石膏鋳型50の解体に使用するのは、エアー等の加圧気体Gが好適である。
(石膏鋳型の解体試験)
本発明の効果を確認するため、以上説明した解体装置1により、上記のように、加圧気体G(ここでは、エアー)を石膏鋳型50と鋳造品51の境界Kに向かって噴射して、石膏鋳型50を鋳造品51から分離させる解体試験を実施(以下、実施例という)した。また、比較のため、加圧気体Gを、境界Kを狙わずに石膏鋳型50に向かって噴射し、その衝撃のみにより石膏鋳型50を解体(以下、比較例という)した。更に、従来と同様に、ノミ状の工具を併用して、石膏鋳型50に打撃による衝撃を加えて石膏鋳型50を解体(以下、従来例という)した。
各試験では、それぞれ単純形状の鋳造品(以下、鋳造品51Aという)と、複雑形状の鋳造品(ここでは、タイヤ加硫用金型)(以下、鋳造品51Bという)を鋳造した2種類の石膏鋳型50を解体し、それぞれの石膏鋳型50の解体時間を測定した。また、石膏粉塵の飛散の有無を確認して作業環境への影響を調査し、併せて、解体後に鋳造品51A、51Bの傷の有無を確認して、鋳造品51A、51Bへの影響を調査した。表1に各結果を示すが、解体時間は、従来例を100とした指数で表し、その値が小さいほど時間が短いことを示している。
Figure 0005680820
その結果、表1に示すように、鋳造品51Aの解体時間は、従来例の100に対し、比較例では100、実施例では50であった。一方、鋳造品51Bの解体時間は、従来例の100に対し、比較例では解体できず、実施例では57であった。これより、実施例では、石膏鋳型50を確実に解体でき、その解体時間を約半分まで短縮できることが分かった。また、両鋳造品51A、51Bにおいて、従来例では、石膏粉塵が飛散して鋳造品51A、51Bに傷が生じていたが、比較例と実施例では、それらを防止できることが分かった。
以上の結果から、本発明により、鋳造後の石膏鋳型50を鋳造品51から人手による解体作業を要さずに確実に分離させることができ、作業環境の悪化を防止しつつ、石膏鋳型50の解体を、鋳造品51を傷つけずに確実かつ短時間で行えることが証明された。
本実施形態の石膏鋳型の解体装置を模式的に示す要部斜視図である。 石膏鋳型の解体装置により石膏鋳型を鋳造品から分離させた状態を模式的に示す要部斜視図である。
符号の説明
1・・・石膏鋳型の解体装置、2・・・カバー、10・・・噴射装置、11・・・本体部、12・・・噴射ノズル、13・・・加圧気体供給源、14・・・切替弁、15・・・ホース、50・・・石膏鋳型、51・・・鋳造品、K・・・境界、G・・・加圧気体。

Claims (1)

  1. 鋳造後の石膏鋳型を鋳造品から分離させて解体する石膏鋳型の解体方法であって、
    前記石膏鋳型よりも凝固収縮量が大きい材料でできた鋳造品とその周りを覆う石膏鋳型の外部に露出した境界に向かって加圧気体を噴射する工程と、
    噴射した加圧気体により石膏鋳型を鋳造品から分離させる工程と、
    を有し、
    前記加圧気体を噴射する工程は、鋳造後の石膏鋳型と鋳造品の冷却に伴う石膏鋳型と鋳造品の凝固収縮量の差に基づき発生する隙間に、加圧気体を噴射する工程を有し、
    前記分離させる工程は、噴射した加圧気体の衝撃により石膏鋳型を割る工程と、噴射した加圧気体を石膏鋳型と鋳造品との間に入り込ませて石膏鋳型を鋳造品から剥離させる工程と、を有することを特徴とする石膏鋳型の解体方法。
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