JP5689378B2 - 透明導電膜 - Google Patents
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特許文献1は、原子比In/(In+Sn+Zn)が0.25〜0.6、原子比Sn/(In+Sn+Zn)が0.15〜0.3、原子比Zn/(In+Sn+Zn)が0.15〜0.5であるスパッタリングターゲットを用い、比抵抗が400μΩcm〜900μΩcmであるインジウム錫亜鉛酸化物(ITZO)透明電極をスパッタリング法により得る。
しかしながら、このITZOを透明電極や熱線反射膜として使用すると、キャリア濃度が低下して抵抗が上昇したり、熱線反射能が低いという課題があった。
1.少なくともインジウム、錫及び亜鉛を含有し、
In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.25〜0.6であり、Sn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.3であり、かつZn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.5であり、
可視領域の光線透過率が70%以上であり、赤外領域の光線透過率が65%以下である透明導電膜。
2.アニール処理が施されている1に記載の透明導電膜。
3.耐熱試験後の赤外領域の光線透過率が65%以下である1又は2に記載の透明導電膜。
4.活性化エネルギーが1meV以上15meV以下である1〜3のいずれかに記載の透明導電膜。
5.少なくともインジウム、錫及び亜鉛を含有し、In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.25〜0.6であり、Sn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.3であり、Zn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.5であるスパッタリングターゲットを用いて、基板上にスパッタリング法により膜を形成し、前記膜を基板温度〜700℃の範囲でアニールすることを含む透明導電膜の製造方法。
6.前記アニールを、酸素分圧50〜200hPaの雰囲気で行う5に記載の透明導電膜の製造方法。
In/(In+Sn+Zn)=0.25〜0.6
Sn/(In+Sn+Zn)=0.15〜0.3
Zn/(In+Sn+Zn)=0.15〜0.5
また、上記透明導電膜は、可視領域の光線透過率が70%以上であり、赤外領域の光線透過率が65%以下である。
上記原子比は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析によって測定することができる。
原子比In/(In+Sn+Zn)は、好ましくは0.44〜0.55である。
原子比Sn/(In+Sn+Zn)は、好ましくは0.20〜0.25である。
原子比Zn/(In+Sn+Zn)は、好ましくは0.20〜0.40である。
光線透過率は、分光光度計により測定できる。
また、赤外領域の透過率が65%を超えると熱線反射率が低下し、建材においては、断熱効果の低下、防曇ガラスにおいては通電時の発熱不十分等の不具合が生ずる恐れがある。
可視領域の平均透過率は好ましくは80%以上であり、赤外領域の光線透過率は好ましくは60%以下である。
活性化エネルギーはホール効果の温度依存性を測定して算出する。具体的には以下のように測定する。
ホール効果により得られたホール移動度の値を、それぞれ温度T1のときμ1、温度T2のときμ2とする。ここで、T1は室温近傍で270〜330K程度が好ましい。T2はT1よりも100K程度低温であることが好ましい。
μ1、μ2は以下のように表すことができる。
μ1=Aexp(−E/kT1)、μ2=Aexp(−E/kT2)
(式中、Aは定数、Eは活性化エネルギー、kはボルツマン定数である。)
μ1、μ2から以下のように活性化エネルギーEを求めることができる。
E=−{k×log(μ1/μ2)}/{(1/T1)−(1/T2)}
活性化エネルギーが15meVを超えると、特に低温時において電子の速度が落ちてしまい、熱線反射能が失われる恐れがある。活性化エネルギーは小さければ小さいほどよいが、1meVを下回ると半金属状態であることを意味し、透明性が失われる恐れがある。
活性化エネルギーは、好ましくは2〜10meVである。
本発明において「実質的」とは、透明導電膜としての効果が上記In、Sn、及びZnに起因すること、又は透明導電膜の金属元素の98重量%以上100重量%以下(好ましくは99重量%以上100重量%以下)がIn、Sn及びZnであることを意味する。
上記のように、透明導電膜に含有される金属元素は、実質的にIn、Sn及びZnからなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
成膜に用いるスパッタリングターゲットは、少なくともインジウム、錫及び亜鉛を含有し、原子比In/(In+Sn+Zn)が0.25〜0.6であり、原子比Sn/(In+Sn+Zn)が0.15〜0.3であり、原子比Zn/(In+Sn+Zn)が0.15〜0.5である。
スパッタリングターゲットは公知の方法により製造することができる。
アニール温度は、通常100〜500℃、好ましくは300〜500℃である。
酸素分圧が50hPa以上であると、還元による着色の耐性に優れる。酸素分圧が200hPa以下であると、導電度に優れる。
酸素分圧は、好ましくは100〜190hPaである。
アニール処理を施すことにより酸素欠損を安定化できるが、単にアニールしただけでは、キャリア濃度が減少したり、透過率が減少する場合がある。
上記特定温度のアニール処理により、キャリア濃度及び熱線反射能の低下を防ぐことができる。
(1)スパッタリングターゲットの製造及び評価
(i)ターゲットの製造
ターゲットの製造原料として、平均粒径3.4μm、純度4Nの酸化インジウム、平均粒径0.6μm、純度4Nの酸化亜鉛、及び平均粒径0.5μm、純度4Nの酸化錫を、原子比〔In/(In+Sn+Zn)〕が0.53、原子比〔Sn/(In+Sn+Zn)〕が0.17、原子比〔Zn/(In+Sn+Zn)〕が0.30となるように混合し、これを湿式ボールミルに供給し、72時間混合粉砕して原料微粉末を得た。
得られたターゲットの理論相対密度は97%であり、四探針法により測定したバルク抵抗値は1.3mΩ・cmであった。
ICP発光分析法で元素分析を行ったところ、In/(In+Sn+Zn)=0.53、Sn/(In+Sn+Zn)=0.17、Zn/(In+Sn+Zn)=0.30であった。
(i)透明導電膜の成膜
得られたスパッタリングターゲットをDCマグネトロンスパッタリング装置に装着し、室温(RT)においてスパッタリングを行い、ガラス基板上に透明導電膜を成膜した。
このときのスパッタ条件は、スパッタ圧力1×10-1Pa、到達圧力5×10-4Pa、基板温度RT、投入電力120W、成膜時間45分間、導入ガスはアルゴンガス100%とした。
このようにして得られた透明導電基板を大気圧下、酸素分圧50hPa、300℃、1時間の条件でアニールを行い、膜厚が約300nmの透明導電性酸化物が形成された透明導電ガラスが得られた。
(i)で得られた透明導電膜の導電性について、以下のように物性を評価した。結果を表1に示す。
四探針法により比抵抗を測定したところ、5×10-4Ω・cmであった。また、ホール効果によりキャリア濃度を測定したところ、2.0×1020cm-3であった。
また、この透明導電性酸化物は、平均の可視領域(波長380〜780nm)の光線透過率が72%であり、透明性においても優れたものであった。また、近赤外領域(波長1200〜2600nm)の平均透過率は63%であり、熱線反射効果にも優れたものであった。光線透過率は島津製作所のUV3600を用いて測定した。
また、PAN(リン酸−酢酸−硝酸系エッチング剤)によるエッチング速度は50℃で20nm/分以下であり、PAN耐性は良好であった。
その結果、抵抗は5.1×10-4Ω・cm、キャリア濃度は1.9×1020cm-3であり高耐久であることが確認された。
また、可視領域、近赤外領域の光線透過率はそれぞれ83%、56%となった。
耐熱試験後の熱線(赤外光)反射能は、可視域(380〜780nm)の平均透過率70%以上、及び赤外線領域(1200〜2600nm)の透過率65%以下を同時に満たす場合を○とし、それ以外を×とした。
このことは、低温で測定しても移動度の低下が抑制されるため、赤外光透過率の変化が小さいことを意味する。
ターゲットの組成、成膜時の基板温度、アニール酸素分圧、及びアニール温度を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1に示す。
ターゲットの組成、成膜時の基板温度、アニール酸素分圧、及びアニール温度を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1で作製した薄膜は、Inが少なすぎるため、赤外光遮閉能に劣った。
ターゲットの組成をインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)に変更し、成膜時の基板温度、アニール酸素分圧、及びアニール温度を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1、図1、2に示す。
IGZO膜は赤外光遮蔽能に劣り、さらに活性化エネルギーが高いため、低温での赤外光遮蔽能がさらに大きく低下する。
ターゲットの組成、成膜時の基板温度、アニール酸素分圧、及びアニール温度を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1に示す。
活性化エネルギーが大きいため、低温でのキャリア移動度が大きく低下し、赤外光吸収率が低下した。
成膜時間を15分とし、アニール処理を行わなかった他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1に示す。
この結果、ガラス基板上に、膜厚が約100nmの透明導電性酸化物が形成された透明導電ガラスが得られた。
ターゲットにITOを用い、成膜時の基板温度、及びアニール酸素分圧を表1のように変更した他は、実施例1と同様にして薄膜を作製し、評価した。結果を表1に示す。
ITOは優れた性能を有するが、Inの含有量が90%以上であるため原材料コストに課題が残る。
Claims (8)
- 酸素分圧50〜200hPaの雰囲気でアニール処理して得られる透明導電膜であって、
前記透明導電膜は、
少なくともインジウム、錫及び亜鉛を含有し、
In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.25〜0.6であり、Sn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.3であり、かつZn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.5であり、
可視領域の光線透過率が70%以上であり、赤外領域の光線透過率が65%以下である透明導電膜。 - 耐熱試験後の赤外領域の光線透過率が65%以下である請求項1に記載の透明導電膜。
- 活性化エネルギーが1meV以上15meV以下である請求項1又は2に記載の透明導電膜。
- In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.44〜0.6である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜。
- 少なくともインジウム、錫及び亜鉛を含有し、In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.25〜0.6であり、Sn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.3であり、Zn/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.15〜0.5であるスパッタリングターゲットを用いて、基板上にスパッタリング法により膜を形成し、前記膜を基板温度〜700℃の範囲で酸素分圧50〜200hPaの雰囲気でアニールすることを含む透明導電膜の製造方法。
- In/(In+Sn+Zn)で表わされる原子比が0.44〜0.6である請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
- 前記アニールを、基板温度以上であって400〜700℃の範囲で行う請求項5又は6に記載の透明導電膜の製造方法。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法で得られる透明導電膜。
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