JP5701247B2 - 酸化物超電導線材の接続構造体及び接続方法 - Google Patents
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特にY系の超電導線材同士を接続する場合、前記のように基板の片側に超電導層を形成しているために、超電導積層側同士を向い合せて半田付け等により接続する必要がある。しかし、このような接続構造をとると接続部分で超電導線材の表裏が逆転するため実用上様々な不具合が生じる。そこで、特許文献1の図3、6、7に記載のような、接続する超電導線材の間に、超電導積層側同士を向い合わせた接続用の超電導線材を橋渡しして配置し、半田付けで接続する技術等がある。
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたものであり、接続部分の強度が高い酸化物超電導線材の接続構造体及び接続方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、酸化物超電導線材の基材と接合用金属テープが金属接合により接続されており、接合部に引張方向の荷重がかかった際に、この金属接合による部分で力を受け、電気的な接続を実現している酸化物超電導層と酸化物超電導線材の間の導電性接合材への負荷を軽減することができる。これにより、従来の接続方法である導電性接合材のみによる接続構造と比較して接続部分の強度が高い接続構造体を提供することができる。さらにこれにより、接続部分のひずみが抑制され酸化物超電導線材及び接合用の酸化物超電導積層体の酸化物超電導層への負荷が軽減され、超電導特性の劣化を抑制できる。
また、接続する一対の酸化物超電導線材が積層方向を揃えて配置されているため、接続部分で超電導線材の表裏の逆転がない酸化物超電導線材の接続構造体を提供することができる。
金属接合が、溶接、又は圧着であることで、強度の高い接続構造体を提供することができる。
接合用金属テープが、基材の引張強さ以上の引張強さを有することで、接続部分の強度が酸化物超電導線材自体の引張強さに近いか同等以上である接続構造体を提供することができる。さらにこれにより、接続部分のひずみが抑制され酸化物超電導線材及び接合用の酸化物超電導積層体の酸化物超電導層への負荷が軽減されるので、超電導特性の劣化を抑制できる。
酸化物超電導線材の基材と接合用金属テープが金属接合により接続されることによって、接合部に引張方向の荷重がかかった際に、この金属接合による部分で力を受け、電気的な接続を実現している酸化物超電導層と酸化物超電導線材の間の導電性接合材への負荷を軽減することができる。これにより、従来の接続方法である導電性接合材のみによる接続構造と比較して接続部分の強度が高い接続方法を提供することができる。さらにこれにより、接続部分のひずみが抑制され酸化物超電導線材及び接合用の酸化物超電導積層体の酸化物超電導層への負荷が軽減されるので、超電導特性の劣化を抑制できる。
また、接続する一対の酸化物超電導線材が積層方向を揃えて配置されているため、接続部分で超電導線材の表裏の逆転がない酸化物超電導線材の接続方法を提供することができる。
金属接合が、溶接、又は圧着であることで、強度の高い接続方法を提供することができる。
接合用金属テープが、基材の引張強さ以上の引張強さを有することで、接続部分の強度を酸化物超電導線材自体の引張強さに近いか同等以上とする接続方法を提供することができる。さらにこれにより、接続部分のひずみが抑制され酸化物超電導線材及び接合用の酸化物超電導積層体の酸化物超電導層への負荷が軽減されるので、超電導特性の劣化を抑制できる。
図1に本発明の接続構造体の一実施形態を示す。本実施形態の接続構造体20にて接続される酸化物超電導線材1a、1bは、テープ状であり、図1中の左右方向にその長手方向の形状が省略されている。接続構造体20は、この酸化物超電導線材1a、1bをその長さ方向の端に位置する接続端部14a、14bを突き合わせて配置し、後述するように、接合用金属テープ10と、接合用の酸化物超電導積層体2によって接続されている。
以上のように、本実施形態の接続構造体20が構成される。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の接続構造体20に備えられる各構成要素に関して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
また、図3は本実施形態に備えられる酸化物超電導線材1の斜視図であり、テープ状の基材5の一面上に、中間層6と酸化物超電導層7と保護層8と安定化層9からなる積層部12を積層した構成を有する。酸化物超電導線材1は接合用の酸化物超電導積層体2と同様の積層構成を有する点で同等の物である。本実施形態において酸化物超電導線材1と接合用の酸化物超電導積層体2との相違点は、酸化物超電導線材1には接続端部14から長さLの領域で積層部12が形成されていない基材露出部5sが構成されている点と、接合用の酸化物超電導積層体2が接合部に合わせて短尺に形成されている点となる。ただし、酸化物超電導線材1と接合用の酸化物超電導積層体2は、各層の構成において必ずしも同一である必要はなく、各層の材質、又は厚み等は、後に説明する範囲内において適宜選択可能である。
基材5は、可撓性を有する線材であり、テープ状で耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でもニッケル(Ni)合金がより好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材5としてニッケル合金などに集合組織を導入した配向金属基材を用い、その上に中間層6及び酸化物超電導層7を形成してもよい。基材5の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることが好ましい。
下地層を設ける場合は、以下に説明する拡散防止層とベッド層の複層構造あるいは、これらのうちどちらか1層からなる構造とすることができるが、下地層は必須ではなく、略しても差し支えない。
下地層として拡散防止層を設ける場合、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3、「アルミナ」とも呼ぶ)、あるいは、GZO(Gd2Zr2O7)等から構成される単層構造あるいは複層構造の層が望ましく、厚さは例えば10〜400nmである。
下地層としてベッド層を設ける場合、ベッド層は、例えば、イットリア(Y2O3)などの希土類酸化物であり、より具体的には、Er2O3、CeO2、Dy2O3、Er2O3、Eu2O3、Ho2O3、La2O3等を例示することができ、これらの材料からなる単層構造あるいは複層構造を採用できる。ベッド層の厚さは例えば10〜100nmである。
キャップ層は、好ましいものとして具体的には、CeO2、Y2O3、Al2O3、Gd2O3、Zr2O3、Ho2O3、Nd2O3等が例示できる。キャップ層の材質がCeO2である場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子、又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。CeO2のキャップ層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、50〜5000nmの範囲とすることができる。
安定化層9を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅製が好ましい。
安定化層9の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることが好ましい。
以上の積層構造を有する酸化物超電導線材1及び接合用の酸化物超電導積層体2の横断面形状は、矩形状とされ、幅1.0mm〜12mm程度、厚さ0.05mm〜1.0mm程度の範囲のものとされる。
いったん積層した積層部12を後から除去する場合の除去方法としては、機械加工による方法や、薬液を用いた化学処理による方法等があるが、基材露出部5sを後述するスポット溶接により接続する場合などは、基材露出部5sの表面性状は特に規定されないため、比較的容易な機械加工による除去が好ましい。
基材露出部5sは、接続端部14から酸化物超電導線材1の長手方向の長さLの領域に形成され、例えばスポット溶接で接合を行う場合は5mm≦L≦100mm、圧着で接合を行う場合は10mm≦L≦200mmであれば十分な接合強度を得ることができる。
図4(a)に示すように、まず2本の酸化物超電導線材1a、1bの接続端部14a、14bを対向配置する。この時それぞれの酸化物超電導線材1a、1bの積層部12の積層方向は一致させる。
金属接合部11を形成する方法は、溶接、圧着、超音波金属接合などが選択可能である。溶接する場合の加熱条件や、電圧条件、圧着する場合の圧力、加熱条件、超音波溶接する場合の加圧条件、超音波周波数等の各パラメーターは、接合する対象部材である、基材5及び接合用金属テープ10に応じて適宜設定されることが望ましい。
図4(c)は、酸化物超電導線材1a、1bの基材露出部5sa、5sbと接合用金属テープ10をスポット溶接により接合した状態を基材5側から見た底面図である。スポット溶接を行う場合は、十分な接続強度を実現するために、適当なスポット径、ピッチ、電流等を設定し接続を行う。
なお、基材5をハステロイから構成した場合、ハステロイは抵抗溶接で確実に接合することができる。
また、接合用金属テープ10は、積層部12より薄く、かつ十分な強度を得ることができる厚みでなければならない。例えば基材5の厚みが積層部12の厚みより薄い場合などは、基材5と同じ厚みかそれ以上であることが望ましい。
さらに、接合用金属テープ10の幅は酸化物超電導線材1a、1bの幅と同じ幅か、若干狭い幅であっても良く、接続部分で幅が広くならない接続構造体とすることが好ましい。
また、重なり部の長さPa、Pbは、接合方法合わせて適宜決定され、例えばスポット溶接を行う場合は、5mm≦Pa、Pb≦100mm、圧着を行う場合は、10mm≦Pa、Pb≦200mm、であることが十分な強度を得るために好ましい。
また、接合用の酸化物超電導積層体2の長さJは、導電性接合材13にて接続するための重なり部の長さKa、Kb、接合用金属テープ10と酸化物超電導線材1の積層部12との隙間Ha、Hb、及び接合用金属テープ10の長さIの総和となるため、各パラメーターに従って適切な長さに設定される。
また、接続する酸化物超電導線材1が同方向に積層されて配置されているため、接続部分で超電導線材の表裏の逆転がない。
本発明の実施例の作製方法を、図4(d)を参照し説明する。
先に用意した酸化物超電導線材のうち長さ240mmとしたものを用意し、J=240mmの接合用の酸化物超電導積層体2とした。また、前記の酸化物超電導線材の積層部12を接続端部14aから長さLa=20mmだけ切削具と研削具により機械的に除去し基材露出部5saを形成した酸化物超電導線材1aを製作し、同様に、前記の酸化物超電導線材の積層部12を接続端部14bから長さLb=20mmだけ除去し基材露出部5sbを形成した酸化物超電導線材1bを製作した。
それらに加え、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)からなり、長さI=40mm、幅5mm、厚み0.1mmの接合用金属テープ10を用意する。
さらに、対向配置された酸化物超電導線材1a、1bの安定化層9の表面9sa、9sbに、接合用の酸化物超電導積層体2を、それぞれの安定化層9が対面するように橋渡しし、重なり部の長さKa、Kb=100mmの領域を形成し、半田付けにて接続した。
以上のような方法で、酸化物超電導線材を接続した接続構造体を複数製作し実施例の試料を得た。
本発明の比較例の作製方法を、図5を参照し説明する。
先に用意した酸化物超電導線材のうち長さ200mmとしたものを用意し、JA=200mmの接合用の酸化物超電導積層体2Aを用意した。また、前記の未加工の酸化物超電導線材1aA、1bAを用意し、図5に示すように、酸化物超電導線材1aAと酸化物超電導線材1bAの端部14aA、14bAを対向配置する。この時、それぞれの酸化物超電導線材1aA、1bAの積層方向は一致させる。さらに、対向配置された酸化物超電導線材1aA、1bAに前記の接合用の酸化物超電導積層体2Aを、それぞれの安定化層9が対面するように橋渡しし、重なり部の長さKaA、KbA=100mmの領域を半田付けにて接続した。
以上のような方法で、酸化物超電導線材を接続した接続構造体を複数製作し比較例の試料を得た。
実施例と比較例の試料を複数用意し、液体窒素中で臨界電流(Ic0)及び接続抵抗(R)を測定したところ、ともにIc0=250A、R=20nΩであった。これらの試料に常温で所定の荷重を、線材長手方向に負荷し、荷重解放後再び液体窒素中で臨界電流(Ic)を測定した。負荷した荷重と荷重前後の臨界電流の比(Ic/Ic0)を図6に示す。
Claims (6)
- テープ状の基材の上に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層され、接続しようとする接続端部近傍の基材が、前記中間層と前記酸化物超電導層と前記安定化層からなる積層部よりも長手方向に延長して基材露出部を形成した、少なくとも一対の酸化物超電導線材と、
テープ状の基材の上に中間層と、酸化物超電導層と、安定化層とが積層されて積層部が構成された接合用の酸化物超電導積層体と、
接合用金属テープと、を備え、
前記少なくとも一対の酸化物超電導線材が前記基材露出部を形成した接続端部側の基材同士を隣接させ、積層部を形成した側を揃えて配置され、
隣接された酸化物超電導線材の基材露出部に跨るように、前記接合用金属テープによって橋渡しされ、接合用金属テープと基材露出部の基材が金属接合され、
隣接された酸化物超電導線材の基材露出部近傍の安定化層上に跨るように、前記接合用の酸化物超電導積層体の安定化層によって橋渡しされ、酸化物超電導線材の安定化層と接合用の酸化物超電導積層体の安定化層が導電性接合材により接合されていることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。 - 請求項1に記載の接続構造体であって、前記接合用金属テープと前記基材との金属接合が溶接、又は圧着であることを特徴とする接続構造体。
- 請求項1又は2に記載の接続構造体であって、前記接合用金属テープが、前記基材の引張強さ以上の引張強さを有する素材からなることを特徴とする接続構造体。
- テープ状の基材の上に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層され、接続しようとする接続端部近傍の基材が、前記中間層と前記酸化物超電導層と前記安定化層からなる積層部よりも長手方向に延長して基材露出部を形成した、少なくとも一対の酸化物超電導線材と、
テープ状の基材の上に中間層と、酸化物超電導層と、安定化層とが積層されて積層部が構成された接合用の酸化物超電導積層体と、
接合用金属テープと、を用い、
前記少なくとも一対の酸化物超電導線材を前記基材露出部を形成した接続端部側の基材同士を隣接させ、積層部を形成した側を揃えて配置し、
隣接された酸化物超電導線材の基材露出部に跨るように、前記接合用金属テープによって橋渡しし、接合用金属テープと基材露出部の基材を金属接合し、
隣接された酸化物超電導線材の基材露出部近傍の安定化層上に跨るように、前記接合用の酸化物超電導積層体の安定化層によって橋渡しし、酸化物超電導線材の安定化層と接合用の酸化物超電導積層体の安定化層を導電性接合材により接合することを特徴とする酸化物超電導線材の接続方法。 - 請求項4に記載の接続方法であって、前記接合用金属テープと前記基材との金属接合を溶接、又は圧着とすることを特徴とする接続方法。
- 請求項4又は5に記載の接続方法であって、前記接合用金属テープとして、前記基材の引張強さ以上の引張強さを有する素材からなる接合用金属テープを用いることを特徴とする接続方法。
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