JP5704563B2 - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子及び太陽電池に関し、詳しくはバルクへテロ型有機光電変換素子及びそれを含む有機薄膜太陽電池に関する。
近年の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いた太陽電池、GaAsやCIGSなどの化合物系の太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子などが提案・実用化されている。
これらの太陽電池は、高速のキャリア移動度を有しているが、発電するコストが化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いことが普及において難点とされてきた。
化石燃料による発電コストよりも低コストな太陽電池として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(π電子ドナー層)と電子受容体層(π電子アクセプター層)を設けた光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、この太陽電池は、内部量子効率が低く、より高い光電変換効率を有する太陽電池が求められている。
A.Heeger:Nature Mat.;vol.6(2007),p497
本発明は、高いキャリア移動度を有する光電変換素子、該素子を用いた光電変換効率の優れた薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、一般式(I)のフタロシアニン誘導体が高速キャリア移動度を有し、光電変換素子のπ電子ドナーとして優れていることを見出した。
すなわち本発明は、以下のバルクへテロ型有機光電変換素子及びそれを含む有機薄膜太陽電池を提供するものである。
項1. バルクへテロ型有機光電変換素子において活性層がポリチオフェン誘導体とC60誘導体の混合物である系に第3の成分を加えてなることを特徴とするバルクへテロ型有機光電変換素子。
項2. 第3の成分がフタロシアニン誘導体であることを特徴とする項1に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項3. 第3の成分が液晶性有機半導体であることを特徴とする項1に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項4. 第3の成分が液晶性フタロシアニン誘導体であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項5. 活性層がその溶液の塗布により形成されることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項6. 活性層を構成する成分の一方がポリ(3-アルキルチオフェン)であることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項7. 活性層を構成する成分の一方がC60に適当な置換基を有する構造であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項8. C60誘導体がPCBMであることを特徴とする項7に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項9. 活性層を構成する成分の一方がポリ(3-ヘキシルチオフェン)であることを特徴とする項6に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項10. 活性層を構成する第3の成分がフタロシアニン環の1,4,8,11,15,18,22,25位にアルキル基を持つことを特徴とする項2に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項11. アルキル基がヘキシル基であることを特徴とする項10に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
項12. 項1〜11のいずれかに記載のバルクへテロ型有機光電変換素子を含む有機薄膜太陽電池。
本発明のバルクへテロ型有機光電変換素子及びそれを含む有機薄膜太陽電池は、高い光電変換効率を実現できる。
作製した光電変換素子の構造。 外部量子効率(縦軸%)の波長分散。 電流−電圧特性(変換効率)。 P3HTとC6PcH2の各比率におけるXRDの結果を示す。
本発明の光電変換素子の活性層は、ポリチオフェン誘導体とC60誘導体の混合物である系に第3の成分を加えてなる。
ポリチオフェン誘導体としては、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008/000664号に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体などが挙げられる。好ましいポリチオフェン誘導体は、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)である。
C60またはその誘導体としては、フラーレン60、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体が挙げられる。
第3の成分としては、π電子ドナー、π電子アクセプターの1種又は2種以上であってもよい。π電子ドナーとしては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体などの縮合多環芳香族化合物又はその誘導体が挙げられる。該誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェンなどのオリゴマーが挙げられる。
π電子アクセプターとしては、C60誘導体以外のフラーレン、オクタアザポルフィリン、π電子ドナーのパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物、例えばフラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
第3の成分としては、液晶性有機半導体が好ましい。
好ましい第3の成分はフタロシアニン又はその誘導体であり、液晶性フタロシアニン誘導体がより好ましい。
好ましいフタロシアニン誘導体は、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体である。
Figure 0005704563
(式中、Rは、互いに独立してC〜C18の直鎖又は分岐を有するアルキル基、C〜C18の直鎖又は分岐を有するアルケニル基、C〜C18の直鎖又は分岐を有するアルキニル基、C〜C18の直鎖又は分岐を有するアルコキシ基、C〜C18の直鎖又は分岐を有するアルキルチオ基、である。)
〜C18のアルキルとしては、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどの直鎖又は分岐を有するC〜C18アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基が挙げられ、好ましくはn-ペンチル、n-ヘキシルである。Rがn-ペンチルまたはn-ヘキシル、n-ヘプチルの場合には、一般式(I)の化合物は液晶性を示す。
〜C18のアルケニルとしては、ビニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル、tert-ブテニル、n-ペンテニル、n-ヘキセニル、n-ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニルなどの直鎖又は分岐を有するC〜C18アルケニル基、好ましくはC〜Cアルケニル基が挙げられる。
〜C18のアルキニルとしては、アセチニル、n-プロパルギル、n-ブチニル、sec-ブチニル、n-ペンチニル、n-ヘキシニル、n-ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニルなどの直鎖又は分岐を有するC〜C18アルキニル基、好ましくはC〜Cアルキニル基が挙げられる。
〜C18のアルコキシとしては、-O-(C〜C18のアルキル)で表される基が挙げられ、好ましくはn-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシなどの直鎖又は分岐を有するC〜C18アルコキシ基、好ましくはC〜Cアルコキシ基が挙げられ、好ましくはn-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシである。
〜C18のアルキルチオとしては、-S-(C〜C18のアルキル)で表される基が挙げられ、好ましくはエチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、n-ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチオ、ペンタデシルチオ、ヘキサデシルチオ、ヘプタデシルチオ、オクタデシルチオなどの直鎖又は分岐を有するC〜C18アルキルチオ基、好ましくはC〜Cアルキルチオ基が挙げられ、好ましくはn-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオである。
一般式(I)において、8つのR基は全て同一でもよく、1つの化合物の中に2種以上の置換基が存在してもよい(例えば4つがヘキシル基であり、4つがペンチル基である化合物)。
好ましいフタロシアニン誘導体は、フタロシアニン環の1,4,8,11,15,18,22,25位にアルキル基を持つ化合物である。
一般式(I)の化合物は、公知の化合物であり、公知の方法により合成でき、例えば以下のスキーム1に従い合成することができる。
Figure 0005704563
(Rは前記に定義されるとおりである)
上記ジシアノ化合物において2つのR基が異なるか(例えばペンチル基とヘキシル基)、或いは、Rが異なる2種以上のジシアノ化合物を原料として用いれば、一般式(I)においてRが2種以上である化合物を得ることができる。
一般式(I)中、Rの炭素数が4〜5の化合物は結晶相を6以上の化合物は中間相を有する。このうち、中間相の発現及びその温度領域を広げるという観点から8個のRは異なる2種以上の直鎖或は分岐鎖の炭化水素基からなるのが好ましい。ここで、中間相とは、結晶相と非晶相の中間に位置する一定の分子配向秩序をもった相状態の総称であり、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、柔粘性結晶、ディスコティックカラムナー液晶相、コレステリック液晶相、光学的等方性液晶(キュービック相)相等の分子凝集状態を指す。かかる中間相形成性化合物は、その自発的配向性により得られる膜の大面積均一性とキャリヤ移動に好都合な分子配向様式という2つの長所をあわせ持つことから、デバイス作製上有利である。
一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、光電変換素子のπ電子ドナーとしてホール及び電子ともに高いキャリア移動度を有する。
一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の一部は、高いキャリア移動度に加えて中間相を発現するが、このような化合物は、有機溶媒に可溶、かつ適切な配向処理を施すことによって自己組織化を促すことが可能となり光電変換素子に好ましく用いることができる。
本発明の光電変換素子ないし薄膜太陽電池には、性能を低下させない範囲で、上記のフタロシアニン誘導体以外のπ電子ドナーを任意の配合で含んでいても良い。
図1は、薄膜太陽電池のための光電変換素子の一例を示す断面図である。
光電変換素子は、基板(図1では石英基板)の一方面上に、透明電極(図1ではITO透明電極)、正孔輸送層(図1ではPEDOT:PSS)、光電変換部(図1ではP3HT:C6PcH2:PCBM)、電子輸送層(図1ではLiF)及び負極(図1ではAl電極)が順次積層されている。
基板は、順次積層された透明電極、光電変換部及び対極(負極)を保持する部材である。図1の本実施形態では、基板側から光電変換される光が入射するので、基板は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板は、必須ではなく、例えば、光電変換部の両面に透明電極及び対極を形成することでの有機光電変換素子が構成されてもよい。
光電変換部は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、π電子ドナーとπ電子アクセプターとをゲルないし高分子中に一様に混合した組成物により好ましく構成される。この高分子ないしゲルは、重合性官能基を有しているのがよく、この重合性官能基を化合物(I)の液晶相において重合することで、光電変換部を構成してもよい。
π電子ドナーは、電子供与体(ドナー)として機能し、π電子アクセプターは、電子受容体として機能する。ここで、π電子ドナー及びπ電子アクセプターは、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図1において、基板を介して透明電極から入射された光は、光電変換部のπ電子アクセプターあるいはπ電子ドナーで吸収され、π電子ドナーからπ電子アクセプターに電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、透明電極と対極の仕事関数が異なる場合では透明電極と対極との電位差によって、電子は、π電子アクセプター間を通り、また正孔は、π電子ドナー間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、透明電極の仕事関数が対極の仕事関数よりも大きい場合では、電子は、透明電極へ、正孔は、対極へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、透明電極と対極との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
図1には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
さらに好ましい構成としては、前記光電変換部が、π電子ドナー単体からなる層、およびπ電子アクセプター単体からなる層で、π電子ドナーとπ電子アクセプターを含む組成物層を挟む三層構成としてもよい。このような三層構成とすることにより、正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
さらに、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。タンデム型構成の場合、基板上に、順次透明電極、第1の光電変換部′を積層した後、電荷再結合層を積層した後、第2の光電変換部、次いで対極を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第2の光電変換部は、第1の光電変換部の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
一般式(1)において、Rは、炭素数2〜7,好ましくは4〜6の直鎖又は分岐を有するアルキル基である。
本発明の光電変換部と透明電極(陽極)との中間には正孔輸送層を配置することが、光電変換部で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため好ましい。正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、低分子化合物であればNTCDAに代表される芳香族環状酸無水物等が挙げられ、高分子化合物であればポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン;下記のポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリアニリン;カンファースルホン酸(PANI:CSA)等に代表される公知の導電性高分子等が挙げられる。
また、励起子が電極まで拡散して失活してしまうのを防止する役割を持たせるために光電変換部の片側或いは両側にバッファー層を挿入してもよい。このように励起子阻止層として機能させることは、高効率化のために有効である。バッファー層に励起子阻止層としての役割を持たせる場合の好ましい材料としては、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)用途で公知な正孔障壁層用材料又は電子障壁層用材料等が挙げられる。正孔障壁層として好ましく利用されている材料は、イオン化ポテンシャルが充分に大きい化合物であり、電子障壁層として好ましく利用されている材料は、電子親和力が充分に小さい化合物である。陰極側の正孔障壁層材料としては、具体的には、バソクプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(BPhen)等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、光電変換部と対極(陰極)との中間に電子輸送層を形成することで、光電変換部で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、好ましい。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
本発明の透明電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、通常陽極として用いることが一般的である。なお本発明において陽極とは、正孔を取り出す電極のことを意味する。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて透明電極とすることもできる。
本発明の対電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、通常陰極として用いることが一般的である。なお本発明において陰極とは、電子を取り出す電極のことを意味する。例えば、陰極として用いる場合、対電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。対電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。対電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。対電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
対電極の導電材として金属材料を用いれば対電極側に来た光は反射されて第1電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。また、対電極は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法により形成でき好ましい。
また、対電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の対電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性対電極とすることができる。
また、光電変換素子をタンデム構成とする場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記透明電極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよい。
本発明の光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、対極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
π電子アクセプター(C60誘導体、第3の成分)とπ電子ドナー(ポリチオフェン誘導体、第3の成分)とが混合された光電変換部、および輸送層・電極の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)、印刷法等を例示することができる。この際に使用する塗布方法に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。π電子アクセプター(C60誘導体、第3の成分)とπ電子ドナー(ポリチオフェン誘導体、第3の成分)を溶解する溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ピリジン等のヘテロ芳香族化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、酢酸エチルなどのエステル、THF,ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ジオキサン、DMF、DMSOなどが挙げられ、これらの溶媒を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の光電変換素子は、ポリチオフェン誘導体と第3成分が微細な結晶構造を有することが好ましい。印刷法、塗布法により活性層を形成する場合、溶媒への溶解度、溶媒の蒸発速度、配合する成分の相溶性などを調整することで、高い光電変換効率を有する光電変換素子を得ることができる。
蒸着、塗布ないし印刷後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、適切な相分離構造とすることができる。その結果、キャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換部は、π電子アクセプターとπ電子ドナーとが均一に混在された単一層で構成してもよいが、π電子アクセプターとπ電子ドナーとの混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
光電変換部は、ゲル又は高分子中にπ電子ドナー及びπ電子アクセプターを分散して形成することができる。重合性官能基としては、炭素-炭素二重結合を有する基(例えばビニル、アリル、アクリレート、メタクリレート)などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
幅2 mmのITO透明電極がパターン化された石英基板上に高分子導電膜(PEDOT:PSS)をスピンコートして製膜(3000 rpm, 60 sec)し、10 mgのP3HT、3 mgのC6PcH2、10 mgのPCBMを1 mlのクロロホルムに超音波洗浄機で撹拌して調製したものをPEDOT:PSS層上にスピンコートにより製膜(500 rpm, 60 sec)を行った。その上に真空蒸着により2 mm幅のマスクパターンを通してLiFバッファ層、Al電極を形成させた。素子の有効面積は2×2 mm2であった。
この手法で有機活性層にC6PcH2を混合し作製した素子を分光したキセノンランプ光で励起し、室温・真空中にて外部量子効率を測定したところ、C6PcH2を混合しない素子では光電流が得られなかった650 ~ 800 nmの波長領域において大幅な光電流の改善が得られた。C6PcH2の吸収ピークである730 nmでは45%の外部量子効率が得られた。更に、擬似太陽光(AM1.5, 100 mW/cm2)照射下において、ソーラーシュミレータを用いて室温・真空中にて変換効率を測定したところ、C6PcH2を混合することで光吸収波長領域が拡大され、短絡光電流が1.4倍となり、変換効率が2.3%から3.0%に向上した(図2,図3)。
実施例2
10 mgのP3HT、C6PcH2(1mg, 2mg, 3mg, 4mg, 5mg, 6mg)、10 mgのPCBMを1 mlのクロロホルムに超音波洗浄機で撹拌して調製したものをPEDOT:PSS層上にスピンコートにより製膜(500 rpm, 60 sec)し、X線回折のデータを測定した。結果を図4に示す。P3HT:C6PcH2=10:3の条件において、回折ピークのカウント数も高く、かつP3HTおよC6PcH2が共存する状態となっていることが明らかになった。

Claims (3)

  1. バルクへテロ型有機光電変換素子において活性層がポリチオフェン誘導体とC60誘導体の混合物である系に第3の成分を加えてなることを特徴とするバルクへテロ型有機光電変換素子において、
    ポリチオフェン誘導体がポリ(3-ヘキシルチオフェン)であり、
    C60誘導体がPCBMであり、
    第3の成分が液晶性フタロシアニン誘導体であって、一般式(I)
    Figure 0005704563
    (式中、8つのR基は全て同一のC 〜C 10 の直鎖アルキル基である。)
    で表されるフタロシアニン誘導体である、バルクへテロ型有機光電変換素子。
  2. アルキル基がヘキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子。
  3. 請求項1または2に記載のバルクへテロ型有機光電変換素子を含む有機薄膜太陽電池。
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