以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<2次元ヘッドの構成例>
図1はインクジェットヘッドにおける2次元ノズル配列の一例である。図1の上から下に向かって印刷媒体(用紙)が搬送される。用紙の送り方向を「y方向」とし、送り方向に垂直な用紙幅方向(送り垂直方向)を「x方向」とする。y方向は「第1方向」に相当し、x方向は「第2方向」に相当する。
図中符号10はインク吐出口(ノズル)を表している。ノズル10の開口形状は図1に例示した矩形に限らず、円形でもよい。図1に示した2次元ノズル配列20は、x方向と交差する斜め方向の直線上に複数個のノズル10が並んだノズル列21、22、23、24を備える。
各ノズル列21〜24において、同一ノズル列内で隣り合うノズル間の送り方向の距離を「Ny」、同一ノズル列内で隣り合うノズル間の送り垂直方向の距離を「Nx」とする。各ノズル列21〜24における「Ny」、「Nx」は、各列で共通の値となっている。また、複数のノズル列21〜24は、y方向に一定間隔Lyで平行に配置され、x方向について一定間隔Lxで配置されている。送り方向に隣り合うノズル列間の送り方向の列間距離を「Ly」で表し、y方向に隣り合うノズル列間の送り垂直方向の列間距離を「Lx」で表す。以下、「Ny」を「列内送り方向ノズル間距離」といい、「Nx」を「列内送り垂直方向ノズル間距離」という。また、「Ly」を「送り方向ノズル列間距離」といい、「Lx」を「送り垂直方向ノズル列間距離」という。
図示の例では、y方向にノズルの冗長性がない2次元ノズル配列となっている。つまり、本例の2次元ノズル配列は、x方向の各画素の記録を担うノズルとして1画素につき1ノズルのみが割り当てられており、x方向の同一画素位置の記録を行うノズルは複数個存在しない。冗長ノズルを有しない4列のノズル列21〜24から構成される2次元ノズル配列20の記録ヘッドを用いたシングルパス印字によって、x方向について所定の記録解像度が実現される。
本例の2次元ノズル配列20において、図1の上から下に(用紙送り方向の上流から下流に)向かって、第1列目、第2列目、第3列目、第4列目という順にノズル列番号k(k=1,2,3,4)を定義すると、y方向への印刷媒体(不図示)の搬送に伴い、番号kの順で各ノズル列21〜24から順次打滴が行われる。こうして、各ノズル列21のノズル10から吐出された液滴が印刷媒体上に着弾し、その着弾滴により印刷媒体上にドットが形成される。印刷媒体上でx方向に並ぶ各画素にドットが形成されることにより、x方向のドット列(x方向走査ライン)が描画される。x方向に沿った1本の走査ライン上に連続して並ぶ各ドットを記録したノズル列番号に注目すると、図1の左からドットの並び順に、「1,2,3,4,1,2,3,4・・・」のサイクルでノズル列番号が繰り返される。
図2は、図1と同じノズルレイアウトであるが、「ノズル列」の把握の仕方を変えたものである。図2に示すように、各直線上に複数のノズルが並ぶノズル列31〜38に対しても、図1の場合と同様に、Nx、Ny、Lx、Lyを定義することができる。
図3は、他のノズルレイアウトの例である。図3は、x方向に平行な直線上にノズル20が並んだ3列のノズル列41,42,43を有する。図3の場合、Ny=0である。
図1、図2では、図示の関係上、NyとLyが近い値のように描かれているが、実際のヘッドでは、LyはNyに比べて十分に大きい値である(Ny≪Ly)。最良の条件としては、Ny/Ly=0(図3の形態)である。Ny/Lyが1/2以下であることが好ましく、より好ましくはNy/Lyが1/8以下である。
図1及び図2で説明したように、2次元ノズル配列における「ノズル列」の定義の仕方には任意性があるが、LyがNyと比較して十分に大きい値となる場合(0≦(Ny/Ly)≪1)に、本願発明の適用による作用効果が顕著となる。
<ハーフトーン処理について>
本発明の実施形態による画像形成装置では、多階調(m階調、例えば、m=256)の元画像データに対して、これよりも低階調の2値又は多値の階調に量子化するハーフトーン処理を行うことにより、2値又は多値の画像データ(n値画像データ)を生成する。ただし、m、nは、m>n≧2を満たす整数である。このようなn値化(量子化)処理を本明細書では「多値化処理」という。本実施形態の多値化処理を適用して得られるパターンは、次のような空間周波数特性を持つ。
(ドットパターン特性)
本実施形態の多値化処理により生成されるパターンは、中間調を含む階調域全域において、送り垂直方向(x)について、略Nx周期にピーク(極値)を持つ。このような空間周波数特性(ドットパターン特性)にすると、x方向の走査ライン上に並ぶドットは、確率的に多くのドットが同一ノズル列で打たれる。つまり、印刷媒体上でx方向に近接したドットは、同一ノズル列内のノズルで記録される場合が多くなる。同一ノズル列に属するノズルの列内送り方向ノズル間距離Nyは、送り方向ノズル列間距離Lyよりも十分に小さいため、異なるノズル列に属するノズルを用いる場合と比較して、吐出タイミング差が小さく、x方向の相対振動による位置誤差を抑制することができる。これにより、送り方向のムラを低減することができる。
図4は、本実施形態における画像処理の特徴を整理した図表である。ここでは、「白」(明部)から「ベタ」(暗部)までの全階調を4つの階調域に分け、ハイライト側から「階調域1」、「階調域2」、「階調域3」、「階調域4」と略称を付す。階調域1はハイライト領域である。階調域2は中間調のハイライト側、階調域3は中間調のシャドウ側、階調域4はシャドウ領域である。x方向について略Nx画素周期のドットパターン特性を持つとは、ドットパターンを2次元フーリエ変換したときに、x方向周波数の1/Nx(cycles/px)にピーク(極値)があることを意味する。
図5は、ドットパターンの周波数特性の一例である。図5は、パターンの周波数成分を濃淡によって表したものであり、灰色が濃い部分ほど成分量が大きいことを示している。x方向について略Nx画素周期のドットパターンは、図5において灰色の帯状領域として示したように、x方向周波数の±1/Nx付近の領域にピークがあるものとなる。
具体的なパターンの周波数特性の例を図6及び図7(a)〜(f)に示す。
図8は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の多値化処理手段により生成される階調レベル別のドットパターンを例示したものである。ここでは、階調レベルの異なる5つの階調値L=g1、g2、g3、g4、g5について、各階調を表現するドットパターンが例示されている。図8の左端は階調域1に属する階調値g1のドットパターン、左から2番目〜4番目は階調域2に属する階調値g2〜g4のドットパターン、右端は階調域3に属する階調値g5のドットパターンである。ここで言う階調域1〜3は、図4に記載した階調域の略称による階調域1〜3に対応している。
図8において、階調域1〜2に属する各階調(g1〜g4)のドットパターンに注目すると、送り方向にドットを増減させる(階調の増大とともにドットを送り方向に連ならせる)ことで階調表現が行われている。さらに、図8の双方矢印Aで示したように、横方向(すなわち、送り垂直方向(x))にNx画素周期で送り方向のドット列(縦方向の線分)が形成されている。
すなわち、図8に例示した実施形態は、中間調ハイライト側の階調域2においては、送り方向にドットを増減させる(ドットを送り方向に連ならせる)ことにより、階調表現が行われる。このようにすると、ドットパターンにおけるNx周期成分が増えるため、課題とする送り方向ムラを効果的に抑制できる。
また、当該階調域2において、Nx周期より短い周期の成分(高周波な成分)を抑制するようなドット配置にすると、より効果的にムラを抑制することができる。
また、階調域2よりもシャドウ側の階調域3では、送り垂直方向にドットを連ならせている。階調域3では、送り方向と垂直方向(x)にドットを連ならせることで階調表現を行う。この階調域3は、階調域2で説明したような、近接ドットの振動による相対的な位置誤差を抑制する作用は発揮されないが、ドットとドットがx方向(横方向)に連なっており、振動に起因するx方向の位置ズレによる白地の発生を抑制することができるため、送り方向のムラを抑制する効果がある。
図8において、右から2番目(左から4番目)のパターンは、x方向にNx画素周期で並ぶ縦方向の線分パターンのみ構成される。当該パターンは中間調域において基準となるパターンの1つであり、当該パターンによって表現される階調を「L0」で表す(図8では、L0=g4)。図8に示すように、各階調のパターンは、実空間においては、階調L0のパターン(右端から2番目)まで、送り垂直方向の周期がNxの縦万線状のパターンを埋めるように生成されている。
一方で、図8の右端のパターンは、階調L0のパターン(以下、「L0パターン」と記載する。)に横連なりパターンを加えたパターンである。すなわち、右端のパターンは、L0パターンに横連なりの線分パターンを付加し、縦方向の線分同士を横連なりの線分で連結した構成によって、特定の階調を表すものとなっている。当該右端のパターンも中間調域において基準となるパターンの1つであり、当該パターンによって表現される階調を「L1」で表す(図8では、L1=g5)。
図9は、階調域2〜3の周波数特性を示したものである。図9(a)は階調L0未満(階調域2)の周波数特性を示し、図9(b)は階調L0〜L1(階調域3)の周波数特性を示している。図中の縦方向の白破線は周波数±1/Nxを表し、横方向の白破線は周波数±1/Nyを表している。図9では、周波数成分が大きいところが淡い色で表される。
図示のとおり、これらの階調域における周波数特性は、Nx周期成分(周波数±1/Nx)に極大(白部)がある。階調L0、L1のいずれのパターンに関しても、Nx周期の箇所に極大が存在している。図8に示した5つのパターンで示される階調域すべてにおいて、Nx周期成分に極大を持つという条件が満たされている。
図10は、図8における階調域3(階調L1)の別のパターン例を示したものである。階調L1における横方向連なりのパターン形態として、図10のようなパターンを採用することも可能である。
図11は、図9で使用したディザマトリクス(12bit(1024)階調)の各階調(64,128etc)のパワースペクトルをX方向に射影したものである。つまり、図9をY方向について積分したものである。図12は、図10で使用したディザマトリクス(12bit(1024)階調)の各階調のパワースペクトルをX方向に射影したもの(図10をY方向について積分したもの)である。図11、図12に例示したものは、ほぼ丁度0.25cycles/px(4px周期)に極大がある。本技術は、ノズル周期Nxと一致する成分が十分に沢山あることが、目的の性能を出す上での条件となる。厳密な意味でNx周期に極大があることは必ずしも要求されず、目的の効果が得られる程度に許容量を含んでNx周期付近(略Nx周期)に極大がある。その許容量は概ね1/(Nx+1)<周波数ピーク<1/(Nx−1)程度である。
上述のように、本明細書で開示するドットパターンは、送り垂直方向にNx周期成分に極大を持ち、特定階調域(階調域2〜3)において、その周波数特性(送り垂直方向にNx周期成分に極大を持つ特性)が維持されるようなパターンである。このようなパターンの概念図を図13(a)、(b)に示す。
図13(a)は、階調L0=(1/Nx)×256の概念図、図13(b)は、階調L1={(Nx+Ny-1)/(Nx×Ny)}×256の概念図である。図13(a)において濃い灰色のセル(画素)はドットオン、白色のセルはドットオフを表す。図13(a)の縦方向に3セル(Ny画素分)のドットが連なるパターンが横(x)方向にNx周期で繰り返されるものとなる。
図13(b)は、図13(a)のパターンに対して、横方向にドットを連ならせて縦方向の線分同士を連結したものとなっている。図13(b)において、薄い灰色のセル(画素)は、追加されたドットを表す。図13(b)の濃い灰色で示した縦万線部分と薄い灰色で示した横万線部分の和集合が階調L1のパターンである。
本実施形態では、まず、階調L0に対応するパターンを定め、このL0パターンを基準にして、階調L1のパターンを定める。次いで、L0パターンと、L1パターンを元に、階調L0未満の階調域、階調L0〜L1の階調域、階調L1を超える階調域、についてそれぞれの階調ごとのパターンを決定する。
このようなパターンを生成するディザマトリクスの生成方法を以下に示す。
<ディザマトリクス生成方法1>
図14はディザマトリクスの生成手順の一例を示すフローチャートである。まず、基準となる階調L0を表現するL0階調パターンとして、送り垂直方向にNx周期で並ぶ縦連なりパターン(「パターンA」という。)を生成する(ステップS11)。例えば、図13(a)で示したパターンが生成される。次に、パターンAに横連なりパターン(「パターンB」という。)を追加する(ステップS12)。例えば、図13(b)の薄灰色で示した横連なりのパターンがこのパターンBに該当する。
次に、「パターンAの領域内のみドットを置く」という制約条件のもと、L0以下のハイライト側における各階調のドット配置を決定する(ステップS13)。
次いで、「パターンBの領域内のみドットを置く」という制約条件のもと、L0〜L1以下の中間調域における各階調のドット配置を決定する(ステップS14)。より正確に言えば、既にドットが配置されているパターンAの画像に、~A∩Bの領域にドットを追加するという制約条件のもとドットを置き、L0〜L1以下の中間調域における各階調のドット配置を決定する(ステップS14)。
次いで、「パターンAとB以外の領域内のみドットを置く」という制約条件のもと、L1を超えるシャドウ域における各階調のドット配置を決定する(ステップS15)。より正確に言えば、すでに存在しているBのパターンについてAとB以外の領域のみドットを追加するという制約条件のもとドットを置き、L1を超えるシャドウ域における各階調のドット配置を決定する(ステップS15)。
そして、ステップS13で求めた各階調のドット配置の集合(1)と、ステップS14で求めた各階調のドット配置の集合(2)と、ステップS15で求めた各階調のドット配置の集合(3)とを統合することにより(ステップS16)、全階調域の各階調に対応したドット配置を定める閾値が決定されたディザマトリクスが得られる。
このようにして得られたディザマトリクス自体も送り垂直方向についてNx周期成分に極大を持つ。なお、ステップS13〜S15の処理は、適宜順番を入れ替えることも可能であるし、並列に処理することも可能である。
<ディザマトリクス生成方法2>
図15はディザマトリクスを生成する手順の他の例を示すフローチャートである。図15の方法では、まず、実空間にて、送り垂直方向にNx周期の規則的な縦連なりからなるパターンと、横連なりからなるパターンを生成する。例えば、図16に例示したような規則的な縦連なりのパターン45(黒部の縦方向の線分で示されたパターン)と、その縦連なりパターン45を横方向に連結する規則的な横連なりのパターン46(黒部の横方向の線分で示されたパターン)とからなるパターン48が生成される。図16において黒部で示したパターン48の領域全体を「領域R」とする。こうして、予めNx周期の縦連なりパターン45と、これを横方向につないだ横連なりパターン46とを組み合わせた領域Rを定めておく。なお、図16では、図示の便宜上、実際のマトリクスサイズよりも小さい14×14画素の格子を示し、ドットオンの画素セル(矩形)を黒色で示した。マトリクスサイズは特に限定されず、一例として、192×192のディザマトリクスが用いられる。
そして、図15に示すように、この領域R制約条件のもと縦連なり特性を持たせたパターンA(図16の符号45相当)を生成する(ステップS21)。次に、領域R制約条件のもとパターンAに横連なりパターンB(図16の符号46相当)を追加する(ステップS22)。その後のステップS23〜S26の処理は、図14のステップS13〜S16と同様であるため、説明は省略する。
(ディザマトリクス生成方法の具体例による詳細な説明)
ここでは図13(a)、(b)で説明したパターンを実現するディザマトリックスの生成方法を例示する。図17は、ディザマトリクスの生成手順を示す。
まず、階調L0にて送り垂直方向にNx周期の縦線分によるパターン(「縦万線」という。)を生成する(ステップS41、図13(a)参照)。これを「L0パターン」と呼ぶ。縦万線の線分の長さはNyとなっている。Nx×Nyの画素マトリクスを単位として、縦万線のパターンが繰り返されている。
次に、階調L1(L0<L1)にて、Nx周期縦万線の縦線分同士を横方向につなぐ横方向線分によるパターン(「横万線」という。)をL0パターンに追加したパターンを生成する(図17のステップS42、図13(b)参照)。これは、図13(b)のように、L0パターンの縦万線同士を横万線で連結するパターンとなる。この階調L1のパターンを「L1パターン」と呼ぶ。L1パターンのうち、L0パターンを除いた部分(横万線で連結した部分)は「L1∩~L0パターン」と表す。なお、「~L0」はL0の補集合を表しており、「~」は論理否定(NOT、補集合)を表す記号として用いた。
つまり、L0パターンに対して付加された横万線のパターンは「L1パターン」と「L0補集合」の交わり部分として「L1∩~L0パターン」と呼ぶ。
次に、L0未満の階調にて、L0パターン内の各画素を順次、階調レベルに応じたドット個数のドットで埋めるパターンを生成する(図17のステップS43)。
さらに、L0〜L1の階調にて「L1∩~L0」の領域の画素を順次、ドットで埋めるパターンを生成する(ステップS44)。
さらに、L1よりも上の階調にて、「~L1」の領域を埋めるパターンを生成する(ステップS45)。「~L1」の領域は、図13(b)における白色の画素領域を意味する。
こうして、ステップS43〜S45で得た各パターンを結合することによって(ステップS46)、目的のディザマトリックスが得られる。
なお、ステップS43〜S45の処理は、適宜順番を入れ替えることも可能である。また、図17では、各L0未満、L0〜L1、L1より上、の各階調域における階調ごとのパターンを順次処理したが(ステップS43〜45)、これらを並列処理も可能である。図18にそのフローチャートを示す。
(他のディザマトリックス生成フロー)
図18のステップS51、S52は、それぞれ図17のステップS41、42で説明した処理と同様である。図18のフローでは、ステップS52の後に、L1より上の階調域(L1<Ls<level max)における各階調Lsごとのパターンを決定する処理(ステップS53A〜S56A)と、L0〜L1の階調域における各階調Lmごとのパターンを決定する処理(ステップS53B〜S56B)と、L0未満の階調域(level min<Lh<L0)における各階調Lhごとのパターンを決定する処理(ステップS53C〜S56C)とが並列に行われる。こうして得られた各階調のパターンを結合することにより(ステップS57)、目的のディザマトリックスが得られる。
(各階調のパターン生成方法について)
図17のステップS43〜S45、図18のステップS54A、S54B、S54Cで示した各階調パターンの生成処理は、ドットを配置するセル(画素)の位置を入れ替える処理を行う際のドットの入れ替え処理位置を制限する条件である制約条件を基に、乱数により発生させた初期パターン(初期パターン生成処理)を、前記制約条件とパターンの評価値に従い、ドットを順次入れ替える処理を通じて、評価値に関してパターンを最適化することで生成される。
図19は各階調のパターンを生成する処理のフローチャートである。図19のフローチャートの構成要素について以下に説明する。
ステップS61の階調制約条件設定処理は、後述の画素入れ替え処理(ステップS66)において、ドットの入れ替えが許される領域(すなわち、評価値を指標とする最適化によりドットの配置を変更できる領域)を指定する処理である。例えば、以下に例示する2つの制約条件を設定する。
(制約条件1):ディザマトリクス一般に必要な条件である、高階調パターンは低階調パターンを内包するという条件。
(制約条件2):画質向上などを目的として、パターンに特定の特性を持たせるために、ドットを置く位置を制限する条件。本実施形態では、縦万線による縦方向のドットの連続性、Nx周期性などの特性を持たせる制約条件がこれに該当する。詳細は後述する。
ステップS62の評価フィルタ設定処理は、画素入れ替え処理(ステップS66)、評価値算出処理(ステップS67)等で使用する評価フィルタを指定する処理である。評価フィルタとは、周波数成分ごとの重みを示す周波数フィルタであり、ドットパターンに周波数空間で乗算(実空間で畳み込み)する際に使用される。この評価フィルタの特性が、パターンの特性に反映される。
この評価フィルタは以下の処理で使用される。
(1)画素入れ替え処理(ステップS66)において、入れ替えるドットの位置を指定するために使用される。
(2)評価値算出処理(ステップS67)、評価値比較(ステップS68)、保存パターン/評価値更新処理(ステップS69)においてパターンの評価値を決定するために使用される。なお、評価フィルタは、階調ごとに異なるフィルタを設定することが可能である。詳細は後述する。
図19におけるステップS63の初期パターン生成処理は、パターン(ドットの配置)を最適化するにあたり初期のパターンを設定する。パターンは以下の処理手順に従い設定される。
(手順1)階調に必要なドット/空白数を求める。例えば、8bit の階調Lなら、必要なドット数は(L/28)×マトリクスサイズである。
(手順2)マトリクスサイズと同じサイズの乱数を発生させる。
(手順3)階調制約条件でドットの入れ替えが許されている領域について、乱数の値が高い箇所から順に、ドットを(手順1)で指定した数配置する。なお、対象階調の上下のパターンがすでに決定されている場合は、適宜それらをパターンに反映させる。つまり、すでに決定されるパターンを崩さずに、高階調パターンが低階調パターンを内包する関係を維持する。
ステップS64では、カウンターの値(n)を「0」にリセットする。
ステップS66の画素入れ替え処理では、図20に例示するフローに従い、ドットパターンを更新する。図20では3つのフローチャートを例示した。いずれのフローチャートにおいても、まずドットパターンに評価フィルタを乗算(畳み込み)し、評価用の濃度分布を算出する。次に入れ替え制約条件を満たす領域にあり、かつ濃度が高いドットを、濃度が低い空白と入れ替える、という基本的な流れは共通している。
図20(a)は、上記の処理を1ステップで行うフローである。図20(b)、(c)は、2ステップで行う処理の例である。画素入れ替え処理(ステップS66)は最適化の過程で繰り返し行われるが、例えば、常に図20(a)に示す「画素入れ替え処理1」のみ行う構成にしても良いし、図20(b)に示す「画素入れ替え処理2」、図20(c)に示す「画素入れ替え処理3」を含めて各画素入れ替え処理1〜3をランダムに選択しても良い。図20(a)の画素入れ替え処理1は、評価フィルタの畳み込み数が他の処理2〜3より少く、演算が高速であるため、最適化の初期に多用する構成にしても良い。また階調ごとに処理1〜3の選択方法を変化させても良い。
図19におけるステップS67の評価値算出処理、ステップS68の評価値比較処理、ステップS69〜S73の保存パターン/評価値更新処理は、次の通りである。
評価値算出処理(ステップS67)は、ステップS66の画素入れ替え処理で変更されたドットパターンに評価フィルタを乗算(畳み込み)し、評価用の濃度分布を算出する。そして、この濃度分布の標準偏差を算出し、これを評価値とする。ステップS66〜S72で画素入れ替え処理(ステップS66)、ならびに評価値算出処理(ステップS67)を繰り返し行い、評価値比較(ステップS68)にて評価値が向上した場合は、当該するパターンならびに評価値を保存する(ステップS69)。次回以降は、保存した評価値と算出した評価値を比較して(ステップS68)、良化したか否か判断する。
以上の画素入れ替え処理、ならびに評価値算出処理をパターン更新がされなくなるまで、繰り返し行うことで(ステップS66〜72)、当該階調のパターンを評価値に関して最適化する。最適化して得られた階調パターンを保存して(ステップS73)、処理を終了する。
(評価フィルタ、制約条件ならびに該当するパターンについて)
階調レベルによってパターン特性は異なるため、対応する評価フィルタと画素入れ替え処理時の制約条件を変えることが望ましい。以下に階調ごとのパターンと対応する評価フィルタの例を示す。
<L0階調について>
図13(a)で説明したように、この階調L0では送り垂直方向にNx周期の縦万線を生成する。図13(a)は階調L0のNx周期縦万線の概念図であるが、この図からL0は以下のように見積もることができる。
L0は上記の見積もりに従い「L0=level_max/Nx」のように設定する。
(L0階調に用いる評価フィルタ)
このようなパターンを生成するための評価フィルタは、図21のフローチャートに従い生成される。すなわち、まず、実空間上でフィルタを設計する(ステップS81)。基本的には中央(=畳み込みの際に、(0,0)となる成分)から距離の関数として減少するような関数とする。図22にその具体例を示す。
本例においては、横方向にNx周期の縦万線基調としたいので、±Nx未満は相対的に周りよりも大きな値となるようにする。図22では、中心から横方向に±3画素、縦方向に±2画素の範囲について、図示のように、「1」〜「10」の値が設定されている。このように重みが設定されている箇所は、空白(ドットオフ)が想定される箇所である。
また、中央から送り方向に、重みを小さくするように設定される。図22では、中央から送り方向(縦方向)に±3画素の重みが「0」となっている。このように重みが設定されている箇所は、縦方向に連なった線が想定される箇所である。
また、縦万線が送り方向に長い直線であるとバンディングが生じやすいので、縦万線を適度に曲げるために、送り方向に重みをつけたり(図22の中央から送り方向の±4画素〜5画素の重みを「2」とした部分)、或いは、斜め横部分(図20の中央から斜め方向1画素の重みを「2」とした部分)の重みを弱めても良い。このようにすることで万線を曲げることができる(図13(a)参照)。
上記特性を持つ実空間フィルタに、さらに低周波強調処理(図21のS82)を行うことで評価フィルタを生成する。このようにして得られた評価フィルタを用い、階調L0=level_max/Nx付近にてパターン最適化を行うことにより、縦に連なった線がx方向にNx周期で並んだようなパターンを生成することができる。
(制約条件)
本階調(L0)では必ずしも制約条件をいれる必要はない。異なる実施例として、制約条件をいれてもよい。例えば、図23に示すパターンの黒部分のみドットを追加するという制約条件のもと、パターンを生成しても良い(黒部分はNx周期縦万線と、Ny周期横万線から構成される)。このような制約条件を入れることで、パターンの不均一性に起因するムラを抑制することができる。
<L1階調について>
本階調(L1)では、先のL0階調の縦万線パターンに横連なりのパターンを入れる。
(階調値)
図13(b)の概念図に示したとおり、階調L1のパターンは、Nx周期縦万線とNy周期横万線からなるパターンであることを示している。この図より、階調L1は以下のように見積もることができる。
L1は上記の見積もりにしたがい「L1=level_max(Nx+Ny−1)/NxNy」のように設定する。
本パターンは上記階調L1にて生成する。
(評価フィルタ)
評価フィルタとしては、例えばL0階調で使用した実空間フィルタ(図22)を90°回転し、低周波成分を強調したものを使う。その他、中央から距離の関数として減少関数でかつ送り垂直方向に小さな成分をもつ実空間フィルタを使っても良い。
(制約条件)
本階調(L1)ではL0の階調に横万線を追加する。したがってL0パターン領域は変更しないように制約条件を入れる。その他は特に必要ないが、L0階調と同様に、図231の黒部分のみにドットを追加するという制約条件を付加することで、パターンの不均一性に起因するムラを抑制することができる。
<L0〜L1階調について>
この階調域の階調では縦万線のL0階調と、横万線と縦万線から構成されるL1階調の間の階調のパターンを生成する。
(評価フィルタ)
ドットを分散するようなフィルタ、例えば、距離に関して減少関数である等方的なフィルタを実空間フィルタとして、これを低周波強調したものを使用する。或いはまた、L1階調と同じ評価フィルタを使っても良い。
(制約条件)
制約条件として、「~L0∩L1領域」のみにドットを追加するようにする。
<L1以降の階調について>
本階調はL1以降のシャドウ部を構成する。
(評価フィルタ)
ドットを分散するようなフィルタ、例えば、距離に関して減少関数である等方的なフィルタを実空間フィルタとして、これを低周波強調したものを使用する。
(制約条件)
制約条件として、「~L1領域」を埋めるような条件を設定する。
<L0未満の階調について>
本階調はL0未満のハイライト部を構成する。
(評価フィルタ)
ドットを分散するようなフィルタ、例えば、距離に関して減少関数である等方的なフィルタを実空間フィルタとして、これを低周波強調したものを使用する。
(制約条件)
制約条件として、「L0領域」を埋めるような条件を設定する。
<ドットパターン特性を実現する他の方法について>
次に、目的のドットパターン特性を実現する他の方法について説明する。
(フィルタパターンと誤差拡散の併用による方法1)
図10〜図13で説明したような周波数特性を持つ2値フィルタパターン(又は多値フィルタパターン)により、画像の画素領域を2分割する。2分割した領域の一方を「領域A」、他方を「領域~A」とする。
ハイライトから中間調の階調域では、「領域~A」を滴なし(ドットオフ)と設定し、「領域A」内について、誤差拡散法による量子化処理を行う。また、中間調からシャドウ側の階調域においては、「領域A」を滴有り(ドットオン)として、領域~A内で誤差拡散処理を行う。
領域A、~Aは、階調ごとに領域を変化させてもよい。例えば、ハイライト領域や、シャドウ領域では、等方的になるように変化させてもよい。また、ムラに対する性能を上げるために、ディザに対する閾値を調整して、Nx周期成分が相対的に増えるように調整することも可能である。
(フィルタパターンと誤差拡散の併用による方法2)
図13(a)で説明したようなNx周期縦連なりのパターンを表すマスクパターンを用い、ハイライトから中間調では、当該マスクパターンの縦連なり部の中のみにドットを配置するという制約条件のもと、誤差拡散法による量子化を行い、ドット配置を決定する。なお、このとき、量子化誤差を拡散させる画素の範囲は、マスクパターンの内外に制約を設ける必要はない。
中間調以降(シャドウ側)の階調域では、縦連なり部を全てドットで埋めたのち、それ以外の領域に誤差拡散法にてドットを配置する。このとき、スジの発生を抑制する観点から、ドットのサイズを大きくする態様が好ましい。
また、横方向にドットが連なるように、量子化誤差の拡散方向を調整してもよい。図24は誤差拡散マトリクスの例を示している。図中の「x」が量子化対象画素の位置を表し、矢印は量子化処理の処理順を表す。注目画素(量子化対象画素x)に隣接する4つの未処理画素(右横、右斜め下、真下、左斜め下)に対して、それぞれ量子化誤差が配分される。誤差の配分比率を規定する誤差拡散マトリクスの成分A〜Dのうち、横方向に拡散させる誤差成分(図中の「A」)を、均等拡散させる場合の値よりも小さくすることで、横方向にドットを連ならせることができる。
<ディザマトリクスの具体例>
参考のために、図25に本実施例により作成したディザマトリクスの具体例を示した。実際に作成したディザマトリクスは、192×192のマトリクスサイズ有するが、図示の都合上、ここでは、その一部(全体における左上部分)の「32×32」の範囲のみを示した。
<本実施形態による画像形成装置の構成について>
図26は、本実施形態に係る画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。画像形成装置50は、記録ヘッド60と、記録ヘッド60による記録動作を制御するヘッド制御装置70とから構成される。
記録ヘッド60は、各ノズルに対応して設けられた吐出エネルギー発生素子としての複数の圧電素子62と、各圧電素子62の駆動/非駆動を切り換えるスイッチIC64と、を備える。
ヘッド制御装置70は、記録すべき画像の元画像データ(多階調画像データ)を受け入れる入力インターフェース部として機能する元画像データ入力部72と、入力された元画像データに対して量子化処理を行うハーフトーン処理部74(「多値化手段」に相当)を備える。また、ヘッド制御装置70は、駆動波形生成部76とヘッドドライバ78を備える。
元画像データは、インク色別に変換された画像データであってもよいし、インク色別に変換する前のRGBの画像データであってもよい。必要に応じて、元画像データに対して、色変換処理や画素数変換処理、γ変換処理が行われる。
ハーフトーン処理部74、元画像データ(濃度データ)から2値又は多値のドットデータに変換する信号処理手段である。ハーフトーン処理の手段としては、既に説明したディザマトリクスを用いる態様、ディザと誤差拡散法とを組み合わせた態様などを適用できる。ハーフトーン処理は、一般に、M値(M≧3)の階調画像データをN値(N<M)の階調画像データに変換する。最も単純な例では、2値(ドットのオン/オフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの3種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
すなわち、本例のハーフトーン処理部74は、入力された階調を異なるn−1個(ただし、nはn>2の整数)の滴サイズに対応するn値(n−1個の滴サイズ+滴無し)に量子化する。各n個の異なるサイズのドットが、印刷可能な各画素において、どの程度の割合で打たれるかを示す記録率は、階調ごとに一意に決定される。
こうして得られた2値又は多値の画像データ(トットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、さらに、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出制御データ(打滴制御データ)として利用される。ハーフトーン処理部74にて生成されたドットデータ(打滴制御データ)は、ヘッドドライバ78に与えられ、記録ヘッド60のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部76は、記録ヘッド60の各ノズルに対応した圧電素子62を駆動するための駆動電圧信号波形を生成する手段である。駆動電圧信号の波形データは予めROM等の記憶手段に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。駆動波形生成部76で生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ78に供給される。なお、駆動波形生成部76から出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
本例に示すインクジェット画像形成装置50は、記録ヘッド60の各圧電素子62に対して、スイッチIC64を介して共通の駆動電力波形信号を供給し、各ノズルの吐出タイミングに応じて、該当する圧電素子62の個別電極に接続されたスイッチ素子のオン/オフを切り換えることで、各圧電素子62に対応するノズルからインクを吐出させる駆動方式が採用されている。
図26における元画像データ入力部72とハーフトーン処理部74の組み合わせが「画像処理装置」に相当する。
<本実施形態の利点>
本実施形態によれば、ドットパターンをノズル列のノズル配列周期と略同一にすることができる。これにより、記録媒体上でx方向に隣接するドットは、略同タイミングで吐出されるので、ヘッドと記録媒体の振動による送り方向に発生するムラを効果的に抑制することができる。特に、ノズルが送り方向に冗長でないノズル配列の構成においても、ムラを抑制することができる。
<画像形成装置の具体的な構成例>
図27は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す全体構成図である。本例のインクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部(プレコート部)114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122から構成されている。インクジェット記録装置100は、描画部116のドラム(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するシングルパス方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたドロップオンデマンドタイプの画像形成装置である。
(給紙部)
給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されており、給紙部112の給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム(「プレコート胴」とも言う)154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラ(計量ローラ)と、該アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(「描画胴」或いは「ジェッティング胴」とも言う)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。各色のインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Y及びその制御装置として、図26で説明した記録ヘッド60とヘッド制御装置70の構成が採用されている。
描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170の周面には、図示しない吸着穴が所定のパターンで多数形成されており、この吸着穴からエアが吸引されることにより、記録媒体124が描画ドラム170の周面に吸着保持される。なお、負圧吸引によって記録媒体124を吸引吸着する構成に限らず、例えば、静電吸着により、記録媒体124を吸着保持する構成とすることもできる。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列(2次元配列ノズル)が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yには、対応する色インクのカセット(インクカートリッジ)が取り付けられる。インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、描画ドラム170の外周面に保持された記録媒体124の記録面に向かってインク滴が吐出される。
これにより、予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。インクと処理液の反応の一例として、本実施形態では、処理液に酸を含有させPHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避する。こうして、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの打滴タイミングは、描画ドラム170に配置された回転速度を検出するエンコーダ(図27中不図示、図31の符号294)に同期させる。このエンコーダの検出信号に基づいて吐出トリガー信号(画素トリガー)が発せされる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム170のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダで得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム170のフレ、回転軸の精度、描画ドラム170の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。さらに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム170から退避させて実施するとよい。
本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム(「乾燥胴」とも言う)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム(「定着胴」とも言う)184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
インラインセンサ190は、記録媒体124に記録された画像(テストパターンなども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための読取手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、紫外線(UV)露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置100は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ188)の代わりに、記録媒体124上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
また、図27には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
<インクジェットヘッドの構成例>
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。各色に対応するインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図28(a) はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図28(b) はその一部の拡大図である。図29はヘッド250を構成する複数のヘッドモジュールの配置例を示す図である。また、図30は記録素子単位(吐出素子単位)となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図28中のA−A線に沿う断面図)である。
図28に示したように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に2次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体124の送り方向(矢印S方向;「第1方向」に相当)と略直交する方向(矢印M方向;「第2方向」に相当)に記録媒体124の描画領域の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル配列を構成するために、例えば、図29(a)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配置して、長尺のライン型ヘッドを構成する。或いはまた、図29(b)に示すように、ヘッドモジュール250”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様も可能である。図29に示した各ヘッドモジュール250’又は250”が図26で説明した記録ヘッド60に該当する。
なお、シングルパス印字用のフルライン型プリントヘッドは、記録媒体124の全面を描画範囲とする場合に限らず、記録媒体124の面上の一部が描画領域となっている場合(例えば、用紙の周囲に非描画領域(余白部)を設ける場合など)には、所定の描画領域内の描画に必要なノズル列が形成されていればよい。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図28(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図30に示すように、ヘッド250(ヘッドモジュール250’、250”)は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート251Aは、ヘッド250のノズル面(インク吐出面)250Aを構成し、各圧力室252にそれぞれ連通する複数のノズル251が2次元的に形成されている。
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図30は簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252の一部の面(図30において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えたピエゾアクチュエータ(圧電素子)258が接合されている。本例の振動板256は、ピエゾアクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置されるピエゾアクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
個別電極257に駆動電圧を印加することによってピエゾアクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、ピエゾアクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニット253を図28(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らず、
静電アクチュエータ、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(吐出エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<制御系の説明>
図31は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース270、システムコントローラ272、プリント制御部274、画像バッファメモリ276、ヘッドドライバ278、モータドライバ280、ヒータドライバ282、処理液付与制御部284、乾燥制御部286、定着制御部288、メモリ290、ROM292、エンコーダ294等を備えている。
通信インターフェース270は、ホストコンピュータ350から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース270にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ350から送出された画像データは通信インターフェース270を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ290に記憶される。
メモリ290は、通信インターフェース270を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ272を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ290は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ272は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ272は、通信インターフェース270、プリント制御部274、モータドライバ280、ヒータドライバ282、処理液付与制御部284等の各部を制御し、ホストコンピュータ350との間の通信制御、メモリ290の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ296やヒータ298を制御する制御信号を生成する。
ROM292にはシステムコントローラ272のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM292は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ290は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ280は、システムコントローラ272からの指示に従ってモータ296を駆動するドライバである。図31では、装置内の各部に配置される様々なモータを代表して符号296で図示している。例えば、図31に示すモータ296には、図27の給紙胴152、処理液ドラム154、描画ドラム170、乾燥ドラム176、定着ドラム184、渡し胴194などの回転を駆動するモータ、描画ドラム170の吸引孔から負圧吸引するためのポンプの駆動モータ、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのヘッドユニットを、描画ドラム170外のメンテナンスエリアに移動させる退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ282は、システムコントローラ272からの指示に従って、ヒータ298を駆動するドライバである。図31では、装置内の各部に配置される様々なヒータを代表して符号298で図示している。例えば、図31に示すヒータ298には、給紙部112において記録媒体124を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部274は、システムコントローラ272の制御に従い、メモリ290内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ278に供給する制御部である。
図26で説明したように、ドットデータは、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
プリント制御部274において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、ヘッドドライバ278を介してヘッド250のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。ここで言うドットデータは、「ノズル制御データ」に相当している。
プリント制御部274には画像バッファメモリ(不図示)が備えられており、プリント制御部274における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリに一時的に格納される。また、プリント制御部274とシステムコントローラ272とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
エンコーダ294は、描画ドラム170の回転速度を検出するものであり、例えば光電方式のロータリエンコーダが用いられる。システムコントローラ272は、エンコーダ294からの信号に基づいて描画ドラム170の回転速度を算出し、算出した回転速度に基づいて各色のインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのノズル251の吐出タイミング信号を生成し、プリント制御部274へ供給する。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース270を介して外部から入力され、メモリ290に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ290に記憶される。インクジェット記録装置100では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ290に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ272を介してプリント制御部274に送られ、該プリント制御部274においてハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部274は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部274で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ(不図示)に蓄えられる。
ヘッドドライバ278は、プリント制御部274から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ276に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド250の各ノズルに対応するアクチュエータを駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ278にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ278から出力された駆動信号がヘッド250に加えられることによって、該当するノズルからインクが吐出される。記録媒体124を所定の速度で搬送しながらヘッド250からのインク吐出を制御することにより、記録媒体124上に画像が形成される。
処理液付与制御部284は、システムコントローラ272からの指示に従い、処理液塗布装置156(図27参照)の動作を制御する。乾燥制御部286は、システムコントローラ272からの指示に従い、溶媒乾燥装置178(図27参照)の動作を制御する。
定着制御部288は、システムコントローラ272からの指示に従い、定着部120のハロゲンヒータ186や定着ローラ188(図27参照)から成る定着加圧部299の動作を制御する。
インラインセンサ190は、図27で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録媒体124に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をシステムコントローラ272及びプリント制御部274に提供する。
プリント制御部274は、インラインセンサ190から得られる情報に基づいてヘッド250に対する各種補正(不吐出補正や濃度補正など)を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
図31のシステムコントローラ272、プリント制御部274(画像バッファメモリ内蔵)、ヘッドドライバ278の部分が図23で説明したヘッド制御装置70に相当する。なお、図31で説明したシステムコントローラ272が担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ350側に搭載する態様も可能である。
<変形例>
上記実施形態では、記録媒体124に直接インク滴を打滴して画像を形成する方式(直接記録方式)のインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、一旦、中間転写体上に画像(一次画像)を形成し、その画像を転写部において記録紙に対して転写することで最終的な画像形成を行う中間転写型の画像形成装置についても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置(1回の副走査によって画像を完成させるシングルパス方式の画像形成装置)を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用できる。
<ヘッドと用紙を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体(被描画媒体)に対してヘッドを移動させる構成も可能である。なお、シングルパス方式のフルライン型の記録ヘッドは、通常、記録媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
<記録媒体について>
「記録媒体」は、記録素子によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、被記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットシステムに広く適用できる。
<インクジェット方式以外の記録ヘッドの利用形態について>
上述の説明では、記録ヘッドを用いる画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど、デジタルハーフトーニング技術を利用してドット記録を行う各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):複数の記録素子が配列された記録素子列を有する記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させて前記記録素子により前記記録媒体上に画像を形成するための2値又は多値の画像データを生成する画像処理装置であって、多階調の元画像データに対して量子化処理を行い、前記元画像データよりも低階調の前記2値又は多値の画像データに変換する多値化手段を有し、前記記録ヘッドに対する前記記録媒体の相対移動方向を第1方向、前記記録媒体上の前記第1方向に垂直な方向を第2方向とするとき、前記記録ヘッドは、前記記録素子列が前記第1方向に複数列配置された2次元の記録素子配列を有し、前記記録素子列を前記第2方向の直線上に正射影したときの前記記録素子の配列周期がNx周期であるとき、前記多値化手段により生成される前記2値又は多値の画像データで表されるドットパターンは、前記多階調の連続する複数段階の階調値に対応した特定階調域にわたって前記第2方向に関してNx周期成分の付近に極大を持つ空間周波数特性が維持されることを特徴とする画像処理装置。
m階調の元画像データに対して量子化処理を行い、ドットパターンを表すn値の画像データが生成される(ただし、m、nは、m>n≧2を満たす整数)。記録ヘッドには第1方向の記録素子列が並列されている。かかる2次元記録素子配列の記録素子列を第2方向の直線上に射影した場合にNx画素周期であるときに、ハーフトーンパターンの基本周波数を略Nx画素周期とすることが好ましい。
発明1によれば、生成されるドットパターンを記録素子列の列内における記録素子の配置周期と略同一となる。これにより、隣接するドットは、同一記録素子列の記録素子によって記録される。記録ヘッドと記録媒体の相対振動により第1方向に発生するムラを効果的に抑制することができる。この発明1によれば、第1方向に記録素子が冗長でない2次元の記録素子配列の構成においても、ムラを効果的に抑制することができる。
(発明2):発明1に記載の画像処理装置において、前記特定階調域内の中間調ハイライト側に対応した前記ドットパターンは、前記第1方向に複数個のドットが連続して連なる第1方向線分パターンが支配的に分布するものであることを特徴とする。
この態様によれば、生成されるパターンは、中間調ハイライト側で第1方向のドットの連なりが比較的多くなる。
(発明3):発明2に記載の画像処理装置において、前記多値化手段は、前記特定階調域内の中間調シャドウ側において、前記第1方向線分パターン同士を連結するように前記第2方向に複数個のドットが連続して連なる第2方向線分パターンを、前記特定階調域のシャドウ側ほど増やすことで階調表現を行うことを特徴とする。
この態様によれば、中間調シャドウ側で再現階調に応じて第2方向のドットの連なりを増減させる。
(発明4):発明3に記載の画像処理装置において、前記記録ヘッドは前記記録素子によってドットサイズの異なる複数種類のドットを記録することができ、前記多値化手段は、前記記録素子によって記録可能なドットの大きさの種類数に応じた多値の画像データを生成し、前記第1方向線分パターンは、前記複数種類のドットのうち、相対的に小さなドットによって形成されることを特徴とする。
主としてハイライト側の階調再現に用いられる第1方向線分パターンは、複数のドットサイズのうち小さなドットを用いることが好ましい。また、第1方向線分の第2方向のライン間は、ライン自体が離れたり、近づいたりするとムラになるため、なるべく小さいドットによってラインを形成する態様が好ましい。
(発明5):発明3又は4に記載の画像処理装置において、前記記録ヘッドは前記記録素子によってドットサイズの異なる複数種類のドットを記録することができ、前記多値化手段は、前記記録素子によって記録可能なドットの大きさの種類数に応じた多値の画像データを生成し、前記第2方向線分パターンは、前記複数種類のドットのうち、相対的に大きなドットによって形成されることを特徴とする。
第2方向にドットが連なって形成される第2方向線分は、第2方向に並ぶ隣接ドット同士が相対振動によって近づいたり離れたりし易いため、複数種類のドットのうち、比較的大きなドットを用いて第2方向線分を記録する方が、隣接ドット間の距離変動によるムラが目立ちにくい。
(発明6):発明1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記多値化手段は、前記第2方向についてNx周期付近に極大を持つディザマトリクスを使うものであることを特徴とする。
この態様に係るディザマトリクスを用いることで、目的の周波数特性を持つパターンを実現することができる。
(発明7):発明6に記載の画像処理装置において、前記ディザマトリクスは、ハイライトから所定階調の中間調までの階調域では前記第2方向に略Nx周期の第1方向連なりのパターンから構成され、前記所定階調を超えるシャドウ側の階調域において第2方向連なりのパターンと前記第1方向連なりのパターンとの混成パターンから構成されていることを特徴とする。
一例として、多階調の元画像データの最大階調値をlevel_maxとすると、level_max/Nxの階調値を「所定階調」とすることができる。
(発明8):発明6に記載の画像処理装置において、前記ディザマトリクスは、ハイライトから所定階調の中間調までの階調域では前記第2方向に略Nx周期の第1方向連なりのパターンから構成され、前記所定階調を超えるシャドウ側の階調域において、ドットを分散配置させたパターンと、前記第1方向連なりのパターンとの混成パターンから構成されることを特徴とする。
ディザマトリクスと誤差拡散法とを組み合わせて、多値化を行うことができる。
(発明9):発明1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記多値化手段は、前記第2方向についてNx周期付近に極大をもつパターンにより画像領域を分割するとともに、当該分割された領域ごとに異なる多値化処理を行うことを特徴とする。
特定階調に対応したパターンを表すマスクパターンを用いて、画素の領域分けを行い、領域別に多値化処理を行うことで、目的のパターンを得ることができる。
(発明10):発明9に記載の画像処理装置において、前記多値化処理は、量子化誤差を周辺の未量子化画素に拡散する処理を含むことを特徴とする。
階調域ごとに制約条件等を異ならせたり、誤差拡散の拡散マトリックスを異ならせるなどの態様が可能である。
(発明11):発明9又は10に記載の画像処理装置において、前記画像領域の分割に用いられる前記パターンは、Nx周期に極大を持つ第1方向連なりパターンと、前記第1方向連なりパターンを第2方向に連結する第2方向連なりパターンと、から構成されることを特徴とする。
(発明12):発明9から11のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記Nx周期に極大を持つ前記パターンは、マスクパターンにより生成され、前記第2方向の連なりパターンは誤差拡散法により生成されることを特徴とする。
マスクパターン内にドットを置くという制約条件のもとで第1方向連なりのパターンを形成することが可能である。また、マスクパターン内における第2方向連なりパターンの中にドットを置くという制約条件の下で、誤差拡散法を適用して第2方向連なりのドットパターンを決定することが可能である。
或いはまた、誤差拡散マトリクスを工夫して、第2方向にドットの連なりを発生しやすくするという態様も可能である。
(発明13):複数の記録素子が配列された記録素子列を有する記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させて前記記録素子により前記記録媒体上に画像を形成するための2値又は多値の画像データを生成する画像処理方法であって、多階調の元画像データに対して量子化処理を行い、前記元画像データよりも低階調の前記2値又は多値の画像データに変換する多値化工程を有し、前記記録ヘッドに対する前記記録媒体の相対移動方向を第1方向、前記記録媒体上の前記第1方向に垂直な方向を第2方向とするとき、前記記録ヘッドは、前記記録素子列が前記第2方向に複数列配置された2次元の記録素子配列を有し、前記記録素子列を前記第2方向の直線上に正射影したときの前記記録素子の配列周期がNx周期であるとき、前記多値化工程により生成される前記2値又は多値の画像データで表されるドットパターンは、前記多階調の連続する複数段階の階調値に対応した特定階調域にわたって前記第2方向に関してNx周期成分の付近に極大を持つ空間周波数特性が維持されることを特徴とする画像処理方法。
(発明14):複数の記録素子が配列された記録素子列を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと記録媒体とを相対的に移動させる相対移動手段と、発明1から12のいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置で生成された前記2値又は多値の画像データに基づいて前記記録ヘッドの前記記録素子の記録動作を制御する記録制御手段と、を備えた画像形成装置。
なお、発明1から14のいずれか1項における記録ヘッドの一態様として、インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を用いることができる。インクジェットヘッドにおける記録素子は、ノズルから液滴を吐出して、その吐出液滴により記録媒体上にドットを記録する液滴吐出素子である。