JP5736593B2 - センサー素子、センサー - Google Patents
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Description
特許文献2には、カリックスアレンが分子認識に利用されること、カリックスアレンのベンゼン環をアルキル基などの側鎖で修飾したカリックスアレン誘導体の製造方法が記載される。
病気にかかると呼気に含まれるVOCsの種類や濃度が変化すること、癌患者からケトン誘導体が放出されていることが知られており、ケトン分子などの特定の官能基を持つVOCsを選択的に吸着する感応材料が求められているが、このような感応材料は見出されていないのが現状である。
すなわち本発明は、基板の上に感応膜が形成されてなるセンサー素子であって、感応膜が、[化1]で表わされるカリックスアレン誘導体と、ポリジメチルシロキサンと、が複合化されたカリックスアレン系複合材料からなることを特徴とするセンサー素子である。
また本発明のセンサー素子は、カリックスアレン系複合材料と基板とが自己組織化単分子膜を介して結合されてなることが好ましい。
本発明のセンサーは、検出手段が、吸着されたターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサーの周波数変化として検出する検出手段であることが好ましい。
<カリックスアレン誘導体>
本発明の感応材料用カリックスアレン誘導体(以下、カリックスアレン誘導体と略記する場合もある)は、[化1]で表わされ、ケトン分子に対する選択性を有すること、かつ他の材料との複合化が可能なことを特徴とする。選択性を有する理由について、本発明者等は次のように推察している。カリックスアレンは、カプセル型分子構造を有するため、ナノスペースに様々な分子を取り込むことができ、分子認識材料として用いることができる。このカリックスアレンにエステル基やアミド基などの官能基を有する機能性側鎖を導入することで、ケトン分子などの特定の官能基を持つVOCsに対する選択性が付与されている。また、本発明のカリックスアレン誘導体は、末端に二重結合を有する側鎖を導入するので、他の材料との複合化が可能である。
mは4〜8から選択される整数であり、4〜8の間で環員数を変えることでカリックスアレン誘導体のナノスペースの大きさを制御できる。
mが4の場合、カリックスアレン誘導体一分子当たり、X、Rはそれぞれ4か所に導入される。
カリックスアレン誘導体の分子同士の相互作用により密にパッキングするのを妨げるためには、Xは、炭素数3以上の鎖式炭化水素基を用いることが好ましく、tert−ブチル基(以下、t−ブチル基と略記する)、アリル基などを用いることができる。
官能基と結合する炭素数1〜20の炭化水素基は、特に限定されないが、アルキル基またはアルケニル基を用いることが好ましい。また、炭化水素基に対する官能基の結合の位置を特に限定するものではなく、フェノール性水酸基部位に対して、炭化水素基−官能基−炭化水素基、官能基―炭化水素基、炭化水素基―官能基、いずれの順番で炭化水素基と官能基とが結合していてもよい。
[化9]のカリックスアレン誘導体も[化1]同様、PDMSとの複合化が可能であるが、その場合、フェノール性水酸基はPDMSとの結合点とはならない。
本発明のカリックスアレン系複合材料(以下、複合材料と略記する場合もある)は、感応材料用カリックスアレン誘導体をポリジメチルシロキサン(以下、PDMSと略記する場合もある)と複合化させることでカリックスアレンの分子配列を制御することにより、ケトン分子をなどのVOCsを選択的かつ感度よく吸着しうる。この理由について、本発明者等は次のように推察している。カリックスアレン誘導体分子のみで感応膜を形成すると分子内または分子間での結合によりカリックスアレン誘導体の分子同士が強く密にパッキングしVOCsの吸着が阻害されやすいが、ポリジメチルシロキサンと複合化すると、パッキングが阻止される。ポリジメチルシロキサンと複合化することで、PDMSの網状構造の架橋点としてカリックスアレン誘導体が配置され、カリックスアレン系複合材料の内部にターゲット物質が入り込みやすくなり、感応材料として用いる場合に感度が向上し、応答性も向上する。
カリックスアレン誘導体のRの末端を二重結合とし、PDMSと複合化させた場合、[化3]で表わされる複合材料となる。また、カリックスアレン誘導体のXの末端を二重結合とし、PDMSと複合化させた場合、[化4]で表わされる複合材料となる。
本発明のセンサー素子は、基板の上に本発明カリックスアレン系複合材料からなる感応膜が形成された構成を有する。
基板は、金からなる、またはSi系材料の表面に金(Au)薄膜を形成した基板が好ましい。Si系材料の表面に金薄膜を形成した基板は、水晶振動子等の振動型質量検出センサーの電極として用いることができる。
図1(b)に示すように、センサー素子1は、図1(a)に示す金電極4上に感応膜3が形成された構成である。
なお、センサー素子1は、ディスク状に限るものではなく、一端または両端が固定されたカンチレバー状とすることもできる。
図2に示すように、カリックスアレン誘導体とPDMSとをTHFに溶解させN2脱気した後Pt触媒を加えて攪拌し反応液を調整する。反応後、1時間程度放置して重合を進め、混合液が粘性を生じてから基板2の上にスピンコートなどで成膜する。成膜後、ホットプレートで焼結し、重合を進めることにより、カリックスアレン系複合材料からなる感応膜3が得られる。
金表面を有する基板2にSAMsを形成する場合には、チオール分子が金と結合してSAMsが形成される。また、PDMSと重合可能なアリル基を有するSAMsを形成することが好ましい。このようなSAMsを形成する化合物としては、ジアリルジスルフィド、2−プロペン−1−チオールなどを用いることができる。
図3に示すように、センサー20は、振動を発する発振器23と、発振器23の上に端子24を介して載置されるセンサー素子1とが、チャンバー22内に設置されている。センサー素子1は、感応膜3がガス分子を吸着することによる質量変化に伴い周波数が変化する。チャンバー22は、VOCなどのガスを導入するガス導入バルブ27と窒素導入バルブ30と排気バルブ28とを備え、チャンバー22内を所望の雰囲気に制御することができる。ガス導入バルブ27にはヒーター29が設けられ、チャンバー22内に導入するガスを必要に応じて加熱することができる。発振器23は、チャンバー22外の周波数検出カウンタ25と接続され、周波数検出カウンタ25は周波数変化検出部26と接続される。
p−t−ブチルカリックス[4]アレン1.00g(1.54×10−3mol)、フェノール0.29g(3.08×10−3mol)をトルエン10mlに入れ15分間撹拌し、さらに塩化アルミニウム1.23g(9.24×10−3mol)を加え30分撹拌した。その後、アスピレーターで減圧しながら室温で3時間撹拌した。氷を入れたビーカーに溶液を注ぎ、氷が溶けるまで撹拌した。氷が溶けたらジクロロメタン/ 水で3回分液を行った。硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧除去した。ジエチルエーテルを加え冷凍庫で3時間放置した後、これを吸引濾過し減圧乾燥して25,26,27,28−テトラヒドロキシカリックス[4]アレンを得た。
耐圧ガラスチューブ中でp−t−ブチルカリックス[4]アレン 0.30g(7.07×10−4molをドライTHF5.0ml、ドライN,N−ジメチルホルムアミド(図4においてdryDMFと記す)1.5mlに溶解させ、水素化ナトリウム0.34g(2.26×10−2mol)をゆっくり加えた。さらに臭化アリル1.19ml(1.41×10−2mol)を添加し、80℃で25時間撹拌した。室温に戻してから減圧濃縮し、ジクロロメタン/水で3回分液分液を行った。硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧除去した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:へキサン=1 : 1)で精製し、減圧乾燥して25,26,27,28−テトラキス(アリルオキシ)カリックス[4]アレンを得た。
窒素気流下、25,26,27,28−テトラキス(アリルオキシ)カリックス[4]アレン0.341g(5.83×10−4mol)をN,N−ジエチルアミン4.87mlに溶解させ、210℃で2時間撹拌還流した。氷を入れたビーカーに溶液を注ぎ、氷が溶けるまで撹拌した。氷が溶けたら塩酸を加えて再沈させた。これをジエチルエーテルに溶かし、ジエチルエーテル/ 水で3回分液を行った。硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧除去した。得られた物質をイソプロパノール中で再結晶を行い、吸引濾過して減圧乾燥し5,11,17,23−テトラアリルカリックス[4]アレンを得た
窒素気流下、5,11,17,23−テトラアリルカリックス[4]アレン0.15g(2.57×10−4mol)をアセトン4mlに溶解させ、炭酸カリウム0.21g(1.52×10−3mol)をゆっくり加えて5分室温で撹拌した。ブロモ酢酸エチル0.60ml(5.41×10−3mol)を加え70℃で48時間撹拌還流した。溶液を室温まで戻し、自然濾過を行い減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン→2.5%メタノール/ジクロロメタン)により精製し、減圧濃縮した。さらに分取液体クロマトグラフィーで精製し、減圧濃縮で5,11,17,23−テトラアリル−25,26,27,28−テトラエトキシカルボニルメトキシメチルカリックス[4]アレンを得た。
図5から、アセトン、エタノール、トルエン、オクタンそれぞれのガスを一定量導入した場合に、試料2−1、試料2−2、試料2−3いずれもガス種毎に周波数変化量が異なることからカリックスアレン誘導体がガス種に対する選択性を有すること、Rとしてエステル基を含む試料2−1とアミド基を含む試料2−3は、Rとして水素原子すなわちOH基を含む試料2−2に比べて周波数変化量が大きいことから感度に優れる感応材料であることがわかった。
(a)SAMs形成
UVオゾンクリーナーに基板を並べて表面をUVオゾン洗浄したセンサー素子基板をジアリルジスルフィド2mMエタノール溶液中に浸漬させ脱気を行った後、室温で24時間静置した。その後、基板をエタノールですすぎ、60℃で熱乾燥し、SAMsを形成した基板を得た。
図6に示す試料2−1とPDMSとの化学反応式に基づき説明する。
5,11,17,23−テトラアリル−25,26,27,28−テトラエトキシカルボニルメトキシメチルカリックス[4]アレンをTHF400μlに溶解させ、24時間攪拌した。H末端ポリジメチルシロキサン25μlを加え1時間攪拌し、N2バブリングした後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液(platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyl disiloxane complex solution)4.4μlを加えて24時間攪拌した。その後、滴下量5μl、回転数4000ppmでSAMsを形成した基板の上にスピンコートを行い、150℃で2時間加熱した。さらにイソプロピルアルコールで洗浄し、再び100℃で1時間加熱し、複合材料からなる感応膜を得た。
比較のため、PDMS単一の感応膜を基板の上に成膜し、センサー素子を作製した。PDMS単一の感応膜は、PDMSと環状シロキサンとを用いて、(b)の複合材料と同様の方法で重合し、センサー素子を作製した。
Kファクターは、高分子膜とVOCとの組み合わせによって差異があり、Kファクターの値が大きいほど、感応膜の感度が良いことを表す。
試料3−1は、試料2−1と試料3−2を複合化させたものであるが、これらを単なる足し合わせた以上に周波数変化およびKファクターが増大している。
また試料3−1は、ケトン分子であるアセトンに対しても高い感度を有することから、ケトン分子を対象とする感応材料として有用である。
オクタンに対しては、試料3−2のPDMSが最も周波数変化が大きい。これは非極性のPDMSでは、分子構造による双極子モーメントは極めて小さいため、ファンデルワールス力がガス吸着に対し支配的であるためである。
図8より、濃度増加に伴い周波数がほぼ一定の割合で変化することから、導入ガスを再現性よく吸着、脱離することが確認できた。
表3に示した周波数変化の最大値は、いずれも感応膜の膜厚1μmあたりの周波数変化の最大値である。また、周波数変化の最大値が大きいほど、ガスの吸着量が多いことを示す。
アルキル基である2−エチル−ヘキシル基をRとして導入した試料5−1は、アルキルであるオクタンに対しての吸着量が最も多い。Rとしてアルキル基を導入すると、アルキルに対する感度が向上する。
Rがヒドロキシル基(水素原子)の複合材料である試料5−2は、複合化前の図5の試料2−2に比べて、極性分子であるアセトン、エタノールに対しての吸着量が増えた。PDMSと複合化することによって、感度が向上することが確認できた。
Claims (7)
- 前記基板が、金からなる、またはSi系材料の表面に金薄膜を形成したものからなることを特徴とする請求項1に記載のセンサー素子。
- 前記カリックスアレン系複合材料と前記基板とが自己組織化単分子膜を介して結合されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー素子。
- 基板の上に、[化2]で表わされるカリックスアレン誘導体とポリジメチルシロキサンとが複合化されたカリックスアレン系複合材料からなる感応膜が形成されてなるセンサー素子と、前記感応膜によりターゲット物質を吸着し、吸着した前記ターゲット物質による前記センサー素子の物理的な変化を検出する検出手段と、を有することを特徴とするセンサー。
(上記[化2]において、mは4〜8から選択される整数、Xは炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、あるいはエステル基、カルボキシル基、シアノ基、アミド基の少なくとも1種の官能基と結合してなる炭素数1〜20の炭化水素基、から選択されるいずれか1種または2種以上を表す。) - 前記検出手段が、吸着された前記ターゲット物質による質量変化を振動型質量検出センサーの周波数変化として検出する検出手段であることを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
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