JP5771408B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤ、特には、タイヤのビード部の耐久性に優れる空気入りタイヤに関する。
従来、例えば特許文献1に記載されているように、タイヤのビード部において、図1のようにビードフィラに硬ゴムと軟ゴムとを併用して、車両の操縦安定性と乗り心地とを両立させたタイヤが提案されている。
しかし、この図1に示すタイヤの構造の場合には、図1のA点に応力が集中するため、セパレーションが生じやすく、ビード耐久性に問題が生じていた。
特開2008-94116号公報
しかしながら、特許文献2のように追加の部材としてゴムシートBを挿入する場合は、部材増による生産性の悪化や、図3に示すように、シート端部にエアCが入ってしまう恐れがあり、このようなエア入りは亀裂発生の核となり易く、これを起点としたビード部の故障につながる可能性があるという問題があった。
それゆえ、本発明は、これらの問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、タイヤのビード部の構造の改良を図ることで、操縦安定性、乗り心地を両立させつつ、ビード耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意究明を重ねたところ、タイヤ幅方向断面において、ビードフィラの軟ゴム部をV字型にして、軟ゴム部が、断面三角形状である硬ゴム部を覆うようにし、さらに、硬ゴム部のタイヤ径方向外方の頂点における軟ゴム部のビードフィラのタイヤ幅方向に対するタイヤ外側の厚さをタイヤ内側の厚さより厚くすることによって、操縦安定性と乗り心地を両立させつつビード耐久性を向上させることができること、また、タイヤが外側に倒れこむときの倒れこみを防止できること、さらに、このとき追加の部材を用いないためエア入りを防止でき、部材増によるコストの上昇を回避できること、の知見を得た。
本発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカス本体部及び該カーカス本体部から前記ビードコアに沿ってタイヤ幅方向内側から外側に巻き回され、少なくとも前記ビードコアのタイヤ径方向外側面まで巻き付けられた巻き込み部を有するカーカスを備え、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にタイヤ幅方向断面が三角形状のビードフィラを有する空気入りタイヤであって、
前記ビードフィラは、タイヤ幅方向断面において、底辺が前記巻き込み部に沿って配置され、該底辺に対向する頂点がタイヤ径方向外方にある三角形状の硬質のゴム部と、タイヤ幅方向断面において該硬質のゴム部の前記底辺に隣接する2つの辺を覆う軟質のゴム部とからなり、
前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺のタイヤ幅方向最外側点と前記頂点とを結ぶ外側斜辺が三角形状の内部に凸に屈折した形状をなしており、前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺が前記巻き込み部の端部まで沿って延び、該端部よりもタイヤ幅方向内側において屈折して前記ビードコアに直接接する形状をなしていることを特徴とする。
この発明のタイヤにあっては、タイヤ幅方向断面において、ビードフィラの軟ゴム部をV字型にして、軟ゴム部が断面三角形状の硬ゴム部を覆うようにしたことから、硬ゴムとカーカスとの間の応力による歪みを緩和でき、セパレーションを防止してビード耐久性を高めることができる。また、硬ゴム部と軟ゴム部を併用していることにより、操縦安定性及び乗り心地を両立できる。
さらに、タイヤ幅方向断面において、硬ゴム部のタイヤ径方向外方の頂点における軟ゴム部のタイヤ幅方向に対するタイヤ外側の厚さとタイヤ内側の厚さより高くすることによって、硬ゴムの剛性によりタイヤが外側に倒れこむときの倒れこみを抑制することができる。
加えて、本発明においては新たな部材を必要としないので、生産性の悪化を招くことなく、また、エア入りを防止することができる。
この発明によれば、エア入りや生産性悪化の原因となる新たな部材を用いることなく、操縦安定性及び乗り心地を両立し、かつ、タイヤの外側への倒れこみを抑制できるタイヤを実現することができる。
従来のタイヤの断面図である。 他の従来のタイヤの断面図である。 巻き込み型ビード構造の場合の本発明によるタイヤの断面図である。 折り返しプライ構造の場合の本発明によるタイヤの断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図3は、本発明に従う一実施形態の空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のビード部をタイヤ幅方向断面図にて示している。このタイヤは、図3に示すようにビード部において、ビードコア1とビードコア1に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に巻き回され、ビードコア1のタイヤ径方向外側面まで巻き付けられた巻き込み部2aを有するカーカス2とを備えたビード構造となっている。ビード部は、さらに、カーカス2の巻き込み部2aに沿って配置される底辺3と、底辺3に対向する頂点4で交わる内側斜辺5a及び外側斜辺5bとを有する断面三角形状をなすビードフィラ6を有している。
ビードフィラ6は、底辺3と底辺3に対向する頂点7で交わる内側斜辺8a及び外側斜辺8bを有する断面三角形状をなす硬ゴム部6aと、硬ゴム部6aの内側斜辺8a及び外側斜辺8bを覆う軟ゴム部6bとからなる。
頂点7における、軟ゴム部6bのタイヤ幅方向に対するタイヤ内側の厚さt1とタイヤ外側の厚さt2は、タイヤ外側の厚さt2の方が厚く設定されている。
また、図3に示すように、カーカス2には、補強材として、ワイヤチェーファ9、ナイロンチェーファ10、ゴムチェーファ11が順に巻きついている。
このような構成によると、まず、従来のタイヤのビード部と同様に硬ゴムと軟ゴムを併用しているため、硬ゴムでビード部の剛性を上げ、操縦安定性を向上させつつ、軟ゴムで車両の乗り心地も向上させ、両者のバランスをとることで、操縦安定性と乗り心地を両立させることができる。
また、硬ゴム部6aが軟ゴム部6bに覆われた構造となっているため、タイヤ幅方向内側において、カーカス2は、ビードフィラ6の硬ゴム部6aとは直接的には接せず、軟ゴム部6bと接するため、ビードフィラ6とカーカス2との間の応力を緩和して、応力による歪みを緩和させて、セパレーションを防止し、ビード耐久性を向上させることができる。
さらに、図3に示すように、頂点7における、軟ゴム部6bのタイヤ幅方向に対するタイヤ外側の厚さt2をタイヤ内側の厚さt1より厚くすることによって、歪みの影響の出やすいタイヤ外側における応力による歪みを効果的に防止することができる。
また、タイヤが外側に倒れこもうとする場合に、剛性の高い硬ゴム部6aがタイヤ内側に近いことにより、タイヤ外側への倒れこみを支える効果が高くなる。
さらにまた、図2に示すタイプのビード部を有する従来のタイヤでは、ゴムシートを新たな部材として使用しており、生産性の悪化やエア入りが懸念されるのに対し、本発明にかかる図3に示すビード部では新たな部材を必要としないため、かような欠点が改善される。
また、図3ではカーカス2がビードコア1に巻き付いた構造を例に挙げているが、本発明はそれに限定されるものではなく、カーカス2がタイヤ幅方向内側から外側に折り返された構造の場合においても本発明の構造を採用できる。この場合は、図4に示すように、ビードコア1に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に折り返される、折り返し部2bを有するカーカス2を備えたタイヤのビード部において、ビードフィラ6の底辺3がビードコア1のタイヤ径方向外面に沿って配置された構造となる点で、図3の場合の構造と異なるが、その他の点は同様である。
このようなカーカスが折り返された構造の場合も、同様の原理によって、操縦安定性と乗り心地を両立させ、歪みの影響の出やすいタイヤ外側における応力による歪みを効果的に防止し、タイヤ外側への倒れこみを支える効果が高め、生産性の悪化やエア入りを回避することができる。
ところで本発明において、硬ゴム部6aは、図3及び図4に示すように外側斜辺8bが三角形状の内部に凸に屈折した形状をなしている。
また、図3のカーカスが巻き込み部を有するタイプの構造の場合、硬ゴム部6aは、底辺3が巻き込み部2aに該巻き込み部2aの端部まで沿って延び、該端部付近において、底辺3は屈折し、ビードコア1に直接接する形状である
同様に図4のカーカスが折り返し部を有するタイプの構造の場合、硬ゴム部6aは、底辺3がビードコア1のタイヤ径方向外側面におけるタイヤ幅方向内側の端部まで沿って延び、該端部付近において、底辺3は屈折し、ビードコア1に直接接する形状である
なお、硬ゴムと軟ゴムの2種類のゴムを用いたビードフィラを形成するためには、シングルチューバーを2台組み合わせた複合押出機である、デュアルチューバーを用いることができる。
次に、従来技術のタイヤと本発明のタイヤでビード剛性及びビード耐久性に差があることを確認するための試験を行った。
発明例1として、図3に示すタイプのタイヤ、すなわち、カーカスが巻き込み部を有するタイプのビード構造で、ビードフィラの軟ゴム部をV字型にして、軟ゴム部が断面三角形状の硬ゴム部覆うようにし、さらに、図3の頂点7における軟ゴム部のタイヤ幅方向に対するタイヤ外側の厚さt2をタイヤ内側の厚さt1より厚くしたタイヤを試作した。また、発明例2として、図4に示すタイプのタイヤ、すなわち、カーカスがタイヤ幅方向内側から外側に折り返された構造で、軟ゴムのビードフィラをV字型にして、軟ゴム部が断面三角形状の硬ゴム部を覆うようにし、さらに、図4の頂点7における軟ゴム部のタイヤ幅方向に対するタイヤ外側の厚さt2をタイヤ内側の厚さt1より厚くしたタイヤを試作した。
比較例1として、図2に示すタイプのタイヤ、すなわち、硬ゴムのタイヤ幅方向外側に軟ゴム、内側にゴムシートを埋設したタイヤを試作した。また、比較例2として、図1に示すタイプのタイヤ、すなわち、硬ゴムのタイヤ幅方向外側に軟ゴムを埋設したタイヤを試作した。
ビード剛性及びビード耐久性を向上したタイヤを製造して、市場に提供できる。
1 ビードコア
2 カーカス
2a 巻き込み部
2b 折り返し部
3 底辺
4 頂点
5a 内側斜辺
5b 外側斜辺
6 ビードフィラ
6a 硬ゴム部
6b 軟ゴム部
7 硬ゴム部の頂点
8a 硬ゴム部の内側斜辺
8b 硬ゴム部の外側斜辺
9 ワーヤチェーファ
10 ナイロンチェーファ
11 ゴムチェーファ
12 サイドウォール
A 応力集中点
B ゴムシート
C エア
D 屈折点
E 屈折点
t1 硬ゴム部の頂点におけるタイヤ幅方向内側の厚さ
t2 硬ゴム部の頂点におけるタイヤ幅方向外側の厚さ
t3 屈折点Dにおけるタイヤ幅方向内側の厚さ
t4 屈折点Dにおけるタイヤ幅方向外側の厚さ

Claims (3)

  1. 一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカス本体部及び該カーカス本体部から前記ビードコアに沿ってタイヤ幅方向内側から外側に巻き回され、少なくとも前記ビードコアのタイヤ径方向外側面まで巻き付けられた巻き込み部を有するカーカスを備え、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にタイヤ幅方向断面が三角形状のビードフィラを有する空気入りタイヤであって、
    前記ビードフィラは、タイヤ幅方向断面において、底辺が前記巻き込み部に沿って配置され、該底辺に対向する頂点がタイヤ径方向外方にある三角形状の硬質のゴム部と、タイヤ幅方向断面において該硬質のゴム部の前記底辺に隣接する2つの辺を覆う軟質のゴム部とからなり、
    前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺のタイヤ幅方向最外側点と前記頂点とを結ぶ外側斜辺が三角形状の内部に凸に屈折した形状をなしており、
    前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺が前記巻き込み部の端部まで沿って延び、該端部よりもタイヤ幅方向内側において屈折して前記ビードコアに直接接する形状をなしている、空気入りタイヤ。
  2. 一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカス本体部及び該カーカス本体部から前記ビードコアに沿ってタイヤ幅方向内側から外側に折り返される、折り返し部を有するカーカスを備え、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にタイヤ幅方向断面が三角形状のビードフィラを有する空気入りタイヤであって、
    前記ビードフィラは、タイヤ幅方向断面において、底辺が前記ビードコアのタイヤ径方向外面に沿って配置され、該底辺に対向する頂点がタイヤ径方向外方にある三角形状の硬質のゴム部と、タイヤ幅方向断面において該硬質のゴム部の前記底辺に隣接する2つの辺を覆う軟質のゴム部とからなり、
    前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺のタイヤ幅方向最外側点と前記頂点とを結ぶ外側斜辺が三角形状の内部に凸に屈折した形状をなしており、
    前記硬質のゴム部は、タイヤ幅方向断面において、前記底辺が前記ビードコアの前記タイヤ径方向外面におけるタイヤ幅方向内側の端部まで沿って延び、該端部よりもタイヤ幅方向内側において屈折して前記ビードコアに直接接する形状をなしている、空気入りタイヤ。
  3. 前記頂点における、前記軟質のゴム部のタイヤ幅方向に対するタイヤ内側の厚さとタイヤ外側の厚さは、タイヤ外側の方が厚く設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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