JP5772998B2 - 切削性に優れる焼結部材用の鉄基混合粉末 - Google Patents
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この焼結工程においては、加熱とともに粉末冶金用原料粉間の相互に熱拡散が進行して材料強度が増大する。この時、熱拡散による不均一な収縮が起きるため、一般に、焼結後の材料は切削加工によって所望の寸法に整える。また、横穴や斜めの穴等加圧成形で付与することが困難な構造についても、焼結後のドリル加工やボーリング加工を施して所望の寸法に整えている。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
(1)焼結部材用の鉄基粉末に、SiO2-CaO-MgO系の酸化物粉末を該鉄基粉末:100質量部に対して、0.01〜1.0質量部の割合で配合し、かつ該酸化物粉末がMgOの一部を、酸化物粉末:100質量部に対して、0.1〜25質量部のAl2O3および/またはTiO2で置換してなることを特徴とする快削性焼結部材用の鉄基混合粉末。
本発明において、鉄基粉末としては、アトマイズ鉄粉や還元鉄粉などの純鉄粉、または部分拡散合金化鋼粉および完全合金化鋼粉、さらには完全合金化鋼粉に合金成分を部分拡散させたハイブリッド鋼粉などが例示される。
本発明は、かかる鉄基粉末に、切削性を高めるためのSiO2-CaO-MgO系酸化物粉末を混合したことを特徴とするものである。
さらに、本発明では、酸化物粉末のMgOの一部をAl2O3および/またはTiO2で置換することが重要である。この置換量は、酸化物粉末:100質量部に対して、0.1〜25質量部とする。
この融点範囲では、鉄基粉末を成形した後に焼結する際、酸化物が融解して鉄粉と反応し、より低融点の粗大な酸化物に成長するおそれが少ない。また、一般には、原子間の凝集力が弾性的性質を決める傾向にあり、原子間の凝集力が比較的低い低融点の物質は、弾性係数も低い傾向にある。それゆえ、酸化物の融点としては比較的低温に属している上記した酸化物粉末は、酸化物の中では弾性係数が低いものと考えられる。このことより、焼結体の切削時において、上記した酸化物粉末は、その切削面上で容易に変形できるため、切削工具と被削材の切削面の間に拡がって工具の磨耗を抑制し、切削性改善効果を有することができる。
というのは、一般に、粉末粒子の表面に細かな凹凸があると、粒子間の接触面積が小さくなるため粒子間付着力が小さくなり、粉末の凝集状態が解消することが知られている。鉄粉にも凹凸が存在するが、その表面粗度は、算術平均粗さRaで10μm程度であり、粉末の凝集状態が解消するには十分な凹凸とはいえないからである。
一方、平均粒径が10μmを超えると、はじめから鉄粉表面に存在する凸凹の曲率と同等となり、粒子を付着させる意義が薄れ、さらに、酸化物粉末は、焼結時に分解することなくそのまま焼結体中に存在する。そのため、酸化物粉末の粒径が大きすぎると焼結体の強度低下を招く。なお、好ましくは、1〜5μmの範囲である。
具体的には、金属石鹸、アミドワックス、ポリアミド、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等を使用する。特に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸モノアミド、およびエチレンビスステアロアミド等が好ましく、これらの潤滑剤および結合剤は単体で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
潤滑剤および結合剤の分布を均一にするためには、鉄基粉末表面と潤滑剤および結合剤との濡れ性を改善する必要がある。そこで、鉄基粉末表面と潤滑剤および結合剤との濡れ性を改善するために、濡れ改善剤を使用することが好ましい。
なお、濡れ改善剤の混合量は、特に限定はないが、鉄基粉末に対し0.01〜0.1mass%程度が好ましい。
本発明では、機械撹拌式混合機を用いて、鉄粉と黒鉛、Cu粉、Ni粉等の各種合金成分、潤滑剤および結合剤を混合して作製する切削性に優れた焼結部材用の鉄基混合粉末の製造過程で、酸化物粒子を同時に添加混合して製造する。
つまり、融点を1000〜1800℃に調整した酸化物粒子を鉄基粉末に添加して焼結することで、焼結体内部に酸化物粒子が存在することとなる。この内部の酸化物粒子が切削時の工具と被削材の摩擦発熱により軟化し、被削材表面に移動または溶出して、工具と被削材の間の摩擦を低減するとともに、被削材表面に移動した酸化物粒子の被膜が摩擦発熱による工具の酸化劣化を防止することで、工具磨耗ならびに工具欠損が同時に低減し、その結果、切削性が改善されるものと考えられる。
アトマイズ純鉄粉(商品名:JFEスチールJIP301A)に、合金用粉末として、0.8mass%の黒鉛粉末(平均粒径:4μm)と、2mass%の電解銅粉を添加し、この鉄粉と合金用粉末からなる鉄基粉末に対し、切削性改善用粉末として表1に示す配合割合および平均粒径になるSiO2-CaO-MgO系粉末を添加した。さらに、鉄基粉末と切削性改善用粉末とを含む粉末全体で、0.8mass%の比率になる潤滑剤を添加し、所定時間混合して鉄基混合粉末とした。
なお、比較例として、本発明に従う切削性改善用粉末を含有しないもの(比較例1)、および従来使用されてきたMnSを添加したもの(比較例2)も準備した。
ついで、これらの試験片成形体を、メッシュベルト炉のRX混合ガス雰囲気中で、1130℃×20分の条件により焼結して焼結体とし、これらを3つ重ねた円筒状の形で旋盤にセットし、外周を研削した。1000m切削したところで切削を止め、工具チップの横逃げ面のアブレッシブ磨耗の幅を測定した。
試験結果を表1に併記する。
還元鉄粉(商品名:JFEスチールJIP255M)に、合金用粉末として、0.8mass%の黒鉛粉末(平均粒径:4μm)と、2mass%のアトマイズ銅粉を添加し、この鉄粉と合金用粉末からなる鉄基粉末に対し、切削性改善用粉末として表2に示す配合割合および平均粒径になるSiO2-CaO-MgO系粉末を添加した。さらに、鉄基粉末と切削性改善用粉末とを含む粉末全体で、0.8mass%の比率になる潤滑剤を添加し、所定時間混合して鉄基混合粉末とした。
なお、比較例として、本発明に従う切削性改善用粉末を含有しないもの(比較例3)および、従来使用されてきたMnSを添加したもの(比較例4)も準備した。
ついで、これらの試験片成形体を実施例1と同じ条件で焼結体とし、これらを3つ重ねた円筒状の形で旋盤にセットし、外周を研削した。1000m切削したところで切削を止め、工具チップの横逃げ面のアブレッシブ磨耗の幅を測定した。
試験結果を表2に併記する。
Claims (1)
- 焼結部材用の鉄基粉末に、SiO2-CaO-MgO系の酸化物粉末を該鉄基粉末:100質量部に対して、0.01〜1.0質量部の割合で配合し、かつ該酸化物粉末がMgOの一部を酸化物粉末:100質量部に対して、0.1〜25質量部のAl2O3および/またはTiO2で置換してなることを特徴とする快削性焼結部材用の鉄基混合粉末。
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