JP5773029B2 - 液晶層形成用組成物、円偏光分離シート及びその製造方法、輝度向上フィルム並びに液晶表示装置 - Google Patents

液晶層形成用組成物、円偏光分離シート及びその製造方法、輝度向上フィルム並びに液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、円偏光分離シート等の光学材料の作製に有用な液晶層形成用組成物、当該液晶層形成用組成物から作製された円偏光分離シート、並びに、当該円偏光分離シートを備える輝度向上フィルム及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置などのディスプレイ装置において、視野角やコントラストを向上させたり、輝度を向上させたりすることを目的として、複屈折フィルムが用いられている。かかる複屈折フィルムとしては、正又は負の固有複屈折を有するポリマーの延伸フィルムが知られていた。しかし、これら延伸フィルムは高温下において変形や光学特性の変化を生じることがあった。
そこで、耐熱性を向上させたフィルムとして、液晶性を有する化合物(以下、適宜「液晶性化合物」という。)を用いたフィルムが提案されている。その例を挙げると、高分子液晶性化合物を基材に塗布して配向させ成膜したフィルムや、重合性液晶性化合物を基材に塗布及び配向させて熱又は光によって硬化して成膜したフィルムなどが知られている。しかし、これら液晶性化合物を成膜して得られるフィルムでは、液晶性化合物の溶解性の低さから使用できる液晶性化合物が限定され、十分な光学特性が得られ難い。また、液晶性化合物は欠陥なく均一に塗布することが難しく、生産性に欠ける。そこで、特許文献1〜3において改善方法が提案されている。
国際公開第2006/088101号 特開平10−104615号公報 特表2007−502911号公報
液晶性化合物を成膜して得られるフィルムのひとつに円偏光分離シートが挙げられる。この円偏光分離シートは例えばコレステリック液晶を塗布して製造されるものである。円偏光分離シートを輝度向上フィルムとして用いる場合、円偏光分離シートは波長範囲で300nm以上の広い選択反射帯域を有することが好ましい。このように広い選択反射帯域を実現するためには、屈折率異方性Δnが0.20以上に高い液晶性化合物を塗布することが望まれる。
しかし、一般に屈折率異方性の高い液晶性化合物ほど、結晶性が増して溶解性に乏しくなり、欠陥なく均一に塗布することが難しい。例えば特許文献1〜3記載の技術で屈折率異方性の高い液晶性化合物を成膜しようとすれば、特許文献1記載の液晶層形成用インキ組成物は液晶性化合物に対して貧溶媒であるアルコール系溶剤を含有するため、塗布中に液晶性化合物が析出して欠陥が生じる可能性がある。また、特許文献2記載の技術では比較的Δnの低い液晶化合物に対しては好適であるが、結晶性の高い高Δn液晶化合物に対しては2−ブタノンが貧溶媒となるため、高Δn液晶化合物を塗布する際に液晶化合物の析出が発生して欠陥となる可能性がある。また、特許文献3記載の技術では蒸気圧の比較的高い1,3−ジオキソランを多く使用するために厚みムラが発生しやすく、均一な成膜が難しい。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、欠陥なく均一な液晶層を効率よく製造できる液晶層形成用組成物、この液晶層形成用組成物を用いた円偏光分離シート及びその製造方法、並びに、前記の円偏光分離シートを備える輝度向上フィルム及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は上述した課題を解決するべく鋭意検討した結果、環状ケトン構造を有する溶媒と、環状エーテル構造を有する溶媒とを組み合わせた混合溶媒が、屈折率異方性の高い液晶性化合物を良好に溶解するため、欠陥がなく均一な液晶層を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔8〕を要旨とする。
〔1〕 1分子中に2つ以上の重合性官能基を有し、且つ屈折率異方性が0.20以上である液晶性化合物と、環状ケトン構造を有する溶媒と、環状エーテル構造を有する溶媒とを含む液晶層形成用組成物。
〔2〕 前記環状ケトン構造を有する溶媒がシクロペンタノンである〔1〕記載の液晶層形成用組成物。
〔3〕 前記環状エーテル構造を有する溶媒が1,3−ジオキソランである〔1〕又は〔2〕記載の液晶層形成用組成物。
〔4〕 環状ケトン構造を有する溶媒と環状エーテル構造を有する溶媒とが重量比で30/70以上90/10以下である〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶層形成用組成物。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶層形成用組成物を基材へ塗布し、硬化する工程を経て得られる円偏光分離シート。
〔6〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶層形成用組成物を基材へ塗布して液晶層を得る工程と、前記液晶層を硬化する工程とを含む円偏光分離シートの製造方法。
〔7〕 〔5〕記載の円偏光分離シート及び位相差フィルムを備える輝度向上フィルム。
〔8〕 〔7〕記載の輝度向上フィルム及び液晶パネルを備える液晶表示装置。
本発明によれば、欠陥なく均一な液晶層を効率よく製造できる液晶層形成用組成物、この液晶層形成用組成物を用いた円偏光分離シート及びその製造方法、並びに、前記の円偏光分離シートを備える輝度向上フィルム及び液晶表示装置を実現できる。
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
〔1.液晶層形成用組成物〕
本発明の液晶層形成用組成物は、1分子中に2つ以上の重合性官能基を有し且つ屈折率異方性が所定値以上である液晶性化合物(以下、適宜「高Δn重合性液晶性化合物」という。)と、環状ケトン構造を有する溶媒(以下、適宜「環状ケトン溶媒」という。)と、環状エーテル構造を有する溶媒(以下、適宜「環状エーテル溶媒」という。)とを含む組成物である。
〔1−1.液晶性化合物〕
高Δn重合性液晶性化合物は、1分子中に2つ以上の重合性官能基を有する。重合性官能基は、適切な条件下において重合反応を生じて高Δn重合性液晶性化合物を重合させる基である。高Δn重合性液晶性化合物が重合性官能基を2つ以上有することにより、液晶層形成用組成物を成膜して硬化させる場合に、高Δn重合性液晶性化合物を重合させて安定した硬化物を得ることができる。逆に、1分子中に重合性官能基が1つ以下であると、液晶層形成用組成物を成膜して硬化させた場合に、架橋した硬化物が得られないため円偏光分離シート等として実用に耐えうる膜強度が得られないことがある。後述する架橋剤を使用した場合でも、膜強度が不足し実用は困難になる傾向がある。
なお、実用に耐えうる膜強度とは、鉛筆硬度(JIS K5400)でHB以上、好ましくはH以上である。膜強度がHBより低いと傷がつきやすくハンドリング性に欠ける。好ましい鉛筆硬度の上限は、光学的性能や耐久性試験に悪影響を及ぼさなければ特に限定されない。
前記の重合性官能基としては、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、チオエポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、及びアミノ基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのことを指す。また、1分子中に含まれる重合性官能基は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
高Δn重合性液晶性化合物の屈折率異方性は、通常0.20以上、好ましくは0.21以上、より好ましくは0.23以上である。高Δn重合性液晶性化合物の屈折率異方性が高いことにより、高Δn重合性液晶性化合物を含む液晶層形成用組成物の屈折率異方性を向上させて、優れた光学的性能(例えば、円偏光分離特性)を有する円偏光分離シートを実現できる。また、屈折率異方性が0.30以上であると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望の光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。
なお、化合物の屈折率異方性はセナルモン法により測定できる。
高Δn重合性液晶性化合物の中でも好ましい例を挙げると、下記の一般式(1)で表される棒状液晶性化合物が挙げられる。
R1−C1−D1−C3−M−C4−D2−C2−R2 (1)
一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、重合性官能基を表す。
一般式(1)において、D1及びD2は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のメチレン基及びアルキレン基等の二価の飽和炭化水素基、並びに、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
一般式(1)において、C1〜C4は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。
一般式(1)において、Mはメソゲン基を表す。Mの具体例を挙げると、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される基を表す。
前記のメソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R3、−O−C(=O)−R3、−C(=O)−O−R3、−O−C(=O)−O−R3、−NR3−C(=O)−R3、−C(=O)−NR3R4、または−O−C(=O)−NR3R4を表す。
ここで、R3及びR4は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。R3及びR4がアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR5−C(=O)−、−C(=O)−NR5−、−NR5−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R5は、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。前記「置換基を有してもよい炭素原子数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明の液晶層形成用組成物は、1種類の高Δn重合性液晶性化合物を単独で含んでいてもよく、2種類以上の高Δn重合性液晶性化合物を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
高Δn重合性液晶性化合物の分子量は、好ましくは600以上である。本発明の液晶層形成用組成物が後述するように一般式(2)で表される化合物を含む場合、高Δn重合性液晶性化合物の分子量を前記のように大きくすれば、一般式(2)で表される化合物の分子量がそれよりも分子量の大きい高Δn重合性液晶性化合物の隙間に入り込むことができ、配向均一性を向上させることができる。
本発明の液晶層形成用組成物において、高Δn重合性液晶性化合物の濃度は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。高Δn重合性液晶性化合物の濃度をこのような範囲に収めることにより、高Δn重合性液晶性化合物の析出を抑制しながら、所望の液晶層を効率よく成膜できる。
〔1−2.溶媒〕
本発明の液晶層形成用組成物は、溶媒として、環状ケトン溶媒と環状エーテル溶媒とを含む。通常、本発明の液晶層形成用組成物はこれらの溶媒に他の成分が溶解した溶液の状態で使用される。これらの環状ケトン溶媒及び環状エーテル溶媒を含むことにより、液晶層形成用組成物において高Δn重合性液晶性化合物の溶解性と溶媒の乾燥速度の制御性とを良好にして、欠陥のない均一な成膜が可能となる。
環状ケトン溶媒としては、例えば、シクロプロパノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、中でもシクロペンタノンが好ましい。なお、環状ケトン溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
環状エーテル溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、中でも1,3−ジオキソランが好ましい。なお、環状エーテル溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の液晶層形成用組成物において、環状ケトン溶媒は環状エーテル溶媒よりも蒸気圧が低いことが好ましい。この観点から、環状ケトン溶媒と環状エーテル溶媒との重量比率(環状ケトン溶媒/環状エーテル溶媒)は、通常30/70以上、好ましくは40/60以上、より好ましくは45/55以上であり、通常90/10以下、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下である。前記範囲の下限以上とすることにより、溶媒の乾燥速度が過度に速くなることを防止して厚みムラの発生を抑制できる。また、前記範囲の上限以下とすることにより、溶媒の乾燥速度が過度に遅くなることを防止して液晶層及び液晶硬化物層に溶媒が残留することを抑制できる。
本発明の液晶層形成用組成物における環状ケトン溶媒及び環状エーテル溶媒の量は、高Δn重合性液晶性化合物100重量部に対する環状ケトン溶媒及び環状エーテル溶媒の合計量で、通常100重量部以上、好ましくは150重量部以上、より好ましくは200重量部以上であり、通常1900重量部以下、好ましくは900重量部以下、より好ましくは500重量部以下である。この範囲の下限以上とすることにより高Δn重合性液晶性化合物の析出を安定して抑制でき、この範囲の上限以下とすることにより溶媒量が過剰となって液晶層及び液晶硬化物層の製造効率が低下することを防止できる。
〔1−3.その他の成分〕
本発明の液晶層形成用組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した成分以外にその他の成分を含んでいてもよい。
例えば、本発明の液晶層形成用組成物は、下記一般式(2)で表される化合物を含んでいてもよい。
R6−A1−Z−A2−R7 (2)
一般式(2)において、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基を表す。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は、置換されていなくてもよく、ハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。さらに、アルキル基及びアルキレンオキサイド基のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
また、前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は、炭素原子数1〜2個のアルキル基及び/又はアルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
R6及びR7として好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
R6及びR7の少なくとも一方は重合性官能基であることが好ましい。R6及び/又はR7として重合性官能基を有することにより、前記一般式(2)で表される化合物が硬化時に液晶層中に固定され、より強固な膜である液晶硬化物層を形成することができる。ここで重合性官能基とは、例えば、高Δn重合性液晶性化合物と同様のものが挙げられ、中でもカルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基が好ましい。
一般式(2)において、A1及びA2はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていなくてもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基で1つ以上置換されていてもよい。さらに、A1及びA2のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
A1及びA2として特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、高Δn重合性液晶性化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一能がより高くなる。
一般式(2)において、Zは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される。Zとして特に好ましいものとしては、単結合、−OCO−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物は、少なくとも一種が液晶性を有することが好ましく、また、キラリティを有することが好ましい。また、本発明の液晶層形成用組成物は、一般式(2)で表される化合物として、複数の光学異性体の混合物を含有することが好ましい。例えば、複数種類のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を含有することができる。一般式(2)で表される化合物の少なくとも一種は、その融点が、50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
一般式(2)で表される化合物が液晶性を有する場合には、その屈折率異方性は高いことが好ましい。これにより、本発明の液晶層形成用組成物の屈折率異方性を向上させることができ、広帯域の円偏光分離シートを作製することができる。一般式(2)で表される化合物の少なくとも一種の屈折率異方性は、好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上である。なお、一般式(2)で表される化合物の中には高Δn重合性液晶性化合物としての要件を充足するものもありえ、そのような化合物は本発明に係る高Δn重合性液晶性化合物として扱うものとする。
本発明の液晶層形成用組成物において、前記一般式(2)で表される化合物の分子量が600未満であることが好ましい。一般式(2)で表される化合物の分子量が600未満であることにより、一般式(2)で表される化合物がそれよりも分子量の大きい高Δn重合性液晶性化合物の隙間に入り込むことができ、本発明の液晶層形成用組成物における液晶性化合物の配向均一性を向上させることができる。
一般式(2)で表される化合物として特に好ましい具体例としては、例えば、下記の化合物(A1)〜(A10)が挙げられる。なお、化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
Figure 0005773029
Figure 0005773029
一般式(2)で表される化合物の配合割合は、(一般式(2)で表される化合物の合計重量)/(高Δn重合性液晶性化合物の合計重量)の重量比で、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が特に好ましく、また、1以下が好ましく、0.65以下がより好ましく、0.45以下が特に好ましい。前記重量比が小さすぎると本発明の液晶層形成用組成物における液晶性化合物の配向均一性が不十分となる場合があり、また逆に大きすぎると本発明の液晶層形成用組成物における液晶性化合物の配向均一性が低下したり、本発明の液晶層形成用組成物の液晶相の安定性が低下したり、本発明の液晶層形成用組成物の液晶組成物としての屈折率異方性が低下して、成膜した場合に所望の光学的性能(例えば、円偏光分離特性)が得られない場合がある。なお、合計重量とは、1種を用いた場合にはその重量を示し、2種以上用いた場合には合計の重量を示す。
また、例えば、本発明の液晶層形成用組成物は、硬化後の膜強度向上や耐久性向上のために、架橋剤を含んでいてもよい。当該架橋剤としては、本発明の液晶層形成用組成物を塗布した液晶層の硬化時に同時に反応したり、硬化後に熱処理を行って反応を促進したり、湿気により自然に反応が進行したりして、液晶硬化物層の架橋密度を高めることができ、かつ配向均一性を悪化させないものを適宜選択し用いることができる。また架橋剤は、例えば紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;などが挙げられる。なお、架橋剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、本発明の液晶層形成用組成物には架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を含ませ、膜強度や耐久性向上に加えて生産性を向上させるようにしてもよい。
前記架橋剤の配合割合は、本発明の液晶層形成用組成物を硬化して得られる液晶硬化物層中における架橋剤の濃度が0.1重量%〜15重量%となるようにすることが好ましい。架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られない可能性があり、逆に15重量%より多いと液晶硬化物層の安定性を低下させる可能性がある。
また、例えば、本発明の液晶層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤を用いてもよいが、通常は光重合開始剤を用いる。当該光重合開始剤としては、例えば、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。
光重合開始剤の例を挙げると、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェノン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。なお、所望する物性に応じて重合開始剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて本発明の液晶層形成用組成物に公知の光増感剤や重合促進剤としての三級アミン化合物を含ませて、液晶層形成用組成物の硬化性をコントロールすることもできる。
重合開始剤の配合割合は、本発明の液晶層形成用組成物中0.03重量%〜7重量%であることが好ましい。重合開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなり得られる液晶硬化物層の膜強度が低下する場合がある。逆に7重量%より多いと、液晶性化合物の配向を阻害して液晶相が不安定になる場合がある。
また、例えば、本発明の液晶層形成用組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。当該界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。
界面活性剤の例を挙げると、疎水基部分にシロキサン、フッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤等が好適に使用できる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤としては、例えば、OMNOVA社PolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652;ネオス社フタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D;セイミケミカル社サーフロンのKH−40等を用いることができる。なお、界面活性剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の配合割合は、本発明の液晶層形成用組成物を硬化して得られる液晶硬化物層中における界面活性剤の濃度が0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。界面活性剤の配合割合が0.05重量%より少ないと空気界面における配向規制力が低下して配向欠陥が生じる場合がある。逆に3重量%より多い場合には、過剰の界面活性剤が液晶性化合物分子間に入り込み、配向均一性を低下させる場合がある。
また、例えば、本発明の液晶層形成用組成物は、カイラル剤を含んでいてもよい。カイラル剤の具体例としては、特開2005−289881号公報、特開2004−115414号公報、特開2003−66214号公報、特開2003−313187号公報、特開2003−342219号公報、特開2000−290315号公報、特開平6−072962号公報、米国特許第6468444号公報、国際公開第98/00428号、特開2007−176870号公報、等に掲載されるものを適宜使用することができる。その具体例を挙げると、例えばBASF社パリオカラーのLC756が挙げられる。なおカイラル剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カイラル剤の配合割合は、所望する光学的性能を低下させない範囲とする。具体的なカイラル剤の配合割合は、本発明の液晶層形成用組成物中、1重量%〜60重量%とすることが好ましい。
本発明の液晶層形成用組成物は、例えば、ポットライフ向上のための重合禁止剤、耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を含んでいてもよい。ただし、これらその他の成分の配合割合は、所望する光学的性能を低下させない範囲とする。
なお、その他の成分は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔1−4.液晶層形成用組成物の製造方法等〕
本発明の液晶層形成用組成物の製造方法は、特に限定されず、上記各成分を混合することにより製造することができる。
本発明の液晶層形成用組成物は、保存時及び使用時において高Δn重合性液晶性化合物が析出しにくいため欠陥の発生を抑制できる。また、溶媒の蒸発速度を容易に制御できるため、厚みムラのない均一な成膜が可能である。さらに、本発明の液晶層形成用組成物では従来に比べてより広範な高Δn重合性液晶性化合物を安定な溶解状態にできるため、広範な高Δn重合性液晶性化合物を用いて多様なタイプの液晶層及び液晶硬化物層の製造に適用できる。
〔2.円偏光分離シートの製造方法〕
本発明の液晶層形成用組成物は、前記のように欠陥なく均一な液晶層及び液晶硬化物層を形成できるという優れた利点を有する。これを利用して、本発明の液晶層形成用組成物を用い、円偏光分離シートを製造できる。以下、この円偏光分離シートの製造方法について説明する。
本発明の液晶層形成用組成物を用いて円偏光分離シートを製造する場合、少なくとも、液晶層形成用組成物を基材へ塗布して液晶層を得る塗布工程と、得られた液晶層を硬化して液晶硬化物層を得る硬化工程とを行う。また、前記の塗布工程及び硬化工程に加えて更に別の工程を行ってもよく、例えば、塗布工程と硬化工程との間に配向処理工程を行ってもよい。
〔2−1.基材の用意〕
基材は、本発明の液晶層形成用組成物を塗布する対象となる部材である。この基材は、液晶硬化物層の形成後に剥がしてもよいが、剥がさずに液晶硬化物層と共に円偏光分離シートの一部として用いてもよい。基材を円偏光分離シートの一部として用いる場合、基材として通常は透明基材を用いる。透明基材の具体的な光線透過率は円偏光分離シートの用途に応じて一様ではないが、例えば1mm厚で全光線透過率が80%以上の基材を使用できる。
透明基板の材料は例えば透明樹脂を用いることができる。透明基材の材料の具体例を挙げると、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン等の鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性などの観点から脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。また、透明基材は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上の層を有する積層構造であってもよい。
基材上には配向膜を設けてもよい。配向膜を設けることにより、その上に塗布される本発明の液晶層形成用組成物の層中の液晶性化合物を所望の方向により確実に配向させることができる。配向膜は、基材表面に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、配向膜の材料を水又は溶剤に溶解させた溶液等を塗布し、乾燥させ、その後乾燥塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。
前記配向膜の材料としては、例えば、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどが挙げられるが、変性ポリアミドが特に好ましい。
前記変性ポリアミドとしては、例えば、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが挙げられる。中でも脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが好ましい。具体例を挙げると、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、3元ないし4元共重合ナイロン、脂肪酸系ポリアミド、又は脂肪酸系ブロック共重合体(例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド)に変性を加えたもの等が挙げられる。当該変性としては、例えば、末端アミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性などの変性、並びにアミド基の一部をアルキルアミノ化又はN−アルコキシアルキル化する変性が挙げられる。N−アルコキシアルキル化変性ポリアミドとしては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、又はナイロン−12等の共重合ナイロンのアミド基の一部をN−メトキシメチル化したものが挙げられる。前記変性ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上であり、好ましくは500000以下、より好ましくは200000以下である。
配向膜の厚さは、液晶層に所望の配向均一性が得られる厚さであればよい。具体的には、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
〔2−2.塗布工程〕
本発明の液晶層形成用組成物を基材へ塗布する塗布工程を行うことにより、液晶層が得られる。基材表面に配向膜を形成している場合、配向膜上に本発明の液晶層形成用組成物を塗布するようにする。通常は、塗布後、一定時間の経過により塗膜から溶媒が乾燥除去され、高Δn重合性液晶性組成物を含む液晶層が基材上に形成される。この際、環状ケトン溶媒及び環状エーテル溶媒を含む混合溶媒が高Δn重合性液晶性化合物を良好に溶解させているため、高Δn重合性液晶性化合物の析出による液晶層の欠陥を防止できる。また、環状ケトン溶媒及び環状エーテル溶媒を含む混合溶媒の乾燥速度は過度に速すぎないため、塗膜に厚みムラが生じることがなく、ひいては液晶層及び液晶硬化物層の厚みムラの発生を防止できる。
本発明の液晶層形成用組成物の塗布方法に制限はないが、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法等の方法で実施すればよい。
塗布時の温度条件は、通常10℃以上、好ましくは13℃以上、より好ましくは16℃以上であり、通常60℃以下、好ましくは45℃以下、より好ましくは35℃以下である。温度を前記範囲の下限以上とすることにより溶媒の乾燥速度が過度に遅くなって製造効率が低下することを防止でき、また上限以下とすることにより溶媒の乾燥速度が過度に速くなって液晶層の厚みムラが発生することをより安定して防止できる。
〔2−3.配向処理工程〕
塗布工程により液晶層を形成した後、硬化工程の前に、必要に応じて、配向処理を施してもよい。配向処理は、例えば液晶層を50℃〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行えばよい。配向処理を施すことにより、液晶層中の液晶性化合物を良好に配向させることができる。
〔2−4.硬化工程〕
液晶層の形成後、液晶層を硬化させる硬化工程を行う。硬化工程を行うことにより重合性官能基が反応して高Δn重合性液晶性化合物等が重合し、液晶層が硬化して液晶硬化物層が得られる。
硬化工程において行う具体的な処理の内容は、前記の重合性官能基の重合を進行させるものであればよく、例えば、少なくとも1回の加熱処理及び/又は光照射処理を行うようにすればよい。
加熱処理における加温温度条件は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは140℃以下である。また、加熱処理における処理時間は、通常1秒以上、好ましくは5秒以上であり、通常3分以下、好ましくは120秒以下である。
また、光照射処理に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、例えば波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行えばよい。また、例えば0.01〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温処理とを複数回交互に繰り返し、反射帯域の広い円偏光分離シートを得ることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、例えば50〜10,000mJ/cm2の比較的強い紫外線を照射し、高Δn重合性液晶性化合物を完全に重合させ、液晶硬化物層とすることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
〔2−5.円偏光分離シートの製造方法におけるその他の事項〕
前記の塗布工程、配向処理工程及び硬化工程は、1回だけ行い液晶硬化物層を1層だけ形成するようにしてもよく、2回以上繰り返して2層以上の液晶硬化物層を形成することもできる。ただし、塗布工程及び硬化工程をそれぞれ1回のみ行った場合であっても、良好に配向した高Δn重合性液晶性化合物の重合物を含み、例えば5μm以上といった十分な厚みの液晶硬化物層を容易に形成することはできる。
〔2−6.得られる円偏光分離シートの構成〕
以上のようにして形成される液晶硬化物層は、通常、コレステリック樹脂層である。コレステリック樹脂層は、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるという具合に、分子が一定方向に配列している平面を進むに従って分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造を有する。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
コレステリック樹脂層は、円偏光分離機能を有する。すなわち、ある特定波長域の左回転若しくは右回転の円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過する機能を有する。したがって、このコレステリック樹脂層を備えるシートは、円偏光分離シートとして機能することになる。
コレステリック樹脂層としては、円偏光分離機能を可視光の全波長領域にわたって発揮するものが好ましい。具体的には、400nm〜750nmの波長領域の光について円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層が好ましい。例えば、青色(波長410〜470nm)、緑色(波長520〜580nm)、赤色(波長600〜660)nmのいずれの波長域の光についても円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層が好ましい。
円偏光分離機能を発揮する波長は、コレステリック樹脂におけるカイラル構造のピッチに依存する。カイラル構造のピッチとは、カイラル構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離のことである。このカイラル構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
通常、上述した製造方法により液晶硬化物層として得られるコレステリック樹脂層は、高Δn重合性液晶性化合物が硬化工程において重合し液晶性を失った非液晶性の樹脂層である。非液晶性の樹脂層であることにより、周囲の温度や電界などによってコレステリック規則性が変化しないため、好ましい。
また、上述した製造方法により得られる液晶硬化物層は、通常、カイラル構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層となる。これにより、当該コレステリック樹脂層は、連続的に変化するピッチの大きさに対応した広範な範囲の波長において、円偏光分離機能を発揮できるようになっている。
また、得られる液晶硬化物層の別の構成としては、例えば、カイラル構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂層が挙げられる。カイラル構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂層は、例えば、青色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、緑色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、及び、赤色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層を積層することによって得ることができる。また、反射される円偏光の中心波長が470nm、550nm、640nm、及び770nmであるコレステリック樹脂層をそれぞれ作製し、これらのコレステリック樹脂層を任意に選択し、反射光の中心波長の順序で3〜7層積層することによって得ることができる。カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層を積層する場合には、各コレステリック樹脂層で反射する円偏光の回転方向が同じであることが好ましい。また、カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層の積層順序は、カイラル構造のピッチの大きさで、昇順又は降順になるようにすることが、視野角の広い液晶表示装置を得るために好ましい。これらコレステリック樹脂層の積層は、単に重ね置いただけでもよいし、粘着剤や接着剤を介して固着させてもよい。
このようなタイプのコレステリック樹脂層を製造するには、例えば、各ピッチに対応したコレステリック樹脂層を上述した製造方法で製造して張り合わせたり、あるピッチに対応したコレステリック樹脂層の上に別のピッチに対応したコレステリック樹脂層を積み重ねるようにして上述した方法で製造したりすればよい。
液晶硬化物層の厚さに制限はないが、円偏光分離シートにコレステリック樹脂層として設ける場合、その乾燥膜厚は、好ましくは3.0μm以上、より好ましくは3.5μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは8μm以下である。コレステリック樹脂層の乾燥膜厚が3.0μmより薄いと反射率が低下する傾向があり、逆に10.0μmより厚いと、コレステリック樹脂層に対して斜め方向から観察した時に着色することがある。なお、前記乾燥膜厚は、液晶硬化物層が2以上の層である場合は各層の膜厚の合計を指し、液晶硬化物層が1層である場合にはその膜厚を指す。
円偏光分離シートは、少なくとも前記の液晶硬化物層をコレステリック樹脂層として備えていれば、更に別の層を備えていてもよい。例えば、上記の透明基材、配向膜、保護層、粘着層などが挙げられる。
本発明の円偏光分離シートは、欠陥及び厚みムラのない均一な液晶硬化物層を備えるため、欠陥及び場所ごとのバラツキが無い均一な円偏光分離機能を発揮できる。また、本発明の円偏光分離シートの製造方法によれば、前記のような優れた円偏光分離シートを効率よく製造できる。
〔3.輝度向上フィルム〕
本発明の輝度向上フィルムは、少なくとも、上述した円偏光分離シート及び位相差フィルムを備える。輝度向上フィルムは、通常、光源側から円偏光分離シート及び位相差フィルムがこの順になるようにして、液晶表示装置などに設けられる。液晶表示装置等において、バックライト等の光源からの光が輝度向上シートを透過する際、円偏光分離シートにより所定の偏光のみが選択的に反射し、残りの光が透過される。透過した光はさらに位相差フィルムを透過することにより所定の偏光に変換され、液晶セルに入射する。一方、円偏光分離シートにより反射された光は、液晶表示装置の他の構成要素(反射板等)により反射されて偏光状態を変化させながら再度円偏光分離シートに入射し、円偏光分離シートを透過する所定の偏光となったものは円偏光分離シートを透過し、位相差フィルムにより所定の偏光に変換され、液晶セルに入射する。このように、輝度向上シートにより、液晶セルによる表示に必要な所定の偏光を増加させて液晶セルに供給することができるようになっている。
位相差フィルムは、それに入射した光に位相差を生じさせる光学素子である。位相差フィルムとしては、例えば、180°の位相差を生じさせる1/2波長板、90°の位相差を生じさせる1/4波長板などが挙げられる。本発明の輝度向上フィルムは、通常、位相差フィルムとして1/4波長板を備える。
1/4波長板は、その正面方向のリターデーションRe(以下、「Re」と略記することがある。)を透過光の略1/4波長とすればよい。ここで、透過光の波長範囲は、輝度向上フィルムに求められる所望の範囲とすることができ、具体的には例えば400nm〜700nmである。また、正面方向のリターデーションReが透過光の略1/4波長であるとは、Re値が、透過光の波長範囲の中心値において、中心値の1/4の値から±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲であることをいう。このようなリターデーション値を有することにより、1/4波長板は偏光変換機能、即ち円偏光を直線偏光に変換する機能を発現することができる。
また、1/4波長板は、厚み方向のリターデーションRth(以下、「Rth」と略記することがある。)が0nm未満であることが望ましい。厚み方向のリターデーションRthの値は、透過光の波長範囲の中心値において、好ましくは−30nm〜−1000nm、より好ましくは−50nm〜−300nmとすることができる。このようなRe値及びRthを有する1/4波長板を採用することにより、輝度向上フィルムは輝度を向上させ輝度ムラを低減させながら、出射光の色ムラをも低減させることができる。
ここで、前記正面方向のリターデーションReは、式I:Re=(nx−ny)×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値であり、厚み方向のリターデーションRthは、式II:Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxの方向に直交する方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値である。
なお、前記正面方向のリターデーションRe及び厚み方向のリターデーションRthは、市販の位相差測定装置を用いて、1/4波長板を長手方向及び幅方向に100mm間隔(長手方向又は横方向の長さが200mmに満たない場合は、その方向へは等間隔に3点指定する)で、全面にわたり、格子点状に測定を行い、その平均値とする。
1/4波長板としては、例えば、フィルム状のポリマーを延伸してなる延伸フィルムを用いることができる。好ましい例として、スチレン系樹脂層を含む樹脂フィルムを延伸してなる1/4波長板が挙げられる。より好ましくは、以下に述べる光学異方性素子が挙げられる。
1/4波長板を構成する光学異方性素子は、スチレン系樹脂からなる層を有するものが好ましい。ここでスチレン系樹脂とは、スチレン構造を繰り返し単位の一部又は全部として有するポリマー樹脂であり、中でもポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
光学異方性素子に用いるスチレン系樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)で、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは250,000以下、より好ましくは200,000以下である。
前記光学異方性素子は、好ましくは、前記スチレン系樹脂からなる層と、他の熱可塑性樹脂を含む層との積層構造を有する。当該積層構造を有することにより、スチレン系樹脂による光学的特性と、他の熱可塑性樹脂による機械的強度とを兼ね備えた素子とすることができる。他の熱可塑性樹脂としては、脂環式構造を有する樹脂やメタクリル樹脂を好適に用いることができる。
脂環式構造を有する樹脂としては、例えば脂環式オレフィンポリマーが挙げられる。脂環式オレフィンポリマーは、主鎖及び/または側鎖にシクロアルカン構造又はシクロアルケン構造を有する非晶性のオレフィンポリマーである。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、例えばメタクリル酸エステルの単独重合体や、メタクリル酸エステルとその他の単量体との共重合体が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。共重合体とする場合は、メタクリル酸エステルと共重合するその他の単量体としては、アクリル酸エステルや、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物などが用いられる。
1/4波長板の好ましい具体的態様として、スチレン系樹脂からなるフィルム(a層)の両面に、他の熱可塑性樹脂からなるフィルム(b層)を積層してなる複層フィルムを延伸してなる延伸複層フィルムが挙げられる。
a層の材料である前記スチレン系樹脂及びb層の材料である前記他の熱可塑性樹脂を積層して、複層フィルムに成形する方法は、特に限定されず、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及びコーティング成形方法などが挙げられる。中でも、製造効率や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。押出し温度は、使用する前記スチレン系樹脂、及び前記他の熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択され得る。
複層フィルムは、前記a層の両面に、前記b層を積層してなる。a層とb層の間には、粘着層を設けることができるが、a層とb層とを直接に積層させる(つまり、b層/a層/b層の3層構成の積層体とする)ことが好ましい。また、複層フィルムにおいて、前記a層及びその両面に積層されたb層の厚みは特に制限はないが、好ましくはそれぞれ10〜300μm及び10〜400μmとすることができる。
前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムを延伸してなる。当該延伸は、好ましくは一軸延伸又は斜め延伸により行うことができ、さらに好ましくはテンターによる一軸延伸又は斜め延伸により行うことができる。
光学異方性素子の厚みは、好ましくは50μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは600μm以下である。
1/4波長板は、それ自体が光学補償層としての機能をも有するものであってもよいが、1/4波長板に加え、別途光学補償層を有していてもよい。かかる光学補償層としては、上に述べた光学異方性素子と同様のものを用いることができるほか、基板上に液晶分子をホメオトロピック配向させて硬化させたホメオトロピック液晶配向フィルム(特許第3992969号公報)、基板上に液晶分子をネマチックハイブリッド配向させた状態を硬化したネマチックハイブリッド液晶配向フィルム(特開2000−66192号公報)等を用いることができる。
本発明の輝度向上フィルムは、上述した円偏光分離シート及び位相差フィルム以外にも、更に別の層を備えていてもよい。例えば、それに入射した光を拡散させる光拡散シート;それに入射した光を集光する集光シート;輝度向上フィルムを構成する光学素子同士を粘着させるための粘着層;輝度向上フィルムに防汚性、傷つき防止性等の機能を付与する保護フィルム;ハードコート層;アンチブロッキング層等が挙げられる。
本発明の輝度向上フィルムは、欠陥及び厚みムラのない均一な液晶硬化物層を備えるため、液晶表示装置等に設けられた場合に、その輝度を、欠陥や輝度ムラを無くして均一に高めることができる。
〔4.液晶表示装置〕
本発明の液晶表示装置は、本発明の輝度向上フィルム及び液晶パネルを備える。液晶パネルは、特に限定されず液晶表示装置に用いられているものを適宜用いることができる。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶パネル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶パネル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶パネル、IPS(In Plane Switching)型液晶パネル、VA(Vertical Alignment)型液晶パネル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶パネル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶パネルなどが挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、通常、さらにバックライトを備える。この場合、バックライトと液晶パネルとの間に輝度向上フィルムが配置された構成とする。より具体的には、液晶表示装置のバックライトと液晶セルとの間において、円偏光分離シートの層が位相差フィルムの層よりもバックライト側になるように本発明の輝度向上フィルムを配置し、輝度向上を達成することができる。
本発明の液晶表示装置は本発明の液晶層形成用組成物を用いて製造された液晶硬化物層を備える。この液晶硬化物層に欠陥がないため、本発明の液晶表示装置は、表示画像においても欠陥のない高画質を実現できる。また、液晶硬化層に厚みムラがないため、表示画像における輝度ムラの発生を抑制できる。さらに、広範な種類の高Δn重合性液晶性化合物を使用できるため、設計の自由度を高めることもできる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の記載において、量を表す「部」は、特に断らない限り「重量部」を表す。また、構造式においてMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
[実施例1〜7及び比較例1,2]
(配向膜を有する透明樹脂基材の調製)
脂環式オレフィンポリマーからなるフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」)の両面をコロナ放電処理した。5重量%のポリビニルアルコール水溶液を当該フィルムの片面に♯2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥し、膜厚0.1μmの配向膜を形成した。次いで当該配向膜をラビング処理し、配向膜を有する透明樹脂基材を調製した。
(コレステリック液晶組成物の調製)
表1に示す配合割合(重量比)で各成分を混合して、液晶層形成用組成物としてコレステリック液晶組成物を調製した。
なお、コレステリック液晶組成物に含まれる各成分の詳細は、以下の通りである。
化合物1としては、下記化合物を使用した。この化合物1は高Δn重合性液晶性化合物であり、その屈折率異方性は0.22である。
Figure 0005773029
化合物2としては、下記化合物を使用した。この化合物2は液晶性を有さない化合物である。
Figure 0005773029
化合物3としては、下記化合物を使用した。この化合物3は高Δn重合性液晶性化合物であり、その屈折率異方性は0.23である。
Figure 0005773029
カイラル剤としては、商品名LC756(BASF社製)を用いた。
重合開始剤としては、商品名イルガキュアOXE02(チバ・ジャパン社製)を用いた。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤(商品名フタージェント209F、ネオス社製)を用いた。
(円偏光分離シートの作製)
温度23℃において、上記で調製した配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に、前記のように調製したコレステリック液晶組成物を♯10のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜として液晶層を成膜した。この塗膜を100℃で5分間配向処理し、当該塗膜に対して0.1〜45mJ/cm2の微弱な紫外線の照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理からなるプロセスを2回繰り返した後、窒素雰囲気下で2000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、乾燥膜厚5μmのコレステリック樹脂層(液晶硬化物層に相当する。)を有する円偏光分離シートを作製した。
(円偏光分離シートの評価)
上記で作製した円偏光分離シートについて、温度23℃、湿度50%の環境下でライトボックス上に該円偏光分離シートを設置し、偏光板を通して色ムラ、結晶析出に由来する点欠陥を目視観察した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005773029
表1に示すように、本発明の実施例1〜7では、比較例1,2と比較して、色ムラ及び欠陥が少ない円偏光分離シートが得られる。
ここで、実施例1,2と実施例3とを比較すると、環状ケトン溶媒としてシクロペンタノンを用いた場合に、特に色ムラが少ない円偏光分離シートが得られることが分かる。また、実施例1,2と実施例4,5とを比較すると、環状エーテル溶媒として1,3−ジオキソランを用いた場合に、特に色ムラが少ない円偏光分離シートが得られることが分かる。さらに、実施例1,2と実施例6とを比較すると、環状ケトン構造を有する溶媒と環状エーテル構造を有する溶媒との比率には、好適な範囲があることが分かる。
(光学異方性素子の作製)
メタクリル酸メチル97.8重量%とアクリル酸メチル2.2重量%とからなるモノマー組成物を、バルク重合法により重合させ、樹脂ペレットを得た。
特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて、ゴム粒子を製造した。このゴム粒子は、内側から順に芯内層、内層及び外層を備えた球形3層構造を有し、芯内層がメタクリル酸メチル及び少量のメタクリル酸アリルの架橋重合体であり、内層が主成分としてのアクリル酸ブチルとスチレン及び少量のアクリル酸アリルとを架橋共重合させた軟質の弾性共重合体であり、外層がメタクリル酸メチル及び少量のアクリル酸エチルの硬質重合体である。また、内層の平均粒子径は0.19μmであり、外層をも含めた粒径は0.22μmであった。
上記樹脂ペレット70重量部と、上記ゴム粒子30重量部とを混合し、二軸押出機で溶融混練して、メタクリル酸エステル重合体組成物A(ガラス転移温度105℃)を得た。
上記メタクリル酸エステル重合体組成物A(b層)、及びスチレン無水マレイン酸共重合体(ガラス転移温度130℃)(a層)を温度280℃で共押出成形することにより、b層/a層/b層の三層構造で、各層が45/70/45(μm)の平均厚みを有する複層フィルムを得た。この積層フィルムを、テンター延伸機で、遅相軸がMD方向(machine direction、製造ラインにおけるフィルムの流れ方向であり、長尺のフィルムの長手方向)に対して45°傾いた方向になるように、延伸温度134℃、延伸倍率1.8倍で斜め延伸し、光学異方性素子を得た。
光学異方性素子の正面方向のリターデーションReは140nm、厚み方向のリターデーションRthは−85nm(各数値は斜め延伸後の測定値である。)であった。さらにこの光学異方性層の片面を、濡れ指数が56dyne/cmになるようにコロナ放電処理を施した。
(拡散粘着層の作製)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(商品名「PET50AL」、リンテック(株))社製)に、ベース樹脂(商品名「SKダイン2094」、綜研化学(株)製、アクリル酸エステル共重合体、固形分率25%、溶媒:酢酸エチル/2−ブタノン=93/7))400部、多官能エポキシ架橋剤(商品名「E−AX」、綜研化学(株)製)1.1部及び微粉体(商品名「ケミスノーMX300」、綜研化学(株)製)4.3部からなる組成を有する粘着性組成物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布した。100℃にて2分乾燥し、膜厚20μmの粘着層を形成し、セパレータ−拡散粘着層の層構成を有する積層体を得た。
(輝度向上フィルムの作製)
前記の光学異方性素子のコロナ放電処理面と、前記のセパレータ−拡散粘着層の層構成を有する積層体の拡散粘着層側の面とを貼り合わせ、光学異方性素子−拡散粘着層−セパレータの層構成を有する積層体Aを得た。
上述したように作製した円偏光分離シートのコレステリック樹脂層の表面に、濡れ指数60mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。積層体Aのセパレータを拡散粘着層から剥離し、露出した拡散粘着層と、上記の円偏光分離シートのコロナ放電処理面とを貼り合わせ、光学異方性素子−拡散粘着層−円偏光分離シートの層構成を有する輝度向上フィルムを得た。
(輝度向上フィルムの評価)
市販の液晶テレビ(ソニー(株)製 BRAVIA KDL32J5000)を分解し、拡散シート及び輝度向上フィルムを取り出し、代わりに、作製した輝度向上フィルムを、表示面に適合する適当な寸法にカットして組み込み、再び組み立てた。得られたテレビを駆動させ、表示面のムラと円偏光分離シートに存在していた点欠陥の視認可否を目視で観察し評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005773029
表2から、本発明の円偏光分離シートを用いれば、表示面におけるムラがなく、また目視にて視認できる程度の欠陥のない輝度向上フィルム及び液晶表示装置を実現できることが分かる。
本発明の液晶層形成用組成物は、液晶層の製造に係る任意の分野に使用することができ、特にコレステリック樹脂層の形成に用いて好適である。
本発明の円偏光分離シート及び輝度向上フィルムは、光学素子として任意の用途に使用できるが、中でも液晶表示装置に用いて好適である。
本発明の液晶表示装置は、表示装置として任意の装置において好適に設けることができる。

Claims (6)

  1. 1分子中に2つ以上の重合性官能基を有し、且つセナルモン法により測定された屈折率異方性が0.20以上である液晶性化合物と、
    環状ケトン構造を有する溶媒と、
    環状エーテル構造を有する溶媒とを含み、
    前記環状ケトン構造を有する溶媒がシクロペンタノンであり、
    環状ケトン構造を有する溶媒と環状エーテル構造を有する溶媒とが重量比で30/70以上90/10以下である、液晶層形成用組成物。
  2. 前記環状エーテル構造を有する溶媒が1,3−ジオキソランである請求項1記載の液晶層形成用組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の液晶層形成用組成物を基材へ塗布し、硬化する工程を経て得られる円偏光分離シート。
  4. 請求項1又は2に記載の液晶層形成用組成物を基材へ塗布して液晶層を得る工程と、
    前記液晶層を硬化する工程と
    を含む円偏光分離シートの製造方法。
  5. 請求項3記載の円偏光分離シート及び位相差フィルムを備える輝度向上フィルム。
  6. 請求項5記載の輝度向上フィルム及び液晶パネルを備える液晶表示装置。
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