JP5775687B2 - 分光検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分光検出装置に関し、特に、広い波長範囲の光を同時に検出する分光検出装置に関する。
分光検出装置の基本構成は、光を分光する分光素子と、分光された光を波長毎に集光させる集光光学系と、分光された光を検出する光検出器からなる。このような分光検出装置では、分光された光が光検出器に入射する座標、より厳密には、分光された光が波長算出面に入射する座標、から光検出器で検出された光の波長が特定される。
一般に、波長算出面は、集光光学系の結像面に設けられる。光検出器としてシングルチャンネル検出器が使用される場合には、光検出器に入射する光を制限するスリットが配置される面が波長算出面となる。また、光検出器として複数のセルからなるアレイ検出器が使用される場合には、セルの受光面が波長算出面となる。
通常、波長算出面上でスリットが移動し得る1ステップのサイズや波長算出面上の各セルのサイズは一定である。このため、波長算出面に光が入射する座標は波長に対して線形に変化することが望ましく、現に多くの光検出装置では、波長算出面に入射する座標と波長が線形関係にあると仮定して波長が算出されている。
しかしながら、実際には、波長算出面に入射する座標と波長の間に線形関係は成立しない。
分光素子である回折格子の干渉条件は、一般に、以下の式(1)で表される。ここで、αは回折格子への入射角、βは回折格子からの出射角、λは入射波長、Nは回折格子の格子周波数、mは回折次数である。
sinα+sinβ=Nmλ ・・・(1)
入射角αを一定として式(1)の両辺を出射角βで微分すると、以下の式(2)が導かれる。ここで、dβ/dλは出射角の分散を示している。
dβ/dλ=Nm/cosβ ・・・(2)
出射角の分散がcosβに依存していることから、出射角は波長に対して非線形に変化する。即ち、回折格子により分光された光は、波長に対して非線形な出射角で射出される。
集光光学系として、通常、色収差が良好に補正されたレンズ、または、色収差が発生しない集光ミラーが用いられることを考慮すると、波長に対する出射角の非線形性は、集光光学系により波長に対する集光位置(座標)の非線形性に変換されることになる。
さらに、出射角の分散がcosβに反比例していることから、回折格子は出射角βが0から離れるほど出射角βの波長λに対する非線形性が強くなるといった特性を有する。一方で、回折格子で高い回折効率を得やすい配置、特に、ブレーズド回折格子でのリトロー配置や、VPH(Volume Phase Holographic)グレーティングでのブラッグ条件を満たす配置では、出射角β=0にすることができない。このため、一般的な回折格子の使用環境では、非線形性が顕著に表れてしまい、その影響は無視できない。
以上のように、従来の分光検出装置では、分光素子である回折格子の波長に対する出射角の非線形性に由来して、波長算出面に光が入射する座標と波長の間には線形関係が成立しない。このため、座標と波長が線形関係にあるとの仮定の下で算出された波長(以降、算出波長と記す。)と光検出器で実際に検出された光が有する波長(以降、入射波長と記す。)との間にずれ(以降、検出波長ずれと記す。)が生じることから、正確な波長検出は困難である。
図9は、従来技術に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。以下、図9を参照しながら、分光検出装置で生じ得る具体的な検出波長ずれの量について例示する。
図9に例示される分光検出装置100aは、入射光ILを分光する回折格子1と、分光された光を検出する光検出器2と、回折格子1と光検出器2の間に配置されて、回折格子1で分光された光を光検出器2に集光させる集光光学系3aを含んでいる。
分光検出装置100aは、光が波長算出面2aに入射するy座標と波長とが線形関係にあるとの仮定の下で、同時に取り込み得る光の最大波長範囲の中心値λCが600nm、最大波長範囲の幅Δλが200nm、最大波長範囲λC−Δλ/2からλC+Δλ/2が500nmから700nm、となるように設計されている。なお、最大波長範囲は、回折格子1の分散、集光光学系3aの焦点距離、光検出器2の大きさによって定まる。
回折格子1は、格子周波数が800本/mmのブレーズド回折格子であり、リトロー配置で設置されている。また、集光光学系3aは、色収差が良好に補正されたレンズであり、その光軸が中心波長λCの光Gと略平行になるように配置されている。
以上のように構成された分光検出装置100aでは、回折格子1からの出射角は波長に対して非線形であり、波長が大きくなるにつれて出射角βが大きくなる。その結果、上述した式(2)で示されるように、波長が大きくなるにつれて角度分散も大きくなる。また、集光光学系3aは色収差が良好に補正されているため、波長に対する出射角の非線形性は、そのまま光が光検出器2に入射する座標にも反映される。
従って、600nmの光Gの分散を基準に、分散特性の線形性を仮定して各波長の光の入射座標を算出すると、500nmの光Bは算出される座標より内側に、700nmの光Rはより外側に入射する。つまり、光B、光Gともに入射波長より大きな波長として算出されることになる。具体的には、光Bは501nm、光Rは701nmと約1nm誤って算出される。
結果として、分光検出装置100aでは、500nmから700nmの光を検出するつもりが、実際には約1nmずれて、499nmから699nmの光を検出してしまう。即ち、入射波長と算出波長の間にずれが生じてしまう。
なお、光Gが光検出器2(波長算出面2a)に入射するy座標を0(原点)として、yBをy座標の原点から光Bが光検出器2に入射する座標までの変位、yRをy座標の原点から光Rが光検出器2に入射する座標までの変位、θBを光Gと光Bのなす角、θRを光Gと光Rのなす角とすると、分光検出装置100aでは、図9に例示されるように、yB<yR、θB<θRの関係が成り立つことになる。
このような分光検出装置で検出波長ずれが生じるという技術的な課題に対して有効な技術が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特許文献1では、回折格子等の波長分散素子と集光光学系の間に非線形分散補償手段を配置することにより、波長分散素子の出射角の非線形性を補償する技術が開示されている。具体的には、回折格子と集光光学系の間にプリズムを挿入することにより出射角の非線形性を補償して、波長分散特性を平坦化する技術が開示されている。また、回折格子とプリズムを一体化した構成により、回折格子とプリズムの相対位置の調整を不要にする例も開示されている。
特許文献2では、集光光学系にf・sinθレンズを用いて、回折格子の法線と集光光学系の光軸を平行に配置することにより、波長に対する像高(入射座標)の非線形性を解消する技術が開示されている。
特許文献1及び特許文献2に開示される技術によれば、回折格子等からの出射角の非線形性由来の検出波長ずれを補償することができる。
特開2000−304614号公報 特開平9−89668号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、回折格子と光検出器の間に、集光光学系以外の光学素子が必要となる。このため、装置の構成が複雑化してしまう。また、追加された光学素子と他の構成要素との間で厳密な角度調整が必要となるため、調整作業の負担が増加する。回折格子とプリズムを一体化した構成でも、光検出器への光の入射位置とプリズムからの射出角とをプリズムと一体化された回折格子の姿勢により厳密に調整する必要があるため、調整作業の負担は大きい。
また、特許文献2に開示される技術では、その構成上、回折光の集光光学系への入射角度が大きくなる。入射角度の大きな光に対しても正弦条件を満たすf・sinθレンズとして集光光学系を構成しようとすると、一般的に、集光光学系は1群では足りず、複数群構成にする必要がある。このため、レンズ構成が複雑になり、それに伴ってその調整も複雑になる。
以上のような実情を踏まえ、本発明では、簡単な構成で、分光素子からの出射角の非線形性に由来する、入射波長と算出波長の間のずれを補償する技術を提供することを課題とする。
第1の態様は、光を分光するための分光素子と、前記分光素子で分光された光を検出するための光検出器と、前記分光された光を光検出器に集光させ、前記分光素子で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを倍率色収差により補償する集光光学系と、を含み、前記検出波長ずれは、前記光検出器に光が入射する座標と波長との間に線形関係が成り立つと仮定の下で算出される波長と、前記分光素子で分光された光が色収差が良好に補正された光学系を介して前記光検出器で検出されたと仮定の下で算出される波長と、の間のずれである分光検出装置を提供する。
第2の態様は、第1の態様に記載の分光検出装置において、λ1を光検出器で取り込まれる波長の最小値とし、λ2を光検出器で取り込まれる波長の最大値とし、δ1を波長λ1の光に対する集光光学系の最軸外における倍率色収差とし、δ2を波長λ2の光に対する集光光学系の最軸外における倍率色収差とするとき、以下の条件式を満たす分光検出装置を提供する。
δ1>δ2
第3の態様は、第2の態様に記載の分光検出装置において、集光光学系が1枚の正レンズと1枚の負レンズからなり、正レンズのアッベ数をνp、負レンズのアッベ数をνnとするとき、以下の条件式を満たす分光検出装置を提供する。
2<νp/νn<5
第4の態様は、第1の態様に記載の分光検出装置において、さらに、分光検出装置に光を入射させる開口スリットと、開口スリットと分光素子の間に置かれたコリメート光学系と、を含み、集光光学系で発生する軸上色収差がコリメート光学系により補正される分光検出装置を提供する。
本発明によれば、簡単な構成で、分光素子からの出射角の非線形性に由来する、入射波長と算出波長の間のずれを補償する技術を提供することができる。
本発明の各実施例に係る分光検出装置の基本構成を例示した概略図である。 実施例1に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。 実施例1に係る分光検出装置に含まれる集光レンズの倍率色収差と通常設計の集光レンズの倍率色収差を比較した図である。 実施例1に係る分光検出装置に含まれる光検出器に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれと、通常設計の集光レンズを用いた場合に光検出器に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれを比較した図である。 実施例2に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。 実施例2に係る分光検出装置に含まれる集光レンズの倍率色収差と通常設計の集光レンズの倍率色収差を比較した図である。 実施例2に係る分光検出装置に含まれるコリメートレンズの球面収差と収差が良好に補正されたコリメートレンズの球面収差とを比較した図である。 実施例2に係る分光検出装置に含まれる光検出器に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれと、通常設計の集光レンズを用いた場合に光検出器に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれを比較した図である。 従来技術に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。
図1は、本発明の各実施例に係る分光検出装置の基本構成を例示した概略図である。まず、図1を参照しながら、本発明の各実施例に係る分光検出装置の基本構成について説明する。
図1に例示される分光検出装置100は、光ILを分光する分光素子である回折格子1と、回折格子1で分光された光を検出する光検出器2と、回折格子1と光検出器2の間に置かれて、回折格子1で分光された光を波長毎に光検出器2に集光させる集光光学系3を含んでいる。
なお、分光検出装置100は、集光光学系3aの代わりに集光光学系3を含む点が、図9に例示される従来技術に係る分光検出装置100aと異なっている。集光光学系3は、回折格子1で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを倍率色収差により補償する集光光学系である。図1では、分光検出装置100と分光検出装置100aとの作用の違いを明確に示すために、集光光学系3を介して光検出器2に入射する光線(実線)に加えて、集光光学系3の代わりに集光光学系3aを介して光検出器2に入射する光線(破線)を併せて示している。
分光検出装置100は、波長算出面2aに光が入射するy座標と波長とが線形関係にあるとの仮定の下で、同時に取り込み得る光の最大波長範囲の中心値が波長λC、最大波長範囲の幅が幅Δλ、最大波長範囲が波長λC−Δλ/2から波長λC+Δλ/2となるように設計されている。また、図1では、光Gは波長λCの光を、光Bは波長λC−Δλ/2の光を、光Rは波長λC+Δλ/2の光を、θBは光Gと光Bのなす角を、θRは光Gと光Rのなす角を示している。
集光光学系3は、その光軸と光Gが略平行となるように配置されている。また、集光光学系3は、短波長側の倍率色収差(例えば、光Bの倍率色収差)が長波長側の倍率色収差(例えば、光Rの倍率色収差)よりも大きくなる、即ち、長波長側の倍率色収差に対してプラス方向に生じるように設計されている。換言すると、集光光学系3は、以下の式(3)を満たすように構成されている。ただし、λ1、λ2は、それぞれ、光検出器2で取り込まれる波長の最小値、最大値であり、δ1、δ2は、それぞれ波長λ1、λ2の光に対する集光光学系3の最軸外における倍率色収差である。
δ1>δ2 ・・・(3)
集光光学系3の短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差よりも大きいという特性は、従来の集光光学系の特性とは大きく異なっている。
集光光学系に用いられる通常のガラスは、波長が短いほど屈折率が高くなるため、単レンズで構成された集光光学系では、波長が短いほど集光光学系の近くに集光する。このため、短波長側の倍率色収差は長波長側の倍率色収差よりも小さく、即ち、長波長側の倍率色収差に対してマイナス方向に生じる。従って、図1に例示される集光光学系3は、単レンズで構成された集光光学系とは逆の倍率色収差特性を有している。
また、図9に例示されるような従来技術に係る分光検出装置では、集光光学系3aのように、集光光学系として色収差が良好に補正されたレンズ、もしくは原理上色収差が発生しない集光ミラーが用いられるのが通常である。つまり、短波長側の倍率色収差と長波長側の倍率色収差は、いずれもほぼ0になるように構成されている。従って、図1に例示される集光光学系3は、図9に例示される集光光学系3aとも明らかに異なる倍率色収差特性を有している。
さらに、集光光学系3は、1枚の正レンズと1枚の負レンズからなり、以下の式(4)を満たすように構成されることが望ましい。ただし、vp、vnは、それぞれ、正レンズのアッベ数、負レンズのアッベ数である。
2<vp/vn<5 ・・・(4)
式(4)を満たすことで、集光光学系3で色収差を補正過剰な状態にすることが可能となり、その結果、短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差よりも大きいという特性を容易に実現することができる。
分光検出装置100では、集光光学系3の短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差よりも大きいという特性により、光Gよりも波長の短い光Bでは倍率色収差がプラス方向に生じ、光Gよりも波長の長い光Rでは倍率色収差がマイナス方向に生じる。このため、図1に例示されるように、集光光学系3を用いる分光検出装置100では、色収差が良好に補正された集光光学系3aを用いる場合に比べて、光Bは光検出器2のより外側に、光Rは光検出器2のより内側に入射する。
このように、集光光学系3の倍率色収差による集光位置の変位は、短波長側への変位であり、上述した算出波長が入射波長に対して長波長側にずれる、回折格子1からの出射角の非線形性に由来する検出波長ずれの方向とは反対方向の変位である。このため、分光検出装置100では、集光光学系3の倍率色収差により、回折格子1からの出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを補償することができる。
また、分光検出装置100では、集光光学系3の倍率色収差により検出波長ずれが補償されるため、回折格子1と光検出器2の間に集光光学系3以外の光学素子を追加する必要がなく、装置の構成が複雑化することがない。調整も集光光学系3をその光軸と中心波長の光(図1では、光G)が略平行となるように配置するだけであり、非常に容易に行うことができる。
また、集光光学系3は、その光軸と中心波長の光とが略平行であるため、集光光学系3への光線入射角度が比較的小さな光学系として構成することが可能である。このため、集光光学系3は、構成を複雑にすることなく、十分な結像性能を確保することができる。さらに、短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差よりも大きいという光学特性についても、後述する実施例に示されるように、簡単な構成の光学系で実現することができる。
従って、分光検出装置100によれば、簡単な構成で、分光素子である回折格子1からの出射角の非線形性に由来する、入射波長と算出波長の間のずれを補償することができる。
また、分光検出装置100では、その簡単な構成により光検出器2に入射するまでに光が通過する光学素子の数も少なるため、検出感度の向上や迷光の低減といった効果も得ることができる。
以下、各実施例について具体的に説明する。
図2は、本実施例に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。図2に例示される分光検出装置110は、光ILを分光するための分光素子であるVPHグレーティング11と、VPHグレーティング11で分光された光を検出するための光検出器であるアレイ検出器12と、VPHグレーティング11とアレイ検出器12の間に配置されて、分光された光を波長毎にアレイ検出器12に集光させる集光光学系である集光レンズ13と、を含んでいる。なお、分光検出装置110では、アレイ検出器12の前面が波長算出面である。
VPHグレーティング11の格子周波数は、600本/mmである。アレイ検出器12は、32個の検出セルを有し、各セルのy方向のサイズは、1mmである。
集光レンズ13は、VPHグレーティング11側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ(負レンズL1)と、正のパワーを有する両凸レンズ(正レンズL2)とからなる接合レンズであり、VPHグレーティング11で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを倍率色収差により補償するように構成されている。
略平行な光ILは、VPHグレーティング11で分光されて、集光レンズ13に入射する。集光レンズ13に入射した分光された光は、集光レンズ13により、アレイ検出器12上に波長毎に集光する。分光された光がアレイ検出器12に入射するy座標は、波長毎に異なるため、その入射座標から波長が算出される。
分光検出装置110は、図2に例示されるように、アレイ検出器12で同時に取り込み得る最大波長範囲の幅を320nm、最大波長範囲を440nmから760nmに設定されている。このため、y軸に沿って最もマイナス側の検出セルから順に番号を振り、最もマイナス側のセルを第1セル、最もプラス側の検出セルを第32セルとすると、第1セルで検出された光は440nmから450nmの光として算出され、第32セルで検出された光は750nmから760nmの光として算出される。従って、分光検出装置110では、例えば、520nmから620nmの光を取り込む場合には、第9セルから第18セルによる検出結果を使用すればよい。
集光レンズ13のレンズデータは、以下のとおりである。
集光レンズ13
s r d nd vd
0(分光素子) ∞ 160
1 133.35 6 1.79838 29.84
2 65.411 8 1.49662 81.54
3 -103.0911
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s0は、VPHグレーティング11の射出面を示している。従って、面番号s1が、集光レンズ13の最もVPHグレーティング11側の面を示している。また、面間隔d0は、VPHグレーティング11と集光レンズ13の間隔を示している。
また、波長440nmの光に対する集光レンズ13の最軸外における倍率色収差δ1と、波長760nmの光に対する集光レンズ13の最軸外における倍率色収差δ2と、集光レンズ13の負レンズL1のアッベ数vnと、集光レンズ13の正レンズL2のアッベ数vpは、それぞれ以下のとおりである。
δ1=0.217、δ2=−0.056、vn=29.84、vp=81.54
従って、集光レンズ13は、上述した式(3)及び式(4)を満たしている。
また、集光レンズ13との比較のため、倍率色収差が良好に補正された図示しない通常設計の集光レンズについても開示する。なお、通常設計の集光レンズは、集光レンズ13と同様に負レンズと正レンズの接合レンズとして構成されている。
通常設計の集光レンズのレンズデータは、以下のとおりである。
通常設計の集光レンズ
s r d nd vd
0(分光素子) ∞ 160
1 126.0481 6 1.70049 41.24
2 60.3517 8 1.49662 81.54
3 -123.6468
また、波長440nmの光に対する通常設計の集光レンズの最軸外における倍率色収差δ1と、波長760nmの光に対する通常設計の集光レンズの最軸外における倍率色収差δ2と、通常設計の集光レンズの負レンズのアッベ数vnと、通常設計の集光レンズの正レンズのアッベ数vpは、それぞれ以下のとおりである。
δ1=0.0132、δ2=0.0133、vn=41.24、vp=81.54
従って、通常設計の集光レンズは、集光レンズ13と異なり、上述した式(3)及び式(4)のどちらも満していない。
図3は、本実施例に係る分光検出装置110に含まれる集光レンズ13の倍率色収差と通常設計の集光レンズの倍率色収差を比較した図である。図3(a)は、集光レンズ13の倍率色収差図であり、本実施例に係る分光検出装置110の取り込み中心波長(600nm)を基準とした、最大波長(760nm)での倍率色収差と最小波長(440nm)での倍率色収差が示されている。図3(b)は、通常設計の集光レンズの倍率色収差図であり、分光検出装置110の取り込み中心波長(600nm)を基準とした、最大波長(760nm)での倍率色収差と最小波長(440nm)での倍率色収差が示されている。なお、収差図中の“FIY”は像高を示している。
図3に例示されるように、集光レンズ13は、通常設計の集光レンズと比較して倍率色収差が大きく発生している。また、集光レンズ13では、440nmの倍率色収差が760nmと比較して大きい。つまり、短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差に対してプラス方向に生じている。
図4は、本実施例に係る分光検出装置110に含まれるアレイ検出器12に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれと、集光レンズ13の代わりに通常設計の集光レンズを用いた場合にアレイ検出器12に入射する光の波長とその入射位置から算出される波長とのずれを比較した図である。なお、横軸はアレイ検出器12に入射する光の波長(入射波長)を、縦軸は入射波長と算出波長のずれ(検出波長ずれ)を、黒い棒グラフは集光レンズ13でのずれを、白い棒グラフは通常設計の集光レンズでのずれを示している。図4で示されるように、集光レンズ13を用いた場合、通常設計の集光レンズを用いる場合と比較して、全体的に検出波長ずれを軽減することができる。
以上のように、分光検出装置110によれば、負レンズL1と正レンズL2からなる接合レンズという簡単な構成の集光レンズ13により、分光素子であるVPHグレーティング11からの出射角の非線形性に由来する、入射波長と算出波長の間のずれを補償することができる。
図5は、本実施例に係る分光検出装置の構成を例示した概略図である。図5に例示される分光検出装置120は、光ILを分光するための分光素子であるブレーズド反射型回折格子21と、ブレーズド反射型回折格子21で分光された光を検出するための光検出器である光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)22と、ブレーズド反射型回折格子21とPMT22の間に配置されて、分光された光をPMT22に集光させる集光光学系である集光レンズ23と、PMT22の前に置かれて、PMT22に入射する光を制限する移動可能な開口スリット24と、を含んでいる。なお、分光検出装置120では、開口スリット24の位置する面が波長算出面である。
分光検出装置120は、さらに、分光検出装置120に光を入射させる開口スリット25と、開口スリット25とブレーズド反射型回折格子21の間に置かれて、開口スリット25からの光を略平行な光に変換するコリメート光学系であるコリメートレンズ26と、を含んでいる。
ブレーズド反射型回折格子21の格子周波数は、800本/mmである。開口スリット24の開口の最大幅は、10mmである。
集光レンズ23は、ブレーズド反射型回折格子21側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ(負レンズL1)と、正のパワーを有する両凸レンズ(正レンズL2)とからなる接合レンズであり、ブレーズド反射型回折格子21で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを倍率色収差により補償するように構成されている。
コリメートレンズ26は、ブレーズド反射型回折格子21側に凸面を向けた正のパワーを有する平凸レンズ(正レンズL3)と、ブレーズド反射型回折格子21側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ(負レンズL4)とからなる接合レンズであり、集光レンズ23で発生する軸上色収差を補正するように構成されている。
集光レンズ23では、検出波長ずれを補償するための倍率色収差の発生に伴って軸上色収差が発生する。このため、分光検出装置120では、集光レンズ23で生じる軸上色収差により結像性能が劣化して分光の分解能が損なわれてしまうおそれがある。コリメートレンズ26は、これを抑制するために、集光レンズ23で生じる軸上色収差を補償するような軸上色収差が生じるように構成されている。従って、分光検出装置120は、集光レンズ23とコリメートレンズ26を組み合わせることで、波長算出面での軸上色収差を補正することができる。つまり、コリメートレンズ26は、分光検出装置120の分解能維持光学系として機能している。
開口スリット25を通過して分光検出装置120へ入射した光は、コリメートレンズ26により略平行な光ILに変換されて、ブレーズド反射型回折格子21へ入射する。略平行な光ILは、ブレーズド反射型回折格子21で分光されて、集光レンズ23に入射する。集光レンズ23に入射した分光された光は、集光レンズ23により、開口スリット24上に集光してPMT22に入射する。分光された光が開口スリット24に入射するy座標は波長毎に異なるため、開口スリット24をy方向へ移動させることにより、PMT22に入射する光の波長範囲を制限することができる。
分光検出装置120は、開口スリット24が最大幅10mmのときにPMT22で同時に取り込み得る最大波長範囲の幅を200nm、最大波長範囲を500nmから700nmに、設定されている。つまり、開口スリット24の開口幅1mmにつき20nmの波長範囲を取り込むように設定されている。従って、取り込むべき波長範囲が50nmである場合には、開口スリット24の開口幅は、50/20=2.5mmと算出される。また、中心波長600nmの光の入射座標をy=0とすると、取り込むべき波長範囲を520nmから620nmと設定する場合には、開口スリット24の開口端の座標は、(520−600)/20=−4mmと、(620−600)/20=1mmと算出される。
集光レンズ23のレンズデータは、以下のとおりである。
集光レンズ23
s r d nd vd
0(分光素子) ∞ 60
1 36.3245 1.6 1.8081 22.76
2 21.4143 7 1.43875 94.93
3 -37.3293
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s0は、ブレーズド反射型回折格子21の射出面を示している。従って、面番号s1が、集光レンズ23の最もブレーズド反射型回折格子21側の面を示している。また、面間隔d0は、ブレーズド反射型回折格子21と集光レンズ23の間隔を示している。
また、波長500nmの光に対する集光レンズ23の最軸外における倍率色収差δ1と、波長700nmの光に対する集光レンズ23の最軸外における倍率色収差δ2と、集光レンズ23の負レンズL1のアッベ数vnと、集光レンズ23の正レンズL2のアッベ数vpは、それぞれ以下のとおりである。
δ1=0.06、δ2=−0.038、vn=22.76、vp=94.93
従って、集光レンズ23は、上述した式(3)及び式(4)を満たしている。
また、集光レンズ23と比較するために、倍率色収差が良好に補正された図示しない通常設計の集光レンズについても開示する。なお、通常設計の集光レンズは、集光レンズ23と同様に負レンズと正レンズの接合レンズとして構成されている。
通常設計の集光レンズのレンズデータは、以下のとおりである。
通常設計の集光レンズ
s r d nd vd
0(分光素子) ∞ 60
1 40.68 2 1.66672 48.32
2 20.4963 4 1.43875 94.93
3 -38.2733
また、波長500nmの光に対する通常設計の集光レンズの最軸外における倍率色収差δ1と、波長700nmの光に対する通常設計の集光レンズの最軸外における倍率色収差δ2と、通常設計の集光レンズの負レンズのアッベ数vnと、通常設計の集光レンズの正レンズのアッベ数vpは、それぞれ以下のとおりである。
δ1=−0.0015、δ2=0.0029、vn=48.32、vp=94.93
従って、通常設計の集光レンズは、上述した式(3)及び式(4)のどちらも満していない。
図6は、本実施例に係る分光検出装置120に含まれる集光レンズ23の倍率色収差と通常設計の集光レンズの倍率色収差を比較した図である。図6(a)は、集光レンズ23の倍率色収差図であり、本実施例に係る分光検出装置120の取り込み中心波長(600nm)を基準とした、最大波長(700nm)での倍率色収差と最小波長(500nm)での倍率色収差が示されている。図6(b)は、通常設計の集光レンズの倍率色収差図であり、分光検出装置120の取り込み中心波長(600nm)を基準とした、最大波長(700nm)での倍率色収差と最小波長(500nm)での倍率色収差が示されている。なお、収差図中の“FIY”は像高を示している。
図6に例示されるように、集光レンズ23は、通常設計の集光レンズと比較して倍率色収差が大きく発生している。また、集光レンズ23では、500nmの倍率色収差が700nmと比較して大きい。つまり、短波長側の倍率色収差が長波長側の倍率色収差に対してプラス方向に生じている。
また、コリメートレンズ26のレンズデータは、以下のとおりである。
コリメートレンズ26
s r d nd vd
0(開口スリット) ∞ 28.223
1 ∞ 1.5 1.48749 70.23
2 -5.0973 1 1.51633 64.14
3 -13.2916 50
なお、面番号s0は、開口スリット25の位置する面を示している。従って、面番号s1が、コリメートレンズ26の最も開口スリット25側の面を示している。また、面間隔d0は、開口スリット25とコリメートレンズ26の間隔を示している。
図7は、本実施例に係る分光検出装置に含まれるコリメートレンズ26の軸上色収差と収差が良好に補正されたコリメートレンズの軸上色収差とを比較した図である。本実施例に係る分光検出装置120の取り込み中心波長(600nm)を基準とした、最大波長(700nm)での軸上色収差と最小波長(500nm)での軸上色収差が示されている。図7(a)は、コリメートレンズ26と集光レンズ23を合わせた光学系の球面収差図である。図7(b)は、収差が良好に補正されたコリメートレンズと集光レンズ23を合わせた光学系の球面収差図である。なお、収差図中の“NA”は開口数を示している。
分光検出装置120は、上述した特性を有する集光レンズ23とコリメートレンズ26を組み合わせて使用することで、ブレーズド反射型回折格子21で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを集光レンズ23の倍率色収差により補償し、且つ、集光レンズ23で発生した軸上色収差をコリメートレンズ26の球面収差により補償することができる。
図8は、本実施例に係る分光検出装置120に含まれるPMT22に入射する光の波長と開口スリット24の位置から算出される波長とのずれと、集光レンズ23の代わりに通常設計の集光レンズを用いた場合にPMT22に入射する光の波長と開口スリット24の位置から算出される波長とのずれを比較した図である。なお、横軸はPMT22に入射する光の波長(入射波長)を、縦軸は入射波長と算出波長のずれ(検出波長ずれ)を、黒い棒グラフは集光レンズ23でのずれを、白い棒グラフは通常設計の集光レンズでのずれを示している。図8で示されるように、集光レンズ23を用いた場合、通常設計の集光レンズを用いた場合と比較して、全体的に検出波長ずれを軽減することができる。
以上のように、分光検出装置120によれば、実施例1と同様に、負レンズL1と正レンズL2からなる接合レンズという簡単な構成の集光レンズ23により、分光素子であるブレーズド反射型回折格子21からの出射角の非線形性に由来する、入射波長と算出波長の間のずれを補償することができる。また、コリメートレンズ26を用いて集光レンズ23で発生する軸上色収差を補正することにより、分光検出装置120は、分光の分解能を維持することができる。
なお、上述した実施例1及び実施例2では、集光光学系として接合レンズ(集光レンズ13、集光レンズ23)を使用する例を示したが、集光光学系の構成は接合レンズに限られない。例えば、レンズL1とレンズL2の間にわずかに隙間を設けて集光光学系を構成してもよい。また、集光光学系は、波長算出面での倍率色収差を調整することができる光学素子であればよく、例えば、分散を通常の光学系とは反対方向に生じさせることができる、いわゆるDOE(Diffractive Optical Element)などの回折光学素子であってもよい。
また、分光素子として、実施例1では、VPHグレーティングを、実施例2では、ブレーズド反射型回折格子を使用する例を示したが、分光素子は特にこれらに限られない。また、実施例1及び実施例2では、分光素子に略平行光を入射させている例を示したが、特にこれに限られず、発散光や収斂光を入射させてもよい。
1・・・回折格子、2・・・光検出器、3・・・集光光学系、3a・・・集光光学系、11・・・VPHグレーティング、12・・・アレイ検出器、13、23・・・集光レンズ、21・・・ブレーズド反射型回折格子、22・・・PMT、24、25・・・開口スリット、26・・・コリメートレンズ、IL、R、G、B・・・光、100a、100、110、120・・・分光検出装置、L1・・・負レンズ、L2、L3・・・正レンズ、L4・・・負レンズ

Claims (4)

  1. 光を分光するための分光素子と、
    前記分光素子で分光された光を検出するための光検出器と、
    前記分光された光を前記光検出器に集光させ、前記分光素子で発生した出射角の非線形性に由来する検出波長ずれを倍率色収差により補償する集光光学系と、を含み、
    前記検出波長ずれは、
    前記光検出器に光が入射する座標と波長との間に線形関係が成り立つと仮定の下で算出される波長と、
    前記分光素子で分光された光が色収差が良好に補正された光学系を介して前記光検出器で検出されたと仮定の下で算出される波長と、の間のずれである
    ことを特徴とする分光検出装置。
  2. 請求項1に記載の分光検出装置において、
    λ1を前記光検出器で取り込まれる波長の最小値とし、λ2を前記光検出器で取り込まれる波長の最大値とし、δ1を波長λ1の光に対する前記集光光学系の最軸外における倍率色収差とし、δ2を波長λ2の光に対する前記集光光学系の最軸外における倍率色収差とするとき、以下の条件式
    δ1>δ2
    を満たすことを特徴とする分光検出装置。
  3. 請求項2に記載の分光検出装置において、
    前記集光光学系が1枚の正レンズと1枚の負レンズからなり、
    前記正レンズのアッベ数をνp、前記負レンズのアッベ数をνnとするとき、以下の条件式
    2<νp/νn<5
    を満たすことを特徴とする分光検出装置。
  4. 請求項1に記載の分光検出装置において、さらに、
    前記分光検出装置に光を入射させる開口スリットと、
    前記開口スリットと前記分光素子の間に置かれたコリメート光学系と、を含み、
    前記集光光学系で発生する軸上色収差が前記コリメート光学系により補正されることを特徴とする分光検出装置。
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