JP5779878B2 - 転がり支持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばエアコンファンモータやコンプレッサ等のインバータ制御されるモータ用、HDDのスイングアーム支持用ピボットアーム、サーボモータやステッピングモータ等の揺動運動するモータ用として好適な転がり軸受、並びにリニアガイド、ボールねじ等の転がり支持装置に関する。
エアコンファンモータや冷蔵庫のコンプレッサ等のモータは、省エネ化のためにインバータ制御されていることが多い。しかし、インバータ回路から高周波の電流が発生してモータ内の軸受の内外輪や転動体にも流れ込むことがあり、それにより転動面(レース面)に電食が発生することがある。
電食を防止するために様々な提案がなされており、例えば、軌道輪の軌道面に合成樹脂や熱可塑性エラストマー、合成ゴム、セラミックスからなる絶縁層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、セラミックス製の転動体を用いた転がり軸受を用いることでも電食を防止することができるが、セラミックスとして一般的な窒化珪素製転動体を用いた転がり軸受では、音響特性及びトルク性能に改善の余地がある。即ち、窒化珪素製転動体の表面は元々油の濡れ性が悪いために、転がり軸受のトルクを低くするために低粘度の潤滑剤を用いると、転動体の表面に形成される油膜が薄すぎて油膜切れを生じやすくなる。
そこで、本願の発明者は、原料粉末として、イットリアの含有率が3.0モル%であるジルコニア−イットリア成分:アルミナ成分=80:20(質量比)で、不純物であるSiO2 、Fe23
Na2Oの含有率がそれぞれ0.10質量%である微粉末(粒径1μm以下)を、成形後に焼結することで形成される軸受の転動体を提案している(特許文献2参照)。上記の転動体は、低粘度の潤滑剤で潤滑する用途で問題なく使用でき、窒化珪素製転動体と比べて、音響特性、転がり疲労寿命を改善してきた。
特開平07−310748号公報 特開2010−209966号公報
しかしながら、特許文献2のアルミナ−ジルコニア転動体は、転がり疲れ寿命を更に向上することに検討の余地がある。そこで、本発明は、アルミナ−ジルコニア転動体の転がり疲れ寿命を改善することを目的としている。
上記の課題を解決する為に、本発明は、互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、前記転動体は、アルミナと、安定化剤としてイットリアのみを1.5〜3モル%含有する安定化ジルコニアとを、質量比で、アルミナ:安定化ジルコニア=10〜30:70〜90の割合で含み、該転動体の中に、アルミナの結晶粒径が安定化ジルコニア粒子の結晶粒径の1/5以上、且つアルミナ−安定化ジルコニアの混合平均粒径の3倍以下であり、且つアルミナの平均粒径は3μm以下であり、且つ転動体の曲げ強度が1970MPa以上であることを特徴とする転がり支持装置を提供している。
ここでは、安定化ジルコニア粒子とは、イットリア(Y)を混合することにより、安定化構造を有するジルコニア粒子のことを意味している。
本発明の転がり支持装置は、その転動体の曲げ強度が向上され、転がり疲れ寿命が長くなる。
本発明の一実施形態に相当する転がり軸受を示す断面図である。 ビーズミル混合機の一例を示す模式図である。 実施例に係る転動体がアルミナ粒径:マトリクス平均粒径=2:1の場合の内部組織を撮影したSEM写真である。 実施例に係る転動体のスラスト試験装置である。
以下、本発明の実施形態を、図1〜3を参照しながら詳細に説明する。
本発明の転がり軸受は、例えば、エアコンファンモータやコンプレッサ等のインバータ制御されるモータ用、HDDのスイングアーム支持用ピボットアーム、サーボモータやステッピングモータ等の揺動運動するモータに使用されるものであれば、転がり軸受の構造には制限はなく、図1に断面図で示すような玉軸受を例示することができる。
図示される玉軸受は、内輪1の外周面に形成された内輪軌道面1aと、外輪2の内周面に形成された外輪軌道面2aの間に、複数個の転動体である玉3を保持器4で保持し、シール5により、内輪1と外輪2と玉3とで形成される軸受空間6に充填した潤滑剤Gを封止して概略構成されている。尚、符号2bは、外輪2に設けたシール嵌合溝である。本発明では、内輪1と外輪2とをSUJ2鋼、SUS鋼、13Cr鋼等の金属製とし、玉3をアルミナ成分と、安定化剤としてイットリア(Y )を含有する安定化ジルコニア成分とからなるアルミナージルコニア系複合材料で形成する。このように内輪1や外輪2と玉3とを異種材料の組み合わせにすることにより、低トルク化のために潤滑剤Gの量を減らしたり、低粘度の潤滑剤Gを用いた場合でも内輪1と玉3、外輪2と玉3との凝着を防止することができる。また、玉3が、電気絶縁性のアルミナ−ジルコニア系複合材料であるため、電食を防止することもできる。
尚、玉3の成分は安定化剤としてイットリア(Y )を含有する。該安定化剤は、ジルコニアの結晶構造を安定化させる役割があり、ジルコニアと混合すると安定化ジルコニアが形成される。本実施形態では、市販の安定化ジルコニアを原料として使用している。
また、玉3のアルミナ成分と、安定化ジルコニア成分との比率は、質量比で、アルミナ成分:安定化ジルコニア成分=100:0〜9であ、20:80であることが最も好ましい。
アルミナの焼結粒子は焼結から室温まで冷却される際の体積収縮の差から圧縮し、上述安定化ジルコニアの焼結粒子は引張応力が付与され、残留応力の分布の違いから亀裂が迂回して進展する。更に、亀裂は強度の弱いアルミナ焼結粒子を進展するが、安定化ジルコニア焼結粒子の相転移(正方晶→単斜晶)によるアルミナ粒子への圧縮応力が負荷され、亀裂進展が防止される。特に、安定化ジルコニア成分が70質量%未満では、相転移によるアルミナ焼結粒子への圧縮応力の負荷の効果が発現され難く、強度が低下する。また、安定化ジルコニア成分が90質量%を超えると,粒子成長・凝集が起きやすくなり、異常成長した安定化ジルコニア焼結粒子により強度が低下する。
イットリア、ジルコニア−イットリア成分において、イットリアを1.5モル%以上モル%以下の割合で含。ジルコニアにイットリアを添加し固溶させると、構造中に酸素空孔が形成され、立方晶及び正方晶が室温でも安定、または準安定となり強度が向上するが、そのときのジルコニア中のイットリア含有量の適正量が1.5〜モル%である。イットリア含有量が1.5モル%未満では正方晶からなる焼結体が得られず、モル%以上では正方晶が減少して立方晶が主体となるため、転移による高強度化が得られない。
玉3を作製するには、アルミナ原料粉末と、安定化ジルコニア原料粉末とを、それぞれ所定の成分比となるように混合し、混合物を球形に成形した後、成形物を脱脂して焼結し、HIP処理(熱間静水圧成形)すればよい。尚、成形方法は圧縮成形が一般的であり、焼結後に素材(素球)を研削、研磨して所定の球形状に調整する。また、HIP処理は通常の条件で行うことができる。
また、アルミナ原料粉末と安定化ジルコニア原料粉末とが均一に混合せず、それぞれの焼結粒子が偏析すると、転がり疲労寿命が低下するようになる。特に、100μmを超える焼結粒子が存在すると顕著になる。偏析を防止する方法として均一に混合するだけでなく、強く粉砕する機能を持った混合を実施する必要があり、ボールミル混合機も可能であるが、粉砕メディアがφ1mm以下のジルコニア系のビ−ズを使用したビーズミル混合機が最も有効である。図2はビーズミル混合機の一例を示す模式図であるが、中央に撹拌羽根を配した容器に、アルミナ原料粉末と、安定化ジルコニア原料粉末と、水またはアルコールとを、ビーズとともに投入し、撹拌羽根を回転させることにより、粉砕・混合させる。尚、回転速度は最大で3000rpmまで可能であり、混合中は容器内に冷却用水を流通させる。これに対しボ−ルミル混合機では、粉砕メディアがφ10mm以上であり、また構造上、回転速度は400〜1000rpm程度であり、粉砕効率はビ−ズミル混合機の方がよい。
アルミナの焼結粒子が平均粒径3μm以下であり、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下が更に好ましい。ジルコニア−イットリアの焼結粒子を使用する場合、その平均粒径は2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
[実施例]
以下に試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものはない。
原料粉末として、粒径がアルミナ粉末:ジルコニア―イットリア粉末=7μm:1μm(比較例1),5μm:1μm(比較例2),3μm:1μm(実施例1),2μm:1μm(実施例2),1μm:1μm(実施例3)とし、アルミナ成分:ジルコニア−イットリア成分=で、ビーズミル混合機にて混合する。

得られた混合粉末試料に150Mpa成形圧でCIP(冷間静水圧加圧)成形を行ない,成形体に対し、大気炉(酸素気流中)を使用し、常圧700℃で1時間の脱脂後、大気中にて1500℃の焼結温度で焼結を行った。最終的に、アルゴン気流中1400℃、1000気圧で、HIP処理(熱間静水圧成形)を行う。得られた焼結粒子は、アルミナ粒子の結晶粒径:マトリクス(アルミナ粒子とジルコニア―イットリア粒子の混合粒子)の平均粒径が下記の表1に示す実施例1〜3のものであり、かつアルミナ成分の平均粒径は3μm以下である。図3の転動体の内部組織を撮影したSEM写真には、アルミナ(「A」と標記した黒い粒)とジルコニア(灰色の粒)を示している。
表1に示す粒径比のジルコニア−アルミナ系複合材料製の転動体を作製し,下記の条件にてスラスト試験を行った。尚、試験装置は図4に示す。軸受を油浴中に浸漬した状態で回転させ、回転中の振動値を求めるとともに、一定時間毎に分解して転動体表面の剥離が確認された時点を寿命とした。そして、各条件で測定した寿命と、アルミナ結晶粒径:マトリクス平均粒径=3:1の場合の寿命との比を求めた。
・荷重:450kgf
・転動体の直径:3/8インチ
・玉数:3球
・回転数:1000rpm
・軸受:51305(内輪及び外輪はSUJ2)
・潤滑油:RO68
そのほか、転動体材料の曲げ強度の測定試験方法については、JIS R 1601(ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法)を採用し、試験片の3点曲げ試験を行い、表1に示す粒径比例の各転動体の曲げ強度を測定した。
上記試験の結果を表1に示す。実施例2,3の比例関係を満たす場合の寿命は、アルミナ結晶粒径:アルミナとジルコニア−イットリアの混合平均粒径=3:1の場合の実寿命に対する寿命比は1を超えており、寿命が向上された。また、実施例1〜3の玉3の曲げ強度は、比較例1,2より強い曲げ強度を示している。

Claims (1)

  1. 互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、
    前記転動体は、アルミナと、安定化剤としてイットリアのみを1.5〜3モル%含有する安定化ジルコニアとを、質量比で、アルミナ:安定化ジルコニア=10〜30:70〜90の割合で含み、該転動体の中に、アルミナの結晶粒径が安定化ジルコニア粒子の結晶粒径の1/5以上、且つアルミナ−安定化ジルコニアの混合平均粒径の3倍以下であり、且つアルミナの平均粒径は3μm以下であり、且つ転動体の曲げ強度が1970MPa以上であることを特徴とする転がり支持装置。
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