以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置を図示しない自動四輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置が搭載される車両を限定する趣旨ではない。
図1は、ブレーキ制御装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
この車両用ブレーキシステム10は、操作者によるブレーキペダル(ブレーキ操作子)12の操作によって液圧を発生させるタンデム式のマスタシリンダ14と、マスタシリンダ14の2つの出力ポートから導出されるブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)を制御して各ホイールシリンダWに出力するブレーキ制御装置16とを備える。マスタシリンダ14の出力ポートとブレーキ制御装置16は、第1液圧路18a及び第2液圧路18bを介して接続される。
第1液圧路18aは、ブレーキ制御装置16内の第1ブレーキ系22aに接続され、第2液圧路18bは、ブレーキ制御装置16内の第2ブレーキ系22bに接続される。第1ブレーキ系22a及び第2ブレーキ系22bは、それぞれ同一構造からなるため、第1ブレーキ系22aと第2ブレーキ系22bで対応するものには同一の参照符号を付していると共に、第1ブレーキ系22aの説明を中心として、第2ブレーキ系22bの説明を省略する。
第1ブレーキ系22aは、各ホイールシリンダWに対して、共通する第1共通液圧路24及び第2共通液圧路26を有する。第1ブレーキ系22aの第1共通液圧路24には、マスタシリンダ14の出力圧を検出する圧力センサ20が配置される。第1共通液圧路24と第2共通液圧路26との間には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ28と、各ホイールシリンダW側へのブレーキ液圧の流通のみを許容する第1チェックバルブ30とが並列に配置される。
第2共通液圧路26と一方のホイールシリンダWとの間には、各分岐通路を介して、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ32と、一方のホイールシリンダW側から第2共通液圧路26側へのブレーキ液圧の流通のみを許容する第2チェックバルブ34とが並列に配置される。また、一方のホイールシリンダWと後記するリザーバ36との間には、分岐通路を介して、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ38が配置される。
第2共通液圧路26と他方のホイールシリンダWとの間には、各分岐通路を介して、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ40と、他方のホイールシリンダW側から第2共通液圧路26側へのブレーキ液圧の流通のみを許容する第3チェックバルブ42とが並列に配置される。また、他方のホイールシリンダWと後記するリザーバ36との間には、分岐通路を介して、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ44が配置される。
さらに、レギュレータバルブ28の下流側に配置され、第2共通液圧路26側へブレーキ液を供給するポンプ46と、ポンプ46を駆動するモータMと、第1共通液圧路24から分岐した液圧路48に設けられたサクションバルブ50とを備える。
リザーバ36は、後記する開閉弁104が開弁したときにサクションバルブ50と連通すると共に、液圧路(吸入路)52を介してポンプ46の吸入側と連通し、さらに、他の液圧路(吐出路)54を介して第1アウトバルブ38及び第2アウトバルブ44と連通する。この点については、後記で詳細に説明する。
ここで、車両用ブレーキシステム10の動作を概略説明する。
ブレーキペダル12が操作されると、マスタシリンダ14内のブレーキ液が加圧されてブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)が発生する。このマスタシリンダ圧は、ノーマルオープンタイプの第1インバルブ32又は第2インバルブ40を介してディスクブレーキの各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
例えば、ABS制御が開始されてホイールシリンダW内のブレーキ液圧を減圧する場合には、図示しない制御手段からの制御信号によって第1インバルブ32が閉弁状態に切り換えられると共に、ノーマルクローズタイプの第1アウトバルブ38が開弁状態に切り換えられる。また、図示しない制御手段からの制御信号によって第2インバルブ40が閉弁状態に切り換えられると共に、ノーマルクローズタイプの第2アウトバルブ44が開弁状態に切り換えられる。この結果、各ホイールシリンダW内のブレーキ液が第1アウトバルブ38及び/又は第2アウトバルブ44を介してリザーバ36に導出されて減圧される。
さらに、例えば、車両挙動の安定化を支援する制御や、トラクションコントロール制御など、操作者によるブレーキ操作がなくても自動的に車輪に対して制動力を付与するためにホイールシリンダ圧を上昇させる自己昇圧時では、図示しない制御手段からの制御信号によってポンプ46が駆動され、このポンプ46の駆動によってリザーバ36が負圧状態となる。この負圧状態による差圧を利用して後記する中間ピストン72(図2参照)を変位させ、サクションバルブ50が開弁することで液圧路48と液圧路52とが連通する。従って、マスタシリンダ14から流出したブレーキ液は、ポンプ46により、第1インバルブ32及び/又は第2インバルブ40を経由してディスクブレーキの各ホイールシリンダWに供給され、各ホイールシリンダ圧が昇圧される。この結果、操作者によるブレーキ操作がなくても自動的に車輪に対して制動力が付与される。なお、負圧状態による差圧を利用してサクションバルブ50を開弁させる点については、後記する<自己昇圧時>の見出しの欄で詳細に説明する。
次に、リザーバ36及びサクションバルブ50等の具体的な構造を、図2〜図12を参照して以下詳細に説明する。
図2は、リザーバ及びサクションバルブ等の概略構成縦断面図、図3は、図2のA部拡大縦断面図、図4は、図2のIV−IV線に沿った縦断面図である。
断面略矩形状の金属製ブロック体からなる基体60には、略円形状の開口部61を有する一端面側から反対側の他端面側に向かって、順に、比較的大径なリザーバ収容孔62と、リザーバ収容孔62よりも小径な中間バルブ収容孔64と、中間バルブ収容孔64よりも小径なサクションバルブ収容孔66とが連続して設けられる。
リザーバ収容孔62は、有底円筒状を呈している。リザーバ収容孔62には、リザーバ36とガイド機構70とが配設される。リザーバ36は、リザーバ収容孔62に沿って変位可能に設けられたリザーバピストン68を有する。ガイド機構70は、リザーバスプリング80の伸びを規制する。中間バルブ収容孔64には、中間バルブ73が配設される。この中間バルブ73は、上方に位置するサクションバルブ50を開弁させることが可能な中間ピストン72を有する。サクションバルブ収容孔66には、開弁したときにリザーバ36側とマスタシリンダ14側とを連通させる常閉型のサクションバルブ50が配設される。
リザーバピストン68と中間ピストン72との間には、リザーバ室74が形成される。このリザーバ室74は、液圧路54(図4参照)を介して第1アウトバルブ38及び第2アウトバルブ44に連通接続される。また、中間ピストン72とサクションバルブ50との間には、ポンプ吸入室76が形成される。このポンプ吸入室76は、液圧路52(図2及び図3参照)を介してポンプ46の吸入側に連通接続される。
リザーバ36は、リザーバ収容孔62を封止(閉塞)する略円板状のプラグ78を有する。このプラグ78は、リザーバ収容孔62の開口部61に当接する環状フランジ部78aと、基体60の一端面60aと略面一に形成された中央凸部78bと、中央凸部78bと環状フランジ部78aとの間に設けられた環状凹部78cとを有する。この場合、プラグ78は、環状凹部78cを形成する側壁がリザーバ収容孔62に対して圧入され、さらに、環状フランジ部78aを挟持するように開口部61の開口端を加締めて固定される。なお、リザーバピストン68とプラグ78との間には、図示しない呼吸通路を介して大気と連通する大気圧室79が設けられる。
また、リザーバピストン68とプラグ78との間には、リザーバピストン68をリザーバ室74の容積を縮小する方向に付勢するリザーバスプリング80が配設される。このリザーバスプリング80は、コイルスプリングからなり、その一端部(上端)80aは、後記するガイド機構70の第1ガイド部材82に係着され、他端部(下端)80bは、第2ガイド部材84に係着される。プラグ78は、リザーバスプリング80を挟んでリザーバピストン68の反対側に位置し、リザーバスプリング80の反力を支承する機能を有する。
リザーバピストン68は、有底略円筒体の樹脂部品からなり、その外周面に形成された環状溝には、Oリングからなるシール部材86が装着される。リザーバピストン68の底面中央部には、環状凹部87が設けられる。環状凹部87内の天井面には、後記するガイド機構70の第1ガイド部材82が当接する。
図5は、ガイド機構の斜視図、図6(a)は、ガイド機構の側面図、図6(b)は、ガイド機構の軸方向に沿った縦断面図、図7(a)は、第1ガイド部材の斜視図、図7(b)は、第1ガイド部材の軸方向に沿った縦断面図、図8(a)は、第2ガイド部材の斜視図、図8(b)は、第2ガイド部材の平面図、図8(c)は、第2ガイド部材の側面図である。
ガイド機構70は、リザーバスプリング80のリザーバピストン68側に配置される一端部80aに当接する第1ガイド部材82と、リザーバスプリング80の反リザーバピストン68側に配置される他端部80bに当接する第2ガイド部材84とから構成される。上部側の第1ガイド部材82と下部側の第2ガイド部材84とは、リザーバスプリング80を間に挟んだ状態で上下に連結されている。このように構成することにより、リザーバスプリング80の伸びを規制することができる。
第1ガイド部材82は、略円筒体からなり、略円筒体の下部側内周にフランジ状の第1係合部88を一体的に備える。第2ガイド部材84は、プラグ78に挿入される円板部90と、前記円板部90から上方に向かって立設する複数の支柱92とを有する。支柱92の先端部には、外方に向かって突出する第2係合部94が一体的に形成されている。
第2ガイド部材84が、円板部90を介してプラグ78に固定(例えば、圧入固定)されることで、リザーバピストン68がリザーバ室74を縮小する方向に変位してリザーバピストン68と第1ガイド部材82とが離間した状態となっても、第1ガイド部材82、第2ガイド部材84及びリザーバスプリング80がそれぞれ所定位置に留まり、これらの部材がリザーバ収容孔62内で不必要に動くことを防止することができる。
第1係合部88と第2係合部94とが内外周で係合することによって、第1ガイド部材82と第2ガイド部材84とが上下方向に沿って摺動可能に連結される。第1係合部88と第2係合部94との係合により、簡易な構成でリザーバスプリング80の伸びを規制してリザーバスプリング80の高さのばらつきを抑制することができる。この結果、ひいてはリザーバピストン68の高さ方向の位置におけるばらつきを抑制することができる。また、第1ガイド部材82と第2ガイド部材84は、それぞれ第1係合部88及び第2係合部94が一体に形成されることで、リザーバスプリング80の伸びを規制するための特別の部材が不要となり、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
第1ガイド部材82と第2ガイド部材84の材質は、第1ガイド部材82を金属材料で形成し、第2ガイド部材84を樹脂材料で形成するとよい(図2参照)。リザーバピストン68とリザーバスプリング80との間に挟まれて比較的大きな荷重が付与される第1ガイド部材82を金属材料(例えば、鉄鋼材料)で形成すると、第1ガイド部材82の剛性・強度が向上し変形しにくくなるので、リザーバピストン68がリザーバスプリング80を圧縮する方向に変位する際の押圧力や、リザーバスプリング80の復元力を好適に受容することができる。また、第1ガイド部材82よりも比較的小さい荷重が付与される第2ガイド部材84を樹脂材料で形成すると、装置全体の重量を軽減することができる。しかしながら、第1ガイド部材82と第2ガイド部材84の材質は、特に制限されるものではなく、例えば、第1ガイド部材82と第2ガイド部材84を共に樹脂材料で形成してもよい。
第1ガイド部材82の第1係合部88は、第1爪部96を有する。第2ガイド部材84の第2係合部94は、第2爪部98を有する。この第1爪部96と第2爪部98とのうち、いずれか一方の爪部(例えば、樹脂材料で形成された第2爪部98)が弾性変形して他方の爪部(例えば、金属材料で形成された第1爪部96)に対してスナップフィット結合されることにより、第1爪部96と第2爪部98とが係合する(図6(b)参照)。
スナップフィット結合によって第1爪部96と第2爪部98とを容易に結合させることができ、組付時間を短縮して組付作業性を向上させることができる。
第2ガイド部材84の第2爪部98は、同一円周上に複数均等配置(本実施形態では、図8(b)に示されるように周方向に沿って約90度の角度ピッチで配置)され、第1ガイド部材82の第1爪部96は、連続する円帯状に形成されている。第1爪部96を円帯状とすれば、第2ガイド部材84が軸周りに回転しても第1ガイド部材82との係合状態を維持することができる。また、第1ガイド部材82と第2ガイド部材84との周方向における組み付けの向きの設定が不要となるため(周方向の任意の位置でよい)、組付性を向上させることができる。
本実施形態では、図6(b)に示されるように、第1ガイド部材82の内周部に形成された第1爪部96に対して第2ガイド部材84の外方に向かって突出する第2爪部98を内外周で係合するように構成しているが、前記とは反対に、第1ガイド部材82の外方に向かって突出し同一円周上に複数均等配置された複数の第1爪部を配置し、第2ガイド部材84の内周部に円環状の第2爪部をそれぞれ配置して、内外周で係合するように構成してもよい。
なお、リザーバピストン68の下方位置でリザーバ収容孔62内の拡径部66aには、Cクリップ100が装着される(図2参照)。このCクリップ100は、リザーバピストン68の下方側への変位を規制するストッパ(変位量規制手段)として機能する。
中間バルブ73は、有底略円筒体からなり、中間バルブ収容孔64に沿って変位可能に設けられた樹脂製の中間ピストン72を有する。中間バルブ73の略中心部には、上部側のポンプ吸入室76と下部側のリザーバ室74とを連通させる連通路102が設けられる。連通路102には、連通路102を開閉する開閉手段として機能する開閉弁104が設けられる。中間ピストン72とサクションバルブ50との間には、中間ピストン72をリザーバピストン50側に向かって付勢する中間ピストン用スプリング105が配置される。なお、中間ピストン72の外周面には、環状溝を介してシール部材75が装着される。
中間ピストン72の底面には、断面円弧状に湾曲して形成された湾曲部106が設けられる。この湾曲部106は、後記する板ばね部材108の当接部110と当接して中間ピストン当接点112(図12参照)を形成する。また、中間ピストン72の下部側には、リザーバ室74と連通路102とを連通させる断面略矩形状の貫通孔114が形成される。
開閉弁104は、中間ピストン72に設けられた段付状の貫通孔内に形成されたテーパ面からなる弁座116と、弁座116に着座可能なボール(鋼球)からなる弁体118と、弁体118を弁座116側に付勢するバルブスプリング120とを備える。なお、弁体118及びバルブスプリング120は、中間ピストン72内に収容されている。
中間ピストン72の軸方向に沿った上部には、バルブスプリング120のばね力を受けるプッシュプレート122が装着される。
図9は、プッシュプレートの斜視図、図10(a)は、プッシュプレートの平面図、図10(b)は、プッシュプレートの正面図、図10(c)は、プッシュプレートの左側面図である。
このプッシュプレート122には、図9に示されるように、略円板状のカバー部124と、カバー部124の略中心部から立ち上がって上方に向かって突出する突起からなる偏心当接ピン126とが一体的に設けられている。図3に示されるように、カバー部124を中間ピストン72の上部に装着し、偏心当接ピン126によって上方に位置するボール128(後記する)を押圧し着座部130から離間させることで、サクションバルブ50を開弁させることができる。
カバー部124には、図9に示されるように、一対の円形状の連通孔132と、偏心当接ピン126を切り起こした後に残る矩形状の切欠部133とが形成されている。切欠部133に加えてさらに連通孔132を設けることで、開閉弁104内を連通路102に沿って通過するブレーキ液の流通を確保することができる。
偏心当接ピン126を含むプッシュプレート122を一体成形することにより、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。例えば、プレス成形によってカバー部124と偏心当接ピン126とを一体成形すれば、安価に製造することができる。また、偏心当接ピン126を折り曲げ加工するときにカバー部124の上面の法線に対し所定の角度で傾斜させることで、偏心当接ピン126の先端をボール128に対して偏心当接させることが可能となる(図3参照)。
ここで、図3を参照して、プッシュプレート122の偏心当接ピン126とサクションバルブ50のボール128との関係について詳細に説明する。
リザーバピストン68及び中間ピストン72が上昇すると偏心当接ピン126も上昇してサクションバルブ50のボール128に当接する(図3中の破線参照)。
なお、偏心当接ピン126の長手方向に沿った軸線X3は、サクションバルブ50の中心軸X2と同一軸上ではなく、且つ、サクションバルブ50の中心軸X2に対して平行ではなく所定角度だけ傾斜した状態に設定される。
すなわち、リザーバ36とマスタシリンダ14とを連通させる通路として機能するサクションバルブ収容孔66の軸方向と平行でボール128の中心を通る中心軸X2に対して偏心当接ピン126の軸線X3が偏位(オフセット)して設けられ、偏心当接ピン126の先端部126aが中心軸X2に対して偏位(オフセット)した位置でボール128に当接するように設けられる。
仮に、偏心当接ピン126の先端部126aをボール128の中心に当接させるとボール128の動きが不安定になる場合があるが、偏心当接ピン126の先端部126aとボール128との当接位置を、中心軸X2から偏位した位置に設定するとボール128の動きが安定する。
また、偏心当接ピン126は、ボール128と当接する先端部126aと反対側の基端部134(カバー部124から分岐した立ち上がり部位)がサクションバルブ50の中心軸X2と同軸上でなく、サクションバルブ50の中心軸X2から所定間隔だけオフセットした位置に設けられる。
偏心当接ピン126の基端部134をサクションバルブ50の中心軸X2から所定間隔だけオフセットした位置とすることで、偏心当接ピン126の先端部126aがボール128と当接したときにボール128をオフセット側と反対側で静止させて不安定な動きをなくすことができる。なお、偏心当接ピン126の長手方向の軸線X3がサクションバルブ50の中心軸X2と同軸上にならないようにすることについては、特別な加工が不要である。
また、中間ピストン72には、図2及び図3に示されるように、樹脂製で棒状の負圧解除ピン(負圧除去部材)136が設けられる。この負圧解除ピン136は、リザーバピストン68が初期位置からリザーバ室74の容積を減少させる方向に所定量だけ変位したときに弁体118を上方に向かって押圧し、弁体118を弁座116から離間させることで開閉弁104を開弁させる。
リザーバ室74の負圧状態が維持されるとリザーバピストン68と中間ピストン72とが吸着されたままとなるおそれがあるが、負圧解除ピン136を設けてリザーバ室74の負圧を解除することで、リザーバピストン68及び中間ピストン72を初期位置に戻すことができ、例えば、ABS制御作動時にリザーバ室74の空間を確保できないという不具合を回避することができる。
図3に示されるように、負圧解除ピン136の軸方向に沿った中間部位には、中間ピストン72の貫通孔に係止される環状段部138が形成される。環状段部138が中間ピストン72の貫通孔に係止されることで、抜け落ちが防止される。負圧解除ピン136の下部側の一部は、貫通孔からリザーバピストン68側に向かって露出するように設けられる。また、負圧解除ピン136の頭部(上端部)は、通常時において、弁体118とクリアランスを介して非当接状態となっている。
図2に示されるように、中間ピストン72の変位方向の中心軸X2とリザーバピストン68の変位方向の中心軸X1とは、略平行に所定間隔だけオフセットした異軸に設けられる。このように異軸に構成することで、リザーバ36の位置に対して、例えば、中間バルブ73やサクションバルブ50をリザーバピストン68の変位方向の中心軸から径方向にオフセットさせて配置することが可能となり、基体60内でのレイアウト性を向上させることができる。具体的には、中間バルブ73及びサクションバルブ50を、リザーバピストン68の変位方向の中心軸から径方向にオフセットさせて配置することで、中間バルブ73やサクションバルブ50と干渉することがなくポンプ46をリザーバピストン68の鉛直上方向に配置することが可能となる。
なお、本実施形態では、図2に示されるように、中間ピストン72の変位方向の中心軸X2と、サクションバルブ50の中心軸X2とが同軸上となる場合を例示しているが、異軸であってもよい。
中間ピストン72の下方で中間バルブ収容孔64内の拡径部64aには、Cクリップ140が装着されている。このCクリップ140は、中間ピストン72のリザーバピストン68側への変位を規制(抜け落ち防止)するストッパ(変位量規制手段)として機能する。
図11(a)は、板ばね部材の斜視図、図11(b)は、板ばね部材の平面図、図11(c)は、板ばね部材の側面図、図12は、板ばね部材における、てこの原理を示す動作説明図である。
リザーバピストン68と中間ピストン72との間には、板ばね部材108が配置される。板ばね部材108は、略円形状の平板部142と、略O字状の当接部110とが一体に構成される。当接部110は、平板部142から打ち抜かれて所定角度傾斜し、弾性変形可能に設けられる。当接部110の基端側の短帯部111aは、平板部142の外縁部に連続して形成されると共に、先端側の短帯部111bは、平板部142の略中央に位置している。
この板ばね部材108は、リザーバピストン68が中間ピストン72側に変位する推力を増幅して、中間ピストン72に伝達する倍力手段として機能するものである。本実施形態では、リザーバピストン68の推力を増幅して中間ピストン72に伝達することができるため、例えば、マスタシリンダ14側からサクションバルブ50に対して付与されたブレーキ液圧がリザーバピストン68の推力よりも大きい場合であっても、増幅された推力が伝達された中間ピストン72によってサクションバルブ50を開弁させることができる。この結果、サクションバルブ50を開弁させ易くすることができる。その一例として、例えば、液圧路48を介してマスタシリンダ14側からサクションバルブ50に対して高踏力によるブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)が付与されている場合であっても、増幅された推力が伝達された中間ピストン72を介してサクションバルブ50を容易に且つ確実に開弁させることができる。
倍力手段として板ばね部材108を用いることにより、リザーバピストン68がサクションバルブ50側に変位した後、板ばね部材108のばね力によってリザーバピストン68を容易に初期位置に復帰させることができる。また、当接部110は、略円形状部111cを間にして2つの短帯部111a、111bを結合させた形状とすることで、例えば、棒状や板状等の簡素な形状で構成することができる。この結果、当接部110の加工が容易となる。
当接部110は、図12に示されるように、リザーバ収容孔62の底面に当接する支点144と、リザーバピストン68の上面に当接するリザーバピストン当接点146と、支点144とリザーバピストン当接点146との間で中間ピストン72の湾曲部106に当接して中間ピストン72を押圧する中間ピストン当接点112とを有する。
板ばね部材108の支点144からリザーバピストン当接点146までの距離をL1とし、板ばね部材108の支点144から中間ピストン当接点112までの距離をL2とすると、所謂、てこの原理により、リザーバピストン68の推力が(L1/L2)の比で増幅される。
このように、当接部110の支点144、リザーバピストン当接点146及び中間ピストン当接点112等の各当接点を設定し、所謂、てこの原理によってリザーバピストン68の推力を簡便に増幅して中間ピストン72に伝達することができる。
また、当接部110は、図11に示されるように、棒状の負圧解除ピン136(図3参照)を挿通させるための長円状のピン挿通孔147が設けられている。このピン挿通孔147を設けることで、板ばね部材108の当接部110と負圧解除ピン136の一部とがリザーバピストン68の変位方向でラップした状態で配置された場合であっても、当接部110と負圧解除ピン136との干渉(接触)が回避され、両者の機能を維持しながらリザーバピストン68の変位方向における寸法を抑制して装置全体の小型・軽量化を達成することができる。
平板部142の外周には、リザーバピストン68側に折曲して傾斜し、リザーバ収容孔62の壁面に当接する複数の突部148が設けられる。複数の突部148がリザーバ収容孔62の壁面に当接するように平板部142を押圧(圧入)することにより、プッシュナット結合によって容易に固定される。
複数の突部148を介して板ばね部材108の平板部142をリザーバ収容孔62の壁面に対してプッシュナット結合することで、板ばね部材108の天井面からの抜け落ちを防止して板ばね部材108を確実に固定することができる。
また、平板部142には、一対の切欠部150が相互に対向して設けられる。この切欠部150は、平面視して略半長円状からなり、リザーバ収容孔62の天井面に連通接続された液圧路54(図4参照)の閉塞を回避することができる。
すなわち、アウトバルブ側に接続される液圧路54は、図4に示されるように、リザーバ収容孔62の上方位置から下方側に向かってリザーバ室74に繋がるように延在しリザーバ収容孔62の天井面に開口している。リザーバ収容孔62の天井面に連通する液圧路54の開口位置に対応するよう一対の切欠部150を設けておけば、リザーバ収容孔62の天井面に板ばね部材108を配置した場合であっても、一対の切欠部150を介してブレーキ液を流通させることが可能となり、リザーバ室74と液圧路54とのブレーキ液の流通を妨げることを防止することができる。
サクションバルブ50は、図3に示されるように、サクションバルブ収容孔66に圧入され上部に着座部130を有する着座部材152と、着座部130に着座するボール128と、ボール128を着座部130に向かって付勢するサクションバルブ用スプリング154と、着座部材152と一体的に組み付けられ内部にボール128及びサクションバルブ用スプリング154が収容される樹脂製のスプリング受け部材156とを備える。なお、スプリング受け部材156は、フィルタのメッシュ部分157を介して、ブレーキ液が流通可能に設けられている。
サクションバルブ収容孔66は、液圧路48を介してマスタシリンダ14と連通接続しているので、サクションバルブ用スプリング154のばね力に抗してボール128が着座部130から離間しサクションバルブ50が開弁状態となったとき、マスタシリンダ14からのブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)がポンプ吸入室76内に流入したり、前記とは逆にポンプ吸入室76内のブレーキ液圧がマスタシリンダ14側に流出したりする。
本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置16は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、図13〜図17を参照して、リザーバ36、中間バルブ72及びサクションバルブ50の動作並びに作用効果について説明する。なお、各図中では、リザーバ36、中間バルブ72及びサクションバルブ50の構造を簡略化して示すと共に、連通路102の位置をずらしている。
<通常時>
先ず、通常状態について説明する(図13参照)。
操作者によってブレーキペダル12が踏み込まれることがなく、ブレーキ入力がない場合、サクションバルブ50は、サクションバルブ用スプリング154のばね力によってボール128が着座部130に着座した閉弁状態に保持されている。また、中間バルブ73は、中間ピストン用スプリング105のばね力によってリザーバピストン68側に押圧され、偏心当接ピン126がボール128から離間した状態にある。
通常状態において、操作者によってブレーキペダル12が踏み込まれてブレーキ入力があったとき、サクションバルブ50は、閉弁状態に保持されているため、マスタシリンダ14で発生したマスタシリンダ圧がサクションバルブ50で遮断され、リザーバ36側に流入することが阻止される。
すなわち、本実施形態では、サクションバルブ50が常閉型で構成され、通常のブレーキ時においては、マスタシリンダ14とリザーバ室74とが非連通状態となり、マスタシリンダ14の液圧がリザーバピストン68に作用することが回避される。この結果、本実施形態では、ブレーキ液圧の上昇の遅延を抑制して、ブレーキフィーリングの悪化を好適に回避することができる。
<ABS作動時>
次に、ブレーキ入力があった後、ABS制御の作動時について説明する(図14参照)。
各ホイールシリンダW内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ圧)の減圧作用により、液圧路54を介してリザーバ室74内にブレーキ液が流入する。リザーバ室74内にブレーキ液が流入すると、リザーバ室74の容積が増える方向にリザーバピストン68が変位する。その際、中間ピストン72に設けられた開閉弁104の弁開可能圧力が低圧に設定されているため、弁体118がバルブスプリング120のばね力に抗して弁座116から離間して開閉弁104が速やかに開弁状態となる。
従って、リザーバ室74内に流入したブレーキ液は、開閉弁104の連通路102を介してポンプ吸入室76へ流入する。このポンプ吸入室76に流入したブレーキ液は、液圧路52を介してポンプ46側へ送給される。弁体118が開弁すると、ポンプ吸入室76内のブレーキ液圧とリザーバ室74内のブレーキ液圧との間(中間ピストン72の上流側と下流側との間)で差圧が発生することがなく、同圧又は略同圧となっているため、中間ピストン72は変位することがなく静止状態に保持される。
前記したように、リザーバピストン68は、リザーバ室74内に流入したブレーキ液による押圧作用によって下方側(リザーバ室74の容積を増大させる方向)に変位し、リザーバ室74内に所定量のブレーキ液が貯溜される。なお、リザーバピストン68の下側の大気圧室79は、図示しない呼吸通路によって大気と連通し、大気圧となっている。
また、図示しない制御手段から制御信号に基づいてポンプ46が駆動されることにより、中間ピストン72の上流側の圧力(リザーバ室74内のブレーキ液圧)と下流側の圧力(ポンプ吸入室76内のブレーキ液圧)とが略同圧となり、又は、下流側の圧力が低くなる。このため、開閉弁104は、常時、開弁状態に保持され、中間ピストン72は、静止状態を保持したままとなるので、ポンプ46によってリザーバ室74内に貯溜されたブレーキ液を安定して汲み上げることができる。
<自己昇圧時>
図15(a)は、自己昇圧前の状態を示した模式図、図15(b)は、自己昇圧状態を示した模式図である。
なお、「自己昇圧」とは、例えば、車両挙動の安定化を支援する制御や、トラクションコントロール制御など、操作者によるブレーキ操作がなくても自動的に車輪に対して制動力を付与するためにホイールシリンダ圧を上昇させる場合をいう。
図13に示されるように通常時でサクションバルブ50が閉弁状態となっている状態において、図示しない制御手段からの制御信号によってポンプ46を駆動すると、液圧路52を介してポンプ吸入室76が負圧状態となる。同時に、中間ピストン72に設けられた開閉弁104の弁体118も吸引されて弁座116(図3参照)から離間し、開閉弁104が開弁状態となる。この結果、連通路102を介してリザーバ室74内のブレーキ液が吸引されてリザーバ室74も負圧状態となる。
この場合、リザーバ室74が負圧で大気圧室79が大気圧となって差圧が発生し、この差圧によってリザーバピストン68が中間ピストン72側(上側)に向かって変位(上昇)する。このリザーバピストン68の変位に伴って中間ピストン72も連動して変位し、中間ピストン72に設けられた偏心当接ピン126の先端部がサクションバルブ50のボール128に対して中心から偏心した位置で当接する。偏心当接ピン126によってボール128を押圧し着座部130から離間させることで、サクションバルブ50が開弁状態となる。この結果、マスタシリンダ14からのブレーキ液がポンプ吸入室76内に流入し、ポンプ46側に送給される(図15(b)の太線矢印参照)。ポンプ46側に送給されたブレーキ液は、第1インバルブ32及び/又は第2インバルブ40を経由してディスクブレーキの各ホイールシリンダWに供給され、各ホイールシリンダ圧が昇圧される。
なお、自己昇圧の初期段階(サクションバルブ50の開弁前)においては、ポンプ吸入室76内のブレーキ液がポンプ46に供給されるので、ポンプ46による昇圧を速やかに行うことができる。すなわち、中間ピストン72がサクションバルブ50側へ変位することにより、通常時と比較してポンプ吸入室76の容積が減少する。このポンプ吸入室76の容積が減少することにより、ポンプ46によるポンプ吸入室76内のブレーキ液の吸入作用を効果的に行うことができる。特に、低温時においてブレーキ液(ブレーキフルード)の粘度(粘性)が高くなったとき、より一層効果的にブレーキ液の吸入作用が行われる。
<ブレーキ制御終了後>
図16(a)は、ブレーキ制御終了後にポンプ吸入室及びリザーバ室が負圧状態となっている状態を示す模式図、図16(b)は、サクションバルブを開弁状態として負圧状態を解除した状態を示す模式図、図17(a)は、ブレーキ制御終了後にリザーバ室内にブレーキ液が残存する状態を示す模式図、図17(b)は、サクションバルブを開弁状態として残存するブレーキ液をマスタシリンダ側に戻した状態を示す模式図である。なお、「ブレーキ制御終了後」とは、ブレーキ制御が終了した後にブレーキ入力がなく、ノーマルクローズタイプの第1アウトバルブ38及び第2アウトバルブ44が閉弁している場合をいう。
ブレーキ液制御中及びブレーキ液制御の終了時に拘わらず、ポンプ吸入室76やリザーバ室74が負圧状態となっている場合(図16(a)参照)、中間ピストン72及びリザーバピストン68が連動して上昇すると共に、サクションバルブ50が開弁状態となり、マスタシリンダ14側のブレーキ液がサクションバルブ50を通ってポンプ吸入室76及びリザーバ室74に流入することで(図16(b)太線矢印参照)、負圧状態が解消される(図16(b)参照)。負圧状態が除去されると、中間ピストン用スプリング105のばね力によって中間ピストン72及びリザーバピストン68が連動して下降することにより、サクションバルブ50が閉弁状態となる。
このように、ブレーキ液制御の終了時にポンプ吸入室76やリザーバ室74が負圧状態となっている場合、サクションバルブ50が開弁状態となって負圧状態を解除してから図13に示す初期状態に復帰することができる。この結果、初期状態に復帰したとき、ポンプ吸入室76やリザーバ室74が負圧状態に維持されることを確実に回避することができる。
また、ABS制御のように減圧作動を有する制御の場合、従来では、制御終了後にリザーバ室74内にブレーキ液が残存しないように(リザーバ室74の容積が増える方向にリザーバピストン68が変位したままとならないように)、ポンプ46(モータM)の駆動時間を設定していた。従来では、その分だけ制御終了後におけるポンプ46やモータMの駆動時間が長くなるため、ポンプ46やモータMの駆動音が耳障りに感じる場合があった。本実施形態では、制御終了時にサクションバルブ50を開弁状態としてリザーバ室74内に残存するブレーキ液(図17(a)参照)をマスタシリンダ14側に戻すことができる(図17(b)の太線矢印参照)。
すなわち、リザーバ室74の容積を縮小する方向に付勢するリザーバスプリング80は、リザーバ室74内に残存するブレーキ液によって撓み(図17(a)参照)、このリザーバスプリング80が初期位置に復帰しようとするばね力(復元力)が発生する。このリザーバスプリング80のばね力によってリザーバ室74内が加圧され、リザーバ室74とポンプ吸入室76との間で差圧が発生し、この差圧によって開閉弁104の弁体118が開弁状態となる。なお、中間ピストン72自体は、図17(a)の初期位置の状態に保持され、開閉弁104の弁体118のみが弁座116から離間して開弁状態となる。
開閉弁104の弁体118が開弁状態となることにより、残存ブレーキ液がポンプ吸入室76内に進入してポンプ吸入室76が加圧される。さらに、ポンプ吸入室76とマスタシリンダ14側の液圧路48との差圧によってボール128が着座部130から離間してサクションバルブ50が開弁状態となり、ポンプ吸入室76内に進入したブレーキ液(残存ブレーキ液)をマスタシリンダ14側に戻すことができる。
このように、本実施形態では、制御終了後にリザーバ室74内に残存するブレーキ液量を考慮することが不要となり、ポンプ46(モータM)の駆動時間を長く設定する必要がなくなって静穏性を向上させることができる。
図18は、他の実施形態に係るガイド機構を示した一部切欠斜視図である。
この他の実施形態に係るガイド機構70aでは、基体60の開口部61を閉塞するプラグ78と下側の第2ガイド部材84とを一体成形した部材160を設けている点で前記実施形態と異なっている。
このように構成することにより、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。