通常、より高いろ過精度と、より長いろ過寿命を有する筒状フィルターを得るには、上述した特許文献1〜3にも見られるように、繊維径及び/又は孔径が互いに異なる布帛(例えば不織布)を数種類使用し、ろ過対象物の流入側から流出側にかけて、これらの布帛を繊維径及び/又は孔径が徐々に小さくなるような多層構造にすることが行われている。本発明者らは、単に筒状フィルターの構造を布帛の繊維径及び/又は孔径が徐々に小さくなるような多層構造にしただけでは、ろ過精度の向上及びろ過寿命の向上を両立させることは不十分であり、繊維径及び/又は孔径に勾配を設けた多層構造の筒状フィルターにおいて、多層構造を構成する各布帛の割合及び/又は勾配の程度を特定のものにすることで、ろ過精度の向上と、ろ過寿命の向上を両立し得ることを見出し、本発明の筒状フィルターを完成させた。
本発明の筒状フィルターは、特定の平均孔径の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを含み、上記不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量が、筒状フィルター全体の質量に対して特定の割合以上であり、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、それぞれの不織布層の割合が特定の範囲を満たし、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cをろ過対象物の流入側から連続して巻回してろ過層を構成することにより、高いろ過精度と長いろ過寿命を有する筒状フィルターを提供することができる。
本発明の筒状フィルターにおいて、ろ過層は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの3種類の不織布層を含む。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの各不織布層を、それぞれ1種類の不織布を用いて構成しても、高いろ過精度と長いろ過寿命を有する筒状フィルターを提供できる。その結果、筒状フィルターを製造するのに必要な布帛の種類が少なくなり、生産工程を簡略化できると同時に生産性も向上し得ることから生産コストを低減できる。なお、筒状フィルターのろ過層を構成する布帛の種類が3種類に限定されるわけではないことはいうまでもない。例えば、不織布層Cよりも流出側に、不織布層Cよりも平均繊維径及び/又は平均孔径の小さい不織布を巻回して筒状フィルターとすることで、よりろ過精度を高めた構成の筒状フィルターとすることも可能である。また、不織布層Aよりも流入側に不織布層Aよりも平均繊維径及び/又は平均孔径の大きい不織布を巻回して筒状フィルターとすることで、よりろ過寿命を長くした構成の筒状フィルターとすることも可能である。しかし、本発明の筒状フィルターのろ過層を構成する不織布の種類が増えすぎると、筒状フィルターを生産する際に、巻回する不織布の種類を変更する手間が生じるため、生産性が低下する。本発明の筒状フィルターにおいて、ろ過層を構成する不織布は、3種類以上8種類以下であることが好ましい。使用する不織布の種類が少ないほど生産性は高くなる。生産性の観点から、本発明の筒状フィルターにおいて、ろ過層を構成する不織布は、3種類以上6種類以下であることがより好ましく、3種類又は4種類であることがさらに好ましい。
本発明の筒状フィルターは、ろ過対象物の流入側から、平均孔径が特定の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを、不織布の平均孔径が小さくなる順に配置してなるろ過層を含むため、ろ過対象物(例えば、水、切削油、塗料などの液体)中の固形物(粒子)が、大きいサイズのものから順番に除かれる。その上、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの含有量を特定の値にすることで、それぞれの平均孔径を有する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cにおいて、対応するサイズの固形物をほぼ完全に除去でき、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立している。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、筒状フィルターの流入側から不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順番に連続して配置されている。本発明において、不織布層が連続しているとは、不織布層と不織布層の間に他の部材がない場合と不織布層と不織布層の間に他の部材がある場合を含む。例えば、不織布層Aを構成する不織布と、不織布層Bを構成する不織布の末端部を接着する若しくは合わせること、又は不織布層Aの不織布と、不織布層Bの不織布の一部を重ね合わせることなどにより、他の部材を介在することなく不織布層Aと不織布層Bが連続して形成していてもよい。或いは、不織布層Bを形成した後、他の部材を、不織布層Aと不織布層Bの間にスペーサー層として巻回した後、不織布層Aを形成してもよい。他の部材としては、例えば不織布層A及び不織布層Bの平均孔径の範囲を満たさない不織布などを用いる。同様に、不織布層Bと不織布層Cの間にもスペーサー層を設けてもよい。スペーサー層を設けることで、不織布同士の貼り付きを防ぎ、筒状フィルターのろ過寿命を長くし、通水圧損を低下する可能性がある。
以下、図面などを用いて本発明の筒状フィルターを詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルターの部分破断側面図である。図1に示されているように、本発明の筒状フィルター1は、芯材2と、芯材2に巻回されているろ過層3を含む。また、筒状フィルター1において、ろ過層3は、支持不織布4で巻回されていることが好ましい。
(ろ過層)
ろ過層3は、ろ過対象物の流入側から順番に、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの少なくとも3種類の不織布層で構成されている。また、ろ過層3は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cに加えて、他の部材を含んでもよい。不織布層Aの平均孔径は23μm以上32μm以下であり、不織布層Bの平均孔径は不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上0.9倍未満であり、不織布層Cの平均孔径は不織布層Aの平均孔径の0.2倍以上0.6倍未満である。本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量は11.5質量%以上55質量%以下であり、不織布層Bの含有量は10質量%以上55質量%以下であり、不織布層Cの含有量は25質量%以上62質量%以下である。より好ましくは、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が13質量%以上53質量%以下であり、不織布層Bの含有量が12質量%以上52質量%以下であり、不織布層Cの含有量が27質量%以上60質量%以下である。さらに好ましくは、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が15質量%以上50質量%以下であり、不織布層Bの含有量が15質量%以上50質量%以下であり、不織布層Cの含有量が30質量%以上58質量%以下である。
本発明の筒状フィルターは、平均孔径が特定の範囲を満たす不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを含む筒状フィルターであり、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量が本発明の筒状フィルター全体の質量に対して特定の割合以上を占める。本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量は、筒状フィルター全体の質量に対して20質量%以上である。好ましくは25質量%以上であり、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。本発明において、筒状フィルター全体の質量とは、筒状フィルター本体の全体質量をいい、付加的な部材の質量を含まない。上記筒状フィルター本体とは、筒状フィルターを構成している部材であって、繊維集合物で形成されている部材を指す。上記繊維集合物は、繊維径が1mm以下の繊維(合成樹脂からなる繊維だけではなく、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを含む)で構成されており、より具体的には、筒状フィルターの最も内側を構成する芯材であって、繊維集合物を熱接着などにより成形した芯材(一般的にはモールドとも称される)、ろ過層、最も表面側に巻き付ける意匠用の布帛などが含まれる。上記付加的な部材とは、筒状フィルターを構成している部材であって、繊維集合物ではない部材、具体的にはガスケット(パッキンとも称される)、エンドキャップ、フィルター本体を大きな異物から保護するプロテクター(ガードとも称される)などが挙げられるほか、筒状フィルターの最も内側を構成する芯材であって、射出成形や押出成形で成形された芯材などを指す。筒状フィルター全体の質量に対して不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量を20質量%以上にすることで、本発明の筒状フィルターにおいて、主要なろ過層となる不織布層A、不織布層B及び不織布層Cが筒状フィルター全体の質量に対し一定の割合以上含まれるようになるため、高いろ過精度と長いろ過寿命を両立する筒状フィルターとなり得る。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量が筒状フィルター全体の質量に対して20質量%未満であると、筒状フィルターに占める不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの割合が少なくなりすぎるため、ろ過層としての機能が低減し、後述する各不織布層の平均孔径や質量比の条件を満たしても、筒状フィルターのろ過寿命及び/又はろ過精度が低下するおそれがある。
<不織布層A>
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層Aは不織布層B及び不織布層Cよりも流入側に位置し、不織布層B及び不織布層Cに対する前ろ過層として機能し、不織布層B及び/又は不織布層Cでろ過するのに適したサイズの固形物は通過させつつ、不織布層B及び/又は不織布層Cでろ過するには大きすぎるサイズの固形物を捕集し、不織布層B及び/又は不織布層Cには可能な限り流出させない。
不織布層Aの平均孔径は、23μm以上32μm以下である。好ましくは24μm以上30μm以下であり、24μm以上28μm未満であることがより好ましい。不織布層Aの平均孔径がこの範囲を満たすことで、不織布層Aで捕集する固形物と不織布を通過させる固形物のバランスがとれる上、筒状フィルター全体を通じた孔径の勾配の配分が容易となる。不織布層Aの平均孔径が23μmよりも小さいと、不織布層Aの平均孔径が小さくなりすぎるため、不織布層Aでサイズの大きい固形物からサイズの小さい固形物まで捕集されるようになり、不織布層Aを通過して不織布層B及び/又は不織布層Cに流出する固形物が少なくなる。すなわち、不織布層Aの中でも流入側に近い部分に集中して大部分の固形物が捕集されるようになるため、不織布層Aの構成繊維間の空隙が、他の不織布層に比べて、極端に早く、捕集した固形物によって完全に詰まった状態(この状態を「閉塞(した状態)」とも称す。)となり、筒状フィルターのろ過寿命が低下する。不織布層Aの平均孔径が32μmよりも大きいと、不織布層Aを通過して不織布層B及び/又は不織布層Cに流出する固形物の量が増えすぎるため、不織布層Aが十分に固形物を捕集する前に、不織布層B及び/又は不織布層Cが閉塞しやすくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下する。不織布層Aは、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成してもよい。不織布層Aに平均孔径の異なる2種類以上の不織布を用いる構成としては、例えば、平均孔径が30μm、26μm、24μmの不織布を用いて不織布層Aを構成することが挙げられる。不織布層Aに限らず、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの各層において、平均孔径が異なる不織布を2種類以上用いる場合、流入側から流出側にかけて、平均孔径が小さくなるように平均孔径が異なる不織布を順番に巻回し、それぞれの不織布層を形成することが好ましい。
不織布層Aの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して11.5質量%以上55質量%以下である。好ましい不織布層Aの質量割合は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して13質量%以上53質量%であり、15質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。不織布層Aの含有量が11.5質量%よりも少ないと、前ろ過層となる不織布層Aの割合が少なくなり、不織布層B及び/又は不織布層Cを十分にろ過に使用する前に不織布層Aが閉塞するか、不織布層Aそのものが少ないことで、サイズの大きい固形物が不織布層B及び/又は不織布層Cに流入するため、不織布層B及び/又は不織布層Cが早く閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの含有量が55質量%を超えると、不織布層Aの割合が多くなりすぎることで、不織布層B及び/又は不織布層Cの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Aが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Aの質量%は、これらの平均孔径の異なる不織布の質量%の合計である。例えば、不織布層Aが平均孔径が28μmの不織布と平均孔径が24μmの不織布で構成され、平均孔径が28μmの不織布及び平均孔径が24μmの不織布の含有量が、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、それぞれ10質量%及び15質量%である場合、不織布層Aの含有量は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して25質量%である。
不織布層Aの平均繊維径(不織布層Aを構成する繊維の平均繊維径)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる平均繊維径であればよく、特に限定されないが、2.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは2.4μm以上8.0μm以下であり、2.6μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。不織布層Aの平均繊維径がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、不織布層B、不織布層Cの前ろ過層としての効果がより高いものとなる。不織布層Aの平均繊維径が10.0μmよりも大きいと、不織布層Aの平均孔径が上記範囲の上限を超えやすく、平均孔径の範囲を満たしにくくなるおそれがある。また、不織布層Aを構成する繊維の平均繊維径が大きくなると、不織布層Aの目付によっては孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、不織布層Aの最大孔径が極端に大きくなるおそれがある。不織布層Aの平均繊維径が2.0μm未満であると不織布層Aの平均孔径が小さくなり、上記平均孔径の範囲を満たしにくくなるおそれがあり、その結果、筒状フィルターのろ過寿命が低下すると考えられる。
不織布層Aの目付は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる目付であればよく、特に限定されないが、10g/m2以上120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは15g/m2以上100g/m2以下であり、20g/m2以上80g/m2以下であることがさらに好ましい。不織布層Aの目付が上記範囲を満たすことで、上記平均孔径の範囲を満たしやすい上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。不織布層Aの目付が10g/m2よりも小さいと、不織布層Aが薄い不織布となり、不織布層Aの孔径分布においてバラつきが大きくなりやすく、不織布層Aの最大孔径が極端に大きくなるおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで不織布層Aの巻き回数(不織布層Aを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が多くなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。不織布層Aの目付が120g/m2よりも大きいと、不織布層Aの孔径分布のバラつきは小さくなるが、不織布層Aが厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、不織布層Aの巻き回数が減少し、不織布の巻き終わりに段差が生じやすくなり、筒状フィルターのろ過性能や生産性が低下するおそれがある。また、目付が大きくなりすぎることで不織布の繊維密度が低下し、不織布層Aを通過する固形物が増え、不織布層B及び/又は不織布層Cが閉塞しやすくなるおそれもある。
不織布層Aの最大孔径は、30μm以上60μm以下であることが好ましい。より好ましくは35μm以上55μm以下であり、40μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最大孔径は、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Aの最大孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Aが不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、下流側には極力流出させないようになる。不織布層Aの最大孔径が60μmよりも大きいと、不織布層Aを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層B及び/又は不織布層Cが急速に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの最大孔径が30μmよりも小さいと、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れこむことは抑えられるが、不織布層Aで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Aが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Aの最多孔径は、15μm以上40μm以下であることが好ましい。より好ましくは18μm以上35μm以下であり、20μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最多孔径は、不織布の最大孔径と同様、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Aの最多孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Aは、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層B及び/又は不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、下流側には極力流出させないようになる。不織布層Aの最多孔径が40μmよりも大きいと、不織布層Aを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層B及び/又は不織布層Cが急速に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aの最多孔径が15μmよりも小さいと、不織布層B及び/又は不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流入することは抑えられるが、不織布層Aで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Aが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
<不織布層B>
不織布層Bは不織布層Cの前ろ過層として機能し、不織布層Aを通過してきた固形物のうち、不織布層Cでろ過するのに適したサイズよりも大きい、比較的大きいサイズの固形物を捕集し、且つ不織布層Cでろ過するのに適したサイズの固形物は、ある程度捕集するものの不織布層Cにむけて流出させる役割を持つ。
不織布層Bの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上0.9倍未満である。好ましくは不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上0.85倍以下であり、0.62倍以上0.8倍以下であることがより好ましく、0.62倍以上0.78倍以下であることがさらに好ましい。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径と比較して一定の範囲を満たす倍率であると、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が適度なものとなり、主に筒状フィルターのろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.9倍以上であると、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎる、すなわち、不織布層Bと不織布層Aの平均孔径の差が小さい。そのため、不織布層Bが、不織布層Aを通過した固形物のうち、比較的大きい固形物を捕集するという機能を持たなくなり、不織布層Bよりさらに流出側の不織布層Cに、不織布層Aを通過した固形物の大部分が流れ込み、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.6倍未満であると、不織布層Aと不織布層Bの間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎる、すなわち、不織布層Bの平均孔径が不織布層Aの平均孔径に対して急激に小さくなる。そのため、不織布層Aを通過した固形物の大部分が不織布層Bで捕集され、不織布層Bが他の不織布層よりも早く閉塞されるようになり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aが平均孔径が異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、平均孔径の範囲を満たす2種類以上の不織布のうち、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Bの平均孔径が決定される。例えば、不織布層Aが30μm、26μm、24μmの不織布で構成されている場合、不織布層Bの平均孔径の範囲は、不織布層Aを構成する平均孔径24μmの不織布の平均孔径の値に基づいて決定され、不織布層Bの平均孔径の範囲は14.4μm以上21.6μm未満である。不織布層Bは、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成しても構わない。
本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Bの含有量は10質量%以上55質量%以下である。好ましくは12質量%以上52質量%以下であり、15質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。不織布層Bの含有量が10質量%より小さいと、不織布層Bで捕集される固形物の割合が少なくなるため、不織布層Cに多くの固形物が流出し、不織布層A及び/又は不織布層Bよりも、不織布層Cが早く閉塞することや、不織布層Bの割合が少ないため、不織布層Bが他の不織布層よりも早く閉塞することにより、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの含有量が55質量%を超えると、不織布層Bの割合が多くなりすぎることで、不織布層A及び/又は不織布層Cの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過寿命及び/又はろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Bが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Bの質量%は、これらの平均孔径の異なる不織布の質量%の合計である。例えば、不織布層Bが平均孔径が18μmの不織布と平均孔径が16μmの不織布で構成され、平均孔径が18μmの不織布及び平均孔径が16μmの不織布の含有量が、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、それぞれ15質量%及び20質量%である場合、不織布層Bの含有量は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対しては35質量%である。
不織布層Bの平均繊維径(不織布層Bを構成する繊維の平均繊維径)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる平均繊維径であればよく、特に限定されないが、1.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは2.0μm以上4.5μm以下であり、2.4μm以上4.0μm未満であることがさらに好ましい。不織布層Bの平均繊維径がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、不織布層Cの前ろ過層としての効果がより高いものとなる。不織布層Bの平均繊維径が5.0μmよりも大きいと、不織布層Bの平均孔径が上記範囲の上限を超えやすく、平均孔径が上記範囲を満たしにくくなるおそれがある。また、不織布層Bの平均繊維径が大きくなると、不織布層Bの目付によっては孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、不織布層Bの最大孔径が極端に大きくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Bの平均繊維径が1.5μm未満であると、不織布層Bの平均孔径が上記範囲の下限を下回りやすく、平均孔径が上記範囲を満たしにくくなるおそれがあり、その結果、筒状フィルターのろ過寿命が低下すると考えられる。
不織布層Bの目付は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる目付であればよく、特に限定されないが、10g/m2以上120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは15g/m2以上100g/m2以下であり、さらに好ましくは20g/m2以上80g/m2以下である。不織布層Bの目付がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。不織布層Bの目付が10g/m2よりも小さいと、不織布層Bを構成する不織布が薄い不織布となり、不織布層Bの孔径分布においてバラつきが大きくなりやすく、不織布層Bの最大孔径が極端に大きくなるおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで不織布層Bの巻き回数(不織布層Bを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が多くなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。不織布層Bの目付が120g/m2よりも大きいと、不織布層Bの孔径分布のバラつきは小さくなるが、不織布層Bが厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、不織布層Bの巻き回数が減少し、不織布の巻き終わりに段差が生じやすくなり、筒状フィルターのろ過性能や生産性が低下するおそれがある。また、目付が大きくなりすぎることで不織布の繊維密度が低下し、不織布層Bを通過する固形物が増え、不織布層Cが閉塞しやすくなるおそれもある。
不織布層Bの最大孔径は、16μm以上50μmであることが好ましい。より好ましくは20μm以上40μm以下であり、22μm以上36μm以下であることがさらに好ましい。ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最大孔径は、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Bの最大孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Bが不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、不織布層Cには極力流出させないようになる。不織布層Bの最大孔径が50μmよりも大きいと、不織布層Bを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層Cが急激に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの最大孔径が16μmよりも小さいと、不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流入することは抑えられるが、不織布層Bで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Bが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Bの最多孔径は、10μm以上28μm以下であることが好ましい。より好ましくは12μm以上24μm以下であり、15μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。ろ過用途に使用する不織布において、不織布の最多孔径は、不織布の最大孔径と同様、不織布を通過しうる固形物のサイズに影響を与える。不織布層Bの最多孔径が上記範囲を満たすことで、不織布層Bが不織布層Cで捕集することが好ましいサイズの固形物は通過させ、不織布層Cで捕集するにはサイズが大きすぎる固形物は捕集し、不織布層Cには極力流出さないようになる。不織布層Bの最多孔径が28μmよりも大きいと、不織布層Bを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流れ込むようになり、不織布層Cが急激に閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bの最多孔径が10μmよりも小さいと、不織布層Cにサイズが大きすぎる固形物が流入することは抑えられるが、不織布層Bで捕集される固形物の割合が多くなることで、不織布層Bが他の不織布層よりも早い段階で閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
<不織布層C>
不織布層Cは、ろ過層を構成する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの中で、最も流出側に位置するろ過層であり、筒状フィルターのろ過精度に大きな影響を与える。
不織布層Cの平均孔径は、不織布層Aの平均孔径の0.2倍以上0.6倍未満である。好ましくは不織布層Aの平均孔径の0.25倍以上0.58倍以下であり、0.3倍以上0.56倍以下であることがより好ましく、0.32倍以上0.55倍以下であることがさらに好ましい。本発明の筒状フィルターにおいて、不織布層Cの平均孔径は不織布層Aの平均孔径に対し、一定の範囲を満たす倍率である。すなわち、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されたろ過層の中で、最も流入側に位置する不織布層Aの平均孔径と、最も流出側に位置する不織布層Cの平均孔径の比が、一定の範囲を満たす。そのため、不織布層Aと不織布層Cの間における平均孔径の勾配、すなわち、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されるろ過層において、平均孔径の勾配が適度なものとなり、主に筒状フィルターのろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。不織布層Cの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.6倍以上であると、不織布層Aと不織布層Cの間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎる。そのため、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cで構成されるろ過層全体の平均孔径の勾配が小さくなり、同一の不織布を巻き続けた筒状フィルターのような構成となることで、筒状フィルターのろ過精度とろ過寿命を両立することが難しくなる。また、不織布層Cの平均孔径が大きいため、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Cの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.2倍未満であると、不織布層Aと不織布層Cの間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎる。そのため、不織布層A及び/又は不織布層Bが、不織布層Cの前ろ過層として十分に機能しなくなり、不織布層Cで捕集するには大きすぎるサイズの固形物が不織布層Cに流入するようになり、不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞するようになり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Aが異なる2種類以上の不織布で構成されていて、不織布の平均孔径がそれぞれ異なる場合、平均孔径の範囲を満たす2種類以上の不織布のうち、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Cの平均孔径が決定される。例えば、不織布層Aに平均孔径が30μm、26μm、24μmの不織布で構成されている場合、不織布層Cの平均孔径の範囲は、不織布層Aを構成する平均孔径24μmの不織布の平均孔径の値に基づいて決定され、不織布層Cの平均孔径の範囲は4.8μm以上14.4μm未満である。不織布層Cは、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を1種類用いて構成してもよいし、上記平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成してもよい。
上記のとおり、本発明の筒状フィルターでは、不織布層Cの平均孔径が不織布層Aの平均孔径の0.2倍以上0.6倍未満であればよいが、不織布層Cの平均孔径が、この倍率を満たしつつ、不織布層Bの平均孔径の0.25倍以上0.95倍未満であることが好ましい。不織布層Cの平均孔径は、不織布層Bの平均孔径の0.5倍以上0.92倍以下であることがより好ましく、0.6倍以上0.9倍以下であることがさらに好ましい。不織布層Cの平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.25倍以上0.95倍未満であると、不織布層Bと不織布層Cの間における平均孔径の勾配がより適度なものとなり、筒状フィルターのろ過精度とろ過寿命の向上に寄与すると考えられる。不織布層Cの平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.95倍以上であると、不織布層Bと不織布層Cの間における平均孔径の勾配が小さくなりすぎる、すなわち、不織布層Cと不織布層Bの平均孔径の差が小さいため、不織布層Cが不織布層Bを通過した固形物の大部分を捕集できなくなり、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Cの平均孔径が不織布層Bの平均孔径の0.25倍よりも小さいと、不織布層Bと不織布層Cの間における平均孔径の勾配が大きくなりすぎる、すなわち、不織布層Cの平均孔径が不織布層Bの平均孔径に対して急激に小さくなる。そのため、不織布層Cにサイズが大きい固形物が流れ込みやすくなり、不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞しやすくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Bが異なる2種類以上の不織布で構成されていて、不織布の平均孔径がそれぞれ異なる場合、平均孔径の範囲を満たす2種類以上の不織布のうち、最も平均孔径の小さい不織布の平均孔径の値に基づいて、不織布層Cの平均孔径が決定される。例えば、不織布層Bが、平均孔径がそれぞれ18μm、16μm、14μmの不織布で構成されている場合、不織布層Cの平均孔径の範囲は、不織布層Aの平均孔径に対し0.2倍以上0.6倍未満という範囲を満たしつつ、不織布層Bを構成する平均孔径14μmの不織布の平均孔径の値を用いて決定される3.5μm以上13.3μm未満の範囲を満たすことが好ましい。
不織布層Cの含有量は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、25質量%以上62質量%以下である。好ましい不織布層Cの質量割合は、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、27質量%以上60質量%以下であり、30質量%以上58質量%以下であることがより好ましい。不織布層Cの含有量が25質量%よりも少ないと、不織布層Cの割合が小さくなることから、不織布層Cが不織布層A及び/又は不織布層Bよりも早い段階で閉塞してしまい、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。また、不織布層Cにおいて、不織布層Cの巻き回数(不織布層Cを構成する不織布を重ね合わせる積層回数)が減少することで、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれもある。不織布層Cの含有量が62質量%を超えると、筒状フィルターのろ過精度は高められるが、不織布層Cの割合が多くなりすぎることで、不織布層A及び/又は不織布層Bの割合が少なくなり、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。不織布層Cが平均孔径の異なる2種類以上の不織布で構成されている場合、不織布層Cの質量%は、これらの平均孔径の異なる不織布の質量%の合計である。例えば、不織布層Cが平均孔径が12μmの不織布と平均孔径が8μmの不織布で構成され、平均孔径が12μmの不織布及び平均孔径が8μmの不織布の含有量が、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に対して、それぞれ25質量%及び15質量%である場合、不織布層Cの含有量は不織布層A、不織布層B、不織布層Cの合計質量に対して40質量%である。
不織布層Cの平均繊維径(不織布層Cを構成する繊維の平均繊維径)は、平均孔径が上記範囲を満たすものとなる平均繊維径であればよく、特に限定されないが、0.3μm以上4.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上3.5μm以下であり、0.8μm以上3.2μm以下であることがさらに好ましい。不織布層Cの平均繊維径がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、ろ過精度が高い筒状フィルターが得られるようになる。不織布層Cの平均繊維径が4.0μmよりも大きいと、平均孔径が上記範囲の上限を超えやすく、平均孔径が上記範囲を満たしにくくなるおそれがある。また、不織布層Cの平均繊維径が大きくなると、不織布層Cの目付によっては孔径分布のバラつきが大きくなりやすく、不織布層Cの最大孔径が極端に大きくなり、ろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Cの平均繊維径が0.3μm未満であると、平均孔径が上記範囲の下限を下回りやすく、平均孔径が上記範囲を満たしにくくなるおそれがある。その結果、不織布層Cが不織布層A及び不織布層Bと比較して、極端に平均孔径の小さい層となることで、不織布層Cが他の層よりも早く閉塞し、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Cの目付は、平均孔径が上記範囲を満たすものになるような目付であればよく、特に限定されないが、5g/m2以上120g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは10g/m2以上100g/m2以下であり、さらに好ましくは15g/m2以上80g/m2以下である。不織布層Cの目付がこの範囲を満たすことで、平均孔径が上記範囲を満たしやすくなる上、筒状フィルターの生産性も向上すると考えられる。不織布層Cの目付が5g/m2よりも小さいと、不織布層Cが薄い不織布となり、不織布層Cの孔径分布においてバラつきが大きくなりやすく、不織布層Cの最大孔径が極端に大きくなるおそれや、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。また、目付が小さくなりすぎることで、不織布層Cの巻き回数が大きくなり、筒状フィルターの生産性が低下するおそれもある。不織布層Cの目付が120g/m2よりも大きいと、不織布層Cの孔径分布のバラつきは小さくなるが、不織布層Cが厚い不織布になり、筒状フィルターの外径が規格を超えるおそれや、不織布層Cの巻き回数が減少し、不織布の巻き終わりに段差が生じやすくなり、筒状フィルターのろ過性能や生産性が低下するおそれがある。また、目付が大きくなりすぎることで不織布の繊維密度が低下し、不織布層Cを通過する固形物が増え、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれもある。
不織布層Cの最大孔径は、10μm以上30μm以下であることが好ましい。より好ましくは12μm以上25μm以下であり、14μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。不織布層Cの最大孔径が上記範囲を満たすことで、本発明の筒状フィルターは高いろ過精度を発揮することができる。不織布層Cの最大孔径が30μmよりも大きいと、不織布層Cを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cの積層回数を増やさないと筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Cの最大孔径が10μmよりも小さいと、不織布層Cが不織布層A及び不織布層Bと比較して、極端に最大孔径の小さい層になり、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞することで、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層Cの最多孔径は、5μm以上18μm以下であることが好ましい。より好ましくは6μm以上16μm以下であり、8μm以上14μm以下であることがさらに好ましい。不織布層Cの最多孔径が上記範囲を満たすことで、本発明の筒状フィルターは高いろ過精度を発揮することができる。不織布層Cの最多孔径が18μmよりも大きいと、不織布層Cを通過しうる固形物のサイズが大きくなるため、不織布層Cの積層回数を増やさないと、筒状フィルターのろ過精度が低下するおそれがある。不織布層Cの最多孔径が5μmよりも小さいと、不織布層Cが不織布層A及び不織布層Bと比較して、極端に最多孔径の小さい層になり、不織布層Cが他の不織布層よりも早く閉塞することで、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、上述したとおり、各不織布層が1種類の不織布で構成されていてもよく、各不織布層の平均孔径の範囲を満たす不織布を2種類以上用いて構成されていてもよい。各不織布層を、上記平均孔径の範囲を満たし、平均孔径が異なる2種類以上の不織布で構成する場合、各不織布間は、平均孔径が異なる不織布同士を接着して巻回されていてもよく、異なる不織布の端部同士を5cmから15cmほど重ねて巻回してもよいし、末端部を合わせた状態で次の不織布を巻回し始めることで、つなぎ目がなく、かつ平均孔径が異なる不織布を連続するように巻回してもよい。また、平均孔径が異なる不織布の間に、他の部材例えばスペーサー層を介在させてもよい。上記スペーサー層を設けることで、不織布同士の貼り付きを防ぎ、筒状フィルターのろ過寿命が長くなる可能性や、通水圧損が低下する可能性があるためである。上記スペーサー層は隣接する不織布層の平均孔径の範囲を満たさない不織布などで構成されていればよい。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cについて、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、平均繊維径は不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cにおいて、それぞれが好ましい平均繊維径の範囲を満たし、且つ平均繊維径が不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることで、本発明の筒状フィルターにおいて、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも大きいサイズの固形物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cから選ばれる少なくとも1つの不織布層が、平均繊維径が異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に平均繊維径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても平均繊維径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に平均繊維径が小さくなるように巻回することで、本発明の筒状フィルターが高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなる。
不織布層A、不織布層B、不織布層Cについて、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、不織布の最大孔径は、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cにおいて、それぞれが好ましい最大孔径の範囲を満たし、且つ最大孔径が不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることで、本発明の筒状フィルターにおいて、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも小さいサイズの固体物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cから選ばれる少なくとも1つの不織布層が、最大孔径の異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に最大孔径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても最大孔径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に最大孔径が小さくなるように巻回することで、本発明の筒状フィルターが高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなる。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cについて、それぞれが上述した好ましい平均繊維径、目付、最大孔径、最多孔径を満たしていることが好ましいが、筒状フィルターの高いろ過精度と長いろ過寿命を両立するという観点から、不織布の最多孔径は、不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることがより好ましい。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cにおいて、それぞれが好ましい最多孔径の範囲を満たし、且つ最多孔径が不織布層A、不織布層B、不織布層Cの順で小さくなっていることで、本発明の筒状フィルターにおいて、各不織布層が、その層に適したサイズの固形物を確実に捕集し、適したサイズよりも小さいサイズの固体物は通過させ、高いろ過精度と長いろ過寿命が両立される。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cから選ばれる少なくとも1つの不織布層が、最多孔径の異なる2種類以上の不織布を含む場合、その不織布層自体も流入側から流出側にむけて順に最多孔径が小さくなっていることが好ましい。各不織布層においても最多孔径が異なる不織布を流入側から流出側にむけて順に最多孔径が小さくなるように巻回することで、本発明の筒状フィルターが高いろ過精度と長いろ過寿命が両立しやすくなるためである。
本発明において、不織布の平均孔径、最大孔径、最多孔径及び最小孔径の測定方法は後述する。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの不織布の種類は特に限定されず、例えば長繊維(例えば、110mmよりも長い繊維長を有する繊維や、実質的に連続している繊維)不織布であってもよく、短繊維(例えば、3mm以上110mm以下の繊維長を有する繊維)不織布であってもよい。長繊維不織布としては、例えばスパンボンド不織布、メルトブロー法により得られるメルトブローン不織布、エレクトロスピニング法(静電紡糸法、電界紡糸法)を用いて得られる不織布などを用いることができる。短繊維不織布としては、短繊維を用い、湿式抄紙法、カード機を用いたカード法及びエアレイ法などによりウェブを作製し、さらにウェブを一体化させることにより得られるものを用いることができる。カード法によると、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ及びクリスクロスウェブなどのウェブを作製することができる。ウェブの一体化は、接着剤による接合、繊維を軟化又は溶融させることによる熱接着(サーマルボンド)、ニードルパンチ及び高圧水流処理(スパンレース)から選択される一つ又は複数の方法により実施される。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、油剤を使わずに製造でき、繊維くずが少なく、使用中の繊維脱落の発生が少ないことから、長繊維不織布であることが好ましく、メルトブローン不織布であることがより好ましい。メルトブローン不織布は、繊維径の分布が大きい不織布とすることができる。メルトブローン不織布において、繊維径の大きい繊維によって構成された繊維間空隙では固形物(粒子)が通過しやすく、繊維径の小さい繊維によって構成された繊維間空隙では微小粒子を捕捉するので、メルトブローン不織布からなる不織布を複数周巻回しても、目詰まりし難い。また、メルトブロー法によれば、適度な厚さを有する不織布を得やすい。
不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する材料は特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどのポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどのポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド(ポリフェニレンスルフィド、PPSとも称される)などのエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。
上述した熱可塑性樹脂、或いは例挙していないが、公知の熱可塑性樹脂の中から選択して不織布を作製し、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを形成し、本発明の筒状フィルターに用いることができる。不織布及び筒状フィルターの生産性、筒状フィルターを使用する際の耐薬品性(耐酸性、耐塩基性、各種有機溶剤に対する耐性)が高いという観点から、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂で構成されることが好ましく、少なくともポリプロピレン樹脂を含んでいることがさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂はポリオレフィン系樹脂の中では比較的高融点の樹脂であることから、ある程度高い温度の液体をろ過できるほか、耐薬品性も良好であり、低コストである。なお、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。筒状フィルターに対し、耐熱性が求められる用途であれば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドで不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成することが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドで構成することがより好ましい。
また、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する繊維は、単一繊維であってもよく、複合繊維であってもよい。単一繊維は、分割型複合繊維の割繊により形成される繊維や、いわゆる海島型複合繊維から海成分を溶脱させ、島成分を極細繊維とした繊維も含む。複合繊維としては、同心芯鞘型、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、分割型などのいずれの複合繊維であってもよい。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cは、単一繊維で構成されることが好ましい。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する繊維が複合繊維、例えば、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエチレンの芯鞘型複合繊維であると、筒状フィルターを使用できる温度が、ポリエチレンの融点に依存するようになるため、ポリプロピレンの単一繊維を使用したときよりも耐用温度が低下する場合があるなど、組み合わせた樹脂によって使用できる条件が変わるだけでなく、使用状況の変化によって筒状フィルターの性能が変わりやすくなるおそれがある。これらの点から、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cはポリプロピレン樹脂からなる単一繊維であることが特に好ましい。なお、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成する繊維は、ポリプロピレン樹脂からなる単一繊維に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリプロピレン樹脂以外の熱可塑性樹脂を使用した繊維を適宜選択して使用できる。筒状フィルターに対し、耐熱性が求められる用途であれば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドを含む単一繊維や複合繊維で不織布層A、不織布層B及び不織布層Cを構成することが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂の単一繊維で構成することがより好ましい。
<他の部材>
ろ過層3は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cに加えて、他の部材を含んでもよい。他の部材は、不織布層Aの外側(流入側)及び/又は不織布層Cの内側(流出側)に配置することができる。まず、他の部材が不織布層Aよりも流入側に配置される場合を説明する。他の部材が不織布層Aよりも流入側に配置される場合、他の部材は、その平均孔径が不織布層Aの平均孔径より大きいことが好ましい。このような構造とすることで、本発明の筒状フィルターのろ過寿命がより長いものとなりうる。次に、他の部材が不織布層Cよりも流出側に配置される場合を説明する。他の部材が不織布層Cよりも流出側に配置される場合、他の部材は、その平均孔径が不織布層Cの平均孔径より小さいことが好ましい。このような構造とすることで、本発明の筒状フィルターのろ過精度がより高いものとなりうる。
また、上述したとおり、他の部材がろ過性能に影響を与えないものであれば、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの層間にスペーサー層として配置してもよく、各不織布層が、その層の平均孔径の条件を満たす2種類以上の不織布を含む場合は、その不織布の間にスペーサー層として配置されることもある。この場合、他の部材の平均孔径はろ過機能に影響を与えないような十分に大きい平均孔径であることが好ましい。上記不織布層の層間に挿入する他の部材や、上記各不織布の間に挿入する他の部材の平均孔径が十分に大きくない(例えば平均孔径が32μmの場合が挙げられる)と、他の部材と不織布層Aの平均孔径が近いことにより他の部材の閉塞が起きやすい。また、他の部材の巻き回数が1周から10周程度であると、その量が不織布層A、不織布層B及び不織布層Cと比較して少ないことから、他の部材の閉塞が起きやすい。他の部材が閉塞してしまうと、不織布層A、不織布層B、不織布層Cを十分にろ過に使用する前に他の部材の閉塞に伴い筒状フィルターのろ過寿命に達するため好ましくない。他の部材としては、巻き回数が少なくても閉塞しにくい十分に粗い不織布やネット、具体的には平均孔径が40μm以上、より好ましくは45μm以上、さらに好ましくは50μm以上の不織布やネットが用いられる。この場合において、他の部材の巻き回数は、10周よりも多くなると、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの割合が低下することから1周以上10周以下が好ましく、1周以上5周以下がより好ましい。平均孔径が異なる不織布の間に他の部材をスペーサー層として設ける具体例としては、不織布層Aを平均孔径26μmの不織布と平均孔径24μmの不織布で構成する場合、平均孔径が24μmの不織布を巻回して不織布層を形成し、そこに平均孔径が40μmの不織布を1周以上5周以下巻回した後、平均孔径が26μmの不織布を巻回する構成が挙げられる。不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの層間、或いは各不織布層の平均孔径が異なる不織布の間にスペーサー層を設ける場合、スペーサー層は不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対し10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。或いは、スペーサー層を構成する材料、例えば不織布、ネットといった布帛やシートの巻き回数が1周以上10周以下であることが好ましく、より好ましくは1周以上5周以下である。
(芯材)
一般に、筒状フィルターは、ろ過対象物が通過する孔を有する管状芯材の周囲にろ過不織布が巻回されている構成を有する。本発明において、芯材1は、その外周側から内周側、又は外周側から内周側に向かって流れる液体の通過を実質的に妨げないものであればよく、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体、金属製の孔あき筒状体、セラミックス製の孔あき筒状体などを用いることができるほか、円筒状の繊維成形品を用いることができる。芯材1としては、耐薬品性や製造コストの面から、熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体、円筒状の繊維成形品を用いることが好ましい。上記熱可塑性樹脂製の孔あき筒状体は、溶融した熱可塑性樹脂を押出成形すること又は射出成形することにより得られる。上記円筒状の繊維成形品としては、その製造方法は限定されず、熱接着性繊維を含む繊維ウェブを加熱しながら芯棒に巻き取ることにより得られる繊維成形体、熱接着性繊維を含む繊維ウェブを円筒状容器に充填して加熱することにより得られる繊維成形体などを用いることができる。上記繊維ウェブの目付は、好ましくは5g/m2以上100g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上80g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以上60g/m2以下である。或いは、上記円筒状の繊維成形品としては、メルトブロー法などで溶融した熱可塑性樹脂を空気中に吐出して不織布を得る製造方法において、表面が軟らかい、或いは表面が溶融状態の繊維を金属製の円柱状の芯棒に直接巻き付けて冷却することで得られる繊維成形品などを用いることもできる。芯材1のサイズや形状は、ろ過装置のサイズや形式に合わせて適宜決めればよい。芯材1が孔あき筒状体である場合、孔のサイズは、例えば一辺が1〜10mm角の多角形形状や、直径が1〜10mmの円形にすることができる。
芯材1としては、繊維成形体を用いることが好ましい。溶融した熱可塑性樹脂を押出成形したり射出成形したりすることで得られる樹脂成形品を使用した芯材1には固体物を捕集する効果がほとんどない。一方、繊維成形体を芯材1として用いる場合、ろ過時に加わる圧力によって芯材1が変形したり破壊されたりしないようにするため、繊維同士が強固に熱接着された圧縮強度の高い繊維成形体にする必要がある。繊維同士が強固に熱接着された繊維成形体は密度が大きく、繊維間の間隔が狭くなっているため、固体物をある程度捕集できる。さらに、フィルターとしてろ過対象物の拡散効果にも優れ、厚さがあることから深層ろ過機構としての効果も発揮しうる。これらの作用・効果により、芯材1が繊維成形体の筒状フィルターは、芯材1が樹脂成形品である筒状フィルターよりもろ過精度が高められたり、ろ過精度が安定したりすると考えられる。芯材1に含まれる熱接着性繊維の原料としては、溶融紡糸性を有する熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどのポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどのポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどのエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。また、熱接着性繊維の断面形状は特に限定はなく、円形、楕円形、三角形、多角形、多葉形状などのいずれであってもよい。繊維の構成についても単一繊維、複合繊維のいずれであってよい。また、複合繊維の場合、その繊維断面形状は特に限定はされず、芯鞘型、偏心芯鞘型、分割型、並列型(サイドバイサイド型)、海島型などのいずれであってもよい。上記熱接着性繊維としては、繊維強力、生産性及び得られる芯材の耐薬品性の観点から、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系繊維を使用することが好ましい。また、繊維の構成については、熱接着性繊維の生産性と生産コストから、芯成分と鞘成分のいずれもポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維を使用することが好ましい。なお、上記熱接着性繊維は、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維に限定されず、本発明の筒状フィルターに求められる性能によってポリオレフィン系芯鞘型複合繊維以外の複合繊維を適宜選択して使用できる。筒状フィルターに対し、耐熱性が求められる用途であれば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドを含む複合繊維を用いることが好ましく、芯成分と鞘成分が共にポリエステル系樹脂を含むポリエステル系芯鞘型複合繊維、芯成分と鞘成分が共にポリアミド系樹脂を含むポリアミド系芯鞘型複合繊維、ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を複合した芯鞘型複合繊維で構成することがより好ましい。
上記熱接着性繊維が芯鞘型複合繊維の場合、鞘成分は芯成分よりもその融点が少なくとも20℃低い樹脂を選ぶと熱接着加工上都合がよい。鞘成分と芯成分の好ましい組み合わせとしては、例えば、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1樹脂とポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂とポリメチルペンテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリメチルペンテン樹脂、ポリエチレン樹脂とポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン樹脂とポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合樹脂とポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエステルと高融点ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6,6、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6、ポリエチレン樹脂とナイロン6などが挙げられる。繊維強力、生産性及び耐薬品性の面から、少なくともその一成分にポリオレフィン系樹脂成分を有する組み合わせからなるものが好ましく、より好ましくは芯成分、鞘成分共にポリオレフィン系樹脂の組み合わせであり、さらに好ましくは芯成分がポリプロピレン樹脂、鞘成分がポリエチレン樹脂の組み合わせである。
上記繊維ウェブ(繊維成形体)は、熱接着性繊維を少なくとも50質量%含有することが好ましく、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは繊維ウェブが熱接着性繊維のみからなる。熱接着性繊維の含有量が50質量%以上であると、筒状フィルターの耐圧強度が高くなるうえ、使用中に繊維が脱落するおそれもない。また、熱接着性繊維以外の他の繊維としては特に限定はなく、例えば、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維などの合成繊維などを使用することができる。上記繊維ウェブに含まれる熱接着性繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、5μm以上50μm以下であることが好ましい。熱接着性繊維の平均繊維径が上記範囲を満たすことで、得られる繊維成形体(芯材1)が充分な強度を有し、かつ固体物を捕集する能力を有するようになるからである。熱接着性繊維の平均繊維径が50μmを超えると熱接着性繊維の平均繊維径が大きくなりすぎるため、熱接着性繊維同士を強く熱接着しても繊維間の間隔が狭くならず、固体物を捕集する効果が得られないおそれがあるほか、均一な繊維ウェブが得られにくいため、繊維成形体の構造も均一なものになりにくくなるおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径が5μmよりも小さくなると、繊維間の間隔が狭くなりすぎることで、筒状フィルターのろ過寿命が短くなるおそれや、通気圧損や通水圧損といった圧力損失が大きくなるおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径は10μm以上32μm以下であることがより好ましく、15μm以上28μm以下であることがさらに好ましい。
繊維成形体を芯材1として使用する場合、繊維成形体の密度は0.1g/cm3以上0.6g/cm3以下であることが好ましい。繊維成形体の密度が上記範囲を満たすことで、芯材1に対して充分な強度が付与され、ろ過処理時に筒状フィルターに変形、歪みが生じることや、筒状フィルターが破損することがない。また、筒状フィルターの密度が上記範囲を満たすことで、繊維成形体の構造が密なものとなり、固体物を捕集するようになるためである。繊維成形体の密度が0.1g/cm3未満となると、繊維成形体の強度が不足し、ろ過処理中に筒状フィルターに変形や歪みが生じるおそれや、筒状フィルターが破損するおそれがある。繊維成形体の密度が0.6g/cm3を超えると繊維成形体の強度及び固体物の捕集性能が高められるものの、繊維成形体の構造が密になりすぎるため、筒状フィルターのろ過寿命が短くなるおそれや、通気圧損や通水圧損といった圧力損失が大きくなるおそれがある。繊維成形体の密度は0.15g/cm3以上0.5g/cm3以下であることがより好ましく、0.2g/cm3以上0.45g/cm3以下であることがさらに好ましい。
(支持不織布)
本発明の筒状フィルターは、図1に示しているように、好ましくはろ過層3の外側に巻回されている支持不織布4を含む。支持不織布4は、ろ過層3を構成する不織布の損傷及び/又は脱落を防止するとともに、巻回作業を容易にするためや、筒状フィルター表面に意匠性を持たせるために好ましく用いられる。
支持不織布4は、特に限定されないが、強度の観点から、熱接着性繊維を含む熱接着不織布を用いることが好ましい。熱接着性繊維としては、上述した芯材1に用いられるものと同一のものを用いることができる。例えば、支持不織布4に含まれる熱接着性繊維は、平均繊維径が5μm以上50μm以下のものを使用することができ、好ましい平均繊維径は10μm以上32μm以下であり、より好ましい平均繊維径は15μm以上28μm以下である。支持不織布4に含まれる熱接着性繊維の平均繊維径が上記範囲を満たすことで、支持不織布4が不織布層Aの前ろ過層として働き、筒状フィルターのろ過寿命が高められる。上記熱接着性繊維の平均繊維径が5μm未満であると、支持不織布4を構成する繊維の間隔が狭くなり、支持不織布4の層が短時間で閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下するおそれがある。熱接着性繊維の平均繊維径が50μmを超えると支持不織布4の層が閉塞しにくくなるものの、前ろ過層としての働きは低下し、筒状フィルターのろ過寿命を向上させる効果は得られにくくなる。また、上記熱接着性繊維は、鞘成分がポリエチレン樹脂であり、芯成分がポリプロピレン樹脂である芯鞘型複合繊維を含み、繊維同士がポリエチレン樹脂によって熱接着している熱接着不織布であることが好ましい。
支持不織布4は、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布といった長繊維不織布であってもよいし、短繊維不織布であってもよいが、短繊維不織布である方が好ましい。短繊維不織布は使用する短繊維及び製造条件にもよるが、構成繊維間の空隙が多く、筒状フィルターにおける前ろ過層に適した不織布を得られやすいためである。短繊維不織布としては、短繊維を用い、湿式抄紙法、カード機を用いたカード法及びエアレイ法などによりウェブを作製し、さらにウェブを一体化させることにより得られるものを用いることができる。カード法によると、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ及びクリスクロスウェブなどのウェブを作製することができる。ウェブの一体化は、接着剤による接合、繊維を軟化又は溶融させることによる熱接着(サーマルボンド)、ニードルパンチ及び高圧水流処理(スパンレース)から選択される一つ又は複数の方法により実施されるが、熱接着及び/または高圧水流処理を行った不織布であることが好ましい。前記支持不織布の目付は特に限定されないものの、目付が5g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。支持不織布の目付が上記範囲を満たすことで、支持不織布が不織布層Aの前ろ過層として働き、筒状フィルターのろ過寿命が高められる。前記支持不織布の目付が5g/m2未満であると支持不織布の層が閉塞しにくくなるものの、前ろ過層としての働きは弱くなり、ろ過寿命を向上させる効果は得られにくくなる。支持不織布の目付が100g/m2を超えると支持不織布を構成する繊維の間隔が狭くなり、支持不織布の層が短時間で閉塞して、筒状フィルターのろ過寿命が低下してしまうおそれがある。支持不織布の目付は10g/m2以上70g/m2以下であると好ましく、20g/m2以上60g/m2以下であるとさらに好ましい。
本発明の筒状フィルターは、下記に示す条件(a)及び条件(b)の二つの条件のいずれかを満たすことが好ましい。下記条件(a)及び条件(b)のうち、条件(a)はよりろ過精度を重視したものであり、条件(b)はよりろ過寿命を重視したものである。
条件(a):ろ過精度が1.00μm以上1.20μm未満、且つ、ろ過寿命が1600リットル以上である。
条件(b):ろ過精度が1.20μm以上1.4μm未満、且つ、ろ過寿命が1700リットル以上である。
本発明において、上記条件(a)を満たす筒状フィルターは、下記に示す条件(a1)を満たすことがより好ましく、条件(a2)を満たすことがさらに好ましい。
条件(a1):ろ過精度が1.00μm以上1.20μm未満、且つ、ろ過寿命が1700リットル以上である。
条件(a2):ろ過精度が1.00μm以上1.20μm未満、且つ、ろ過寿命が2000リットルである。
本発明の筒状フィルターにおいて、上記条件(a)を満たすには、不織布層Cの含有量が比較的多くなるように不織布層A、不織布B及び不織布層Cを構成する方が好ましい。上記条件(a)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が12質量%以上50質量%以下であり、不織布層Bの含有量が12質量%以上45質量%以下であり、不織布層Cの含有量が25質量%以上60質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a1)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が12質量%以上50質量%以下であり、不織布層Bの含有量が15質量%以上45質量%以下であり、不織布層Cの含有量が30質量%以上60質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(a2)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が12質量%以上30質量%以下であり、不織布層Bの含有量が25質量%以上35質量%以下であり、不織布層Cの含有量が35質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
本発明において、上記条件(b)を満たす筒状フィルターは、下記に示す条件(b1)を満たすことがより好ましく、条件(b2)を満たすことがさらに好ましく、条件(b3)を満たすことが特に好ましい。
条件(b1):ろ過精度が1.20μm以上1.4μm未満、且つ、ろ過寿命が1900リットル以上である。
条件(b2):ろ過精度が1.20μm以上1.4μm未満、且つ、ろ過寿命が2000リットル以上である。
条件(b3):ろ過精度が1.20μm以上1.4μm未満、且つ、ろ過寿命が2300リットル以上である。
本発明の筒状フィルターにおいて、上記条件(b)を満たすには、不織布層A及び/又は不織布層Bが比較的多くなるように不織布層A、不織布B及び不織布層Cを構成する方が好ましい。上記条件(b)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が14質量%以上55質量%以下であり、不織布層Bの含有量が15質量%以上55質量%以下であり、不織布層Cの含有量が25質量%以上45質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b1)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が19質量%以上55質量%以下であり、不織布層Bの含有量が15質量%以上55質量%以下であり、不織布層Cの含有量が25質量%以上45質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b2)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が19質量%以上45質量%以下であり、不織布層Bの含有量が18質量%以上50質量%以下であり、不織布層Cの含有量が25質量%以上45質量%以下であることが好ましい。また、上記条件(b3)を満たすには、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Aの含有量が23質量%以上38質量%以下であり、不織布層Bの含有量が25質量%以上45質量%以下であり、不織布層Cの含有量が30質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明において、筒状フィルターのろ過精度、ろ過寿命の測定方法は後述する。
本発明の筒状フィルターは、筒状フィルターのろ過精度及び筒状フィルター使用時の効率(ろ過を行う際に必要となる圧力の大きさ)の観点から、通水圧損が0.2MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.05MPa以上0.18MPa以下である。本発明において、通水圧損は、30リットル/分の流量で水を通水した際の筒状フィルターの入口と出口の圧力差で示されるものである。
本発明の筒状フィルター1は、例えば、図2に示すように、芯材2の外側に、ろ過層3を構成する不織布層A、不織布層B及び不織布層C並びに支持不織布4をこの順番に巻回することで得られる。図2に示すように、ろ過層3を構成する不織布層A、不織布層B及び不織布層C、並びに支持不織布4は、前の不織布の巻回終了と次の不織布の巻回開始がほぼ同時に行われるように配置されていることが好ましい。なお、支持不織布4はろ過層を構成する不織布の巻回終了後に巻回してもよい。支持不織布4の巻き終わりにおいて端部を例えば130〜150℃で15〜40秒間処理することで熱接着させることが好ましい。
本発明の筒状フィルターは、高いろ過精度と長いろ過寿命を実現したものであり、液体から固形物を取り除く種々の用途に適しており、例えば、純水、飲料水、薬液、各種油脂、めっき液、塗料溶液及び電子工業用洗浄水などの液体をろ過するのに適している。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
(通水圧損)
30リットル/分の流量で水を通水した際の筒状フィルターの入口と出口の圧力差を測定し、通水圧損(MPa)とした。
(ろ過精度)
JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製し、試験用懸濁液に含まれる粉体(ダスト)の粒子径別の個数(M)と、筒状フィルターを用いて試験用懸濁液を流速20リットル/分でろ過し、ろ過開始後1分の濾液に含まれるダストの粒子径別の個数(N)とを粒度分布測定機(商品名:マルチサイザーIII型 ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定した。各粒子径別に下記式に基づいて遮断率を算出し、遮断率が90%になる粒子径を筒状フィルターのろ過精度とした。
遮断率(%)=[(M−N)/M]×100
(ろ過寿命)
JIS Z 8901に準ずる試験用粉体(JIS11種)を水に分散させて濃度20ppmの試験用懸濁液を作製した。次に試験用懸濁液を均一に攪拌しながら筒状フィルターの外周側から内周側中空部へ向かって、20リットル/分の流量で通過させ、この流量を維持するための通水圧力が0.2MPaになったときの総水量(リットル)を筒状フィルターのろ過寿命とした。
(孔径分布)
ASTM F 316−86(バブルポイント法)に準じ、不織布の平均孔径、最大孔径、最多孔径及び最小孔径を測定した。
(平均繊維径)
電子顕微鏡を用いて、不織布表面を100〜1000倍に拡大して観察し、任意の100本の繊維側面の幅を計測し、計測した値の平均値を算出することにより求めた。なお、複数の繊維が融着し、その境界が不明である場合は、融着した状態の繊維群を1本の繊維とみなして計測した。
<芯材>
まず、鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレン樹脂であり、繊度が2.2dtex、平均繊維径が18μm、繊維長が51mmである芯鞘型複合繊維(商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック株式会社製)を用い、上記芯鞘型複合繊維からなる目付40g/m2のパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、温度130℃に設定した熱風吹き付け装置で約30秒間加熱し、高密度ポリエチレンを溶融又は軟化させ、高密度ポリエチレンが溶融又は軟化した状態で、外径30mmの鉄棒の周囲に巻回させた。巻回の間、鉄棒及び巻回したウェブの自重による圧力を加え続けた。巻回を外径が42mmになるまで行って、上記芯鞘型複合繊維からなる長さ60cmの芯材を得た。得られた芯材は、外径が42mm、内径が30mmの円筒状であり、質量は50g、密度が0.29g/cm3であった。
<支持不織布>
まず、鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレン樹脂であり、繊度が2.2dtex、平均繊維径が18μm、繊維長が51mmである芯鞘型複合繊維(商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック株式会社製)を用い、上記芯鞘型複合繊維からなる目付40g/m2のパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、温度130℃に設定した熱風吹き付け装置で約30秒間加熱し、繊維同士を鞘成分により熱接着させて上記芯鞘型複合繊維からなる熱接着不織布を得た。この熱接着不織布を支持不織布として用いた。
<ろ過層用不織布>
ろ過層用不織布としては、ポリプロピレン樹脂の単一繊維で構成されたメルトブローン不織布を用いた。下記表1に各メルトブローン不織布の目付、厚み、平均孔径、最大孔径、最多孔径及び最小孔径、並びに各メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径を示した。
(実施例1)
ろ過層用不織布1を幅60cm、長さ300cmに切断し、ろ過層用不織布2を幅60cm、長さ300cmに切断し、ろ過層用不織布4を幅60cm、長さ500cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布4、ろ過層用不織布2及びろ過層用不織布1をこの順番に連続して巻回した。ろ過層用不織布の巻回が終わった後、ろ過層の周囲に、幅60cmに切断した支持不織布を巻き径(筒状フィルターの外径)が約62〜68mmになるまで巻き回し、巻き終わりにおいて端部を軽く熱接着させた。得られた筒状フィルター(長さ60cm)の両端部をそれぞれ5cm切除した後、25cm毎に切断して本発明の筒状フィルターを得た。
(実施例2)
ろ過層用不織布1を幅60cm、長さ200cmに切断し、ろ過層用不織布3を幅60cm、長さ410cmに切断し、ろ過層用不織布5を幅60cm、長さ800cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布5、ろ過層用不織布3及びろ過層用不織布1をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例3)
ろ過層用不織布1の長さを300cmにし、ろ過層用不織布3の長さを615cmにし、ろ過層用不織布5の長さを500cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例4)
ろ過層用不織布1の長さを600cmにし、ろ過層用不織布3の長さを328cmにし、ろ過層用不織布5の長さを500cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例5)
ろ過層用不織布1の長さを600cmにし、ろ過層用不織布3の長さを164cmにし、ろ過層用不織布5の長さを500cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例6)
ろ過層用不織布1の長さを300cmにし、ろ過層用不織布3の長さを400cmにし、ろ過層用不織布5の長さを500cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例7)
ろ過層用不織布4の長さを300cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例8)
ろ過層用不織布1の長さを250cmにし、ろ過層用不織布2の長さを250cmにし、ろ過層用不織布4の長さを300cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例9)
ろ過層用不織布1の長さを200cmにし、ろ過層用不織布4の長さを300cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例10)
ろ過層用不織布3の長さを574cmにし、ろ過層用不織布5の長さを300cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例11)
ろ過層用不織布1の長さを500cmにし、ろ過層用不織布3の長さを250cmにし、ろ過層用不織布5の長さを500cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例12)
ろ過層用不織布1の長さを700cmにし、ろ過層用不織布3の長さを205cmにし、ろ過層用不織布5の長さを400cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例13)
ろ過層用不織布1の長さを600cmにし、ろ過層用不織布3の長さを200cmにし、ろ過層用不織布5の長さを400cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例14)
ろ過層用不織布1の長さを400cmにし、ろ過層用不織布3の長さを400cmにし、ろ過層用不織布5の長さを400cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(実施例15)
ろ過層用不織布1の長さを300cmにし、ろ過層用不織布3の長さを500cmにし、ろ過層用不織布5の長さを400cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例1)
ろ過層用不織布1の長さを200cmにし、ろ過層用不織布4の長さを150cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例2)
ろ過層用不織布1の長さを150cmにし、ろ過層用不織布2の長さを200cmにし、ろ過層用不織布4の長さを450cmにした以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例3)
ろ過層用不織布3の長さを205cmにした以外は、実施例2と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例4)
ろ過層用不織布1を幅60cm、長さ500cmに切断し、ろ過層用不織布2を幅60cm、長さ500cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布2及びろ過層用不織布1をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例5)
ろ過層用不織布2を幅60cm、長さ200cmに切断し、ろ過層用不織布4を幅60cm、長さ500cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布4及びろ過層用不織布2をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例6)
ろ過層用不織布2を幅60cm、長さ200cmに切断し、ろ過層用不織布4を幅60cm、長さ500cmに切断し、ろ過層用不織布6を幅60cm、長さ100cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布6、ろ過層用不織布4及びろ過層用不織布2をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例7)
ろ過層用不織布1を幅60cm、長さ500cmに切断し、ろ過層用不織布4を幅60cm、長さ500cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布4及びろ過層用不織布1をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
(比較例8)
ろ過層用不織布1を幅60cm、長さ200cmに切断し、ろ過層用不織布4を幅60cm、長さ500cmに切断し、ろ過層用不織布7を幅60cm、長さ200cmに切断した。芯材の周囲にろ過層用不織布4、ろ過層用不織布1及びろ過層用不織布7をこの順番に連続して巻回してろ過層を形成した以外は、実施例1と同様にして筒状フィルターを得た。
下記表2に、実施例及び比較例の筒状フィルターにおける各ろ過層用不織布の長さ及びその総長を示した。
実施例及び比較例の筒状フィルターの通水圧損、ろ過寿命及びろ過精度を上述した測定方法に基づいて測定し、その結果を下記表3に示した。また、下記表3には、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対する不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの割合、筒状フィルターにおける不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量の割合も示した。
上記表3から分かるように、実施例の筒状フィルターは、高いろ過精度と長いろ過寿命を有していた。特に、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層Cの含有量が35質量%以上60質量%以下である実施例1〜6の筒状フィルターは、ろ過精度が1.00μm以上1.2μm未満でありながら、ろ過寿命が1600リットル以上であり、高いろ過精度と長いろ過寿命を両立しているといえる。また、不織布層A、不織布層B及び不織布層Cの合計質量に対して、不織布層A及び不織布層Bの含有量の合計が45質量%以上85質量%以下である実施例7〜15では、ろ過精度が1.00μm以上1.2μm未満でありながら、ろ過寿命が1700リットル以上であり、実施例1〜7と同様、高いろ過精度と長いろ過寿命を、ろ過寿命を重視するかたちで両立しているといえる。
一方、不織布層Aを含まない比較例5及び6、並びに不織布層Aの質量割合が11.5質量%未満である比較例2の筒状フィルターは、ろ過寿命が短かった。これは不織布層Aを有さない、或いは不織布層Aの割合が少なかったことで不織布層B及び/又は不織布層Cに、これらの不織布層で捕集するにはサイズが大き過ぎる固形物が流入し、これらの層が急速に閉塞したか、比較例2については不織布層Aが少ないために不織布層Aで捕集できる固形物の量が少なくなり、不織布層Aが他の不織布層よりも早く閉塞したためであると考えられる。また、不織布層Bを含まない比較例7及び8の筒状フィルターも、ろ過寿命が短かった。また、不織布層Cを含まない比較例4及び不織布層Cの質量割合が25質量%未満である比較例1の筒状フィルターは、ろ過精度が低かった。また、不織布層Cの質量割合が62質量%を超える比較例3の筒状フィルターは、ろ過寿命が短かった。