以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下本実施の形態に係る多孔質構造体の製造方法について説明する。まず始めに、平板状の基材10を用意する。基材10の材料は金属、ガラス、セラミックス等であり、例えば、アルミニウム合金、石英ガラス、焼結アルミナ等で構成される。図1Aは研削により形状加工が施された基材10の断面図を示している。
まず基材10の一面(溶射面側表面)をダイヤモンドホイールを備える研削盤により研削する。次に研削した基材10の一面をサンドブラスト加工にて粗面化しておく。サンドブラストとはコンプレッサから排出される圧縮空気に砥粒を混ぜて被研削材に噴出することにより、該被研削材を研削する研削方法である。さらに研削した基材10に、後述するプラズマ溶射装置4からAl、Ca、Ce、Cr、Mg、Si、Ti、YもしくはZrを含む金属又はそれらの酸化物(セラミックス)を含む化合物の溶射粉末(材料)を溶射することにより基材10の一面にエッチングによる除去が可能な犠牲層20を形成する。図1Bは犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
形成した犠牲層20の一面に多孔質膜30となる溶射膜を形成する。多孔質膜30の材料は例えば、アルミナ(Al2O3)、クロミア(Cr2O3)、チタニア(TiO2)、イットリア(Y2O3)、ジルコニア(ZrO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト等)、シリカ(SiO2)、シリコン(Si)もしくはチタン(Ti)等である。なお本実施形態で用いるジルコニアとはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)である。図1Cは多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解(化学エッチング)し、多孔質膜30を基材10から分離することにより多孔質構造体を製造する。すなわち犠牲層20をエッチングにより除去することで基材10から分離した多孔質膜30から多孔質構造体を構成する。薬液50は例えば、硝酸(HNO3)、塩酸(HCl)、フッ酸(HF)、フッ硝酸等の酸性溶液、あるいは水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性溶液である。フッ硝酸はフッ酸、硝酸及び純水(H2O)を混合した水溶液である。図1Dは薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図1Eは分離後の多孔質構造体の断面図を示している。
図2はプラズマ溶射装置4による溶射工程を示す説明図である。なお、図2において紙面左側はプラズマ溶射装置4の底面側、紙面右側はプラズマ溶射装置4の上面側であり、紙面垂直方向はプラズマ溶射装置4の左右方向である。
図2に示すプラズマ溶射装置4は有底円筒状であり、電源(図示せず)に接続されている。プラズマ溶射装置4は、底部に設けられたカソード45と、円筒周面の上部に設けられたアノード41と、カソード45の右側に形成され、希ガスを供給する供給孔42と、アノード41の右側に形成され、溶射粉末を供給する供給孔43とを備える。
以下では図2に基づいてプラズマ溶射装置4による溶射工程について説明する。基材10において、研削した一面をプラズマ溶射装置4のカソード45に対向させて配置する。プラズマ溶射装置4は電源によりカソード45とアノード41との間に電圧をかけることでアーク放電を発生させる。プラズマ溶射装置4には希ガス(例えばアルゴン)が供給孔42から供給され、供給された希ガスがアーク放電により電離することでプラズマジェットが発生する。プラズマ溶射装置4に溶射粉末を供給孔43から供給し、供給された溶射粉末はプラズマジェット中で加熱され、上面に開口された開口部44から溶融状態で噴射される。プラズマ溶射装置4は、開口部44に対向した位置に配置された基材10の必要な部分に溶射粉末を噴射する。溶融した溶射粉末は基材表面に衝突後、偏平化されると同時に、急速凝固され堆積層を形成する。この過程を経て、基材10に犠牲層20が形成される。なお、多孔質膜30の形成工程も同様の工程で行われる。また、通常基材10の形状と多孔質膜30を形成する領域に応じて、プラズマ溶射装置4及び基材10を移動させる施工が行われる。
薬液50に対する材料ごとの耐性実験の結果を下記の表1に示す。なお、表1の各薬液濃度は、硝酸および塩酸が各5重量%、フッ酸が15重量%、NaOHおよびKOHが各10重量%である。またフッ硝酸は、フッ酸(濃度50重量%)、硝酸(濃度61重量%)及び純水を全て同じ体積で混合した水溶液である。なお、前記薬品の濃度を低くしている理由は、高濃度の薬液50を使用した場合、犠牲層20の溶解時に反応ガスが発生し、多孔質構造体に成りうる溶射膜にクラック等の損傷を与えてしまうためである。
薬液50に対する材料ごとの耐性実験は該材料により構成された多孔質膜30及び基材10を液温20℃の薬液50に20時間浸漬し、浸漬後の多孔質膜30及び基材10の状態を観察することにより行った。
以下では表1の各列を説明する。形態列は原料の形態を示す。形態列は例えば多孔質膜、基材等である。材料列は各形態の材料を示す。各形態の材料は例えばアルミナ、アルミナ−40%チタニア、チタニア、ジルコニア、イットリア、クロミア、シリコン、アルミニウム、石英ガラス、焼結アルミナ、結晶シリコン、アルミニウム合金等である。アルミナ−40%チタニアとはアルミナにチタニアを40重量%混合させた複合原料である。結晶シリコンとはチョクラルスキー法で製造した単結晶のシリコンである。アルミニウム合金とは例えばアルミニウムにマグネシウム又はシリコン等を添加した合金等である。焼結アルミナとは焼結法により製造したアルミナである。多孔質膜30はアルミナ、アルミナ−40%チタニア、チタニア、ジルコニア、イットリア、クロミア、シリコン、アルミニウムを用いて耐性評価を行った。基材10は石英ガラス、焼結アルミナ、結晶シリコン、アルミニウム合金を用いて耐性評価を行った。
硝酸列、塩酸列、フッ酸列、フッ硝酸列、NaOH列、KOH列の各列には○、△、×等が記載される。○とは評価した材料が溶解しなかったことを示している。△とは材料の表面が変化したことを示している。×とは材料が溶解したことを示している。
アルミナにより構成された多孔質膜30は硝酸、塩酸、フッ酸、フッ硝酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。アルミナ−40%チタニアにより構成された多孔質膜30は硝酸、塩酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。チタニアにより構成された多孔質膜30は硝酸、塩酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。
ジルコニアにより構成された多孔質膜30は硝酸、塩酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。イットリアにより構成された多孔質膜30はフッ酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。クロミアにより構成された多孔質膜30は硝酸、フッ硝酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有しており、塩酸、フッ酸の薬液50に対して硝酸、フッ硝酸、NaOH、KOHよりも弱い耐性を有している。
シリコンにより構成された多孔質膜30は硝酸、塩酸、フッ酸の薬液50に対して耐性を有している。アルミニウムにより構成された多孔質膜30は表1に示した全ての薬液50に対して弱い耐性を示している。表1に示した全ての薬液50とは硝酸、塩酸、フッ酸、フッ硝酸、NaOH,KOHである。
次に石英ガラスにより構成された基材10は硝酸、塩酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。焼結アルミナにより構成された基材10は硝酸、塩酸、フッ酸、フッ硝酸、NaOH、KOHの薬液50に対して耐性を有している。結晶シリコンにより構成された基材10は硝酸、塩酸、フッ酸の薬液50に対して耐性を有しているが、フッ硝酸、NaOH、KOHの薬液50に対して弱い耐性を有している。アルミニウム合金により構成された基材10は表1に示した全ての薬液50に対して弱い耐性を有している。
犠牲層20の材料を選定するために、石英ガラスにより構成された基材10と溶射膜との密着性を評価した結果を下記の表2に示す。
基材10と溶射膜との密着性は、石英ガラスにより構成される基材10に溶射膜が密着したか否かを肉眼で確認することにより判定した。溶射膜材料列は基材10に溶射した皮膜の材料を示す。密着性列は基材10に溶射した皮膜が基材10に密着したか否かを示す。○は基材10に溶射した皮膜にクラックがなく、かつ基材10から皮膜が剥離せず密着したことを示す。×は基材10に溶射した皮膜が基材10から剥離したことを示す。表2に示すように、アルミニウム、シリコン、イットリア溶射膜は基材10に密着し、ニッケル、ニッケル−クロム、モリブデン溶射膜は基材10から剥離した。
図3は基材10の一面に犠牲層20を形成せずに直接多孔質膜30を形成した溶射基材の液体浸透実験を示す説明図である。液体浸透実験は以下の通りの方法で行った。石英ガラスにより構成される基材10の一面はサンドブラスト加工により粗面にしておき、該基材10の非溶射表面は、透明に研磨しておく。次に前記基材10の粗面化された一面に多孔質膜30を直接溶射し、該皮膜表面に蛍光塗料をスポイトで1,2滴滴下する。多孔質膜30は膜厚200μmのイットリア、280μmのアルミナ又は500μmのアルミナ−40%チタニアである。これら多孔質膜30の平均気孔率は、イットリアが5.3%、アルミナが8.4%、アルミナ−40%チタニアが10.1%である。平均気孔率は、溶射された基材10の断面を研磨した後にマイクロスコープで撮像し、画像解析ソフトにより気孔の面積を計測することで平均値を算出した。図3Aは蛍光塗料31を滴下する前の多孔質膜30および基材10の断面図を示している。図3Bは蛍光塗料31を滴下した後の断面図を示している。
滴下した蛍光塗料31は多孔質膜30に浸透する。図3Cは蛍光塗料31が膜中に浸透した多孔質膜30の断面図を示している。次に多孔質膜30に浸透した蛍光塗料31が多孔質膜30の他面(非溶射表面)から肉眼で確認できるか否かにより判定した。図3Dは多孔質膜30を形成した基材10の一面側の斜視図を示している。図3Eは多孔質膜30を形成した基材10の他面側の斜視図を示している。図3D、図3Eに示すように、多孔質膜30の裏面まで浸透した蛍光塗料31を1分以内に肉眼で確認した。このことにより多孔質膜30は皮膜表面から基材10との界面まで貫通する気孔が存在する。このような液体浸透性を有する多孔質膜30は、基材10と多孔質膜30の中間に犠牲層20を形成した場合も、多孔質膜30表面から犠牲層20まで液体が浸透することになる。
犠牲層20の最低膜厚を決めるための遮光性を評価した結果を下記の表3に示す。
犠牲層20を形成した基材10の他面から一面に向かって250ルーメンの高輝度LEDライトを照射し、一面から光が透過したか否かを肉眼で確認することにより判定した。犠牲層20は例えばアルミニウムである。基材10は例えば外径50mm厚さ5mmの石英ガラス平板で、非溶射面は透明に研磨し、溶射する側の一面は表面粗さRy(表面凹凸の最大高低差)が、35.035μmの粗面にした。ここで表面粗さRyはJISB0633に基づいて、基材10の一面を接触式の表面粗さ計(東京精密製サーフコム130A)により任意の5ヶ所を測定し、5ヶ所の平均値を算出した。以下では表3の各列を説明する。膜厚列は犠牲層20の膜厚を示しており、単位はμmである。遮光性列は基材10の非溶射面側から照射した光が犠牲層20の表面から透過したか否かを示している。遮光性列は○、×が記載される。○とは犠牲層20から光透過がなかったことを示す。×とは犠牲層20から光透過が確認されたことを示す。
犠牲層20の厚さが15〜25μmであった場合、犠牲層20は光を透過した。犠牲層20の厚さが40〜50μmであった場合、犠牲層20は光を透過しなかった。犠牲層20の厚さが60〜70μmであった場合、犠牲層20は光を透過しなかった。
このことから、犠牲層20の膜厚が基材10の表面粗さRyの値より厚い場合、基材10の一面全体を隙間なく犠牲層20が被覆していることになる。
多孔質構造体の製造実施例を下記の表4に示す。
表4の製造例に従って、多孔質構造体を製造する。以下では表4の各列を説明する。多孔質膜列は多孔質膜30の材料を示している。多孔質膜30の材料は例えば、アルミナ、シリコン、ジルコニア、イットリア、チタニア等である。犠牲層列は犠牲層20の材料を示している。犠牲層20の材料は例えば、イットリア、アルミニウム、シリコンである。基材列は基材10の材料を示している。基材10の材料は例えば、石英ガラス、アルミニウム合金、焼結アルミナである。表面粗さ列は基材10の一面の表面粗さRa及びRyを示している。薬液列は薬液50の種類を示している。薬液50の種類は例えば、硝酸、KOH、塩酸、フッ硝酸である。薬液50は本製造実施例において耐性実験と同じ濃度と液温の薬液50を使用した。基材の浸食列は基材10が薬液50により浸食されたか否かを示している。基材の浸食列は例えば、「なし」、「ダメージあり」である。「なし」は基材10が薬液50により浸食されなかったことを示す。「ダメージあり」は基材10が薬液50により浸食されたことを示す。
製造例1に基づいて製造された多孔質構造体の製造方法を以下に示す。石英ガラスにより構成された基材10の一面を粒度#80のSiC砥粒を用いたサンドブラスト加工により粗面化を行う。このとき、基材10の一面の表面粗さRaは3.751μmであり、基材10の一面の表面粗さRyは35.025μmである。ブラスト加工された基材10の一面にイットリアを溶射することにより膜厚50μmの犠牲層20を形成する。形成した犠牲層20の一面に膜厚250μmのアルミナを溶射することにより多孔質膜30を形成する。多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を濃度5重量%の硝酸からなる薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜30を基材10から分離することにより多孔質構造体を製造する。上記に示す製造例1における多孔質膜30の分離後、基材10は薬液50により浸食されなかった。
製造例2に基づいて製造された多孔質構造体は、多孔質膜30をシリコンとし、その他の条件は製造例1と同条件で製造した。製造例2における多孔質膜30の分離後、基材10は薬液50により浸食されなかった。製造例3に基づいて製造された多孔質構造体は、多孔質膜30をジルコニアとし、基材10をアルミニウム合金(A5052)とした。基材10の一面は、多孔質膜30及び犠牲層20を形成する前に予め粒度#80のSiC砥粒を用いたサンドブラスト加工により粗面化を行い、その他の条件は製造例1と同条件で製造した。製造例3における多孔質膜30の分離後、基材10の表面は薬液50によりダメージをうけていた。
製造例4に基づいて製造された多孔質構造体は、多孔質膜30をイットリアとし、犠牲層20をアルミニウムとし、基材10を石英ガラスとし、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を濃度10重量%のKOHからなる薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質構造体を製造した。製造例4における多孔質膜30の分離後、基材10は薬液50により浸食されなかった。製造例5に基づいて製造された多孔質構造体は、多孔質膜30をチタニアとし、犠牲層20をアルミニウムとし、基材10を石英ガラスとし、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を濃度5重量%の塩酸からなる薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質構造体を製造した。製造例5における多孔質膜30の分離後、基材10は薬液50により浸食されなかった。製造例6に基づいて製造された多孔質構造体は、多孔質膜30をアルミナとし、犠牲層20をシリコンとし、基材10を焼結アルミナとし、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10をフッ硝酸からなる薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質構造体を製造した。焼結アルミナにより構成された基材10の一面は、多孔質膜30及び犠牲層20を形成する前に予め粒度#24のSiC砥粒を用いたサンドブラスト加工により粗面化を行った。また犠牲層20の溶解に使用した前記フッ硝酸は、フッ酸(濃度50重量%):硝酸(濃度61重量%):純水=1:1:1の体積比で混合した溶液を使用した。製造例6における多孔質膜30の分離後、基材10は薬液50により浸食されなかった。
なお、製造例1において多孔質膜30の膜厚を100μmとし、他の条件は製造例1と同条件で製造した。また製造例2において多孔質膜30の膜厚を40μm又は150μmとし、他の条件は製造例2と同条件で製造した。その結果、膜厚が100μm以下の上記多孔質膜30は強度的に脆く、ハンドリングが困難であった。
基材10から分離する前又は後における多孔質膜30の表面粗さを下記の表5に示す。
表面粗さRa及びRyはJISB0633に基づいて、基材10から分離する前又は後における多孔質膜30の一面を接触式の表面粗さ計(東京精密製サーフコム130A)により任意の5ヶ所測定し、5ヶ所の平均値を算出した。表5に示すように、多孔質膜列は測定した多孔質膜30の材料を示している。分離前列における表面粗さRa列は基材10から分離する前の多孔質膜30の表面粗さRaを示している。分離前列における表面粗さRy列は基材10から分離する前の多孔質膜30の表面粗さRyを示している。分離後列における表面粗さRa列は基材10から分離した後の多孔質膜30の表面粗さRaを示している。分離後列における表面粗さRy列は基材10から分離した後の多孔質膜30の表面粗さRyを示している。
製造例2に基づく多孔質膜30の分離前の表面粗さRa/Ryは5.24μm/46.63μmで、分離後の表面粗さRa/Ryは5.36μm/42.03μmである。
製造例3に基づく多孔質膜30の分離前の表面粗さRa/Ryは6.37μm/52.84μmで、分離後の表面粗さRa/Ryは6.24μm/50.27μmである。
製造例4に基づく多孔質膜30の分離前の表面粗さRa/Ryは4.72μm/41.23μmで、分離後の表面粗さRa/Ryは4.82μm/40.93μmである。
製造例5に基づく多孔質膜30の分離前の表面粗さRa/Ryは5.22μm/47.43μmで、分離後の表面粗さRa/Ryは5.05μm/46.15μmである。
製造例6に基づく多孔質膜30の分離前の表面粗さRa/Ryは3.36μm/28.22μmで、分離後の表面粗さRa/Ryは3.27μm/29.11μmである。
このため多孔質膜30を基材10から分離する前後において多孔質膜30の表面粗さRa及びRyが略同じ値である。
多孔質構造体のEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)分析結果を示した表6を以下に示す。
表6に示すように、多孔質構造体の一面及び他面についてEDX分析装置により元素分析を行った。以下では表6の各列を説明する。製造例列は分析を行った多孔質構造体の製造例を示す。製造例列には例えば、製造例2、製造例4、製造例5、洗浄後製造例5、製造例6が記載される。洗浄後製造例5とは製造例5に基づいて多孔質膜30を基材10から分離後さらに薬液50(5重量%の塩酸)に浸漬させた製造例5の多孔質構造体である。分析対象面列は分析を行った多孔質構造体の面を示す。分析対象面列は例えば犠牲層面、非犠牲層面が記載される。犠牲層面とは分離前に犠牲層20に当接していた面を示す。非犠牲層面とは分離前に犠牲層20に当接していた面に対して反対側の面を示す。分析結果列は犠牲層20を構成する材料の主要金属元素が検出されたか否かを示す。分析結果列には例えば、「Y検出されず」、「Al検出されず」、「Al検出」、「Si検出されず」が記載される。「Y検出されず」とは犠牲層材料のイットリア(Y2O3)に起因するイットリウム(Y)が検出されなかったことを示す。「Al検出されず」とは犠牲層材料のアルミニウム(Al)が検出されなかったことを示す。「Al検出」とは犠牲層材料のアルミニウム(Al)が検出されたことを示す。「Si検出されず」とは犠牲層材料のシリコン(Si)が検出されなかったことを示す。検出量列はEDX分析で検出された金属元素の濃度を示し、単位は重量パーセント(wt%)である。
製造例2に基づいて製造された多孔質構造体は犠牲層面及び非犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属イットリウムが検出されなかった。製造例4に基づいて製造された多孔質構造体は非犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属アルミニウムが検出されなかった。製造例4に基づいて製造された多孔質構造体は犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属アルミニウムが検出された。検出されたアルミニウムの重量濃度は1.66重量パーセントである。製造例5に基づいて製造された多孔質構造体は犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属アルミニウムが検出された。検出されたアルミニウムの重量濃度は0.79重量パーセントである。洗浄後製造例5に基づいて製造された多孔質構造体は犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属アルミニウムが検出された。検出されたアルミニウムの重量濃度は0.76重量パーセントである。製造例6に基づいて製造された多孔質構造体は犠牲層面及び非犠牲層面で犠牲層20を構成する主要金属シリコンが検出されなかった。
このことにより犠牲層20を構成する溶射材料にアルミニウムを用いた場合、多孔質膜30を分離した後に再度薬液50(塩酸)に浸漬して洗浄した後も、多孔質構造体にアルミニウムが残留する。
本実施形態における多孔質構造体の製造方法は、多孔質構造体を容易に製造することができる。
本実施形態における多孔質構造体の製造方法は、犠牲層20の膜厚が基材10の表面粗さRyの値より厚く形成されている。すなわち犠牲層20の膜厚は、基材の表面凹凸の最大高低差(Ry)より厚く形成されている。このことにより基材10の一面全体を犠牲層20が覆っているため、基材10と多孔質膜30とが部分的に密着する不具合は起き難く、容易に多孔質膜30と基材10とを分離することができる。また多孔質膜30は連続気孔体であるため、薬液50は多孔質膜30の連続気孔を介して犠牲層20まで浸透することで犠牲層20を容易に除去することができる。
基材10を薬液50に対する耐性に着目して検討する。表1で示したように石英ガラスはフッ酸系薬液を除く硝酸、塩酸、NaOH、KOHに耐性を有している。焼結アルミナは硝酸、塩酸、フッ酸、フッ硝酸、NaOH、KOHに耐性を有している。結晶シリコンは硝酸、塩酸、フッ酸に耐性を有しており、フッ硝酸、NaOH、KOHに弱い耐性を有している。このため、基材10の材料は石英ガラス、焼結アルミナ、結晶シリコンの中から適宜選択することが望ましい。しかし焼結アルミナ又は結晶シリコンから構成される基材10は製造コストが高くなる問題がある。このため基材10の材料は石英ガラスがさらに好ましい。基材10は薬液50に対する耐性を有していることにより、基材10を再利用し、多孔質構造体の製造コストを削減できる。また基材10の材料として石英ガラスを用いることにより、加工が容易になる。さらに石英ガラス母材は透明であるため、基材10の他面側から犠牲層20を溶射した一面を目視確認できるため化学エッチングによる溶解状況を確認することで品質管理上有益である。
犠牲層20の薬液50に対する耐性に着目して検討する。イットリアは硝酸、塩酸、フッ硝酸に耐性を有していない。アルミニウムは表1に示した全ての薬液に耐性を有していない。シリコンはフッ硝酸およびアルカリ溶液に耐性を有していない。このことにより犠牲層20はイットリア、アルミニウム、シリコンの中から適宜選択することが望ましい。しかしアルミニウムの溶射膜は多孔質構造体に残留するため、犠牲層20の材料としてはイットリア、シリコンがさらに好ましい。
本実施形態において多孔質膜30の膜厚が100μm以下であった場合、多孔質構造体の製造は可能あったが、強度的に脆かった。また200μm以上の膜厚であった場合、分離前後において多孔質膜30の表面粗さRa及び表面粗さRyが略同じ値である。このため、本実施形態の多孔質構造体は多孔質膜30の膜厚が100μmを超えることが望ましく、多孔質膜30の厚さが200μm以上であることがさらに好ましい。このことにより、製造過程において多孔質構造体の破損を防止することができる。
なお、本実施形態においてプラズマ溶射装置4により犠牲層20を形成したが、これに限られるものではない。犠牲層20は例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、微粒子体積法等により形成してもよい。
実施の形態2
以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。実施の形態2に係る多孔質構造体の製造方法は分離前又は分離後の多孔質膜30に熱処理を行う。
熱処理後の多孔質構造体を示した表7を以下に示す。
表7に示すように、多孔質膜構造体の熱処理を行った。以下では表7の各列を説明する。サンプル列は大気炉内で熱処理をしたサンプルの種類を示している。サンプルの種類は例えば、アルミナ溶射付き石英ガラス、アルミナ構造体である。アルミナ溶射付き石英ガラスは、石英ガラスにより構成された基材10の一面にアルミナにより構成された多孔質膜30を200μm溶射したものである。石英ガラスの形状は円板状であり、石英ガラスの外径が50mm、板厚が5mmである。アルミナ構造体は表4に示した製造例1を、外径が150mmであり、膜厚が300μmである条件に変更して製造した多孔質構造体である。600℃列、1000℃列、1200℃列は、600℃、1000℃、1200℃の熱処理後における前記サンプルにクラックがあるか否かを示している。○はサンプルにクラックがないことを示している。×はサンプルにクラックがあることを示している。本実施の形態における多孔質構造体は3時間熱処理をした後で、目視によりクラックがあるか否かを判定した。
アルミナ溶射付き石英ガラスは600℃の熱処理ではクラックが生じなかった。アルミナ溶射付き石英ガラスは1000℃の熱処理でクラックが生じた。アルミナ構造体は600℃の熱処理でクラックが生じなかった。アルミナ構造体は1000℃の熱処理でクラックが生じなかった。アルミナ構造体は1200℃の熱処理でクラックが生じなかった。このことによりアルミナ多孔質膜30は、基材10から分離することで、焼結アルミナと同様に1200℃の高温大気環境下でも使用できる。
多孔質構造体の結晶構造をX線回折により測定した結果を示した表を以下に示す。
表8に示すように、多孔質構造体をX線回折装置(理学電機製RAD−IIB)により管球を銅(Cu)とし、管電圧を40kVとし、管電流を20mAとして測定を行い、JCPDS(Joint Committee for Powder Diffraction Standards)カードナンバーと比較することにより、多孔質構造体の結晶形を特定した。サンプル列にはX線回折を行った多孔質構造体を示している。X線回折を行った多孔質構造体は例えばアルミナ構造体1、アルミナ構造体2、アルミナ構造体3である。アルミナ構造体1は製造例1に基づいて製造される多孔質構造体を示している。アルミナ構造体2は製造例1に基づいて製造された多孔質構造体を大気炉内で1000℃‐3時間保持の条件で熱処理をした後のサンプルを示している。アルミナ構造体3は製造例1に基づいて製造された多孔質構造体を大気炉内で1200℃‐3時間保持の条件で熱処理をした後のサンプルを示している。立方晶列、斜方晶列、単斜晶列、菱面体晶列には、立方晶、斜方晶、単斜晶、菱面体晶の夫々のアルミナ構造体1〜3全体に対する割合が記載されている。なお、立方晶のJCPDSカードナンバーは10−0425である。斜方晶のJCPDSカードナンバーは46−1215である。単斜晶のJCPDSカードナンバーは23−1009である。菱面体晶のJCPDSカードナンバーは10−0173である。
大気炉内で熱処理されてないアルミナ構造体1の結晶形は立方晶(γ−アルミナ)が78%含まれており、菱面体晶(α−アルミナ)が22%含まれていた。1000℃で熱処理されたアルミナ構造体2の結晶構造は斜方晶(δ−アルミナ)が22%含まれており、単斜晶(θ−アルミナ)が3%含まれており、菱面体晶(α−アルミナ)が75%含まれていた。1200℃で熱処理されたアルミナ構造体3の結晶形は菱面体晶が100%含まれていた。
本実施形態における多孔質構造体は、基材10から分離した後に行われる熱処理により結晶形を制御することができる。
実施の形態3
図4は実施の形態3に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。基材10の表面形状は凹凸パターンを形成してある。すなわち基材10の表面の一部にサンドブラスト加工によって凹凸部を形成してある。基材10に形成された凹凸パターンは表面を部分的に樹脂フィルムでマスキングし、サンドブラスト処理を行うことで形成した。なお、本実施形態において基材10の凹凸パターン形成はサンドブラスト処理を用いて行ったが、マシングセンタ等を用いた機械研削加工によりパターンを形成してもよい。図4Aは実施の形態3に係る基材10の断面図を示している。
基材10の一面をダイヤモンドホイールを備える研削盤により研削する。さらに研削した基材10にプラズマ溶射装置4から犠牲層20の原料を溶射することにより基材10の表面凹凸パターン形状が転写された犠牲層20を形成する。図4Bは実施の形態3に係る犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
形成した犠牲層20にさらに溶射粉末を溶射することにより基材10の表面凹凸パターン形状が転写された多孔質膜30を形成する。図4Cは実施の形態3に係る多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の一面を研削盤により研削し、表面を平滑化する。図4Dは平滑化した後の多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜30を基材10から分離することにより多孔質構造体を製造する。図4Eは実施の形態3に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図4Fは実施の形態3に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。製造した多孔質構造体は他面に基材10の表面凹凸パターン形状が転写されている。
本実施形態における多孔質構造体は多孔質構造体を直接機械加工することなく、多孔質構造体に凹凸パターンを形成することができる。このことにより、多孔質構造体は機械加工による破損を防止することができる。
実施の形態4
図5は実施の形態4に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。基材10は円柱状である。図5Aは実施の形態4に係る基材10の全体斜視図を示している。
基材10の外周面をダイヤモンドホイールを備える研削盤により外周研削する。さらに研削した基材10にプラズマ溶射装置4から犠牲層20の原料を溶射することにより基材10の外周面に犠牲層20を形成する。図5Bは実施の形態4に係る犠牲層20を形成した基材10の全体斜視図を示している。
形成した犠牲層20にさらに溶射粉末を溶射することにより犠牲層20の周縁に多孔質膜30を形成する。図5Cは実施の形態4に係る多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜30を基材10から分離することにより円筒状の多孔質構造体を製造する。図5Dは実施の形態4に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図5Eは実施の形態4に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。なお、本実施形態においては基材10を円柱状としたが、基材10は円筒状であってもよい。あるいは基材10の形状はこれにかぎられるものではなく、球状、半円状、直方体状等であってもよい。基材10が球状、半円状、直方体状であった場合、球状、枠状等の多孔質構造体を製造することができる。あるいは基材10の形状は角柱又は切断もしくは研削加工により任意の形状に加工した基材10を用いてもよい。
本実施形態における多孔質構造体は円筒状に形成することで細管等に利用することができる。
実施の形態5
図6は実施の形態5に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。図6A〜図6Cの工程は実施の形態1と略同様であるため、記載を省略する。多孔質膜30に多孔質膜30とは別材料の溶射粉末を溶射することにより多孔質膜30の一面に多孔質膜60を形成する。図6Dは実施の形態5に係る多孔質膜60、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜60、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜60と多孔質膜30とが積層した複合皮膜を基材10から分離することで複数の多孔質膜で構成される多孔質構造体を製造する。図6Eは実施の形態5に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図6Fは実施の形態5に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。なお、本実施形態において多孔質膜30及び多孔質膜60の2層の多孔質膜を用いたが、3層以上の多孔質膜を用いても良い。
シリコンは紫外から近赤外線波長領域の光に対し遮光性を有し、イットリアはフッ素系および塩素系プラズマに対し耐食性を有している。このため、本実施形態における多孔質構造体は前記特性を有する材料で多孔質膜30及び多孔質膜60を形成することにより、遮光性、プラズマ耐食性等の複数の機能を付加した部材を製造することができる。
また、本実施形態における多孔質構造体は、気孔率が異なる多孔質膜を複数積層させることで、気体あるいは液体の透過性を制御できる機能を負荷した部材を製造することができる。
実施の形態6
図7は実施の形態6に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。図7A〜図7Cの工程は実施の形態1と略同様であるため、記載を省略する。多孔質膜30の表面を部分的に被覆した樹脂フィルム70を形成する。樹脂フィルム70は厚み方向に所定のパターンで貫通した貫通孔が形成されている。所定のパターンとは例えば、図柄、模様等である。図7Dは実施の形態6に係る樹脂フィルム70を被覆した多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
樹脂フィルム70でマスキングされた多孔質膜30の表面にサンドブラスト処理を行い所定のパターン形成を行った。パターン形成を行った後、多孔質膜30表面の樹脂フィルム70を分離した。なお、本実施形態において基材10のパターン形成はサンドブラスト処理を用いて行ったが、マシングセンタ等を用いた機械研削加工によりパターンを形成してもよい。図7Eはパターンを形成した多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
パターンを形成した多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜30を基材10から分離することでパターンを形成した多孔質構造体を製造する。図7Fは実施の形態6に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図7Gは実施の形態6に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。
本実施形態における多孔質構造体はさらに容易にパターンを形成することができる。
実施の形態7
図8は実施の形態7に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。図8A〜図8Cの工程は実施の形態1と略同様であるため、記載を省略する。
多孔質膜30の表面を部分的に被覆した樹脂フィルム80を形成する。
樹脂フィルム80は厚み方向に所定のパターンで貫通した貫通孔が形成されている。図8Dは樹脂フィルム80を被覆した多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜30の表面に犠牲層材料となる溶射粉末を溶射することにより多孔質膜30の一部に犠牲層(第2犠牲層)90を形成する。図8Eはマスキング材となる樹脂フィルム80、犠牲層90、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。樹脂フィルム80の除去後、多孔質膜30及び犠牲層90の表面に再度溶射粉末を溶射することにより多孔質膜100を形成する。図8Fは多孔質膜(第2多孔質膜)100、犠牲層90、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜100、犠牲層90、多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20及び犠牲層90を溶解させ、多孔質膜30及び多孔質膜100を基材10から分離することにより内部が中空の多孔質構造体を製造する。図8Gは実施の形態7に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図8Hは実施の形態7に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。
本実施形態における多孔質構造体は内部が中空に製造することができる。
実施の形態8
図9は実施の形態8に係る多孔質構造体の製造方法を簡略的に示す模式図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。基材10は円柱状である。図9Aは実施の形態8に係る基材10の全体斜視図を示している。
基材10の外周面及び底面をダイヤモンドホイールを備える研削盤により研削する。さらに研削した基材10にプラズマ溶射装置4から犠牲層20の原料を溶射することにより基材10の外周面及び底面に犠牲層20を形成する。図9Bは実施の形態8に係る犠牲層20を形成した基材10の全体斜視図を示している。
形成した犠牲層20にさらに溶射粉末を溶射することにより犠牲層20の外周面及び底面に多孔質膜30を形成する。図9Cは実施の形態8に係る多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10の断面図を示している。
多孔質膜30及び犠牲層20を形成した基材10を薬液50に浸漬することにより犠牲層20を溶解させ、多孔質膜30を基材10から分離することにより有底円筒状の多孔質構造体を製造する。図9Dは実施の形態8に係る薬液50の浸漬工程における分離前の多孔質構造体の断面図を示している。図9Eは実施の形態8に係る分離後の多孔質構造体の断面図を示している。なお基材10の形状は角柱又は切断もしくは研削加工により任意の形状に加工した基材10を用いてもよい。
本実施形態における多孔質構造体は有底円筒状に形成することで容器等に利用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。