JP5865746B2 - 難燃性ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂、特定構造の有機リン系化合物および熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲内にある熱可塑性エラストマーを含有する難燃性と耐衝撃性に優れたポリ乳酸樹脂組成物に関する。
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。特にポリ乳酸樹脂は、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、工業材料としての可能性も検討されるようになってきた。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂は難燃性が低く耐衝撃性に劣るため、これら特性のハイレベルな両立が求められるOA機器部品や電気・電子部品などの工業材料への展開が進んでいない。
特許文献1には、ポリ乳酸樹脂に本願の特定構造の有機リン系化合物を添加する組成が示されており、ハイレベルな難燃性が発揮される特徴を持つ。しかしながら、耐衝撃性の配慮が成されておらず、本文中には、衝撃改良剤を添加することすら示唆されていない。
特許文献2には、ポリ乳酸樹脂に本願の特定構造の有機リン化合物と、水素添加スチレン系エラストマーを添加する組成が示されており、難燃性と耐衝撃性に優れる特徴を持つが、昨今の軽薄短小に代表される薄肉化に対応するため、さらにハイレベルな難燃性と耐衝撃性の両立が市場より求められている。
WO2009/145341号公報 特開2010−275348号公報
本発明の目的は、難燃性および耐衝撃性に優れるポリ乳酸樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂に特定構造の有機リン系化合物および熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲内にある熱可塑性エラストマーを添加することにより、難燃性および耐衝撃性に優れるポリ乳酸樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は(A)ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)下記一般式(1)で表される有機リン系化合物(B成分)1〜50重量部、および(C)熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲内にある熱可塑性エラストマー(C成分)1〜50重量部を含有する難燃性ポリ乳酸樹脂組成物である。更に、A成分100重量部に対して、熱安定剤(D成分)を0.001〜0.5重量部含有することが好ましく、末端封鎖剤(E成分)を0.001〜10重量部含有することが好ましく、無機系充填剤(F成分)を0.05〜30重量部含有することが好ましい。
Figure 0005865746
なお、特定構造の有機リン系化合物がポリ乳酸樹脂に特異的とも言えるハイレベルな難燃性を付与できるのは、推測の域は出ないが、該有機リン系化合物の特異的な難燃化機構がポリ乳酸樹脂の熱分解温度と深い関連性を持っているためであると考えられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は優れた難燃性および耐衝撃性を有するため工業材料の分野に有用である。具体的には、OA機器部品や電気・電子部品などの難燃性および耐衝撃性のハイレベルな両立が求められる分野で利用可能である。
以下、本発明の樹脂組成物における各成分、それらの配合割合、調製方法等について、順次具体的に説明する。
<A成分について>
本発明のA成分であるポリ乳酸樹脂とは、植物から抽出した澱粉やセルロースを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸樹脂、主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸樹脂、またはその混合物の何れを用いてもよい。
本発明のポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)は、下記一般式(2)で表されるL‐乳酸単位またはD‐乳酸単位から実質的になる。
Figure 0005865746
本発明で用いるポリ−L乳酸樹脂もしくはポリ−D乳酸樹脂の光学純度は、90モル%以上〜100モル%であることが好ましい。光学純度がこれより低いと、混合したときのポリ乳酸樹脂の結晶性や融点が低下し、高い耐熱性が得られにくい。このため、ポリ−L乳酸樹脂もしくはポリ−D乳酸樹脂の融点は160℃以上である事が好ましく、170℃以上である事がより好ましく、175℃以上である事が最も好ましい。かかる観点において、ポリマー原料の乳酸およびラクチドの光学純度は、好ましくは96〜100モル%、より好ましくは97.5〜100モル%、さらに好ましくは98.5〜100モル%、とりわけ好ましくは99〜100モル%の範囲が選択される。
共重合単位としては、ポリ−L乳酸樹脂であればD−乳酸単位、ポリ−D乳酸樹脂であればL−乳酸単位が挙げられ、また、乳酸単位以外の単位も挙げられる。乳酸単位以外の共重合単位の共重合割合は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下、最も好ましくは1モル%以下である。
共重合単位としては、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール類あるいはビスフェノールにエチレンオキシドを付加させたものなどの芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ポリ−L乳酸樹脂およびポリ‐D乳酸樹脂の重量平均分子量は、本発明組成物の機械物性及び成形性を両立させるため、好ましくは8万〜30万、より好ましくは10万〜25万、さらに好ましくは12万〜23万の範囲が選択される。
ポリ‐L乳酸樹脂およびポリ‐D乳酸樹脂は、従来公知の方法で製造することができ、例えば、L‐ラクチドまたはD‐ラクチドの溶融開環重合法、低分子量のポリ乳酸の固相重合法、さらに、乳酸を脱水縮合させる直接重合法などを例示することができる。重合反応は、従来公知の反応装置で実施可能であり、例えばヘリカルリボン翼等高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列にて使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。固相重合法では、プレポリマーは予め結晶化させることが、ペレットの融着防止、生産効率の面から好ましく、固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中、プレポリマーのガラス転移温度以上融点未満の温度範囲の一定温度で、あるいは重合の進行に伴い次第に昇温させ重合を行う。生成する水を効率的に除去する目的で前記反応容器類の内部を減圧することや、加熱された不活性ガス気流を流通する方法も好適に併用される。ラクチドの溶融開環重合には、製造効率、ポリマー品質の点より、金属含有触媒を適用することが好ましく、触媒活性、副反応より、好ましくはスズを含有する触媒、なかでも好ましくはII価のスズ化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ等、なかでもオクチル酸スズがFDAにおいて安全性が確認されたとりわけ好ましい剤として例示される。触媒の使用量はラクチド類1kgあたり好ましくは0.1×10−4〜50×10−4モルであり、さらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性を考慮すると1×10−4〜30×10−4モルがより好ましく、特に好ましくは2×10−4〜15×10−4モルである。重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどを好適に用いることができる。重合時使用された金属含有触媒は、使用に先立ち従来公知の失活剤で不活性化しておくのが好ましい。かかる失活剤としては、ポリエステル樹脂の重合触媒の失活剤として一般的に使われる失活剤であれば特に制限は無いが、下記一般式(3)で表されるホスホノ脂肪酸エステルが好ましい。
Figure 0005865746
[式中R1〜R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基である。アリキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アリール基として、フェニル基、ナフタレン−イル基が挙げられる。R1〜R3は、これらが全て同一であっても、異なるものがあっても構わない。またnは1〜3の整数である。]
式(3)で表される化合物として、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−デシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノ酢酸エチル、ジフェニルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸デシル、ジエチルホスホノ酢酸ドデシル、ジエチルホスホノ酢酸オクタデシル、ジエチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−デシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノプロピオン酸エチル、ジフェニルホスホノプロピオン酸エチル、ジエチルホスホノプロピオン酸デシル、ジエチルホスホノプロピオン酸ドデシル、ジエチルホスホノプロピオン酸オクタデシル、ジエチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−デシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノ酪酸エチル、ジフェニルホスホノ酪酸エチル、ジエチルホスホノ酪酸デシル、ジエチルホスホノ酪酸ドデシル、ジエチルホスホノ酪酸オクタデシルが挙げられる。効能や取扱いの容易さを考慮すると、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸デシル、ジエチルホスホノ酢酸オクタデシルが好ましい。式(3)において、R1〜R3の炭素数が20以下であると、その融点がポリ乳酸や組成物の製造温度よりも低くなるため十分に融解混合し、効率的に金属重合触媒を補足することができる。またホスホノ脂肪酸エステルはホスホン酸ジエステル部位とカルボン酸エステル部位の間に脂肪族炭化水素基を有する。nが1〜3の整数であれば、ポリ乳酸中の金属重合触媒を効率的に補足することができる。
ホスホノ脂肪酸エステルの含有量は、ポリ乳酸100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。ホスホノ脂肪酸エステルの含有量が、少なすぎると残留する金属重合触媒の失活効率が極めて悪く、十分な効果が得られない。また、多すぎると成形加工時に使用する金型の汚染が著しくなる。前記重合失活剤は、重合終了時に添加するのが好ましいが、必要に応じて押出、成形の各プロセスにおいて任意に添加する事が出来る。
ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)とポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)の混合を用いる場合、その重量比(A−1成分/A−2成分)10/90〜90/10の範囲で含有されることが好ましい。更に、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)とポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)の混合物に対し、式(4)および/または(5)で表されるリン酸エステル金属塩をポリ‐L乳酸樹脂(A−1成分)とポリ‐D乳酸樹脂(A−2成分)との合計100重量部あたり好ましくは0.01〜2.0重量部の範囲で含むことにより、高度にステレオコンプレックス結晶が形成されたポリ乳酸樹脂を得る事が出来るため好ましい。リン酸エステル金属塩が0.01重量部より少ないと、ステレオコンプレックス結晶の形成、結晶性の向上に効果が認められないことがあり、また2.0重量部より過剰に適用すると、着色などポリ乳酸成分の分解、異物生成が引き起こされることがある。かかる観点より、リン酸エステル金属塩の適用量は、より好ましくは0.02〜1.0重量部、さらに好ましくは0.03〜1.0重量部に範囲が選択される。
Figure 0005865746
(式中R4は水素原子、または炭素原子数1〜4のアルキル基を、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基を、M1はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、p1は1または2を、q1はM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子のときは1または2を表す。)
Figure 0005865746
(式中R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基を、M2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、p2は1または2を、q2はM2がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子のときは1または2を表す。)
こうして作られたポリ乳酸樹脂は、高度にステレオコンプレックス結晶が形成されたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂となり、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程におけるポリ乳酸樹脂(A成分)結晶由来の融解エンタルピーを用いて下記式(1)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が80%以上であることが好ましい。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
ステレオコンプレックス結晶化度が高いほど成形性、耐熱性が高くなり、ステレオコンプレックス結晶化度は、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。ステレオコンプレックス結晶化度が80%より低いと、ポリ−L乳酸樹脂やポリ−D乳酸樹脂に由来するホモポリ乳酸結晶の特徴が表れてしまい、耐熱性が不十分となる。
ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の融解ピークは、好ましくは200℃以上、より好ましくは205℃以上、更に好ましくは210℃以上である。ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の融解ピークが190℃より低いと、その結晶性や融点の低さから耐熱性は不十分である。
ポリ乳酸樹脂の熱分解開始温度は、公知の方法によって測定されるが、具体的には、TAinstuments(株)製 TGA2950 Thermogravimetric Analyzerにて、20℃から900℃まで20℃/minで昇温した時の重量減少が始まる温度である。ポリ乳酸の熱分解開始温度は、特に限定されるものではないが、L−乳酸やD−乳酸で構成されるポリ乳酸であれば320〜350℃であるのが一般的である。
<B成分について>
本発明で使用するB成分は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0005865746
上記式(1)中のフェニル基は、芳香族環上の炭素原子を介してメチレン基に結合している部分以外のどの部分に置換基を有していてもよく、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル、(異性体を含む)もしくはその芳香族環への結合基が、酸素、イオウ、または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基である。好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基などが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
本発明における前記有機リン系化合物の合成方法については公知の方法によって合成され、以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。
有機リン系化合物は、例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでアラルキルハライドを反応させることにより得られる。また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアラルキルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
本発明において使用されるB成分は、これら合成法のみならず、その改変およびその他の合成法で合成されたものであってもよい。より具体的な合成法は後述する製造例に説明される。
B成分は、その酸価が0.7mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のB成分を使用することにより、難燃性および色相に優れた成形品が得られ、かつ熱安定性の良好な成形品が得られる。B成分は、その酸価が0.4mgKOH/g以下のものが最も好ましい。ここで酸価とは、サンプル1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
さらに、B成分は、そのHPLC純度が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%であるものが使用される。かかる高純度のものは成形品の難燃性、色相、および熱安定性に優れ好ましい。
B成分の含有量はA成分100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、より好ましくは5〜10重量部である。含有量が1重量部未満であると、難燃性を損なうことがあるため好ましくなく、50重量部を超えると耐衝撃性が得られないため好ましくない。
<C成分について>
本発明で使用する熱可塑性エラストマーは、熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲にあるエラストマーである。熱分解開始温度は310℃〜370℃であることが好ましく、340℃〜370℃であることがより好ましく、350℃〜370℃であることが最も好ましい。熱分解開始温度が上記範囲外であると、著しく難燃性が低下する。熱可塑性エラストマーの熱分解開始温度は公知の方法で測定されるが、具体的には、TAinstuments(株)製 TGA2950 Thermogravimetric Analyzerにて、20℃から900℃まで20℃/minで昇温した時の重量減少が始まる温度である。
該熱可塑性エラストマーとしては、ガラス転移温度が10℃以下のソフトセグメントと、ソフトセグメントと共重合可能な軟化点が30℃以上のハードセグメントから選択された1種または2種以上の化合物が共重合したブロック共重合体およびグラフト共重合体、それらのブレンド体を挙げることができる。
かかるブロック共重合体として、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、シリコン・アクリル共重合体等を挙げることができ、グラフト共重合体として、フッ素系共重合体等を挙げることができ、ブレンド体としては、ポリプロピレンにニトリルゴムや天然ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)をブレンドしたオレフィン系エラストマー等が挙げることができる。これらの中でも、ポリ乳酸樹脂中の分散粒径が0.1μm〜3μmと分散性に優れ、高い衝撃改質効果が得られるポリアミド系エラストマーが好ましく用いられる。かかる効果により、ポリ乳酸樹脂に対し、ポリブチレンテレフタレート樹脂をはじめとする他の熱可塑性樹脂を添加せずとも、優れた耐衝撃性を有するポリ乳酸樹脂組成物を得ることができる。
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミドオリゴマーをハードセグメントとし、ポリエステルまたはポリエーテルエステルをソフトセグメントとするエラストマーが挙げられ、具体的にはT&K TOKA(株)製のTPAE−32、およびTPAE−12等が例示される。
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリエステルまたはポリエーテルおよびポリエーテルの共重合体をソフトセグメントとするエラストマーが挙げられ、具体的には東レ・デュポン(株)製のハイトレル4057、およびハイトレル3046等が例示される。
ポリスチレン系エラストマーとしては、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体、およびスチレン・エチレンブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体が例示され、具体的には、(株)クラレ製 セプトン8006、およびセプトン2006等が例示される。
オレフィン系エラストマーとしては、ポリプロピレンにエチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)をブレンドしたものが例示され、具来的には、住友化学(株)製 エスポレックス3675、およびエスポレックス3885等が例示される。
シリコン・アクリル共重合体としては、具体的には、三菱レイヨン(株)製 メタブレンS−2001等が例示される。
フッ素系共重合体としては、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体が例示され、具体的には、ダイキン工業(株)製 ネオフロンPFA AP−201、およびネオフロンPFA AP−210等が例示される。
C成分の含有量はA成分100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは10〜20重量部である。含有量が1重量部未満であると、耐衝撃性が得られないことがあるため好ましくなく、50重量部を超えると難燃性を得られないことがあるため好ましくない。
<D成分について>
本発明の樹脂組成物には、熱安定剤として、ホスファイト系化合物およびヒンダードフェノール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤を使用することができる。熱安定剤を配合する事により、成形加工時の色相が安定する効果がある。
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特にオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホスファイト系化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。さらに他のホスファイト系化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。好適なホスファイト系化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。これらはいずれも入手容易である。上記ホスファイト系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
D成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.001〜0.5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部である。かかる配合量が0.001重量部より少ない場合は熱安定効果が不足し、成形加工時の色相が不安定になることがあるため好ましくない。
<E成分について>
本発明のE成分として用いる末端封鎖剤とはポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基末端の一部または全部と反応して封鎖する働きを示すものであり、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
(カルボジイミド化合物)
カルボジイミド化合物としては以下の化合物が例示される。例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブイチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ビス(p−アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−エチルフェニル)カルボジイミドビス(o−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−ブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)カルボジイミド、ジβナフチルカルボシイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボシイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボシイミド、p−フェニレンビス(o−トルイルカルボジイミド)、p−フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレンンビス(p−クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、などのモノまたはポリカルボジイミド化合物が例示される。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリジジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかる剤を配合することで、機械的特性、成形性、耐熱性、耐久性に優れたポリ乳酸樹脂組成物および成形品を得ることができる。
グリシジルエーテル化合物の例としては例えば、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、その他ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などを挙げることができる。なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエステル化合物の例としては例えば安息香酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、パーサティック酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが挙げられる。なかでも安息香酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
グリシジルアミン化合物の例としては例えば、テトラグリシジルアミンジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、などが挙げられる。
グリシジルイミド、グリシジルアミド化合物の例としては例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジル−1,2,3,4−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジルステアリルアミドなどが挙げられる。なかでもN−グリシジルフタルイミドが好ましい。
脂環式エポキシ化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、などが挙げられる。
その他のエポキシ化合物としてエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、などを用いることができる。
(オキサゾリン化合物)
オキサゾリン化合物としては、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ステアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−ベンジルオキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチルー2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物なども挙げられる。
(オキサジン化合物)
オキサジン化合物としては、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどが挙げられる。
さらに2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−P,P’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)などが挙げられる。さらに上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物などが挙げられる。
上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましいものとして選択される。
ポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端を封鎖する方法としては、末端封鎖剤を反応させればよく、付加反応によりカルボキシル基末端を封鎖する方法としては、ポリ乳酸の溶融状態でエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、およびオキサジン化合物などの末端封鎖剤を適量反応させることで得ることができ、ポリマーの重合反応終了後に末端封鎖剤を添加・反応させることが可能である。
具体的なカルボキシル基末端封鎖の程度としてはポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端の濃度が10当量/103kg以下であることが耐加水分解性向上の点から好ましく、6当量/103kg以下であることがさらに好ましい。
E成分の含有量はA成分100重量部あたり、0.001〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。含有量が0.001重量部未満ではカルボキシル末端に対する末端封鎖剤の添加量が少なすぎ、十分な耐加水分解性が得られず、10重量部を超えるとゲル化などを起し、流動性が著しく低下する。
<F成分について>
本発明のF成分として用いる無機系充填剤は、タルク、カオリン、シリカ、合成マイカ、クレイ、ゼオライト、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、モンモリロナイト、酸化ネオジム、酸化アルミニウム、フェニルフォスフォネート金属塩等が挙げられる。これらの無機系の結晶化核剤は組成物中での分散性およびその効果を高めるために、各種分散助剤で処理され、一次粒子径が0.01〜0.5μm程度の高度に分散状態にあるものが好ましい。
F成分の含有量は、A成分100重量部当たり、好ましくは0.05〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部である。かかる配合量が0.05重量部より少ない場合は、成形時に適度な剛性が得られず成形が困難となり、30重量部より多い場合は、難燃性を低下させることがあるため好ましくない。
<樹脂組成物の製造方法について>
i)共存組成物の調製
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とを混合するとき、他の添加剤成分と溶融混合する前に、上記式(4)および/または(5)で表されるリン酸エステル金属塩、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)並びにポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を予め共存させておくのが好ましい。共存させる方法としては、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)と、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とをできるだけ均一に混合させる方法が、それらを熱処理したときにステレオコンプレックス結晶を効率的に生成させることが可能となるため好ましい。かかる共存組成物の調製は、それらが熱処理されたときに均一に混合される方法であれば、いかなる方法をもとることができ、溶媒の存在下で行う方法、溶媒の非存在下で行う方法などが例示される。
上記共存組成物の調製を溶媒の存在下で行う方法としては、溶液に溶解した状態からの再沈殿により共存組成物を得る方法、加熱によって溶媒を除去することにより共存組成物を得る方法などが好適に挙げられる。
溶媒の存在下で再沈殿してかかる共存組成物を得る場合には、まず最初に、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)と、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)との共存組成物を再沈殿にて調製する。ここでA−1成分とA−2成分とは、別々に溶媒に溶解した溶液を調整して混合するか、または両者を一緒に溶媒に溶解させ混合することにより行うことが好ましい。ここで、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)と、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)は、10/90〜90/10の範囲になるように調製することが、本発明の樹脂組成物中でポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)のステレオコンプレックス結晶を効率的に生成させる上で好ましい。A−1成分とA−2成分との重量比は、25/75〜75/25がさらに好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。溶媒は、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)が溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。
上記式(4)または(5)で表されるリン酸エステル金属塩は、上記溶媒に不溶であるか、または溶媒に溶解しても再沈殿後に溶媒中に残存する場合があるために、再沈殿によって得られたポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)混合物と、該リン酸エステル金属塩は、別途混合して共存組成物を調製する必要がある。ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)混合物と、該リン酸エステル金属塩の共存組成物を得る方法は、それらが均一に混合されれば特に限定されるものではなく、粉体での混合、溶融混合などのいかなる方法をもとることができる。
次に、溶媒の存在下から溶媒を除去する方法によって、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、上記式(4)または(5)で表されるリン酸エステル金属塩の共存組成物を一度に調製する場合には、A−1成分およびA−2成分、並びに該リン酸エステル金属塩を、各々別個に溶媒に溶解または分散させた分散液を調製して混合するか、または全成分を一緒に溶媒に溶解または分散させた分散液を調製して混合し、然る後に加熱により溶媒を蒸発させることによって行うことができる。溶媒は、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、該リン酸エステル金属塩が溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。溶媒の蒸発後(熱処理)の昇温速度は、長時間、熱処理をすると分解する可能性があるので短時間で行うのが好ましいが特に限定されるものではない。
ポリ乳酸樹脂(A−1成分、A−2成分)並びに、上記式(4)または(5)で表されるリン酸エステル金属塩の共存組成物の調製は、溶媒の非存在下でも行うことができる。即ち、あらかじめ粉体化またはチップ化されたA−1成分とA−2成分、および該リン酸エステル金属塩を、所定量混合した後に溶融して混合する方法、または、A−1成分とA−2成分のいずれか一方を溶融させた後に、残る成分を加えて混合する方法などを採用することができる。ここで上記の粉体あるいはチップの大きさは、各ポリ乳酸単位(A−1成分、A−2成分)の粉体あるいはチップが均一に混合されれば特に限定されるものではないが、3mm以下が好ましく、さらには1から0.25mmのサイズであることが好ましい。溶融混合する場合、大きさに関係なく、ステレオコンプレックス結晶を形成するが、粉体あるいはチップを均一に混合した後に単に溶融する場合、粉体あるいはチップの直径が3mm以上の大きさになると、混合が不均一となり、ホモポリ乳酸結晶が析出しやすくなるので好ましくない。また上記粉体あるいはチップを均一に混合するために用いる混合装置としては、溶融によって混合する場合にはバッチ式の攪拌翼がついた反応器、連続式の反応器のほか、二軸あるいは一軸のエクストルーダー、粉体で混合する場合にはタンブラー式の粉体混合器、連続式の粉体混合器、各種のミリング装置などを好適に用いることができる。
さらにかかる共存組成物を調製する際には、有機リン系化合物(B成分)、熱可塑性エラストマー(C成分)、熱安定剤(D成分)、末端封鎖剤(E成分)、無機系充填剤(F成分)、およびそれ以外の添加剤として、可塑剤、無機充填材、折れ抑制剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、各種添加剤を共存させておくこともできる。
特に末端封鎖剤(E成分)を共存組成物の調製の段階で添加しておくことは、末端封鎖剤とポリ乳酸樹脂(A成分)との混合がより均一となることで、ポリ乳酸の酸性末端がより効率的に封鎖されるために、得られた最終樹脂組成物の耐加水分解性を向上させる上で好ましい。また、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物などの酸化防止剤を共存組成物の調製の段階で添加しておくことも、後に続く共存組成物の熱処理段階における熱安定性を向上させる上で特に好ましい。
ii)共存組成物の熱処理
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とを混合物するとき、他の添加剤成分と溶融混合する前に、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)と上記式(4)または(5)で表されるリン酸エステル金属塩の共存組成物を熱処理するのが好ましい。かかる熱処理とは、その組成物を240〜300℃の温度領域で一定時間保持することをいう。熱処理の温度は好ましくは250〜300℃、より好ましくは260〜290℃である。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくなく、240℃未満の温度では熱処理による均一混合が進まず、ステレオコンプレックス結晶が効率的に生成しにくくなるので好ましくない。熱処理の時間は特に限定されるものではないが、0.2〜60分、好ましくは1〜20分である。熱処理時の雰囲気は、常圧の不活性雰囲気下、または減圧のいずれも適用可能である。熱処理に用いる装置、方法としては、雰囲気調整を行いながら加熱できる装置、方法であればいかなる方法をも用いることができるが、たとえば、バッチ式の反応器、連続式の反応器、二軸あるいは一軸のエクストルーダーなど、またはプレス機、流管式の押出機を用いて、成形しながら処理する方法をとることも出来る。ここで、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、式(4)または式(5)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物の調製を、溶媒の非存在下にて溶融混合する方法により行う場合には、かかる共存組成物の調製と同時に、該共存組成物の熱処理をも達成できる。
iii)樹脂組成物の調製
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A成分)(前記熱処理された共存組成物を含む)、有機リン系化合物(B成分)、熱可塑性エラストマー(C成分)、熱安定剤(D成分)、末端封鎖剤(E成分)、無機系充填剤(F成分)、並びにその他添加剤成分を混合することによって製造される。(ただし、共存組成物中に含有されている成分は除く。)
その他添加剤成分としては、無機充填材、折れ抑制剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、任意の添加剤成分が挙げられる。
かかる本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばポリ乳酸樹脂(A成分)並びに他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法を取ることもできる。
<成形品の製造について>
本発明の樹脂組成物は、通常前記方法で製造されたペレットとして得られ、これを原料として射出成形、押出成形など、各種成形方法による製品を製造することができる。
射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
押出成形においては、各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの製品を得ることができる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。
本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などに供することにより、中空成形品を得ることも可能である。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、例えば電気・電子部品、OA機器や家電製品の外装材に好適であり、例えばパソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、およびスロットマシーンなど)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機ELなど)、マウス、並びにプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)などの外装材や電気・電子部品、キーボードのキーや各種スイッチなどのスイッチ成形品が例示される。さらに本発明の成形品は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスクなど)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティックなど)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライターなど電気・電子機器を挙げることができ、これらの外装材などの各種部品に本発明の成形品を適用することができる。また各種容器、カバー、筆記具本体、装飾品などの各種雑貨においても好適である。さらにはランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品などの車両用部品を挙げることができる。
さらに本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ポリ乳酸樹脂の製造
下記の製造例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂の製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器として、示差屈折計島津RID−6Aを用い、カラムとして東ソ−TSKgelG3000HXLを使用した。測定は、クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入することにより行った。
(2)カルボキシル基濃度
試料を精製o−クレゾールに窒素気流下で溶解した後、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定した。
(3)ステレオコンプレックス結晶化度
DSC(TAインスルメント社製 TA−2920)測定の昇温過程におけるポリ乳酸樹脂(A成分)結晶由来の融解エンタルピーを用いて、下記式(1)より、ステレオコンプレックス結晶化度のパラメーターを評価した。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
(4)熱分解温度
熱分解温度は、TAinstuments社製 TGA2950を使用したTGA測定にて、20℃から900℃まで20℃/minで昇温した時の重量減少が始まる温度として求めた。
本発明の実施例、比較例においては以下の材料を使用した。
[A−1:ポリL−乳酸樹脂(PLLA)]
[製造例1−1]
L−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸樹脂を得た。得られたポリL−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.2万、融点(Tmh)は175℃、ガラス転移点(Tg)55℃、カルボキシル基含有量は14eq/ton、熱分解温度は324℃であった。
[A−2:ポリD−乳酸樹脂の製造(PDLA)]
[製造例1−2]
製造例1−1のL−ラクチドのかわりにD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)を使用する以外は製造例1−1と同様の操作を行い、ポリD−乳酸樹脂を得た。得られたポリD−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.1万、融解ピーク温度(Tmh)は175℃、ガラス転移点(Tg)55℃、カルボキシル基含有量は15eq/ton、熱分解温度は326℃であった。
[A−3:ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の製造(scPLA)
[製造例1−3]
製造例1−1および1−2で得られたPLLA,PDLAの各50重量部よりなるポリ乳酸樹脂計100重量部並びに燐酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−11:(株)ADEKA製)0.1重量部をブレンダーで混合後、110℃で5時間乾燥し、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量9kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化し、ポリ乳酸樹脂1を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は13万、コンプレックス相ポリ乳酸結晶融解ピーク温度(Tms)は220℃、ガラス転移点(Tg)58℃、カルボキシル基含有量は17eq/ton、式(1)を用いて算出したステレオコンプレックス結晶化度は100%、熱分解温度は338℃であった。
結果をまとめて表1中に記載する。なお、表1中のΔHmsは、190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピーであり、ΔHmhは、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピーである。Tmsは、190℃以上250℃未満に現れる結晶融点であり、Tmhは、190℃未満に現れる結晶融点である。
Figure 0005865746
2.B成分(有機リン系化合物)の製造
下記の製造例に示す方法により、B成分である有機リン系化合物の製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)有機リン系化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
(2)有機リン系化合物のHPLC純度
試料をアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液に溶解し、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−260nmを用いた。
(3)有機リン系化合物の31PNMR純度
核磁気共鳴測定装置(JEOL製、JNM−AL400)により、リン原子の核磁気共鳴を測定し(DMSO−d6、162MHz、積算回数3072回)、積分面積比をリン化合物の31PNMR純度とした。
[B成分(有機リン系化合物)の製造]
[製造例2]
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。
次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール40mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×102Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、1H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は20.60g、収率は91%、31PNMR純度は99%であった。また、HPLC純度は99%であった。酸価は0.05mgKOH/gであった。
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d6,120MHz):δ23.1(S)、融点:257℃であった。
3.環状カルボジイミドの製造
下記の製造例に示す方法により、E成分である環状カルボジイミドの製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物のNMRによる同定は、日本電子(株)製JNR−EX270を使用し、1H−NMR、13C−NMRによって確認した。尚、溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)環状カルボジイミドのカルボジイミド骨格のIRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の同定は、ニコレー(株)製Magna−750を使用し、FT−IRよってカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の吸収ピークを確認することで行った。
本発明の実施例において、以下の材料を使用した。
[環状カルボジイミドの製造]
[製造例3]
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物G(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物G(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了する。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物H(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置及び加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物H(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物I(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置及び滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物I(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、E−1を得た。E−1の構造をNMR,IRにより確認した結果、下記式に示される構造であった。
Figure 0005865746
4.ポリ乳酸樹脂ペレットの製造および評価
下記の実施例、比較例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂(A成分)と添加剤との樹脂組成物ペレットの製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)難燃性
米国アンダーラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ1.5mmにおける難燃性を評価した。
(2)色相変化
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、長さ130mm、幅13mm、厚さ1.5mmの成形片を連続で30本成形し、その試験片の色相変化を目視にて観察し、以下のように評価した。
○:連続成形した試験片の色相変化が見られないもの
×:連続成形した試験片の色相変化が見られたもの
(3)耐加水分解性
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、厚さ4mmのISO測定用の成形片を作成した。次に、この成形片を60℃×85%RH条件にて100h、湿熱処理を行った。ISO527−1、ISO527−2に準拠して、引張試験を実施し、湿熱処理前の引張最大応力と湿熱処理後の引張最大応力から保持率[(湿熱処理後の引張最大応力/湿熱処理前の引張最大応力)×100]を算出し、以下のように評価した。
○:保持率が80%以上
×:保持率が80%未満
(4)耐衝撃性
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、厚み4mmのISO 測定用の成形品を成形し、ISO179−1に準拠して、ノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。
なお、A成分として上記記載のA−3を、B成分として上記の製造方法で得られた有機リン系化合物を、E成分として上記記載のE−1を用い、他の原料としては、以下のものを用いた。
〈C成分〉
C−1:(株)T&K TOKA 製 TPAE−32 [重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体、熱分解開始温度361℃]
C−2:東レ・デュポン(株) 製 ハイトレル 4057 [熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱分解開始温度342℃]
C−3:東洋紡績(株)製 ペルプレン S1001 [熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱分解開始温度312℃]
C−4:(株)クラレ 製 セプトン 8006 [スチレン系熱可塑性エラストマー、熱分解温度302℃]
C−5:住友化学(株)製 エスポレックス 3675 [オレフィン系熱可塑性エラストマー、熱分解開始温度289℃]
C−6:三菱レイヨン(株) 製 メタブレン S−2001 [シリコーン・アクリル複合ゴム、熱分解開始温度259℃]
C−7:ダイキン工業(株)製 ネオフロンPFA [テトラフルオトエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、熱分解開始温度480℃]
また、およびC−1〜C−7の熱分解温度を表2に示した。
Figure 0005865746
〈D成分〉
D−1:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 Irganox1076[n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
D−2:(株)アデカ製 PEP−24G[ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト]
〈F成分〉
F: 日本タルク(株)製 P−3 (平均粒径5μm)
[実施例1〜11および比較例1〜8]
ポリ乳酸樹脂として製造例1−3で製造したポリ乳酸樹脂A−3を用いて、表3の組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給し、溶融押出してペレット化した。ここで、第1供給口とは根元の供給口のことである。溶融押出は、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2〜C5/C6/C7〜C11/D=10℃/240℃/230℃/220℃/220℃とし、メインスクリュー回転数は150rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。得られたペレットを100℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥し、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)にて成形を実施し、評価を行った。結果を表3と表4に示す。
Figure 0005865746
Figure 0005865746
<実施例1〜11>
実施例1〜11は、いずれも合計燃焼秒数が低く、シャルピー衝撃値も5以上と優れた樹脂組成物であった。
<実施例3、10、11、比較例1〜4>
比較例1〜4はC成分の熱分解開始温度が規定範囲を外れているため、実施例3、10、11と比べ、合計燃焼秒数が長く難燃性に劣る結果であった。
<比較例5、6>
比較例5は、実施例3と比べB成分の含有量が不足しており、難燃性に劣る結果であった。
比較例6は、実施例3と比べB成分の含有量が過剰であり、耐衝撃性に劣る結果であった。
<比較例7、8>
比較例7は、実施例3と比べC成分の含有量が不足しており、耐衝撃性に劣る結果であった。
比較例8は、実施例3と比べC成分の含有量が過剰であり、難燃性に劣る結果であった。

Claims (9)

  1. (A)ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)下記一般式(1)で表される有機リン系化合物(B成分)1〜50重量部、および(C)熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲内にある熱可塑性エラストマー(C成分)1〜50重量部を含有する難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
    Figure 0005865746
  2. C成分が、ポリアミド系エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  3. A成分100重量部に対し、(D)ホスファイト系化合物およびヒンダードフェノール系化合物よりなる群より選ばれる少なくとも一種の熱安定剤(D成分)を0.001〜0.5重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  4. A成分100重量部に対し、(E)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、およびオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の末端封鎖剤(E成分)を0.001〜10重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  5. A成分100重量部に対し、(F)無機系充填剤(F成分)を0.05〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  6. A成分が、主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)および主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を含有し、ポリ−L乳酸(A−1成分)とポリ−D乳酸(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)が10/90〜90/10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  7. A−1成分がL−乳酸単位を90モル%以上含有し、A−2成分がD−乳酸単位を90モル%以上含有することを特徴とする請求項6に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  8. A成分は、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解エンタルピーを用いて下記式(I)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が80%以上であるポリ乳酸樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
    ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (I)
    [但し、式(I)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物よりなる成形品。
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