JP5865746B2 - 難燃性ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリ乳酸樹脂は難燃性が低く耐衝撃性に劣るため、これら特性のハイレベルな両立が求められるOA機器部品や電気・電子部品などの工業材料への展開が進んでいない。
特許文献2には、ポリ乳酸樹脂に本願の特定構造の有機リン化合物と、水素添加スチレン系エラストマーを添加する組成が示されており、難燃性と耐衝撃性に優れる特徴を持つが、昨今の軽薄短小に代表される薄肉化に対応するため、さらにハイレベルな難燃性と耐衝撃性の両立が市場より求められている。
本発明のA成分であるポリ乳酸樹脂とは、植物から抽出した澱粉やセルロースを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸樹脂、主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸樹脂、またはその混合物の何れを用いてもよい。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
有機リン系化合物は、例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでアラルキルハライドを反応させることにより得られる。また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアラルキルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
B成分は、その酸価が0.7mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のB成分を使用することにより、難燃性および色相に優れた成形品が得られ、かつ熱安定性の良好な成形品が得られる。B成分は、その酸価が0.4mgKOH/g以下のものが最も好ましい。ここで酸価とは、サンプル1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
B成分の含有量はA成分100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、より好ましくは5〜10重量部である。含有量が1重量部未満であると、難燃性を損なうことがあるため好ましくなく、50重量部を超えると耐衝撃性が得られないため好ましくない。
本発明で使用する熱可塑性エラストマーは、熱分解開始温度が310℃〜400℃の範囲にあるエラストマーである。熱分解開始温度は310℃〜370℃であることが好ましく、340℃〜370℃であることがより好ましく、350℃〜370℃であることが最も好ましい。熱分解開始温度が上記範囲外であると、著しく難燃性が低下する。熱可塑性エラストマーの熱分解開始温度は公知の方法で測定されるが、具体的には、TAinstuments(株)製 TGA2950 Thermogravimetric Analyzerにて、20℃から900℃まで20℃/minで昇温した時の重量減少が始まる温度である。
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリエステルまたはポリエーテルおよびポリエーテルの共重合体をソフトセグメントとするエラストマーが挙げられ、具体的には東レ・デュポン(株)製のハイトレル4057、およびハイトレル3046等が例示される。
オレフィン系エラストマーとしては、ポリプロピレンにエチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)をブレンドしたものが例示され、具来的には、住友化学(株)製 エスポレックス3675、およびエスポレックス3885等が例示される。
フッ素系共重合体としては、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体が例示され、具体的には、ダイキン工業(株)製 ネオフロンPFA AP−201、およびネオフロンPFA AP−210等が例示される。
本発明の樹脂組成物には、熱安定剤として、ホスファイト系化合物およびヒンダードフェノール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤を使用することができる。熱安定剤を配合する事により、成形加工時の色相が安定する効果がある。
本発明のE成分として用いる末端封鎖剤とはポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基末端の一部または全部と反応して封鎖する働きを示すものであり、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
カルボジイミド化合物としては以下の化合物が例示される。例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブイチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ビス(p−アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−エチルフェニル)カルボジイミドビス(o−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−ブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)カルボジイミド、ジβナフチルカルボシイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボシイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボシイミド、p−フェニレンビス(o−トルイルカルボジイミド)、p−フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレンンビス(p−クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、などのモノまたはポリカルボジイミド化合物が例示される。
エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリジジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかる剤を配合することで、機械的特性、成形性、耐熱性、耐久性に優れたポリ乳酸樹脂組成物および成形品を得ることができる。
オキサゾリン化合物としては、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ステアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−ベンジルオキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチルー2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物なども挙げられる。
オキサジン化合物としては、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどが挙げられる。
上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましいものとして選択される。
E成分の含有量はA成分100重量部あたり、0.001〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。含有量が0.001重量部未満ではカルボキシル末端に対する末端封鎖剤の添加量が少なすぎ、十分な耐加水分解性が得られず、10重量部を超えるとゲル化などを起し、流動性が著しく低下する。
本発明のF成分として用いる無機系充填剤は、タルク、カオリン、シリカ、合成マイカ、クレイ、ゼオライト、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、モンモリロナイト、酸化ネオジム、酸化アルミニウム、フェニルフォスフォネート金属塩等が挙げられる。これらの無機系の結晶化核剤は組成物中での分散性およびその効果を高めるために、各種分散助剤で処理され、一次粒子径が0.01〜0.5μm程度の高度に分散状態にあるものが好ましい。
i)共存組成物の調製
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とを混合するとき、他の添加剤成分と溶融混合する前に、上記式(4)および/または(5)で表されるリン酸エステル金属塩、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)並びにポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を予め共存させておくのが好ましい。共存させる方法としては、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)と、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とをできるだけ均一に混合させる方法が、それらを熱処理したときにステレオコンプレックス結晶を効率的に生成させることが可能となるため好ましい。かかる共存組成物の調製は、それらが熱処理されたときに均一に混合される方法であれば、いかなる方法をもとることができ、溶媒の存在下で行う方法、溶媒の非存在下で行う方法などが例示される。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)とを混合物するとき、他の添加剤成分と溶融混合する前に、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)と上記式(4)または(5)で表されるリン酸エステル金属塩の共存組成物を熱処理するのが好ましい。かかる熱処理とは、その組成物を240〜300℃の温度領域で一定時間保持することをいう。熱処理の温度は好ましくは250〜300℃、より好ましくは260〜290℃である。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくなく、240℃未満の温度では熱処理による均一混合が進まず、ステレオコンプレックス結晶が効率的に生成しにくくなるので好ましくない。熱処理の時間は特に限定されるものではないが、0.2〜60分、好ましくは1〜20分である。熱処理時の雰囲気は、常圧の不活性雰囲気下、または減圧のいずれも適用可能である。熱処理に用いる装置、方法としては、雰囲気調整を行いながら加熱できる装置、方法であればいかなる方法をも用いることができるが、たとえば、バッチ式の反応器、連続式の反応器、二軸あるいは一軸のエクストルーダーなど、またはプレス機、流管式の押出機を用いて、成形しながら処理する方法をとることも出来る。ここで、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、式(4)または式(5)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物の調製を、溶媒の非存在下にて溶融混合する方法により行う場合には、かかる共存組成物の調製と同時に、該共存組成物の熱処理をも達成できる。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A成分)(前記熱処理された共存組成物を含む)、有機リン系化合物(B成分)、熱可塑性エラストマー(C成分)、熱安定剤(D成分)、末端封鎖剤(E成分)、無機系充填剤(F成分)、並びにその他添加剤成分を混合することによって製造される。(ただし、共存組成物中に含有されている成分は除く。)
その他添加剤成分としては、無機充填材、折れ抑制剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、任意の添加剤成分が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、通常前記方法で製造されたペレットとして得られ、これを原料として射出成形、押出成形など、各種成形方法による製品を製造することができる。
射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などに供することにより、中空成形品を得ることも可能である。
下記の製造例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂の製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器として、示差屈折計島津RID−6Aを用い、カラムとして東ソ−TSKgelG3000HXLを使用した。測定は、クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入することにより行った。
(2)カルボキシル基濃度
試料を精製o−クレゾールに窒素気流下で溶解した後、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定した。
(3)ステレオコンプレックス結晶化度
DSC(TAインスルメント社製 TA−2920)測定の昇温過程におけるポリ乳酸樹脂(A成分)結晶由来の融解エンタルピーを用いて、下記式(1)より、ステレオコンプレックス結晶化度のパラメーターを評価した。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
(4)熱分解温度
熱分解温度は、TAinstuments社製 TGA2950を使用したTGA測定にて、20℃から900℃まで20℃/minで昇温した時の重量減少が始まる温度として求めた。
[A−1:ポリL−乳酸樹脂(PLLA)]
[製造例1−1]
L−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸樹脂を得た。得られたポリL−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.2万、融点(Tmh)は175℃、ガラス転移点(Tg)55℃、カルボキシル基含有量は14eq/ton、熱分解温度は324℃であった。
[A−2:ポリD−乳酸樹脂の製造(PDLA)]
[製造例1−2]
製造例1−1のL−ラクチドのかわりにD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)を使用する以外は製造例1−1と同様の操作を行い、ポリD−乳酸樹脂を得た。得られたポリD−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.1万、融解ピーク温度(Tmh)は175℃、ガラス転移点(Tg)55℃、カルボキシル基含有量は15eq/ton、熱分解温度は326℃であった。
[A−3:ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の製造(scPLA)
[製造例1−3]
製造例1−1および1−2で得られたPLLA,PDLAの各50重量部よりなるポリ乳酸樹脂計100重量部並びに燐酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−11:(株)ADEKA製)0.1重量部をブレンダーで混合後、110℃で5時間乾燥し、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量9kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化し、ポリ乳酸樹脂1を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は13万、コンプレックス相ポリ乳酸結晶融解ピーク温度(Tms)は220℃、ガラス転移点(Tg)58℃、カルボキシル基含有量は17eq/ton、式(1)を用いて算出したステレオコンプレックス結晶化度は100%、熱分解温度は338℃であった。
下記の製造例に示す方法により、B成分である有機リン系化合物の製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)有機リン系化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
(2)有機リン系化合物のHPLC純度
試料をアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液に溶解し、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−260nmを用いた。
(3)有機リン系化合物の31PNMR純度
核磁気共鳴測定装置(JEOL製、JNM−AL400)により、リン原子の核磁気共鳴を測定し(DMSO−d6、162MHz、積算回数3072回)、積分面積比をリン化合物の31PNMR純度とした。
[製造例2]
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。
次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール40mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×102Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、1H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は20.60g、収率は91%、31PNMR純度は99%であった。また、HPLC純度は99%であった。酸価は0.05mgKOH/gであった。
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d6,120MHz):δ23.1(S)、融点:257℃であった。
下記の製造例に示す方法により、E成分である環状カルボジイミドの製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物のNMRによる同定は、日本電子(株)製JNR−EX270を使用し、1H−NMR、13C−NMRによって確認した。尚、溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)環状カルボジイミドのカルボジイミド骨格のIRによる同定
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の同定は、ニコレー(株)製Magna−750を使用し、FT−IRよってカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の吸収ピークを確認することで行った。
[環状カルボジイミドの製造]
[製造例3]
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物G(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物G(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了する。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物H(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置及び加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物H(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物I(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置及び滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物I(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、E−1を得た。E−1の構造をNMR,IRにより確認した結果、下記式に示される構造であった。
下記の実施例、比較例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂(A成分)と添加剤との樹脂組成物ペレットの製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)難燃性
米国アンダーラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ1.5mmにおける難燃性を評価した。
(2)色相変化
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、長さ130mm、幅13mm、厚さ1.5mmの成形片を連続で30本成形し、その試験片の色相変化を目視にて観察し、以下のように評価した。
○:連続成形した試験片の色相変化が見られないもの
×:連続成形した試験片の色相変化が見られたもの
(3)耐加水分解性
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、厚さ4mmのISO測定用の成形片を作成した。次に、この成形片を60℃×85%RH条件にて100h、湿熱処理を行った。ISO527−1、ISO527−2に準拠して、引張試験を実施し、湿熱処理前の引張最大応力と湿熱処理後の引張最大応力から保持率[(湿熱処理後の引張最大応力/湿熱処理前の引張最大応力)×100]を算出し、以下のように評価した。
○:保持率が80%以上
×:保持率が80%未満
(4)耐衝撃性
ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、厚み4mmのISO 測定用の成形品を成形し、ISO179−1に準拠して、ノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。
〈C成分〉
C−1:(株)T&K TOKA 製 TPAE−32 [重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体、熱分解開始温度361℃]
C−2:東レ・デュポン(株) 製 ハイトレル 4057 [熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱分解開始温度342℃]
C−3:東洋紡績(株)製 ペルプレン S1001 [熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱分解開始温度312℃]
C−4:(株)クラレ 製 セプトン 8006 [スチレン系熱可塑性エラストマー、熱分解温度302℃]
C−5:住友化学(株)製 エスポレックス 3675 [オレフィン系熱可塑性エラストマー、熱分解開始温度289℃]
C−6:三菱レイヨン(株) 製 メタブレン S−2001 [シリコーン・アクリル複合ゴム、熱分解開始温度259℃]
C−7:ダイキン工業(株)製 ネオフロンPFA [テトラフルオトエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、熱分解開始温度480℃]
また、およびC−1〜C−7の熱分解温度を表2に示した。
D−1:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 Irganox1076[n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
D−2:(株)アデカ製 PEP−24G[ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト]
〈F成分〉
F: 日本タルク(株)製 P−3 (平均粒径5μm)
ポリ乳酸樹脂として製造例1−3で製造したポリ乳酸樹脂A−3を用いて、表3の組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給し、溶融押出してペレット化した。ここで、第1供給口とは根元の供給口のことである。溶融押出は、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2〜C5/C6/C7〜C11/D=10℃/240℃/230℃/220℃/220℃とし、メインスクリュー回転数は150rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。得られたペレットを100℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥し、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)にて成形を実施し、評価を行った。結果を表3と表4に示す。
実施例1〜11は、いずれも合計燃焼秒数が低く、シャルピー衝撃値も5以上と優れた樹脂組成物であった。
<実施例3、10、11、比較例1〜4>
比較例1〜4はC成分の熱分解開始温度が規定範囲を外れているため、実施例3、10、11と比べ、合計燃焼秒数が長く難燃性に劣る結果であった。
<比較例5、6>
比較例5は、実施例3と比べB成分の含有量が不足しており、難燃性に劣る結果であった。
比較例6は、実施例3と比べB成分の含有量が過剰であり、耐衝撃性に劣る結果であった。
<比較例7、8>
比較例7は、実施例3と比べC成分の含有量が不足しており、耐衝撃性に劣る結果であった。
比較例8は、実施例3と比べC成分の含有量が過剰であり、難燃性に劣る結果であった。
Claims (9)
- C成分が、ポリアミド系エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A成分100重量部に対し、(D)ホスファイト系化合物およびヒンダードフェノール系化合物よりなる群より選ばれる少なくとも一種の熱安定剤(D成分)を0.001〜0.5重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A成分100重量部に対し、(E)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、およびオキサジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の末端封鎖剤(E成分)を0.001〜10重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A成分100重量部に対し、(F)無機系充填剤(F成分)を0.05〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A成分が、主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)および主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を含有し、ポリ−L乳酸(A−1成分)とポリ−D乳酸(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)が10/90〜90/10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A−1成分がL−乳酸単位を90モル%以上含有し、A−2成分がD−乳酸単位を90モル%以上含有することを特徴とする請求項6に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
- A成分は、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解エンタルピーを用いて下記式(I)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が80%以上であるポリ乳酸樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
ステレオコンプレックス結晶化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (I)
[但し、式(I)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。] - 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物よりなる成形品。
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