JP5890515B2 - 生溶解性ミネラルウール繊維組成物およびミネラルウール繊維 - Google Patents

生溶解性ミネラルウール繊維組成物およびミネラルウール繊維 Download PDF

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Description

本発明は、生溶解性ミネラルウール繊維組成物およびミネラルウール繊維に関する。
セラミック繊維、特にミネラルウール(Mineral Wool/Rock Wool/石綿)は、玄武岩、安山岩などのケイ酸塩系鉱石を、1,500〜1,700℃の高熱で溶融し、高速気流またはスピナーの高速回転力を用いて繊維化した人造鉱物繊維である。一般に、広く普及した通常のミネラルウールは、SiO30〜50質量%、Al5〜20質量%、FeO+Fe1〜15質量%、CaO15〜45質量%、およびMgO1〜20質量%を主成分として製造され、断熱性、不燃性および耐熱性に優れて保温材、断熱材、吸音材、防音材、その他の様々な用途に使われる製品である。従来では、上記の組成にて、MgOおよびFeを増加させるとともにアルカリ金属を最小化して、耐熱性に一層優れたミネラルウール製品を製造するための研究が大部分であったが、最近では、MMVF(Man−Made Vitreous Fibers)製品の微細繊維が、呼吸器を介して肺に長期間蓄積された場合、肺に疾患を引き起こす可能性についての論議が台頭し始めた。
一般に、セラミック繊維は、人体の疾病と関係があるという直接証拠はないものの、破砕した繊維が呼吸により肺に吸入されて蓄積された場合、人体に害をもたらす可能性がある。しかし、生理学的媒質に対する溶解度を増加させ、蓄積された繊維を体外に排出させることで有害の可能性を最小化することができる。このような生溶解性の向上と同時に、既存のミネラルウール組成が持っている基本的な特徴、すなわち繊維化が可能でなければならず、使用中に耐熱温度が1000〜1100℃に達するように耐熱性を向上させ、且つ十分な耐久性および断熱性を有するミネラルウール組成に関する研究が盛んに行われてきた。
一方、Alの含量を減少させることにより、KI(Numerical Index)値を増加させて生溶解性を高めることができることが知られている。
ところが、Alの組成が不可避に含まれているケイ酸塩系鉱石を塊状として使用するキュポラ(Cupola Furnace)溶融工程ではKI値を高めることに限界があり、現実的には接近することが難しい条件でしかない。これにより、Alの含量が増加してKI(Numberical Index)値が30未満、場合によっては20未満であっても生溶解性および耐水性に優れるセラミック繊維の製造が求められている。
そこで、本発明の目的は、体内吸収の際に、より効果的に体液に溶解して容易に体外へ排出されることができる特性を有するミネラルウール繊維組成物およびミネラルウール繊維を開発し、人体に及ぼす影響を最小化することにある。
本発明の他の目的は、Alの含量が増加してKI値が低くても生溶解度に優れるミネラルウール繊維組成物及びミネラルウール繊維を提供することにある。
本発明の別の目的は、既存のミネラルウール繊維の組成を改質して耐熱性、耐水性、熱伝導率および復元力が、従来のミネラルウール繊維の水準を維持しながら、溶解速度定数が300ng/cm・hr以上である、生溶解性に優れるミネラルウール繊維組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、SiOおよびAlの合計含有量45〜67質量%、CaO、MgO、NaOおよびKOの合計含有量20.1〜50質量%、並びにその他の成分を含む、生溶解性ミネラルウール繊維組成物が提供される。
ここで、本発明の溶解性ミネラルウール繊維組成物は、SiO30〜45質量%、Al15〜22質量%、酸化鉄(FeOおよびFeのうち、少なくとも1種を含む)8〜12質量%、CaO15〜30質量%、MgO5〜15質量%、RO(NaOおよびKOのうち、少なくとも1種を含む)0.1〜5質量%を含むことを特徴とする。
また、本発明の生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、前記Al17〜20質量%、RO(NaOおよびKOの少なくとも1種を含む)1〜2質量%を含むことを特徴とする。
また、本発明の生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、RO(NaOおよびKOの少なくとも1種を含む)/Al質量比が0.5未満であることを特徴とする。
また、本発明の生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、SiOおよびAlを必須として含み、Fe、CaO、MgO、NaOおよびKOのうちの3種以上を含む生溶解性ミネラルウール繊維組成物であって、人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm・hr以上であることを特徴とする。
また、本発明の生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、繊維延伸粘度温度と液相温度との差が80℃以上であることを特徴とする。
また、本発明の生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、耐水性が0.8%以下であることを特徴とする。
本発明の他の観点によれば、SiOおよびAlを必須として含み、Fe、FeO、CaO、MgO、NaOおよびKOのうちの3種以上を含む生溶解性ミネラルウール繊維組成物であって、Alの含量が10質量%以上であり、式[(NaO+KO+CaO+MgO)−2×Al]の値(質量%で計算する)が20以下であり、人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm・hr以上である、生溶解性ミネラルウール繊維組成物が提供される。
本発明の別の観点によれば、前記生溶解性ミネラルウール繊維組成物を用いて製造された生溶解性ミネラルウール繊維が提供される。
本発明に係る生溶解性ミネラルウール繊維組成物およびこれを用いて製造された生溶解性ミネラルウール繊維は、組成の改質および最適化によって人工体液に対する生溶解度が著しく向上し人体の肺への吸入の際にも容易に溶解、除去できるため、人体に対する有害性を大幅に減少させることができるうえ、優れた耐水性を持っており、既存のロータリー(Rotary)工程に適用可能であるという利点がある。
また、生分解性能を示す既存のセラミック繊維は、KI値を高めるためにAlの含量を人為的に低くし、純度が高い比較的高価な原料を使用したが、これに対し、本発明の組成は、純度が低いAlをある程度含む低廉な原料を使用しながら、既存の製品と同等またはそれより優れた生分解性能を示すため、使用原料の幅を広めることができ、原料コストを節減することができるという利点がある。さらに、水分に対する耐久性に優れるうえ、既存の組成より低い液相温度と繊維延伸粘度温度(logη3.0)を示すため、繊維化の際に必要なエネルギーを省いてコスト節減を誘導することができる。
以下、本発明に係る生溶解性ミネラルウール繊維組成物などを詳細に説明する。
本発明は、SiOおよびAlを必須として含み、Fe、FeO、CaO、MgO、NaOおよびKOのうちの3種以上を含む生溶解性ミネラルウール繊維組成物を提供する。
前記生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、SiOおよびAlの合計含有量45〜67質量%、CaO、MgO、NaOおよびKOの合計含有量20.1〜50質量%、並びにその他の残余成分を含むことができる。
前記生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、SiO30〜45質量%、Al15〜22質量%、酸化鉄(FeOおよびFeの少なくとも1種含む)8〜12質量%、CaO15〜30質量%、MgO5〜15質量%、およびRO(NaOおよびKOの少なくとも1種含む)0.1〜5質量%を含むことができる。
本発明は、生溶解性を向上させるものの、工程上加工性などの別の問題を引き起こすおそれがある、その他の酸化物であるP、SOなどを添加することなく、既存のミネラルウール繊維の組成中のアルミナ含量を増加させ、他の酸化物の組み合わせを介することで耐熱性などの物性の低下なしに生溶解性を増加させた新しい生溶解性ミネラルウール繊維組成物に関する。本発明に係る生溶解性ミネラルウール繊維組成物を構成成分によってさらに詳細に説明する。
まず、ミネラルウール繊維の主成分であるSiOは、ガラスの基本構造を形成する網目構造形成剤(Network Former)の役割を果たし、全体繊維組成物に対して30〜45質量%で含有することが好ましいが、仮にその含有量が30質量%未満の場合には、相対的にAlおよびアルカリ土類金属酸化物またはアルカリ金属酸化物の増加により原材料費が上昇し、このように製造された繊維は耐水性などの機械的物性に劣り、仮にその含有量が45質量%を超える場合には、溶融組成物の溶融温度および繊維延伸粘度温度が増加するため、製造された繊維は直径が大きく、繊維化が困難である。
網目形成酸化物であるSiOに基づいて、耐水性を有する中間酸化物であるAlを添加し、溶融温度を低くし、網目形成酸化物が作る網目に入ってガラスの性質に影響を及ぼしうる修飾酸化物としてRO(NaO、KO)、RO(CaO、MgO)などを添加することができる。
中間形成酸化物であるAlは、10質量%以上30質量%以下で含有できるが、好ましくは15〜22質量%で含有される。特に、前記Alは17〜20質量%で含有できる。Alは、液相線近くのガラス溶融物の粘度を増加させてガラスの結晶化を制御し、繊維の耐水性を向上させる。特に、Alの適切な含量が生溶解性および耐熱度に多くの影響を与えるため、他の組成との適切な構成が求められる。
繊維組成物中の修飾酸化物であるROは、ガラスの非架橋酸素を生成させることによりガラス溶融時の溶融を円滑に行わせる溶融剤として作用する。ここで、ROはアルカリ金属酸化物であってもよい。例えば、NaO、KOなどが挙げられる。この2種のアルカリ金属酸化物は、生溶解性を大幅に増加させるものの、繊維の耐水性には悪い影響を及ぼし、繊維のつぶれおよび復元率にも影響を与える成分である。よって、このような生溶解性、耐水性および経済的な面を考慮すると、繊維組成物中のNaO+KOの含量は0.1〜5質量%であることがよい。特に1〜2質量%であってもよい。また、RO(NaOおよびKOの少なくとも1種含む)/Al質量比が0.5未満であってもよい。その質量比が0.5以上の場合には耐水性が低下するおそれがある。
繊維組成物中の別の修飾酸化物であるROは、製造された繊維の生溶解性を高め、ガラス溶融液の粘度を減少させて繊維化に役立つ効果がある。ここで、ROはアルカリ土類金属酸化物であってもよい。例えば、CaOとMgOが挙げられる。さらに、アルカリ金属酸化物の導入により低下する化学的耐久性を改善する効果がある。そして、MgOは、結晶化が起こる温度を減少させ、CaOより生溶解性にさらに多くの効果を与えることが可能な組成物である。このようなCaOとMgOは、繊維組成物に対してそれぞれ15〜30質量%、5〜15質量%使用できる。特に、CaOとMgOとの混合使用量が全体組成物に対して20〜45質量%であることが好ましく、仮にその含有量が20質量%未満の場合には、溶融温度の急激な上昇をもたらし、仮にその含有量が45質量%を超える場合には、繊維化温度と結晶化温度との差が減少して繊維化作業の際に結晶の生成可能性が増加するため、安定な繊維製造が困難になるという問題点が生じうる。
上記の組成を満足する生溶解性ミネラルウール繊維組成物は、人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm・hr以上である生溶解性ミネラルウール繊維として提供されることができる。
また、繊維延伸粘度温度と液相温度との差が80℃以上であり、繊維化の際にスピナーの結晶化生成などの工程上の問題なしに安定な繊維生産が可能である。
また、Alの含量が10質量%以上であり、式[(NaO+KO+CaO+MgO)−2×Al]の値(質量%で計算する)が20以下であり、且つ人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm・hr以上であってもよい。
本発明に係るガラス繊維は、通常のロータリー工程に適用して製造可能である。このように製造された本発明に係る生溶解性ガラス繊維は、既存の組成を大きく変化させることなく改質して3〜10μmの繊維平均直径を有し、人工体液に対する溶解度が高く、且つ耐水性にも優れることを特徴とする。
以下、実験例および比較実験例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、これらの実験例および比較実験例は、本発明の理解を容易にするために例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
実験例1〜6および比較実験例1〜7
下記表2(実験例)および表3(比較実験例)のような成分と含量を有するミネラルウール繊維組成物を製造し、ミネラルウール繊維組成物を溶鉱炉(smelter)で溶融させて、溶融物を内部に小さい穴が開いたスピナー(spinner)という回転装置に滴下させ、遠心力を用いて繊維を生産するロータリー工程によって、ガラス繊維を製造した。その後、得られたガラス繊維の物性を次のような方法で測定した。その結果を下記表2および表3に示す。
1.溶解速度定数(Kdis
前記実験例および比較実験例によって製造された繊維の体液に対する溶解度を評価するために、次のような方法で人工体液の溶解速度定数を求めた。ガラス繊維の体内生溶解性は人工体液に対する繊維の溶解度を基準として評価するが、前記溶解度を基準とした体内残留時間を比較した後、次の数式1を用いて溶解速度定数(Kdis)を計算した。その結果を下記表1および表2に示す。
Figure 0005890515
式中、dは初期平均繊維径、ρは繊維の初期密度、Mは初期繊維の質量、Mは溶解して残った繊維の質量、tは実験時間をそれぞれ示す。
繊維の溶解速度を測定するために使用した人工体液(Gamble溶液)1Lに入っている組成成分の含量(g)を下記表1に示す。
Figure 0005890515
前記実験例および比較実験例のガラス繊維を、プラスチックフィルター支持台で固定された0.2μmのポリカーボネートメンブランフィルター(polycarbonate membrane filter)の薄い層の間に置き、前記人工体液を前記フィルターで濾過して溶解速度を測定した。実験が行われる間、継続的に人工体液の温度を37℃、流量を135mL/日に調節し、HClを用いてpHを4.5±0.1に維持した。長期間にわたっての繊維の溶解度を正確に測定するために、繊維を21日間浸出(leaching)させながら、特定の間隔(1、4、7、11、14、21日)で濾過した人工体液を誘導結合プラズマ分光分析法(ICP、Inductively Coupled Plasma Spectrometer)を用いて、溶解したイオンを分析した後、その結果を用いて前記数式1で溶解速度定数(Kdis)を求めた。
2.熱間荷重温度
一定規格のミネラルウールパッドを加熱容器に入れ、その上に単位cm当たりの質量が5gとなるように調整した荷重板および測定棒を設置し、室温にて測定棒の先端の高さをスケールで読み取って記録する。次に加熱炉を加熱し、熱電対によって炉内温度を測定する。熱電対の位置は、垂直方向では加熱容器の中央部、水平方向では加熱容器の外面から20mm離れたところとする。加熱、昇温速度は、試料の熱間収縮温度の仮定値から約200℃低い温度までは約5℃/分とし、その後は約3℃/分とする。加熱開始から10分間隔で炉内温度および測定棒の先端の高さを測定して記録する。試料の熱間収縮温度の仮定値近くではこれを3分間隔で測定する。熱膨張による測定棒自体の伸長を補正するために、予め炉内温度に対する測定棒の伸長を測定して補正曲線を作成し、これに基づいて測定棒の先端位置を補正する。
厚さ収縮率は下記数式2を用いて求める。
Figure 0005890515
A:常温で荷重板および測定棒を載置したときの試料の厚さ(mm)
B:加熱中の試料の厚さ(mm)
測定された厚さ収縮率が10%となる温度を測定して熱間荷重温度を求める。
3.熱間線収縮率
(1)Slow heating method
ミネラルウール繊維の熱間線収縮率を測定するために、繊維をパッド(pad)形態の試片に製造した後、これを実験に使用した。まず、繊維220gを0.2%の澱粉溶液で十分に解繊した後、300・300nmの鋳型に鋳込み、解繊された繊維を揃えて面偏差を少なくした後、鋳型の底部から排水することにより、パッドを製造した。前記パッドを100℃のオーブンで24時間以上、十分に乾燥させた後、100×100×25mmのサイズに切断して試片を製造し、白金またはセラミックなどの十分な耐熱性を有する材料を用いて測定点を表示した後、ノギス(vernier calipers)を用いて測定点間の距離を綿密に測定し、しかる後に、前記パッドを炉(furnace)に位置させて1000℃で24時間それぞれ加熱した後、ゆっくり冷却させた。前記冷却した試片の測定点間の距離を測定して熱処理前後の測定結果を比較した。下記数式3を用いて線収縮率を計算した。
Figure 0005890515
ここで、lは試験片マーク間の最初の距離(mm)を示し、lは加熱後の試験片マーク間の長さ(mm)を示す。
(2)Hot Surface method
ミネラルウール繊維の熱間線収縮率を測定するために、繊維をパッド(Pad)形態の試片に製造した後、実験に使用した。まず、繊維220gを0.2%の澱粉溶液で十分に解繊した後、300・300mmの鋳型に鋳込み、解繊された繊維を揃えて面偏差を少なくした後、鋳型の底部から排水することにより、パッドを製造した。前記パッドを100℃のオーブンで24時間以上、十分に乾燥させた後、100×100×25mmのサイズに切断して試片を製造し、白金またはセラミックなどの十分な耐熱性を有する材料を用いて測定点を表示した後、ノギスを用いて測定点間の距離を綿密に測定し、しかる後に、前記パッドを、1000℃で加熱された炉(furnace)に位置させて1時間それぞれ加熱した後、常温で冷却させた。前記冷却した試片の測定点間の距離を測定して熱処理前後の測定結果を比較した。上記数式3を用いて線収縮率を計算した。
4.耐水性(%)
DGG重量減量方法を使用した。この方法は10g程度のガラス(360〜400μm)を100mLの蒸留水で5時間沸騰させ、急速冷却させて濾過(filtering)した後、濾液を150℃で乾燥させ、減量した重量を測定して百分率で表す方法である。
5.液相温度(Liquidus temperature、℃)
液相温度はガラス内の結晶が生成できる最大温度として定義でき、ASTM C829−81に準拠して測定した。
6.繊維延伸粘度温度(logη3.0、℃)
繊維延伸粘度温度は、ガラス溶融物の粘度が大略1000poiseとなる温度を測定することにより得られる。この温度近くで繊維化作業が行われる。
Figure 0005890515
Figure 0005890515
前記表2の実験例1〜6に示すように、本発明の組成領域では、酸化アルミニウムの含量が高い理由などによりKIの値が20以下と低いものの、溶解速度定数値が300ng/cm・hr以上、具体的に溶解速度定数値が305〜417ng/cm・hrの値を示しているから、生溶解度に優れることが分かる。これは、KIの値が30以上になれば生溶解性に優れるという常識の崩壊を意味する。
比較実験例1の場合は、SiOの含量がやや高く、MgOの含量が低くて生溶解性が相対的に劣ることが分かる。
また、比較実験例2の場合は、高いSiOの含量と、相対的に溶解速度定数値に役立つCaOなどの含量減少により比較的低い溶解速度定数値を示し、高いSiO含量により繊維延伸粘度温度が高くなることが分かる。これは低い繊維延伸粘度温度によりスピナーの寿命を延長することができるうえ、繊維生産工程中に問題とされる結晶の析出可能性を低くして安定な繊維生産を行うことができるようにするという観点から、欠点として作用する。
比較実験例3および4は、SiOおよびAlの含量が低いミネラルウール繊維組成物であって、溶解速度定数値は比較的高い値を持っているものの、ROおよびROの高含量により耐水性が低下し、原材料費上昇の原因となる。
比較実験例5は、Alの含量が23.42質量%であって、含量が大幅に高くなって溶解度が急激に悪くなることが分かる。また、繊維延伸粘度温度(logη3.0)と液相温度との差が80℃未満、すなわち8℃であって、ガラス組成物がスピナー内で結晶化するなど、繊維工程に悪影響を及ぼすおそれがある。
比較実験例6は、Feの含量が少なく、ROの含量が5質量%を超過する特殊条件により、溶解度が急激に悪くなるものと推測される。
比較実験例7は、ミネラルウール繊維組成物におけるRO/Al>0.5以上となって耐水性が急激に低下することが分かる。
本発明に係るミネラルウール繊維組成物は、各酸化物の含量を適切に変化させることで物性には大きな変化を与えないものの、生溶解性および耐水性に優れる繊維を製造することができ、繊維延伸粘度温度(logη3.0)と液相温度も低いという特性を示しており、繊維化温度領域でlogη3.0と液相温度との差も80℃以上であって、繊維化の際にスピナーの結晶化生成など工程上の問題なしに安定的な繊維生産が可能である。
上述した実施例に説明された特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一実施例にのみ限定されるものではない。ひいては、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは実施例が属する分野における通常の知識を有する者によって別の実施例に対しても組み合わせまたは変形がなされて実施可能である。したがって、それらの組み合わせおよび変形に関する内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
本発明に係る生溶解性ミネラルウール繊維組成物およびこれを用いて製造された生溶解性ミネラルウール繊維は、組成の改質および最適化によって人工体液に対する生溶解度が著しく向上して人体の肺への吸入の際にも容易に溶解、除去できるため、人体に対する有害性を大幅に減少させることができるうえ、優れた耐水性を持っており、既存のロータリー(Rotary)工程に適用可能であるという利点を持っており、原料コストの節減および省エネルギーが可能であって産業的に有用である。

Claims (7)

  1. 組成物の総質量に対して、SiO30〜45質量%、Al 15〜22質量%、酸化鉄(FeOおよびFeの少なくとも1種を含む)8〜12質量%、CaO20.5〜30質量%、MgO5〜15質量%、RO(NaOおよびKOのうち少なくとも1種を含む)0.1〜5質量%を含み、
    前記組成物の総質量に対して、SiOおよびAlの合計含有量が45〜60質量%、CaO、MgO、NaOおよびKOの合計含有量が29.2〜40質量%であり、
    人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm ・hr以上である生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  2. 前記組成物の総質量に対して、Al17〜20質量%、およびRO(NaOおよびKOの少なくとも1種を含む)1〜2質量%を含む、請求項1に記載の生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  3. O(NaOおよびKOの少なくとも1種を含む)/Al質量比が0.5未満である、請求項1に記載の生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  4. 繊維延伸粘度温度と液相温度との差が80℃以上である、請求項1に記載の生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  5. 耐水性が0.8%以下である、請求項1に記載の生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  6. 組成物の総質量に対して、SiO30〜45質量%、Al 15〜22質量%、酸化鉄(FeOおよびFeの少なくとも1種を含む)8〜12質量%、CaO20.5〜30質量%、MgO5〜15質量%、RO(NaOおよびKOのうち少なくとも1種を含む)0.1〜5質量%を含む生溶解性ミネラルウール繊維組成物であって、
    前記組成物の総質量に対して、SiOおよびAlの合計含有量が45〜60質量%、CaO、MgO、NaOおよびKOの合計含有量が29.2〜40質量%であり、
    式[(NaO+KO+CaO+MgO)−2×Al]の値(質量%で計算する)が20以下であり、人工体液に対する溶解速度定数が300ng/cm・hr以上である、生溶解性ミネラルウール繊維組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の生溶解性ミネラルウール繊維組成物からなる生溶解性ミネラルウール繊維。
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