JP5892009B2 - コイル装置及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、コイル装置及びその製造方法に関する。
ソレノイドの一部を構成するコイル装置は、ボビンに巻き線を巻装してなるコイルが、ヨーク(固定鉄心)に嵌装された構造となっている。ここで油浸型のソレノイドでは、コイルの回りに合成樹脂製の外装体をモールド成形したモールドコイルが適用される。
従来このモールドコイルの一例として、下記特許文献1に示すように、浮き成形によってコイル(ボビン)の回りの全面を外装体が継ぎ目無く覆った構造のものが知られており、シール性に優れるとして実績がある。
特開2002−28950号公報
ところで上記した浮き成形は、成形終盤まではピンでボビンをキャビティ内に保持し、終盤になるとピンを後退させて樹脂中に浮いた状態で保持するのであるから、引き続く樹脂の射出圧を受けてボビンが傾くおそれがある。そのため、ある程度傾いてもボビンが露出しないように、モールドされる外装体を肉厚に設定する必要があるが、そうするとモールドコイルが大型化し、ヨークを含めたコイル装置全体が大型化して、搭載スペースの拡大や、重量増に繋がるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、シール性を確保した上で小型化を実現したコイル装置を提供するところにある。
本発明のコイル装置は、ボビンに巻き線を巻装してなるコイルの回りの全面に合成樹脂製の外装体が形成されたモールドコイルと、このモールドコイルが一側面側から嵌装される環形溝状をなすヨークとが具備されたコイル装置であって、前記ボビンの内周面には、同ボビンの前記内周面を覆って形成された前記外装体の内周部の厚さよりも大きい高さ寸法を有し、かつ前記内周部からの突出部分が切除可能な被挟持部が突出形成されているとともに、前記外装体の前記内周部における前記被挟持部を挟んだ軸方向の前後2箇所には、前記ヨークの対向した内周壁との間で弾縮されるシールリングが装着されているところに特徴を有する。
本発明のコイル装置の製造方法は、ボビンに巻き線を巻装したコイルの回りに合成樹脂製の外装体がモールド成形により形成されたモールドコイルが、一側面に開口した環形溝状をなすヨークに嵌着されてなるコイル装置の製造方法であって、前記コイルを、一対の成形型の型閉じに伴い前記ボビンの内周面に予め突出形成された被挟持部を挟持しつつキャビティ内に保持する工程と、前記キャビティ内に合成樹脂を注入して外装体を形成したのち型開きに伴い成形品を型外に取り出す工程と、成形品のうち前記被挟持部の前記外装体から突出した部分を切除して前記モールドコイルを形成する工程と、このモールドコイルを、残された前記被挟持部の軸方向の前後2箇所でシールリングによりシールしつつ前記ヨークに嵌着する工程と、が具備されたところに特徴を有する。
本発明によれば、コイルは、ボビンの内周面に予め突出形成された被挟持部を挟持されつつ、成形型のキャビティ内に実質的に浮動状態で支持され、この状態からキャビティ内に溶融樹脂を注入して樹脂が硬化したところで型開きすると、コイルの回りの全面に亘って外装体が形成され、かつ外装体の内周部から被挟持部の先端が突出した成形品が取り出される。続いて成形品のうち、被挟持部における外装体の内周部から突出した部分を切除することによりモールドコイルが得られる。このモールドコイルが、外装体の内周部における残った被挟持部の軸方向の前後2箇所がシールリングにより全周に亘ってシールされつつヨークに嵌着されることで、コイル装置が組み付けられる。
コイルの回りの全面に外装体を形成するに当たり、ボビンの内周面に突出した被挟持部を両成形型で挟むようにしたから、コイルをキャビティ内に浮動状態に支持するについても強固に定位置に保持できる。そのため、キャビティの容積を徒に大きく、すなわち外装体を徒に肉厚とする必要がない。被挟持部の突出部分を切除することでモールドコイルが得られるが、上記のように外装体を薄肉にできることで小型化が図られる。
同モールドコイルはヨークに嵌着され、このとき外装体の内周部において残った被挟持部との界面から浸水するおそれがあるが、同界面が存在する位置の軸方向の前後2箇所がシールリングによって全周に亘ってシールされているから、同界面からコイル側に浸水することが防止される。
すなわち、シール性を確保した上でモールドコイルの小型化が実現でき、ヨークを含めたコイル装置全体が小型化できて、搭載スペースの縮小や、重量減等を図ることができる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記被挟持部が、前記ボビンの中心を指向した複数の突起が周方向に沿って点在して形成されることで構成されている。被挟持部の突出部分の切除処理を容易に行うことができる。
(2)前記被挟持部は、全周に亘る突条の形態で形成されている。成形型内でのコイルの保持をより強固に行うことができる。
本発明によれば、シール性を確保した上で小型化を実現したコイル装置を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るコイルを成形型内にセットした状態の断面図 可動型側の平面図 モールド成形時の断面図 モールド成形による成形品の正面図 同断面図 モールドコイルの正面図 モールドコイルをヨークに組み付ける動作を示す断面図 組み付け完了時の断面図 図8の部分拡大図
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図9に基づいて説明する。
この実施形態のコイル装置は、図7に示すように、モールドコイル10とヨーク40(固定鉄心)とから構成されている。それに加え、2本のシールリング50と、Cリング52が備えられている。
モールドコイル10は、合成樹脂製のボビン12に銅線からなる巻き線13が巻き付けられてコイル11が形成され、このコイル11の回りに合成樹脂製の外装体20がモールド成形により形成されて、図6にも示すように、全体として環形に形成されている。なお、外装体20の一側面における外周の一部からは、巻き線13に接続された一対の接続端子15を並べて埋設した接続部23が突設されている。
外装体20のモールド成形について説明する。図1及び図2に示すように、コイル11を構成するボビン12の内周面には、中央幅位置において、被挟持部を構成する4個の突起16が、90度間隔を開けて周方向に沿って形成されている。突起16は詳細には、図3に参照して示すように、外装体20における内周部21の厚さの2倍強の高さを有する角柱状をなし、かつ当該ボビン12の中心を指向して形成されている。
一方、成形型Kとしては、図1に示すように、対をなす固定型60Aと可動型60Bとを備えている。なお固定型60Aには、外装体20の接続部23を成形するべく分割型が備えられているが、これについては図示を割愛する。
可動型60Bの接合面には、図2にも示すように、上記したコイル11よりも一回り大きい環形溝61が形成され、型閉じした場合に、外装体20を形成するべくキャビティ62が構成されるようになっている。この環形溝61の内周側には、上記したボビン12の内周面に突設された突起16を緊密に挿入可能な4個の挿入溝63が、接合面から環形溝61の略半分の深さ位置まで切り込み形成されている。
これに対して、固定型60Aの接合面には、上記した可動型60Bの接合面に穿設された挿入溝63と対向した位置ごとに、型閉じした場合に挿入溝63内に緊密に進入して突起16を挟持可能な挟持ピン64が突設されている。
なお、可動型60Bの接合面には十字形をなすランナー65が形成され、各先端のゲート66が、挿入溝63の形成位置と45度位相をずらした位置において環形溝61に臨んでいる。固定型60Aには、ランナー65の中心と連通するスプルー68が形成されている。
外装体20の成形手順を説明する。型開きした状態において、コイル11が可動型60Bに対してセットされ、詳細には図2に示すように、4個の突起16が挿入溝63に挿入されつつ、コイル11が環形溝61内にクリアランスを持って嵌合される。続いて図1に示すように型閉じされると、固定型60Aの挟持ピン64が挿入溝63に進入して、突起16が挿入溝63の溝底との間で挟持され、コイル11はキャビティ62内で実質的に浮動状態で支持される。
この状態から、スプルー68、ランナー65及び各ゲート66を通して溶融樹脂がキャビティ62内に注入され、所定時間経過して樹脂が硬化したところで型開きされて、成形品10Xが型外に取り出される。この成形品10Xの構造は、図4及び図5に示すように、コイル11の回りの全面に亘って外装体20が形成され、かつ外装体20の内周部21から突起16の先端(挟持された部分)が突出した構造である。
この成形品10Xは成形型Kから取り出されたのち、各突起16における外装体20の内周部21から突出した先端が当該内周部21の内面と面一となるように切除される。これにより、図6及び図7に示すように、モールドコイル11が完成される。言い換えるとこのモールドコイル11では、外装体20の内周部21の内面のほぼ中央幅位置における等角度(90度)間隔を開けた4箇所において、切除後の突起16Cの切除端が同内面と面一の状態で露出している。
ヨーク40は、図7に示すように、完成品としてのモールドコイル10を一側面側から緊密に嵌合可能な環形溝状に形成されている。ヨーク40の嵌合溝41の深さは、図8に参照して示すように、モールドコイル11の幅よりも所定寸法大きくなるように設定されている。
一方、ヨーク40における内周壁43の溝面44(外装体20の内周部21との対向周面)には、モールドコイル10がヨーク40の嵌合溝41の奥まで正規に嵌合された場合における、外装体20の内周部21の内面に露出した突起16Cの切除端面と対応する位置を挟んだ軸方向の前後両側に、シールリング50が嵌着される装着溝45が全周に亘って形成されている。
また、ヨーク40の内周壁43の溝面44における開放端側、詳細には、同じくモールドコイル10がヨーク40の嵌合溝41の奥まで正規に嵌合された場合における、外装体20の嵌合方向後方の側面の直後に対応する位置に、モールドコイル11を抜け止めするべくCリング52を嵌着するための取付溝47が、全周に亘って形成されている。
本実施形態に係るコイル装置の組み付け手順の一例を改めて説明する。
上記に詳述したように、コイル11を構成するボビン12の内周面には予め突起16が突出形成されている。モールドコイル11を形成するには、上記の突起16を挟持しつつコイル11を成形型Kのキャビティ62内に実質的に浮動状態で支持し、キャビティ62内に溶融樹脂を注入してモールド成形したのち型開きすると、コイル11の回りの全面に亘って外装体20が形成され、かつ外装体20の内周部21から突起16の先端が突出した成形品10Xが取り出される。この成形品10Xのうち、突起16における外装体20の内周部21から突出した部分を切除することによりモールドコイル11が得られる。
一方、図7に示すように、ヨーク40の内周壁43の溝面44に形成された2条の装着溝45に対してそれぞれシールリング50が嵌着される。そして上記のように形成されたモールドコイル11が、同図の矢線に示すように、ヨーク40の嵌合溝41内に嵌合され、奥まで嵌合されたところで、図8に示すように、取付溝47にCリング52を嵌着することによってモールドコイル11が抜け止めされ、コイル装置の組み付けが完了する。このとき、図9に詳細に示すように、外装体20の内周部21において残った突起16Cの埋設位置を挟んだ軸方向の前後2箇所において、シールリング50が、外装体20の内周部21の内面と装着溝45の溝底との間で全周に亘って弾縮されることでシールされた状態となる。
本実施形態のコイル装置によれば、コイル11の回りの全面が外装体20で覆われたモールドコイル11を形成するに当たり、ボビン12の内周面に突出した突起16を両成形型60A,60Bで挟むようにしたから、コイル11をキャビティ62内に浮動状態に支持するについても強固に定位置に保持できる。そのため、キャビティ62の容積を徒に大きく、すなわち外装体20を徒に肉厚とする必要がない。突起16の突出部分を切除することでモールドコイル11が得られるが、上記のように外装体20を薄肉にできることで小型化が図られる。
モールドコイル11はヨーク40に嵌着され、このとき外装体20の内周部21において残った突起16Cとの界面17から浸水するおそれがあるが、同界面17が存在する位置の軸方向の前後2箇所がシールリング50によって全周に亘ってシールされているから、同界面17からコイル11側に浸水することが防止される。
すなわち、シール性を確保した上でモールドコイル11の小型化が実現でき、ヨーク40を含めたコイル装置全体が小型化できて、搭載スペースの縮小や、重量減等を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ボビンの内周に設ける被挟持部を、4個の突起が等角度間隔で配されることで構成した場合を例示したが、同突起の数は3個以上任意である。
(2)また上記の被挟持部を、全周に亘る突条の形態で形成してもよく、この場合は、成形型で挟む領域を広く取れることで、成形型内でのコイルの保持をより強固に行うことができる。
(3)上記実施形態では、モールドコイルを抜け止めする止め具としてCリングを例示したが、これに限らず、バヨネット形式で装着される止め輪等の他の止め具を用いてもよい。また、他の形式の抜け止め手段を適用してもよい。
10…モールドコイル
11…コイル
12…ボビン
13…巻き線
16…突起(被挟持部)
16C…(切除後の)突起
17…界面
20…外装体
21…内周部
40…ヨーク
43…内周壁
44…溝面
45…装着溝
50…シールリング
60A…固定型
60B…可動型
62…キャビティ
63…挿入溝
64…挟持ピン
K…成形型

Claims (4)

  1. ボビンに巻き線を巻装してなるコイルの回りの全面に合成樹脂製の外装体が形成されたモールドコイルと、このモールドコイルが一側面側から嵌装される環形溝状をなすヨークとが具備されたコイル装置であって、
    前記ボビンの内周面には、同ボビンの前記内周面を覆って形成された前記外装体の内周部の厚さよりも大きい高さ寸法を有し、かつ前記内周部からの突出部分が切除可能な被挟持部が突出形成されているとともに、
    前記外装体の前記内周部における前記被挟持部を挟んだ軸方向の前後2箇所には、前記ヨークの対向した内周壁との間で弾縮されるシールリングが装着されていることを特徴とするコイル装置。
  2. 前記被挟持部が、前記ボビンの中心を指向した複数の突起が周方向に沿って点在して形成されることで構成されていることを特徴とする請求項1記載のコイル装置。
  3. 前記被挟持部は、全周に亘る突条の形態で形成されていることを特徴とする請求項1記載のコイル装置。
  4. ボビンに巻き線を巻装したコイルの回りに合成樹脂製の外装体がモールド成形により形成されたモールドコイルが、一側面に開口した環形溝状をなすヨークに嵌着されてなるコイル装置の製造方法であって、
    前記コイルを、一対の成形型の型閉じに伴い前記ボビンの内周面に予め突出形成された被挟持部を挟持しつつキャビティ内に保持する工程と、
    前記キャビティ内に合成樹脂を注入して外装体を形成したのち型開きに伴い成形品を型外に取り出す工程と、
    成形品のうち前記被挟持部の前記外装体から突出した部分を切除して前記モールドコイルを形成する工程と、
    このモールドコイルを、残された前記被挟持部の軸方向の前後2箇所でシールリングによりシールしつつ前記ヨークに嵌着する工程と、
    が具備されたことを特徴とするコイル装置の製造方法。
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