JP5896111B2 - 紫外線硬化型インクを用いた記録方法及び記録装置 - Google Patents

紫外線硬化型インクを用いた記録方法及び記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、紫外線硬化型インクを用いた記録方法及び記録装置に関する。
従来、見た目を美しくする目的で、調光インテリアデザインやラベル下地などに白色インクが用いられている。有色の被印刷媒体上に印刷する場合に、下地として白を印刷することがある。また、透明の被印刷媒体の裏面に印刷し、当該被印刷媒体を通して画像を見るような場合の下地として白を印刷することがある。これらの場合に、裏が透けないようにするため、白色色材としては、酸化チタンなどの粒径の大きな白色顔料を分散させたものが用いられる。しかし、このような白色顔料の比重や粒径は非常に大きいため、保存安定性や吐出安定性の良好なインクを得るのが困難である。そこで、この困難さを克服するため、種々の取り組みがなされている。
例えば、特許文献1は、可視光領域波長400〜800nmの平均透過率が0.5%以下であり、波長範囲190〜400nmの平均透過率が可視光領域のそれよりも高い白インク塗膜を、透明の被印刷媒体上に形成することにより、視認性に優れ、かつ、白インク塗膜にカラーインクを印刷した際にカラーブリードが生じない旨を開示している。
例えば、特許文献2は、ノズルの傾斜を制御し、かつ、白色有機顔料を使用することで沈降を防止するという、隠蔽性及び硬化性を良好にするインクジェット装置を開示している。
例えば、特許文献3は、紫外線硬化型クリアインクに低沸点溶剤を配合した、保存安定性や吐出安定性の良好な紫外線硬化型インクジェット記録用組成物を印刷に用いることで、硬化中に低沸点溶剤が蒸発して多孔質塗膜が形成するためインク膜の隠蔽性が良好になる旨を開示している。
特開2007−161847号公報 特開2008−1072号公報 特開2005−298757号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたインクの塗膜はいずれも、記録物における埋まり性及び隠蔽性の点で改善の余地がある。
そこで、本発明は、記録物における埋まり性及び隠蔽性に優れた紫外線硬化型インクを用いた記録方法を提供することを目的の一つとする。
上記課題を解決するため、本願発明者らは鋭意検討を行った結果、ヘッドから、少なくとも顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する工程と、当該被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、上記紫外線硬化型インクを硬化させる工程と、を少なくとも含む単位記録動作を複数回行うに際して、当該被印刷媒体の当該ヘッドと対向する領域に、表面粗さ(Rq)が所定範囲である硬化物を形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
ヘッドから、少なくとも白色顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する工程と、前記被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インクを硬化させる工程と、を少なくとも含む単位記録動作を複数回行い、前記被印刷媒体における前記ヘッドと対向する領域に、表面粗さ(Rq)が1.5〜5.0μmであり、前記紫外線硬化型インクが硬化した硬化物を形成することを含む、紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[2]
1回の前記単位記録動作において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の単位記録動作を行うことで1つのラスタラインを形成するものであるか、あるいは1回の前記単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在するものであるか、のうち少なくとも何れかである、[1]に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[3]
1回の前記単位記録動作において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の単位記録動作を行うことで1つのラスタラインを形成し、かつ、1回の前記単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在する、[1]に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[4]
前記紫外線硬化型インクが白インクである、[1]〜[3]のいずれかに記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[5]
ドット形成を行う画素に、1つの画素に対して単位記録動作を複数回行うことによりドットの形成を行う画素を有する、[2]又は[3]に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[6]
各々の前記単位記録動作において付着し硬化した紫外線硬化型インクの転化率が20〜90%の範囲である、[1]〜[5]のいずれかに記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[7]
前記紫外線硬化型インクが前記白色顔料として酸化チタンを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[8]
前記酸化チタンの平均粒子径D50が150〜500nmの範囲にある、[7]に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[9]
前記酸化チタンの含有量は、前記紫外線硬化型インクの総質量に対して10〜30質量%である、[7]又は[8]に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[10]
被印刷媒体への前記紫外線硬化型インクの付着量が5〜16mg/インチ2である、[1]〜[9]のいずれかに記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
[11]
ヘッドから、少なくとも白色顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する手段と、前記被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インクを硬化させる手段と、からなる単位記録動作が複数回行われ、前記被印刷媒体における前記ヘッドと対向する領域に、表面粗さ(Rq)が1.5〜5.0μmであり、前記紫外線硬化型インクが硬化した硬化物が形成されるものである、紫外線硬化型インクを用いた記録装置。
プリンター1の全体構成を示すブロック図である。 プリンター1のヘッド31周辺の概略図である。 図3A及び図3Bは、プリンター1の横断面図である。 本発明の実施形態におけるオーバーラップ印刷を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本明細書において、「単位記録動作」とは、被印刷媒体の全体に亘る1回の画像を形成する動作を意味し、以下ではパス又は主走査とも言う。なお、n回目のパスを「パスn」と称することとする。「画像の印刷」は、被印刷媒体の全体に亘る1回以上の単位記録動作を意味する。「ヘッドの走査」は、画像の形成において、ヘッドを被印刷媒体に対して相対的に所定方向に沿って移動させながらインクの吐出を行う1回の動作を意味する。
また、本明細書において、「画素」とは、記録解像度に対応した最小記録単位領域を意味する。「ラスタライン」とは、主走査方向に画素が1列に並んでなる列(ドット列)を意味する。
また、本明細書において、「転化率」とは、紫外線硬化型インクに含まれる重合性化合物が硬化物へ転化する率を意味し、紫外線照射によるインクの硬化度と換言することができる。本明細書における転化率は、リアルタイム測定可能な赤外分光光度計(NEXUS470、サーモ・ニコレー社(Thermo Nicolet Corp.)製)を用いて測定された値とする。
また、本明細書において、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、ドットのブリードや混色を防止するために、本硬化の前に硬化させることを言い、一般に、仮硬化における転化率は仮硬化の後で行う本硬化による転化率よりも低い。「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。本明細書では、本硬化させるのに必要なエネルギーを照射エネルギーということとする。
また、本明細書において、「表面粗さ」とは、JIS B0601を基に定義した表面粗さ、すなわちRq値(二乗平方根高さ)を意味する。ここで、JIS B0601は、ISO 4287に対応し、「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」(Geometrical Product Specifications (GPS) −Surface texture : Profile method−Terms, definitions and surface texture parameters)という名称で表される規格である。このうち、二乗平均平方根高さ(Rq)は、基準長さにおける二乗平均平方根を表したものであり、表面粗さの標準偏差を意味する。
また、本明細書において、「記録物」とは、被印刷媒体上にインクが記録されて硬化物が形成されたものをいう。なお、本明細書における硬化物は、硬化膜(塗膜)を含む、硬化された物質を意味する。
また、本明細書において、「硬化性」とは、光に感応して硬化する性質をいう。「埋まり性」とは、充填性とも言い、記録物を硬化物(画像)が形成された側から見たときに、下地である被印刷媒体が見えない性質をいう。「隠蔽性」とは、インクが記録されて形成された硬化物が波長400〜800nmの光を透過しにくい性質をいう。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
[紫外線硬化型インクを用いた記録方法]
本発明の第1実施形態は、紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」とも言う。)を用いた記録方法に係る。以下、当該記録方法を実施するための記録装置(プリンター)について詳細に説明する。
〔記録装置構成〕
図1は、プリンター1の構成を示すブロック図である。図2は、プリンター1のヘッド周辺の概略図である。図3A及び図3Bは、プリンター1の横断面図である。図3Aは図2のA−A断面に相当し、図3Bは図2のB−B断面に相当する。
本実施形態のプリンター1は、紙などの被印刷媒体(以下、単に「媒体」とも言う。)に向けて、紫外線(UV)の照射により硬化する紫外線硬化型インクを吐出することで、媒体に画像を印刷する装置である。ここで、本実施形態のプリンター1は、様々な色のインクを用いて画像を印刷することができ、例えば、CMYKの4色のインクを用いて画像を印刷したり、白色のインクを用いて媒体に優れた隠蔽性を付与する下地を形成したりすることが挙げられる。
プリンター1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット10は、紙などの媒体を所定の方向(以下、「搬送方向」又は「副走査方向」と言う。)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット10は、給紙ローラー11と、搬送モーター(不図示)と、搬送ローラー13と、プラテン14と、排紙ローラー15と、を有する。給紙ローラー11は、紙挿入口に挿入された媒体をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー13は、給紙ローラー11によって給紙された媒体を印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーターによって駆動される。プラテン14は、印刷中の媒体を支持する。排紙ローラー15は、媒体をプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット20は、ヘッド31を、印刷領域に静止させた媒体に対して、インクを吐出しながら上記搬送方向(副走査方向)と交差する方向(以下、「移動方向」又は「主走査方向」と言う。)に移動、即ち走査させる移動機構である。キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター(不図示)と、を有する。また、キャリッジ21は、紫外線硬化型インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。そして、キャリッジ21は、後述する搬送方向と交差したガイド軸24に支持された状態で、キャリッジモーターによりガイド軸24に沿って往復移動する。
ヘッドユニット30は、媒体に対して、紫外線硬化型インクを吐出するためのものである。ヘッドユニット30は、複数のノズルを有するヘッド31を備える。このヘッド31はキャリッジ21に設けられているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、ヘッド31も移動方向に移動する。そして、ヘッド31が移動方向に移動中に紫外線硬化型インクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が媒体に形成される。
なお、ヘッド31の移動において、図2の一端側から他端側に向かって移動する間に紫外線硬化型インクの吐出が行われるが、他端側から一端側に移動する間には紫外線硬化型インクの吐出は行われない。
照射ユニット40は、媒体に付着(着弾)した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、当該紫外線硬化型インクを硬化させるものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット40からから紫外線を照射されることにより、硬化して硬化物を形成する。本実施形態の照射ユニット40は、ヘッドユニット30の搬送方向下流側に仮硬化用照射部42a,42bと本硬化用照射部43とを備えている。
なお、キャリッジユニット20及びヘッドユニット30と照射ユニット40とによる1回の主走査で、1回の単位記録動作を実現するものであり、本実施形態ではこの単位記録動作が複数回行われる。
検出器群50には、リニア式エンコーダー(不図示)、ロータリー式エンコーダー(不図示)、紙検出センサー53、及び光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダーは、キャリッジ21の移動方向の位置を検出するものである。ロータリー式エンコーダーは、搬送ローラー13の回転量を検出するものである。紙検出センサー53は、給紙中の紙(媒体)の先端の位置を検出するものである。光学センサー54は、キャリッジ21に取付けられている発光部と受光部により、媒体の有無を検出するものである。そして、光学センサー54は、キャリッジ21によって移動しながら媒体の端部の位置を検出し、媒体の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、媒体の先端(搬送方向下流側の端部であって上端とも言う。)や後端(搬送方向上流側の端部であって下端とも言う。)も検出できる。
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
印刷を行うとき、コントローラー60は、後述するように移動方向に移動中のヘッド31から紫外線硬化型インクを吐出させるドット形成動作と、搬送方向に紙を搬送する搬送動作と、を交互に繰り返し、複数のドットから構成される画像を紙に印刷する。
このように、上記の紫外線硬化型インクを用いた記録装置は、媒体のヘッド31と対向する領域に硬化物を形成するものである。このとき、当該硬化物の表面粗さ(Rq)が1.5〜5.0であることにより、記録物における埋まり性及び隠蔽性を優れたものとすることができる。また、埋まり性及び隠蔽性をさらに優れたものとするため、表面粗さ(Rq)は、1.5〜5.0が好ましく、1.5〜4.5がより好ましく、2.0〜4.5がさらに好ましい。
なお、上記好ましい範囲の表面粗さ(Rq)は、パス数(主走査回数)、打ち込み量、顔料(種類、含有量、平均粒子径)、記録解像度、及びヘッドのノズル密度などを後述する所定の範囲とすることにより実現されることが、本発明者らにより見出された。
〔印刷動作〕
本実施形態の記録方法は、ヘッドから、少なくとも顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する工程(以下、単に「吐出工程」とも言う。)と、当該被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、上記紫外線硬化型インクを硬化させる工程(以下、単に「硬化工程」とも言う。)と、を少なくとも含む単位記録動作(工程)を複数回行うことを特徴とする。より具体的に言えば、上記記録方法は、当該単位記録動作(工程)と、被印刷媒体を搬送する搬送動作(搬送工程)と、を交互に行うことにより印刷を行うものである。そのため、印刷時に、被印刷媒体は搬送されず、印刷領域に位置するプラテン14に保持された状態となっている。このようにして、被印刷媒体におけるヘッドと対向する領域に上述の所望の表面粗さを有する硬化物を形成することができる。以下では、まず、本実施形態の記録方法における単位記録動作について詳細に説明する。
(吐出工程)
吐出工程において、ヘッドから被印刷媒体に向けてインクが吐出され、このインクが被印刷媒体上に付着(着弾)する。被印刷媒体への、吐出時における単位面積当たりのインクの付着量(打ち込み量)は、埋まり性及び隠蔽性を優れたものとし、かつ、インクの無駄な使用を防止するため、5〜16mg/インチが好ましく、7〜14mg/インチがより好ましい。
また、単位面積当たりのインクの付着量(打ち込み量)は、記録解像度と、記録解像度で規定される記録単位領域(画素)当たりに打ち込むインク量と、によって変わるが、記録解像度(印刷解像度)を「副走査方向の解像度×副走査方向と交差する方向(主走査方向)の解像度」で表すと、300dpi×300dpi〜1500dpi×1500dpiが好ましい。そして、この記録解像度に応じて、ヘッドのノズル密度及び打ち込み量を調整することが好ましい。
なお、画素当たりのインクの打ち込み量は、2〜200ng/画素が好ましく、3〜160ng/画素がより好ましい。また、ノズル密度(ノズル列におけるノズル間距離)は、180〜720dpiが好ましく、300〜720dpiがより好ましい。
吐出時におけるインクの粘度は、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましい。インクの粘度が、インクの温度を室温として、あるいは、インクを加熱しない状態として上記のものであれば、インクの温度を室温として、あるいはインクを加熱せずに吐出させればよい。その際、吐出時のインクの温度は25℃であることが好ましい。一方、インクを所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。インクを加熱する場合の加熱温度は50℃以下であるとよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
なお、本実施形態で用いられる紫外線硬化型インクは、通常の水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。このようなインクの粘度変動は、ドットサイズの変化及びドット吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
(硬化工程)
硬化工程においては、被印刷媒体上に吐出され付着した紫外線硬化型インクが、紫外線(光)の照射によって硬化する。これは、インクに含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、(光)重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
また、各々の単位記録動作において付着し硬化した紫外線硬化型インクの転化率は、埋まり性及び隠蔽性を一層優れたものとするため、20〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。各々の単位記録動作における照射エネルギーは、3〜200mJ/cmが好ましく、10〜180mJ/cmがより好ましい。
さらに、発光ピーク波長が好ましくは350〜400nmの範囲にあるUV−LEDを用いた場合に、好ましくは500mJ/cm以下、より好ましくは300mJ/cm以下、さらに好ましくは50〜300mJ/cmの照射エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型インクを、本実施形態の記録方法に用いるとよい。この場合、LEDの出力を上げやすくなるとともに、低コスト印刷かつ大きな印刷速度が実現できる。なお、上記の照射エネルギーは、本硬化用の照射エネルギーも含む総照射エネルギーである。
このようなインクは、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物のうち少なくともいずれかを含むことにより得られる。
なお、本実施形態における単位記録動作は、上記の吐出工程及び硬化工程を少なくとも含めばよく、さらにその他の工程を適宜加えてもよい。
(オーバーラップ印刷)
次に、本実施形態の記録方法は、いわゆるオーバーラップ印刷により実施される。ここで、本実施形態におけるオーバーラップ印刷について説明する。オーバーラップ印刷とは、一のドット列、即ちラスタラインを2つ以上のノズルにより形成する印刷方式をいう。具体的に説明すると、第一の例として、一のノズルによる1回の単位記録動作において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素が存在する(主走査方向において、数ドットおきに間欠的にドット列を形成する。)。そして、他のノズルによる1回の単位記録動作において、上記のドットを形成しない画素(既に形成している間欠的なドット列)を補完するように1つのラスタライン(のドット)を形成する。また、第二の例として、1回の単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在するようにする。
このように、複数回(上記の場合は2回)の単位記録動作を行うことにより、1つのラスタラインがほぼ間欠なく形成される。つまり、複数回の単位記録動作を要求するオーバーラップ印刷によれば、パス数(主走査回数)が2回以上となり、埋まり性及び隠蔽性が優れたものとなる。
本実施形態の記録方法は、上記第一の例及び第二の例のうち少なくとも一方の単位記録動作パターンを採ることが好ましく、第一の例及び第二の例の双方の単位記録動作パターンを採ることがより好ましい。
ここで、上記のパス数は、「副走査方向の記録解像度に対応する副走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数」と「主走査方向の記録解像度に対応する主走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数」との積で表される。
上記「主走査方向の記録解像度に対応する主走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数」が2以上であることは、1回の単位記録動作(主走査方向)において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の単位記録動作を行うことで1つのラスタラインを形成することと換言できる。一方で、上記「副走査方向の記録解像度に対応する副走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数」が2以上であることは、1回の単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在することと換言できる。
このように、前者の主走査回数と後者の主走査回数とが共に2以上、即ち2以上同士の積によって、4パス以上であることが好ましい。この場合、埋まり性及び隠蔽性を一層優れたものとすることができる。
図4は、本実施形態におけるオーバーラップ印刷を説明するための図である。図4では、パス1〜パス8におけるヘッド31(ノズル列)及び仮硬化用照射部42aの位置と、ドットの形成の様子と、が示されている。
図4の左側は、パス1〜パス8におけるヘッド31(ノズル列)の位置を示している。図中黒丸で示されるノズルは、インクを吐出可能なノズルである。一方、白丸で示されるノズルは、インクを吐出できないノズルである。また、説明の都合上、ヘッド31(ノズル列)が媒体に対して移動しているように描かれているが、実際には媒体が搬送方向に移動(搬送)される。
また、図4の右側は、パスによって媒体に形成されたドットを示している。黒丸で示されるドットは、最後のパスで形成されたドットであり、白丸で示されるドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。つまり、この図の場合、白丸はパス1〜パス7で形成されたドットであり、黒丸はパス8で形成されたドットである。
オーバーラップ印刷の説明を続ける。オーバーラップ印刷では、媒体が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが数ドットおきに間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、他のノズルが既に形成されている間欠的なドットを補完するように(ドットの間を埋めるように)ドットを形成することにより、1つのラスタラインが複数のノズルにより形成される。このようにM回のパスにて1つのラスタラインが形成される場合、「オーバーラップ数M」と定義する。
図4では、各ノズルは1ドットおきに間欠的にドットを形成するのでパス毎に奇数番目の画素又は偶数番目の画素にドットが形成される。そして、1つのラスタラインが2つのノズルによって形成されているので、オーバーラップ数M=2になる。
オーバーラップ印刷において、搬送量を一定にして印刷を行うためには、(1)N/Mが整数であること、(2)N/Mはkと互いに素の関係にあること、(3)搬送量Fが(N/M)・Dに設定されることが条件となる。
図4では、ノズル列は搬送方向に8つのノズル列を有する。しかし、ノズル列のノズルピッチkは4なので、オーバーラップ印刷を行うための条件である「N/Mとkが互いに素の関係」を満たすために全てのノズルを用いることはできない。そこで、8つのノズルのうち6つのノズルを用いてオーバーラップ印刷が行われる。また、6つのノズルが用いられるため、媒体は搬送量3・Dにて搬送される。その結果、例えば180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体にドットが形成される。
1つのラスタラインがM個のノズルにより形成される場合、ノズルピッチ分のラスタラインが完成するためには、k×M回のパスが必要になる。例えば、図4では1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、4つのラスタラインが完成するためには8回のパスが必要になる。図4によれば、パス3の#4ノズル及びパス7の#1ノズルが形成したラスタライン(図中矢印で示されるラスタライン)よりも搬送方向上流側に、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成されることが示されている。
図4の場合、パス1では各ノズルが奇数画素にドットを形成し、パス2では各ノズルが偶数画素にドットを形成し、パス3では各ノズルが奇数画素にドットを形成し、パス4では各ノズルが偶数画素にドットを形成する。つまり、前半の4回のパスでは、奇数画素、偶数画素、奇数画素、偶数画素の順にドットが形成される。そして、後半の4回のパス(パス5〜パス8)では、前半の4回のパスと逆の順にドットが形成され偶数画素、奇数画素−偶数画素−奇数画素の順にドットが形成される、なお、パス9以降のドットの形成順序は、パス1からのドット形成順と同じである。
例えば、図4において、矢印で示すラスタラインは、パス3において、#4ノズルによって奇数画素にドットが形成され、パス7において、#1ノズルによって偶数画素にドットが形成されている。また、その下のラスタラインは、パス2において、#5のノズルによって偶数画素にドットが形成され、パス6において#2ノズルによって奇数画素にドットが形成されている。
図4の場合、搬送方向に並ぶドット列(ラスタライン)のドット間で紫外線の総照射量の差が生じるだけではなく、各ラスタラインのドット間においても紫外線の総照射量の差が生じることになる。
(複数回の単位記録動作による1つの画素へのドット形成)
本実施形態の記録方法では、1回又は複数回の単位記録動作で1つの画素にドット形成を行うことができる。中でも、複数回の単位記録動作で1つの画素にドット形成を行うことが好ましい。例えば、上述の記録方法において、一のノズル列のノズル数を2倍にして、ノズル密度は変えず、ノズル列の副走査方向の距離を2倍にしたヘッドを用いて、1回の副走査における副走査の距離は変えずに同様の記録方法を行うことで、各画素に2回の単位記録動作にてドット形成を行うことができる。あるいは、ノズル列のノズル数は変えずに、1回の副走査における副走査の距離を約半分にすることで、1つのラスタラインにノズルが対向する単位記録動作の回数が2倍になるようにしても、各画素に2回の単位記録動作にてドット形成を行うことができる。ノズル数を更に増やしたり副走査の距離を更に短くしたりすることで、1つの画素に3回以上の単位記録動作でドット形成を行ってもよい。また、1つの画素に1回の単位記録動作でドット形成が行われる画素と、1つの画素に2回以上の単位記録動作でドット形成が行われる画素と、が混在していてもよい。つまり、ドット形成を行う画素に、1つの画素に対して単位記録動作を複数回行うことによりドットの形成を行う画素を有すればよい。その際、ドット形成を行う画素のうち、1つの画素に対して単位記録動作を複数回行うことによりドットの形成を行う画素は、10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。また、上述の第1の例及び第2の例のうち少なくとも一方の単位記録動作パターンを採り、かつ、1つの画素に複数回の単位記録動作でドット形成を行うことが好ましい。これにより、埋まり性及び隠蔽性を一層優れたものにすることができる。
このように、本実施形態によれば、記録物における埋まり性及び隠蔽性に優れた紫外線硬化型インクを用いた記録方法、並びにこれを利用した記録装置を提供することができる。
[紫外線硬化型インク]
また、本発明の一実施形態は、上述の記録方法及び記録装置に用いることのできる紫外線硬化型インクに係る。以下、本実施形態のインクに含まれるか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
本実施形態のインクに含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
上記重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。以下、この(メタ)アクリレートについて詳細に説明する。
(単官能(メタ)アクリレート)
当該単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び下記一般式(I)で示されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び上記一般式(I)で示されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記インクがフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含有することにより、インクを低粘度化することができ、かつ、硬化性、耐擦性、密着性、及び光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることができる。
フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、10〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。含有量が10質量%以上であると、硬化性に加えて光重合開始剤の溶解性も一層優れたものとなる。一方、含有量が40質量%以下であると、硬化性に加えて密着性も一層優れたものとなる。
また、上記インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクを低粘度化することができ、かつ、硬化性、耐擦性、密着性、及び光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることができる。ここで、上記光重合開始剤の溶解性に優れる理由は、重合性化合物と光重合開始剤などの添加剤との間の相溶性が良好となるためである。
さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル酸エステル基(ラジカル重合性基の一種)を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル酸エステル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を一層良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、Rで表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、Rで表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に一層優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクをさらに低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、硬化性を一層優れたものとするため10〜70質量%であることが好ましい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
以上の単官能(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単官能(メタ)アクリレートは、本実施形態に所望の効果を損なわない範囲でインクに含まれるとよい。単官能(メタ)アクリレートの含有量(合計)は、インクの総質量(100質量%)に対し、70質量%以下が好ましい。
(2官能(メタ)アクリレート)
2官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
以上の2官能(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2官能(メタ)アクリレートは、本実施形態に所望の効果を損なわない範囲でインクに含まれるとよい。2官能(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、40質量%以下が好ましい。
なお、2官能(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であると、インクの高粘度化を防止し、かつ、記録物の良好な柔軟性を確保することもできる。
(3官能以上の(メタ)アクリレート)
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3官能以上の(メタ)アクリレートは、本実施形態に所望の効果を損なわない範囲でインクに含まれるとよい。3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、40質量%以下が好ましい。
なお、3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であると、インクの高粘度化を防止し、かつ、記録物の良好な柔軟性を確保することもできる。
(上記以外の重合性化合物)
また、上記のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレート以外に、従来公知の、単官能及び多官能の種々のモノマー及びオリゴマーもさらに使用可能である(以下、「その他の重合性化合物」という。)。上記モノマーとしては、例えば、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、上記のモノマーから形成されるオリゴマーが挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の重合性化合物は、本実施形態に所望の効果を損なわない範囲でインクに含まれるとよい。
なお、重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインクは、光重合開始剤を含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被印刷媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。光の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。紫外線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にインクの硬化性を一層良好にすることができるため、アシルフォスフィンオキサイド化合物及びチオキサントン化合物のうち少なくともいずれかを用いることが好ましく、アシルフォスフィンオキサイド化合物を用いることがより好ましく、アシルフォスフィンオキサイド化合物及びチオキサントン化合物を併用することがさらに好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製商品名)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)、Speedcure TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン)(以上、Lambson社製商品名)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製商品名)、及びユベクリルP36(UCB社製商品名)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化速度を向上させて硬化性を優れたものとすることができ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けるため、インクの総質量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましい。
特に、光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、5〜15質量%であることがより好ましく、7〜13質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に一層優れる。より具体的に言えば、特にLED(好ましい発光ピーク波長:350nm〜420nm)による硬化の際に十分な硬化速度が得られるため硬化性に一層優れる。一方、含有量が上記の上限値以下であると、光重合開始剤の溶解性に一層優れる。
ここで、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が上述の好ましい範囲内であり、かつ、アシルフォスフィンオキサイド化合物の含有量が上記の好ましい範囲である場合、アシルフォスフィンオキサイド化合物の溶解性が一層良好となるとともに、インクの硬化性に一層優れ、かつ、インクを一層低粘度化させることができるため、非常に好ましい。このように、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量とアシルフォスフィンオキサイド化合物の含有量との間には、相関関係がある。
また、光重合開始剤がチオキサントン化合物を含む場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、1〜5質量%であることが好ましい。
〔顔料〕
本実施形態のインクは、色材として顔料を含む。
本実施形態において、顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
本実施形態のインクの中でも、本実施形態に所望の表面粗さが得られやすいため、白インクが好ましい。白インク、特に白色顔料を含有した白インクが好ましい理由をより詳細に説明すると、白インクは他の色のインクに比して、顔料の含有量が顕著に多い傾向がある。そして、顔料の含有量が顕著に多いと、所望の表面粗さが得られやすくなる。
白インクとして使用される白色顔料としては、例えば白色無機顔料や白色有機顔料、白色の中空樹脂粒子を用いることができる。白色無機顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸や合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、及び酸化亜鉛等の金属化合物、並びにタルク及びクレイ等が挙げられる。
白色有機顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。白色有機顔料の具体的な商品としては、ShigenoxOWP、Shigenox OWPL、Shigenox FWP、Shigenox FWG、Shigenox UL、Shigenox U(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。白色有機顔料として樹脂粒子を使用することができ、当該樹脂粒子としては白色の中空樹脂粒子などを用いることができる。白色の中空樹脂粒子としては、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている、実質的に有機重合体で作られた熱可塑性を示す粒子などが挙げられる。
白インクに使用される顔料としては、以下に限定されないが、C.I. Pigment White 1(塩基性炭酸鉛),4(酸化亜鉛),5(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物),6(酸化チタン),6:1(他の金属酸化物を含有する酸化チタン),7(硫化亜鉛),18(炭酸カルシウム),19(クレー),20(雲母チタン),21(硫酸バリウム),22(天然硫酸バリウム),23(グロスホワイト),24(アルミナホワイト),25(石膏),26(酸化マグネシウム・酸化ケイ素),27(シリカ),28(無水ケイ酸カルシウム)が挙げられる。
これらの中でも、隠蔽性、着色性、及び分散粒径に優れるとともに良好な視認性(明度)が得られるため、本実施形態のインクは白色無機顔料である酸化チタンを含有することが好ましい。
上記酸化チタンの中でも、白色顔料として一般的なルチル型の酸化チタンが好ましい。このルチル型の酸化チタンは、自ら製造したものであってもよく、市販されているものであってもよい。ルチル型の酸化チタン(粉末状)を自ら製造する場合の工業的製造方法として、従来公知の硫酸法及び塩素法が挙げられる。
ルチル型の酸化チタンの市販品としては、例えば、Tipaque(登録商標) CR−60−2、CR−67、R−980、R−780、R−850、R−980、R−630、R−670、PF−736等のルチル型(以上、石原産業社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製商品名)が挙げられる。
酸化チタンの50%平均粒子径(以下、「D50」とも言う。)は、150〜500nmが好ましく、150〜300nmがより好ましい。D50が上記の範囲内にあると、インクの硬化性及び硬化したインクにおける耐擦性に優れ、また、記録された画像の視認性を優れたものとすることも可能であるので、高画質の画像を形成することができる。
ここで、本明細書における「酸化チタンの50%平均粒子径」は、インクを調製する前における酸化チタンのD50でなく、インク中に存在する酸化チタンのD50を意味する。また、本明細書における「50%平均粒子径」とは、動的光散乱法による球換算50%平均粒子径を意味し、以下のようにして得られる値である。
分散媒中の粒子に光を照射し、この分散媒の前方・側方・後方に配置された検出器によって、発生する回折散乱光を測定する。得られた測定値を利用して、本来は不定形である粒子を、球形であると仮定し、当該粒子の体積と等しい球に換算された粒子集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その際の累積値が50%となる点を、「動的光散乱法による球換算50%平均粒子径(D50)」とする。
酸化チタンの含有量は、硬化性に優れ、かつ、沈降し難いとともに、(特に黒地の被印刷媒体上での)隠蔽性及び色再現性に優れるため、インクの総質量(100質量%)に対して5〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔分散剤〕
本実施形態のインクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アビシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 32000,36000等〔以上、商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、分散剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインクは、重合禁止剤をさらに含んでもよい。インクが重合禁止剤を含有することにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられる。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール)、ノンフレックスMBP(精工化学社(Seiko Chemical Co.,Ltd.)製商品名、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール))、BHTスワノックス(精工化学社製商品名、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔界面活性剤〕
本実施形態のインクは、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。スリップ剤の市販品としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、界面活性剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、記録物における埋まり性及び隠蔽性に優れた紫外線硬化型インクを用いた記録方法を提供することができる。
[被印刷媒体]
上記実施形態の記録方法で用いられる被印刷媒体は、インク非吸収性又は低吸収性の被印刷媒体である。
上記の被印刷媒体のうち、インク非吸収性の被印刷媒体としては、例えば、インクジェット記録用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。インク低吸収性の被印刷媒体の例としては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙などが挙げられる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔顔料〕
・酸化チタン:
PT501R(石原産業社製商品名、D50=150nm用)、CR60(石原産業社製商品名、D50=200nm用)、CR93(石原産業社製商品名、D50=300nm用)、KR380(チタン工業社製商品名、D50=400nm用)
なお、酸化チタンは、D50が150nm用,200nm用,300nm用,400nm用のものをそれぞれ用意した。D50が500nm用の酸化チタン、及び顔料分散液の調製については後述する。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、以下ではVEEAと略記した。)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、以下ではPEAと略記した。)
・A−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、新中村化学工業社製、以下ではA−9300と略記した。)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(東京化成社製商品名、p−メトキシフェノール、以下では「MEHQ」と略記した。)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製)(表中「BYK3500」と省略)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分量100%、以下では「819」と略記した。)
・Speedcure TPO(Lambson社製商品名、以下では「TPO」と略記した。)
・Speedcure DETX(Lambson社製商品名、以下では「DETX」と略記した。)
〔分散剤〕
Solsperse 32000(アビシア社製商品名)
[例1−1〜例16−5]
〔顔料分散液の調製〕
上記の酸化チタンの各々 40質量%と、PEA 44質量%と、分散剤 16質量%と、を混合して撹拌し混合物とした。サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に、当該混合物の分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、インク組成物に用いる顔料分散液を得た。ここで、D50が400nm用及び500nm用の酸化チタンは、共に上記KR380の分散処理を制御して得た。つまり、KR380を使用した混合物の分散処理の際に、ジルコニアビーズ(直径5.0mm)と共に分散処理を行うことで、D50が500nmの顔料分散液を得た。
このようにして、それぞれ顔料分散液(以下、「分散液」とも言う。)1,2,3,4、及び5を調製した。その際、いずれの顔料分散液においても、酸化チタンの濃度が40質量%となるようにした。
〔紫外線硬化型インクの調製〕
下記表1に示す組成で材料を混合して、インク1〜インク7を調製した。なお、表1中、数値の単位は質量%である。
〔沈降特性の評価〕
スクリュー管に各インクを高さ10cmとなるように添加し、1ヶ月間放置した。放置後、スクリュー管を逆さにし、沈殿物の状態を観察した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表1に示す。
A:スクリュー管の底面に沈殿物は付着していなかった。
B:スクリュー管の底面積のうち1/4未満に沈殿物が付着していた。
C:スクリュー管の底面積のうち1/4以上に沈殿物が付着していた。
表1より、沈降特性は、特に顔料の平均粒子径に依存することが分かった。つまり、顔料の平均粒子径が小さい場合は顔料が沈殿しにくい一方で、顔料の平均粒子径が大きい場合は沈殿しやすくケーキになりやすい。なお、インク4及びインク5は、クリーニング頻度を高くすれば顔料の沈降を防止できるため、記録に用いることができる。
以下、各例における記録方法を説明する。
〔例1−1〜1−5、例2−1〜2−5、例3−1〜3−5、例4−1〜4−5、例5−1〜5−5〕
透明フィルム(東レ〔TORAY〕社製ルミラーS10〔商品名〕)に、インクジェットプリンターのキャリッジに搭載したヘッドからインクを吐出しつつ主走査を行い、印刷した。ノズル列が1列のヘッドを使用した。
上記主走査の際、キャリッジに搭載した波長395nmにトップピークを有するLEDで、1パス(主走査)ごとに、当該主走査によりフィルムに着弾し付着した紫外線硬化型インクを仮硬化させた。このとき、キャリッジに搭載したLEDとして、Firefly(照度1,000mW/cm)を用いた。また、1主走査の照射における照射エネルギーは、各例の枝番ごとにLEDの主走査方向の発光幅を変えることで照射時間を調整し、5〜200mJ/cmの範囲で変化させた。例を挙げると、主走査方向におけるLEDの発光幅(点灯列)を2倍に増やすことで、照射エネルギー量を2倍に増大させることができる。
次に、フィルムを主走査方向に交差する副走査方向に搬送する副走査を行った後、次の主走査を行い、主走査と副走査を交互に繰り返した。
印刷終了後、キャリッジとは別に設けた光源(キャリッジに搭載したものと同じタイプ)で紫外線硬化型インクを照射し、未硬化インクを完全に硬化させた。このときの照射エネルギーは200mJ/cmであった。
ここで、記録条件(印刷条件)について補足する。当該記録条件は、下記の点を除き、上記図4及びその説明に従った。各例において用いたインクは下記表2〜表4に示した。
まず、主走査回数は4×2=8パスとした。詳細に言えば、副走査方向の記録解像度に対応する副走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数を4とした。一方で、主走査方向の記録解像度に対応する主走査方向の各画素にドットを形成するために要する主走査回数を2とした。
また、打ち込み量は、7.26mg/インチとした。その際、画素当たりの打ち込み量は14ng/画素であった。記録解像度(副走査方向×主走査方向)は720dpi×720dpiとした。さらに、用いたヘッドのノズル密度は180dpiとした。
〔例6−1〜6−5〕
主走査回数を4×3=12パスに変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、上記例1−1〜例5−5の記録方法に比べて副走査の距離を短くすることにより、同じラスタラインにノズルが対向する回数が多くなるよう記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表4に示した。
〔例7−1〜7−5〕
主走査回数を4×4=16パスに変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、上記例1−1〜例5−5の記録方法に比べて、(例6−1〜6−5の場合よりも更に)副走査の距離を短くすることにより、同じラスタラインにノズルが対向する回数が多くなるよう記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表5に示した。
〔例8−1〜8−5〕
主走査回数を4×1=4パスに変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、特開2010−167677号の図10に示されたように、1つのラスタラインに1回の主走査でドットを形成し、記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表5に示した。
〔例9−1〜9−5〕
ヘッドのノズル密度を720dpiに変更し、かつ、主走査回数を1×2=2パスに変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、上記例1−1〜例5−5の記録方法で用いたヘッドを4個用意し、ノズルピッチの距離のうち1/4の距離ずつ副走査方向の各ヘッドの位置をずらすことでノズル密度を720dpiとしたヘッドを用いた。そして、副走査方向の記録解像度720dpiの下で、1回の副走査の距離はヘッドのノズル列の高さの半分の距離とすることで、1つのラスタラインに対してノズルが2回対向するようにして(主走査回数が1×2=2パスとなる。)、記録を行った(特開2010−162766号の図6Bに示されたPOL領域と似た方法で記録領域に亘り記録を行った。)。なお、各例において用いたインクは下記表6に示した。
〔例10−1〜10−5〕
打ち込み量を10ng/画素(5.18mg/インチ)に変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表6に示した。
〔例11−1〜11−5〕
打ち込み量を20ng/画素(10.37mg/インチ)に変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表7に示した。
〔例12−1〜12−5〕
表7に示すとおりインク6を用い、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。
〔例13−1〜13−5〕
表8に示すとおりインク7を用い、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。
〔例14−1〜14−5〕
ヘッドのノズル密度を360dpiに変更し、かつ、主走査回数を2×2=4パスに変更した点以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、上記例1−1〜例5−5の記録方法で用いたヘッドを2個用意し、ノズルピッチの距離のうち1/2の距離ずつ副走査方向の各ヘッドの位置をずらすことでノズル密度360dpiとしたヘッドを用いた。そして、上記例1−1〜例5−5の場合よりも1回の副走査の距離を一層長くして、1回の主走査でドットを形成するラスタラインの副走査方向の中間の位置に次の主走査でノズルが対向するようにし、さらに副走査方向の記録解像度720dpiの下で、1つのラスタラインに対してノズルが2回対向するようにして(主走査回数が2×2=4パスとなる。)、記録を行った。なお、各例において用いたインクは下記表8に示した。
〔例15−1〜15−5〕
ヘッドのノズル密度を720dpiに変更し、かつ、主走査回数を1×1=1パスに変更した以外は、上記例1−1〜例5−5と同様にして記録を行った。つまり、上記の例9−1〜9−5におけるヘッドを使用し、1回の副走査の距離をヘッドのノズル列の高さの距離とした。そして、1回の主走査でノズル列の高さ分の領域に、副走査方向及び主走査方向共に720dpiでドットを形成して、記録を行った(特開2010−162766号に示された図6の通常領域のドット形成方法と似た方法で記録領域に亘り記録を行った。)。
なお、この例15は、ノズル列と対向する記録領域に1回の主走査で記録を完了するものであり、ヘッドのノズル列と対向する記録領域に複数回の主走査で記録を行うものではない。そのため、この例15は本発明に対して比較例に相当するものである。また、各例において用いたインクは下記表9に示した。
〔例16−1〜16−5〕
ヘッドとして、例1−1〜1−5で用いたヘッドよりも1ノズル列のノズル数を2倍にしたヘッド(ノズル密度は180dpi、ノズル列の副走査方向の距離は2倍)を用い、このノズル列に例1−1〜1−5と同様にインク1を充填した。キャリッジに搭載した2つの照射ユニットの長さも、例1−1〜1−5で用いたものよりも副走査方向の距離が2倍のものを用い、ノズル列の主走査方向の横に配置させた。また、1回の単位記録動作で1つの画素に吐出される打ち込み量を例1−1〜1−5の半分(7ng/画素)とした。上記の点以外は例1−1〜1−5と同様にして印刷した。例16−1〜16−5は、ノズル列のうちの副走査方向上流側の半分のノズル列により例1−1〜1−5と同様の記録方法でフィルムに形成したドットの上に、引き続き、ノズル列のうちの副走査方向下流側の半分のノズル列により、例1−1〜1−5と同様の記録方法で重ねてドットを形成する。1つの画素に対して2回の単位記録動作でドット形成が行われるが、最終的な記録媒体の単位面積当たりの打ち込み量、最終的な画素当たりの打ち込み量は例1−1〜1−5と同じである。
[評価・測定項目]
〔転化率〕
仮硬化した時点の転化率は、主走査を1回行った時点で印刷中断したサンプルを別途用意した。硬化率は、測定装置としてリアルタイム測定可能な赤外分光光度計(NEXUS470〔商品名〕、サーモ・ニコレー社(Thermo Nicolet Corp.)製)を用いて測定した。測定結果を下記表2〜表9に示す。
〔表面粗さ〕
表面粗さについては、上述のとおりJIS B0601の規定に従い、レーザー顕微鏡 VK−9710(KEYENCE社製)を用いて、上記の透明フィルムに対して各例で示した記録条件に従い記録を行って得られた記録物の表面粗さRq(二乗平方根高さ)を測定した。測定の際の倍率は100倍とした。測定結果を下記表2〜表9に示す。
〔隠蔽性〕
上記例1−1〜例15−5の記録により得られたインク塗膜について、波長400〜800nmの範囲における透過率の平均値を算出した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表2〜表9に示す。
AA:1%未満
A: 1%以上2%未満
B: 2%以上3%未満
C: 3%以上
なお、評価結果がAA〜Bである場合、190〜400nmの波長範囲における平均透過率が、400〜800nmの波長範囲(白インク硬化膜の可視光領域波長)の平均透過率よりも低いこととなるため、隠蔽性に優れていると評価できる。
〔埋まり性〕
上記隠蔽性評価におけるインク硬化膜を、拡大鏡(10倍)で観察した。評価基準は以下のとおりである。結果を下記表2〜表9に示す。
A:目視、ルーペで観察しても、下地が見えなかった。
B:目視で埋まりが確認されるが、ルーペでは埋まっていない斑点が観察された。
C:目視で、下地の斑点又は筋が観察された(埋まっていなかった)。
なお、以下の表2〜表9中、「D50」は白色顔料である酸化チタンの50%平均粒子径を表し、単位はnmである。「照射エネルギ(ー)」の単位はmJ/cmである。「転化率」の単位は%である。
以上の結果より、次のことが明らかとなった。まず、酸化チタンのD50を変化させた例1〜例5より、D50が大きいほど隠蔽性に一層優れることが分かった。また、例1−1〜例5−5(各例の枝番同士の比較)より、表面粗さが1.5未満である場合、インク硬化膜(硬化物)の表面が均一であるため埋まり性が優れていたが、隠蔽性に劣ることが分かった。表面粗さが小さい場合に隠蔽性が劣る原因は、インク塗膜表面の乱反射が小さくなったことによるものと推測される。一方で、表面粗さが5.0を超える場合は、埋まり性が悪く、これにより隠蔽性にも劣ると推測される。以下では、例1−1〜例5−5における記録条件を基準として考察する。
次に、主走査回数(パス数)が8パス(=4×2)以上となる場合(例6−1〜例7−5)、埋まりが一層良好となり、かつ、隠蔽性にも優れることが分かった。一方で、主走査方向にドットを形成するパス数が1パスである場合(例8−1〜8−5)、表面粗さが低くなる傾向があり、隠蔽性に若干劣ることが分かった。また、表面粗さを1.5以上とするためには照射エネルギー量を大きくする必要があることも分かった。
次に、例9−1〜9−5より、副走査方向にドットを形成するパス数に着目した。ヘッドのノズル密度を180dpiから720dpiへと4倍増大させ、かつ、副走査方向にドットを形成するパス数が1パスの場合、例8−1〜8−5の結果と同様に、表面粗さが低くなる傾向があり、隠蔽性に若干劣ることが分かった。また、表面粗さを1.5以上とするためには照射エネルギー量を大きくする必要があることも分かった。一方で、例14−1〜14−5より、ヘッドのノズル密度を180dpiから360dpiへと2倍増大させ、かつ、パス数を8パス(=4×2)から4パス(=2×2)と2倍減少させたものの、主走査方向にドットを形成するパス数と、副走査方向にドットを形成するパス数と、が共に2パスである場合、例1−1〜1−5の結果と同等に、埋まりが良好であり、かつ、隠蔽性に優れることが分かった。
次に、例10−1〜10−5及び例11−1〜11−5より、打ち込み量を増減させると、表面粗さが小さくなる傾向にあることが分かった。したがって、転化率が低いほど表面粗さが一層小さくなるため、埋まりや隠蔽性に悪影響を及ぼす傾向が見られた。
次に、例12−1〜12−5及び例13−1〜13−5より、酸化チタンの含有量を増減させると、特に当該含有量を増大させた場合に埋まりや隠蔽性が一層優れたものとなることが分かった。
次に、例15−1〜15−5より、180dpiから720dpiへと4倍増大させ、かつ、パス数を1パス(1回の単位記録動作)とした場合、表面粗さが小さくなる傾向があり、隠蔽性に劣ることが分かった。例15は、例1と記録解像度及び打ち込み量を揃えた上で、記録方法による効果の違いを示すことを目的としたものである。なお、例15−1〜15−5の記録条件は、ラインプリンターの記録条件と同様である。
次に、例16−1〜16−5は、例1−1〜1−5と同様の記録方法でありながら、1つの画素に2回の単位記録動作でドット形成を行ったものであるが、例1−1〜1−5と比べて、埋まり性が一層良好であり、隠蔽性にも優れるものであった。
1…プリンター、10…搬送ユニット、11…給紙ローラー、13…搬送ローラー、14…プラテン、15…排紙ローラー、20…キャリッジユニット、21…キャリッジ、24…ガイド軸、30…ヘッドユニット、31…ヘッド、40…照射ユニット、42a,42b…仮硬化用照射部、43…本硬化用照射部、50…検出器群、53…紙検出センサー、54…光学センサー、60…コントローラー、61…インターフェイス部、62…CPU、63…メモリー、64…ユニット制御回路、110…コンピューター。

Claims (11)

  1. ヘッドから、少なくとも白色顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する工程と、前記被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インクを硬化させる工程と、を少なくとも含む単位記録動作を複数回行い、
    前記被印刷媒体における前記ヘッドと対向する領域に、表面粗さ(Rq)が1.5〜5.0μmであり、前記紫外線硬化型インクが硬化した硬化物を形成することを含む、紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  2. 1回の前記単位記録動作において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の単位記録動作を行うことで1つのラスタラインを形成するものであるか、あるいは
    1回の前記単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在するものであるか、
    のうち少なくとも何れかである、請求項1に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  3. 1回の前記単位記録動作において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の単位記録動作を行うことで1つのラスタラインを形成し、かつ、
    1回の前記単位記録動作において、ドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に他の単位記録動作でドットの形成を行うラスタラインが存在する、請求項1に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  4. 前記紫外線硬化型インクが白インクである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  5. ドット形成を行う画素に、1つの画素に対して単位記録動作を複数回行うことによりドットの形成を行う画素を有する、請求項2又は3に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  6. 各々の前記単位記録動作において付着し硬化した紫外線硬化型インクの転化率が20〜90%の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  7. 前記紫外線硬化型インクが前記白色顔料として酸化チタンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  8. 前記酸化チタンの平均粒子径D50が150〜500nmの範囲にある、請求項7に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  9. 前記酸化チタンの含有量は、前記紫外線硬化型インクの総質量に対して10〜30質量%である、請求項7又は8に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  10. 被印刷媒体への前記紫外線硬化型インクの付着量が5〜16mg/インチ2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクを用いた記録方法。
  11. ヘッドから、少なくとも白色顔料を含む紫外線硬化型インクを被印刷媒体に向けて吐出する手段と、前記被印刷媒体に付着した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、前記紫外線硬化型インクを硬化させる手段と、からなる単位記録動作が複数回行われ、
    前記被印刷媒体における前記ヘッドと対向する領域に、表面粗さ(Rq)が1.5〜5.0μmであり、前記紫外線硬化型インクが硬化した硬化物が形成されるものである、紫外線硬化型インクを用いた記録装置。
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