JP5897397B2 - 電解還元装置 - Google Patents

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Description

本発明は種々の金属酸化物を金属に転換するための電解還元装置に関する。
例えば、使用済み核燃料に含まれる金属酸化物を電解還元法によって金属に転換し回収する電解還元装置は、高温の溶融塩が満たされた電解槽と、電解槽内に設置された転換対象となる金属酸化物からなる陰極と導電性の金属等からなる陽極とからなり、この電極間に電流を流すことで陰極では金属酸化物から酸素イオンが電気化学的に分離され、陽極では酸素ガスが発生することで、陰極から転換した金属を回収している。
このような電解還元装置において、従来、陽極として白金や炭素(カーボン)が用いられていたが、白金等の貴金属材料は高コストであり、また、炭素は電解の進行にともない損傷し、溶融塩を汚染したり、電極間の短絡を引き起こす等の課題があった。
そのため、陽極としてジルコニアやBiO3等の酸素イオン導電性固体電解質を用い、陽極で発生した酸素ガスを外部に放出するために陽極の周囲に放出管を設けた電解還元装置が知られている(特許文献1)。
特許第4703737号公報
上述した従来の電解還元装置では、陽極の周囲に酸素ガスの放出管を設置しているが、陽極で発生した酸素ガスは全てが放出管から外部へ放出されるわけではなく、電解槽内の溶融塩の流動状況によって電解槽内に拡散する可能性がある。
その場合、溶融塩中に拡散する酸素ガスは微細な泡沫で拡散するため一部は溶媒中に長く滞留することとなり、陰極で還元生成された金属に触れると再酸化がおこり電解還元効率が低下するという課題があった。
また、電解槽の溶融塩界面から放出される酸素ガスは高温であり、電解還元装置を構成する周囲の構造物はこの高温の酸素ガスと接触すると腐蝕損傷を引き起こす可能性があるため、これらの構造物の耐食性を高く維持する必要あり、そのため電解還元装置の大型化及び高コスト化を招くという課題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、電解還元効率を向上させるとともに、電解還元装置の腐蝕損傷を防止することができる電解還元装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電解還元装置は、内部に電解溶媒が満たされた電解槽と、前記電解槽内に配置され内部に金属酸化物が収納された陰極容器及び筒状の多孔質体からなる陽極と、を有する電解還元装置において、前記陽極の内部に設けられた吸引管と、前記吸引管により吸引された電解溶媒と陽極で発生した酸素ガスが移送されるバッファタンクと、前記バッファタンクで脱気された電解溶媒を前記電解槽に戻す放流管、とを備え、前記陽極は、一端が前記電解溶媒中に浸漬され、他端が開口しているとともに前記電解溶媒上に突出していることを特徴とする。
本発明によれば、電解還元効率を向上させるとともに、電解還元装置の腐蝕損傷を防止することができる。
第1の実施形態に係る電解還元装置の断面構成図。 第2の実施形態に係る電解還元装置の平面構成図。 第3の実施形態に係る電解還元装置の断面構成図。 第4の実施形態に係る電解還元装置の断面構成図。 第5の実施形態に係る電解還元装置の断面構成図。
以下、本発明に係る電解還元装置の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施形態に係る電解還元装置について図1を用いて説明する。
(構成)
本実施形態に係る電解還元装置は、電解槽1と、電解槽1内に満たされた溶融塩等からなる電解溶媒2と、還元対象となる金属酸化物3を保持するための陰極容器4と、燒結金属等の多孔質体で構成された陽極5と、陽極5の内部に設置され陽極5で発生した酸素ガスと電解溶媒2を吸引する吸引管6と、電解溶媒2等を吸引するための動力源となる吸引ポンプ7と、電解溶媒2中に含有する酸素ガスを脱気するためのバッファタンク8と、脱気を促進するためにバッファタンク8内を減圧するための減圧ポンプ9と、バッファタンク8から電解溶媒2を電解槽1に戻すための放流管10と、電解槽1全体を加熱するための電気炉11と、陰極容器4と陽極5に接続された電源12と、から構成される。
陽極5は、内部に吸引管6が挿入可能なように、吸引管6の外径よりも大きいか又は同等の内径を有する円筒状の多孔質体からなる。
また、吸引管6が電解溶媒2を吸い上げるときに陽極5の外側から内側への電解溶媒2の流れを阻害しないように、陽極5の材料として上記の燒結金属等の多孔質体が用いられるが、多孔質体の他に金属製のメッシュ、パンチメタル等の内部空間を多く有する素材を用いることができる。
(作用)
このように構成された電解還元装置において、陰極容器4と陽極5の間に電流が流れると、陰極容器4内部の金属酸化物3の酸素は電気化学的に分離されてO2−イオンとなり陽極5に引かれて陽極5の表面で電子を与えられ酸素ガスとなる。このとき陽極5で発生する酸素ガスは陽極5の内部に挿入された吸引管6により電解溶媒2と共に吸引ポンプ7により吸引される。
これにより、陽極5で発生する酸素ガスは陽極5の外側の電解溶媒2中に拡散せずに陽極5の内部に放出され、電解溶媒2とともに吸引ポンプ7によりバッファタンク8に移送される。バッファタンク8は、内部が密閉状態で減圧可能な構造となっており、ここで移送された電解溶媒2を減圧し酸素ガス及び溶存酸素を脱気する。脱気の終了した電解溶媒2は放流管10を介して再び電解槽1内に戻される。
一方、陰極容器3内では金属酸化物3は還元され金属として回収することができる。
(効果)
本実施形態によれば、円筒状の陽極5内に酸素ガス及び電解溶媒2を吸引する吸引管6を設けたことで、電解槽1内の電解溶媒2に酸素が拡散することを防止することができるため、電解還元効率を向上させることができる。また、陽極5を多孔質構造としたことで、酸素ガスの放出が促進され、かつ、陽極5の総面積も拡大するので電解還元効率がさらに向上する。
[第2の実施の形態]
第2の実施形態に係る電解還元装置について図2を用いて説明する。なお、上記実施形態と同じ又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
本第2の実施形態は、陽極5を複数設置する構成としている。図2では、陰極容器4の周囲に複数の円筒状の陽極5を設置した例を図示している。図2において、各陽極5内に設置された吸引管6は円環状の配管13に接続され、配管13に接続された共通配管14に設けられた吸引ポンプ7により各陽極5内の酸素ガスと電解溶媒2が吸引され、バッファタンク8に移送される。
なお、陰極容器4及び陽極5の配置は適宜変更可能である。また、陰極容器4も複数設置してもよい。
本実施形態によれば、陽極5を複数配置したことで、電極面積を大きくすることができるとともに、陽極5における単位面積あたりの酸素ガス発生量を小さくすることができるため電解溶媒2への酸素拡散を小さくすることができるとともに、各陽極5で発生する酸素ガスの除去も容易となる。これにより、電解還元効率をさらに向上させることができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施形態に係る電解還元装置について図3を用いて説明する。なお、上記実施形態と同じ又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
従来の電解還元装置では、陽極5で発生する酸素ガスが電解溶媒2へ拡散するために、陽極5と陰極容器4との間の距離を大きくする必要があり、電解槽1内に電極を近接して配置することができなかった。そのため、電解槽内に設置できる電極の数が限られ電解還元能力も限定されたものとなっていた。
これに対して、上記した本発明の実施形態では陽極5で発生する酸素ガスが拡散しないため、陽極5と陰極容器4を近接して配置することが可能となる。
本第3の実施形態では、図3に示すように、陰極容器4と陽極5を交互に近接配置した構造としている。陰極容器4と陽極5の配置構造は、例えば図3に示す配列を電解槽1内に1列乃至複数列に配置したり、図2に示す陰極容器4と陽極5を近接して配置するようにしてもよく、これ以外にも種々の配列形態が考えられる。
本実施形態によれば、多数の陰極容器及び陽極を電解槽1内に近接配置することができるため、電解還元能力、還元速度及び還元効率を向上させることができるとともに、電解槽1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施形態に係る電解還元装置について図4を用いて説明する。なお、上記実施形態と同じ又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
本第4の実施形態は、図4に示すように、複数のバッファタンク8を並列に設置した構成としている。
本実施形態によれば、一つのバッファタンク8が脱気運転中であっても他のバッファタンク8を利用することで、電解還元装置の運転を停止することなく継続して行うことができる。
[第5の実施の形態]
第5の実施形態に係る電解還元装置について図5を用いて説明する。なお、上記実施形態と同じ又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
本第5の実施形態は、密閉容器15内に複数のバッファタンク8を直列に配置した構成としている。
これにより陽極5内部の吸引管6から吸い上げられた電解溶媒2は、上段のバッファタンク8から最下段のバッファタンク8に順次流れ落ちるが、その間のバッファタンク8の滞留時間を長くすることができるため、電解溶媒2の脱気処理能力を向上させることができる。また、複雑な循環制御システムを用いることなく電解溶媒2の脱気処理を効率的に実施することが可能となる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電解槽、2…電解溶媒、3…金属酸化物、4…陰極容器、5…陽極、6…吸引管、7…吸引ポンプ、8…バッファタンク、9…減圧ポンプ、10…放流管、11…電気炉、12…電源、13…配管、14…共通配管、15…密閉容器。

Claims (6)

  1. 内部に電解溶媒が満たされた電解槽と、前記電解槽内に配置され内部に金属酸化物が収納された陰極容器及び筒状の多孔質体からなる陽極と、を有する電解還元装置において、
    前記陽極の内部に設けられた吸引管と、前記吸引管により吸引された電解溶媒と陽極で発生した酸素ガスが移送されるバッファタンクと、前記バッファタンクで脱気された電解溶媒を前記電解槽に戻す放流管、とを備え
    前記陽極は、一端が前記電解溶媒中に浸漬され、他端が開口しているとともに前記電解溶媒上に突出していることを特徴とする電解還元装置。
  2. 前記陽極を前記電解槽内に複数配置したことを特徴とする請求項1記載の電解還元装置。
  3. 前記陽極及び前記陰極容器を前記電解槽内にそれぞれ近接して複数配置したことを特徴とする請求項1記載の電解還元装置。
  4. 前記バッファタンクを並列に複数設置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解還元装置。
  5. 複数の前記バッファタンクを直列に設置するとともに、前記複数のバッファタンクを密閉容器に収容したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解還元装置。
  6. 前記多孔質体は多孔質焼結体、メッシュ又はパンチメタルからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電解還元装置。
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