JP5901432B2 - 電機子と電機子の製造方法 - Google Patents
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電動機の電気損失を下げる方法の1つとして、固定子に巻き回された銅線が、その巻回スペースに占める割合(いわゆる占積率)を向上させることで、銅の発熱(いわゆる銅損)を抑える方法がある。
特に、コイルが太線になればなるほどこの傾向は顕著になって占積率を向上させる阻害要因となっている。
このような場合、コイルを一旦、別の巻枠に巻いた後、コイルの膨らみ部分を外側から矯正してからコアに挿入する。
このような組み立て工程を採用することで、巻線の占積率を向上させることが可能となる。
エッジワイズコイルを採用する場合も同様に、別体としてエッジワイズコイルを成形してから、ティースにこれを挿入する組み立て方法で固定子を完成させている。(例えば特許文献1)
自動車の駆動用に適用されるモータは、使用環境が厳しく、モータに過大な振動が加えられることが想定されることから、耐振性の高い物が求められる。
特に、コイル部分は加振されることで脱落や断線が発生する懸念がある。このような懸念に対して、ティース部にコイルを挿入後、ティース先端部の鍔部を折り曲げることで位置決めする構成が開示されている。(例えば特許文献2)
そこで、ワニスやモールドでコイルを固定するのであるが、組立コストが増大するという課題があった。
鍔部を有する第二部材としては、通常、鉄損の増加を防ぐために、薄板の鋼板が使用される。
薄板に設けられた鍔部は、最初は固定子の径方向に突出する板状部となっていて、これを固定子の周方向に折り曲げる、いわゆるエッジワイズ曲げ加工を行う必要がある。
さらに鍔部のアスペクト比を小さくしようとして折り曲げ部の幅を小さくすると、鍔部における面外変形は発生しにくくなるが、鍔部自体の強度が低下するためにコイルを固定する機能を十分に発揮できないという課題があった。
ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記固定部材の、前記分割鉄心固定部と前記コイル体保持部の境界線上の両端部には、それぞれ切り欠き部を設けているものである。
また、この発明に係る電機子は、
ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記分割鉄心固定部に対して、複数の前記コイル体保持部を備えるものである。
また、この発明に係る電機子は、
ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記固定部材の、前記分割鉄心固定部と前記コイル体保持部の境界線上の両端部には、それぞれ切り欠き部を設け、
前記分割鉄心固定部に対して、複数の前記コイル体保持部を備えるものである。
また、前記電機子の製造方法は、
平面状の前記固定部材を、前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に、前記コイル体保持部が前記ティース部から前記ステータの内側に突出するように接合する、固定部材接合工程と、
前記コイル体を前記分割鉄心のティース部に装着するコイル体装着工程と、
前記固定部材の前記コイル体保持部を略直角に折り曲げて前記コイル体を前記分割鉄心に固定する固定部材折曲工程とを有するものである。
上記のように構成されているものなので、外部からの振動を受けてもコイルが分割鉄心のティース部から脱落しない。また、コイルの固定構造として、薄板固定部材をフラットワイズ方向に曲げることができるため、折り曲げ工程を容易に、かつ固定部材の強度を保つことが可能である。
以下、この発明の実施の形態1に係る電機子とその製造方法を図を用いて説明する。
図1は、電機子100の斜視図である。
本明細書においては、1つの分割鉄心1にコイル体2を装着したものを電機子100という。
フレーム3は、締め代を有しておりその内側に複数の電機子100を圧入もしくは焼きばめすることで、複数の電機子100を固定保持している。
図3は、コイル体2の斜視図である。図1に示す電機子100から、分割鉄心1を除いた部分である。
図4は、コイル体2の分解図である。
図5は、コイル21の斜視図である。
以下、コイル21の、ステータ130の軸方向両端部、即ち、図に示すコイル21の短辺部分をコイルエンド部21aという。
また、図に示すコイル長辺部分であって、固定子のスロットに収納される部分を、スロット内収納部21bという。
端末線21c、21dは、各電機子100がステータ130の状態に組み立てられた後、3相結線される。
本実施の形態では、端末線21c、21dは同一方向に突出しているが、互いに反対方向に配置されても良い。
その場合は、ステータ130の軸方向両端にてそれぞれ結線がなされる。
コイル21は、表面がポリアミドイミドなどの絶縁皮膜で覆われている導体からなる。
導体の断面が長方形である平角線や丸線を巻枠等に巻回することでコイル21を予め成形する。
インシュレータ22は、コイル21と分割鉄心1の間に配置される部材であって、分割鉄心1のティース部の、ステータの軸方向の両端部に相当する部分を覆う。
インシュレータ22は、コイル21のコイルエンド部21aの内周面に沿うコイル受け部22aと、コイル受け部22aの分割鉄心1のヨーク側の側面に配設される外鍔22bと、外鍔22bと対向するようにコイル受け部22aのティース先端部側に配置される内鍔22cによって構成される。
外鍔22bおよび内鍔22cは、コイルエンド部21aがステータ130の外側あるいは内側に飛び出すのを規制するとともに、コイル21と分割鉄心1の間を絶縁するものである。
インシュレータ22は、耐熱性を有する熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂を使用して成形される。
絶縁シート23は、コイル21のスロット内収納部21bの周囲を取り囲んで、コイル21と分割鉄心1との間を電気的に絶縁する部材である。
ティース絶縁部23aは、ティース部11bの側面とコイル21の内周面との間に挟まれる部分である。
ヨーク絶縁部23bは、コイル21のヨーク側の側面を覆う部分である。
ティース先端絶縁部23cは、コイル21のティース先端部側を覆う部分である。
相間絶縁部23dは、コイル21の最も外側の外周面を覆い、複数の電機子100をステータ130として組み立てたときに隣接するコイルとの間の相間絶縁を確保する部分である。
絶縁シート23としては、耐熱性および絶縁性を有する材料を使用し、複数枚数重ねたシート、例えば、アラミド紙−PPS−アラミド紙を重ねたシート等が使用される。
コイル21として、エッジワイズコイルを使用する場合にて説明するが、丸線にて巻回されるコイルの場合も同様である。
まず、予め巻回されたコイル21のスロット内収納部21bに絶縁シート23を巻きつける。
絶縁シート23は、同一形状のものを2枚使用し、それぞれコイル21のスロット内収納部21bに巻きつける。
その際、コイル21の最も外周部分で、絶縁シート23の相間絶縁部23dを重ね合わせることにより、隣り合うコイル21間での絶縁を確保する。
図8は、絶縁シートの重ね合わせ部分の他の例を示す図である。
絶縁シート23を重ね合わせる位置は、図8のAで示す分割鉄心1のヨーク部側としても良い。
Aの部分で絶縁シート23を重ね合わせると、隣接するコイル間(相関)で重ね合わせる場合に比べて、より幅の広い平角線をコイルに使用することができる。
これにより、コイル21の占積率を向上させることができる。
図9は、分割鉄心1の斜視図である。
分割鉄心1は、ヨーク部11aとティース部11bからなる。
分割鉄心1は、薄板鋼板を積層することで構成されている。
薄板鋼板としては、珪素鋼板を使用することで、電機子100の鉄損を抑えることができる。
また、各積層間の固定は、鉄心片をプレスで打ち抜く工程に連続する後工程で、カシメダボ11d、11e、11fにより上下に積層する鉄心片同士をかしめることで一体として固定する。
かしめの形状については、図9では丸形状であるが、断面がV字形状のかしめを採用しても良い。
なお、図示はしないが、固定方法は他にも積層間を接着で固定する方法や、溶接で固定する方法もある。
図10は、固定部材4の平面図である。
図11は、分割鉄心1に固定部材4を接合した状態を示す図である。
固定部材4は、分割鉄心固定部41とコイル体保持部42とで構成される1枚の鋼板である。
分割鉄心固定部41は、分割鉄心1を構成する鉄心片と概略同じ形状としている。
コイル体保持部42は、分割鉄心固定部41のティースの先端部から、ステータの内側に向かって突設されている。
また、コイル体保持部42の根元、即ち、分割鉄心固定部41との境界線の両端部には切り欠き部4kが設けられている。
この切り欠き部4kにより、コイル体保持部42を折り曲げる時、切り欠き部4kに応力集中が生じ、固定部材4が2つの切り欠き部4kを結ぶ線で曲がり易くなる。
この固定部材4は、分割鉄心1の両端面に配置される。
固定部材4は、これらのカシメダボを互いにかしめて分割鉄心1に固定される。(固定部材接合工程)
固定部材4の材質は、例えば、分割鉄心1の材料と同じであっても良いし、SPCCなどを用いても良い。
分割鉄心1と同じ材料であれば、プレス金型で固定部材4のコイル体保持部42の周囲を打ち抜く工程を加え、プレス内部で分割鉄心1の製造時に同時に固定部材4を製造でき、分割鉄心1と一体的に製造して取り出すことが可能である。
これにより、鉄心の占積率も向上しトルク向上に寄与する。
図12(a)のように、分割鉄心1のティース部11bをコイル体2の内周面に沿って先端側から嵌め込む。
このとき、インシュレータ22と固定部材4が平面で接触する。
ティース部11bを完全に嵌め込んだら、固定部材4のコイル体保持部42を図12(b)に示すように、ステータ130の軸方向に、それぞれコイル体2の外周側に直角に(L字型に)折り曲げて塑性変形させる。(固定部材折曲工程)
このように、コイル体保持部42は、インシュレータ22の外周面内に段差無く収まって、ステータ130の内側に飛び出さないように配設されるのが良い。
これにより、ステータ130の内側に配設される図示しないロータを組み込む方向に制約がなくなり、軸方向の両側から回転電機の組み立てが可能となる。
この場合、固定方法としては、接着あるいは溶接、その他の方法を用いる。
図13は、固定部材4の他の例である固定部材44を示す図である。
固定部材44には、貫通長穴44gを設けている。
図14は、この固定部材44を分割鉄心1に固定する構造を示している。
固定部材44の貫通長穴44gの位置に対応する分割鉄心1の端面には、留まり長穴1gを設けている。
2つの長穴の位置を合わせて、留めピン5を圧入して固定部材44を分割鉄心1に固定する。
このような固定方法を採用するとことで、珪素を含む硬い電磁鋼板と比較して柔らかく加工性の良いSPCCなどを分割鉄心及び固定部材の材料として使用することができる。
これにより、電機子100の組立性が向上する。
図に示すようにコイル体保持部をコイル体保持部42a、42bに分割する構成を採用する。
コイル体保持部を二又にすることで、インシュレータ22の内鍔22cの中心からオフセットした位置で、コイル体2を押さえることができる。
これにより、ティース部11bに対するコイル体2の傾きを小さくできる。
また、コイル体保持部42a、42bの1つ当たりの曲げ力を小さくすることができるため、電機子100の組立を容易にすることができる。
また、固定部材4が、固定する対象であるコイル体2の内周側で、分割鉄心1とコイル体2の間に挟まれているので、固定部材4自体が脱落することもない。
また、コイル体2の固定構造として、薄板の固定部材4をフラットワイズ方向に曲げることができるため、折り曲げ工程を容易にでき、精度良く、強度を保って折り曲げることができる。
このように、材料を減量化した、耐久性、省エネルギー性、分解性、分別性、生産性の高い電機子を提供できる。
なお、本実施の形態では、分割鉄心1を積層構造であるものとして説明したが、単体の分割鉄心であっても同一の効果を得ることができる。
以下、この発明の実施の形態2に係る電機子とその製造方法を図を用いて実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図16は、電機子200の斜視図である。
図17は、コイル21の周囲を絶縁性の樹脂でモールドして一体化したコイル体202の一部透視図である。
その他は、実施の形態1と同様である。
樹脂としては、熱伝導率を向上させるためにアルミナなどのフィラーを入れた熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を使用する。
また、モールドによりコイル21の放熱性を向上させることができる。
更に、コイル体202は全体としてモールドされているので変形しない。
これにより、固定部材4のコイル体保持部42を折り曲げるときに、コイル体202が長手方向に延びることがなく、絶縁シートを使用する場合に比べて、両者の密着性が向上し、放熱性も向上できる。
11a ヨーク部、11b ティース部、11d,11e,11f カシメダボ、
2,202 コイル体、21 コイル、21a コイルエンド部、
21b スロット内収納部、21c 端末線、22 インシュレータ、
22a コイル受け部、22b 外鍔、22c 内鍔、22d 溝、23 絶縁シート、23a ティース絶縁部、23b ヨーク絶縁部、23c ティース先端絶縁部、
23d 相間絶縁部、3 フレーム、4,44,45 固定部材、
41 分割鉄心固定部、42,42a,42b コイル体保持部、44g 貫通長穴、
4d,4e,4f カシメダボ、4k 切り欠き部、5 留めピン。
Claims (10)
- ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記固定部材の、前記分割鉄心固定部と前記コイル体保持部の境界線上の両端部には、それぞれ切り欠き部を設けている電機子。 - ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記分割鉄心固定部に対して、複数の前記コイル体保持部を備える電機子。 - ステータの円周方向に等分割され、ヨーク部およびティース部を有する分割鉄心と、
前記分割鉄心の前記ティース部の軸部の外周に配設されるコイル体とを備えた電機子において、
前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に接合される分割鉄心固定部と、
前記コイル体のコイルエンド部の、前記ステータの径方向の内側面を保持するコイル体保持部を有する固定部材を備え、
前記固定部材の、前記分割鉄心固定部と前記コイル体保持部の境界線上の両端部には、それぞれ切り欠き部を設け、
前記分割鉄心固定部に対して、複数の前記コイル体保持部を備える電機子。 - 前記固定部材は、前記分割鉄心固定部と前記コイル体保持部とからなるL字状の板である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電機子。
- 前記コイル体は、コイルと前記分割鉄心を絶縁する絶縁部材を備えた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電機子。
- 前記絶縁部材の側面には、前記コイル体保持部を嵌め込む溝部を備えた請求項5に記載の電機子。
- 前記絶縁部材は、前記分割鉄心の前記ティース部の、前記ステータの軸方向両端面を覆うインシュレータと前記コイルのスロット内収納部を覆う絶縁シートとを備えた請求項5又は請求項6に記載の電機子。
- 前記コイルは、前記絶縁部材である絶縁性樹脂で周囲がモールドされている請求項5又は請求項6に記載の電機子。
- 前記コイルは、エッジワイズコイルである請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の電機子。
- 平面状の前記固定部材を、前記分割鉄心の、前記ステータの軸方向端面に、前記コイル体保持部が前記ティース部から前記ステータの内側に突出するように接合する、固定部材接合工程と、
前記コイル体を前記分割鉄心のティース部に装着するコイル体装着工程と、
前記固定部材の前記コイル体保持部を略直角に折り曲げて前記コイル体を前記分割鉄心に固定する固定部材折曲工程とを有する請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電機子の製造方法。
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