JP5920765B2 - プレス成形体及びこのプレス成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、油圧発生用の歯車ポンプで用いる歯車部品のように、比較的大型の部品を製造する場合では、順送りプレスによる打抜きを行うことがある(例えば、特許文献1等参照)。このような歯車部品は、「歯車」と名称が付いてはいても油圧を発生させる程度の噛み合いが要求されるだけなので、外形状や外形寸法に、歯車伝動を行う「歯車」に相当するほどの高精度が必要とされるものではない。また、大型部品であるが故に、打抜き後の仕上げ加工なども必要に応じて簡単に行える事情がある。
更に付言すれば、歯車伝動を行う「歯車」などでは、機械的強度や耐蝕性などでステンレスを素材にすることが好適とされているものの、ストリップとしてステンレスを用いるような場合では、高強度であり高硬度であることから材質的な膨張や収縮、粘りに一層の難しさがあって、従来の順送りプレスを採用することはできなかった。
即ち、本発明に係るプレス成形体は、帯長手方向に一定ピッチをおいて同形の抜き孔が複数貫通形成された帯板状のストリップと、前記ストリップの各抜き孔に合致する同形同厚のブランクと、を有し、前記ストリップには前記抜き孔に前記ブランクが厚さの一部のみを係合させた状態で嵌合されており、前記ストリップの一方面には前記ブランクの一部厚さを突出させた凸部が形成されていると共に前記ストリップの反対面には前記凸部の高さと同じ寸法の深さを有して前記ブランクにより閉鎖された凹部が形成され、前記ストリップの帯長手方向で隣接する各ブランクには、それらのブランク中心に内径の小さな下孔として形成されたセンター孔と、前記下孔よりも径大の拡大孔として形成されたセンター孔とが振り分けて設けられていることを特徴とする。
前記ストリップはステンレスにより形成されたものとすることができる。
一方、本発明に係るプレス成形体の製造方法は、帯状に形成されたストリップに対してセンター孔を形成し、前記センター孔を位置中心とするブランクを前記ストリップから打ち抜き、前記ストリップから前記ブランクを打ち抜くことで形成される抜き孔に対して前記ストリップから打ち抜かれた前記ブランクを当該ブランクにおける厚さの一部のみを前記抜き孔の内周面に係合させてプッシュバックさせ、前記ストリップにプッシュバックされた前記ブランクに対して形成されている前記センター孔を同心で拡大形成させることを特徴とする。
図1及び図2は、本発明に係るプレス成形体1の第1実施形態を示している。このプレス成形体1は、帯板状のストリップ2の一方面に凸部3が形成され、その反対面に凹部4が形成されたものである。凸部3と凹部4とはストリップ2の表裏(図2の上下方向)で一致する位置に設けられており、これら表裏で位置的に一致した凸部3と凹部4とが互いに対を成すものとして、ストリップ2の帯長手方向(図1及び図2の左右方向)に沿って一定ピッチで複数並んで設けられている。
このプレス成形体1は順送りプレスにより加工が施されるものであるため、帯長手方向に沿った両辺部(帯幅を形成している両サイド)には、一定ピッチでパイロット孔6が形成されている。
この歯車7は歯車伝動に用いるので、その外形状や外形寸法には、騒音や振動がでないように円滑な噛み合いを可能にして、伝動効率を高めるための高精度が必要とされる。当然に、歯部のエッジにはダレやカエリが発生していないことが重要とされる。
ストリップ2は、ステンレスにより形成されており、本実施形態では厚さ1mm、幅21mmとしてある。言うまでもなく、ストリップ2の厚さは、最終製品として製造する歯車7の歯厚に対応させたものである。
前記したように、ストリップ2の表裏で互いに対を成すように配置された凸部3及び凹部4(すなわち、ストリップ2にプッシュバックされたブランク10)は、このストリップ2の帯長手方向に沿って一定ピッチで複数並んで設けられている。このようにして並んだ各ブランク10の中心には、それぞれセンター孔12が設けられている。ブランク10には、センター孔12が内径の小さな下孔12aとされているブランク10aと、センター孔12が前記下孔12aの内径を広げて成る拡大孔12bとされているブランク10bとがある。これらのブランク10a,10bは、ストリップ2の帯長手方向で互いに隣接して配置されている。
図3〜図5は、順送りプレス20の一例を示している。この順送りプレス20は、上部ダイセット21にストリッパーガイド22が取り付けられ、下部ダイセット23にダイプレート24が取り付けられたものであって、上部ダイセット21と下部ダイセット23とを相対的に上下動(いずれが上下動してもよい)させるように動作し、この動作中に、ストリッパーガイド22とダイプレート24との上下間でストリップ2をその長手方向に沿って間欠横移動(水平送り)させるようになっている。
パイロット孔抜き工程aは、ストリップ2に対してパイロット孔6を打ち抜くための工程である。
この孔抜き工程bでは、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22からストリップ2の厚さを超えて下突出する状態で丸棒状の孔開けパンチ32が固定されていると共に、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24の上面で前記孔開けパンチ32の挿入孔を開口させるようにしてダイス33が固定されている。孔開けパンチ32の外径及びダイス33に形成された孔開けパンチ32用の挿入孔の内径は、下孔12aの孔径に対応させて形成してある。
このプッシュバック工程cでは、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22からストリップ2の厚さを超えて下突出する状態で抜きパンチ35が固定されていると共に、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24の上面で前記抜きパンチ35用の挿入孔を開口させるようにしてダイス36が固定され、更に、このダイス36内にバッド37が上下動自在な状態に保持されている。
図4に示すように、バッド37の下端部は、ダイス36の下方を突き抜けて下部ダイセット23に届いており、この下部ダイセット23には、バッド37の下端部を受け止めるバッド基部38と、このバッド基部38を介してバッド37を上方へ押し出すように付勢する押圧付勢部材39とが保持されている。この押圧付勢部材39は、下部ダイセット23を支持しているホルダー40に対して埋め込まれた基礎部材41により、その下端部を支持されている。
下部ダイセット23には、バッド基部38を収容する部分に、当該バッド基部38の厚さ(図4の上下方向寸法)よりも深い凹部42が形成されており、この凹部42内においてバッド基部38は上下動自在となっている。従って、押圧付勢部材39が軸方向圧縮をしていないとき(初期の円柱形であるとき)には、バッド基部38は凹部42内の上方位置で停止して、バッド37の上端部をダイプレート24から未突出となる高さ位置(ダイプレート24の上面から下方へ凹んだ高さ)に保持させる。このとき、ダイプレート24の上面からバッド37の上端部までの凹み量は、ストリップ2に対して凸部3が突出する量に等しくしてある。
この第2孔抜き工程dでは、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22からストリップ2の厚さを超えて下突出する状態で丸棒状の拡径パンチ45が固定されていると共に、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24の上面で前記拡径パンチ45用の挿入孔を開口させるようにしてダイス46が固定されている。
この面押し工程eでは、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24からストリップ2の厚さを超えて上突出する状態で上端部が段付きの先細りテーパ形に形成された面押しパンチ47が固定されていると共に、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22の下面で前記面押しパンチ47用の挿入孔を開口させるようにしてダイス48が固定されている。
このシェービング工程fでは、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22からストリップ2の厚さを超えて下突出する状態で丸棒状のシェービングパンチ49が固定されていると共に、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24の上面で前記シェービングパンチ49用の挿入孔を開口させるようにしてシェービングダイス50が固定されている。シェービングパンチ49の外径及びシェービングダイス50に形成されたシェービングパンチ49用の挿入孔の内径は、拡大孔12b(整形孔12c)の孔径に対応させて形成してある。
この落とし工程gでは、上部ダイセット21側に対し、ストリッパーガイド22からストリップ2の厚さを超えて下突出する状態でノックアウト51が固定されていると共に、下部ダイセット23側に対し、ダイプレート24の上面で前記ノックアウト51用の挿入孔を開口させるようにしてガイド52が固定され、更に、このガイド52内にブランク受け53が嵌められている。
ブランク受け53の上端部は、ダイプレート24から未突出となる高さ位置(ダイプレート24の上面から下方へ凹んだ高さ)に保持されている。このとき、ダイプレート24の上面からブランク受け53の上端部までの凹み量は、歯車7の歯厚に等しくしてある。
順送りプレス20に対し、ステンレスを素材として帯状に形成されたストリップ2を供給しつつ、順送りブレス20を動作させる。
本実施形態では、ストリップ2がステンレスであり、厚さ1mmであることを前提として、変形の生じない適切な打抜きを可能にするうえで、順送りプレス20には45tプレスを用いた。また、動作速度(上部ダイセット21と下部ダイセット23との相対的な上下動)を毎分30回程度の比較的ゆっくりした速度とした(一般的な順送りプレスでは毎分80回程度にするのが普通である)。このように、ゆっくりした速度で動作させることで、ストリップ2が過剰に加工熱を生じることなくなり、それだけ、加工精度として、その外形状及び外形寸法に高精度を出すことができるようになる。このことは、全ての工程(a〜g)に共通して言えることである。
次に、孔抜き工程bにおいて、ストリップ2の帯幅方向中心部に、孔開けパンチ32によってセンター孔12(下孔12a)を形成する。
このプッシュバックについて付言すると、抜きパンチ35とダイス36との上下間で挟まれたストリップ2に対し、抜きパンチ35がダイス36へ向けて打ち込まれると、ストリップ2から打ち抜かれたブランク10aは、一旦、ダイス36の挿入孔内へ押し込められる。このブランク10aは、ダイス36の挿入孔内でバッド37により支持される。
ここにおいて、押圧付勢部材39はウレタンゴムによって形成してあるので、ブランク10aにおける厚さの一部のみを抜き孔11の内周面に係合させるというプッシュバック作用が確実に得られるようになっている。当然に、このプッシュバック作用を得るために、押圧付勢部材39は、その外径、上下方向長さ、ゴム硬度などが適宜、設定されている。
のみならず、押圧付勢部材39がウレタンゴムによって形成されていることで、コイルバネなどによる弾発力とは異なって、押し上げ速度の等速度性や押し上げ方向の直進性などが安定して得られるものとなっている。それ故に、ブランク10aにおける厚さの一部のみを抜き孔11の内周面に係合させるようなプッシュバックが確実に得られるという利点が得られているものである。
次に、面押し工程eにおいて、拡大孔12bを備えたブランク10bに対し、センター孔12(拡大孔12b)の開口周縁を面押しパンチ47で押さえ、カエリの解消した整形孔12cとさせる。
最後に、落とし工程gにおいて、ノックアウト51によって、ストリップ2の抜き孔11から各種加工及び処理が終了したブランク10d(即ち、歯車7)を打ち落とす。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
の順番を一部変更したり、省略したり、或いは別工程を追加したりすることは可能である。
また、パイロット孔抜き工程aの孔開けパンチ30やダイス31、孔抜き工程bの孔開けパンチ32やダイス33、プッシュバック工程cの抜きパンチ35やダイス36、第2孔抜き工程dの拡径パンチ45やダイス46、面押し工程eの面押しパンチ47やダイス48などについて、その製作過程で、ワイヤカット後のダイヤモンド研磨を行ってもよいことは言うまでもない。
ストリップ2の外形寸法や材質、歯車7の外形寸法、順送りプレス20の諸元(動作能力を表す数値や各部の寸法など)などについても、前記したものに限定されないことは言うまでもない。例えば、材料コストの低コスト化や生産能率の向上を目的として、ストリップ2の幅寸法を小さくしたり、パイロット孔6のピッチを小さくしたりすることも可能である。
2 ストリップ
3 凸部
4 凹部
6 パイロット孔
7 歯車
8 軸孔
10(10a〜10d) ブランク
11 抜き孔
12 センター孔
12a 下孔
12b 拡大孔
12c 整形孔
12d 仕上げ孔
20 順送りプレス
21 上部ダイセット
22 ストリッパーガイド
23 下部ダイセット
24 ダイプレート
30 孔開けパンチ
31 ダイス
32 孔開けパンチ
33 ダイス
35 抜きパンチ
36 ダイス
37 バット
38 バッド基部
39 押圧付勢部材
40 ホルダー
41 基礎部材
42 凹部
45 拡径パンチ
46 ダイス
47 面押しパンチ
47a テーパ部分
47b 径小部分
47c 径大部分
48 ダイス
49 シェービングパンチ
50 シェービングダイス
51 ノックアウト
52 ガイド
53 ブランク受け
Δt 係合量
φ 外径
t 厚さ
a パイロット孔抜き工程
b 孔抜き工程
c プッシュバック工程
d 第2孔抜き工程
e 面押し工程
f シェービング工程
g 落とし工程
Claims (4)
- 帯長手方向に一定ピッチをおいて同形の抜き孔が複数貫通形成された帯板状のストリップと、
前記ストリップの各抜き孔に合致する同形同厚のブランクと、を有し、
前記ストリップには前記抜き孔に前記ブランクが厚さの一部のみを係合させた状態で嵌合されており、
前記ストリップの一方面には前記ブランクの一部厚さを突出させた凸部が形成されていると共に前記ストリップの反対面には前記凸部の高さと同じ寸法の深さを有して前記ブランクにより閉鎖された凹部が形成され、
前記ストリップの帯長手方向で隣接する各ブランクには、それらのブランク中心に内径の小さな下孔として形成されたセンター孔と、前記下孔よりも径大の拡大孔として形成されたセンター孔とが振り分けて設けられ
ていることを特徴とするプレス成形体。 - 前記ストリップの前記抜き孔内周面に対して、前記ブランクが当該ブランクにおける厚さの20%以下で係合していることを特徴とする請求項1記載のプレス成形体。
- 前記ストリップがステンレスにより形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプレス成形体。
- 帯状に形成されたストリップに対してセンター孔を形成し、
前記センター孔を位置中心とするブランクを前記ストリップから打ち抜き、
前記ストリップから前記ブランクを打ち抜くことで形成される抜き孔に対して前記ストリップから打ち抜かれた前記ブランクを当該ブランクにおける厚さの一部のみを前記抜き孔の内周面に係合させてプッシュバックさせ、
前記ストリップにプッシュバックされた前記ブランクに対して形成されている前記センター孔を同心で拡大形成させる
ことを特徴とするプレス成形体の製造方法。
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