JP5941375B2 - レーザ肉盛溶接装置及び肉盛溶接部品の製造方法 - Google Patents

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本発明はレーザ肉盛溶接装置、及び肉盛溶接部品の製造方法に関する。
近年、ニアネットシェイプの直接造形、補修や耐摩耗性などの機能付与を目的とした表面処理技術等にパウダを溶加材としたレーザ肉盛が用いられている。ガスタービン翼では高温での強度に優れた材料が採用されているため、割れ感受性が高く、溶接補修が難しい。また最近では凝固組織制御された単結晶翼も使用されており、補修部の凝固組織制御による単結晶化も要求され始めている。凝固組織制御には熱流、温度勾配や成長速度の制御が必要となるが、溶接の場合にはこれらの制御は困難である。その解決策として、特許文献1には、補修部における凝固速度(G)と溶融境界における温度勾配(G)の比(G/R)が、方向凝固結晶を生じさせる値3×104℃・Sec/cm2以上になるように、入熱量および加熱パターンを制御する方法が提案されている。
特開2003-48053号公報
特許文献1に記載の方法では、積層部の結晶方位を母材と同一方向になるよう積層させる場合には、最大温度勾配の方向を母材結晶の優先成長方向に沿った方向に制御することが難しく、結晶方位の異なる結晶が発生する可能性が高くなる。これは、積層の高さが高くなるとその傾向が顕著であり、複数回の積層を行う場合には、異結晶の発生は避けられない。このように単結晶翼の溶接補修部に異結晶が生成すると、溶接割れしやすいという課題がある。
本発明の目的は、溶接部の溶接割れを抑制することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、所定の施工対象物の表面に肉盛溶接を行うレーザ肉盛溶接装置であって、前記所定の施工対象物は方向凝固制御された結晶組織を有するガスタービン翼であり、前記表面は前記ガスタービン翼の上端部の環状表面であり、前記環状表面にレーザを照射して環状の溶融池を形成するヘッドと、前記環状の溶融池に溶加材を供給する溶加材供給部とを備え、前記ヘッドは、溶接施工している間は前記環状の溶融池の全てが溶融状態を保持するように、前記環状表面に沿って前記レーザを走査させるミラー回転機構又は前記環状表面の全てに対して前記レーザを常に照射する半導体レーザ発生部を備え、前記溶加材供給部は、供給した前記溶加材が溶融凝固して肉盛部を形成する際に該肉盛部の成長が前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と一致した指向性凝固となるように、前記環状の溶融池に沿って均一に前記溶加材を供給し続ける構造又は機構を備えることを特徴とする。
また、本発明は、所定の施工対象物の表面にレーザ肉盛溶接を行った肉盛溶接部品の製造方法であって、前記所定の施工対象物は方向凝固制御された結晶組織を有するガスタービン翼であり、前記表面は前記ガスタービン翼の上端部の環状表面であり、前記環状表面にレーザを照射して環状の溶融池を形成する工程と、前記環状の溶融池に溶加材を供給する工程とを有し、前記環状の溶融池を形成する工程は、溶接施工している間は前記環状の溶融池の全てが溶融状態を保持するように、前記環状の溶融池が全て凝固する前に前記レーザを再照射する又は前記環状の溶融池の全てに対して前記レーザを常に照射する工程であり、前記溶加材を供給する工程は、供給した前記溶加材が溶融凝固して肉盛部を形成する際に該肉盛部の成長が前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と一致した指向性凝固となるように、前記環状の溶融池に沿って均一に前記溶加材を供給し続ける工程であることを特徴とする。
本発明によれば、溶接部の溶接割れを抑制することができる。
実施例1のレーザ肉盛装置の外観模式図である。 レーザ肉盛装置の拡大図である。 パウダ供給部の模式図である。 レーザ肉盛部の断面の模式図である。 実施例2のレーザ肉盛装置の外観模式図である。 レーザ肉盛装置の拡大図である。 実施例3のレーザ肉盛装置の外観模式図である。 半導体レーザヘッドの内部構造である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
図1に実施例1のレーザ肉盛装置の外観模式図を示す。本実施例ではガスタービン翼の補修を施行対象物としているが、レーザ照射部に溶加材を供給しながら、レーザが表面を走査して肉盛溶接するものであればよい。1はレーザ発振器、2は光ファイバ、3はスキャナーヘッド、4はレーザ、5はガスタービン翼、6は加工テーブル、7はパウダフィーダ、8はパウダ(溶加材)、9はパウダ供給部、10は溶融池を示している。レーザ発振器1で生成されたレーザは光ファイバ2を通じて、スキャナーヘッド3に送られる。スキャナーヘッドで集光、位置決めされたレーザ4はガスタービン翼5に照射される。レーザ4の照射によりガスタービン翼5の表面に溶融池10が形成される。パウダフィーダ7からキャリアガスとともに送給されたパウダはパウダ供給部9を通じて、溶融池10に送られる。スキャナーヘッド3を用いてレーザ4を溶接線上に高速走査させて、レーザ照射によって溶融した部分が凝固する前に、再度レーザ照射することで、溶接部が常に溶融している状態を保持した。レーザはスキャナーヘッド3の中に設けられたミラー(図示なし)を回転させることで高速操作させる。
図2はレーザ肉盛装置の拡大図である。図3はパウダ供給部を上から見た模式図である。11はパウダ供給部の保持部、12はパウダ供給管、13はパウダ導入口である。溶接対象がガスタービン翼であるため、溶接線はガスタービン翼の上端の形状となる。そのため、本実施例ではガスタービン翼の上端部と同じ形状のパウダ供給部9を作製した。パウダ供給部9はパウダ供給部の保持部11によって、スキャナーヘッド3に固定されている。パウダ供給部9はパウダの出口形状がガスタービン翼の上端部と同じ形状になっており、パウダを溶接部に振りかけるように供給することが可能である。また本実施例ではパウダ供給部9には14個のパウダ導入口13が設けられている。パウダ供給部9に対して複数箇所からパウダを供給することで、パウダ供給部内でパウダが偏りにくくなり、ガスタービン翼の上端部に均一にパウダを供給することができる。またレーザ4はパウダ供給部9の内側の空間を通過するように照射した。
図4はレーザ肉盛部の断面を横から見た模式図である。14Aはレーザ4の進行方向(紙面手前方向)、14Bはレーザ4の進行方向(紙面奥行方向)を示している。レーザ4をスキャナーヘッド3によって溶接線上を何度も高速に走査し続け、溶接線の凝固が完了する前にレーザ4を再照射する。これにより一連の溶接施工中では、溶接線の全線、即ちレーザが照射されていない時の溶接線においても溶融池10が常に形成されている。そして溶融池10の形状に合わせたパウダ供給部9から溶融池10にパウダ8を供給し続けることにより、徐々に肉盛部を高く形成することができる。
供給されるパウダが肉盛部に接触する際は、必ず肉盛部の表面が溶融した溶融池10となっている。肉盛部の内部は肉盛部の形成に伴って凝固していくが、表面は溶融した状態を保っている。つまりガスタービン翼の上端部において、擬似的な鋳造によりパウダ供給部9に向かって肉盛部を成長させることができる。このときの熱流の方向は垂直(パウダ供給部9の方向)になり、母材であるガスタービン翼の結晶の優先成長方向と一致し、指向性凝固しやすい凝固条件となる。従って、ガスタービン翼と肉盛部との溶接部の割れを抑制することができる。またパウダ供給量を調整することで、肉盛部の成長速度を制御することも可能であり、さらに指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。
さらにガスタービン翼の下部を冷却することによって、より大きな温度勾配を得ることができ、指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。また溶接線が常に溶融しているため、本実施例のように溶接線が環状の場合は終始端が存在せず、終始端で発生しやすい割れや異結晶の発生が抑制可能である。
本実施例ではシールドガスを用いていないが、パウダ供給部9にシールドガス供給機構を設けたり、別のガスノズルを用いたり、雰囲気置換したりすることで、より安定したシールドが得られる。
また本実施例ではパウダ供給部9に14個のパウダ導入口13を設けたが、パウダ導入口13の数はこれに限定されない。
また本実施例では溶加材にパウダを用いたが、溶加材の形状はこれに限定されない。
また本実施例ではレーザ4はパウダ供給部9の内側の空間を通過させて照射したが、スキャナーヘッドを複数用意して、パウダ供給部9の外側から照射することも可能である。
本実施例では、パウダ供給部が溶接部形状ではなく、管状部品で構成される場合を説明する。図5は実施例2のレーザ肉盛装置の外観模式図を示し、図6はレーザ肉盛装置の拡大図である。本実施例では実施例1と異なる点を中心に述べる。
15はパウダ供給部の駆動部、16はパウダ供給部のレールである。溶接対象をガスタービン翼とすると、溶接線はガスタービン翼の上端の形状となる。本実施例では、パウダ供給部9自身を動かしながらパウダフィーダ7から送給されたパウダを溶融池10に吹き付けた。パウダ供給部9が溶接線上を走査できるように、パウダ供給部9にはパウダ供給部の駆動部15を設け、パウダ供給のレール16上を駆動させることで、溶接線上にパウダを供給した。またパウダ供給部9はレーザ4とは独立しているため、パウダ供給部9の操作速度やパウダ供給量、パウダ供給位置を自由に調整することができる。
本実施例でも、パウダ8が供給された分だけ肉盛部を形成することができ、肉盛部の表面を常に溶融させておくことができる。従って、熱流の方向とガスタービン翼の結晶の優先成長方向とが一致し、指向性凝固しやすい凝固条件となるので、ガスタービン翼と肉盛部との溶接部の割れを抑制することができる。またパウダ供給量を調整することで、成長速度を制御することが可能であり、指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。
さらにガスタービン翼の下部を冷却することによって、より大きな温度勾配を得ることができ、指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。また溶接線が常に溶融しているため、本実施例のように溶接線が環状の場合は終始端が存在せず、終始端で発生しやすい割れや異結晶の発生が抑制可能である。
本実施例ではシールドガスを用いていないが、パウダ供給部9にシールドガス供給機構を設けたり、別のガスノズルを用いたり、雰囲気置換したりすることで、より安定したシールドが得られる。
また本実施例ではパウダ供給部9として2つの管状の部品を用いたが、形状はこれに限定されない。
また本実施例では溶加材にパウダを用いたが、溶加材の形状はこれに限定されない。
本実施例では、溶接線の溶融状態を保持する方法として半導体レーザを用いた例を述べる。図7に実施例3のレーザ肉盛装置の外観模式図を示す。本実施例ではガスタービン翼の補修を対象としている。17は半導体レーザヘッド、18はロボットアームを示している。図8に半導体レーザヘッドの内部構造を示す。19は半導体レーザ発生部を示す。半導体レーザヘッド17で生成されたレーザ4はガスタービン翼5に照射される。パウダフィーダ7からキャリアガスとともに送給されたパウダはパウダ供給部9を通じて、溶融池10に送られる。半導体レーザヘッド17は半導体レーザ発生部19を22個、溶接線形状に並べた構造となっており、溶接線と同じビーム形状を照射することが可能である。この半導体レーザヘッド17を用いてレーザを照射し続けることで、溶接部が常に溶融している状態を保持した。
本実施例では溶接対象がガスタービン翼であるため、溶接線はガスタービン翼の上端の形状となる。本実施例では、パウダ供給部9は管状の部品を採用し、パウダフィーダ7から送給されたパウダを溶融池10に吹き付けた。またパウダ供給部9はロボットアーム18に固定した。またロボットアーム18の動作はレーザ4とは独立しているため、パウダ供給部9の操作速度やパウダ供給量、パウダ供給位置を自由に調整することができる。
本実施例でも、パウダ8が供給された分だけ肉盛部を形成することができ、肉盛部の表面を常に溶融させておくことができる。従って、熱流の方向とガスタービン翼の結晶の優先成長方向とが一致し、指向性凝固しやすい凝固条件となるので、ガスタービン翼と肉盛部との溶接部の割れを抑制することができる。またパウダ供給量を調整することで、成長速度を制御することが可能であり、指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。
さらにガスタービン翼の下部を冷却することによって、より大きな温度勾配を得ることができ、指向性凝固しやすい凝固条件を得ることが可能となる。また溶接線が常に溶融しているため、本実施例のように溶接線が環状の場合は終始端が存在せず、終始端で発生しやすい割れや異結晶の発生が抑制可能である。
本実施例ではシールドガスを用いていないが、パウダ供給部9にシールドガス供給機構を設けたり、別のガスノズルを用いたり、雰囲気置換したりすることで、より安定したシールドが得られる。
また本実施例ではパウダ供給部9として2つの管状の部品を用いたが、形状はこれに限定されない。実施例1のようなパウダ供給部でもよい。
また本実施例では溶加材にパウダを用いたが、溶加材の形状はこれに限定されない。
1 レーザ発振器
2 光ファイバ
3 スキャナーヘッド(ヘッド)
4 レーザ
5 ガスタービン翼
6 加工テーブル
7 パウダフィーダ
8 パウダ
9 パウダ供給部
10 溶融池
11 パウダ供給部の保持部
12 パウダ供給管
13 パウダ導入口
14A レーザの進行方向(紙面手前方向)
14B レーザの進行方向(紙面奥行方向)
15 パウダ供給部の駆動部
16 パウダ供給部のレール
17 半導体レーザヘッド(ヘッド)
18 ロボットアーム
19 半導体レーザ発生部

Claims (8)

  1. 所定の施工対象物の表面に肉盛溶接を行うレーザ肉盛溶接装置であって、
    前記所定の施工対象物は方向凝固制御された結晶組織を有するガスタービン翼であり、前記表面は前記ガスタービン翼の上端部の環状表面であり、
    前記環状表面にレーザを照射して環状の溶融池を形成するヘッドと、
    前記環状の溶融池に溶加材を供給する溶加材供給部とを備え、
    前記ヘッドは、溶接施工している間は前記環状の溶融池の全てが溶融状態を保持するように、前記環状表面に沿って前記レーザを走査させるミラー回転機構又は前記環状表面の全てに対して前記レーザを常に照射する半導体レーザ発生部を備え、
    前記溶加材供給部は、供給した前記溶加材が溶融凝固して肉盛部を形成する際に該肉盛部の成長が前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と一致した指向性凝固となるように、前記環状の溶融池に沿って均一に前記溶加材を供給し続ける構造又は機構を備えることを特徴とするレーザ肉盛溶接装置。
  2. 請求項1に記載のレーザ肉盛溶接装置において、
    前記溶加材供給部の前記構造は、前記溶加材の出口の形状が前記ガスタービン翼上端部の前記環状表面と同じ形状になっており、当該出口が前記環状表面の上方に配置されていることを特徴とするレーザ肉盛溶接装置。
  3. 請求項1に記載のレーザ肉盛溶接装置において、
    前記溶加材供給部の前記機構は、前記溶加材のパウダを供給するパウダ供給部と、該パウダ供給部を走査駆動する駆動部と、該駆動部を乗せるレールとを備え、前記パウダ供給部が前記レール上を走査可能に構成されていることを特徴とするレーザ肉盛装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレーザ肉盛溶接装置において、
    前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と反対方向にある前記ガスタービン翼の下部を冷却する機構を更に備えることを特徴とするレーザ肉盛溶接装置。
  5. 所定の施工対象物の表面にレーザ肉盛溶接を行った肉盛溶接部品の製造方法であって、
    前記所定の施工対象物は方向凝固制御された結晶組織を有するガスタービン翼であり、前記表面は前記ガスタービン翼の上端部の環状表面であり、
    前記環状表面にレーザを照射して環状の溶融池を形成する工程と、
    前記環状の溶融池に溶加材を供給する工程とを有し、
    前記環状の溶融池を形成する工程は、溶接施工している間は前記環状の溶融池の全てが溶融状態を保持するように、前記環状の溶融池の凝固が完了する前に前記レーザを再照射する又は前記環状の溶融池の全てに対して前記レーザを常に照射する工程であり、
    前記溶加材を供給する工程は、供給した前記溶加材が溶融凝固して肉盛部を形成する際に該肉盛部の成長が前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と一致した指向性凝固となるように、前記環状の溶融池に沿って均一に前記溶加材を供給し続ける工程であることを特徴とする肉盛溶接部品の製造方法。
  6. 請求項5に記載の肉盛溶接部品の製造方法において、
    前記溶加材を供給する工程は、前記ガスタービン翼上端部の前記環状表面と同じ形状を有し該環状表面の上方に配置された溶加材供給機構から、前記溶加材を供給し続ける工程であることを特徴とする肉盛溶接部品の製造方法。
  7. 請求項5に記載の肉盛溶接部品の製造方法において、
    前記溶加材を供給する工程は、前記ガスタービン翼上端部の前記環状表面に沿って前記溶加材を供給するように走査可能に構成された溶加材供給機構から、前記溶加材を供給し続ける工程であることを特徴とする肉盛溶接部品の製造方法。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の肉盛溶接部品の製造方法において、
    溶接施工している間、前記ガスタービン翼の結晶組織の優先成長方向と反対方向にある前記ガスタービン翼の下部を冷却する工程を更に有することを特徴とする肉盛溶接部品の製造方法。
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