JP5954929B2 - 装飾部品、時計、および装飾部品の製造方法 - Google Patents

装飾部品、時計、および装飾部品の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、装飾部品、この装飾部品を用いた時計、および装飾部品の製造方法に関するものである。
例えば、自動巻腕時計に搭載されている自動巻機構は、回転錘体と回転重錘とを有する回転錘をユーザーの腕の動きで動かし、香箱車のぜんまいを巻き上げるようになっている。回転錘としては、回転錘体と回転重錘とを重金属焼結により一体成形したものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
ところで、腕時計などは、落下による衝撃で損傷しないように所定の機械的強度を確保する必要がある。しかしながら、上述の特許文献1や特許文献2のように、回転錘体と回転重錘とを重金属焼結により一体成形する場合、巻き上げ効率向上を期待できるものの、回転中心側にばね性がなくなるため、落下衝撃が加わったときに回転錘体の中心側が損傷してしまう虞がある。また、回転重錘に加わった衝撃がそのまま輪列などに伝達され、時計精度に影響を及ぼす虞がある。
このため、回転錘体と回転重錘とを別体とし、これらをレーザー溶接により一体化する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
実開平2−144789号公報 特開2000−131461号公報 特開2000−65962号公報
しかしながら、上述の特許文献3にあっては、レーザー溶接した部分が変色してしまい、美観性を損なう。このため、例えば回転錘体と回転重錘とを別途ビスなどの固定部材を用いて固定することも考えられるが、固定部材が目立ってしまい見栄えが悪くなるという課題がある。とりわけ、時計部品においては商品の装飾性を向上させるために彩色を行うことや部品間の固定部における外観の均一性などが求められる場合が多い。
また、固定部材を目立たなくするために、固定部材にメッキを施すことも考えられるが、メッキの剥離やピンホールによる経年劣化、色合いが回転錘体と合わず美観性を損なったりする虞があるという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、固定部材を用いつつ、美観性を安定して向上させることができる装飾部品、時計、および装飾部品の製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る装飾部品は、被固定部材と、この被固定部材を対象物に固定するための固定部材とを有する装飾部品において、前記被固定部材、および前記固定部材を、陽極酸化処理可能な部材としたことを特徴とする。
このように構成することで、被固定部材と固定部材との色彩の不均一を抑制することができる。また、被固定部材、および固定部材に陽極酸化処理を施すことにより、これら被固定部材、および固定部材を安定した品質で発色させることができ、外観品質の優れた装飾部品を提供できる。
本発明に係る装飾部品は、前記被固定部材、および前記固定部材を、チタン、およびチタン合金の何れか一方により形成したことを特徴とする。
このように構成することで、装飾部品の落下等に対する耐衝撃性や振動吸収性を高めることができる。また、装飾部品は、十分な耐食性を得ることができるので、例えば鉄等のような防錆処理を施す必要もなく、かつ品質の経年劣化を抑制することができる。このため、高品質で信頼性の高い装飾部品を提供することができる。
本発明に係る装飾部品は、前記被固定部材、および前記固定部材のそれぞれ同一平面上に、機械加工によって平滑化された平滑面が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、固定部材をより目立たなくさせることが可能になる。このため、さらに外観品質の優れた装飾部品を提供できる。
本発明に係る装飾部品は、前記固定部材を用いて前記被固定部材を固定した後、これら固定部材、および被固定部材を陽極酸化処理により発色させたことを特徴とする。
このように構成することで、美観性の優れた装飾部品を提供することができる。また、陽極酸化処理により発色させることで、色彩が経年劣化したり、剥離したりすることを防止できる。さらに、陽極酸化膜はナノオーダーの膜なので、部品の寸法変化を極力抑えることが可能になる。
本発明に係る装飾部品は、前記被固定部材の表面のうち、一面と他面とが異なる色で発色されていることを特徴とする。
このように構成することで、色彩のバリエーションが多い装飾部品を提供することができ、よりユーザーの要望に応じた商品を提供することが可能になる。
本発明に係る装飾部品は、前記被固定部材が回転錘体であって、この回転錘体を前記固定部材を用いて前記対象物である回転重錘に固定したことを特徴とする。
このように構成することで、美観性の優れた回転錘を提供することができる。
本発明に係る時計は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の装飾部品を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、固定部材を用いつつ、美観性を安定して向上させることができる時計を提供できる。
本発明に係る装飾部品の製造方法は、被固定部材と、この被固定部材を対象物に固定するための固定部材とを有する装飾部品の製造方法において、前記被固定部材に前記固定部材を取り付ける固定部材取付工程と、前記固定部材取付工程により一体化された前記被固定部材、および前記固定部材に、陽極酸化処理を施す陽極酸化処理工程と、前記陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材を用いて前記被固定部材を前記対象物に固定する固定工程とを有することを特徴とする。
このような方法とすることで、被固定部材と固定部材との色彩の不均一を抑制することができると共に、被固定部材、および固定部材を安定した品質で発色させることができる。このため、外観品質の優れた装飾部品を提供できる。
本発明に係る装飾部品の製造方法は、前記固定部材取付工程において、前記被固定部材、および前記固定部材のそれぞれ同一平面上に、機械加工によって平滑面を形成する平滑面形成工程を有することを特徴とする。
このような方法とすることで、固定部材を、より目立たなくさせることが可能になる。このため、さらに外観品質の優れた装飾部品を提供できる。
本発明に係る装飾部品の製造方法は、被固定部材と、この被固定部材を対象物に固定するための固定部材とを有する装飾部品の製造方法において、前記被固定部材に前記固定部材を取り付ける固定部材取付工程と、前記固定部材取付工程により一体化された前記被固定部材、および前記固定部材に、陽極酸化処理を施し、第1陽極酸化膜を形成する第1陽極酸化処理工程と、前記第1陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材、および前記被固定部の一面に形成された前記第1陽極酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、前記酸化膜除去工程を経た後、前記固定部材、および前記被固定部に再度陽極酸化処理を施し、前記一面に第2陽極酸化膜を形成する第2陽極酸化処理工程と、前記第2陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材を用いて前記被固定部材を前記対象物に固定する固定工程とを有することを特徴とする。
このような方法とすることで、被固定部材と固定部材との色彩の不均一を抑制することができると共に、色彩のバリエーションを増加することができる。
本発明によれば、被固定部材と固定部材との色彩の不均一を抑制することができる。また、被固定部材、および固定部材に陽極酸化処理を施すことにより、これら被固定部材、および固定部材を安定した品質で発色させることができると共に剥離を抑制できる。よって、外観品質の優れた装飾部品を提供できる。
本発明の第1実施形態における自動巻機構を取り外した状態でムーブメントを表側からみた平面図である。 本発明の第1実施形態における自動巻機構の概略構成図である。 本発明の第1実施形態における回転錘の平面図である。 本発明の第1実施形態における回転錘の縦断面図である。 本発明の第1実施形態における回転錘体、およびビスの縦断面図である。 本発明の第1実施形態における回転錘体、および回転重錘の製造方法の説明図であって、(a)〜(d)は各工程を示す。 本発明の回転錘体、および回転重錘の製造方法における変形例の説明図であって、(a)〜(d)は各工程を示す。 本発明の第2実施形態における回転錘の縦断面である。 本発明の第3実施形態における回転錘の縦断面である。 本発明の第3実施形態におけるC型止め輪の平面図である。 本発明の第4実施形態における回転錘の縦断面である。
(第1実施形態)
(自動巻腕時計)
次に、この発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1は、自動巻機構を取り外した状態でムーブメントを表側からみた平面図、図2は、自動巻機構の概略構成図である。
図1、図2に示すように、本発明に係る装飾部品(例えば、後述の回転錘160)が組み込まれた自動巻腕時計10は、ムーブメント100と、このムーブメント100を収納する不図示のケーシングとにより構成され、ムーブメント100に不図示の文字板が取り付けられている。ムーブメント100は、基板を構成する地板102と、一番受105と、二番受106と、てんぷ受108と、アンクル受109とを備えている。二番受106は、一番受105と地板102との間に配置される。地板102には巻真案内孔103が形成されており、ここに巻真110が回転可能に組み込まれている。
ここで、地板102の両側のうち、文字板が配置される側(図1、図2における紙面奥側)をムーブメント100の裏側と称し、文字板が配置される側とは反対側(図1、図2における紙面手前側)をムーブメント100の表側と称する。ムーブメント100の裏側には、裏輪列と称する輪列や、おしどり140、かんぬき142、およびおしどり押さえ144を含む切換装置が配置されている。この切換装置により、巻真110の軸方向の位置が決定するようになっている。
一方、ムーブメント100の表側には、表輪列と称する輪列、表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置40、および自動巻機構60等が組み込まれている。
表輪列は、香箱車120、二番車124、三番車126、四番車128により構成されている。香箱車120は、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されており、不図示のぜんまいを有している。そして、巻真104を回転させると不図示のつづみ車が回転し、さらにきち車、丸穴車(何れも不図示)、および角穴車118を介してぜんまいが巻き上げられる。
さらに、角穴車118の歯部には、板状のこはぜ117が噛合されており、これにより、角穴車118の回転が規制されるようになっている。
一方、ぜんまいが巻き戻される際の回転力により香箱車120が回転し、さらに二番車124が回転するように構成されている。二番車124は、二番受106と地板102とにより回転可能に支持されている。二番車124が回転すると、三番車126が回転する。
三番車126は、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されている。三番車126が回転すると、四番車128が回転する。四番車128は、一番受105と二番受106とにより回転可能に支持されている。四番車128が回転することにより脱進・調速装置40が駆動する。
(脱進・調速装置)
脱進・調速装置40は、てんぷ136と、がんぎ車134と、アンクル138とを備えている。アンクル138は、アンクル受109と地板102とにより回転可能に支持されている。てんぷ136は、てんぷ受108と地板102とにより回転可能に支持されている。てんぷ136は、てん真136aと、てん輪136bと、ひげぜんまい136cとを有している。
このような構成のもと、脱進・調速装置40は、二番車124が1時間に1回転するように制御する。二番車124の回転に基づいて不図示の筒かなが同時に回転するように構成されており、この筒かなに取り付けられた不図示の分針が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなには、二番車124に対するスリップ機構が設けられている。筒かなの回転に基づいて、日の裏車の回転を介し、筒車(何れも不図示)が12時間に1回転するように構成されている。そして、筒車に取付けられた不図示の時針が「時」を表示するようになっている。
さらに、二番車124の回転により、三番車126の回転を介し、四番車128が1分間に1回転するように構成されている。四番車128には、不図示の秒針が取り付けられている。
(自動巻機構)
自動巻機構60は、この自動巻機構60を構成する回転錘160をユーザーの腕の動きで動かし、香箱車120の不図示のぜんまいを巻き上げるものである。また、回転錘160は、不図示のぜんまいを巻き上げる役割を有していると共に、不図示のケーシングが透過性の部材により形成されている場合等、自動巻腕時計10の外観を構成する装飾部品としての役割を有している。
このような回転錘160は、ボールベアリング162と、回転錘体164と、回転重錘166とを有している。ボールベアリング162は、内輪と、外輪と、これら外輪と内輪との間に設けられた複数のボール(何れも不図示)とを有しており、内輪がボールベアリング止めねじ168を介して一番受105に固定されている。
(回転錘体、および回転重錘)
図3は、回転錘の平面図、図4は、回転錘の縦断面図、図5は、回転錘体、およびビスの縦断面図である。
図2〜図5に示すように、回転錘160の回転錘体164は、陽極酸化処理が可能なチタン(Ti)、およびチタン合金の何れか一方により、平面視略扇状に形成されたものである。回転錘体164の回転中心には、ボールベアリング162が配置され、ボールベアリング162の外輪と回転錘体164とが固定されている。
また、回転錘体164の外周縁に回転重錘166が固定部材としてのビス61を介して固定されている。ビス61は、回転錘体164と同様に、陽極酸化処理が可能なチタン、およびチタン合金の何れか一方により形成されている。ここで、回転錘体164、およびビス61は、同一の部材であることが望ましい。つまり、回転錘体164がチタンにより形成されている場合、ビス61もチタンにより形成し、回転錘体164がチタン合金により形成されている場合、ビス61もチタン合金により形成する。
図5に詳示するように、回転錘体164の外周部46には、ビス61を挿通可能な挿通孔164aが複数(この第1実施形態では3つ)形成されている。これら挿通孔164aにはそれぞれ予めビス61が挿入され、一体になっている。さらに、このように一体になった状態で、予め回転錘体164の表面、およびビス61の露出している箇所に陽極酸化膜64が形成され、全体が発色されている。陽極酸化膜64は、十分な厚み、例えば、数十μm〜数百μmで被覆されている。この製造方法についての詳細は後述する。
一方、回転重錘166は、重金属粉末を主成分とするコンパウンド、例えばタングステン(W)にニッケル(Ni)や銅(Cu)を含有させた粉末を成形・焼成することにより形成されたものである。また、真鍮等を用いてもよい。
回転重錘166は、回転錘体164の外周縁に対応するように湾曲形成されており、回転錘体164を載置可能な座面63aと、座面63aの外周部に立ち上がり形成され、回転錘体164の外周縁を覆う外周壁63bとを有している。座面63aには、回転錘体164の挿通孔164aに対応する箇所に、ビス61を挿通可能な挿通孔166aが形成されている。
このような構成のもと、回転重錘166の座面63aに、ビス61と一体化され、かつ表面に陽極酸化膜64が形成されている回転錘体164の外周部46を載置すると共に、回転重錘166の挿通孔166aにビス61を挿入する。この後、ビス61の先端を座屈変形させることにより、回転錘体164と回転重錘166とが一体化される。
図2に戻り、ボールベアリング162の外輪には、回転錘かな178が設けられている。この回転錘かな178は、一番伝え車182の一番伝え歯車182aに噛合わされる。一番伝え歯車182aは、一番受105と地板102とにより回転可能に支持されている。さらに、一番伝え車182と一番受105との間には、つめレバー180が組み込まれている。つめレバー180は、一番伝え車182の軸心から偏心した形で取り付けられたものであって、引きつめ180a、および押しつめ180bを有している。これら引きつめ180a、および押しつめ180bは、二番伝え車184の二番伝え歯車184aに噛合わされる。
二番伝え車184は、二番伝え歯車184aの他に二番伝えかな184bを有している。二番伝え歯車184aは、回転錘体164と一番受105との間に位置している。一方、二番伝えかな184bは、角穴車118と噛み合うようになっている。
そして、二番伝え歯車184aに噛合うつめレバー180の引きつめ180a、および押しつめ180bは、二番伝え歯車184aの中心に向かって弾性力により付勢されている。
このような構成のもと、回転錘160が回転すると、回転錘かな178も同時に回転し、回転錘かな178の回転により、一番伝え車182が回転する。この一番伝え車182の軸心から偏心した形で取り付けられているつめレバー180は、一番伝え車182の回転により往復運動を行う。そして、引きつめ180a、および押しつめ180bにより二番伝え車184を一定の方向に回転させる。すると、二番伝え車184の回転により角穴車118が回転し、香箱車120の不図示のぜんまいを巻き上げる。
(回転錘体、および回転重錘の製造方法)
次に、図6に基づいて、回転錘の回転錘体164、および回転重錘166の製造方法について説明する。図6は、回転錘体、および回転重錘の製造方法の説明図であって、(a)〜(d)は各工程を示す。
まず、図6(a)に示すように、回転錘体164の挿通孔164aにビス61を挿入する(固定部材取付工程)。このとき、回転錘体164やビス61の製作誤差により、ビス61の頭部61aが回転錘体164の一面164bから突出した状態、または凹んだ状態になる場合がある。
図6(a)においては、回転錘体164の一面164bからビス61が突出した状態を示す。なお、図6(a)は、ビス61の突出状態を認識し易くするために、縮尺を適宜変更している。
次に、図6(b)に示すように、互いに同一平面上にある回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを機械加工により研磨し、回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを平滑化する。これにより、回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aに、これらが面一となった平滑面68が形成される(平滑面形成工程)。また、平滑面68を形成することにより、回転錘体164とビス61との境目が目立たなくなる。
続いて、図6(c)に示すように、回転錘体164、およびビス61を一体化した状態で陽極酸化処理を施す(陽極酸化処理工程)。
具体的には、例えばリン酸水溶液の電解液中に、チタン板を浸漬して陰極とすると共に、一体化された回転錘体164、およびビス61を浸漬し、電解電圧を印加して陽極とする。すると、回転錘体164の表面、およびビス61の露出している部分にチタン酸化物の陽極酸化膜64が形成され、回転錘体164、およびビス61が発色される。このとき、回転錘体164とビス61とを同一部材により形成することで、回転錘体164、およびビス61の全体に、均一な陽極酸化膜64が形成され、色彩の不均一が生じることがない。
次に、図6(d)に示すように、回転重錘166の座面63aに回転錘体164の外周部46を載置すると共に、回転重錘166の挿通孔166aにビス61を挿入する。この後、ビス61の先端を座屈変形させることにより、回転重錘166に回転錘体164を固定する(固定工程)。このとき、回転錘体164と回転重錘166との間に隙間が形成された状態であってもよいし、両者164,166が完全に密着した状態であってもよい。
(効果)
したがって、上述の第1実施形態によれば、回転錘体164とビス61との色彩の不均一を抑制でき、ビス61を目立たなくさせることができる。また、回転錘体164、およびビス61に陽極酸化膜64を形成して発色させることにより、美観性の品質を安定させることができる。さらに、陽極酸化処理により発色させることで、色彩が経年劣化したり、剥離したりすることを防止できる。そして、陽極酸化膜64はナノオーダーの膜なので、部品の寸法変化を極力抑えることが可能になる。このため、製作精度が高く、かつビス61を用いて回転錘体164を固定してもデザイン性の高い回転錘160を提供できる。
また、回転錘体164やビス61を、チタン、およびチタン合金の何れか一方により形成することで、回転錘160の落下等に対する耐衝撃性や振動吸収性を高めることができる。また、十分な耐食性を得ることができるので、例えば鉄等のような防錆処理を施す必要もなく、かつ品質の経年劣化を抑制することができる。
さらに、回転錘体164の挿通孔164aにビス61を挿入した後、一旦、回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを機械加工により研磨し、これらが面一となった平滑面68を形成している。このため、さらにビス61を目立たなくさせることができ、より外観品質の優れた回転錘160を提供できる。
なお、上述の第1実施形態では、回転錘体164、およびビス61の全体に均一な陽極酸化膜64が形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、回転錘体164の表裏面でそれぞれ陽極酸化膜64の膜厚を変化させるように構成してもよい。より具体的に以下の図7に基づいて、回転錘体164の表裏面でそれぞれ陽極酸化膜64の膜厚を変化させる製造方法について説明する。
(第1実施形態の変形例)
図7は、回転錘体、および回転重錘の製造方法の説明図であって、(a)〜(d)は各工程を示す。なお、以下の説明において、回転錘体164の挿通孔164aにビス61を挿入する固定部材取付工程、および回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを平滑化する平滑面形成工程は、前述の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
ここで、回転錘体164、およびビス61には、第1陽極酸化処理工程と、第2陽極酸化処理工程の2回の陽極酸化処理が施される。
すなわち、まず図7(a)に示すように、平滑面形成工程を経た回転錘体164、およびビス61に、第1陽極酸化処理工程を行い、回転錘体164、およびビス61の全体に膜厚が均一な高圧陽極酸化膜64aを形成する。第1陽極酸化処理工程では、後工程の第2陽極酸化処理工程よりも印加される電解電圧の値が高く設定されている。
続いて、図7(b)に示すように、回転錘体164、およびビス61の平滑面68上に形成されている高圧陽極酸化膜64aを物理的手法により除去する(酸化膜除去工程)。
この後、回転錘体164、およびビス61に、第2陽極酸化処理工程を行う。このとき、第2陽極酸化処理工程における電解電圧の値は、第1陽極酸化処理工程における電解電圧の値よりも低い。このため、第1陽極酸化処理工程において形成された高圧陽極酸化膜64a上には、新たに酸化膜が形成されることがない。
一方、図7(c)に示すように、物理的手法により高圧陽極酸化膜64aが除去されている平滑面68上には、新たに低圧陽極酸化膜64bが形成される。この低圧陽極酸化膜64bは、第2陽極酸化処理工程における電解電圧の値が低い分、高圧陽極酸化膜64aと比較して薄膜になる。これにより、回転錘体164の表裏面、つまり、一面164bと他面164cとでそれぞれ陽極酸化膜64a,64bの膜厚を変化させることができる。
この後、図7(d)に示すように、回転重錘166の座面63aに回転錘体164の外周部46を載置すると共に、回転重錘166の挿通孔166aにビス61を挿入する。この後、ビス61の先端を座屈変形させることにより、回転重錘166に回転錘体164を固定する(固定工程)。このとき、回転錘体164と回転重錘166との間に隙間が形成された状態であってもよいし、両者164,166が完全に密着した状態であってもよい。
したがって、上述の第1実施形態の変形例によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、陽極酸化膜64a,64bの膜厚を変化させることにより、回転錘体164の表裏面の色彩をそれぞれ変化させることができる。このため、色彩のバリエーションが多い回転錘160を提供することができ、よりユーザーの要望に応じた商品を提供することが可能になる。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を図1、図2を援用し、図8に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態についても同様)。
図8は、この第2実施形態における回転錘の縦断面である。
この第2実施形態において、自動巻腕時計10は、ムーブメント100を有し、ムーブメント100の表側に、表輪列と称する輪列、表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置40、および自動巻機構60等が組み込まれている点、自動巻機構60の回転錘260は、ボールベアリング162と、回転錘体164と、回転重錘266とを有し、これら回転錘体164、および回転重錘266がビス261を介して固定されている点、回転錘体164、およびビス261は、陽極酸化処理が可能なチタン、およびチタン合金の何れか一方により形成されている点、回転錘体164、およびビス261を一体化した状態で予め陽極酸化処理を施し、この後回転重錘266に回転錘体164を固定している点等の基本的構成は、前述した第1実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
ここで、図8に示すように、第2実施形態と第1実施形態の相違点は、ビス261の形状にある。すなわち、第2実施形態のビス261には、先端にカシメ用凹部262が形成されている。このカシメ用凹部262が形成されていることによってビス261の先端の剛性が弱まり、この先端を拡径変形させやすくなる。
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、ビス261の先端を容易に変形させることができる分、組立て作業性を向上させることができる。
なお、第2実施形態の回転重錘266は、回転錘体164の外周縁に対応するように湾曲形成されているものの、回転錘体164の外周縁を覆う外周壁を有しておらず、回転錘体164を載置可能な座面63aのみを有している(以下の実施形態についても同様)。このように、回転重錘266が回転錘体164の一面164bとは反対側の面(図8における下面)のみに取り付けられるように構成してもよい。
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を図9、図10に基づいて説明する。
図9は、この第3実施形態における回転錘の縦断面である。
同図に示すように、第3実施形態と前述の第2実施形態との相違点は、回転重錘266に対する回転錘体164の固定方法にある。すなわち、回転錘360は、回転錘体164と、回転重錘266とを有しており、回転錘体164の挿通孔164a、および回転重錘266の挿通孔266aに挿入されたビス61と、このビス61に係合可能なC型止め輪69とにより、回転錘体164と回転重錘266とが互いに固定されている。
図10は、C型止め輪の平面図である。
同図に示すように、C型止め輪69は、Cリング部69aと、このCリング部69aの内周縁に突設された歯部69bとが一体成形されたものである。Cリング部69aには、径方向の内外が導通される切込み部70が形成されている。この切込み部70を拡げることにより、Cリング部69aが拡径変形するようになっている。
また、歯部69bは、弾性変形可能に構成されており、ビス61の外周面に係合可能になっている。
このような構成のもと、回転重錘266の座面63aに回転錘体164の外周部46を載置すると共に、回転重錘266の挿通孔266aにビス61を挿入する。この後、ビス61の先端に、この径方向外側からC型止め輪69を取り付ける。
具体的には、Cリング部69aの切込み部70を拡げて拡径変形させ、ここにビス61を径方向外側から挿入するようにしてC型止め輪69を取り付ける。すると、C型止め輪69の歯部69bがビス61に食い込み、このビス61とC型止め輪69とが係合する。そして、C型止め輪69により、ビス61の抜け方向が規制される。
ここで、C型止め輪69は、ビス61の先端に、この径方向外側から取り付けられるので、ビス61に形成されている陽極酸化膜64を殆ど傷つけることがない。
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上述の第3実施形態では、C型止め輪69は、Cリング部69aと、このCリング部69aの内周縁に突設された歯部69bとが一体成形されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、C型止め輪69をCリング部69aのみで構成してもよい。このような場合、ビス61の先端にC型止め輪69を受け入れる溝を形成する。
(第四実施形態)
次に、この発明の第4実施形態を図11に基づいて説明する。
図11は、この第4実施形態における回転錘の縦断面である。
同図に示すように、第4実施形態と前述の第1実施形態との相違点は、第1実施形態の回転錘160は、ビス61の先端を座屈変形させて回転錘体164と回転重錘166とを固定しているのに対し、第4実施形態の回転錘460は、回転重錘266を変形させて回転錘体164と回転重錘266とを固定している点にある。
すなわち、回転重錘266には、座面63aの裏側に、挿通孔266aの周囲を取り囲むように工具打ち込み部71が形成されている。そして、この工具打ち込み部71に不図示の工具を打ち込むと、挿通孔266aが軸心側に向かって変形し、ビス61の外周面に食い込むようになっている。
このように構成した場合であっても、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、回転錘体164、およびビス61,261は、チタン、およびチタン合金の何れか一方により形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、回転錘体164、およびビス61,261は、少なくとも陽極酸化処理可能な部材により形成されていればよい。例えば、チタン、およびチタン合金に代えて、マグネシウム(Mg)、マグネシウム合金、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、タングステン、モリブデン(Mo)等の金属材料を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、回転錘体164の挿通孔164aにビス61を挿入した後、回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを機械加工により研磨して平滑面68を形成する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、回転錘体164の一面164b、およびビス61の頭部61aを平滑化することなく、回転錘体164、およびビス61に陽極酸化処理を施してもよい。このように構成する場合であっても、回転錘体164を形成する部材とビス61を形成する部材とを完全同一、またはほぼ同一とすることにより、両者164,61の色味を合わせることができ、ビス61を目立たなくさせることができる。
さらに、上述の実施形態では、回転錘体164を回転重錘166,266に固定するための固定部材として、ビス61,262を用いた場合について説明した。しかしながら、固定部材はビス61,262に限られるものではなく、回転重錘166,266に回転錘体164を固定できる陽極酸化処理可能なものであればよい。例えば、ビス61,262に代わってボルトを用いてもよい。
また、上述の実施形態では、自動巻腕時計10のムーブメント100に組み込まれ、被固定部材である回転錘体164と、これを対象物である回転重錘166,266に固定するために、固定部材であるビス61,261を用い、回転錘体164とビス61,261とを陽極酸化処理可能な部材として陽極酸化処理を施した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、被固定部材が固定部材を介して対象物に固定されているさまざまな装飾部品に、上述の実施形態を採用することができる。
10 自動巻時計(時計)
61,261 ビス(固定部材)
64 陽極酸化膜
64a 高圧陽極酸化膜
64b 低圧陽極酸化膜
68 平滑面
160,260,360,460 回転錘(装飾部品)
164 回転錘体(被固定部材)
164b 一面
164c 他面
166 回転重錘(対象物)

Claims (3)

  1. 回転錘体と、
    前記回転錘体と同一の部材であって、前記回転錘体を回転重錘に固定するための固定部材とを有する回転錘の製造方法において、
    前記回転錘体に前記固定部材を取り付ける固定部材取付工程と、
    前記固定部材取付工程により一体化された前記回転錘体、および前記固定部材に、陽極酸化処理を施す陽極酸化処理工程と、
    前記陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材を用いて前記回転錘体を前記回転重錘に固定する固定工程とを有することを特徴とする回転錘の製造方法。
  2. 前記固定部材取付工程において、
    前記回転錘体、および前記固定部材のそれぞれ同一平面上に、機械加工によって平滑面を形成する平滑面形成工程を有することを特徴とする請求項1に記載の回転錘の製造方法。
  3. 回転錘体と、この回転錘体を回転重錘に固定するための固定部材とを有する回転錘の製造方法において、
    前記回転錘体に前記固定部材を取り付ける固定部材取付工程と、
    前記固定部材取付工程により一体化された前記回転錘体、および前記固定部材に、陽極酸化処理を施し、第1陽極酸化膜を形成する第1陽極酸化処理工程と、
    前記第1陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材、および前記回転錘体の一面に形成された前記第1陽極酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、
    前記酸化膜除去工程を経た後、前記固定部材、および前記回転錘体に再度陽極酸化処理を施し、前記一面に第2陽極酸化膜を形成する第2陽極酸化処理工程と、
    前記第2陽極酸化処理工程を経た後、前記固定部材を用いて前記回転錘体を前記回転重錘に固定する固定工程とを有することを特徴とする回転錘の製造方法。
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