JP5955236B2 - 血中クレゾール低下剤 - Google Patents
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Description
また、本発明は、腎不全患者における食事制限のもとで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)改善に繋がる栄養組成物形態の血中クレゾール低下剤に関する。
血液中のクレゾールは、主に硫酸抱合体(p−クレシル硫酸)で存在し、アルブミンと結合した状態で循環していると考えられている。
正常な腎機能のもとでは、血中のクレゾールは尿により排泄され、その血中濃度は低く保たれている。しかしながら、腎機能が低下した腎不全患者(透析患者含む)では、血中のクレゾールの尿による排泄が正常に行われず、その血中濃度が高くなっている。
しかしながら、クレゾールは透析によって除去しにくいという問題がある(特許文献1参照)。
特許文献1には、乳酸菌製剤の投与により、糞便中のp−クレゾール濃度が低下したことについて記載されているが、血漿中のp−クレゾール濃度については、有意差が認められなかったことが記載されている。
そこで、本発明は、腎不全患者において、クレゾールの血中濃度を低下させる手段を提供することを課題とする。
また、腎不全患者においては、水分、電解質、栄養素等の摂取量などの許容範囲が狭く、厳密な食事制限が必要とされている。そのため、腎不全患者においては、その熱量や成分をコントロールした栄養組成物の摂取が必須である場合が多い。
そこで、本発明は、腎不全患者における栄養補給に用いられる組成物、すなわち栄養組成物であって、クレゾールの血中濃度を低下させるための栄養組成物を提供することを課題とする。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者におけるクレゾールの血中濃度を有意に低下させるものである。また、本発明の血中クレゾール低下剤の有効成分である難消化性デキストリンは、食品原料としても知られるものであり、安全性が高い。
すなわち、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者において、難消化性デキストリンを投与する場合において、1日あたりの難消化性デキストリンの投与量を所定量以上とすることにより、クレゾールの血中濃度を低下させることが可能となる。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者において必要となる食事制限の下でも、必要なエネルギーを摂取しながら、しかもクレゾールの血中濃度を低下させることを可能とするものである。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、クレゾールの血中濃度を低下させることを実現しながら、効率よいエネルギー補給を可能とするものであり、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の向上に有用である。
また、本発明の血中クレゾール低下剤は、有効成分として、従来、食品原料などに用いられている難消化性デキストリンを含有させることができるため、安全性に優れるものである。
特に、本発明の栄養組成物の形態の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者における食事制限のもとで、血中クレゾール濃度の増加により引き起こされる様々な病態、疾患、症状の発生、悪化のリスクを低減させることを可能とするものであり、腎不全患者のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)改善に大きく寄与するものである。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者において、血中のクレゾール濃度を低下させるためのものである。すなわち、腎機能の不全により血液中のクレゾール濃度が増加している状態に対して、そのクレゾール濃度を低下させるためのもの、又は腎機能の不全により血液中のクレゾール濃度が増加し得る状態において、血中のクレゾール濃度を増加させないためのものである。
また、上記腎疾患の病期(ステージ)も特に制限されない。ステージ1〜5、透析患者(ステージ5D)の何れの患者にも使用することが可能である。また、本発明の血中クレゾール低下剤は、透析患者にも好適に用いることができる。これは、クレゾールは、透析によって除去しにくい物質であるためである(特許文献1参照)。
具体的には例えば、澱粉を酸性下で加熱処理して得られる焙焼デキストリンを、α−アミラーゼで加水分解処理し、さらに必要に応じて、グルコアミラーゼ処理、イオン交換樹脂クロマトグラフィー処理などの精製処理などを施して得ることができる。その分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜10,000の範囲のものを用いることができる。分子量が500未満のものは呈味性の面で、また分子量10,000以上のものは呈味性、食感の面で劣るものもあるので、本発明においては、分子量は500〜10,000であることが良い。
本発明の血中クレゾール低下剤の剤形は特に制限されない。たとえば、顆粒、粉末、カプセル、ペースト、ゲル剤、液剤などが好ましく挙げられる。製剤化においては、通常の賦形剤を用いることができ、乳糖等が好ましく用いられる。本発明の血中クレゾール低下剤は、上述した難消化性デキストリンを、必要に応じて賦形剤などを用い、常法により製剤化することで製造することができる。
栄養組成物の形態で提供される血中クレゾール低下剤は、水分摂取量を抑える観点から、エネルギー換算で、例えば、1.0〜2.0kcal/mlの高カロリーであることが好ましく、さらに摂取のしやすさの観点から、特に1.1〜1.3kcal/mlとなるように調製することが好ましい。
また、腎不全患者用という観点から、1日投与単位の総熱量は、経口投与の場合で150〜300kcal、経管投与の場合で900〜1200kcalとすることが、通常好ましい。
経口投与の場合、難消化性デキストリンの含有量は、例えば、エネルギー100kcalあたり、好ましくは1g以上、さらに好ましくは1〜5.4g、より好ましくは2〜2.7gとすることができる。
また、このような栄養組成物の形態は、投与、摂取のしやすさから、液状、ゲル状のものなどが好ましい。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、上記難消化性デキストリンの他、炭水化物、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン等を食事摂取基準における必要量、推奨量等に基づいて、適宜含有するものである。
このような疾患、症状として、血管障害が挙げられる。血管障害としては、血管石灰化、血管内皮細胞の増殖低下、血管内皮細胞の透過性の上昇、血管内皮細胞の応答性の減弱、血小板凝集機能の低下、動脈硬化が挙げられる。また、上記疾患、症状として、免疫力の低下、心疾患、老化等が挙げられる。また、血中クレゾール濃度の増加は、さらなる腎機能の不全を引き起こすことも知られている。従って、本発明の血中クレゾール低下剤は、腎疾患の進行の予防のためにも用いることができる。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者における血管障害治療剤として用いることが好ましい。
腎不全モデルラットである5/6腎臓摘出ラットを用いて、難消化性デキストリンによる血清p−クレゾールの低下作用を検討した。
試験には、腎不全群として、5/6腎臓摘出を実施したSDラット(8週齢,Crl:CD)12匹を用いた。これらのラットを2週間馴化した後、表1に示すように6匹ずつをコントロール群と難消化性デキストリン投与群の2群に分け、それぞれの群に、表1に示す配合を有する難消化性デキストリンを含む飼料と難消化性デキストリンを含まない飼料を1週間自由摂取させた。また、非腎不全群として、腎臓摘出を実施しないSDラット(8週齢,Crl:CD)6匹に対し、難消化性デキストリンを含まない飼料を同様に自由摂取させた。
1週間の自由摂取後、各ラットを解剖して採血し、血清p−クレゾール濃度を測定した。
p−クレゾール濃度の測定方法は以下のとおりである。
β−グルクロニダーゼ及び酸性加熱処理により、抱合体及びアルブミン結合を除去後、塩化ナトリウムを添加し、酢酸エチルで抽出し、HPLC測定した。内部標準には、p−イソプロピルフェノールを使用した。
なお、以下の表1において、%(パーセント)は、質量による記載である。
これより、難消化性デキストリンを腎不全のラットに投与することにより、血液中のp−クレゾール濃度を有意に低下させることができることが分かった。
<実施例1>
内容量が125mlの腎疾患患者用経口栄養組成物(腎不全患者向けエネルギー補充用流動食:コーヒー風味)を、表3に記載される組成、成分量(エネルギー100kcalあたりの配合量)に基づいて常法により製造した。
Claims (4)
- 難消化性デキストリンを有効成分とする、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者用の血管障害治療のための血中クレゾール低下剤。
- 栄養組成物の形態で用いられる、請求項1に記載の血中クレゾール低下剤。
- 難消化性デキストリンを、1日あたり3g以上投与して用いるための、請求項1又は2に記載の血中クレゾール低下剤。
- 難消化性デキストリンを有効成分とする、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者用の血管障害治療のための血中クレゾール低下用食品。
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