JP5962321B2 - 液滴吐出装置およびこれを用いたインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出装置およびこれを用いたインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インク滴を吐出して画像を形成する液滴吐出装置、及びこれを用いたインクジェット記録装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ、複写機、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインクジェット記録装置が知られている。このインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドからインク滴を用紙やOHPなどの被記録媒体上に吐出して所望の画像を形成するものである。
インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドまたはヘッドともいう)としては、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用い、インク流路の壁面を形成する振動板を前記圧電素子で微振動させることにより、インク流路内の容積を変化させてインク滴を吐出させる、いわゆる圧電型のものが知られている。
上記のような記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置は近年高速化が進み、高速化実現のために、ライン走査型インクジェット記録装置が提案されている。この装置は、記録用紙(記録媒体)の幅方向に延びる長尺状のインクジェット記録ヘッドを用い、その記録ヘッドには記録用紙の幅方向に沿ってインク粒子吐出用のノズル孔が列状に配置され、構成されている。この記録ヘッドを記録用紙面に対向させた状態で、上述のノズル孔からインク粒子を吐出させ、同時に記録用紙を連続移動させて主走査を行う。主走査とは、記録用紙の移動方向への走査を意味し、各ノズル孔が対向する記録用紙の主走査方向の線を主走査線と呼ぶ。このような制御により、記録用紙の走査線へ選択的に記録ドットを形成し、記録用紙上に記録画像が形成される。
このようなライン走査型インクジェット記録装置には、コンティニュアスインクジェット方式の記録ヘッドを使用するものと、オンデマンドインクジェット方式の記録ヘッドを使用するものとがある。オンデマンド方式のインクジェット記録装置は、コンティニュアス方式の記録装置に比べて記録速度では及ばないが、インクシステムが非常に簡単である等のため、普及型の高速記録装置を提供するのに適している。特許文献1には、オンデマンド方式のインクジェット記録装置で使用される代表的な記録ヘッドが開示されている。
ライン走査型インクジェット記録装置の場合、画質の安定が見込まれるように、通常は記録媒体が定速に加速した後、或いは減速を開始する前の、安定した定速の用紙搬送が行われている状態で印刷を行う。しかし、特に連続した記録媒体に印刷する場合、加速中或いは減速中に記録ヘッドを通過する記録媒体は印刷されずに無駄紙(損紙)となってしまうため、加速中或いは減速中にも印刷を行うインクジェット記録装置も紹介されている(例えば特許文献2参照)。
上記のように一定速度ではない中で印刷を行う場合、記録媒体の速度変動により着弾位置にずれが生じるおそれがある。このような着弾位置ずれを防ぐ目的で、特許文献2のインクジェット記録装置では、記録媒体の搬送速度を検出して、これに基づいてインクの吐出タイミングを設定している。
しかしながら、この吐出タイミングの設定を、ヘッド(インクジェット記録ヘッド)の周波数特性に関わらずに行っているため、インクの吐出滴速度や吐出滴サイズが変化し、さらにはサテライトの発生が増大するおそれもある。サテライトとは、主たるインク滴に付随して発生する、不要な微小インク滴のことである。
すでに述べた、圧電型の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置では、ヘッドにおける個別の圧力発生室の共振周波数によりインクに生じる残留振動の影響で、記録媒体の搬送速度が定速に達した後の速度変動に応じて吐出タイミングを設定すると、吐出滴速度や吐出滴サイズが変化する。この現象は高周波領域において顕著になる。
これを防ぐため、特許文献3では、ヘルムホルツ周波数に合わせて上述の吐出タイミングを設定する技術が開示されている。
しかし、記録媒体の搬送速度の変動により、吐出タイミングが離散的になることで着弾位置ずれが生じることが避けられないという問題があった。特に、高速で記録媒体を搬送して印刷する場合にはこの吐出タイミングのずれが着弾位置ずれに与える影響が大きくなる。
本発明は、記録媒体の速度変動によらずに安定した吐出滴サイズで吐出し、着弾位置のずれを抑えることが可能な液滴吐出装置(インクジェット記録ヘッド)、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の液滴吐出装置は、複数のノズルに連通して液滴を蓄える複数の圧力室と、圧力室の弾性壁を形成するように複数の圧力室にわたって配置された振動板と、振動板を介して複数の圧力室のそれぞれと対向するように配置された圧力発生素子と、液滴を着弾させる記録媒体の移動距離を等位置間隔で検出し、前記等位置間隔で検出した周期の信号である用紙搬送エンコーダ信号を出力する用紙搬送エンコーダと、用紙搬送エンコーダから出力された用紙搬送エンコーダ信号に基づいて液滴の吐出タイミングの周期を設定し、この吐出タイミングの周期の信号である吐出タイミング信号と、圧力発生素子を駆動する駆動波形であって、吐出タイミングの周期に応じた駆動波形のデータとを出力する制御部と、を備え、記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際には、制御部は、吐出タイミング信号の周波数の整数倍が、複数の圧力室の共振振動の周波数と同期するように吐出タイミングを補正する第1の補正と、第1の補正に起因して生じる記録媒体への液滴の着弾位置ずれをなくすように、駆動波形の傾きを補正する第2の補正とを行うものである。
本発明によれば、記録媒体の速度変動によらずに安定した吐出滴サイズで吐出し、着弾位置のずれを抑えることができる。
本発明を適用するオンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置における全体構成の一例を示す概略構成図である。 実施の形態のインクジェット記録装置に用いられるヘッド部の構成を示す説明図である。 ヘッド部に用いられるインクジェット記録ヘッドの一例を示す拡大平面図である。 インクジェット記録ヘッドの分解斜視図である。 実施の形態に係るインク滴吐出制御部のブロック図である。 実施の形態の第1の補正に係るインク滴出制御を説明するためのタイミングチャートである。 インクジェット記録ヘッドの駆動波形の一例を示す図である。 実施の形態の第2の補正に係る説明図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るオンデマンド方式におけるライン走査型インクジェット記録装置の全体構成を示す概略構成図である。
同図に示すようにインクジェット記録装置1は、用紙供給部2と用紙回収部13の間に配置されている。用紙供給部2から高速で繰り出された連続した用紙mはインクジェット記録装置1で所望のカラー画像が形成され、用紙回収部13で巻き取り回収される。
インクジェット記録装置1内の用紙搬送装置は、用紙供給部2から供給された用紙mの幅方向の位置決めを行う規制ガイド3、従動ローラと駆動ローラで構成されたインフィード部4、用紙mの張力に対応して上下して位置信号を出力するダンサローラ5、用紙mの蛇行を制御するEPC(Edge Position Control)6、蛇行量のフィードバックに使用する蛇行量検出器7、用紙mを設定された速度で搬送するために一定速度で回転する従動ローラと駆動ローラからなるアウトフィード部11、用紙mを装置外に排紙する駆動ローラと従動ローラからなるプラー12などを有している。
この用紙搬送装置は、ダンサローラ5の位置検出を行い、インフィード部4の回転を制御して搬送中の用紙mの張力を一定に保つ張力制御型の搬送装置である。
またインクジェット記録装置1内には、記録手段8と、その記録手段8と対向するように設けられたプラテン9と、乾燥手段10が設けられている。
記録手段8は印字ノズルを印刷幅全域に配置したライン状の記録ヘッドを有し、カラー印刷はクロ、シアン、マゼンダ、イエローの各記録ヘッドにより行われ、各記録ヘッドのノズル面はプラテン9上に所定の隙間を保って支持されている。記録手段8が用紙搬送速度に同期してインク滴吐出を行うことで、用紙m上にカラー画像を形成する。
乾燥手段10は、記録手段8により印刷されたインクが他の部分へ付着することを防止するためにインクの乾燥・定着を行う。本実施例において乾燥手段10は非接触の乾燥装置を用いているが、接触式の乾燥装置であってもよい。
次に、本発明の実施の形態の液滴吐出装置について、図2〜図8を用いて説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置(インクジェット記録ヘッド、15)は、複数のノズル(16)に連通して液滴を蓄える複数の圧力室(18)と、圧力室の弾性壁を形成するように複数の圧力室にわたって配置された振動板(22)と、振動板を介して複数の圧力室のそれぞれと対向するように配置された圧力発生素子(圧電素子、28)と、液滴を着弾させる記録媒体と該記録媒体を搬送する手段との相対的な位置を等位置間隔で検出し、前記等位置間隔で検出した周期の信号である用紙搬送エンコーダ信号を出力する用紙搬送エンコーダ(33)と、用紙搬送エンコーダから出力された用紙搬送エンコーダ信号に基づいて液滴の吐出タイミングの周期を設定し、この吐出タイミングの周期の信号である吐出タイミング信号と、圧力発生素子を駆動する駆動波形であって、吐出タイミングの周期に応じた駆動波形のデータとを出力する制御部と、を備え、記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際には、制御部は、吐出タイミング信号の周波数の整数倍が、複数の圧力室の共振振動の周波数と同期するように吐出タイミングを補正する第1の補正と、第1の補正に起因して生じる記録媒体への液滴の着弾位置ずれをなくすように、駆動波形の傾きを補正する第2の補正とを行うものである。
本実施の形態では、上述の制御部は、インクの温度やヘッドの特性、さらには後述する吐出滴速度補正に応じてマトリックス的に選択される駆動波形のデータとを出力するマスタコントローラ32と、マスタコントローラ32から受信した駆動波形データをメモリ34に格納し、吐出タイミング信号を受信するとメモリ34から駆動波形データを読み出し出力するスレーブコントローラ35とからなる。
図2は、図1の記録手段8を構成する、ヘッド部の構成の一例を示す拡大平面図である。 本実施例の場合ヘッドアレー(ヘッド部)14は、クロ用ヘッドアレー14K、シアン用ヘッドアレー14C、マゼンダ用ヘッドアレー14M、イエロー用ヘッドアレー14Yの集合体により構成されており、各ヘッドアレー14は用紙mの搬送方向(矢印方向)と直交する方向に延びている。
各ヘッドアレー14は、千鳥状に複数配列されているインクジェット記録ヘッド15により構成されており、本実施例ではインクジェット記録ヘッド15を2列各3個で千鳥状に配列した例を示しており、このようにインクジェット記録ヘッド15をアレー化することにより広域な印刷領域幅を確保している。
図3は、そのインクジェット記録ヘッド15の一例を示す拡大平面図である。 同図に示すようにインクジェット記録ヘッド15は、千鳥状に配列された多数のノズル16を有しており、本実施例の場合はノズル16を2列各64個千鳥状に配列した例を示している。このように多数のノズル16を千鳥状配列とすることにより、高解像度に対応している。
図4は、上述のインクジェット記録ヘッド15の構成例を示す分解斜視図である。図中の16はノズル、17はノズルプレート、18は圧力室、19は圧力室プレート、20はリストリクタ、21はリストリクタプレート、22は振動板、23はフィルタ、24はダイアフラムプレート、25は共通インク流路、26はハウジング、27は圧電素子群、28は圧電素子、29は支持基板である。
多数個のノズル16が千鳥状に配列されたノズルプレート17と、各ノズル16に対応する圧力室18が形成した圧力室プレート19と、共通インク流路25と圧力室18を連通して圧力室18へのインク流量を制御するリストリクタ20を形成したリストリクタプレート21と、振動板22とフィルタ23を設けたダイアフラムプレート24とを順次重ねて位置決めして接合することにより流路基板を構成する。
この流路基板をハウジング26に接合して、フィルタ23を共通インク流路25の開口部と対向させる。31は、ハウジング26の共通インク流路25に接続されたインク導入パイプである。
支持基板29上に圧電素子28を多数個配列して構成した圧電素子群27を、ハウジング26に設けられている挿入開口部30から挿入し、各圧電素子28の自由端を振動板22に接着固定することにより、インクジェット記録ヘッド15が構成される。
なお、図4では図面の簡略化のためにノズル16、圧力室18、リストリクタ20、圧電素子28などの数を減らして図示している。また、このインクジェット記録ヘッド15におけるインク滴の吐出動作は従来のものと同じであるから、その動作説明は省略する。
以上のように構成されたインクジェット記録ヘッド15は、ノズル16の開口や圧力室18の形状、及びリストラクタ20により形成されるインク供給口により決まるコンプライアンスやイナータンスに支配されるヘルムホルツ固有振動を有している。インクジェット記録ヘッド15よりインク滴を吐出させるには、図示しない個別電極及び共通電極に対し外部駆動電源より電気信号を印加し、圧電素子28を変位させる。
この変位が振動板22を介し圧力室18の体積変化となり、満たされるインクの圧力変化となる。この圧力変化でインクはオリフィスよりインク滴として吐出する。一般に、圧力変化は、圧力室18の体積を膨張させてノズル16内のメニスカスと呼ばれるインク先端部の位置を圧力室18の方向に一旦引き込み、圧力室18を収縮させてインク滴を吐出させる方法が多く提案されている。
圧力室18を膨張させると、メニスカスは圧力室18の方向に一旦引き込む。その後、メニスカスが最も引き込まれた後、ヘルムホルツ固有振動を伴いながら元の位置に戻ってくる。インクを吐出するために圧力室18を収縮させるが、そのタイミングは高品質の印刷を行なうためには重要である。それは、メニスカスの位置により吐出されるインク滴の大きさが、メニスカスの速度によりインク滴の速度が大きく影響されるためである。
図5は、本発明の実施の形態のインクジェット記録装置1のインクの吐出動作に係るインク滴の吐出制御部のブロック図である。
同図に示されているようにインク滴吐出制御部は、マスタコントローラ32と、用紙搬送エンコーダ33と、駆動波形生成部39から構成されている。駆動波形生成部39は、駆動波形を出力する単位毎に配置されるため、ヘッド15に対して複数個設けられることもあり、本実施例においては、図3のようにノズルが2列ある状態を想定し、ヘッド15に対し2回路を有する構成としている。
さらに駆動波形生成部39は、スレーブコントローラ35と、メモリ34と、D/Aコンバータ36と、電圧増幅器37と、電流増幅器38とから構成されている。
図に示すようにマスタコントローラ32からは、各スレーブコントローラ35に対し、駆動波形の形状を示す駆動波形データと吐出タイミング信号と各ノズル16のインク滴サイズを示す印写データが送信される。
ここで、吐出タイミング信号及び駆動波形データについて説明をする。吐出タイミング信号は、用紙搬送エンコーダ信号に基づいて設定される。用紙搬送エンコーダ33は、たとえば、インク滴を着弾させる記録媒体mの移動距離を等位置間隔で検出し、等位置間隔で検出した周期の信号である用紙搬送エンコーダ信号を出力する。用紙搬送エンコーダ33は、たとえば、用紙搬送エンコーダフィルム(不図示)と用紙搬送エンコーダセンサ(不図示)とから構成されており、この用紙搬送エンコーダセンサは、インクジェット記録ヘッド15の移動に伴い、用紙搬送エンコーダフィルムの主走査方向に配列された複数のスリットを光学的に検出する。そして、これらのスリットの周期に対応した信号である、用紙搬送エンコーダ信号を出力する。
上述の用紙搬送エンコーダ信号に基づいて、インク滴の吐出タイミングの周期を設定し、この吐出タイミングの周期の信号である吐出タイミング信号と、圧電素子28を駆動する駆動波形であって、吐出タイミングの周期に応じた駆動波形のデータとを出力する。
上述の駆動波形データは、インクの温度やインクジェット記録ヘッド15の特性、さらには後述する第1及び第2の補正に応じてマトリックス的に選択される。
スレーブコントローラ35は、マスタコントローラ32から受信した駆動波形データを一度メモリ34に格納し、マスタコントローラ32からの吐出タイミング信号を受信するとメモリ34から駆動波形データを引き出し、引き出した駆動波形データに補正値を乗じた上でD/Aコンバータ36に出力する。
D/Aコンバータ36は受信した補正済みの駆動波形データをアナログ電圧に変換し、電圧増幅器37に出力する。電圧増幅器37はアナログ電圧を電圧増幅し、電流増幅器38に出力する。電流増幅器38は、電圧増幅されたアナログ信号を電流増幅し、最終的な駆動波形としてインクジェット記録ヘッド15に出力する。インクジェット記録ヘッド15はこの駆動波形により、後述の図6で説明する手段で印写データに基いた波形を生成し、圧電素子28を駆動する。
メモリ34、スレーブコントローラ35、D/Aコンバータ36、電圧増幅器37、電流増幅器38により構成される前記駆動波形生成部39は、駆動波形を出力する単位毎に配置され、本実施形態では図3に示すように、1つのインクジェット記録ヘッド15にノズル列が2列設けられているから、駆動波形生成部39は2回路を備えている。すなわち、1つのノズル列に対して1つの駆動波形生成部39から共通の駆動波形を供給する構成になっている。
従って、図2に示すヘッドアレー14の場合、使用するインクジェット記録ヘッド15の数に2回路を乗じた駆動波形生成部39を有することになる。すなわち、インクジェット記録ヘッド15が(6×4=)24個配置されているので、駆動波形生成部39はその2倍の48回路を有するものとする。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1のインクジェット記録ヘッド15における、インク吐出タイミングについて説明する。図6は、後述する第1の補正に係る、インクジェット記録ヘッド15の液滴(インク、インク滴)の吐出制御を説明するためのタイミングチャートである。
以下、第1の補正について説明をする。マスタコントローラ32(図5)は、図6に示すように、吐出タイミング信号P1と用紙搬送エンコーダ信号P2とは別に、圧力室18の共振振動(ヘルムホルツ周波数)と同じ周波数のメニスカス同期信号P3を生成する。用紙搬送が安定している時の駆動周波数(吐出タイミング信号P1の周波数)をxHz、用紙搬送エンコーダ信号P2の周波数をyHz、ヘルムホルツ周波数(メニスカス同期信号P3の周波数)をzHzとし、y=ax(aは整数、ここではa=20)、z=bx(bは整数、ここではb=10)が成り立つものとする。
ここで、用紙搬送速度が速くなり、用紙搬送エンコーダ信号P2の周波数がy×1.33Hzとなった時点を図中Aに示す。このとき、上述したように用紙搬送エンコーダ信号P2の周期と吐出タイミング信号P1の周期とが同期するように設定する場合、z≠cx×1.33(cは整数)であると仮定すると、駆動周波数がヘルムホルツ周波数と同期しないため、吐出滴速度や吐出滴サイズが変動してしまう。そこで、駆動周波数とヘルムホルツ周波数が同期するように、制御部(本実施の形態においてはマスタコントローラ32)は以下に示すような形で吐出タイミングの補正(第1の補正)を行う。
マスタコントローラ32は、用紙搬送エンコーダ信号P2のパルスを規定回数(前述b、図7ではb=10)検出したタイミングT1から、最も近いメニスカス同期信号P3(ヘルムホルツ周波数)の周期と同期するように吐出タイミングP1を出力する第1の補正を行うことが、正確さを期す上では望ましい。これは、記録媒体mを搬送する速度に変化が生じた際に、速度が安定している際に予め設定された、吐出タイミング信号P1の一回分に対応する用紙搬送エンコーダ信号P2の回数分をカウントしたタイミングに最も近いタイミングにおいて、共振振動の周波数と同期するタイミングを吐出タイミングとするように第1の補正を行うということである。
本実施形態では、第1の補正を容易に行うことが可能な例として、マスタコントローラ32は、用紙搬送エンコーダ信号P2のパルスを規定回数(前述b、図7ではb=20)検出したタイミングT1の後の、最初のメニスカス同期信号P3を検出したタイミングT2を吐出タイミングP1として出力することとした。これは、記録媒体mを搬送する速度に変化が生じた際に、速度が安定している際に予め設定された、吐出タイミング信号P1の一回分に対応する用紙搬送エンコーダ信号P2の回数分をカウントしたタイミングの後の最初のタイミングにおいて、共振振動の周波数と同期するタイミングを吐出タイミングとするように第1の補正を行うということである。
同様に、用紙搬送速度が遅くなり、用紙搬送エンコーダ信号P2のパルスがy×0.75Hzになった時点を図中Bに示す。このときも同様に、用紙搬送エンコーダ信号P2の周期と吐出タイミング信号P1の周期の同期であるタイミングT3は、z≠cx×0.75(cは整数)であると仮定した場合に、駆動周波数がヘルムホルツ周波数と同期しない。
このため、同様に用紙搬送エンコーダ信号P2のパルスを規定回数(前述b、図7ではb=20)検出したタイミングT3の後の、最初のメニスカス同期信号P3を検出したタイミングT4を吐出タイミングとして出力する。以上のような処理により、吐出タイミング信号P1の周波数の整数倍が、複数の圧力室18の共振振動の周波数(ヘルムホルツ周波数、メニスカス同期信号P3)と同期するように吐出タイミングを補正する、すなわち第1の補正を行うことができる。
上述の第1の補正、すなわち、ヘルムホルツ周波数に合わせてインクの吐出タイミングの設定の補正を行うと、吐出タイミングは離散的になり、実際には着弾位置がずれることが懸念される。このため、本発明では上記第1の補正に伴い、圧電素子(圧力発生素子)28を駆動する駆動波形の傾きを調整する補正(第2の補正)を行う。
まず、図7(a)〜(e)を用いて、本発明の実施の形態に係る駆動波形の一例について説明する。ここで示す駆動波形は、すでに述べた吐出タイミング信号P1の周期(一つの周期)を構成する駆動波形であるものとする。本実施形態では、大中小の3種類の大きさのインク滴を吐出する際の駆動波形と微駆動パルスの波形を示している。
印刷の際には、入力された画像データに対して図示しない制御テーブルに基づきスイッチングが行なわれ、所望のパルスが選択されて出力される。例えばサイズの大きいドットを印刷する場合は、同図(a)において時間S2と時間S3と時間S4でスイッチ回路(図示せず)に加わる印字データを「1」にし、時間S2から時間S4までは印字データを「0」にすることで、同図(b)のように第一パルスと第二パルスと第三パルスが圧電素子に供給されて、サイズの大きいドットを印刷する。
中サイズのドットを印刷する場合は、図7(c)のように第二パルスと第三パルスが圧電素子に供給され、小サイズのドットを印刷する場合は、図7(d)のように第一パルスのみが圧電素子に供給されて、所望するサイズのドットを印刷する。同図(e)の微駆動パルスは、インク滴を吐出させずにメニスカスを微振動させてインクを攪拌する機能を実現するものであり、インク滴を吐出するための駆動パルス(第一ないし第三パルス)に比べて電圧振幅が低い。
上述したように、メニスカス同期信号(ヘルムホルツ周波数)P3に合わせて吐出タイミングを補正することで、圧力室18に発生する共振振動数(ヘルムホルツ周波数)の残留振動によりインクジェット記録ヘッド15のノズル16のメニスカス位置が変動していても、ヘルムホルツ周波数に対して同じ位相で圧電素子28の駆動ができるため、搬送される記録媒体mの速度に変動が生じても、インク滴の吐出速度やインク滴のサイズの変動を抑えることができる。しかしその一方、吐出タイミングが離散的になるため、実際には着弾位置がずれることになる。
そこで、本発明によれば、上述の第1の補正に伴い、第1の補正に起因して生じる、前記記録媒体への前記液滴の着弾位置ずれが0となるように、駆動波形の傾きを補正する。
ここで、用紙速度をVp、吐出タイミングのズレをΔtとすると、着弾位置ずれΔxは以下の(1)式で表される。
Δx=Vp×Δt ・・・(1)
これに対し、本実施形態では、吐出滴速度を調整することでΔx=0となるように補正する。ヘッドと用紙のギャップをL、規定の吐出滴速度をVj、Δx=0となるときの吐出滴速度の補正量をΔVjとすると、Δxは以下の(2)式のように表され、ΔVjは以下の(3)式のように表される。
Δx=Vp×Δt−Vp×L×[ΔVj/{Vj×(Vj+ΔVj)}]=0 ・・・(2)
ΔVj=Vj×Vp×Δt/(Vp×L−Vj×Vp×Δt) ・・・(3)
次に、本実施形態における、上述の駆動波形の傾きを調整する補正(第2の補正)について、図8を用いて説明する。図8(a)は第2の補正前の駆動波形、図8(b)は第2の補正後の駆動波形である。
ここで、駆動波形は、その傾きを大きくすると吐出滴速度は速くなり、駆動波形の傾きを小さくすると吐出滴速度は遅くなる。また、駆動波形の傾きを変えると吐出滴速度が変化するが、吐出滴サイズの変化は少ない。すなわち、吐出滴速度を独立して補正することが可能である。上述の(3)式から求められたΔx=0となるときの吐出滴速度の補正量により上記の吐出滴速度を設定し、駆動波形を図8の補正部分Rに示すように補正する。
図8(a)の第2の補正前と比較して図8(b)の補正部分Rに示されるように、第2の補正後は駆動波形の傾きを大きくしている。すなわち、用紙搬送エンコーダの信号P1を規定回数検出した後の最初のメニスカス同期信号P3を検出したタイミングで吐出タイミング信号を出力すると、吐出タイミングは理想のタイミング(理想の着弾位置となるインクの吐出タイミング)からは、実際には遅れることになるため、駆動波形を補正して吐出滴速度を速くすることにより、着弾位置が所望の位置となるように補正することができる。
本実施形態のように、前記駆動波形が前記吐出タイミングの周期を複数のパルスで構成している場合(複数のパルスにより一つのドットを形成する場合)には、第2の補正である駆動波形の傾きの調整は、図8の補正部分Rに示すように、複数のパルスのうちの最後のパルスのみにおいて行うことで、全体としての吐出滴速度を上げることができる。
以上のことからも明らかなように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド15によれば、記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際には、マスタコントローラ32は、吐出タイミング信号P2の周波数の整数倍がメニスカス同期信号P3(ヘルムホルツ周波数)の周波数と同期するように吐出タイミングを補正する第1の補正と、この第1の補正に伴い、第1の補正に起因して生じる、記録媒体mへのインク滴の着弾位置ずれが0となるように、駆動波形の傾きを補正する第2の補正とを行う。これにより、搬送される記録媒体mの速度に変動が生じても、インク滴の吐出速度やインク滴のサイズの変動を抑えることができる上に、吐出タイミングが離散的となることで生じる着弾位置ずれを抑えることができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。たとえば、駆動波形の傾きと吐出滴速度の関係はヘッドの特性や駆動波形によっても異なるので、それらに依存した好適な駆動周波数の補正及び駆動波形の調整を適用することができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
1 インクジェット記録装置
2 用紙供給部
3 規制ガイド
4 インフィード部
5 ダンサローラ
6 EPC(Edge Position Control)
7 蛇行量検出器
8 記録手段
9 プラテン
10 乾燥手段
11 アウトフィード部
12 プラー
13 用紙回収部
14 ヘッド部
15 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出装置)
16 ノズル
17 ノズルプレート
18 圧力室
19 圧力室プレート
20 リストリクタ
21 リストリクタプレート
22 振動板
23 フィルタ
24 ダイアフラムプレート
25 共通インク流路
26 ハウジング
27 圧電素子群
28 圧電素子(圧力発生素子)
29 支持基板
30 挿入開口部
32 マスタコントローラ(制御部)
33 用紙搬送エンコーダ
34 メモリ
35 スレーブコントローラ
36 D/Aコンバータ
37 電圧増幅器
38 電流増幅器
39 駆動波形生成部
m 用紙(記録媒体)
P1 吐出タイミング信号
P2 用紙搬送エンコーダ信号
P3 メニスカス同期信号
特開平11−78013号公報 特許第3635756号公報 特開2000−135829号公報

Claims (6)

  1. 複数のノズルに連通して液滴を蓄える複数の圧力室と、
    前記圧力室の弾性壁を形成するように前記複数の圧力室にわたって配置された振動板と、
    前記振動板を介して前記複数の圧力室のそれぞれと対向するように配置された圧力発生素子と、
    前記液滴を着弾させる記録媒体の移動距離を等位置間隔で検出し、前記等位置間隔で検出した周期の信号である用紙搬送エンコーダ信号を出力する用紙搬送エンコーダと、
    前記用紙搬送エンコーダから出力された前記用紙搬送エンコーダ信号に基づいて前記液滴の吐出タイミングの周期を設定し、該吐出タイミングの周期の信号である吐出タイミング信号と、前記圧力発生素子を駆動する駆動波形であって、前記吐出タイミングの周期に応じた駆動波形のデータとを出力する制御部と、
    を備え、
    前記記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際には、
    前記制御部は、
    前記吐出タイミング信号の周波数の整数倍が、前記複数の圧力室の共振振動の周波数と同期するように吐出タイミングを補正する第1の補正と、
    前記第1の補正に起因して生じる前記記録媒体への前記液滴の着弾位置ずれをなくすように前記駆動波形の傾きを補正する第2の補正と
    を行う
    ことを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記第1の補正は、
    前記記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際に、
    前記速度に変化が生じる前の前記速度が安定している際に予め設定された、前記吐出タイミング信号の一回分に対応する前記用紙搬送エンコーダ信号の回数分をカウントしたタイミングに最も近いタイミングにおいて、前記共振振動の周波数と同期するタイミングを吐出タイミングとするように行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記第1の補正は、
    前記記録媒体を搬送する速度に変化が生じた際に、
    前記速度に変化が生じる前の前記速度が安定している際に予め設定された、前記吐出タイミング信号の一回分に対応する前記用紙搬送エンコーダ信号の回数分をカウントしたタイミングの後の最初のタイミングにおいて、前記共振振動の周波数と同期するタイミングを吐出タイミングとするように行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記第2の補正は、前記駆動波形が前記吐出タイミングの周期を複数のパルスで構成している場合には、前記複数のパルスのうちの最後のパルスにおいて行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記共振振動の周波数はヘルムホルツ周波数であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液滴吐出装置を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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