JP5969059B2 - パワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法 - Google Patents

パワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、直流発電電力を交流電力に変換して商用系統と連系するインバータと、インバータの出力から高調波成分を除去するLCフィルタを備えたパワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法に関する。
太陽電池や燃料電池等の分散型電源は、商用系統に連系させて使用するために、周波数や電圧を電力系統に適合するように交流電力に変換するパワーコンディショナを備えている。
パワーコンディショナは、分散型電源で生成された直流電圧を所定の直流電圧値に調整するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと、インバータの出力から高周波成分を除去するLCフィルタ等を備えている。
分散型電源が商用系統と連系を行なっている配電線に地絡または短絡事故が発生し、或いは計画停電等によって変電所から配電線への電力の送電が停止した状態、即ち単独運転状態に至った場合に、区分開閉器の動作への影響防止及び配電線の作業の安全性を確保するために当該配電線から分散型電源を確実に解列させる必要がある。
単独運転状態を検出するために、分散型電源用単相パワーコンディショナの標準形能動的単独運転検出方式(ステップ注入付周波数フィードバック方式)が規格化されている(日本電機工業会JEM1498)。
また、太陽光発電システムのような分散型電源が普及すると配電線の電圧管理が困難になる。一般的には、電力会社がタップ制御機器(SVR)やSTATCOM等を用いて配電線の電圧を適正値に維持するように管理している。しかし、分散型電源が普及した近年では、パワーコンディショナに直近の配電線の電圧を管理するために力率を可変に制御することが求められている。
しかし、系統連系時に力率可変制御とステップ注入付周波数フィードバック方式のような能動的単独運転検出方式とが併用されると、互いに干渉し合って単独運転検出の精度が低下する虞があった。
特許文献1には、インバータ回路の力率を改善することができる単独運転検出装置として、分散型電源及び商用系統間に無効電力の出力電流を注入するインバータ回路と、当該出力電流から高周波成分をカットするフィルタ回路と、注入された無効電力の周波数変動に基づき単独運転を検出する単独運転検出回路と、所望出力電流に相当する無効電力量を算出する無効電力量算出部と、算出した無効電力量に基づき所望出力電流を出力すべく、インバータ回路を駆動制御する出力電流制御部とを備えた単独運転検出装置が提案されている。
当該出力電流制御部は、商用系統周波数を計測する周波数計測手段と、商用系統電圧を計測する電圧計測手段と、周波数計測手段にて計測した商用系統周波数、電圧計測手段にて計測した電圧値及びコンデンサの静電容量に基づき、コンデンサに流入する流入電流量を算出する流入電流量算出手段とをさらに備え、周波数計測手段は、商用系統周期の1/3以下の周期で商用系統周波数を計測するように構成されている。
当該単独運転検出装置は、インバータ回路の出力電流の内、フィルタ回路に備えたコンデンサに流入する流入電流量を検出し、単独運転検出装置として出力する所望出力電流量に相当する無効電力量に流入電流量に相当する無効電力量を加算し、この加算結果の無効電力量に基づき、インバータ回路を駆動制御するように構成されているので、インバータ回路の出力電流の一部がコンデンサに流入したとしても、単独運転検出装置として所望出力電流を出力しながらもインバータ回路の出力電流の力率を改善することができる。
特許文献2には、1つの電流検出器を使って交流電力系統との連系点の力率を所定値に維持することができる太陽光発電装置が提案されている。当該太陽光発電装置は、太陽電池によって発電された直流電力を所定の交流電力に変換するDC/AC変換部と、DC/AC変換部の出力の片側ラインに一端を接続したリアクタと、該リアクタの他端と前記出力の他のラインとの間に接続したコンデンサとからなり、出力波形を正弦波にするためのフィルタと、交流電力系統と連系するためのDC/AC変換部の出力電流を検出する電流検出器と、該電流検出器の検出信号とコンデンサの電圧とを検出してDC/AC変換部を制御する制御部とを備え、制御部は、電流検出器の検出信号を電流フィードバック制御用として用いるとともに、コンデンサに流れる電流を予測して検出信号によって交流電力系統との連系点の力率を所定値に維持する制御を行うことを特徴とする。
特許文献3には、電圧上昇を抑制すべく無効電力を増加させた後に、商用系統周波数の偏差に応じて無効電力を変化させるべく無効電力をさらに増加させる場合に、皮相電力が大きくなり、パワーコンディショナが備える回路等の負担が大きくなるという問題に対処したパワーコンディショナの制御装置が提案されている。
当該制御装置は、周波数偏差に応じてパワーコンディショナが出力すべき進相無効電力または遅相無効電力である第1無効電力の変化量及び電圧の上昇を抑制するためにパワーコンディショナが出力すべき第2無効電力の変化量の少なくとも一方に基づいて、パワーコンディショナの出力を制御するように構成され、パワーコンディショナの出力電圧に対応する電圧が上限電圧以上の場合に第2無効電力の変化量に基づいてパワーコンディショナが出力する進相無効電力を増加させる方向に変化させる場合、パワーコンディショナが出力する有効電力を減少させるように、パワーコンディショナの出力を制御することを特徴とする。
特許文献4には、単独運転検出のための無効電力制御と電圧上昇抑制のための無効電力制御とが干渉することで、単独運転検出の精度が低下するという問題に対処したパワーコンディショナの制御装置が提案されている。
当該制御装置は、商用系統周期の最新の移動平均値と、最新の移動平均値より過去の移動平均値との差分を示す周波数偏差に応じて、商用系統と連系するパワーコンディショナが出力すべき進相無効電力または遅相無効電力である第1無効電力の変化量を導出する第1無効電力変化量導出部と、パワーコンディショナと商用系統との連系点の電圧の上昇を抑制するためにパワーコンディショナが出力すべき進相無効電力である第2無効電力の変化量を導出する第2無効電力変化量導出部と、第2無効電力の変化量によって第1無効電力の変化量が干渉されないように、パワーコンディショナの出力を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
特開2008−54395号公報 特開2002−354681号公報 特開2014−207811号公報 特開2014−207808号公報
特許文献1に開示された単独運転検出装置は、周波数計測部の更新タイミングが商用系統周期の1/3以下の周期である5ms毎であるため、コンデンサに流れる電流に対する応答性がそれほど良くないという問題、また、コンデンサの内部抵抗を無視し、静電容量のみでコンデンサに流れる電流を推定しているために、推定電流のそれほど精度の高い値ではないという問題があり、商用系統電圧安定化の観点で精度の高い力率制御が可能なパワーコンディショナの力率可変制御装置が望まれていた。
特許文献2に開示された太陽光発電装置も同様の問題があり、さらに、推定電流がフィードバック方式ではなく、フィードフォワード方式で出力電流の指令値に加えられているために、出力電力が変動すると力率を所定値に維持することが極めて難しいという問題があった。
特許文献3,4に記載されたパワーコンディショナの制御装置は、単独運転検出のための無効電力制御と電圧上昇抑制のための無効電力制御との干渉を回避するために、複雑な制御アルゴリズムを採用する必要があり開発工数や開発コストが嵩むという問題があった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、仮に能動的単独運転検出方式を採用する場合でも当該方式と干渉することなく、また出力電力の状態に関わらず確実に力率を目標力率に安定して制御可能なパワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるパワーコンディショナの力率可変制御装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、直流発電電力を交流電力に変換して商用系統と連系するインバータと、前記インバータの出力から高調波成分を除去するLCフィルタを備えたパワーコンディショナの力率可変制御装置であって、商用系統電圧euw、LCフィルタのコンデンサ電流ic、コンデンサ容量Cf、内部抵抗Rcとして、インバータ出力電流iinvの計測値から
Figure 0005969059

で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源に出力される逆潮流電流ispを推定する逆潮流電流推定部と、商用系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力する第1のPLL処理部と、前記逆潮流電流推定部で推定された逆潮流電流ispから逆潮流電流ispの位相角度θspを出力する第2のPLL処理部と、前記第1のPLL処理部及び第2のPLL処理部から出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成する帰還信号生成部と、前記力率帰還信号に基づいて逆潮流電力の力率が力率指令値に収束するように目標力率を生成する力率制御部と、前記力率制御部で生成された目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御部に無効電流目標値を出力する無効電流制御部と、を備えている点にある。
インバータを制御するために必要となるインバータの出力電流iinv以外に逆潮流電流を検知する別途のセンサを備えなくても、商用系統電圧euwを計測すれば、〔数1〕で示す数式によって、コンデンサの容量Cf、内部抵抗Rcを考慮した正確なコンデンサ電流icが推定できる。そのようなコンデンサ電流icに基づいて第2のPLL処理部から得られる逆潮流電流ispの位相角度θspと、商用系統電圧euwに基づいて第1のPLL処理部から得られる商用系統電圧euwの位相角度θuwとから、商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)が得られ、帰還信号生成部によって位相差Δφから力率帰還信号及び無効電流帰還信号が生成される。力率制御部で生成された目標力率と無効電流帰還信号に基づいて無効電流制御部によって無効電流目標値が生成され、インバータから所望の逆潮流電流ispが適切に出力されるようになる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記力率制御部は、力率指令値と力率帰還信号の偏差に基づいて補正値を生成するPI制御部と、前記PI制御部で生成された補正値に力率指令値を加算して得られる力率目標値PF* realから無効電力を求める係数
Figure 0005969059

を生成し、力率指令値に従って当該係数に進相または遅相を示す符号を付加する係数生成部を備えて構成されている点にある。
帰還信号生成部から出力される力率帰還信号と予め設定された力率指令値との偏差からPI制御部によって力率帰還信号が力率指令値に収束するような補正値が算出され、当該補正値に力率指令値を加算した力率目標値PF* realが得られる。係数生成部によって、有効電力に対する無効電力の比である〔数2〕で示される係数が算出されるとともに、力率指令値に従った符号が付加される。具体的に、力率指令値が遅相無効電流を示す場合には符号「+1」が付加され、進相無効電流を示す場合には符号「−1」が付加される。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、商用系統周波数の計測値から得られる所定時間内の周波数偏差に応じて無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出部と、前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの商用系統周波数、運転周波数および高調波電圧実効値に基づいて単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出部と、をさらに備え、前記無効電流制御部は、前記力率制御部で生成された目標力率に前記無効電力注入量算出部で算出された無効電力注入量を反映した最終目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータに無効電流目標値を出力するように構成されている点にある。
無効電流制御部から出力される無効電流目標値が、最終目標力率と無効電流帰還信号に基づいて生成されてインバータに出力される。最終目標力率は力率制御部で生成された目標力率に無効電力注入量算出部で算出された無効電力注入量が反映された値であるので、単独運転検出を可能としながらも商用系統電圧を適切に制御することができる。
また、力率可変制御部とステップ注入付周波数フィードバック機能との干渉程度を下げるために、無効電流制御部のPI制御ブロックの比例ゲインKpは力率可変制御部のPI制御ブロックの比例ゲインKpよりX倍で設計し、積分器の時定数Tiは1/Xで設計した。このように設計することにより、無効電流制御部の過渡的な応答性の速さが力率制御部よりX倍速くなり、定常状態までの収束時間も1/Xになる。尚、本実施形態では、Xが10以上の値で設計した。
同第四の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記無効電力注入量算出部は、ある時点の周波数偏差に応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルから無効電力注入量を算出する周波数対応無効電力注入量算出部と、ある時点の周波数偏差に変動がなく基本波電圧及び/または高調波電圧が変動する場合に電流位相が一定方向で一定量の無効電力注入量を算出するステップ無効電力注入量算出部と、を備えている点にある。
多数台の分散型電源が商用系統電源に連系している場合であっても、ステップ無効電力注入量算出部によって各分散型電源から同一傾向の無効電力が注入されるので、各分散型電源から注入される無効電力が相殺されるような不都合な事態を招来することがないのみならず、別途の複雑な検出アルゴリズムを設けることなく不要検出を回避することができ、確実に単独運転状態であるか否かを検出することができるようになる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記無効電流制御部により出力される無効電流目標値の更新時期は、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に設定され、測定した逆潮流電流ispの無効成分が逆潮流電流ispの絶対値の最大値の近傍時期で変化するように構成されている点にある。
逆潮流電流の振幅は商用系統周波数に基づいてサインカーブを描いて変動するのであるが、サインカーブのゼロクロス点つまり逆潮流電流ispの絶対値が最小値を示す時期に無効電流目標値が更新されると、出力電流の指令値i* invの無効成分(無効電流の目標振幅値とCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が大きくなるタイミングで出力電流の指令値i* invが大きく変化する。その結果、出力電流iinvのオーバーシュートやアンダーシュートが発生し易く、出力電流iinvの安定性が損なわれるおそれがある。
しかし、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に無効電流目標値が更新されると、出力電流の指令値i* invの無効成分(無効電流の目標振幅値とCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が小さくなるタイミングで出力電流iinvが制御されるため、力率制御の応答性が向上するのみならず出力電流iinvの安定性も向上するようになる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、出力電力が定格電力に対して所定の許容範囲を逸脱すると、前記無効電流制御部により出力される無効電流目標値を制限する出力制限部を備えている点にある。
無効電流制御部によって無効電流が可変に制御されることにより皮相電力が大きくなると、パワーコンディショナを構成する回路素子の負担が大きくなるため、それに耐える高価な回路素子を選択する必要がある。この問題に対処すべく、有効電力を減少するように調整すると、力率の安定性が損なわれ、惹いては商用系統電圧の安定性が損なわれるという問題が生じる。そのような場合でも、出力制限部を備えることにより無効電流制御部により出力される無効電流目標値が制限されるので、皮相電力を定格値に抑制しながらも安定的に力率が制御できるようになる。
本発明によるパワーコンディショナの力率可変制御方法の第一の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、直流発電電力を交流電力に変換して商用系統と連系するインバータと、前記インバータの出力から高調波成分を除去するLCフィルタを備えたパワーコンディショナの力率可変制御方法であって、商用系統電圧euw、LCフィルタのコンデンサ電流ic、コンデンサ容量Cf、内部抵抗Rcとして、インバータ出力電流iinvの計測値から
Figure 0005969059

で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源に出力される逆潮流電流ispを推定する逆潮流電流推定ステップと、系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力する第1のPLL処理ステップと、前記逆潮流電流推定ステップで推定された逆潮流電流ispから逆潮流電流ispの位相角度θspを出力する第2のPLL処理ステップと、前記第1のPLL処理ステップ及び第2のPLL処理ステップから出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成する帰還信号生成ステップと、前記力率帰還信号に基づいて逆潮流電力の力率が力率指令値に収束するように目標力率を生成する力率制御ステップと、前記力率制御ステップで生成された目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御部に無効電流目標値を出力する無効電流制御ステップと、を備えている点にある。
同第二の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記力率制御ステップは、力率指令値と力率帰還信号の偏差に基づいて補正値を生成するPI制御ステップと、前記PI制御ステップで生成された補正値に力率指令値を加算して得られる力率目標値PF* realから無効電力を求める係数
Figure 0005969059

を生成し、力率指令値に従って当該係数に進相または遅相を示す符号を付加する係数生成ステップを備えて構成されている点にある。
同第三の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、商用系統周波数の計測値から得られる所定時間内の周波数偏差に応じて無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出ステップと、前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの商用系統周波数、運転周波数および高調波電圧実効値に基づいて単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出ステップと、をさらに備え、前記無効電流制御ステップは、前記力率制御ステップで生成された目標力率に前記無効電力注入量算出ステップで算出された無効電力注入量を反映した最終目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータに無効電流目標値を出力するように構成されている点にある。
同第四の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記無効電力注入量算出ステップは、ある時点の周波数偏差に応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルから無効電力注入量を算出する周波数対応無効電力注入量算出ステップと、ある時点の周波数偏差に変動がなく基本波電圧及び/または高調波電圧が変動する場合に電流位相が一定方向で一定量の無効電力注入量を算出するステップ無効電力注入量算出ステップと、を備えている点にある。
同第五の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記無効電流制御ステップにより出力される無効電流目標値の更新時期は、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に設定されている点にある。
同第六の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、出力電力が定格電力に対して所定の許容範囲を逸脱すると、前記無効電流制御ステップにより出力される無効電流目標値を制限する出力制限ステップを備えている点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、仮に能動的単独運転検出方式を採用する場合でも当該方式と干渉することなく、また出力電力の状態に関わらず確実に力率を目標力率に安定して制御可能なパワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法を提供することができるようになった。
本発明による単独運転検出装置が適用される分散型電源の回路ブロック構成図 本発明による単独運転検出装置の機能ブロック構成図 (a)は出力制限制御ブロック図、(b)は図3(a)のスイッチSWの動作説明図 (a)は力率制御ブロック図、(b)は無効電流制御部により出力される無効電流目標値の更新時期の説明図 系統周波数計測部の動作説明図 (a)は周波数対応無効電力注入量算出部で用いられる周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルの説明図、(b)はステップ無効電力注入量算出部の動作説明図 (a)は瞬低、且つ、位相急変時の説明図、(b)は単独運転時の運転周波数fPLLと商用系統周波数fgridの特性説明図 (a)は運転周波数fPLLと商用系統周波数fgridの配列説明図、(b)は高調波実効電圧THDvの配列説明図 実験結果の説明図
以下、本発明によるパワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法を図面に基づいて説明する。
図1には、分散型電源の一例である太陽電池発電装置100が示されている。太陽電池発電装置100は太陽電池パネルSPと太陽電池パネルSPが接続されたパワーコンディショナPCを備えて構成され、連系リレー(図示せず)を介して商用系統電源egridに接続されている。尚、本発明はパワーコンディショナPCに接続される発電装置が太陽電池パネルSPに限定されるものではなく、燃料電池等の他の発電装置が接続される場合でも適用可能である。
パワーコンディショナPCは、太陽電池パネルSPで発電された直流電圧を所定の直流リンク電圧Vdcに昇圧するDC/DCコンバータ1と、商用系統電源と連系するように所定の周波数及び電圧値の交流電圧に変換するインバータ3と、インダクタLfとコンデンサCfで構成され、高調波成分を除去するLCフィルタ4を備えている。尚、Rfはインダクタの抵抗成分であり、Rcはコンデンサの抵抗成分である。
インバータ3に備えたスイッチS1,S2,S3,S4は、商用系統電源に連系させるべく周波数や電圧が適合するように力率可変制御装置10を含む制御ブロックによって実行されるPWM制御によってオン/オフされ、LCフィルタ4によってインバータ3の出力から高調波成分が除去され、正弦波の交流電力として出力される。尚、図中、符号Cdcは直流リンク電圧の安定化用の電解コンデンサ、iinvはインバータの出力電流、Rgrid及びLgridは系統インピーダンス、euwはu−wの線間電圧、ispは逆潮流電流、Ruwは交流負荷を示す。
図2には、マイクロコンピュータ、メモリ及び周辺回路等を備えて構成された力率可変制御装置10の機能ブロック構成が示されている。本実施形態では、力率可変制御装置10は単独運転検出装置としても機能し、ステップ注入付周波数フィードバック方式に対応するとともに本発明による力率可変制御アルゴリズムを含む制御プログラム等に基づいて所期の力率可変制御方法が実行されるように構成されている。
力率可変制御装置10は、力率制御ブロックA、直流バス電圧の一定制御ブロックB、無効電流制御ブロックC、インバータの出力電流制御ブロックD、単独運転検出ブロックEの5つの主要ブロックで構成されている。
具体的に、逆潮流電流推定部11と、第1のPLL処理部12と、第2のPLL処理部13と、帰還信号生成部14と、力率制御部15と、無効電流制御部16と、直流電圧制御部17と、出力制限部18と、無効電力生成部19と、有効電力生成部20と、インバータ制御部21と、PWM制御部22と、商用系統周波数計測部23と、単独運転検出部24と、無効電力注入量算出部25等の各機能ブロックを備えている。
逆潮流電流推定部11と第1のPLL処理部12と第2のPLL処理部13と帰還信号生成部14と力率制御部15により力率制御ブロックAが構成され、直流電圧制御部17により直流バス電圧の一定制御ブロックBが構成され、無効電流制御部16により無効電流制御ブロックCが構成され、無効電力生成部19と有効電力生成部20とインバータ制御部21とPWM制御部22によりインバータの出力電流制御ブロックDが構成され、商用系統周波数計測部23と単独運転検出部24と無効電力注入量算出部25により単独運転検出ブロックEが構成されている。
逆潮流電流推定部11は、電流トランス等を用いたインバータ出力電流iinvの計測値から以下の〔数5〕で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源egridに出力される逆潮流電流isp(isp=iinv−ic)を推定するブロックである。尚、euwは商用系統電圧、icはLCフィルタのコンデンサ電流、Cfはコンデンサ容量、Rcは内部抵抗である。
Figure 0005969059
第1のPLL処理部12は、商用系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力するブロックで、抵抗分圧回路で分圧された交流電圧が商用系統電圧euwとして第1のPLL処理部12に入力されている。
第2のPLL処理部13は、逆潮流電流推定部11で推定された逆潮流電流ispが入力され、PLL処理によって逆潮流電流ispの位相角度θspを出力するブロックである。
帰還信号生成部14は、第1のPLL処理部12及び第2のPLL処理部13から出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成するブロックで、cos(Δφ)の値が力率帰還信号PFとして生成され、tan(Δφ)と有効電流の波高値2Puw/Euw・maxの積が無効電流帰還信号Iqとして生成される。尚、以下の〔数6〕に示すように、Puwは有効電力、Euw・maxは電圧の最大値である。
Figure 0005969059
図4(a)に示すように、力率制御部15は、力率指令値PF*と力率帰還信号PFの偏差に基づいて補正値を生成するPI制御部15Aと、PI制御部15Aで生成された補正値に力率指令値PF*を加算して得られる力率目標値PF* realから無効電力を求める係数を、以下の〔数7〕に基づいて生成し、力率指令値PF*に従って当該係数に進相または遅相を示す符号を付加する係数生成部を備えている。尚、力率指令値PF*が遅相無効電流を示す場合には符号「+1」が付加され、進相無効電流を示す場合には符号「−1」が付加される。
Figure 0005969059
商用系統周波数計測部23は、抵抗分圧回路で分圧された交流電圧信号を二値化する二値化回路でなるゼロクロス検出回路を備えている。
図5(a)に示すように、商用系統電圧euwを抵抗分圧した商用系統電圧波形(図中、破線で示されている。)を、電圧値ゼロを閾値として二値化回路で二値化することにより商用系統周波数に対応したデューティ比50%の方形波(図中、実線で示されている。)が得られる。
方形波の立ち下りエッジと立ち上がりエッジとの中間値と、次の立ち下りエッジと立ち上がりエッジとの中間値との時間差を、2.5MHzのサンプリング周波数(0.4μs.の精度)でカウントすることにより商用系統電圧euwに対応する商用系統周波数fgridが計測される。サンプリング周波数は例示であり、この値に限定されることはない。
図2に戻り、無効電力注入量算出部25は、周波数対応無効電力注入量算出部25Aとステップ無効電力注入量算出部25Bとを備えて構成され、周波数対応無効電力注入量算出部25Aから無効電力注入量Kfvarが出力され、ステップ無効電力注入量算出部25Bから無効電力注入量Kstepが出力される。
単独運転検出部24は、無効電力注入量算出部25で算出された無効電力注入量の無効電力が注入されたときの商用系統周波数、運転周波数および高調波電圧実効値に基づいて単独運転状態であるか否かを検出するブロックである。単独運転検出部24には、第1のPLL処理部12で求められた商用系統電圧euwに対応する運転周波数fPLLと、商用系統周波数計測部23で計測された系統周波数fgridが入力されている。
無効電流制御部16は、力率制御部15で生成された目標力率PFoutに無効電力注入量算出部25で算出された無効電力注入量Kfvar及びKstepを反映した最終目標力率つまり総合無効電力注入量KQと無効電流帰還信号Iqとに基づいてインバータ3を制御するインバータ制御部21に無効電流目標値を出力するブロックである。
具体的に、総合無効電力注入量KQと有効電流の波高値2Puw/Euw・maxの積が無効電流制御値I* qとして生成され、無効電流帰還信号Iqが無効電流制御値I* qに収束するように制御量をPI演算するブロックである。
無効電力生成部19は無効電流制御部16で帰還制御された指令値と、第1のPLL処理部12から入力される商用系統電圧に対応する位相角度θuwの余弦波とを乗算して無効電力成分を生成するブロックである。
有効電力生成部20は直流電圧制御部17から出力されたバイアス直流電圧と商用系統電圧に対応する位相角度θuwの正弦波とを乗算して有効電力成分を生成するブロックである。バイアス直流電圧はDC/DCコンバータ1から入力される直流リンク電圧Vdcを直流電圧の指令値V* dcに調整して出力する直流電圧制御部17から入力され、商用系統に対応する位相角度θuwの正弦波は第1のPLL処理部12から入力される。
有効電力生成部20及び無効電力生成部19からの出力が加算器で加算されてインバータ3に対する電流指令値i* invが生成され、その電流指令値i* invがインバータ制御部21に入力される。
無効電流制御部16によって無効電流が可変に制御されることにより皮相電力が大きくなると、パワーコンディショナPCを構成する回路素子の負担が大きくなるため、それに耐える高価な回路素子を選択する必要がある。この問題に対処すべく、有効電力を減少するように調整すると、力率の安定性が損なわれ、惹いては商用系統電圧の安定性が損なわれるという問題が生じる。
そこで、出力電力が定格電力に対して所定の許容範囲を逸脱すると、無効電流制御部16及び直流電圧制御部17により出力される電流目標値を制限する出力制限部18を備えている。出力制限部18を備えることにより無効電流制御部16及び直流電圧制御部17により出力される電流目標値が制限されるので、皮相電力を定格値に抑制しながらも安定的に力率が制御できるようになる。
図3(a),(b)に示すように、出力制限部18は、皮相電力の帰還値Suwが皮相電力指令値S* uwに収束するようにPI制御を行なう皮相電力制御部18Aと、スイッチSWと加算器を備えている。皮相電力の帰還値Suwが定格電力SPU(SPU=Suw/S* uw)に対して±Δx%の範囲内にあるときには、スイッチSWの接点が1に切り替えられて皮相電力が制御され、皮相電力の帰還値Suwが定格電力SPUに対して±Δx%の範囲から逸脱すると、スイッチSWの接点が0に切り替えられ出力がIlimつまり定格電力に制限される。スイッチSWはΔx%のヒステリシスを持って切り替えられる。
インバータ3の出力電流値iinvが帰還値として入力されたインバータ制御部21は、インバータ3の出力電流値が電流指令値i* invになるように例えばPI演算等を用いて帰還制御し、インバータ3に対する制御値、ここではデューティ比Dを生成する。インバータ制御部19で生成されたデューティ比DはPWM制御部22に入力されて、PWM制御部22で各スイッチS1,S2,S3,S4に対する制御信号が生成され、バッファ回路を介してインバータ3のスイッチS1,S2,S3,S4に出力される。
図4(b)に示すように、無効電流制御部16及び直流電圧制御部17により出力される電流目標値の更新時期は、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に設定されている。具体的には、|isp|≧0.95Ispmaxの範囲で更新することが好ましい。
逆潮流電流の振幅は商用系統周波数に基づいてサインカーブを描いて変動するのであるが、サインカーブのゼロクロス点つまり逆潮流電流ispの絶対値が最小値を示す時期に無効電流目標値が更新されると、出力電流の指令値i* invの無効成分(無効電流の目標振幅値とCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が大きくなるタイミングで出力電流の指令値i* invが大きく変化する。その結果、出力電流iinvのオーバーシュートやアンダーシュートが発生し易く、出力電流iinvの安定性が損なわれるおそれがある。
しかし、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に無効電流目標値が更新されると、出力電流の指令値i* invの無効成分(無効電流の目標振幅値とCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が小さくなるタイミングで出力電流iinvが制御されるため、力率制御の応答性が向上するのみならず出力電流iinvの安定性も向上するようになる。
その結果、力率制御部15で生成された目標力率と無効電流帰還信号に基づいて無効電流制御部16によって無効電流目標値が生成され、インバータ3から所望の逆潮流電流ispが適切に出力されるようになり、単独運転検出しながらも商用系統電圧の変動を適切に抑制できるようになる。
以下に、無効電力注入量算出部25について補足する。
周波数対応無効電力注入量算出部25aは商用系統周波数計測部23で計測された商用系統周波数fgridに基づいて得られる周波数偏差Δfgridに応じて無効電力注入量を算出するブロックで、ある時点の周波数偏差Δfgridに応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルから無効電力注入量Kfvarを算出する。
図5(c)に示すように、商用系統周波数fgridは1周期毎に更新され、5ms.間隔で直近の40ms.間の移動平均が算出され、記憶部に記憶される。図5(b)に示すように、直近の移動平均算出時から200ms.前の80ms.分の移動平均から直近の40ms.間の移動平均を減算することによって周波数偏差Δfgridが算出される。
図6(a)には周波数偏差・無効電力特性が示されている。周波数対応無効電力注入量算出部20は周波数偏差・無効電力特性に基づいて無効電力注入量Kfvarを算出し、周波数偏差Δfgridの算出から商用系統周波数fgridの半サイクル以内に算出した無効電力注入量Kfvarを注入する。
当該周波数偏差・無効電力特性は、周波数偏差Δfgridが±0.01Hz以内の低感帯領域と、その両外側の高感帯領域で傾きが異なる無効電力注入量Kfvarが規定されている。何れも周波数偏差を増大させる方向への無効電力注入量Kfvarが規定され、周波数偏差Δfgridが低感帯領域の1段目ゲインの傾きよりも高感帯領域の2段目ゲインの傾きが大きくなるように設定されている。最大値は±0.25p.u.(per unit)に設定されている。尚、周波数偏差・無効電力特性は例示であり、この特性に限定されるものではない。
ステップ無効電力注入量算出部25bはある時点の周波数偏差Δfgridに変動がなく基本波電圧Euw及び/または高調波電圧THDvが変動する場合に電流位相が一定方向で一定量の無効電力注入量Kfstepを算出するブロックである。尚、本明細書では「周波数偏差に変動がない状態」とは変動が小さい状態、つまり上述の低感帯領域にある状態を含む概念で用いている。
図6(b)に示すように、ステップ無効電力注入量算出部21は、周波数偏差Δfgridが低感帯領域であるときに、高調波電圧変動が以下の全ての条件式を満たすと判断すると、それから半サイクル以内に、3サイクル以下の時間で上限を0.1p.u.とする無効電力をパワーコンディショナPCから見て電流位相を遅らせる方向に、つまり周波数が低下する方向に注入する。
THDv(z)−THDavr>2V
THDv(z−1)−THDavr>2V
THDv(z−2)−THDavr>−0.5V
│THDv(z−3)−THDavr(z)│<0.5V
│THDv(z−4)−THDavr(z)│<0.5V
│THDv(z−5)−THDavr(z)│<0.5V
以下の〔数8〕に示すように、本実施形態では高調波電圧実効値THDvとして2次から7次までの総合高調波電圧実効値が好ましい態様として採用されているが、さらに高次の高調波が含められていてもよい。尚、以下の説明では単に高調波電圧と表記する。また、〔数8〕のTADCはA/Dコンバータのサンプリング時間、nは高調波の次数である。
Figure 0005969059
また、ステップ無効電力注入量算出部25bは、周波数偏差Δfgridが低感帯領域であるときに、基本波電圧変動が以下の全ての条件式を満たすと判断すると、それから半サイクル以内に、3サイクル以下の時間で上限を0.1p.u.とする無効電力をパワーコンディショナPCから見て電流位相を遅らせる方向に、つまり周波数が低下する方向に注入する。
Euw.rms(z)−Euw.rms.avr(z)>2.5V
Euw.rms(z−1)−Euw.rms.avr(z)>2.5V
Euw.rms(z−2)−Euw.rms.avr(z)>−0.5V
│Euw.rms(z−3)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
│Euw.rms(z−4)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
│Euw.rms(z−5)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
第1のPLL処理部12は商用系統電圧euwが入力され商用系統電圧euwの位相角度θuwに同期した基準系統電圧信号を生成するブロックであり、第2のPLL処理部13は逆潮流電流ispが入力され逆潮流電流ispの位相角度θspに同期した基準逆潮流電流信号を生成するブロックである。
本実施形態では、第1のPLL処理部12のゲインG1が第2のPLL処理部13のゲインG2よりも大きな値に設定されている。具体的にG2=0.5G1に設定されており、少なくともG2≦0.5G1の関係であることが好ましい。
単独運転検出部24の動作について詳述する。一般的に系統電圧euwが正常(202±10V)である場合に系統周波数fgridが急変すると単独運転状態であると正しく検出できるが、落雷等によって電力設備に故障が生じ、送配電網の電圧が瞬間的に低下するような現象が発生した場合に、入力電圧の低下及び位相のずれが発生する。
図7(a)には、瞬低時の波形の一例が示されている。商用系統電圧euwが位相角度90°の時に瞬低が発生し、位相角度が最大+41°ずれた瞬間に系統周波数fgrid(z−4)及び運転周波数fPLL(z−4)に周波数低下が発現している。この周波数の大きな変動に起因して単独運転状態であると不要検出する虞がある。
しかし、瞬低等に起因して位相が急変した場合には、その急変時に商用系統周波数fgridが瞬間的に変動するが、その前後では安定しているのに対して、単独運転時には周波数の変動が増大する傾向になる。
即ち、図7(b)に示すように、単独運転検出部24は第1のPLL処理部12で算出される運転周波数fPLL及び系統周波数計測部11で計測される商用系統周波数fgridの双方が連続する複数の系統周期で一方向に変化する場合に単独運転状態と判断するように構成されていればよく、不要検出を回避して単独運転状態を正確に検出できるようになる。
図7(b)のように、双方の値が次第に高くなる場合もあれば、反対に双方の値が次第に低くなる場合もある。これに対して、図7(a)のように位相が急変した場合には、第1のPLL処理部12で算出される運転周波数fPLL及び商用系統周波数計測部23で計測される商用系統周波数fgridの双方が、急変時のサイクルでのみ一時的に上昇または下降し、その後定常に復帰するので、その傾向を判別することによって不要検出を回避し、単独運転状態を正確且つ迅速に検出できる。
単独運転検出部24は商用系統電圧euwの高調波電圧変動率が所定比率を超え、その状態が所定時間継続する場合に単独運転状態であると検出するように構成されていることがさらに好ましい。
商用系統電源に無効電力を注入した状況で、何らかの要因で商用系統電源の高調波成分が変動してもその前後の商用系統周期で算出した高調波電圧実効値が大きく変動することがないのに対して、商用系統電源からの給電が停止して単独運転状態となる場合にはそれ以降の連続周期で算出した高調波電圧実効値が大きく変動する。そこで、商用系統電源の高調波電圧変動率が所定比率を超えた状態が所定時間継続すると単独運転状態であると検出することにより不要検出を回避することができるようになる。
具体的に本実施形態では、単独運転検出部24は商用系統周波数fgrid及び運転周波数fPLLの双方の現在値、1商用系統周期前の値及び2商用系統周期前の値に基づいて、双方が連続する複数の商用系統周期で一方向に変化すると判定した場合で、且つ、商用系統電圧euwの高調波電圧変動率ΔTHDが所定比率を超え、その状態が所定時間継続する場合に単独運転状態であると検出し、何れか一方が満たされない場合には不要検出を回避するべく正常状態であると判断するように構成されている。
具体的には、以下の〔数9〕に示すように、32サイクル前の運転周波数fPLL及び商用系統周波数fgridの平均値に対する現在値(z)、一つ前の値(z−1)及び二つ前の値(z−2)との偏差の積Δfvar(総合周波数変動値)が所定の閾値fcst以上であれば単独運転状態であり、閾値fcst未満であれば正常であると判断することができる。
ここに、閾値fcstは基本波周波数の4〜9%の範囲の値に設定することが好ましく、例えば商用系統周波数が50Hzであれば、fcstは2.0〜4.5の範囲に設定することが好ましい。
Figure 0005969059
尚、本実施形態では、図8(a)に示すように、32サイクル前の運転周波数fPLL及び商用系統周波数fgridの平均値として、32サイクル前を基準にその前32サイクルの各商用系統周波数の平均値が採用されているが、平均値を求めるサイクル数は32に制限される必要はなく適宜設定することができる。
また、図8(b)に示すように、高調波電圧変動率ΔTHDは32サイクル前の高調波電圧実効値THDvの平均値として、32サイクル前を基準にその前32サイクルの各高調波電圧実効値THDvの平均値が採用され、以下の〔数10〕により算出されている。同様に、平均値を求めるサイクル数は32に制限される必要はなく適宜設定することができる。
Figure 0005969059
上述した力率可変制御装置10によって、本発明による力率可変制御方法が実行される。
即ち、商用系統電圧euw、LCフィルタのコンデンサ電流ic、コンデンサ容量Cf、内部抵抗Rcとして、インバータ出力電流iinvの計測値から
Figure 0005969059

で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源に出力される逆潮流電流ispを推定する逆潮流電流推定ステップと、商用系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力する第1のPLL処理ステップと、逆潮流電流推定ステップで推定された逆潮流電流ispから逆潮流電流ispの位相角度θspを出力する第2のPLL処理ステップと、第1のPLL処理ステップ及び第2のPLL処理ステップから出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成する帰還信号生成ステップと、力率帰還信号に基づいて逆潮流電力の力率が力率指令値に収束するように目標力率を生成する力率制御ステップと、力率制御ステップで生成された目標力率と無効電流帰還信号に基づいてインバータを制御するインバータ制御部に無効電流目標値を出力する無効電流制御ステップと、備えているパワーコンディショナの力率可変制御方法が実行される。
上述した実施形態では、力率可変制御装置に能動的単独運転検出方式を実行する無効電力注入部及び単独運転検出部等を備えた構成を説明したが、力率可変制御装置10に能動的単独運転検出方式を備えていない構成であっても本発明を採用することができることは言うまでもない。
上述の各実施形態は本発明によるパワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方向の一例に過ぎず、各構成ブロックの具体的な構成(ハードウェアやソフトウェア)や各種の数値等は本発明による作用効果が奏される範囲で適宜変更設計することも可能であることはいうまでもない。
以下に、上述した力率制御部を備えた本発明による力率可変制御装置が組み込まれたパワーコンディショナと、力率制御部を備えていないパワーコンディショナについて比較実験を行なった結果を説明する。
商用系統連系運転時の力率指令値PF*を0.9に設定し、入力電力を条件1から3まで変更した場合の力率を計測した。
図9(a),(b)には、そのときの力率の実測値PF、有効電力Puw、無効電力Quw及び皮相電力Suwの実験結果が示されている。図9(a)は力率制御部を備えていない場合の実験結果であり、図9(b)は力率制御部を備えた場合の実験結果である。これらから、本発明による力率可変制御装置を導入することにより、入力電力が変化しても力率一定に制御されることが確認できた。
図9(c),(d)には、条件3の入力電力に対する力率指令値PF*、実測値PF及び誤差値ΔPFの実験結果が示されている。図9(c)は進み電力の実験結果であり、図9(d)は遅れ電力の実験結果である。これらから、定常状態では全ての誤差値ΔPFが±0.5%以下となることが明らかになった。
1:DC/DCコンバータ
3:インバータ
4:LCフィルタ
10:力率可変制御装置
11:逆潮流電流推定部
12:第1のPLL処理部
13:第2のPLL処理部
14:帰還信号生成部
15:力率制御部
16:無効電流制御部
17:直流電圧制御部
18:出力制限部
19:無効電力生成部
20:有効電力生成部
21:インバータ制御部
22:PWM制御部
24:単独運転検出部
25:無効電力注入量算出部
100:分散型電源(太陽電池発電装置)
PC:パワーコンディショナ
SP:太陽電池パネル
S1,S2,S3,S4:インバータブリッジに備えたスイッチ素子

Claims (12)

  1. 直流発電電力を交流電力に変換して商用系統と連系するインバータと、前記インバータの出力から高調波成分を除去するLCフィルタを備えたパワーコンディショナの力率可変制御装置であって、
    商用系統電圧euw、LCフィルタのコンデンサ電流ic、コンデンサ容量Cf、内部抵抗Rcとして、インバータ出力電流iinvの計測値から
    Figure 0005969059

    で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源に出力される逆潮流電流ispを推定する逆潮流電流推定部と、
    商用系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力する第1のPLL処理部と、
    前記逆潮流電流推定部で推定された逆潮流電流ispから逆潮流電流ispの位相角度θspを出力する第2のPLL処理部と、
    前記第1のPLL処理部及び第2のPLL処理部から出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成する帰還信号生成部と、
    前記力率帰還信号に基づいて逆潮流電力の力率が力率指令値に収束するように目標力率を生成する力率制御部と、
    前記力率制御部で生成された目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御部に無効電流目標値を出力する無効電流制御部と、
    を備えているパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  2. 前記力率制御部は、力率指令値と力率帰還信号の偏差に基づいて補正値を生成するPI制御部と、前記PI制御部で生成された補正値に力率指令値を加算して得られる力率目標値PF* realから無効電力を求める係数
    Figure 0005969059

    を生成し、力率指令値に従って当該係数に進相または遅相を示す符号を付加する係数生成部を備えて構成されている請求項1記載のパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  3. 商用系統周波数の計測値から得られる所定時間内の周波数偏差に応じて無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出部と、
    前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの商用系統周波数、運転周波数および高調波電圧実効値に基づいて単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出部と、をさらに備え、
    前記無効電流制御部は、前記力率制御部で生成された目標力率に前記無効電力注入量算出部で算出された無効電力注入量を反映した最終目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータに無効電流目標値を出力するように構成されている請求項1または2記載のパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  4. 前記無効電力注入量算出部は、ある時点の周波数偏差に応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルから無効電力注入量を算出する周波数対応無効電力注入量算出部と、ある時点の周波数偏差に変動がなく基本波電圧及び/または高調波電圧が変動する場合に電流位相が一定方向で一定量の無効電力注入量を算出するステップ無効電力注入量算出部と、を備えている請求項3記載のパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  5. 前記無効電流制御部により出力される無効電流目標値の更新時期は、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に設定され、測定した逆潮流電流ispの無効成分が逆潮流電流ispの絶対値の最大値の近傍時期で変化するように構成されている請求項1から4の何れかに記載のパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  6. 出力電力が定格電力に対して所定の許容範囲を逸脱すると、前記無効電流制御部により出力される無効電流目標値を制限する出力制限部を備えている請求項1から5の何れかに記載のパワーコンディショナの力率可変制御装置。
  7. 直流発電電力を交流電力に変換して商用系統と連系するインバータと、前記インバータの出力から高調波成分を除去するLCフィルタを備えたパワーコンディショナの力率可変制御方法であって、
    商用系統電圧euw、LCフィルタのコンデンサ電流ic、コンデンサ容量Cf、内部抵抗Rcとして、インバータ出力電流iinvの計測値から
    Figure 0005969059

    で求まるコンデンサ電流icを減算することによりパワーコンディショナから商用系統電源に出力される逆潮流電流ispを推定する逆潮流電流推定ステップと、
    商用系統電圧euwの計測値から商用系統電圧euwの位相角度θuwを出力する第1のPLL処理ステップと、
    前記逆潮流電流推定ステップで推定された逆潮流電流ispから逆潮流電流ispの位相角度θspを出力する第2のPLL処理ステップと、
    前記第1のPLL処理ステップ及び第2のPLL処理ステップから出力される位相角度から得られる商用系統電圧euwと逆潮流電流ispの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、力率帰還信号及び無効電流帰還信号を生成する帰還信号生成ステップと、
    前記力率帰還信号に基づいて逆潮流電力の力率が力率指令値に収束するように目標力率を生成する力率制御ステップと、
    前記力率制御ステップで生成された目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御部に無効電流目標値を出力する無効電流制御ステップと、
    を備えているパワーコンディショナの力率可変制御方法。
  8. 前記力率制御ステップは、力率指令値と力率帰還信号の偏差に基づいて補正値を生成するPI制御ステップと、前記PI制御ステップで生成された補正値に力率指令値を加算して得られる力率目標値PF* realから無効電力を求める係数
    Figure 0005969059

    を生成し、力率指令値に従って当該係数に進相または遅相を示す符号を付加する係数生成ステップを備えて構成されている請求項7記載のパワーコンディショナの力率可変制御方法。
  9. 商用系統周波数の計測値から得られる所定時間内の周波数偏差に応じて無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出ステップをさらに備え、
    前記無効電流制御ステップは、前記力率制御ステップで生成された目標力率に前記無効電力注入量算出ステップで算出された無効電力注入量を反映した最終目標力率と前記無効電流帰還信号に基づいて前記インバータに無効電流目標値を出力するように構成されている請求項7または8記載のパワーコンディショナの力率可変制御方法。
  10. 前記無効電力注入量算出ステップは、ある時点の周波数偏差に応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力注入量特性テーブルから無効電力注入量を算出する周波数対応無効電力注入量算出ステップと、ある時点の周波数偏差に変動がなく基本波電圧及び/または高調波電圧が変動する場合に電流位相が一定方向で一定量の無効電力注入量を算出するステップ無効電力注入量算出ステップと、を備えている請求項9記載のパワーコンディショナの力率可変制御方法。
  11. 前記無効電流制御ステップにより出力される無効電流目標値の更新時期は、商用系統周波数の半周期毎であって逆潮流電流ispの絶対値が最大値を示す時期またはその近傍時期に設定されている請求項7から10の何れかに記載のパワーコンディショナの力率可変制御方法。
  12. 出力電力が定格電力に対して所定の許容範囲を逸脱すると、前記無効電流制御ステップにより出力される無効電流目標値を制限する出力制限ステップを備えている請求項7から11の何れかに記載のパワーコンディショナの力率可変制御方法。
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