JP5969843B2 - 有機光電変換素子、及び、これを含む受光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機半導体を用いた有機光電変換素子、及び、これを含む受光素子に関する。
現在、高解像度と高感度が要求される放送用TVカメラでは、レンズを通してカメラに入射される光を色分解プリズムで青・緑・赤の3原色に分けた後、3枚の撮像素子で受光する、3板カラー撮像方式が用いられている。
しかしながら、色分解プリズムと3枚の撮像素子のためにカメラのサイズが大きくなり、撮像レンズを含めたカメラ全体の小型軽量化が困難となる。
撮像素子の小型軽量化を実現するためには、分光プリズムの必要がなく、撮像素子が1枚で済む単板式が望まれる。撮像素子の小型軽量化を実現する手法として、1枚の撮像素子の画素上に3色、もしくは4色の微小なカラーフィルタをモザイク状に配置した単板式のカラー撮像素子があり、家庭用のビデオカメラやデジタルカメラではこの単板式が主流になっている(例えば、非特許文献1参照)。
撮像素子における代表的な色配列としては、赤、緑、青の色フィルターを用いたベイヤー配列がある。しかし、3板式と比較すると、赤、緑、青のいずれか1色のみで1画素を形成しているため解像度が悪く、加えて所望の色以外の入射光はカラーフィルタに吸収されてしまうため、光の利用効率も低い。
ベイヤー配列等で問題となる低い解像度は、光の進入方向に3層のフォトダイオードを積層した光電変換部を形成することで改善することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の手法は、シリコン基板内部への光の進入深さが波長ごとに異なることを利用したものである。すなわち、光照射面から最も浅い位置にあるシリコンフォトダイオードで青色を、中間のシリコンフォトダイオードで緑色を、最も深い位置にあるシリコンフォトダイオードで赤色を検知する。
しかしながら、受光部にシリコンフォトダイオードを用いた特許文献1記載の構成では、青色検知用のフォトダイオードにおいても緑色、赤色を一定の割合で吸収しているため、色分解特性が不十分となる。また、これに加えて、信号読み出し部が受光面と同一平面状に形成されるため、受光面に対する受光部の比率(開口率)が100%に至らず、光の利用効率も十分ではない。
以上の問題を解決すべく、波長選択性を有する光電変換膜を積層することにより、すなわち、光の3原色のうち青のみに光感度を有する光電変換膜、緑のみに光感度を有する光電変換膜、赤のみに光感度を有する光電変換膜を積層することで、光の利用効率が高く高解像度な単板式の多層型撮像素子を構築することが提案されている。
例えば、有機半導体材料は、特定の波長域のみを吸収するといった特徴を有するものが多く、青、緑、赤の3原色それぞれに吸収帯を持つように分子設計を行なうことにより、それぞれの材料で形成される膜を積層することで、光の進行方向で順次、色を分離して光信号を発生する単板式の撮像素子が構築される。この方式を用いると、原理的に3板式と同等の色分解特性及び光の利用効率が得られる。
図1は、多層型撮像素子に含まれる複数の有機光電変換素子のうちの一つの構造と理想的なエネルギー準位を示す図である。
有機光電変換素子は、電圧を印加する陽極及び陰極と、陽極及び陰極の間に配設される有機光電変換膜とを含む。有機光電変換膜は、陽極からの正孔注入を阻止する正孔ブロッキング層と、光を吸収して電荷を発生する感光層(有機光電変換層)と、陰極からの電子注入を阻止する電子ブロッキング層とを含む。また、感光層は、発生した電子を受け取る性質(電子受容性)を持つアクセプター層と、発生した電子を受け渡す性質(電子供与性)を持つドナー層を有する。
なお、説明の便宜上、図1には陽極と陰極のエネルギー準位のみを示すが、物理的な構成としては、陽極は正孔ブロッキング層に(図1中の右側に)積層されており、陰極は電子ブロッキング層に(図1中の左側に)積層されている。
有機光電変換素子の動作原理は以下の通りである。陽極と陰極の間に所定の電圧を印加しておく。陽極と陰極のうちの一方(光入射側)、もしくは両方は透明電極であり、光が透明電極を通して入射すると、感光層内の電子が励起され、電子−正孔対が形成される。ドナー層とアクセプター層の界面において、電子−正孔対のうちの電子はアクセプター層に移動し、正孔はドナー層に移動する。このようにして電子と正孔は分離される。すなわち、電荷が分離される。陽極と陰極の間に印加される電圧により、分離された電荷のうちの電子は陽極に移動し、正孔は陰極に移動し、光信号として取り出される。
各層のエネルギー準位レベルが満たすべき条件は次の通りである。
Ece<Ecp<Ecn<Ech (1)
Eve<Evp<Evn<Evh (2)
ここで、Ece、Ecp、Ecn、Echは、それぞれ、電子ブロッキング層、ドナー層、アクセプター層、正孔ブロッキング層の電子親和力であり、Eve、Evp、Evn、Evhは、それぞれ、電子ブロッキング層、ドナー層、アクセプター層、正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルである。これらは、真空準位からみたエネルギーの値の絶対値で比較している。
式(1)のEce<Ecpは、陰極からの電子注入を抑制するための条件である。式(1)のEcp<Ecnと式(2)のEvp<Evnは、光入射により生成された電子−正孔対を分離するための条件である。
式(1)のEcn<Echは、アクセプター層の電子が正孔ブロッキング層を通って陽極に達するための条件であり、式(2)のEve<Evpは、ドナー層の正孔が電子ブロッキング層を通って陰極に達するための条件である。また、式(2)のEvn<Evhは、陽極からの正孔注入を抑制するための条件である。
木内雄二著、イメージセンサの基礎と応用、p145
米国特許第5,965,875号明細書
しかしながら、実際に式(1)及び式(2)の条件をすべて満たす材料で有機光電変換素子を形成することは容易ではない。
このため、以下の式(3)、式(4)の両方、もしくは片方が成立するようなエネルギー準位を取る場合がある。
Eve>Evp (3)
Ecn>Ech (4)
図2には、式(3)と式(4)の両方が成り立つ場合の有機光電変換素子におけるエネルギー準位を示す。
式(3)と式(4)の両方または片方が成り立つことが生じるのは、電子ブロッキング材料や正孔ブロッキング材料が可視域の光を吸収しない、透明な材料であることが望ましいため、電子親和力とイオン化ポテンシャルのエネルギー差を3.0eV(波長約410nmの紫色光に相当のエネルギー差)より大きくする必要があるからである。
この場合、感光層で発生した電子は、Ecn−Echに相当するエネルギー障壁を超えないと陽極に達することができず、また同様に、感光層で発生した正孔は、Eve−Evpに相当するエネルギー障壁を超えないと陰極に達することができず、光電変換膜の効率が低下する原因となる。
障壁を超えるためには、より高い電圧を陽極と陰極の間に印加することが必要であるが、電圧を高めると、陰極から電子ブロッキング層を越えて電子が感光層に入り込みやすくなり、陽極から正孔ブロッキング層を越えて正孔が感光層に入り込みやすくなり、暗電流の増大を招くという問題が生じる。
そこで、本発明は、光電変換によって生じた電荷を効率的に取り出すことのできる有機光電変換素子、及び、受光素子を提供することを目的とする。
本発明の一局面の有機光電変換素子は、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極に挟まれた有機光電変換膜とを含む有機光電変換素子であって、
前記有機光電変換膜は、
前記陰極からの電子注入を抑制する電子ブロッキング層と、
前記陽極からの正孔注入を抑制する正孔ブロッキング層と、
前記電子ブロッキング層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、電子供与性のドナー性材料と電子受容性のアクセプター性材料で形成される有機光電変換層と
含み
前記有機光電変換膜は、さらに、
前記電子ブロッキング層と前記有機光電変換層との間に配設され、前記有機光電変換層のドナー性材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値と、前記電子ブロッキング層を構成する材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値との間のイオン化ポテンシャルエネルギー値を有する正孔輸送補助層と、
前記有機光電変換層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、前記有機光電変換層のアクセプター性材料の電子親和力値と、前記正孔ブロッキング層を構成する材料の電子親和力値との間の電子親和力値を有する電子輸送補助層と
を有し
前記有機光電変換層は、前記ドナー性材料で形成されるドナー層と前記アクセプター性材料で形成されるアクセプター層とが積層された構成を有し、
前記電子ブロッキング層、前記ドナー層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Eve、Evpとし、
前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ecn、Echとすると、
前記正孔輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv1と前記電子輸送補助層の電子親和力Ec2は、以下の関係を満たし
Eve>Ev1>Evp
Ecn>Ec2>Ech
前記電子ブロッキング層、前記ドナー層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ece、Ecpとし、
前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Evn、Evhとすると、
前記正孔輸送補助層の電子親和力Ec1と前記電子輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv2は、以下の関係を満たす
Ece<Ec1≦Ecp
Evh>Ev2≧Evn
有機光電変換素子。
本発明の一局面の受光素子は、前記いずれかに記載の有機光電変換素子を含む。
本発明によれば、光電変換によって生じた電荷を効率的に取り出すことのできる有機光電変換素子、及び、受光素子を提供できるという特有の効果が得られる。
多層型撮像素子に含まれる複数の有機光電変換素子のうちの一つの構造と理想的なエネルギー準位を示す図である。 有機光電変換素子におけるエネルギー準位を示す。 実施の形態の有機光電変換素子100の断面構造を示す図である。 実施の形態の有機光電変換素子100の構造とエネルギー準位を示す図である。 電子輸送補助層34のみで足りる場合の有機光電変換素子100Aのエネルギー準位を示す図である。 実施例の有機光電変換素子100Bの構造及びエネルギー準位を示す図である。 比較用の有機光電変換素子1の構造及びエネルギー準位を示す図である。 実施の形態のイメージセンサ200を示す図である。
以下、本発明の有機光電変換素子、及び、これを含む受光素子を適用した実施の形態について説明する。
図3は、実施の形態の有機光電変換素子100の断面構造を示す図である。
実施の形態の有機光電変換素子100は、陰極10、陽極20、及び有機光電変換膜30を含む。有機光電変換膜30は、陰極10と陽極20とに挟まれている。
有機光電変換膜30は、電子ブロッキング層31、正孔輸送補助層32、有機光電変換層33、電子輸送補助層34、及び正孔ブロッキング層35を有する。有機光電変換層33は、感光層として設けられている層であり、ドナー層33Aとアクセプター層33Bを有する。
電子ブロッキング層31、正孔輸送補助層32、ドナー層33A、アクセプター層33B、電子輸送補助層34、及び正孔ブロッキング層35は、陰極10と陽極20との間で、この順に積層されている。
図3には、説明の便宜上、陰極10、電子ブロッキング層31、正孔輸送補助層32、ドナー層33A、アクセプター層33B、電子輸送補助層34、正孔ブロッキング層35、及び陽極20を横方向に並べて示す。
しかしながら、有機光電変換素子100を作製する際には、陰極10又は陽極20の上に、電子ブロッキング層31、正孔輸送補助層32、ドナー層33A、アクセプター層33B、電子輸送補助層34、及び正孔ブロッキング層35を順番に積層する。
また、有機光電変換素子100には、陰極10と陽極20の少なくとも一方から光が入射する。陰極10と陽極20の両方から光が入射してもよい。
電子ブロッキング層31は、陰極10に積層され、陰極10からの電子注入を抑制(阻止)する。なお、電子ブロッキング層31の材料や厚さ等については後述する。
正孔輸送補助層32は、電子ブロッキング層31に積層され、ドナー層33Aから電子ブロッキング層31への正孔の流れを補助するために設けられている。正孔輸送補助層32は、ドナー層33Aのイオン化ポテンシャルエネルギー値と、電子ブロッキング層31を構成する材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値との間のイオン化ポテンシャルエネルギー値を有する。なお、正孔輸送補助層32の材料や厚さ等については後述する。
有機光電変換層33のドナー層33Aは、正孔輸送補助層32に積層され、有機光電変換層33内で発生した電子を受け渡す性質(電子供与性)を有する。
有機光電変換層33のアクセプター層33Bは、ドナー層33Aに積層され、有機光電変換層33内で発生した電子を受け取る性質(電子受容性)を有する。なお、有機光電変換層33の材料や厚さ等については後述する。
電子輸送補助層34は、有機光電変換層33のアクセプター層33Bに積層され、アクセプター層33Bから正孔ブロッキング層35への電子の流れを補助するために設けられている。電子輸送補助層34は、アクセプター層33Bの電子親和力値と、正孔ブロッキング層35を構成する材料の電子親和力値との間の電子親和力値を有する。なお、電子輸送補助層34の材料や厚さ等については後述する。
正孔ブロッキング層35は、電子輸送補助層34に積層され、陽極からの正孔注入を抑制(阻止)する。なお、正孔ブロッキング層35の材料や厚さ等については後述する。
図4は、実施の形態の有機光電変換素子100の構造とエネルギー準位を示す図である。
ドナー層33Aと電子ブロッキング層31との間に正孔輸送補助層32が挟み込まれており、また、アクセプター層33Bと正孔ブロッキング層35との間に電子輸送補助層34が挟み込まれている。正孔輸送補助層32のイオン化ポテンシャルEv1と、電子輸送補助層34の電子親和力Ec2はそれぞれ以下の関係を満たしている。
Eve>Ev1>Evp (5)
Ecn>Ec2>Ech (6)
ここで、Eve、Evpは、それぞれ、電子ブロッキング層31、ドナー層33Aのイオン化ポテンシャルであり、Ecn、Echは、それぞれ、アクセプター層33B、正孔ブロッキング層35の電子親和力である。なお、これらは、真空準位からみたエネルギーの値の絶対値で比較している。
式(5)、式(6)から分かるように、ドナー層33Aの正孔を陰極10に導く際のエネルギー障壁Eve−Evpを、EveとEvpの間のイオン化ポテンシャル値(Ev1)を有する正孔輸送補助層32を用いてEv1−EvpとEve−Ev1に分けている。これにより、低い印加電圧で陰極10に正孔を取り出すことが可能となる。
同様に、アクセプター層33Bの電子を陽極20に導く際のエネルギー障壁Ecn−Echを、EcnとEchの間のイオン化ポテンシャル値(Ec2)を有する正孔輸送補助層34を用いてEc2−EchとEcn−Ec2に分けている。これにより、低い印加電圧で電子を陽極20に取り出すことが可能となる。
正孔輸送補助層32の電子親和力Ec1、電子輸送補助層34のイオン化ポテンシャルEv2は、次の関係を満たすことが望ましい。
Ece<Ec1≦Ecp (7)
Evh>Ev2≧Evn (8)
ここで、Ece、Ecpは、それぞれ、電子ブロッキング層31、ドナー層33Aの電子親和力であり、Evn、Evhは、それぞれ、アクセプター層33B、正孔ブロッキング層35のイオン化ポテンシャルである。なお、これらは、真空準位からみたエネルギーの値の絶対値で比較している。
また、正孔輸送補助層32、電子輸送補助層34は、上述の式(5)〜(8)を満たすことに加えて、透明な材料で作製されることが望ましい。
本実施の形態では、正孔輸送補助層32と電子輸送補助層34の両方を使用する形態について説明した。しかしながら、アクセプター層33Bの電子親和力Ecnと、正孔ブロッキング層35の電子親和力Echが式(9)の関係を満たしていれば、有機光電変換素子100は、電子輸送補助層34を含まずに、正孔輸送補助層32のみを含めばよい。
Ecn<Ech (9)
また、ドナー層33Aのイオン化ポテンシャルEvpと、電子ブロッキング層31のイオン化ポテンシャルEveが式(10)の関係を満たしていれば、有機光電変換素子100は、正孔輸送補助層32を含まずに、電子輸送補助層34のみを含めばよい。
Eve<Evp (10)
ここで、一例として、ドナー層33Aのイオン化ポテンシャルEvpと、電子ブロッキング層31のイオン化ポテンシャルEveが式(10)の関係を満たし、一方でアクセプター層33Bの電子親和力Ecnと正孔ブロッキング層35の電子親和力Echが下記の式(11)を満たすとき、すなわち、電子輸送補助層34のみで足りる場合の有機光電変換素子100のエネルギー準位を図5を用いて説明する。なお、式(11)は、式(4)と同一である。
Ecn>Ech (11)
図5は、電子輸送補助層34のみで足りる場合の有機光電変換素子100Aのエネルギー準位を示す図である。式(10)及び式(11)が成り立つ場合は、有機光電変換素子100Aは、図4に示す有機光電変換素子100の正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34のうち、正孔輸送補助層32を含まずに、電子輸送補助層34のみを含むことになる。
なお、有機光電変換素子が図2のようなエネルギー準位を取る場合、すなわち式(3)及び式(4)を満たす場合に、正孔輸送補助層32又は電子輸送補助層34(図4参照)のいずれか一方のみを含ませる場合においても、図2に示すように、正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34(図4参照)の両方を含まない有機光電変換素子に比べると、一定の電荷取出し効果が得られる。
特に、ドナー層33Aの正孔を陰極10に導く際のエネルギー障壁Eve−Evpと、アクセプター層33Bの電子を陽極20に導く際のエネルギー障壁Ecn−Echとを比較して、よりエネルギー障壁の大きいほうに補助層(正孔輸送補助層32又は電子輸送補助層34)を適用することが効果的である。
正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34の膜厚は、0.1nmから10nmまでの間がよく、より好ましくは0.5nmから5nmの範囲内である。特に、正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34を厚くすると、それに伴って印加電圧を増大する必要があり、好ましくない。
真空蒸着法でこれら補助層(正孔輸送補助層32又は電子輸送補助層34)を形成する場合は、成膜の初期段階において、一様に分子層が積み重なることは少なく、蒸着面内に島状の分子の塊が形成されることが多い。
この状態で正孔輸送補助層32の形成を終了した場合であっても、すなわち、電子ブロッキング層31とドナー層33Aが部分的に直接接触する構造であっても、効果の程度に差は生じうるものの、電子ブロッキング層31とドナー層33Aの間の全体に正孔輸送補助層32が形成されている場合と同様の効果を得ることができる。
また、上述の島状の状態で電子輸送補助層34の形成を終了した場合であっても、すなわち、正孔ブロッキング層35とアクセプター層33Bが部分的に直接接触する構造であっても、効果の程度に差は生じうるものの、正孔ブロッキング層35とアクセプター層33Bの間の全体に電子輸送補助層34が形成されている場合と同様の効果を得ることができる。
次に、それぞれの層に用いることができる材料について詳細に述べる。
感光層としての有機光電変換層33のドナー層33Aを構成するドナー性材料としては、フタロシアニン系化合物、キナクリドン系化合物、ポルフィリン系化合物、クマリン系化合物、ローダミン系化合物、スクアリリウム系化合物、メロシアニン系化合物等を用いることができる。
また、感光層としての有機光電変換層33のアクセプター層33Bを構成するアクセプター性材料としては、ペリレン系化合物、アルミニウムキノリン系化合物、フッ化フタロシアニン系化合物、フラーレン系化合物等を用いることができる。
ただし、ドナー層33Aとアクセプター層33Bの材料は、上述の材料に限らない。以上で説明した通り、以下の式(12)、式(13)の関係を満たす組み合わせであればどのような有機半導体材料でも用いることができる。
Ecn>Ecp (12)
Evn>Evp (13)
すなわち、式(12)に示すように、アクセプター層33Bの電子親和力Ecnが、絶対値で、ドナー層33Aの電子親和力Ecpより大きければよく、かつ、式(13)に示すように、アクセプター層33Bのイオン化ポテンシャルEvnが、絶対値で、ドナー層33Aのイオン化ポテンシャルEvpより大きければよい。
有機光電変換層33は、図4及び図5に示すように、ドナー層33Aとアクセプター層33Bが独立した層として1層ずつあり、1層のドナー層33Aと1層のアクセプター層33Bとを積層する構成であってもよいが、このような形態に限られるものではない。
例えば、ドナー層33Aとアクセプター層33Bとを交互に複数層ずつ積層する構成であってもよいし、ドナー性材料とアクセプター性材料とを混合して、混合層を形成してもよい。
有機光電変換層33の形成手法としては、真空蒸着法に代表される乾式法や、スピンコート法に代表される湿式法のいずれも使用できる。膜厚は、感光層としての有機光電変換層33の全体で、20nm〜500nm、より好ましくは50nm〜200nmがよい。
電子ブロッキング層31を形成する材料としては、トリフェニルアミン系化合物等を挙げることができる。また、正孔ブロッキング層35を形成する材料としては、フェナンスロリン系化合物、アルミニウムキノリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等を挙げることができる。これらの材料は、一般に有機デバイスで扱われている材料である。膜厚はいずれも10nm〜100nm、望ましくは20nm〜50nmがよい。
正孔輸送補助層32、電子輸送補助層34を形成する材料は、基本的にはそれぞれ電子ブロッキング層31、正孔ブロッキング層35を形成する材料として説明した材料を使用できるが、式(5)〜(8)を満たす必要がある。
陰極10及び陽極20の材料としては、少なくとも光照射側は透明性電極であることが望ましい。透明性電極としては、インジウムスズ酸化物、インジウム酸化物、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、他方の電極に関しては、透明性電極を用いてもよく、透明性電極でない場合は、アルミニウム、バナジウム、金、銀、白金、鉄、コバルト、炭素、ニッケル、タングステン、パラジウム、マグネシウム、カルシウム、スズ、鉛、チタン、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン等の金属、及び、これらの合金を用いることができる。
陰極10及び陽極20の膜厚は、50nm〜200nm程度の厚さがよいが、透明性電極でない場合にも光の透過性を得たい場合には、1nm〜50nmの半透明電極を形成して使用することが可能である。
<実施例>
以下に、実施例について説明する。
図6は、実施例の有機光電変換素子100Bの構造及びエネルギー準位を示す図である。図7は、比較用の有機光電変換素子1の構造及びエネルギー準位を示す図である。
電子ブロッキング層31の材料としてナフチルジアミン(α−NPD)(Ece:−2.6eV、Eve:−5.7eV)、正孔輸送補助層32の材料としてオクタエチルプラチナポルフィリン(PtOEP)(Ec1:−2.9eV、Ev1:−5.3eV)、ドナー層33Aの材料として亜鉛フタロシアニン(ZnPc)(Ecp:−3.2eV、Evp:−5.1eV)、アクセプター層33Bの材料としてフッ素置換亜鉛フタロシアニン(F16ZnPc)(Ecn:−4.5eV、Evn:−6.0eV)、電子輸送補助層34の材料としてトリス[3−(3−ピリジル)メシチル]ホウ素(3TPYMB)(Ec2:−3.4eV、Ev2:−6.8eV)、正孔ブロッキング層35の材料としてバソクプロイン(BCP)(Ech:−3.2eV、Evh:−6.9eV)を選択した。
陰極10として用いるインジウムスズ酸化膜(ITO)透明電極のついたガラス基板上に、α−NPD、PtOEP、ZnPc、F16ZnPc、3TPYMB、BCPの順に真空蒸着法により成膜し、BCPの上に陽極20として用いるアルミニウム(Al)電極を蒸着することで有機光電変換素子100Bを形成した。
正孔輸送補助層32を構成するPtOEPと、電子輸送補助層34を構成する3TPYMBについては、それぞれ、膜厚を1nm(素子1)、5nm(素子2)、10nm(素子3)、20nm(素子4)とすることで4種類の有機光電変換素子100Bを作製し、比較を行った。α−NPDの膜厚は20nm、ZnPcは60nm、F16ZnPcは60nm、BCPは20nmに固定した。
また、比較のために、比較素子として、正孔輸送補助層32(PtOEP)と電子輸送補助層34(3TPYMB)を用いない有機光電変換素子1(図7参照)を作製した。
作製した5種類の有機光電変換素子のAl電極を陽極20とし、有機光電変換素子に5.0×10V/cmの電界を印加したときの暗電流値と外部量子効率(光照射により生成された電子数/照射光子数)を測定した。照射光には、光パワー50μW/cmの赤色単色光(波長620nm)を用い、陰極10としてのITO電極側から照射した。
測定結果を表1に示す。
Figure 0005969843
正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34を1nmから10nmの厚さで用いた場合に、外部量子効率の向上が得られ、光電変換によって生じた電荷を効率的に取り出すことのできる有機光電変換素子100Bを提供できることが確認でき、正孔輸送補助層32及び電子輸送補助層34を用いることの効果が実証された。
なお、最後に、図8を用いて、実施の形態の有機光電変換素子100を用いた受光素子の一例としてのイメージセンサ200について説明する。
図8は、実施の形態のイメージセンサ200を示す図である。
実施の形態の有機光電変換素子100をイメージセンサの光電変換部として含む場合、光の三原色のうち青のみに光感度を有する光電変換部100−1、緑のみに光感度を有する光電変換部100−2、赤のみに光感度を有する光電変換部100−3をガラス基板11A〜11C及び光透過型のTFT読み出し回路12A〜12Cにそれぞれ積層した積層体を作製し、図8に示すように、各色用の積層体を積み重ねることで、光の利用効率が高く高感度の単板式の多層型イメージセンサを作製することができる。
ここで、TFT読み出し回路12A〜12Cとしては、光電変換部100−1〜100−3の各画素に対応してマトリクス状にTFT(Thin Film Transistor)が配列され、光電変換部100−1〜100−3の各画素に蓄積される電荷を読み出す回路を用いればよい。
光電変換部100−1〜100−3としての有機光電変換素子100は、図3に示したように、それぞれ、陰極10と陽極20を含んでおり、図8に示すイメージセンサ200では、光電変換部100−1〜100−3の各々に含まれる陽極20が画素電極としてTFT読み出し回路12A〜12Cのドレインに接続されている。
また、図8には、光電変換部100−1〜100−3の陽極20が画素電極としてTFT読み出し回路12A〜12Cに接続される形態を示すが、陰極10が画素電極としてTFT読み出し回路12A〜12Cに接続されるように構成してもよい。
また、図8には、ガラス基板11A〜11C上に形成した光透過型のTFT読み出し回路12A〜12Cを光電変換部100−1〜100−3毎に挟み込んだ構造のイメージセンサを示すが、読出し用CCD(Charge Coupled Device)回路やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路を最下層に集積し、各光電変換部100−1〜100−3の画素電極をビアプラグで接続する構造等、既知の構造をいずれも使用することが可能である。
また、説明の便宜上、図8には、光電変換部100−1〜100−3の各々の有機光電変換膜30を簡略化して示すが、上述のように、有機光電変換膜30は、電子ブロッキング層31、正孔輸送補助層32、有機光電変換層33、電子輸送補助層34、及び正孔ブロッキング層35を有する(図3、図4参照)。
実施の形態の有機光電変換素子100をイメージセンサ200の光電変換部100−1〜100−3に用いる場合に、有機光電変換膜30を構成する有機材料に関しては、青のみに感度を有する有機材料の組み合わせとしてはクマリン系化合物(電子供与性材料)とシロール系化合物(電子受容性材料)、緑のみに感度を有する有機材料の組み合わせとしてはキナクリドン系化合物(電子供与性材料)とペリレン系化合物(電子受容性材料)、赤のみに感度を有する有機材料の組み合わせとしてはフタロシアニン系化合物(電子供与性材料)とフッ素置換フタロシアニン系化合物(電子受容性材料)等が一例として挙げられる。
なお、ここでは、実施の形態の有機光電変換素子100を用いた受光素子がイメージセンサ200である場合について説明したが、実施の形態の有機光電変換素子100を用いた受光素子がイメージセンサ200に限定されず、受光素子は、例えば、フォトダイオード等のように光電変換を行う素子であってもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の有機光電変換素子、及び、これを含む受光素子について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
10 陰極
20 陽極
30 有機光電変換膜
31 電子ブロッキング層
32 正孔輸送補助層
33 有機光電変換層
33A ドナー層
33B アクセプター層
34 電子輸送補助層
35 正孔ブロッキング層
100、100A、100B 有機光電変換素子
100−1、100−2、100−3 光電変換部
200 イメージセンサ

Claims (4)

  1. 陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極に挟まれた有機光電変換膜とを含む有機光電変換素子であって、
    前記有機光電変換膜は、
    前記陰極からの電子注入を抑制する電子ブロッキング層と、
    前記陽極からの正孔注入を抑制する正孔ブロッキング層と、
    前記電子ブロッキング層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、電子供与性のドナー性材料と電子受容性のアクセプター性材料で形成される有機光電変換層と
    含み
    前記有機光電変換膜は、さらに、
    前記電子ブロッキング層と前記有機光電変換層との間に配設され、前記有機光電変換層のドナー性材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値と、前記電子ブロッキング層を構成する材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値との間のイオン化ポテンシャルエネルギー値を有する正孔輸送補助層と、
    前記有機光電変換層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、前記有機光電変換層のアクセプター性材料の電子親和力値と、前記正孔ブロッキング層を構成する材料の電子親和力値との間の電子親和力値を有する電子輸送補助層と
    を有し
    前記有機光電変換層は、前記ドナー性材料で形成されるドナー層と前記アクセプター性材料で形成されるアクセプター層とが積層された構成を有し、
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Eve、Evpとし、
    前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ecn、Echとすると、
    前記正孔輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv1と前記電子輸送補助層の電子親和力Ec2は、次式(1)、(2)の関係を満たし
    Eve>Ev1>Evp (1)
    Ecn>Ec2>Ech (2)
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ece、Ecpとし、
    前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Evn、Evhとすると、
    前記正孔輸送補助層の電子親和力Ec1と前記電子輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv2は、次式(3)、(4)の関係を満たす
    Ece<Ec1≦Ecp (3)
    Evh>Ev2≧Evn (4)
    有機光電変換素子。
  2. 陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極に挟まれた有機光電変換膜とを含む有機光電変換素子であって、
    前記有機光電変換膜は、
    前記陰極からの電子注入を抑制する電子ブロッキング層と、
    前記陽極からの正孔注入を抑制する正孔ブロッキング層と、
    前記電子ブロッキング層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、電子供与性のドナー性材料と電子受容性のアクセプター性材料で形成される有機光電変換層と
    含み
    前記有機光電変換膜は、さらに、
    前記電子ブロッキング層と前記有機光電変換層との間に配設され、前記有機光電変換層のドナー性材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値と、前記電子ブロッキング層を構成する材料のイオン化ポテンシャルエネルギー値との間のイオン化ポテンシャルエネルギー値を有する正孔輸送補助層を有し
    前記有機光電変換層は、前記ドナー性材料で形成されるドナー層と前記アクセプター性材料で形成されるアクセプター層とが積層された構成を有し、
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Eve、Evpとすると、
    前記正孔輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv1は、次式(5)の関係を満たし
    Eve>Ev1>Evp (5)
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ece、Ecpとすると、
    前記正孔輸送補助層の電子親和力Ec1は、次式(6)の関係を満たし、
    Ece<Ec1≦Ecp (6)
    前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ecn、Echとすると、
    前記アクセプター層の電子親和力Ecnと前記正孔ブロッキング層の電子親和力Echは、次式(7)の関係を満たす、
    Ecn<Ech (7)
    有機光電変換素子。
  3. 陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極に挟まれた有機光電変換膜とを含む有機光電変換素子であって、
    前記有機光電変換膜は、
    前記陰極からの電子注入を抑制する電子ブロッキング層と、
    前記陽極からの正孔注入を抑制する正孔ブロッキング層と、
    前記電子ブロッキング層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、電子供与性のドナー性材料と電子受容性のアクセプター性材料で形成される有機光電変換層と
    含み
    前記有機光電変換膜は、さらに、
    前記有機光電変換層と前記正孔ブロッキング層との間に配設され、前記有機光電変換層のアクセプター性材料の電子親和力値と、前記正孔ブロッキング層を構成する材料の電子親和力値との間の電子親和力値を有する電子輸送補助層を有し
    前記有機光電変換層は、前記ドナー性材料で形成されるドナー層と前記アクセプター性材料で形成されるアクセプター層とが積層された構成を有し、
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Eve、Evpとし、
    前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層の電子親和力の真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Ecn、Echとすると、
    前記電子輸送補助層の電子親和力Ec2は、次式(8)の関係を満たし
    Ecn>Ec2>Ech (8)
    前記アクセプター層、前記正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Evn、Evhとすると、
    前記電子輸送補助層のイオン化ポテンシャルEv2は、次式(9)の関係を満たし、
    Evh>Ev2≧Evn (9)
    前記電子ブロッキング層、前記ドナー層のイオン化ポテンシャルの真空準位からみたエネルギーの値の絶対値をそれぞれ、Eve、Evpとすると、
    前記ドナー層のイオン化ポテンシャルEvpと前記電子ブロッキング層のイオン化ポテンシャルEveは、次式(10)の関係を満たす、
    Eve<Evp (10)
    有機光電変換素子。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の有機光電変換素子を含む受光素子。
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