JP5972036B2 - ブラインドナット - Google Patents

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Description

本発明は、ブラインドナットに関する。特に、広い範囲の板厚の被取付部材に取付けることのできるブラインドナットに関する。
ブラインドナットは、雌ねじ部と、雌ねじ部に続く管状部と、管状部の端部のフランジとを備え、被取付部材の孔に挿通した状態で、締結工具を用いて管状部を拡径させるよう座屈させ、座屈した管状部とフランジとの間に被取付部材を挟んで、ブラインドナットは被取付部材に固定される。このブラインドナットの雌ねじ部にボルトの雄ねじを係合させて、別の被取付部材を取付けることができる。
ブラインドナットは、被取付部材の一方の側から作業を行うことが出来るので、裏側から作業できない部材、例えばパネル等の被取付部材にナットを締結するのに便利である。
図1は、従来のブラインドナット10の一部を断面とした正面図である。ブラインドナット10は、全体として中心軸の周りに軸対称で円筒形であり、一端部に雌ねじ部11を有する。雌ねじ部11は円筒形で、内側には雌ねじ15が形成されている。雌ねじ15には、締結工具の雄ねじを係合させることが出来る。雌ねじ部11に続く管状部13は円筒形で、雌ねじ部11より肉厚が薄く、被取付部材41に取付けるときに座屈する部分である。ブラインドナット10は、雌ねじ部11と反対側にフランジ14を有する。フランジ14の外径は被取付部材41の取付孔43の内径より大きく、ブラインドナット10を被取付部材41の取付孔43に挿入すると、フランジ14の下面が被取付部材41の上面に当接して止まるようになっている。フランジ14側端部から雌ねじ部11側端部まで貫通孔16が形成されている。フランジ14側端部から管状部13まで貫通孔16の内径は一定であり、雌ねじ部11では内径が小さくなっている。
図2は、ブラインドナット10を被取付部材41の取付孔43に取付けた後の一部を断面とした正面図である。ブラインドナット10を締結工具により取付けるときには、肉厚が薄い管状部13は拡径するように座屈して拡径部17となり、拡径部17とフランジ14との間に被取付部材41を挟んで、ブラインドナット10は被取付部材41に取付けられる。
一般に、1種類のブラインドナットにより広い範囲の板厚の被取付部材に取付けることができるように、管状部13は長く設定されている場合が多い。
被取付部材41の厚さに対して管状部13の長さが長すぎると、ブラインドナット10を取付けるとき、管状部13は肉厚が薄いので、全周にわたって均一に拡径して拡径部17とならずに、拡径部17の一部が内側に座屈する、拡径部17が被取付部材に当接せず、浮きあがるなどの異常変形部が生じやすい。
さまざまな板厚の被取付部材にブラインドナットを異常変形しないように取付けるには、被取付部材の板厚に応じて、管状部の長さの異なる多種類のブラインドナットを用意しておく必要があった。
そのため、1種類のブラインドナットで広い範囲の板厚の被取付部材に不具合なく取付けることのできるブラインドナットが求められていた。
特許文献1は、雌ねじ部と中空の管状部とフランジとからなり、パネルの孔に挿通した状態で管状部を座屈させ、座屈した管状部とフランジによりパネルに固着されるブラインドナットにおいて、管状部のフランジに隣接する部分は、外径が大きく肉厚が厚いブラインドナットを開示する。また、管状部の外径が雌ねじ部に向けて徐々に小さくなるブラインドナットを開示する。特許文献1のブラインドナットは、管状部の座屈開始位置が定まるので、不具合がないとしている。このブラインドナットの変形を開始する位置は、被取付部材の表面に相当する位置、又は管状部の雌ねじ部に隣接する位置である。
しかし、特許文献1のブラインドナットは、広い範囲の厚さの被取付部材に対応して締結できるものではない。
特許文献2は、雌ねじ部と、管状部と、フランジとからなり、被取付部材の孔に管状部を挿入した状態で管状部を座屈変形させて座屈変形部とフランジとにより被取付部材に締結するブラインドナットであって、管状部は雌ねじ部より薄肉形成された筒状部と、筒状部と雌ねじ部との間に形成された縮径部とからなるブラインドナットを開示する。このブラインドナットは、締結するとき、管状部は縮径部から曲がり始める。
しかし、特許文献2のブラインドナットは、縮径部は長さが短く、広い範囲の厚さの被取付部材に対応して締結できるものではない。
そのため、1種類のブラインドナットで広い範囲の板厚の被取付部材に不具合なく取付けることのできるブラインドナットが求められていた。
また、管状部が十分拡径するように塑性変形し確実に被取付部材に取付けることのできるブラインドナットが求められていた。
実開昭59−146607号公報 特開平11−270535号公報
従って、本発明の目的は、1種類のブラインドナットで広い範囲の板厚の被取付部材に不具合なく取付けることのできるブラインドナットを提供することである。
本発明の別の目的は、管状部が十分拡径し確実に被取付部材に取付けることのできるブラインドナットを提供することである。
この目的を達成するため、本発明では、拡径させるための管状部が、円筒形のストレート部と、ストレート部と雌ねじ部との間のテーパ部とからなり、ストレート部とテーパ部の境界部から拡径するようにする。こうすると、板厚が薄い被取付部材でも板厚が厚い被取付部材でも、ブラインドナットを取付ける場合に、座屈異常が生じることが少なくなる。
本発明の一態様は、内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、被取付部材の取付孔に前記雌ねじ部と前記管状部とを挿入し、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して前記被取付部材に取付けるブラインドナットであって、
前記管状部は、前記フランジに隣接する円筒形のストレート部と、前記ストレート部から前記雌ねじ部に向かって次第に細くなるテーパ部とを有することを特徴とするブラインドナットである。
これにより、ストレート部とテーパ部の境界部から拡径するので、拡径が開始する位置が一定になり、ブラインドナットは、座屈異常を起こさず、被取付部材に確実に固定される。
また、拡径部の外径が十分大きくなるように塑性変形するので、抜け強度が高くなり、確実に固定される。
前記ストレート部と前記テーパ部とは、同じ肉厚であることが好ましい。
これにより、ストレート部とテーパ部とは、境界部の上と下で同じように拡径することが出来る。
前記ストレート部に対して前記テーパ部がなす角度は、1〜20°であることが好ましい。前記角度は2〜15°であることが好ましい。前記角度は3〜8°であることが更に好ましい。
テーパ角度が小さいと、テーパ部は十分な長さをとることができる。
前記ストレート部の外径をx1(mm)、前記ストレート部が前記被取付部材から出る部分の長さをy1(mm)としたとき、
0.09x1+0.15<y1<0.35x1+1.5
の範囲に入ることが好ましい。
ストレート部の長さがこの範囲に入っていれば、座屈浮きが生じない。
前記ストレート部の外径をx2(mm)、前記テーパ部の長さをy2(mm)としたとき、
0.22x2+0.4<y2<0.45x2+1.4
の範囲に入ることが好ましい。
テーパ部の長さがこの範囲に入っていれば、座屈浮きが生じない。
本発明によれば、1種類のブラインドナットで広い範囲の板厚の被取付部材に不具合なく取付けることのできるブラインドナットを得ることができる。
また、管状部が十分拡径するように塑性変形し、確実に被取付部材に取付けることのできるブラインドナットを得ることができる。
従来のブラインドナットの一部を断面とした正面図である。 図1のブラインドナットを被取付部材に取付けた状態を示す一部を断面とした正面図である。 本発明の実施形態によるブラインドナットの一部を断面とした正面図である。 本発明に使用する締結工具を示す斜視図である。 本発明に使用する締結工具の先端部を示す正面図である。 被取付部材にブラインドナットをセットした状態の一部を断面とした正面図である。 取付工具をセットし、ブラインドナットの取付け動作の中間段階の一部を断面とした正面図である。 ブラインドナットの拡径が終了した段階を示す一部を断面とした正面図である。 ブラインドナットを取付けた被取付部材を、締結工具から取り外した状態を示す一部を断面とした正面図である。 被取付部材に取付けたブラインドナットにボルトにより別の被取付部材を取付けた状態を示す一部を断面とした正面図である。 従来のブラインドナットを薄い被取付部材と厚い被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 本発明の実施形態によるブラインドナットを薄い被取付部材と厚い被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 ストレート部の外径と、ストレート部が被取付部材から出た部分の長さについて、ブラインドナットを適性に取付けられる範囲を示す図である。 ストレート部の外径と、テーパ部の長さについて、ブラインドナットを適性に取付けられる範囲を示す図である。 テーパ部の長さが短いブラインドナットで、薄い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 テーパ部の長さが短いブラインドナットで、厚い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 テーパ部の長さが中のブラインドナットで、薄い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 テーパ部の長さが中のブラインドナットで、厚い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 テーパ部の長さが長いブラインドナットで、薄い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。 テーパ部の長さが長いブラインドナットで、厚い板厚の被取付部材に取付けた場合のシミュレーションである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるブラインドナット20について説明する。図3は、本発明の実施形態によるブラインドナット20の一部を断面とした正面図である。ブラインドナット20は、全体として中心軸の周りに軸対称で円筒形であり、一端部に雌ねじ部21を有する。雌ねじ部21は円筒形で、内側には雌ねじ25が形成されている。雌ねじ25には、締結工具の雄ねじを係合させることが出来る。また、ブラインドナット20を取付けた後、ボルトの雄ねじを係合させ、別の被取付部材を取付けることが出来る。
ブラインドナット20は、雌ねじ部21に隣接して、管状部を有する。管状部は、雌ねじ部21に隣接するテーパ部22と、テーパ部22に隣接する円筒形のストレート部23とからなる。テーパ部22は、雌ねじ部21より薄い一定の肉厚で、上方へ行くに従って徐々に外径と内径が大きくなる(肉厚t23、長さl22)。テーパ部22に隣接するストレート部23は、テーパ部22と同じ一定の肉厚で、円筒形である(肉厚t23、長さl23、外径D23)。ストレート部23の被取付部材41の取付孔43から出た部分と、テーパ部22とは、被取付部材41に取付けるときに座屈する。ブラインドナット20は、雌ねじ部21と反対側にストレート部23に隣接してフランジ24を有する。フランジ24の外径は、ストレート部23の外径より大きく、被取付部材41の取付孔43の内径より大きい。
ブラインドナット20を雌ねじ部21を先頭にして、被取付部材41の取付孔43に挿入すると、フランジ24の下面が被取付部材41の上面に当接して止まるようになっている。フランジ24側の端部から雌ねじ部21側の端部まで貫通孔26が形成されている。フランジ24側の端部からストレート部23まで貫通孔26の内径は一定であり、テーパ部22では雌ねじ部21に向かって内径が徐々に小さくなる。雌ねじ部21は内径が更に小さく一定であり、内面に雌ねじ25が形成されている。図3では、ストレート部23の外径は一定で、テーパ部22の外径は雌ねじ部21に向かって徐々に小さくなる。
(締結工具)
図4、5は、本発明の実施形態に使用する締結工具を示す図である。図4は、本発明の実施形態に使用する締結工具50の一例の全体を示す斜視図である。締結工具50は、圧縮エアーを駆動源とする。本体51に隣接して、締結する部品を支持するためのノーズピース52と、先端部の雄ねじを有するスクリューマンドレル53とを備える。回転体(図示せず)を回転させて、先端部のスクリューマンドレル53を正逆方向に回転させ、雌ねじと係合させ又は係合を解除することができるようになっている。また、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引き込むことができるようになっている。
図5は、締結工具50の先端部を示す正面図である。締結工具50の本体部51は、被取付部材を押圧するためのノーズピース52を備える。ノーズピース52の下面は、平面である。ノーズピース52の中央部には、円柱状で周囲に雄ねじが形成されたスクリューマンドレル53が前方(図5の下方)に延びている。
スクリューマンドレル53の外径は、ブラインドナット20のテーパ部22とストレート部23の貫通孔26の内径より小さく、貫通孔26に挿入することができる。スクリューマンドレル53の雄ねじは、ブラインドナット20の雌ねじ部21の雌ねじ25と係合することができる外径である。締結工具50は、スクリューマンドレル53を正逆方向に回転させて、雌ねじ部21の雌ねじ25と係合させ、また係合を解除することができるようになっている。また、ブラインドナット20のフランジ24をノーズピース52で支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに、強く引きこむことができるようになっている。
(取付動作)
図6〜9を参照して、被取付部材41にブラインドナット20を取付ける動作を説明する。図6は、被取付部材41(厚さt41)の取付孔43にブラインドナット20をセットした状態の一部を断面とした正面図である。ブラインドナット20は、被取付部材41の取付孔43に、雌ねじ部21から挿入され、フランジ24の下面が被取付部材41の上面に当接している。
図7は、締結工具50をセットし、ブラインドナット20の取付け動作の中間段階の一部を断面とした正面図である。スクリューマンドレル53をブラインドナット20の貫通孔26に挿通して、スクリューマンドレル53を正回転させて、スクリューマンドレル53の雄ねじを雌ねじ部21の雌ねじ25に係合させていく。スクリューマンドレル53の雄ねじが、所定の長さだけ雌ねじ25に係合したところで、締結工具50のノーズピース52の下面が、ブラインドナット20のフランジ24の上面に当接して、スクリューマンドレル53の回転を停止する。
締結工具50のノーズピース52の下面を、ブラインドナット20のフランジ24に当接させ支持した状態で、スクリューマンドレル53を回転させずに本体51側に強く引き付ける。このとき、ノーズピース52の下面は、ブラインドナット20のフランジ24を下方に押して支持し、スクリューマンドレル53は、雌ねじ部21を上方へ引き上げる。図7は、ブラインドナット20のテーパ部22と、ストレート部23の一部(被取付部材41の取付孔43より下方に出た部分)が座屈し拡径するように塑性変形している中間段階を示す。
ストレート部23は被取付部材41の取付孔43の中にある部分は取付孔43により外径を規制されるので、取付孔43の内径より大きくは拡径することができない。
ストレート部23は、被取付部材41の下面の位置から下側の部分が拡径し、被取付部材41の取付孔43の周囲の下面に当接する。
図8では、テーパ部22とストレート部23の塑性変形が進み、塑性変形した部分は拡径部27となって、拡径部27とフランジ24との間に被取付部材41を挟んで固定した段階を示す。
締結工具50により締結が終わった後、スクリューマンドレル53を図7とは逆回転させ、スクリューマンドレル53の雄ねじと、雌ねじ部21の雌ねじ25との係合を解除していく。ねじの係合を解除した後、締結工具50を上方へ退避させる。
図9は、ブラインドナット20の取付けが完了し、ブラインドナット20を取付けた被取付部材41を、締結工具50から取り外した状態を示す一部を断面とした正面図である。
図10は、図9に示す被取付部材41に取付けたブラインドナット20にボルトにより別の被取付部材42を取付けた状態を示す一部を断面とした正面図である。頭部46と軸部47を有するボルト45を用意する。軸部47の雄ねじはブラインドナット20の雌ねじ部21の雌ねじ25に係合することができる。ブラインドナット20の貫通孔26と、別の被取付部材42の取付孔44を合わせて、ブラインドナット20のフランジ24上に、被取付部材42を配置する。ボルト45の軸部47を別の被取付部材42の取付孔44を通して、ブラインドナット20の貫通孔26に挿入する。ボルト45の軸部47の雄ねじをブラインドナット20の雌ねじ部21の雌ねじ25に係合させて、別の被取付部材42をブラインドナット20に取付ける。
図10では、ブラインドナット20のフランジ24側に別の被取付部材42を取付けたが、別の被取付部材42は、図10とは逆にブラインドナット20の雌ねじ部21側(図10の下側)に取付けることもできる(図示せず)。
(シミュレーション1)
図1の従来の管状部13(ストレート部、外径D13=10mm)の長さが長い(長いl13=9.5mm)ブラインドナット10と、図3の本発明の実施形態のストレート部23(長さl23=7.1mm、外径D23=10mm)とテーパ部22(長さl22=4.6mm)とを有するブラインドナット20を、薄い被取付部材41(板厚t24s=3.3mm)と、厚い被取付部材41(板厚t24l=5.5mm)に取付けた場合について、有限要素法により、シミュレーションを行った。
図11の(a)は、従来のブラインドナット10を薄い被取付部材41sに取付けた場合を示す。(b)は、従来のブラインドナット10を厚い被取付部材41lに取付けた場合を示す。(a)の薄い被取付部材41sに取付けた場合は、拡径部17が被取付部材41sの下面から浮き、座屈浮きが生じている。(b)の厚い被取付部材41lに取付けた場合は、拡径部17は被取付部材41lの下面に当接し、良好に取付けられている。
図12の(a)は、本発明の実施形態のブラインドナット20を薄い被取付部材41sに取付けた場合を示す。(b)は、本発明の実施形態のブラインドナット20を厚い被取付部材41lに取付けた場合を示す。(a)の薄い被取付部材41sに取付けた場合、(b)の厚い被取付部材41lに取付けた場合とも、拡径部27は被取付部材41の下面に当接し、良好に取付けられている。
図11の従来のブラインドナット10と比較して、図12の本発明の実施形態のブラインドナット20は、取付けることのできる被取付部材41の板厚の範囲が広くなる。
管状部13が円筒形の従来のブラインドナット10では、管状部13を長くすると、ブラインドナット10の管状部13の拡径が開始する位置が一定しない。そのため、拡径部が被取付部材の表面から浮き上がり密着しない座屈浮きが生じやすい。
また、管状部に一定の外径のストレート部がなく、テーパ部のみがあるブラインドナットは、被取付部材の表面の位置から拡径が開始する。拡径部が被取付部材から浮き上がり密着しない座屈浮きが生じやすい。
本発明の実施形態のストレート部23とテーパ部22とを有するブラインドナット20を用いると、テーパ部22とストレート部23との境界部から拡径するように塑性変形する。境界部は、被取付部材の表面より下方にあるので、拡径部27は十分大きな外径となるように拡径し、座屈浮きが生じにくい。拡径の開始位置が決まり、被取付部材41を確実に固定することができる。
また、テーパ部22を十分長くすると、拡径部27の外径が大きくなるので、抜け強度が高くなり、確実に固定することができる。
拡径部27の外径が大きいと、被取付部材からの抜け強度が高くなり、被取付部材に確実に取付けることが出来る。特に、樹脂で出来た被取付部材、又は金属でも薄い被取付部材に取付ける場合、確実に取付けることが出来る。
ストレート部23に対するテーパ部22の角度は、比較的小さい角度1〜20°であることが必要である。テーパ部22の角度は、好ましくは2〜15°であり、更に好ましくは3〜8°である。
テーパ部22とストレート部23とは同じ肉厚であることが好ましい。こうすると、テーパ部22とストレート部23との境界部の上下で同じように拡径する。
ブラインドナット20の材質は、スチール等が好ましい。
(ストレート部23とテーパ部22の長さの範囲)
図1の従来のブラインドナット10の管状部(ストレート部)13の外径D13と長さl13については、シミュレーションにより、適正に取付けることの出来る条件が求められている。
図13は、ストレート部13の外径D13と、ストレート部13の長さ(l13)の関係について、ブラインドナット20を良好に取付けることが出来る範囲を示す。
ストレート部13の長さとして、ストレート部13全体の長さl13ではなく、ストレート部13の長さ‐被取付部材41の板厚(l13‐t41)を用いたのは、被取付部材41から出た部分の長さが、拡径に関係するからである。
図13の「上限」と示す直線は、ストレート部13の外径D13に対して、ストレート部13の被取付部材41から出た部分の長さ(l13‐t41)の上限を示す。ストレート部13の長さが上限より上側では、ブラインドナット10を取り付けると、座屈浮き等の座屈異常が生じる恐れがある。
「下限」と示す直線は、ストレート部13の外径D13に対して、ストレート部13の長さl13の下限を示す。ストレート部13の長さが下限より下側では、ブラインドナット10を取り付けると、座屈浮き等の座屈異常が生じる恐れがある。
ストレート部13の長さが上限と下限の間に入っていれば、座屈異常が生じずブラインドナット10を良好に取付けることが出来る。
ストレート部13の直径D13=x1mm、ストレート部13の長さl13=y1mmとすると、
上限の式は、y1=0.35x1+1.5 (式1)
下限の式は、y1=0.09x1+0.15 (式2)
で表すことができる。
ブラインドナット10を良好に取付けることが出来るストレート部13の長さl13の範囲は、次式で表される。
0.09x1+0.15<y1<0.35x1+1.5 (式3)
本発明の実施形態のブラインドナット20について、図13と同じように、ストレート部23の外径D23(テーパ部22の上端部の外径)と、テーパ部22の長さl22との関係において、ブラインドナット20を良好に取付けることが出来る範囲を求めた。
図14は、テーパ部22の上端部の外径(ストレート部23の外径D23と等しい)と、テーパ部22の長さl22との関係を示す。
図14の「上限」と示す直線は、ストレート部23の外径D23に対して、テーパ部22の長さl22の上限を示す。テーパ部22の長さが上限より上側では、ブラインドナット20を取り付けると、座屈浮き等の座屈異常が生じる恐れがある。
「下限」と示す直線は、ストレート3の外径D23に対して、テーパ部22の長さl22の下限を示す。テーパ部22の長さが下限より下側では、ブラインドナット20を取り付けると、座屈浮き等の座屈異常が生じる恐れがある。
テーパ部22の長さl22が上限と下限の間に入っていれば、座屈異常が生じずブラインドナット20を良好に取付けることが出来る。
テーパ部22の上端部の直径D23=x2mm、テーパ部22の長さ:l22=y2mmとすると、
上限の式は、y2=0.45x2+1.4 (式4)
下限の式は、y2=0.22x2+0.4 (式5)
で表すことができる。
ブラインドナット20を良好に取付けることが出来るテーパ部22の長さl22の範囲は、次式で表される。
0.22x2+0.4<y2<0.45x2+1.4 (式6)
本件発明の実施形態のストレート部23とテーパ部22とを有するブラインドナット20では、ストレート部23の長さを一定値(式3を満たす)とし、図14に示すテーパ部22の長さl23を加える。
(シミュレーション2)
図3に示す本発明の実施形態のブラインドナット20のテーパ部22の長さl22の適正な寸法範囲を確認するため、有限要素法により、取付動作のシミュレーションを行った。
ストレート部23の長さは一定(l23=11mm)とした。テーパ部22の長さが短いもの(l22s=3.3mm)、テーパ部22の長さが中間のもの(l22m=5.0mm)、テーパ部22の長さが長いもの(l22l=6.7mm)の3種類のブラインドナット20について、薄い被取付部材41(板厚t41s=3.3mm)を締結するときと、厚い被取付部材41(板厚t41l=5.5mm)を締結するときについてシミュレーションを行った。
図15〜20は、各条件についてのシミュレーションの結果である。
図15は、テーパ部22の長さが短い(l22s)ブラインドナット20で、薄い板厚(t41s)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。(a)〜(c)の各図は、中心軸yに対して右側半分を示す。
(a)は、被取付部材41にブラインドナット20をセットした段階を示す。(b)は取付けの中間段階を示し、テーパ部22とストレート部23とが湾曲しかかっている。(c)はブラインドナット20の取付が完了した段階を示し、テーパ部22とストレート部23とが湾曲して、径大部27が形成され、径大部27とフランジ24とで被取付部材41を挟んでいる。
図15(c)では、径大部27は被取付部材41の下面から離れ、座屈浮きが生じている。
図16は、テーパ部22の長さが短い(l22s)ブラインドナット20で、厚い板厚(t41l)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。
図17は、テーパ部22の長さが中の(l22m)ブラインドナット20で、薄い板厚(t41s)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。
図18は、テーパ部22の長さが中の(l22m)ブラインドナット20で、厚い板厚(t41l)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。
図19は、テーパ部22の長さが長い(l22l)ブラインドナット20で、薄い板厚(t41s)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。
図16〜19では、径大部27は被取付部材41の表面に当接し、ブラインドナット20は良好に取付けられている。
図20は、テーパ部22の長さが長い(l22l)ブラインドナット20で、厚い板厚(t41l)の被取付部材41に取付けた場合のシミュレーションである。
図20(c)では、径大部27は被取付部材41の下面から離れ、座屈浮きが生じている。
シミュレーション結果をまとめると、表1のようになる。
表1 ストレート部23の長さl23=11mm、直径D23=10mm
Figure 0005972036
シミュレーション結果から、次のことが分かる。本発明の実施形態のストレート部23とテーパ部22とを有するブラインドナット20は、テーパ部22の長さが短いと、厚い被取付部材は良好に締結することが出来るが、薄い被取付部材を締結すると座屈浮きが生じやすい。
テーパ部22の長さが適正であると、薄い被取付部材、厚い被取付部材ともは良好に締結することが出来る。
また、テーパ部22の長さが長いと、薄い被取付部材は良好に締結することが出来るが、厚い被取付部材を締結すると座屈浮きが生じやすい。
本発明の実施形態によれば、ブラインドナットの管状部は、ストレート部とテーパ部とからなり、ブラインドナットを広い範囲の板厚の被取付部材に不具合なく取付けることができる。
また、ブラインドナットの管状部が十分拡径し、確実に被取付部材に取付けることが出来る。
10 ブラインドナット(従来)
11 雌ねじ部
13 管状部
14 フランジ
15 雌ねじ
17 拡径部
20 ブラインドナット
21 雌ねじ部
22 テーパ部
23 ストレート部
24 フランジ
25 雌ねじ
26 貫通孔
27 拡径部
41 被取付部材
42 別の被取付部材
43 取付孔
44 取付孔
45 ボルト
46 頭部
47 軸部
50 締結工具
51 本体部
52 ノーズピース
53 スクリューマンドレル

Claims (6)

  1. 内側に雌ねじが形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部に隣接する中空の管状部と、前記雌ねじ部と反対側の前記管状部の端部に形成された開口付きのフランジとを備え、被取付部材の取付孔に前記雌ねじ部と前記管状部とを挿入し、前記管状部の一部を拡径するように塑性変形させ、変形した拡径部と前記フランジとの間に前記被取付部材を把持して前記被取付部材に取付けるブラインドナットであって、
    前記管状部は、前記フランジに隣接する円筒形のストレート部と、前記ストレート部から前記雌ねじ部に向かって次第に細くなるテーパ部とを有し、前記ストレート部から前記テーパ部までの肉厚は一定であることを特徴とするブラインドナット。
  2. 請求項1に記載のブラインドナットであって、前記ストレート部に対して前記テーパ部がなす角度は、1〜20°であるブラインドナット。
  3. 請求項に記載のブラインドナットであって、前記角度は2〜15°であるブラインドナット。
  4. 請求項に記載のブラインドナットであって、前記角度は3〜8°であるブラインドナット。
  5. 請求項1乃至の何れか1項に記載のブラインドナットであって、
    前記ストレート部の外径をx1(mm)、前記ストレート部が前記被取付部材から出る部分の長さをy1(mm)としたとき、
    0.09x1+0.15<y1<0.35x1+1.5
    の範囲に入るブラインドナット。
  6. 請求項1乃至の何れか1項に記載のブラインドナットであって、
    前記ストレート部の外径をx2(mm)、前記テーパ部の長さをy2(mm)としたとき、
    0.22x2+0.4<y2<0.45x2+1.4
    の範囲に入るブラインドナット。
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