JP5982925B2 - 低融点ガラス体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば金属製真空二重容器の真空封止工程で使用される低融点ガラス体の製造方法に関する。
従来、魔法瓶、ポット、ジャー等の保温容器として、金属製真空二重容器が使用されている。図2に示すように金属製真空二重容器20は、ステンレス鋼等の金属材からなる外容器22と内容器24とを相互に接合して二重容器を構成し、外容器22と内容器24との間の中空部28が真空となっている。
図24に示すように、金属製真空二重容器20には、外容器22の底部30に、中空部28側に凹んだ凹部31が設けられ、該凹部31の一部に中空部28と外容器22の外部とを連通させる排気口34が形成されている。
このような金属製真空二重容器20を製造する際、該排気口34を介して中空部28を真空排気した後、該排気口34を低融点の封止用ガラス2010を用いて封止する方法がある。
そのような封止用に好適な低融点ガラスとして、SnO−P系ガラスが知られている。SnO−P系ガラスは、比較的低温でも高い流動性がある。また、低融点ガラス体の形状として、成形型に接触する非自由表面と、成形型に接触せず、滴下されたガラスの融液の表面張力によって形成された自由表面とを有する扁平な低融点ガラス体が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2006−52124号公報
しかし、SnO−P系ガラスは非常に失透しやすい。低融点ガラス体がこのような組成であると、製造時に温度制御されない表面、たとえば自由表面や温度制御されていない成形型に接触した表面においては、部分的に失透をおこし、失透部分の流動性が失われることで封止不良が発生するおそれがあった。
また、金属製真空二重容器の底面は限られたスペースであるため、封止用ガラスを載置する凹部の幅にも制限がある。凹部の幅が狭い場合に、たとえば従来の扁平な低融点ガラス体では、封止に必要な体積が不足であることによって封止不良となるおそれがある。しかし、従来の低融点ガラス体は扁平であって、凹部の幅に合わせた任意の形状に変更するのは困難だった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、失透しやすいSnO−P系ガラス等であっても、金属製真空二重容器の底部にある凹部に収容可能で、かつ良好に封止できる体積をもつ任意の形状の、低融点ガラス体及び該低融点ガラス体の製造方法を提供する。
かかる課題を解決するため本発明の低融点ガラス体においては、下面部と前記下面部の外周から立設する側面部と上面部とが設けられ、前記上面部、前記下面部および前記側面部がすべて少なくとも前記下面部と前記側面部とが成型面であって、前記成型面は、SnO−P系ガラスからなる融液が温度制御された成形型と接触することにより形成される。
かかる課題を解決するため本発明は、所定体積のSnO−P 系ガラスからなる融液を温度制御された下成形型に滴下することにより、下面部と前記下面部の外周から立設する側面部と上面部とを形成し、前記下面部と前記側面部とを前記下成形型と接触して形成した成型面とする第1ステップと、前記上面部を、温度制御された上成形型が前記低融点ガラス体に接触することにより成型面とする第2ステップとを有する低融点ガラス体の製造方法であって、 前記SnO−P2O5系ガラスが、mol%表示の酸化物換算でSnOを50〜70%、P を20〜38%、MoO を0.1〜5%、B を0〜13%、ZnOを0〜12%、Q O(QはLi、Na、Kから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)を0〜10%、RO(RはMg、Ca、Ba、Srから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)を0〜10%、Al を0〜6%を含有する低融点ガラス体の製造方法にある。
本発明によれば、SnO−P系ガラスのように失透しやすいガラス組成であっても、低融点ガラス体の少なくとも下面部と側面部とが成型面とされ、自由表面ではないので、部分的に失透をおこすことなく良好に封止できる。また、成形型によって、金属製真空二重容器の底部にある凹部に収容可能で、かつ良好な封止に十分な体積をもつ任意の形状の低融点ガラス体及び低融点ガラス体の製造方法を実現できる。
さらに低融点ガラス体の上面部も成型面とすれば、全ての表面が成型面により構成され、自由表面が存在しないので、部分的な失透をおこすおそれがほとんどなくなり、さらに良好な封止を実現できる。
封止用ガラスを示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 金属製真空二重容器の倒立状態を示す一部破断断面図である。 金属製真空二重容器の凹部を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図である。 封止用ガラス製造装置を示す断面図である。 成形型を示す断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(1)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(2)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(3)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(4)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(5)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図、(d)はY−Y'矢視断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(6)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図、(d)はY−Y'矢視断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(7)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(8)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(9)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図、(d)はY−Y'矢視断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(10)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図、(d)はY−Y'矢視断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(11)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(12)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(13)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(14)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による金属製真空二重容器(1)の凹部の断面図である。 他の実施の形態による封止用ガラス(15)を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図、(c)は底面図である。 他の実施の形態による金属製真空二重容器(2)の凹部を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図である。 他の実施の形態による金属製真空二重容器(3)の凹部を示し、(a)は平面図、(b)はX−X'矢視断面図である。 金属製真空二重容器の凹部及び従来の封止用ガラスを示す断面図である。
本発明に係る封止用ガラスの実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
<実施の形態>
[封止用ガラスの構成]
封止用ガラス10の構成の一例として、図1を参照して以下に説明する。
封止用ガラス10は、軟化温度が500℃以下である低融点ガラスにより形成されている。
また封止用ガラス10は、SnO−P系ガラスであって、mol%表示の酸化物換算でSnOが50〜70%、Pが20〜38%、Bが0〜13%、ZnOが0〜12%、QO(QはLi、Na、Kから選択される少なくとも1種)が0〜10%、RO(RはMg、Ca、Ba、Srから選択される少なくとも1種)が0〜10%、Alが0〜6%を含有する。
SnOは、ガラスを形成する成分であり、かつ低融点化に必須の成分である。SnOの含有量は50〜70%が好ましい。50%未満であるとガラスの粘性が高くなるため、金型でのプレス成型において所望の寸法に成型しにくくなる。一方、70%を超えるとガラス化しにくくなり、また失透しやすくなる。このため、滴下が不安定になり、安定した連続プレス成型が困難になる。より好ましい範囲は55〜65%である。なお、封止用ガラス10においては、SnOを含んでいてもよい。SnOを含む場合は、SnOに換算してSnO含有量に含めるものとする。
は、ガラスの骨格形成のための必須成分である。Pの含有量は20〜38%が好ましい。20%未満であるとガラス化せず、38%を超えるとリン酸塩ガラス特有の欠点である耐候性の悪化を引き起こす。より好ましい範囲は23〜38%である。
は、ガラスを安定化させる効果がある。Bの含有量は13%以下が好ましい。13%より多いとガラスの耐水性が悪化するだけでなく、高温ガラスからの揮散により成形型の寿命が短くなる。より好ましくは7%以下である。
ZnOはガラスを安定化させる効果がある。ZnOの含有量は12%以下が好ましい。12%を超えるとガラスが失透しやすくなる。このため、滴下重量が不安定になり、安定した連続プレス成型が難しくなる。より好ましくは6%以下である。
O(QはLi、Na、Kから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)は、ガラスの軟化点を下げ、流動性を向上させる効果がある。QOの合量での含有量は10%以下が好ましい。10%を超えると、ガラスが失透しやすくなる。また、高温ガラスからの揮散により成形型の寿命が短くなる。より好ましくは、5%以下である。
RO(RはMg、Ca、Ba、Srから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)は、ガラスの粘度、熱膨張を調整する効果もある。ROの合量での含有量は10%以下が好ましい。10%を超えると軟化点が上昇し、熔解温度を高くする必要があるため、成形型の寿命が短くなる。より好ましくは5%以下である。
Alは、ガラスを安定化させる効果があり、また熱膨張係数を調整する効果もある。Alの含有量は6%以下が好ましい。6%を超えると軟化点が上昇し、熔解温度を高くする必要がある。このため、成形型の寿命が短くなるばかりでなく、失透しやすくなって、滴下が不安定になり、安定した連続プレス成型が難しくなる。より好ましくは4%以下である。
また、本発明のSnO−P系ガラスは、上記成分に加えてさらに種々の成分を添加できる。以下にいくつかの例を挙げる。
MoOは、真空封止時に金属被封止物との反応を抑制する効果がある。MoOの含有量は5%以下が好ましい。5%を超えるとガラス熔融時の粘度が高くなり、失透しやすくなる。このため、滴下が不安定になり、安定した連続プレス成型が難しくなる。下限は特に限定されるものではないが、上記効果を得る観点から0.1%以上が好ましい。
WOは、耐候性の改善のために有用である。WOの含有量は15%以下が好ましい。15%を超えると、失透しやすくなる。このため、滴下が不安定になり、安定した連続プレス成型が難しくなる。
CuO、MnO、ZrO、TiOは、ガラスを安定化させる成分として、合量で20%まで含有してもよい。なおこれらの成分の含有量が20%を超えると、ガラスが不安定になる。このため、滴下が不安定になり、安定した連続プレスが難しくなる。より安定化したガラスを得るためには、15%以下がより好ましい。
CuO、MnOの含有量は、いずれも0〜10%が好ましい。より好ましくは0〜5%である。これらの成分が各々10%を超えると、ガラスが安定しにくくなる。
ZrO、TiOの含有量は、いずれも0〜15%が好ましい、より好ましくは0〜10%である。これらの成分が各々15%を超えると、ガラスが安定しにくくなる。
MoO、WO、CuO、MnOTiOをガラスに含有する場合、それぞれMoO2、MoO、Mo、WO、WO、W、CuO、CuO、MnO、MnO、Mn、TiO、TiO、Tiの状態で存在する場合があるが、すべてにおいて上記範囲内で含有しても構わない。該遷移金属は価数がかわってガラス中に存在する可能性があるが、いずれの価数でも上記範囲であれば同様の効果を発揮するため、上記範囲であれば価数は問わない。
封止用ガラス10は、ペレット状の円錐台形状であり、下面12の直径よりも上面14の直径の方が大きいと共に、下面12から上面14までの高さが上面14の直径とほぼ等しいので、好ましい。
封止用ガラス10は、外表面として、平面形状である円形の下面12及び上面14と、該下面12の外周からほぼ垂直に立設し、上端部において上面14の外周を囲む曲面形状の側面部16とを有している。
これらの少なくとも下面12と側面部16とは成型面である。下面12、側面部16及び上面14の全面が成形型(後述する)によってプレス成型された成型面により構成されることがより好ましい。この場合、封止用ガラス10の外表面には、成形型によってプレス成型されず融液の表面張力によって形成される自由表面は存在しない。従って、部分的な失透の発生を抑制でき、良好に封止できると考えられる。
封止用ガラス10は、下面12と側面部16とが接する辺と、上面14と側面部16とが接する辺とが丸みを持って形成されていると、外表面にはエッジ部が存在しないため、割れたり、欠けたりする等の破損が発生しにくく、好ましい。
封止用ガラス10は、図2に示す金属製真空二重容器20の真空封止工程に使用される。図2において、金属製真空二重容器20は、開口部26を下方に向けた倒立状態で図示されている。
金属製真空二重容器20は、ステンレス鋼等の金属材からなる、外容器22と内容器24とを開口部26の側で相互に接合して二重容器を構成し、外容器22と内容器24との間の中空部28が真空に形成される。
金属製真空二重容器20には、外容器22の底部30に、中空部28側に凹んだ凹部31が設けられる。
図3に示すように凹部31は、平面視で円形の収容部32と、平面視で収容部32よりも小さい直径の円形であり、収容部32と同じ深さの封止部33とが組み合わされて形成される。
収容部32の内径は、封止用ガラス10の外径よりもやや大きい。封止用ガラス10が遊嵌状態で収容部32内に収容される。
封止部33には、略中央部に中空部28と外容器22の外部とを連通させる排気口34が形成されている。
金属製真空二重容器20を製造する際の封止工程において、金属製真空二重容器20は、排気口34を介して中空部28が真空排気された後、加熱される。
封止用ガラス10は、加熱されて軟化し、収容部32から封止部33に流れて二点鎖線で図示するように凹部31全体に広がった状態で固体化し、排気口34を封止する。
[封止用ガラスの製造装置及び製造方法]
封止用ガラス10は、図4に示す封止用ガラス製造装置40により製造されることが、生産性等の点において好ましい。封止用ガラス製造装置40は、融液滴下部44、駆動ベルト46、下成形型48及び上成形型50を有しており、図示しない制御部により全体を統括制御される。
融液滴下部44は、融液52を貯留し、所定体積の該融液52を所定時間間隔でノズル54から滴下する。
ノズル54の下方には、駆動ベルト46が設けられ、図示しない駆動ローラにより図中右回りに無限循環駆動する。
駆動ベルト46の外側面には、下成形型48が、駆動ベルト46の回転方向に沿って複数個固定されている。このため下成形型48は、駆動ベルト46の回転と共に移動する。なお、下成形型48は、熱伝導率が33.5[W/m・K]のダクタイル鋳鉄製であり、所定の温度範囲に制御される。
ノズル54の真下から駆動ベルト46の回転方向にやや進んだ位置には、上下方向に可動可能な上成形型50が設けられる。上成形型50は、下成形型48と同様に、熱伝導率が33.5[W/m・K]のダクタイル鋳鉄製で、所定の温度範囲に制御される。
封止用ガラス10を製造する際、封止用ガラス製造装置40は駆動ベルト46を回転駆動し、所定の下成形型48をノズル54のほぼ真下に位置させる。
融液滴下部44は、ノズル54から融液52を下成形型48に滴下する。下成形型48は、下部から上部に向かって内径が広がるように開口しているため、ノズル54から融液52が滴下される位置が位置ずれしたとしても、該融液52を下成形型48の開口部内に収容できる。
このとき融液52は、所定温度に保たれている下成形型48によって、温度が吸収され放熱していくことにより、ガラス転移点に近づいていく。下成形型48は、ガラス組成や、成形型の材質や環境温度等によっても異なるが、少なくとも融液52の失透温度域より低温、かつガラス転移点以上の温度に保たれるように温度制御する。上記したガラス組成と成形型の場合、下成形型48は、たとえば(ガラス転移点+10)℃〜(ガラス転移点+150)℃程度の範囲内にある所定温度に設定して温度制御される。
続いて封止用ガラス製造装置40は、駆動ベルト46を回転駆動し、融液52が滴下された下成形型48を上成形型50のほぼ真下まで移動させる。
封止用ガラス製造装置40は、上成形型50を下方向へ移動させることにより、上成形型50と下成形型48とで融液52をプレス成型する。上成形型50も、下成形型48同様に、たとえば(ガラス転移点+10)℃〜(ガラス転移点+150)℃程度の範囲内にある所定温度に設定して温度制御される。
これにより融液52は、封止用ガラス10(図1)に成型される。封止用ガラス10は、下面12及び側面部16が下成形型48に接触して該下成形型48の形状が転写され成型面となると共に、上面14が上成形型50に接触して該上成形型50の形状が転写され成型面となる。
ここで、融液52は、ノズル54から滴下された直後は、液状であって粘度が低すぎるため、所望の形状へのプレス成型が困難である。一方、下成形型48に滴下された後の融液の温度がガラス転移点よりも低下すると、固体化してしまうため、やはり所望の形状へのプレス成型が困難である。
このため封止用ガラス製造装置40は、下成形型48に融液52を滴下してから、該融液52の温度がある程度低下し、かつ少なくともガラス転移点以上の低温となるタイミングにおいてプレス成型するように、上成形型50の位置及び駆動ベルト46の駆動タイミングが設定されている。このようにすることで、たとえば(ガラス転移点+10)℃〜(ガラス転移点+150)℃程度の範囲内にある所定温度においてプレス成型し、所望の形状の封止用ガラス10とできる。
続いて封止用ガラス製造装置40は、上成形型50を上方向に移動させることにより、成型された封止用ガラス10から外し、駆動ベルト46を回転駆動する。
成型された封止用ガラス10を内部に有している下成形型48は、右端部まで移動し、下方へ回転していく。このとき、封止用ガラス10は、駆動ベルト46の右端部における排出位置において下成形型48から外れ、排出される。
下成形型48は、下部から上部に向かって内径が広がるように開口し、テーパー形状に形成されているため、プレス成型された封止用ガラス10を容易に排出できる。
その後封止用ガラス10は、アニール処理をされることにより歪みが除かれ、割れや欠けの発生が低減されて、完成する。
[動作及び効果]
以上の構成において、封止用ガラス製造装置40は、上成形型50及び下成形型48により融液52の外表面の全面をプレス成型し、円錐台形状の封止用ガラス10を製造する。
封止用ガラスには、凹部31内に収容可能な形状でありながら、最終的に排気口34の良好な封止に十分な体積が求められる。一方、金属製真空二重容器20の底面30は限られたスペースであるため、封止用ガラスを載置する凹部31の幅にも制限がある。凹部31の幅が狭い場合に、封止用ガラスが、たとえば従来の封止用ガラス2010(図24)のように扁平な形状であると、凹部31内に収容可能なサイズでは封止不良のおそれがある。
従来の封止用ガラス2010(図24)は、滴下された融液の表面張力によって側面に自由表面が形成された扁平な形状であるため、下面の面積を増加させずに体積を増加させることが困難であった。
これに対して、本実施の形態による封止用ガラスは、従来の封止用ガラス2010と比べて、封止用ガラス10の下面の面積を変化させずに高さを高くできるので、排気口の封止に十分な体積を確保できる。その結果、封止不良を低減できる。
このように封止用ガラス製造装置40は、金属製真空二重容器の凹部の幅が狭い場合においても凹部に収容可能な形状で、かつ排気口の封止に十分な体積をもつ封止用ガラスを製造できる。
また従来の封止用ガラス製造装置は、滴下した融液の側面部を成型しない自由表面とするため、製造される封止用ガラス2010の水平方向の大きさを高い精度で形成することが困難だった。
これに対し、本実施の形態による封止用ガラス製造装置40は、融液の全面をプレス成型しているため、水平方向の幅を高精度に形成できる。また、封止用ガラス製造装置40は、製造可能な封止用ガラスの形状の自由度が高いため、該封止に十分な体積をもち、凹部に収容可能な任意の形状の封止用ガラスを、高い精度で形成できる。
さらに、従来の封止用ガラス2010は扁平な形状であるため、水平方向の中央部分が急冷され易い。このため封止用ガラス2010は、歪みが入りやすく、割れたり、クラックが入ったりするおそれがあった。
これに対し、本実施の形態による封止用ガラスは扁平な形状でないため、一部分のみが急冷されることがなく、全体的にほぼ均一に冷却されて破損しにくいものとできる。
また従来の封止用ガラス製造装置は、滴下された融液の底面以外を空気に触れさせて製造するため、融液の温度を管理することが困難だった。このため従来の封止用ガラスは、融液が失透する温度で長時間保持されて、失透してしまうおそれがあった。
これに対して、封止用ガラス製造装置40は、滴下された融液52が下成形型48、上成形型50の両方に接するため、下成形型48及び上成形型50の温度を制御することにより、融液52の温度を高精度に管理できる。
このため封止用ガラス製造装置40は、融液52の温度を、失透温度域よりも低温まで速やかに低下させて、失透を防止できる。しかも、成形型を適切に温度制御することで、急激に温度を低下させ過ぎて封止用ガラス10が割れることがないようにコントロールできる。
また封止用ガラス10は、失透が発生しにくい組成であるため、ノズル54から滴下する際に失透して該ノズル54を閉塞させたり、結晶がノズル54に引っかかった後に融液52が一気にまとまって滴下してしまったりして、滴下される量が変化してしまうことがない。このため封止用ガラス製造装置40は、封止用ガラス10の体積及び質量を安定化できる。
また、従来の封止用ガラスの製造方法として、融液を成形型に流し込んで棒状の母材を作製し、この母材を引き伸ばし、適当な長さに切断して製造する方法がある。しかし、この方法では製造に手間が掛かり、生産性の点で問題があった。
これに対して、封止用ガラス製造装置40は、融液52を下成形型48に滴下して下成形型48及び上成形型50でプレス成型することにより封止用ガラス10を製造できるため、製造に手間がかからず、工数を削減できる。
また、棒状のガラスを切断した場合、切断面の縁がエッジ形状になるため、搬送時等に封止用ガラス同士、又は封止用ガラスと他の部材とが接触して擦れ合い、エッジ部に割れや欠けが発生することがある。その場合、エッジ形状部分の割れや欠けによって、封止用ガラスは封止に必要な体積を有しないものとなり、確実な封止ができないおそれがあった。
これに対し封止用ガラス10は、外表面にエッジ部が存在していないため、該封止用ガラス10自身の破損を防止し、排気口を確実に封止できる。
また、従来の封止用ガラスとして、融液を滴下して製造された球状のものが提案されているが、このような形状では封止用ガラスが転がり易く、金属製真空二重容器の凹部から脱落してしまうおそれがある。
このため、凹部を脱落防止部材で覆うことにより、凹部からの封止用ガラスの脱落を防止するものがある。しかしながら、そのような場合、金属製真空二重容器の部品点数が増加すると共に、封止用ガラスを凹部に収容する作業が煩雑になってしまう。
これに対し、封止用ガラス10は、平坦な上面14及び下面12を有する形状であるため転がりにくくなっている。よって、金属製真空二重容器20の凹部31には、封止用ガラス10の脱落防止部材を配設する必要がないため、金属製真空二重容器20の部品点数の増加を防ぐと共に、封止用ガラス10を凹部31に収容することが容易である。
以上のように、低融点ガラス体としての封止用ガラス10は、少なくとも下面部としての下面12と、前記下面12の外周から立設する側面部16とが成型面であって、該成型面は、SnO−P系ガラスからなる融液が温度制御された下成形型48と接触することにより形成されたものとした。
これにより、該成型面は自由表面ではないので、部分的に失透をおこすことなく良好に封止できる。また、成形型によって、金属製真空二重容器の底部にある凹部に収容可能で、かつ良好な封止に十分な体積をもつ任意の形状の低融点ガラス体が得られる。
さらに、側面部16の上端部に周囲を囲まれて形成された上面部としての上面14が成型面であって、該成型面は、SnO−P系ガラスからなる融液が温度制御された上成形型50と接触することにより形成されたものとした。これにより、全ての表面が成型面により構成され、自由表面が存在しないので、部分的な失透をおこすおそれがほとんどなくなり、さらに良好な封止を実現でき、好ましい。
<他の実施の形態>
上述した実施の形態においては、封止用ガラスを円錐台形状に形成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、たとえば、封止用ガラスをたとえば図6乃至図19、図21及び図22に示す形状としてもよい。図6に示す封止用ガラス110は、四角錐台形状に形成されている。この場合、封止用ガラス110の外表面の全面が平面形状であるため、作業者は全ての面を下方に向けて金属製真空二重容器20の収容部32に載置でき、作業性を向上できる。
図7に示す封止用ガラス210は、略円錐台形状であり、上面214の中央部分に凸部218が設けられている。
図8に示す封止用ガラス310は、略円錐台形状であり、上面314の外周に沿って凸部318が設けられている。
図9に示す封止用ガラス410は、角丸正方形の上面414及び下面412を有する四角錐台形状である正四角錐台形状であり、上面414の外周に沿って凸部418が設けられている。
図10に示す封止用ガラス510は、楕円形の上面514及び下面512を有する円錐台である略楕円錐台形状であり、上面514の外周に沿って凸部518が設けられている。
図11に示す封止用ガラス610は、角丸長方形の上面614及び下面612を有する四角錐台形状であり、上面614の外周に沿って凸部618が設けられている。
図12に示す封止用ガラス710は、略円錐台形状であり、上面714の外周と下面712の外周とに沿って凸部718が設けられている。
図13に示す封止用ガラス810は、略正四角錐台形状であり、上面814の外周と下面812の外周とに沿って凸部818が設けられている。
図14に示す封止用ガラス910は、楕円形の上面914及び下面912を有する円錐台である略楕円錐台形状であり、上面914の外周と下面912の外周とに沿って凸部918が設けられている。
図15に示す封止用ガラス1010は、角丸長方形の上面1014及び下面1012を有する四角錐台形状であり、上面1014の外周と下面1012の外周とに沿って凸部1018が設けられている。
図16に示す封止用ガラス1110は、略円錐台形状であり、上面1114の外周に沿って凸部1118が設けられると共に、上面1114の左右方向に所定間隔を空けて、前後方向に沿って凸部1118が設けられている。
図17に示す封止用ガラス1210は、略正四角錐台形状であり、上面1214の外周に沿って凸部1218が設けられると共に、上面1214の左右方向に所定間隔を空けて、前後方向に沿って凸部1218が設けられている。
図18に示す封止用ガラス1310は、略円柱形状であり、上面1314が平坦に、下面1312が半球状に形成されている。
図19に示す封止用ガラス1410は、略正四角錐台形状であり、上面1414及び下面1412それぞれにおいて平坦に形成された平坦部1419の右辺及び左辺において前後方向に沿って凸部1418が設けられている。
図20に示すように、封止用ガラス1410に対応する金属製真空二重容器120の凹部131は、平面視で円状の収容封止部135から構成され、該凹部131は、横方向の幅が、金属製真空二重容器20の凹部31よりも小さく形成されている。封止用ガラス1410は、収容封止部135の底面において、下面1412を下方に向けて排気口34に被さるように載置される。
金属製真空二重容器120は、真空排気工程において封止用ガラス1410の下面1412における平坦部1419と収容封止部135の底面との間隙を空気が通過することにより脱気される。
このように金属製真空二重容器120の収容封止部135は、金属製真空二重容器20における収容部32と封止部33とが一体化した形状となっているため、凹部131の構造をシンプルにできると共に、幅方向の長さを短くできる。
また、金属製真空二重容器120は、凹部131の容量を金属製真空二重容器20の凹部31よりも低減できるので、封止用ガラス1410の体積を封止用ガラス10よりも小さくしたとしても排気口34を封止でき、封止用ガラス1410の形成の際に必要なガラスの量を低減できる。
図21に示す封止用ガラス1510は、略円錐台形状であり、上面1514及び下面1512それぞれにおいて平坦に形成された平坦部1519に2箇所ずつ凸部1518が設けられている。
封止用ガラス1510は、該封止用ガラス1510に対応する金属製真空二重容器120(図20)の収容封止部135に、下面1512を下方に向けて載置される。
金属製真空二重容器120は、真空排気工程において封止用ガラス1518の下面1512における平坦部1519と収容封止部135の底面との間隙を空気が通過することにより脱気され、上述した封止用ガラス1410が載置された場合と同様の作用効果を奏する。
図22に示す封止用ガラス1610は、角丸長方形の上面1614及び下面1612を有する略四角錐台形状であり、扁平に形成されている。
封止用ガラス1610に対応する金属製真空二重容器220の凹部231は、第1収容封止部236と、第2収容封止部237とから構成されている。
第1収容封止部236は、平面視において封止用ガラス1610と同様の形状の長方形であり、該封止用ガラス1610の外径よりもやや大きい内径で、中空部28に向かって凹んで形成されている。
第2収容封止部237は、平面視において第1収容封止部236の短辺よりも大きい内径の円形状であり、該第1収容封止部236の中央部において該第1収容封止部236よりもさらに凹んで形成されている。第2収容封止部237の略中央部には、排気口34が形成されている。
封止用ガラス1610は、第1収容封止部236の底面に載置される。金属製真空二重容器220は、真空排気工程において封止用ガラス1610の平面視における長辺の側面と第2収容封止部237の壁面との間隙を空気が通過することにより脱気される。
このように金属製真空二重容器220は、収容部と封止部とが一体化した凹部231を有するため、封止用ガラス1610は扁平な形状であっても凹部231に収納可能で、かつ排気口34を良好に封止できる。しかも、封止用ガラス1610形成の際に必要なガラスの量を、金属製真空二重容器120の場合と同様に低減できる。
図23に示す金属製真空二重容器320の凹部331は、第1収容封止部336と、第2収容封止部337とから構成されている。凹部331には、封止用ガラス10(図1)が収容される。
第1収容封止部336は、平面視において封止用ガラス10と同様の形状の円形であり、該封止用ガラス10の外径よりもやや大きい内径で、中空部28に向かって凹んで形成されている。
第2収容封止部337は、平面視において第1収容封止部336の直径よりも長い長辺を有する長方形形状であり、該第1収容封止部336の中央部において該第1収容封止部336よりもさらに凹んで形成されている。第2収容封止部337の略中央部には、排気口34が形成されている。
封止用ガラス10は、第1収容封止部336の底面に載置される。金属製真空二重容器320は、真空排気工程において封止用ガラス10と、第2収容封止部337の長手方向の両端部付近との間隙を空気が通過することにより脱気される。
このように金属製真空二重容器320は、収容部と封止部とが一体化した凹部331を有するため、封止用ガラス10の形成の際に必要なガラスの量を金属製真空二重容器120の場合と同様に低減できる。
このように、封止用ガラスの形状としては種々の形状が考えられるが、要は、金属製真空二重容器に設けられた凹部に安定的に載置される程度に転がりにくい状態で収容でき、かつ溶融された際に排気口を封止でき、排気口から真空排気を行う際に弊害にならない形状であればよい。
本発明においては、上成形型及び下成形型により封止用ガラスの全面をプレス成型するため、様々な形状の封止用ガラスを成型できる。
また上述した実施の形態においては、上成形型50及び下成形型48により融液52の全面をプレス成型する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、上成形型50を省略し、下成形型48のみによって融液52を成型してもよい。この場合、封止用ガラス製造装置40の構成を簡略化できる。
そのような封止用ガラス製造装置においては、融液52は落下時の運動エネルギーによって下成形型48に押し付けられ、下成形型48と接触する下面部、側面部は、下成形型48の形状が転写された成型面となる。
この場合、封止用ガラスの上面部は成形型に接触しない自由表面となり、表面張力によって中央部から側面部に向かって下方向に湾曲する形状となる。
さらに上述した実施の形態においては、熱伝導率が33.5[W/m・K]のダクタイル鋳鉄により上成形型50及び下成形型48が構成される場合について述べた。
本発明はこれに限らず、たとえば熱伝導率が92.8[W/m・K]のカーボン、鋳鉄、ステンレス等、種々の素材により上成形型及び下成形型が構成されてもよい。この場合、摩耗によるコンタミネーションや、寸法精度の低下を考慮し、金属であることがより望ましい。
さらに上述した実施の形態においては、封止用ガラスを金属製真空二重容器における排気部の封止に用いる場合について述べた。
本発明はこれに限らず、金属材料同士の接合や、封止用であれば、他の種々の用途に使用できる。その場合、封止用ガラスの酸化を防止するため、真空環境下か、窒素等の不活性ガスの環境下で封止用ガラスを溶融することにより金属材料同士の接合や封止を行うことが望ましい。
表1、表2にそれぞれ、失透しないガラス組成、失透するガラス組成の例を示す。表1中、A1およびA14が実施例、A2〜A13,A15が参考例、表2は比較例である。
Figure 0005982925
Figure 0005982925
なお、表1の物性データ(ガラス転移点Tg、軟化温度Ts、線膨張率α)は、示差熱分析装置(リガク社製、商品名:Thermo plus)による測定結果である。また線膨張率(×10-7/℃)は、30〜280℃での平均値である。失透については、目視で確認した結果である。
また封止用ガラスの組成としては、上述した組成に限らず、失透が発生しにくい組成であれば、他の組成であってもよい。
さらに上述した実施の形態においては、下面部としての下面12と、側面部としての側面部16と、上面部としての上面14とによって低融点ガラス体としての封止用ガラス10を構成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、その他種々の構成の下面部と、側面部と、上面部とによって低融点ガラス体を構成するようにしてもよい。
10,110,210,310,410,510,610,710,810,910,1010,1110,1210,1310,1410,1510,1610,2010…封止用ガラス、12,112,212,312,412,512,612,712,812,912,1012,1112,1212,1312,1412,1512,1612…下面、14,114,214,314,414,514,614,714,814,914,1014,1114,1214,1314,1414,1514,1614…上面、16,116,216,316,416,516,616,716,816,916,1016,1116,1216,1316,1416,1516,1616…側面部、218,318,418,518,618,718,818,918,1018,1118,1218,1418,1518…凸部、1419,1519…平坦部、20,120,220,320…金属製真空二重容器、22…外容器、24…内容器、26…開口部、28…中空部、30…底部、31,131,231,331…凹部、32…収容部、33…封止部、34…排気口、135…収容封止部、236、336…第1収容封止部、237、337…第2収容封止部、40…封止用ガラス製造装置、44…滴下部、46…駆動ベルト、48…下成形型、50…上成形型、52…融液、54…ノズル

Claims (2)

  1. 所定体積のSnO−P系ガラスからなる融液を温度制御された下成形型に滴下することにより、下面部と前記下面部の外周から立設する側面部と上面部とを形成し、前記下面部と前記側面部とを前記下成形型と接触して形成した成型面とする第1ステップと、前記上面部を、温度制御された上成形型が前記低融点ガラス体に接触することにより成型面とする第2ステップとを有する低融点ガラス体の製造方法であって、 前記SnO−P 系ガラスが、mol%表示の酸化物換算でSnOを50〜70%、P を20〜38%、MoO を0.1〜5%、B を0〜13%、ZnOを0〜12%、Q O(QはLi、Na、Kから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)を0〜10%、RO(RはMg、Ca、Ba、Srから選択される少なくとも1種。2種以上の場合は合量を示す。)を0〜10%、Al を0〜6%を含有する低融点ガラス体の製造方法
  2. 前記下成形型が、前記SnO−P系ガラスの失透温度域よりも低温、かつガラス転移点以上の温度に保たれるように温度制御される、請求項1に記載の製造方法。
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