JP5996579B2 - ヒータの断線・劣化判定方法および射出成形機 - Google Patents

ヒータの断線・劣化判定方法および射出成形機 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形機の加熱シリンダを加熱するヒータの、断線や劣化状態を判定するヒータの断線・劣化判定方法、およびそのような方法が実施される射出成形機に関するものである。
射出成形機の加熱シリンダには、複数枚のヒータが巻かれており、通電することによって加熱シリンダを加熱できるようになっている。また加熱シリンダには複数本の温度センサも設けられている。射出材料を効率よく溶融し、そして射出に適した粘度に調整するために、加熱シリンダは各位置において所望の温度になるように制御されている。ヒータは三相交流電源に接続され、ヒータが単相ヒータから構成されている場合には次のように接続されている。すなわち三相交流電源がΔ結線されている場合には、R線、S線、T線からなる三相交流電線のうち、各ヒータはそれぞれいずれか2線に接続されている。ただし各ヒータは、R線、S線、T線のそれぞれに接続されているヒータの枚数が実質的に均等になるように分散して接続され、負荷が特定の線に集中しないようになっている。またY結線されている場合には、三相交流電線はR線、S線、T線、およびニュートラルのN線からなり、各ヒータはR、S、T線のいずれかとN線とに接続されている。このY結線の場合にもR線、S線、T線のそれぞれのヒータの枚数が均等になるように各ヒータが接続されている。このように三相交流電線から通電される各ヒータはソリッドステートリレーあるいは電磁接触器が設けられ、コントローラからの指令によってON/OFFされるようになっている。このON/OFFはPWM制御によって実施され、制御周期に対して電流を供給する通電時間の占める割合、すなわちデューティー比を調整することによってヒータへの電力供給を調整するようになっている。コントローラには温度センサからの信号が入力され、フィードバック制御によって加熱シリンダの各位置が所定の温度になるようにヒータへの電力供給が調整されている。このようなヒータは、長時間使用すると劣化し、やがて断線する。断線したら交換する必要がある。
ヒータの断線を検出する方法として、ヒータに電力を供給するヒータ回路のそれぞれに電流センサを設け、電流を常時監視する方法が周知である。電流が検出されなくなったらヒータが断線したと判断することができ、確実にヒータの断線を判断できるが、電流センサはヒータ毎に必要になる。
特開2000−071306号公報 特開2013−202955号公報
ヒータの断線を検出する他の方法が、本出願人によって特許文献1によって提案されている。特許文献1に記載の方法によると、電流センサは共通の電流センサを1箇所にのみ設けて個々のヒータ回路には設けない。より具体的には、電流センサは、ヒータへの電力の供給線である三相交流電線のそれぞれに1枚ずつ設ける。そして断線を検査するときには1枚のヒータのみに通電するようにして、共通の電流センサによって電流値を測定する。そして順次通電するヒータを切り替え、それぞれのヒータの電流値を測定する。コントローラには各ヒータの正常時に測定された電流値が記憶されており、測定した電流値を正常時の電流と比較することによって断線の有無を判断する。
特許文献2においても、本出願人によってヒータの断線の検出方法が提案されている。特許文献2に記載の方法においても、特許文献1の方法と同様に電流センサは共通の電流センサを1カ所にのみ設ける。特許文献2に記載の方法においては、通常の温度制御中において、共通の電流センサで検出される電流をONしている全てのヒータの理論上の合計電流と比較する。そして理論上の合計電流を所定量だけ下回っていたら、現在ONしているヒータのうちいずれかが断線しているものと判断し、次いでこれらのヒータを1枚ずつONにして電流を測定して断線しているヒータを特定する。
従来の、ヒータ回路毎に電流センサを設ける方法も、特許文献1に記載の方法も、そして特許文献2に記載の方法も、いずれもヒータの断線を確実に検出することができ優れてはいる。しかしながら解決すべき問題も見受けられる。具体的には従来の方法においては、全てのヒータ回路に電流センサが必要になるので射出成形機のコストが高くなってしまうという問題がある。特に大型の射出成形機においてはヒータの枚数が多いのでコスト高になる。電流センサの枚数が多いと配線が複雑になる問題もあるし、それだけ電流センサが故障する頻度も高くなってしまう。特許文献1に記載の方法においては、ヒータの断線の検出は運転中、つまり温度制御中に実施することになるが、ソリッドステートリレーや電磁接触器のON/OFFを温度制御と無関係に実施することになり、制御の外乱になって温度制御に悪影響がでるという問題がある。仮にヒータの断線の検出を実施する頻度を小さくすれば、温度制御に対する影響は小さくすることができるが、このようにするとヒータの断線の発見が遅れてしまう。特許文献2に記載の方法においては、理論上の電流が大きく異なるヒータが混在しているときに問題がある。例えば電流の大きいヒータと電流の小さいヒータが同時にONしているときに測定される電流が、理論上の合計電流より小さいとき、それが電流の大きいヒータの誤差によるものなのか、電流の小さいヒータの断線によるものなのか、判断ができない可能性もある。また従来の方法においても、特許文献1に記載の方法においても、検出できるのがヒータの断線のみという点にも問題が見受けられる。つまりヒータの劣化を判定して事前に断線を予測できないので、代替品のヒータを用意することができない。そうするとヒータが断線したときに、射出成形機の長期間の停止が避けられない。
本発明は、上記したような問題点を解決した、ヒータの断線・劣化判定方法および射出成形機を提供することを目的としており、具体的には、コストが小さいにも拘わらず、温度制御に悪影響を与えることなしに、ヒータ毎の断線や劣化状態を精度良く判定することができるヒータの断線・劣化判定方法および射出成形機を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、三相交流電線のR線、S線、T線のそれぞれに、接続枚数が均等になるように接続されている複数枚のヒータが、個別のスイッチによって独立してPWM制御されるようになっている射出成形機においてヒータの断線・劣化を判定するヒータの断線・劣化判定方法として構成される。ヒータの断線・劣化方法は、複数枚のヒータのうちR線に接続されているヒータ群をR線接続ヒータ群とし、そしてS線に接続されているヒータ群をS線接続ヒータ群とし、PWM制御を実施しながら、それぞれのヒータ群について独立して判定するようにする。例えばR線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、R線に設けられたR線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定する。またS線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、S線に設けられたS線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定する。
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、単相ヒータからなり、三相交流電線のR線、S線、T線のそれぞれに対する接続枚数が実質的に均等になるように前記三相交流電線に接続されている複数枚のヒータが、個別に設けられているスイッチによって独立してPWM制御されるようになっている射出成形機においてヒータの断線・劣化を判定するヒータの断線・劣化判定方法であって、前記ヒータの断線・劣化判定方法は、前記複数枚のヒータのうち前記R線に接続されているヒータ群をR線接続ヒータ群とし、そして前記S線に接続されているヒータ群をS線接続ヒータ群とし、前記PWM制御を実施しながら、それぞれのヒータ群について独立して判定するようにし、前記R線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記R線に設けられたR線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定し、前記S線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記S線に設けられたS線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒータの断線・劣化判定方法において、前記複数枚のヒータのうち前記T線に接続されているヒータ群はT線接続ヒータ群とし、前記T線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記T線に設けられたT線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の方法において、前記PWM制御は前半ON型制御と後半ON型制御の2種類からなり、前記前半ON型制御は制御周期の開始時にONし、そしてデューティー比に相当するON時間後にOFFするように制御し、前記後半ON型制御は制御周期の開始時にOFFし、そして所定のタイミングでONして制御周期の終了時にデューティー比に相当するON時間が得られるように制御し、前記それぞれのヒータ群において任意の1枚のヒータを判定するとき、該1枚のヒータについて前記前半ON型制御と前記後半ON型制御のうちの一方の制御を実施し、そしてヒータ群の他のヒータは他方の制御を実施し、それによって前記任意の1枚のヒータのみがONになるタイミングを設け、該任意の1枚のヒータの断線・劣化を判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法として構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法において、前記複数枚のヒータの合計電力も計算することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法として構成される。
以上のように、本願発明によると、単相ヒータからなり、三相交流電線のR線、S線、T線のそれぞれに対する接続枚数が実質的に均等になるように前記三相交流電線に接続されている複数枚のヒータが、個別に設けられているスイッチによって独立してPWM制御されるようになっている射出成形機においてヒータの断線・劣化を判定するヒータの断線・劣化判定方法として構成されている。すなわち一般的なPWM制御が実施される射出成形機を対象としている。そして本願発明によると、ヒータの断線・劣化判定方法は、複数枚のヒータのうちR線に接続されているヒータ群をR線接続ヒータ群とし、そしてS線に接続されているヒータ群をS線接続ヒータ群とし、PWM制御を実施しながら、それぞれのヒータ群について独立して判定するようにしている。そしてR線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、R線に設けられたR線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定し、S線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、S線に設けられたS線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定するように構成されている。そうすると、少なくとも4つの効果が得られる。第1の効果は、電流を三相交流電線のR線またはS線の電流センサにおいて測定すればいいので電流センサの枚数は最小で済みコストを小さくすることができる。第2の効果は、ヒータ群毎に判定すればいいので効率よく判定できる。もし射出成形機に設けられている全てのヒータを対象とする場合には、判定したいヒータだけがONで他のヒータがOFFになっているタイミングを見いだすのは大変であるが、本発明は、それぞれのヒータ群に分けられてヒータ群毎に判定している。ヒータ群に属するヒータ枚数は少ないので、判定したいヒータだけがONになっているタイミングは頻繁に発生する。つまり頻繁に判定することができ、判定の効率は高い。第3の効果は、1枚のみヒータがONの状態で電流を測定するので、そのヒータ電流を測定していることになり、これを電流しきい値と比較するだけなので判定基準がシンプルである点である。つまり単一のヒータだけについて評価することができ、電流しきい値より小さい場合には断線している、あるいは劣化していると判定することができる。そして第4の効果はPWM制御を妨げることなく、判定できる点である。つまりPWM制御の制御周期の中でONになっているヒータが1枚だけのタイミングを見つけ、このヒータについて判定するようにするのでPWM制御の外乱にはならない。これによって温度制御に影響を与えない。ところでこの方法においては制御周期において1枚だけONになっているヒータが判定の対象になっているので、ヒータによっては判定の対象にならない場合もあり得る。しかしながら、劣化が進んだヒータは、徐々に抵抗値が大きくなってヒータ電流が低下してくるので所望の発熱量を得るには必然的にデューティー比が大きくなってくる。これによって制御周期のなかにおいて、劣化が進んだヒータだけがONになっているタイミングが生じやすい。つまりヒータは劣化が進むと、判定対象のヒータになり易く、格別に問題はない。
他の発明によると、PWM制御は前半ON型制御と後半ON型制御の2種類からなり、前半ON型制御は制御周期の開始時にONし、そしてデューティー比に相当するON時間後にOFFするように制御し、後半ON型制御は制御周期の開始時にOFFし、そして所定のタイミングでONして制御周期の終了時にデューティー比に相当するON時間が得られるように制御し、それぞれのヒータ群において任意の1枚のヒータを判定するとき、該1枚のヒータについて前半ON型制御と後半ON型制御のうちの一方の制御を実施し、そしてヒータ群の他のヒータは他方の制御を実施し、それによって任意の1枚のヒータのみがONになるタイミングを設け、該任意の1枚のヒータの断線・劣化を判定するように構成されている。そうすると、ヒータ群の中のどのヒータについても、そのヒータだけがONするタイミングを作り出すことができる。そうすると所望のヒータについて確実に断線・劣化判定を実施することができることになる。なお、前半ON型制御も、後半ON型制御も、デューティー比には影響しないので制御を切り替えても温度制御に影響を与える心配はない。
本発明の第1の実施の形態に係る射出成形機を模式的に示す図であり、その(ア)は射出成形機の制御ブロック図、その(イ)は射出成形機に設けられている各ヒータの三相交流電線への接続状態を示す表、そしてその(ウ)は、PWM制御される各ヒータのON/OFF状態を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る射出成形機を模式的に示す図であり、その(ア)は射出成形機の制御ブロック図、その(イ)は射出成形機に設けられている各ヒータの三相交流電線への接続状態を示す表、そしてその(ウ)は、PWM制御される各ヒータのON/OFF状態を示すグラフである。 PWM制御されるヒータのON/OFF状態を示すグラフである。 本実施の形態において、PWM制御されるヒータのON/OFF状態を示すグラフであり、その(ア)(イ)はPWM制御の異なる方法で制御される1枚のヒータのON/OFF状態を示すグラフであり、その(ウ)は複数のヒータのON/OFF状態を示すグラフである。
以下、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法は、射出成形機を構成している射出装置の加熱シリンダに設けられている複数枚のヒータの断線・劣化を判定する方法であるが、これらのヒータは三相交流電源から電力が供給されるようになっている。本発明が対象としているヒータはいわゆる単相ヒータであり射出成形機において一般的に使用されているヒータである。このような単相ヒータは、それぞれ三相交流電源を供給する各電線のいずれかに選択的に接続されているが、その接続方法は三相交流電源の結線方法によって相違している。最初に第1の実施の形態として、各ヒータへ電流を供給する三相交流電源が、R線、S線、T線がΔ結線された三相交流電線からなる射出成形機について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る射出成形機も、従来の一般的な射出成形機と同様に、射出材料を溶融して射出する射出装置、金型を型締めする型締装置、等から構成され、図1の(ア)には、第1の実施の形態に係る射出装置の加熱シリンダ1が模式的に示されている。加熱シリンダ1には、複数枚のヒータ2a、2b、…が巻かれて加熱されるようになっている。これらのヒータ2a、2b、…に電流を供給する三相交流電源は、本実施の形態においては5R相、S相、T相がΔ結線されている。従って本実施の形態において各ヒータ2a、2b、…は、R線、S線、T線からなる三相交流電線のうちの所定の2本の電線に接続されている。ただし、各ヒータ2a、2b、…は特定の電線に負荷が集中しないように分散して接続されている。具体的に説明すると、本実施の形態においては、図1の(ア)と(イ)の表に示されているように、第1のヒータ2aはR線とS線に、第2のヒータ2bはS線とT線に、第3のヒータ2cはT線とR線に、第4のヒータ2dはR線とS線に、第5のヒータ2eはS線とT線に、そして第6のヒータ2fはT線とR線に、それぞれ接続されている。これらのヒータ2a、2b、…には、個別にスイッチ4a、4b、…が設けられ、独立してON/OFFされるようになっている。スイッチ4a、4b、…はソリッドステートリレーすなわちSSR、電磁接触器等からなり、高速にON/OFFできるようになっている。
第1の実施の形態においては、三相交流電線のうち、R線にR線電流センサ7rが、S線にS線電流センサ7sがそれぞれ設けられている。これらによって検出される線電流によって、後で説明するヒータの断線・劣化方法が実施されるようになっている。なお、本実施の形態においては、T線を基準とするR線T線間の線間電圧と、S線T線間の線間電圧が電圧計10rt、10stによってそれぞれ測定されるようになっている。これらの線間電圧とR相とS相の2相の線電流から、周知の2電力計法によってヒータの電力も計算されるようになっている。これらの電流センサ7r、7sは、そもそもが電力計算用の電流センサであって、本発明はこのような電流センサ7r、7sを利用してヒータの断線・劣化を判定していると言うこともできる。
本実施の形態に係る加熱シリンダ1には、従来の加熱シリンダと同様に複数本の温度センサが埋め込まれている。これらの温度センサで検出される温度は、射出成形機のコントローラ8に入力されるようになっている。具体的にはコントローラ8の温度制御器9に温度が入力されるようになっている。ただし図1の(ア)には、温度センサも、温度センサから温度制御器9への入力信号も示されていない。本実施の形態に係る射出成形機においても、他の一般的な射出成形機と同様に加熱シリンダ1の温度はPWM制御によって温度制御されている。すなわちコントローラ8内において、温度制御器9が、予め設定されている目標温度と検出された温度の偏差を得、偏差が少なくなるようにヒータ2a、2b、…への電流の供給の割合を決定する。つまりPWM制御の制御周期におけるON時間の割合、すなわちデューティー比を決定する。PWM制御器11は、決定されたデューティー比に従ってスイッチ4a、4b、…をON/OFFするようになっている。
コントローラ8には、ヒータの断線・劣化を判定するための機能ブロックが設けられ、これは図1の(ア)においてヒータ判定13として示されている。またヒータ判定13は、コントローラ8の内部メモリに設けられているヒータ情報14から、各ヒータ2a、2b、…の電流しきい値を取得できるようになっている。この電流しきい値はヒータ2a、2b、…の断線や劣化状態を判定するための基準であり、ヒータ2a、2b、…に流れるヒータ電流の正常範囲の最低値になっている。このような電流しきい値が予めヒータ情報14に格納されている。なお、これらの電流しきい値は、各ヒータ2a、2b、…の定格電流値を参考にして決定されている。あるいは各ヒータ2、2b、…の使用開始初期に測定した、劣化していない状態におけるヒータ電流を参考にして決定されている。
以下、本実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法について説明する。この方法は、PWM制御により加熱シリンダ1を温度制御しながら実施する。すなわち温度制御器9は、目標温度と温度センサの測定温度との偏差を得、各ヒータ2a、2b、…におけるデューティー比を調整する。調整されたデューティー比に基づいてPWM制御器11がスイッチ4a、4b、…をON/OFFしてヒータ2a、2b、…に電流を供給する。このような従来のPWM制御を実施しながら、ヒータの断線・劣化を判定する。図1の(ウ)には、PWM制御を実施するときの所定の2回分の制御周期における第1、2、…6のヒータ2a、2b、…の電流のON/OFF状態が示されている。いずれのヒータ2a、2b、…も制御周期の開始時にONされ、それぞれのデューティー比に基づいて制御周期の途中でOFFされている。これらのヒータ2a、2b、…について、R線に接続されているヒータ2a、2c、2d、2fをR線接続ヒータ群とし、S線に接続されているヒータ2a、2b、2e、2dをS線接続ヒータ群とする。ヒータ2a、2b、…は、R線接続ヒータ群とS線接続ヒータ群の両方に属しているものもあるが、どちらにも属していないものはない。本実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法は、これらのヒータ群毎に独立して実施される。
R線接続ヒータ群については次のようにする。R線接続ヒータ群の中で、制御周期の中で他のヒータがOFFしている中で1枚のヒータだけがONしているときに、このヒータを判定対象のヒータとする。図1の(ウ)の例では、R線接続ヒータ群においては、符号16で示されているタイミングで第3のヒータ2cだけがONになっている。この第3のヒータ2cを判定対象とし、このタイミングでR線電流センサ7rにおいて電流を検出する。検出される電流は判定対象のヒータ2cに流れるヒータ電流である。このヒータ電流をヒータ情報14に定義されている第3のヒータ2cの電流しきい値と比較し、電流しきい値と等しいか大きいときには正常と判定する。しかしながら電流しきい値より小さいときには判定対象のヒータ2cは劣化している、あるいは断線していると判定し、コントローラ8は警報を発する。S線接続ヒータ群についても同様に判定する。すなわちS線接続ヒータ群においては、制御周期において所定のタイミングで単独でONしているヒータは第1のヒータ2aであり、このタイミングは符号17で示されている。これを判定対象のヒータとして、このタイミングでS線電流センサ7sで電流を検出する。検出されたヒータ電流を第1のヒータ2aに対して定義されている電流しきい値と比較し、電流しきい値より小さければヒータが断線・劣化していると判定する。
PWM制御を続けていると、加熱シリンダ1の温度が変化に応じて各ヒータ2a、2b、…のデューティ比も適宜変化する。そうするとそれぞれのヒータ群について、制御周期において単独でONになっているヒータも、変化する。そうすると、そのときにそれぞれのヒータ群において単独でONになっているヒータを判定対象としてヒータの断線・劣化を判定する。つまり、R線接続ヒータ群において、上記の第3のヒータ3c以外のヒータが制御周期内で単独でONしているタイミングがあればそのヒータを判定対象としてヒータの断線・劣化を判定するし、S線接続ヒータ群においても同様に実施する。
図2によって、本発明の第2の実施の形態に係る射出成形機について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る射出成形機は、第1の実施の形態に係る射出成形機1と類似しているので、同じ作用を奏する部材や機能ブロックについては第1の実施の形態に係る射出成形機1と同じ符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態においては、ヒータ2a、2b、…に電流を供給する三相交流電源5’が第1の実施の形態と相違している。つまり第2の実施の形態においては、三相交流電源5’はY結線されており、R、S、T相の各電流線であるR線、S線、T線と、中性点あるいはニュートラルのN線とからなる三相交流電線によってヒータ2a、2b、…に電流が供給される。この実施の形態においては、各ヒータ2a、2b、…は、R線、S線、T線のうちの所定の1本の電線と、N線とに接続されている。ただし、各ヒータ2a、2b、…は第1の実施の形態と同様に、特定の電線に負荷が集中しないように分散して接続されている。具体的に説明すると、本実施の形態においては、図2の(ア)と(イ)の表に示されているように、第1のヒータ2aはR線とN線に、第2のヒータ2bはS線とN線に、第3のヒータ2cはT線とN線に、第4のヒータ2dはR線とN線に、第5のヒータ2eはS線とN線に、そして第6のヒータ2fはT線とN線に、それぞれ接続されている。ところで、Y線結線されている三相交流電線においてN線を除く3本の電線R、S、Tのうちの2本にヒータを接続することもできそうである。例えば、ヒータをR線とS線、S線とT線、あるいはT線とR線に接続するような場合である。このような場合には、R線とS線に接続されているヒータはR線またはS線に接続されているヒータ、S線とT線に接続されているヒータはS線またはT線に接続されているヒータ、T線とR線に接続されているヒータはT線またはS線に接続されているヒータとして考えればよく、それぞれの線に設けられている電流センサによってヒータ電流を測定できる。つまり、このような場合においても、当業者であれば容易に理解されるように、三相交流電源がΔ結線された第1の実施の形態に係る射出成形機と同じ方法でヒータの断線・劣化を判定できることになる。そこで以下では、このような特殊な接続方法については除外して、各ヒータ2a、2b、…が、一方の端子がN線に接続され、他方の端子がR線、S線、T線のいずれかに接続されているという一般的な接続状態に限定して説明する。
第2の実施の形態においては、三相交流電線の各線に電流センサが設けられている。すなわちR線にR線電流センサ7rが、S線にS線電流センサ7sが、T線にT線電流センサ7tが、それぞれ設けられている。また、各線に電圧計10t、10s、10rが設けられ、これらによって相電圧が測定されるようになっている。第2の実施の形態においてもそれぞれの線の相電流と相電圧とから全体の電力が計算されるようになっている。
第2の実施の形態に係る射出成形においても、各ヒータ2a、2b、…はPWM制御によって制御されているが、このPWM制御を実施しながら本実施の形態に係るヒータの断線・劣化を判定する。これらのヒータ2a、2b、…について、R線に接続されているヒータ2a、2dをR線接続ヒータ群とし、S線に接続されているヒータ2b、2eをS線接続ヒータ群とし、T線に接続されているヒータ2c、2fをT線接続ヒータ群とする。第2の実施の形態においては、各ヒータ2a、2b、…は、いずれかのヒータ群に属しているが、重複して複数のヒータ群には属していない。それぞれのヒータ群について独立してヒータの断線・劣化を判定する。具体的には次のようにする。図2の(ウ)には、PWM制御を実施しているときの所定の2回分の制御周期における第1、2、…6のヒータ2a、2b、…の電流のON/OFF状態が示されている。R線接続ヒータ群については、制御周期のうち符号18で示されているタイミングで第1のヒータ2aが単独でONしている。このタイミングでR線電流センサ7rでヒータ電流を測定し、このヒータ2aに設定されている電流しきい値と比較する。ヒータ電流が電流しきい値より小さいときにヒータが断線・劣化したと判定し警報を発生する。同様に、T線接続ヒータ群については、符号19で示されているタイミングで第3のヒータ2cが単独でONしている。このタイミングでT線電流センサ7tでヒータ電流を測定し、このヒータ2cに設定されている電流しきい値と比較する。ヒータ電流が電流しきい値より小さいときにヒータが断線・劣化したと判定し警報を発生する。S線接続ヒータ群についても同様に実施して、S線電流センサで検出されるヒータ電流を、電流しきい値と比較するようにする。
本実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法においては、それぞれのヒータ群毎に独立してヒータの断線・劣化を判定しているので、判定は効率よく行える。しかしながら、任意のヒータ群について考えるとそのヒータ群に属するヒータのうち、他に比して大きいデューティー比で制御されているヒータしか判定対象とすることができない。そうすると判定対象のヒータが特定のヒータに偏ってしまう可能性が考えられる。しかしながら、劣化したヒータについてはこの方法によってほぼ確実に劣化判定できる。一般的にヒータHは、図3において符号20のグラフ示されているように、使用開始初期の劣化していない状態においてはヒータ電流Ifは大きい。ヒータ電流Ifが大きいので発熱量が大きく、制御周期におけるON時間は短くて済む。つまりデューティー比は小さい。しかしながら長時間使用して劣化すると符号21のグラフで示されているように、ヒータHのヒータ電流I’は低下してくる。つまり電流しきい値Isに近づく。そうすると必要な発熱量を確保するために制御周期におけるON時間が長くなる。つまりデューティー比が大きくなる。これによって、判定対象のヒータになり易い。つまりヒータ2a、2b、…が劣化すると、必然的にデューティー比が大きくなって判定対象のヒータになるので、劣化したヒータはほぼ確実に断線・劣化判定できることになる。
次に他の実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法について説明する。この方法も上で説明した方法と同様に、各ヒータ群のうち制御周期においてONになっているヒータが1枚だけのタイミングにおいて、そのヒータを判定対象として断線・劣化判定をするが、この方法においては所望のヒータに対して、1枚だけONになるタイミングが生じるようにする。これによって、いずれのヒータ2a、2b、…についても、常に断線・劣化判定方法を実施することができる。この方法を実施する上で、PWM制御として2種類の制御方法、つまり前半ON型制御と、後半ON型制御を用意する。前半ON型制御は、図4の(ア)に示されているように制御周期の開始時にONし、デューティー比に応じてOFFする制御方法である。この前半ON型制御では、制御周期の終了直前にはOFFされた状態になっている。これに対して後半ON型制御は、図4の(イ)に示されているように制御周期の開始時にOFFし、所定のタイミングでONして制御周期の終了時にちょうどON時間がデューティー比に対応するように制御する。つまり後半ON型制御では制御周期の終了直前はONされた状態になる。
この実施の形態に係るヒータの断線・劣化判定方法も、前記した第1、2の実施の形態に係る射出成形機のいずれにいおいても実施でき、どのヒータ群についても、任意のヒータについて判定対象とすることができる。説明を簡単にするために、ヒータ2a、2b、2c、2d、2eの全てが同一のヒータ群に属しているものとして説明する。このようなヒータ群のうち、判定対象としてヒータ2cを選択した場合、ヒータ2cについては後半ON型制御で、他のヒータ2a、2b、…については前半ON型制御で温度制御するようにする。そうすると、図4の(ウ)に示されているように、制御周期の終了直前の時間t1において、判定対象のヒータ2cだけがONした状態になる。この状態で三相交流電源に設けられている電流センサでヒータ2cのヒータ電流を測定できるので、前実施の形態に係るヒータの断線・劣化方法と同様に電流しきい値と比較してヒータの断線・劣化を判定することができる。他のヒータ2a、2b、…について判定対象にする場合は、その判定対象のヒータのみ後半ON型制御で制御し、他のヒータは前半ON型制御で制御する。以下同様にヒータの断線・劣化判定を実施する。
このようなヒータの断線・劣化判定方法においては、判定対象のヒータを後半ON型制御で、他のヒータを前半ON型制御で制御するように説明したが、逆にしてもよい。つまり判定対象のヒータを前半ON型制御で、他のヒータを後半ON型制御で制御するようにする。このようにすると制御周期の開始直後に判定対象のヒータだけがONした状態になる。これによってヒータ電流を測定でき、ヒータの断線・劣化判定を実施することができる。
1 加熱シリンダ 2 ヒータ
4 スイッチ 5 三相交流電源
7r、7s、7t R線、S線、T線電流センサ
8 コントローラ 9 温度制御器
13 ヒータ判定 14 ヒータ情報

Claims (4)

  1. 単相ヒータからなり、三相交流電線のR線、S線、T線のそれぞれに対する接続枚数が実質的に均等になるように前記三相交流電線に接続されている複数枚のヒータが、個別に設けられているスイッチによって独立してPWM制御されるようになっている射出成形機においてヒータの断線・劣化を判定するヒータの断線・劣化判定方法であって、
    前記ヒータの断線・劣化判定方法は、前記複数枚のヒータのうち前記R線に接続されているヒータ群をR線接続ヒータ群とし、そして前記S線に接続されているヒータ群をS線接続ヒータ群とし、前記PWM制御を実施しながら、それぞれのヒータ群について独立して判定するようにし、
    前記R線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記R線に設けられたR線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定し、
    前記S線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記S線に設けられたS線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法。
  2. 請求項1に記載のヒータの断線・劣化判定方法において、前記複数枚のヒータのうち前記T線に接続されているヒータ群はT線接続ヒータ群とし、前記T線接続ヒータ群は、これらの中の1枚のヒータだけONのタイミングで、前記T線に設けられたT線電流センサにおいて測定される電流が、該1枚のヒータに設定されている電流しきい値より小さいときにヒータが劣化・断線していると判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記PWM制御は前半ON型制御と後半ON型制御の2種類からなり、
    前記前半ON型制御は制御周期の開始時にONし、そしてデューティー比に相当するON時間後にOFFするように制御し、
    前記後半ON型制御は制御周期の開始時にOFFし、そして所定のタイミングでONして制御周期の終了時にデューティー比に相当するON時間が得られるように制御し、
    前記それぞれのヒータ群において任意の1枚のヒータを判定するとき、該1枚のヒータについて前記前半ON型制御と前記後半ON型制御のうちの一方の制御を実施し、そしてヒータ群の他のヒータは他方の制御を実施し、それによって前記任意の1枚のヒータのみがONになるタイミングを設け、該任意の1枚のヒータの断線・劣化を判定することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法において、前記複数枚のヒータの合計電力も計算することを特徴とする射出成形機のヒータの断線・劣化判定方法。
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