JP5997018B2 - 紙葉類厚み検出装置および紙葉類識別装置 - Google Patents

紙葉類厚み検出装置および紙葉類識別装置 Download PDF

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Description

この発明は、紙幣等の紙葉類の厚みを検出する紙葉類厚み検出装置、および、これを含む紙葉類識別装置に関する。
現金自動預払機(ATM)や現金自動支払機(CD)においては、預入される紙幣または支払われる紙幣の枚数確定ならびに紙幣金種および真偽の判定や、紙幣への異物の付着の有無の検知等が行われる。このために、搬送される紙葉類を基準ローラーと変位ローラーとの間で挟持し、挟持した紙葉類の厚みに応じて変化する変位ローラーの変位を検出することにより、紙葉類の厚みを検出する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
図9は、紙葉類の厚み検出の方法の一例を示す説明図である。なお、図9は、特許文献1に記載の厚み検知装置を例とし、紙葉類の搬送される方向側からみた概略正面の一部を示している。この厚み検知装置は、紙葉類の搬送方向に垂直な紙葉類の幅方向に対応する水平方向(以下、単に「搬送幅方向」とも呼ぶ)に沿って、上下に対向配置された回転軸38R,37Rと、下側の回転軸(「固定ローラー軸」とも呼ぶ)37Rに挿通された複数(図の例では2つ)の固定ローラー36Rと、上側の回転軸(「変位ローラー軸」とも呼ぶ)38Rに挿通されるとともに、固定ローラー36Rのそれぞれに対向配置された複数の変位ローラー34Rと、複数の変位センサー33Rと、を備えている。なお、図は、固定ローラー36Rおよび変位ローラー34Rがそれぞれ2つ配置された状態を示している。また、変位センサー33Rは、変位ローラー34Rごとに、その上方の離間した位置でローラー両端部に対応する位置に、2つずつ配置されている。
変位ローラー34Rは、金属外輪(「変位ローラー外輪」とも呼ぶ)32Rと、変位ローラー軸38Rに固定接続されて変位ローラー外輪32Rの内側に充填された弾性部材39Rと、で構成されており、変位ローラー軸38Rと一体となって回転する構造となっている。図9(A)に示すように、通常、変位ローラー34Rと基準ローラー36Rとはそれぞれ対向し、変位ローラー34の変位ローラー外輪32Rの内部の弾性部材39Rによって押圧されて接触した状態にある。そして、図9(B)に示すように、変位ローラー34Rと基準ローラー36Rとの間で紙葉類30を挟持するとき、変位ローラー外輪32Rの内部に充填された弾性部材39Rが変形し、変位ローラー外輪32Rが紙葉類30の厚み分だけ持ち上がる。このとき、変位ローラー34Rの上部に設置された変位センサー33Rと変位ローラー外輪32Rとの間の距離が変化する。この変化を、変位センサー33Rで検知することにより、紙葉類30の厚みを検出する。
なお、図示は省略するが、特許文献2における厚み検出は、上記した複数の固定ローラーではなく幅の大きな1つの固定ローラー(特許文献2では「基準ローラー」と呼ばれる)に対して複数の変位ローラーに相当する複数の検知ローラーが対向配置された構造であり、特許文献1における厚み検出と同様に、検知ローラーの変位を変位センサーで検知するものである。
特開2006−84274号公報 特開2011−237851号公報
図10は、図9で示した厚み検出の問題点について示す説明図である。図9で示した厚み検知装置の構成では、装置に用いられる部品の寸法誤差や、装置の製造時における組み立て誤差等の種々のばらつきにより、変位ローラー34Rと固定ローラー(以下、「基準ローラー」とも呼ぶ)36Rとの間で回転軸方向に沿った位置ズレが発生する可能性がある。変位ローラー34Rで紙葉類の厚みを検知できる検知可能部分DPは、基準ローラー36Rおよび変位ローラー34Rに挟まれる部分のみに限定されるため、図10(A)に示すように、位置ズレVpaが発生した場合の検知可能部分DPd(図の右側参照)は、位置ズレがない場合の検知可能部分DPt(図の左側参照)よりも小さくなるという問題がある。また、変位ローラー34Rは存在するが基準ローラー36Rが存在しない部分では、仮に、検知対象としての紙葉類30が存在していたとしても、変位ローラー34Rが変位することがなく、検知不可な不感部分NDPとなる。この不感部分NDPにおいて、紙葉類30に付着した異物(たとえば、テープ等)TAが存在していたとしても、変位ローラー34Rが異物TA上にあるにもかかわらず、紙葉類30が挟持されていないため、紙葉類30は自由に変形でき、変位ローラー34Rが紙葉類30および異物TAの厚みに応じた変位することができない。また、不感部分NDPの大きさが上記した部品寸法誤差や組み立て誤差等の製造ばらつきによって不定であるため、不感部分NDPの大小は厚み検知の出力のばらつき要因となってしまう。
また、図10(B)の左側の図に示すように、紙葉類30の一部のみが変位ローラー34に掛かった場合、変位ローラー34Rが片浮き状態になり、紙葉類30の実際の厚みよりも大きく変位して見えてしまうことが知られている。そして、図10(B)の右側の図に示すように、変位ローラー34Rに対して基準ローラー36の位置が回転軸方向にズレ量Vpaだけずれた場合には、基準ローラー36Rよりも左側の変位ローラー34Rの端部が基準ローラー36Rに接することができずに落ち込んでしまい、変位ローラー34Rの片浮きの角度θdが図10(B)の左側のずれていない場合の角度θtよりも大きくなってしまう。そして、片浮きの角度が大きくなると、これに伴って片浮き量が大きくなり、変位誤差Dgがより大きくなるので、変位センサー33Rにより紙葉類30の厚みを正確に検出することがより困難となる。この変位誤差Dgは、変位ローラー34Rの片浮き時の端点の位置が、基準ローラーとの接点から離れるほど、すなわち、変位ローラー34Rに対して基準ローラーの回転軸方向のズレ量Vpaが大きいほど大きくなる。
また、紙葉類の厚み分布を詳細に検出するためには、変位ローラー幅を小さくし、多数の変位ローラーを設けることが望ましい。しかし、多数の変位ローラーを設けることは、これと同時に構造が複雑化し、製造ばらつきが発生しやすくなる。また、変位ローラーの部品寸法が小さくなれば、内部に充填される弾性部材の形状などの工夫がより一層難しくなってしまう。また、メカ構造の変形によって厚みに応じた変位を得る構成のため、多年に渡り故障を避けるためには、なるべく簡便で堅牢な構成が望ましい。
以上のことから、本発明の目的は、シンプルな構成によって、複数の変位ローラーと複数の基準ローラーとを備える紙葉類厚み検出装置において、変位ローラーと基準ローラーとの回転軸方向に沿った位置ズレに起因して発生する変位ローラーの不感部分を抑制し、さらには片浮きによる変位ローラーの変位誤差を抑制することにより、量産時に発生する部品寸法ばらつきや製造ばらつきによる検知のばらつきを抑制して、紙葉類の厚みを高精度に検出する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の紙葉類の厚みを検出するための紙葉類厚み検出装置は、基準ローラー軸;前記基準ローラー軸に対向する変位ローラー軸と;前記基準ローラー軸に挿通配置され、前記基準ローラー軸を中心として回転する複数の基準ローラーと;前記各基準ローラーに対向して前記変位ローラー軸に挿通配置され、前記変位ローラー軸に対して中心が変位可能に回転する複数の変位ローラーと;搬送される紙葉類が前記基準ローラーと前記変位ローラーとで挟持される際に、前記基準ローラーを基準として前記変位ローラーが前記紙葉類の厚みに応じて変位する変位量をそれぞれ検知する複数の変位センサーと;を備える。そして、前記基準ローラーと前記変位ローラーとが対向配置された状態において、前記変位ローラーの前記変位ローラー軸に沿った方向の両端位置が前記基準ローラーの前記基準ローラー軸に沿った方向の両端位置よりも内側となるように、前記基準ローラーの前記基準ローラー軸に沿った方向の基準ローラー幅が前記変位ローラー幅よりも長く設定されている。
本発明によれば、変位ローラーと基準ローラーとの間の位置ズレが生じた場合でも、課題で説明した、変位ローラーの不感部分の発生、および、変位ローラーの片浮きによる変位誤差、を抑制して、変位センサーによる検知ばらつきを低減し、紙葉類の厚みを高精度に検出することが可能である。
実施例1としてATM内に構成される紙幣搬送装置を示す概略構成図である。 図1の識別部の主要な構成を示す概略構成図である。 図2の厚み検知部の内部構成を示す概略構成図である。 厚み検知部の基本動作について示す説明図である。 厚み検知部の変位ローラーと基準ローラーとが位置ズレした場合における検知動作について示す説明図である。 実施例の構造における厚み検出ばらつきを従来構造における厚み検出ばらつきと比較して示す説明図である。 実施例2における厚み検知部の内部構成を示概略構成図である。 紙葉類搬送ガイド部の機能について示す説明図である。 紙葉類の厚み検出の方法の一例を示す説明図である。 図9で示した厚み検出の問題点について示す説明図である。
(1)紙幣搬送装置の概要
図1は、実施例1としてATM内に構成される紙幣搬送装置を示す概略構成図である。この紙幣搬送装置1000は、計数した紙幣を一時的に集積する一時保留部1と、紙幣の金種、真偽、向き、および、損傷の程度を識別する識別部2と、紙幣を種類別に集積する収納部3a〜3dと、識別部2によってリジェクトされた紙幣を収納する回収部4と、入金口20と、シャッタ付き出金口21と、返却口22と、を備える。また、紙幣搬送装置は、入金口20、識別部2、一時保留部1、シャッタ付き出金口21、および、返却口22をループして紙幣を搬送する上部搬送路5と、上部搬送路5から収納部3a〜3dおよび回収部4の上を経由して再び上部搬送路5へと紙幣を搬送する下部搬送路6と、を備える。
入金口20と上部搬送路5との間には入金口20から上部搬送路5へと紙幣を搬送する入金口搬送路7が設けられ、シャッタ付き出金口21と上部搬送路5との間には上部搬送路5からシャッタ付き出金口21へと紙幣を搬送する出金口搬送路8が設けられている。返却口22と上部搬送路5との間には上部搬送路5から返却口22へと紙幣を搬送する返却口搬送路9が設けられている。一時保留部1と上部搬送路5との間には、上部搬送路5から一時保留部1へと紙幣を搬送する一時保留部収納搬送路10と、一時保留部1から上部搬送路5へと紙幣を搬送する一時保留部繰出搬送路11と、が設けられている。収納部3a〜3dと下部搬送路6との間には、下部搬送路6から収納部3a〜3dへと紙幣を搬送する収納部収納搬送路12a〜12dと、収納部3a〜3dから下部搬送路6へと紙幣を搬送する収納部繰出搬送路13a〜13dと、が設けられている。回収部4と下部搬送路6との間には下部搬送路6から回収部4へと紙幣を搬送する回収部搬送路14が設けられている。
上部搬送路5と各部21,22,1との間に設けられた搬送路8,9,10の分岐は、それぞれの分岐部分に設けられた、紙幣が通過するのを検知する通過センサー15、および、通過センサー15による検知に応じて紙幣の搬送する搬送路を切り替えるゲート16により実行される。また、下部搬送路6と各部3a〜3d,4との間に設けられた搬送路12a〜12dの分岐や、上部搬送路5と下部搬送路6との間の分岐も同様である。
入金口20には入金口紙幣検知センサー17が設けられ、シャッタ付き出金口21には出金口紙幣検知センサー18が設けられ、返却口22には返却口紙幣検知センサー19が設けられており、これらセンサーによってそれぞれの口に紙幣があるか否か検知され、検知結果に応じた処理が実行される。
(2)識別部の構成
図2は、図1の識別部の主要な構成を示す概略構成図である。この識別部2は、ここに導かれた紙幣等の紙葉類30を搬送しながら識別を行うための紙葉類搬送機構31が備えられている。この紙葉類搬送機構31には、搬送ローラー部23と、光学式センサー24と、磁気センサー25と、厚み検知部26と、が順に設けられている。
搬送ローラー部23は、搬送路の幅方向(図の紙面垂直方向であり、装置の水平方向である)に沿って架設され、上下に対向配置された上搬送ローラー23aと下搬送ローラー23bと、を備えている。これらの上下搬送ローラー23a,23bは、図示しない搬送モーターからの回転駆動力を受け、紙葉類30を上下から挟持して1枚ずつ搬送する。なお、上下搬送ローラー23a,23bは、折れた紙幣や切れた紙幣などの損傷した流通紙幣等の紙葉類に対してもスムーズに搬送できるように、その表面をゴムなどの弾性部材で形成することにより、搬送許容性の高い構成を有している。
光学式センサー24は、搬送されてくる紙葉類30を紙幣と想定して、その図柄や色合いなどをチェックする。磁気センサー25も、搬送されてくる紙葉類30を紙幣と想定して、それに塗られている磁気インクの磁性を識別する。また、厚み検知部26は紙葉類30の厚みやテープの有無などを検知する。そして、制御部28は、光学式センサー24、磁気センサー25、および、厚み検知部26で得られるデータに基づいて、金種、枚数、および、真偽を判定する。なお、識別部2が本発明の「紙葉類識別装置」に相当する。また、厚み検知部26、あるいは、厚み検知部26および制御部28が、本発明の「紙葉類厚み検出装置」に相当する。
以上説明したように、識別部2は、ここに搬送されてきた紙葉類30が紙幣として、どの金種であるかを識別し、また、真券であるか偽券であるかを識別し、さらにまた、二枚以上重なっていないかを識別して、取引利用される紙幣を管理している。なお、紙葉類搬送機構31は往復どちらの方向から紙葉類30が搬送されてきても識別できるように構成されている。
(3)厚み検知部の構成
図3は、図2の厚み検知部の内部構成を示す概略構成図である。なお、図3(A)は搬送方向に沿った方向側、たとえば、図2の磁気センサー25側から見た正面図であり、図3(B)は図3(A)の一部についての拡大図である。この厚み検知部26には、紙葉類搬送機構31の搬送駆動系(不図示)から回転駆動力が伝達される回転軸として、搬送路の幅方向(図の紙面左右方向であり、装置の水平方向である)に沿って架設された基準ローラー軸37と、基準ローラー軸37の上側に対向して架設された変位ローラー軸38と、が配置されている。
下側の基準ローラー軸37には、複数(図の例では6個)の基準ローラー36a〜36fが一定の狭幅間隔で挿通配置されている。なお、これらの複数の基準ローラー36a〜36fをまとめて「基準ローラー群36G」とも呼ぶ。また、複数の基準ローラー36a〜36fを特に区別しない場合には「基準ローラー36」とも呼ぶ。
また、上側の変位ローラー軸38には、各基準ローラー36a〜36fに対して対向するように複数(図の例では6個)の変位ローラー34a〜34fが挿通配置されている。なお、これらの複数の変位ローラー34a〜34fをまとめて「変位ローラー群34G」とも呼ぶ。また、複数の変位ローラー34a〜34fを特に区別しない場合には「変位ローラー34」とも呼ぶ。
各変位ローラー34a〜34fは、それぞれ、金属などの円筒状の部材からなる外輪(変位ローラー外輪)32a〜32fと、その中心軸となる変位ローラー軸38との間に、充填された弾性変形可能なゴム等の弾性部材39a〜39fと、から構成されている。なお、上記したように変位ローラー34a〜34fを特に区別しない場合には、変位ローラー外輪32a〜32fも特に区別せず「変位ローラー外輪32」とも呼ぶ。変位ローラー外輪32は、例えば、SUS304(ステンレス)に硬質クロムメッキを施したものとすることができる。変位ローラー外輪32の材料はこの他にも、非弾性材料を用いることができる。基準ローラー36〜36fは金属で構成され、外周面が変位しない基準面として設けられ、ここに変位ローラー34a,34bが対接される。そして、各変位ローラー34a〜34fは、それぞれ対応する基準ローラー36a〜36fに押し付けられて従動回転する。また、変位ローラー34と基準ローラー36との間で紙葉類30が挟持されると、基準面である基準ローラー36の外周面に対向する変位ローラー34の変位ローラー外輪32が、紙葉類30の厚みに応じて上方向(基準ローラー軸37から変位ローラー軸38へ向かう方向)へ変位する。
複数の変位ローラー34の上方には、変位ローラー34ごとに少なくとも1つ変位ローラーに対して対向配置させた複数の変位センサー33と、複数の変位センサー33から得られるデータを処理するセンサー処理部35と、が配置されている。本例では、変位ローラー34ごとに2つの変位センサー33がその両端側に配置されている。また、各変位センサーの符号は、対応する変位ローラー34a〜34fの符号に合わせて、33a1,33a2〜33f1,33f2のように付している。なお、これらの複数の変位センサー33a1,33a2〜33f1,33f2をまとめて「変位センサー群33G」とも呼ぶ。各変位センサー33には、センサー内部のコイルにより発生させた磁界が変化することに基づいて、それぞれに対向する変位ローラー34が、基準ローラー36とで挟持した紙葉類の厚みに応じて上下方向へ弾性変位した変位量(「ローラー変位量」とも呼ぶ)を検知することが可能なセンサー、たとえば、渦電流磁場式変位センサーを用いることができる。
変位ローラー34の回転軸方向に沿った幅(以下、「変位ローラー幅」とも呼ぶ)Lwは、1つの変位ローラーによって検知させる幅として設計上要求される仕様に基づいて設定される。基準ローラー36の回転軸方向に沿った幅(以下、「基準ローラー幅」とも呼ぶ)Lrは、図3(B)に示すように、変位ローラー34の幅Lwを基準としてLr>Lwとなるように設定される。具体的には、変位ローラー34の端部位置が基準ローラー36の端部位置よりも内側となるように設定される。より具体的には、変位ローラー34および基準ローラー36をそれぞれの幅の中心位置を一致させて配置した際に、変位ローラー34の端部位置と基準ローラー36の端部位置との差Lmが、それぞれの部品の寸法誤差およびそれぞれの取り付け誤差から発生するズレ量ΔLよりも大きくなるように設定される。なお、変位ローラー幅Lwに対して基準ローラー幅Lrを大きく設定する効果については後で説明する。
以上の構成により、搬送路を搬送する紙葉類30が変位ローラー群34Gと基準ローラー群36Gとの間を通過した際に、紙葉類30が通過した部分の変位ローラー34が持ち上げられて弾性変位し、発生した変位を変位センサー33で検知し、検知した変位に応じて紙葉類30の厚みを検出することができる。また、複数の変位ローラー34(34a〜34f)において、それぞれ、紙葉類の通過による変位を検知することができるので、紙葉類の厚みの面内分布を検出することが可能となる。なお、変位ローラー34の個数が多くなるほど、より詳細に紙葉類の厚みの面内分布を検出することができる。
図4は、厚み検知部の基本動作について示す説明図である。なお、図4は図3(B)と同様に、図3(A)に示した厚み検知部26のうち、上下方向に配置された、2つの変位センサー33a1,33a2と変位ローラー34aと基準ローラー36aと、からなる左側の検知部分と、その右側で上下方向に配置された、2つの変位検知センサー33b1,33b2と変位ローラー34bと基準ローラー36bと、からなる右側の検知部分と、を拡大して示している。以下では、これら2組の検知部分を例にとって説明する。
左右両側の基準ローラー36a,36bと左右両側の変位ローラー34a,34bとの2組のローラー面間に紙葉類30が噛み込まれると、弾性部材39a,39bが紙葉類30の厚み分だけ変形して変位ローラー外輪32a,32bが上方向に変位する。この変位量は、左側の2つの変位センサー33a1,33a2と右側の2つの変位センサー33b1,33b2とで検知して、センサー処理部35に出力される。
センサー処理部35は、得られた変位量に応じた検知信号を処理して、紙葉類30の厚みに応じたデータを含む信号を識別部2の制御部28(図2)に送る。制御部28では、送られてきた信号に含まれる紙葉類30の厚みデータから、紙葉類30が二枚以上重なって搬送されていないか、テープ等が貼られた変造券でないか、真券か偽券でないか等を判定する。また、1つの変位ローラー34aに対して、両端に2つの変位検知センサー33a1,33a2を配置することにより、例えば紙面に異物TAとしてテープが貼られている場合は(図4参照)、このテープの両端部が左右の変位ローラー34a,34bに渡って接触し、それぞれの変位ローラー34a,34bが同時にテープ上に片乗りして相反する方向に傾くので、変位ローラー34a,34bのそれぞれにおいて変位を検知することができる。
図5は厚み検知部の変位ローラーと基準ローラーとが位置ズレした場合における検知動作について示す説明図である。図3(B)に示したように、基準ローラー36(36a,36b)の基準ローラー幅Lrは、基準ローラー36および変位ローラー34の寸法誤差や取り付け誤差によってズレ量ΔLが発生したとしても、変位ローラー34の両端よりも基準ローラー36の両端のほうが外側となるように、変位ローラー34(34a,34b)の変位ローラー幅Lwよりも長くなっている。このため、変位ローラーと基準ローラーとの間に最大の位置ズレが発生したとしても、図5に示すように、変位ローラー34の両端位置が基準ローラー36の両端位置よりも内側とすることができるので、変位ローラー34のいずれの位置においても、基準ローラー36とともに紙葉類30を挟持することが可能となる。これにより、変位ローラー34の幅Lwの全てを検知可能部分DPとすることができるので、課題において図10(A)で説明したような、位置ズレによって変位ローラー34に不感部分NDPが発生して、検知可能部分DPが減少してしまうことを防止することができる。また、図10(B)で説明したような、不感部分NDPによって、紙葉類30に付着したテープ等の異物TAが検知不可となることを防止することができる。
また、図5に示すように、本実施例においても、変位ローラー34に紙葉類30の端部のみが掛かる場合、課題において図10(A)で説明したとおり、変位ローラーの片浮きの問題により、変位ローラー34の変位量と、紙葉類30の実際の厚みとの誤差が発生する。しかし、上記したように基準ローラー36の基準ローラー幅Lrを変位ローラー34の変位ローラー幅Lwよりも長くすることにより、変位ローラー34が片浮き状態であっても、変位ローラー34の一端の落ち込みを防止して、変位ローラー34の一端が基準ローラー36と接する状態にできるため、紙葉類30の実際の厚みとの誤差を小さくすることが可能となる。
図6は、実施例の構造における厚み検出ばらつきを従来構造における厚み検出ばらつきと比較して示す説明図である。紙葉類の僅かな厚みの違いをもとに、紙幣の種類や真贋、紙幣上に付着したテープなどの異物を検知するためには、簡単には本物の紙幣の厚みばらつきと、それ以外の紙葉類の厚みばらつきと、の違いから判定するようにアルゴリズムを構築すればよい。しかし、実際に厚みを検出した結果には、紙葉類の厚みばらつき以外に、厚み検出装置の検知出力のばらつきが含まれるため、厚み検出した結果は、紙葉類の厚みの実態よりも広くばらついているかのように検出されてしまう。
図9で説明したように、従来構造では、変位ローラー34Rおよび基準ローラー36Rの製造ばらつきによる位置ズレによって変位ローラー34R下に不感部分NDPができてしまう。さらには紙葉類の端部が掛かる場合に、変位ローラー片浮きによってローラー変位量と紙葉類の実際の厚みとの誤差が大きくなる。したがって、これらの問題により、検出した厚みは、紙葉類の厚みのばらつきの実態よりも広くばらついてしまう。
しかしながら、図6に示すように、本実施例の構造では、これらの問題に因るばらつき要素(ローラー位置ズレに因るばらつき)を取り除くことができるため、検出する厚みを、従来よりも、紙葉類の厚みのばらつきの実態に近づけることが出来る。これにより、アルゴリズムを構築する際の閾値を厳しくすることができるため、巧妙な偽造券と本物との違いをより容易に判定することができるようになる。また、従来の構成と比べて特別な仕掛けや構造を必要としないために、従来と同等の堅牢性を保つことができ、コスト増も無い。
以上説明したように、本実施例においては、変位ローラーおよび基準ローラーの回転軸方向の位置ズレによる変位センサー出力のばらつきを低減し、紙葉類の厚みの検出精度を向上することができ、結果として、紙葉類の識別誤りを低減することが可能である。
なお、上記説明では、変位センサー33として、渦電流式変位センサーを用いている。この渦電流式変位センサーは、あらかじめ、センサー内部のコイルに高周波電流を流して発生させた高周波磁界を変位ローラーに印加しておき、変位ローラー外輪が変位したときに、その変位量に応じて変位ローラー外輪の面内に発生する渦電流の変化によって発生するコイルのインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化に応じて変化するコイルの高周波電流の発振状態の変化から変位量を検出するものである。しかしながら、変位センサーとしては、これに限定されるものではなく、高周波磁界を発生させて変位ローラーに印加する手段と、変位ローラーの変位に応じて発生する磁界の変化を検出する手段と、から構成されるものを用いてもよい。高周波磁界を発生させる手段としては、渦電流式変位センサーと同様に、コイルに高周波電流を流して高周波磁界を発生させる高周波磁界発生装置を用いることができる。磁界の変化を検出する手段としては、磁気抵抗(MR)素子や磁気インピーダンス(MI)素子を用いることができる。また、変位センサーは上記した磁界を用いたものに限らず、検出対象となる変位ローラーの変位ローラー外輪の変位を読み取れるセンサーであれば良い。一例としては対象物との反射を利用した超音波式センサーや光学式センサーなどが挙げられる。また、通常、回転するローラーとの摩擦による影響を避けるため非接触式の変位センサーが望ましいが、ローラーとの摩擦の問題を解決できるのであれば接触式のセンサーでも良い。
図7は実施例2における厚み検知部の内部構成を示概略構成図である。なお、本実施例の厚み検知部26Bを備える識別部、並びに、この識別部を備える紙幣搬送装置の構成は、実施例1における識別部2および紙幣搬送装置1000と同じであるので、図示および説明を省略する。
本実施例の厚み検知部26Bには、実施例1における厚み検知部26(図3)と比較すればわかるように、各変位ローラー34(34a〜34f)の間に設けられた変位ローラー側ガイド100uと、各基準ローラー36(36a〜36f)の間で変位ローラー側ガイドに対向して設けられた基準ローラー側ガイド100lと、から構成される紙葉類搬送ガイド部が設けられているこの紙葉類搬送ガイド部が設けられているのは、以下の理由による。
図8は紙葉類搬送ガイド部の機能について示す説明図である。図8(A)に示すように、厚み検知部26の変位ローラー34および基準ローラー36は円柱状の回転体であるため、摩擦を避けるために、通常、前後の他の構造物、例えば識別部2では、磁気センサー25との間に隙間を設けている。この隙間は、搬送されてきた紙葉類30が、隙間内で変形し、紙詰まり(ジャム)を起こす要因となる。そこで、本実施例の厚み検知部26Bでは、図7および図8(B)に示すように、各ローラー間に変位ローラー側ガイド100uおよび基準ローラー側ガイド100lで構成される紙葉類搬送ガイド部を設けることにより、隙間の間を橋渡しして、紙葉類30が変形することなく搬送されるようにしている。
本実施例においても、変位ローラーおよび基準ローラーの回転軸方向の位置ズレによる変位センサー出力のばらつきを低減し、紙葉類の厚みの検出精度を向上することができ、結果として、紙葉類の識別誤りを低減することが可能である。また、厚み検知部と前後の他の構造物との間の隙間に起因して発生する紙詰まり(ジャム)を防止することが可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
1…一時保留部
2…識別部
3a〜3d…収納部
4…回収部
5…上部搬送路
6…下部搬送路
7…入金口搬送路
8…出金口搬送路
9…返却口搬送路
10…一時保留部収納搬送路
11…一時保留部繰出搬送路
12a〜12d…収納部収納搬送路
13a〜13d…収納部繰出搬送路
14…回収部搬送路
15…通過センサー
16…ゲート
17…入金口紙幣検知センサー
18…出金口紙幣検知センサー
19…返却口紙幣検知センサー
20…入金口
21…シャタ付き出金口
22…返却口
23…搬送ローラー部
23a…上搬送ローラー
23b…下搬送ローラー
24…光学式センサー
25…磁気センサー
26…厚み検知部
26B…厚み検知部
28…制御部
30…紙葉類
31…紙葉類搬送機構
32…変位ローラー外輪
32a〜32f…変位ローラー外輪
33…変位センサー
33G…変位センサー群
33a1〜33f1,33a2〜33f2…変位センサー
34…変位ローラー
34G…変位ローラー群
34R…変位ローラー
34a〜34f…変位ローラー
35…センサー処理部
36…基準ローラー
36G…基準ローラー群
36R…基準ローラー
36a〜36f…基準ローラー
37…基準ローラー軸
38…変位ローラー軸
39a〜39f…弾性部材
100l…基準ローラー側ガイド
100u…変位ローラー側ガイド
1000…紙幣搬送装置
TA…異物
DP…検知可能部分
Lr…基準ローラー幅
Lw…変位ローラー幅
NDP…不感部分

Claims (4)

  1. 紙葉類の厚みを検出するための紙葉類厚み検出装置であって、
    基準ローラー軸と、
    前記基準ローラー軸に対向する変位ローラー軸と、
    前記基準ローラー軸に挿通配置され、前記基準ローラー軸を中心として回転する複数の基準ローラーと、
    前記各基準ローラーに対向して前記変位ローラー軸に挿通配置され、前記変位ローラー軸に対して中心傾斜可能であるとともに前記基準ローラー軸と前記変位ローラー軸とが対向する方向に沿って変位可能に回転する複数の変位ローラーと、
    搬送される紙葉類が前記基準ローラーと前記変位ローラーとで挟持される際に、前記基準ローラーを基準として前記変位ローラーが前記紙葉類の厚みに応じて変位する変位量をそれぞれ検知する複数の変位センサーであって、前記変位ローラーごとに、前記変位ローラー軸に沿った方向の前記変位ローラーの両端部にそれぞれ配置される複数の変位センサーと、
    を備え、
    前記基準ローラーと前記変位ローラーとが対向配置された状態において、前記変位ローラーの前記変位ローラー軸に沿った方向の両端位置が前記基準ローラーの前記基準ローラー軸に沿った方向の両端位置よりも内側となるように、前記基準ローラーの前記基準ローラー軸に沿った方向の基準ローラー幅が前記変位ローラーの前記変位ローラー軸に沿った方向の変位ローラー幅よりも長く設定されている
    ことを特徴とする紙葉類厚み検出装置。
  2. 請求項1に記載の紙葉類厚み検出装置であって、
    各変位ローラーの間に設けられた変位ローラー側ガイドと、各基準ローラーの間で変位ローラー側ガイドに対向して設けられた基準ローラー側ガイドと、から構成され、前記変位ローラーと前記基準ローラーとの間に前記紙葉類を導くための紙葉類搬送ガイド部を備えることを特徴とする紙葉類厚み検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の紙葉類厚み検出装置であって、
    前記基準ローラー幅は、前記基準ローラー幅の寸法誤差、前記変位ローラー幅の寸法誤差、および、前記基準ローラーと前記変位ローラーの取り付け誤差に拘らず、前記変位ローラーの両端位置が前記基準ローラーの両端位置の内側に位置するように設定されることを特徴とする紙葉類厚み検出装置。
  4. 紙葉類識別装置であって、
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の紙葉類厚み検出装置を含む
    紙葉類識別装置。
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