JP6006155B2 - 樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、カラーフィルター等のディスプレイ基板などの光学用基板、光学部材等として有用な樹脂フィルム、及びその製造方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ等のディスプレイ基板として、ガラス製基板が用いられていたが、近年、軽量性、薄型化、割れにくさ、量産性、製造コスト等の観点から、プラスチック製基板を用いたディスプレイが注目を集めている。
光学用のプラスチック製基板として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)等のプラスチック基材上にハードコート層を塗工したハードコートフィルムが知られている。しかしながら、このようなハードコートフィルムは、鉛筆硬度が低いだけでなく、厚膜化すると、ハードコート層を構成する樹脂の硬化収縮により、ハードコート層側へカールしたり、ハードコート層にクラックが入るなどの問題があった。
一方、光学用プラスチック部材として、重合性組成物を硬化して得られる硬化体からなるプラスチック部材が提案されている。例えば、特開2002-302517号公報には、3〜8官能の脂肪族多官能メタクリレートを75重量%以上含む重合性組成物を硬化すると、耐熱性に優れ、複屈折が小さい樹脂成形体が得られることが記載されている。特開2003-292545号公報には、脂肪族2官能メタクリレートと3官能以上の脂肪族多官能メタクリレートを含有する重合性組成物を硬化すると、耐熱性に優れ、線膨張係数が小さい樹脂成形体が得られることが記載されている。
また、特許第4690053号公報には、(A)脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(B)脂環構造を有する2官能(メタ)アクリレートとを含有する(メタ)アクリレート系光重合性組成物を光硬化すると、厚さが50〜400μmで鉛筆硬度が4H以上の樹脂成形体が得られることが記載されている。
しかしながら、従来の樹脂成形体は、樹脂の硬化収縮によるクラックやカールが生じやすく、厚膜化が困難である。そのため、鉛筆硬度が例えば9H程度の高い表面硬度を有する樹脂フィルムは得られていない。
特開2002-302517号公報 特開2003-292545号公報 特許第4690053号公報
本発明の目的は、樹脂の硬化収縮に起因するクラックやカールがなく、しかも表面硬度の高い樹脂フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、例えば500μm以上という厚膜であってもクラックがなく、表面硬度の高い樹脂フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を解決するため鋭意検討した結果、トリシクロデカン骨格を有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレートを特定量以上含む硬化性組成物を硬化させると、硬化収縮によるクラックやカールの発生が顕著に抑制され、厚膜化が可能になり、表面硬度の非常に高い樹脂フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる樹脂フィルムであって、前記活性エネルギー線硬化性組成物が、下記式(1)
Figure 0006006155
で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含むことを特徴とする樹脂フィルムを提供する。
上記の樹脂フィルムにおいて、厚みは25μmを超えるのが好ましく、500μm以上であることがさらに好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性組成物は、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)に加え、他の硬化性化合物(B)として多官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物は、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)に加え、他の硬化性化合物(B)として4官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を含む4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの総量が、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物全体に対して30重量%以上であることが好ましい。
本発明は、前記の樹脂フィルムの製造方法であって、下記式(1)
Figure 0006006155
で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含む活性エネルギー線硬化性組成物からなる薄膜層に、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法を提供する。
本発明の樹脂フィルムは、トリシクロデカン骨格を有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレートを特定量以上含む活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる樹脂フィルムであるため、硬化収縮によるクラックやカールの発生が顕著に抑制され、厚膜化が可能であり、表面硬度が非常に高いものとすることができる。例えば、膜厚100μm以上で鉛筆硬度4H以上となり、膜厚500μm以上で鉛筆硬度9H以上となる。また、本発明の樹脂フィルムは、微粒子シリカ等のフィラーを添加しなくても上記のような高い表面硬度が得られる。さらに、本発明の樹脂フィルムは、透明性等の光学特性、熱特性、機械特性にも優れている。
本発明の樹脂フィルムは、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基(トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた基)を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)[以下、単に「4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)」又は「ウレタン(メタ)アクリレート(A)」と称する場合がある]を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含む活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる樹脂フィルムである。
[ウレタン(メタ)アクリレート(A)]
本発明では、硬化性化合物全体に占めるウレタン(メタ)アクリレート(A)の割合を10重量%以上とすることにより、硬化収縮によるクラックやカールの発生を顕著に抑制でき、厚膜化が可能となり、表面硬度の高い樹脂フィルムとすることができる。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の量が硬化性化合物全体の10重量%未満では、前記硬化収縮によるクラックやカールの抑制効果が小さくなる。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の量は、好ましくは、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物全体に対して15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。ウレタン(メタ)アクリレート(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数とは、1分子中の(メタ)アクリロイル基の数を意味する。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の官能基数が3以下では、樹脂フィルムの表面硬度が低下する傾向となる。一方、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の官能基数が13以上では、硬化収縮に起因するクラックやカールの発生を抑制する効果が小さくなるとともに、樹脂フィルムの耐衝撃性、促進耐候性が低下する傾向となる。本発明において、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の官能基数は、好ましくは6〜10、さらに好ましくは6〜8である。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、トリシクロデカンジメタノール(X)[前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基の両末端に水素原子が結合した化合物]とポリイソシアネート(Y)とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)とを反応させることにより製造できる。なお、以下、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を単に「(A)」又は「A」、トリシクロデカンジメタノール(X)を単に「(X)」又は「X」、ポリイソシアネート(Y)を単に「(Y)」又は「Y」、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)を単に「(Z)」又は「Z」と称することがある。なお、本明細書において、ポリイソシアネートの官能基数とは1分子中のイソシアネート基の数を意味し、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの官能基数とは、1分子中の(メタ)アクリロイル基の数を意味すする。
例えば、ポリイソシアネート(Y)としてジイソシアネート(2官能のポリイソシアネート)を用い、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として2官能の(メタ)アクリレート化合物を用い、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)のモル比を1:2:2として反応させた場合には、4官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。また、上記において、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、6官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。さらに、上記において、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として4官能の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、8官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。
また、ポリイソシアネート(Y)としてトリイソシアネート(ヌレート型ポリイソシアネート等の3官能のポリイソシアネート)を用い、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として単官能の(メタ)アクリレート化合物を用い、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)のモル比を1:2:4として反応させた場合には、4官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。また、上記において、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として2官能の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、8官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。また、上記において、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)として3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。
本発明において、ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、模式的に記すと、(Z)m−Y−X−Y−(Z)m (mは1以上の整数であり、好ましくは1又は2である)の構造であることが好ましい。上記式中の「−」は両側の成分が反応していることを示す(以下、同じ)。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては特に限定されないが、例えば、次の方法が挙げられる。
[方法1]:(X)、(Y)、(Z)を一括混合して反応させる方法。
[方法2]:(X)及び(Y)を反応させて、イソシアネート基を含有するウレタンイソシアネートプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(Z)を反応させる方法。
[方法3]:(Y)及び(Z)を反応させて、イソシアネート基を含有するウレタンイソシアネートプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(X)を反応させる方法。
[方法1]〜[方法3]の中では、[方法2]が好ましい。
一方、[方法1]で製造すると、ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)の繰り返しによるウレタンイソシアネートプレポリマーの生成量が多くなり、(メタ)アクリロイル基の分子内密度が低下して目的物である樹脂フィルムの表面硬度が低下する場合がある。また、複雑な各種の化合物が不規則に生成するため、生成物を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として使用する際、品質の管理が難しくなる場合がある。
また、[方法3]で反応させた場合、ポリイソシアネート(Y)のイソシアネート基全てがヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)と反応した化合物が副生する。この副生物はトリシクロデカンジメタノール(X)に由来する骨格を含んでいないため、樹脂フィルムにカールやクラックが生じたり、表面硬度が低下する場合がある。
[方法2]において、ウレタンイソシアネートプレポリマーの合成方法として、次の方法が挙げられる。
[方法2−1]:(X)、(Y)を一括混合して反応させる方法。
[方法2−2]:(X)の中に(Y)を滴下して反応させる方法。
[方法2−3]:(Y)の中に(X)を滴下して反応させる方法。
[方法2−2]の場合、大量のトリシクロデカンジメタノール(X)の中にポリイソシアネート(Y)を滴下するので、ポリイソシアネート(Y)の両側のイソシアネート基が2モルのトリシクロデカンジメタノール(X)の水酸基とウレタン化して、模式的に書くとX−Y−X型の両末端が水酸基のウレタンイソシアネートプレポリマーが生成し、さらに、これに2モルのポリイソシアネート(Y)が反応し、模式的に書くと、Y−X−Y−X−Y型の両末端がイソシアネート基の化合物が生成し、さらに同様な反応が繰り返されるため、模式的に書くと以下の構造の化合物が大量に生成する。
Y−[X−Y]n−X−Y (nは1以上の整数)
このような生成物が大量に生成すると、これにヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート[(Z)m−Y−[X−Y]n−X−Y−(Z)m (m、nは1以上の整数)]においては、(メタ)アクリロイル基の分子内密度が低くなり、硬化させても十分な架橋密度が得られず、目的物である樹脂フィルムの表面硬度が低下するおそれがある。従って、樹脂フィルムの表面硬度を高めるには、[方法2−1]、[方法2−3]が好ましく用いられる。
[方法2−1]においては、反応器に、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)、及び必要により希釈溶媒を仕込み、均一になるまで攪拌をしながら必要に応じて昇温後、ウレタン化触媒を投入してウレタン化を開始する方法が好ましい。ウレタン化触媒を投入後に必要に応じて昇温してもよい。
ウレタン化触媒を初めから投入すると、ポリイソシアネート(Y)の仕込み段階で、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)とが不均一な状態でウレタン化反応が進行することになり、得られるウレタンイソシアネートプレポリマーの分子量や粘度が変化し、未反応のポリイソシアネート(Y)が系中に残存した状態で反応が終結する場合がある。このような場合には、後で使用するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)と残存したポリイソシアネート(Y)だけの反応による副生物が生じるため、樹脂フィルムの表面硬度の低下を招くおそれがある。このような副生物の含有量は、目的とするトリシクロデカンジメタノール(X)に由来する骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)に対して15重量%未満であることが好ましい。15重量%以上であると、樹脂フィルムの表面硬度が低下するおそれがある。[方法2−1]は、ワンポットでウレタン(メタ)アクリレート(A)が製造できる点が、工業的に優れている。
[方法2−3]においては、例えば、反応器に、ポリイソシアネート(Y)、ウレタン化触媒、及び必要により希釈溶媒を仕込み均一になるまで攪拌する。攪拌をしながら、必要に応じて昇温し、トリシクロデカンジメタノール(X)を滴下する。
[方法2−3]は、[方法2−2]で述べた下記生成物の生成が最も少ない点で好ましい。
Y−[X−Y]n−X−Y (nは1以上の整数)
なお、いずれの方法でも、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)との反応によりウレタンイソシアネートプレポリマーを合成する際、トリシクロデカンジメタノール(X)とポリイソシアネート(Y)とを、反応液中のイソシアネート基濃度が終点イソシアネート基濃度以下になるまで反応させることが好ましい。なお、反応液中のイソシアネート基濃度を「NCO基濃度」ということもある。
「終点イソシアネート基濃度」とは、系内に仕込んだ水酸基の全てがウレタン化したと仮定した場合の理論上のイソシアネート基濃度(以下、「理論終点イソシアネート基濃度」と称することがある)と、イソシアネート基濃度がもはや変化しなくなった時のイソシアネート基濃度の、いずれか高いほうのイソシアネート基濃度を意味する。
生成したウレタンイソシアネートプレポリマーとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)とを反応させる際、反応に供するイソシアネート基量が水酸基量よりも過剰になると未反応のイソシアネート基が残存しゲル化する可能性がある。また配合後、塗膜の硬化不良の原因ともなる。このため反応に供する水酸基量は、イソシアネート基量よりも大きくなるように、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)の添加量を調整するのが好ましい。
この反応は、重合を防止する目的で、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等の重合禁止剤存在下で行うことが好ましい。これらの重合禁止剤の添加量は、生成するウレタン(メタ)アクリレート(A)に対して、1〜10000ppm(重量基準)が好ましく、より好ましくは100〜1000ppm、さらに好ましくは400〜500ppmである。重合禁止剤の添加量がウレタン(メタ)アクリレート(A)に対して1ppm未満であると十分な重合禁止効果が得られないことがあり、10000ppmを超えると生成物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
同様の目的で、この反応は分子状酸素含有ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素濃度は安全面を考慮して適宜選択される。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、反応(ウレタン化反応)は、十分な反応速度を得るために、触媒(ウレタン化触媒)を用いて行ってもよい。触媒としては、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、塩化スズ等を用いることができるが、反応速度面からジブチルスズジラウレートが好ましい。これらの触媒の添加量は通常、1〜3000ppm(重量基準)、好ましくは50〜1000ppmである。触媒添加量が1ppmより少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、3000ppmより多く加えると樹脂フィルムの表面硬度の低下等、目的物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、反応は、公知の揮発性有機溶剤の存在下で行うことができる。前記の揮発性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル;ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールモノエーテルアセテート;キシレン、トルエン等の炭化水素;これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、メチルイソブチルケトン等のケトンや、酢酸ブチル等のエステルが好ましい。
反応は、温度130℃以下で行うことが好ましく、特に40〜130℃であることがより好ましい。40℃より低いと実用上十分な反応速度が得られないことがあり、130℃より高いと熱によるラジカル重合によって二重結合部が架橋し、ゲル化物が生じることがある。
反応は、通常、最終的には、残存イソシアネート基が0.1重量%以下になるまで行う。残存イソシアネート基濃度はガスクロマトグラフィー、滴定法等で分析する。
[トリシクロデカンジメタノール(X)]
トリシクロデカンジメタノール(X)としては、特に限定されず、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、商品名「TCD alcohol DM」(オクセア社製)(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール)等が挙げられる。
[ポリイソシアネート(Y)]
ポリイソシアネート(Y)としては、特に限定されないが、脂肪族系ポリイソシアネート(脂環式骨格を有するものを含む)が好ましい。このようなポリイソシアネート(Y)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートを水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物)、あるいはこれらジイソシアネートの三量体(ビウレット、ヌレート、又はアダクト化物;3官能のポリイソシアネート)等が挙げられる。前記ジイソシアネート化合物の三量体として、ヌレート型ポリイソシアネートが特に好ましい。ポリイソシアネート(Y)は1種単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
[ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)]
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、これらのラクトン付加物(カプロラクトン付加物等)などのヒドロキシル基を有する単官能の(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、これらのラクトン付加物(カプロラクトン付加物等)などのヒドロキシル基を有する多官能の(メタ)アクリレート化合物等を使用することができる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z)は1種単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
[硬化性化合物(B)]
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)とともに、その他の硬化性化合物(B)[以下、単に「硬化性化合物(B)」と称する場合がある]を含んでいてもよい。
硬化性化合物(B)としては、活性エネルギー線を照射することにより硬化する化合物(重合性基を有するモノマー又はオリゴマー)であればよく、例えば、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリレート、分子内に(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能(メタ)アクリレートなどを使用できる。
前記単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭素環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルフォリン等の複素環を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコール(脂肪族多価アルコール、脂環式多価アルコール等)の(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー;ウレタン(メタ)アクリレート[前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を除く]、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの多官能オリゴマーが挙げられる。
硬化性化合物(B)としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、特に、4官能以上(例えば、4〜15官能、好ましくは6〜15官能、さらに好ましくは8〜12官能)の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートの中でも、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B1)が好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数は、好ましくは4官能以上(例えば、4〜15官能、好ましくは6〜15官能、さらに好ましくは8〜12官能)である。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B1)は、公知の方法により製造できる。例えば、(i)ポリイソシアネート(Y’)とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z’)とを反応させる方法、(ii)ポリオール(X’)とポリイソシアネート(Y’)とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z’)とを反応させる方法等により製造できる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B1)としては、模式的に記すと、(Z’)m−Y’−(Z’)m (mは1以上の整数であり、好ましくは1又は2である)、(Z’)m−Y’−X’−Y’−(Z’)m (mは1以上の整数であり、好ましくは1又は2である)の構造であることが好ましい。
前記ポリオール(X’)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール等のジオール;トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上のポリオールなどを使用できる。ポリオール(X’)は1種単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリイソシアネート(Y’)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、芳香族系ジイソシアネートを水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物)などの脂肪族系ポリイソシアネート(脂環式骨格を有するものを含む);あるいはこれらジイソシアネートの三量体(ビウレット、ヌレート、又はアダクト化物;3官能のポリイソシアネート)等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪族系ポリイソシアネート(脂環式骨格を有するものを含む)が好ましい。また、前記ヌレート型ポリイソシアネートも好ましい。ポリイソシアネート(Y’)は1種単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z’)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、これらのラクトン付加物(カプロラクトン付加物等)などのヒドロキシル基を有する単官能の(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、これらのラクトン付加物(カプロラクトン付加物等)などのヒドロキシル基を有する多官能の(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(Z’)は1種単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、硬化性化合物(B)を用いる場合、前記4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記硬化性化合物(B)[好ましくは4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、さらに好ましくは4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート]の割合は、例えば、前者/後者(重量比)=10/90〜99/1、好ましくは20/85〜95/5、さらに好ましくは30/70〜90/10である。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物では、目的物である樹脂フィルムの表面硬度、硬化収縮の抑制等の観点から、前記4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を含む4官能以上の多官能(メタ)アクリレート(特に、4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート)の総量が、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物全体に対して30重量%以上であるのが好ましく、50重量%以上であるのがより好ましく、60重量%以上であるのがさらに好ましい。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化性化合物のほか、必要に応じて、溶媒、光重合開始剤、添加剤等を含んでいてもよい。
溶媒としては、硬化性化合物の溶解性等を考慮して適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル;ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールモノエーテルアセテート;キシレン、トルエン等の炭化水素;これらの混合物などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物中の溶媒の含有量は、例えば0〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは10〜80重量%である。
光重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができ、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等が挙げられる。これらの1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤と、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン系重合開始剤とを組み合わせて使用すると、活性エネルギー線硬化性組成物からなる薄膜層の表面から内部に至るまで全体に亘って均一に硬化でき、均質な樹脂フィルムを得ることができる。
光重合開始剤の使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物100重量部に対して、例えば1〜20重量部、好ましくは1.5〜10重量部である。1重量部よりも少ないと硬化不良を引き起こす恐れがあり、逆に20重量部よりも多いと硬化後の塗膜から光開始剤由来の臭気が残存することがある。
添加剤としては、必要に応じて、例えば、フィラー(微粒子シリカ等)、染顔料、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤等を使用できる。これらの添加物の添加量は、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物100重量部に対して、例えば0〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。なお、本発明では、厚膜化が可能であるため、微粒子シリカを添加しなくても(或いは、微粒子シリカ等のフィラーを添加しなくても)、表面硬度の高い樹脂フィルムを得ることができる。
[樹脂フィルムの製造]
本発明の樹脂フィルムは、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含む活性エネルギー線硬化性組成物からなる薄膜層に、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより製造できる。
より具体的には、例えば、前記活性エネルギー線硬化性組成物を基材上又は成形型内に流延して薄膜化し、必要に応じて乾燥した後(溶媒を除去した後)、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより本発明の樹脂フィルムを製造することができる。
前記基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルペンテル、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素系樹脂等のプラスチック製基材、ガラス基材、金属基材などが挙げられる。形成された樹脂フィルムの剥離性の点から、基材の表面は剥離剤(離型剤)により剥離処理されているのが好ましい。成形型の材質も前記基材と同様のものを使用でき、その表面は剥離剤(離型剤)により剥離処理(フッ素樹脂コーティング等)されているのが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物を基材上に流延する際には、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、ロールコート、バーコート、グラビアコート、ダイコート等を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物が溶媒を含む場合には、熱風等による加熱乾燥を行う。そして、薄膜化された活性エネルギー線硬化性組成物の表面に紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射して、硬化性化合物を硬化させることにより、本発明の樹脂フィルムを得ることができる。紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。電子線照射の場合は、50〜1000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。活性エネルギー線照射後、必要に応じて加熱を行って硬化の促進を図ってもよい。
本発明の樹脂フィルムの厚みは、高い鉛筆硬度を確保するため、25μmを超えるのが好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上、特に好ましくは500μm以上である。樹脂フィルムの厚みの上限は、特に制限はないが、例えば4mm、好ましくは2mmである。本発明の樹脂フィルムは表面硬度が高く、例えば、膜厚100μm以上で鉛筆硬度4H以上となり、膜厚500μm以上で鉛筆硬度9H以上となる。
こうして得られる本発明の樹脂フィルムは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、カラーフィルター等のディスプレイ基板などの光学用基板、光学部材等として利用できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[ウレタン(メタ)アクリレートの合成例]
以下に、ウレタン(メタ)アクリレートの合成例について説明する。なお、濃度表記の「ppm」、「重量%」、「重量%分」は、特別な記載がない限り、得られるウレタン(メタ)アクリレート含有物全体に対する濃度である。
(イソシアネート基濃度の測定)
イソシアネート基濃度は以下のように測定した。なお、測定は100mLのガラスフラスコでスターラーによる攪拌の下で行った。
以下のように、ブランク値を測定した。まず、15mLのTHF(テトラヒドロフラン)に、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)15mLを加えた。さらにブロモフェノールブルー(1重量%メタノール希釈液)を3滴加えて加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定した。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVb(mL)とした。
以下のように、実測イソシアネート基濃度を測定した。まず、サンプルをWs(g)秤量し、15mLのTHFに溶解させ、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)を15mL加えた。溶液化したことを確認した後、ブロモフェノールブルー(1重量%メタノール希釈液)を3滴加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定した。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVs(mL)とした。
以下の計算式により、サンプル中のイソシアネート基濃度を算出した。
イソシアネート基濃度(重量%)=(Vb−Vs)×1.005×0.42÷Ws
(合成例で用いたトリシクロデカンジメタノール)
TCDDM:製品名「TCD alcohol DM」(オクセア社製)
(合成例で使用したポリイソシアネート)
HMDIトリマー:製品名「スミジュールN3300」(住友バイエルウレタン社製;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート由来のヌレート化合物)
IPDI:製品名「VESTANAT IPDI」(エボニック社製;イソホロンジイソシアネート)
(合成例で使用したヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート)
HEA:製品名「BHEA」(日本触媒社製;アクリル酸2−ヒドロキシエチル)
PETIA:製品名「PETRA」(サイテック社製;水酸基価120mgKOH/gのペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)
M−403:製品名「アロニックスM−403」(東亞合成社製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)
[合成例1/UA1]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、200gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、225.9gのIPDIを充填し、攪拌しながら内温を50℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を50℃に保持しつつ、99.8gのTCDDMを1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間攪拌を継続し、ウレタンイソシアネートプレポリマーの反応を完結させた。なお、反応が完結したことは、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度以下となったことで確認した(他の合成例も同様)。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(8.12重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
次に、内温を70℃に昇温し、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、反応温度を70℃に保持しつつ、474.3gのPETIAを2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有し、官能基数が6のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA1)を得た。
[合成例2/UA2]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、200gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、516.9gのHMDIトリマーを充填し、攪拌しながら内温を50℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を50℃に保持しつつ、84.1gのTCDDMを1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間攪拌を継続し、ウレタンイソシアネートプレポリマーの反応を完結させた。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(8.99重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
次に、内温を70℃に昇温し、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、反応温度を70℃に保持しつつ、199.0gのHEAを2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で3時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有し、官能基数が4のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA2)を得た。
[合成例3/UA3]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、200gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、407.4gのIPDIを充填し、攪拌しながら内温を50℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を50℃に保持しつつ、179.8gのTCDDMを1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間攪拌を継続し、ウレタンイソシアネートプレポリマーの反応を完結させた。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(9.78重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
次に、内温を70℃に昇温し、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、反応温度を70℃に保持しつつ、212.8gのHEAを2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有し、官能基数が2のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA3)を得た。
[合成例4/UA4]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、200gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、153.9gのIPDI(0.69モル)を充填し、攪拌しながら内温を70℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を70℃に保持しつつ、646.1gのPETIA(ペンタエリスリトールトリアクリレートとして1.38モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、さらに70℃で3時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有しない、官能基数が6のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA4)を得た。
[合成例5/UA5]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、200gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、153.9gのIPDI(0.69モル)を充填し、攪拌しながら内温を70℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を70℃に保持しつつ、1340gのM−403(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとして1.38モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、さらに70℃で3時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有しない、官能基数が10のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA5)を得た。
[合成例6/UA6]
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、500gのメチルイソブチルケトン(MIBK)、160.0gのイソホロンジイソシアネート3量体(0.24モル)を充填し、攪拌しながら内温を70℃に昇温した。次に0.08gのジブチルスズジラウレートを加え、内温を70℃に保持しつつ、214.8gのペンタエリスリトールトリアクリレート(0.72モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、0.08gのジブチルスズラウレートを加え、さらに70℃で3時間攪拌を継続した。イソシアネート基濃度が0.1重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、トリシクロデカンジメタノールから水酸基の二つの水素原子を除いた有機基を骨格に有しない、官能基数が9のウレタン(メタ)アクリレート含有物(UA6)を得た。
[実施例及び比較例]
合成例で調製したウレタン(メタ)アクリレート含有物、光重合開始剤、メチルイソブチルケトン(MIBK)を、表1に示す組成(数字は重量部)となるように遮光瓶に入れて混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。なお、表中の光重合開始剤1は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、製品名「IRGACURE184」)、光重合開始剤2は、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(BASF社製、製品名「IRGACURE907」)である。また、ウレタン(メタ)アクリレートの欄の「UA1」等の下の括弧内の数字は1分子中の(メタ)アクリロイル基の官能基数を示す。
上記で調製したエネルギー線硬化性組成物を用い、下記のフィルム作製法1又は2により樹脂フィルムを製造した。
フィルム作製法1:活性エネルギー線硬化性組成物を、ワイヤーバー♯38を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(基材;厚さ125μm、商品名「O321E」、三菱樹脂社製)上に流延させた後、80℃の乾燥機にて溶剤を乾燥除去した。窒素雰囲気下にて、高圧水銀灯からの紫外線を照射した後、基材から剥離することにより、所定の厚み(20μm、100μm)の樹脂フィルムを得た。
フィルム作製法2:活性エネルギー線硬化性組成物を、テフロン(登録商標)シャーレ上に流延させた後、80℃の乾燥機にて溶剤を乾燥除去した。窒素雰囲気下にて、高圧水銀灯からの紫外線を照射した後、テフローンシャーレから剥離することにより、所定の厚み(200μm、1000μm)の樹脂フィルムを得た。
[樹脂フィルムの評価]
各実施例及び比較例で得られた樹脂フィルムの特性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(鉛筆硬度)
JIS K−5600に準じて測定した。
(カール、クラック)
各実施例及び比較例で得られた樹脂フィルムを目視観察し、カール及びクラックの有無及び程度を下記の基準で評価した。なお、カールが「△」であっても、用途によっては支障なく使用できる場合がある。
<カール>
○:なし
△:僅かにカールが観察された
×:カールがはっきりと観察された
<クラック>
○:なし
△:僅かにクラックが観察された
×:多数のクラックが観察された
Figure 0006006155
表1に示されるように、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有する4又は6官能のウレタン(メタ)アクリレートを用いた実施例1〜3の樹脂フィルムは、厚みが20μmでも鉛筆硬度は「3H」となるのに対し、式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有する2官能のウレタン(メタ)アクリレートを用いた比較例1の樹脂フィルムは、厚みが20μmで鉛筆硬度は「H」である。また、式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有する4又は6官能のウレタン(メタ)アクリレートを用いた実施例5〜11の樹脂フィルムは、厚みが200μm又は1000μmで鉛筆硬度は「9H」となるのに対し、式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有する2官能のウレタン(メタ)アクリレートを用いた比較例2〜4の樹脂フィルムは、厚みが200μm又は1000μmで鉛筆硬度「5H」〜「7H」である。なお、式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子中に有するウレタン(メタ)アクリレートを全く用いない比較例5では、1000μmの厚みの樹脂フィルムを作製しようとしても自壊して、使用に耐える樹脂フィルムは得られなかった。

Claims (7)

  1. 活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる樹脂フィルムであって、前記活性エネルギー線硬化性組成物が、下記式(1)
    Figure 0006006155
    で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含むことを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 厚みが25μmを超える請求項1記載の樹脂フィルム。
  3. 厚みが500μm以上である請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
  4. 前記活性エネルギー線硬化性組成物が、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)に加え、他の硬化性化合物(B)として多官能(メタ)アクリレートを含む請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂フィルム。
  5. 前記活性エネルギー線硬化性組成物が、前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)に加え、他の硬化性化合物(B)として4官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含む請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記式(1)で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を含む4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの総量が、活性エネルギー線硬化性組成物中の硬化性化合物全体に対して30重量%以上である請求項1〜5の何れか1項に記載の樹脂フィルム。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法であって、下記式(1)
    Figure 0006006155
    で表されるトリシクロデカン骨格を含む基を分子内に有する4〜12官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を硬化性化合物全体に対して10重量%以上含む活性エネルギー線硬化性組成物からなる薄膜層に、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
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