JP6007560B2 - 連続焼鈍炉の板温制御方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、連続焼鈍炉の板温制御方法及び装置に係り、特に、加熱帯出側での板温目標値が異なるコイルを予め連続焼鈍炉入側でつないで、当該つないだコイルを連続焼鈍する際に、オーバーシュートやアンダーシュートによる板温外れ、及び、板温実績値の板温目標値への到達遅れによる板温外れの発生を防止して、板温実績値を確実に板温目標値に到達させることにより、炉温調節のための炉内通板速度の減速を不要とすることが可能な連続焼鈍炉の板温制御方法及び装置に関する。
図1に例示するような連続焼鈍ラインにおいては、焼鈍炉22の加熱帯22a出口での板温目標値が異なる鋼板(コイルとも称する)について、複数のペイオフリール12から払い出されたコイル10同士を溶接機14で溶接して、連続的に通板している。図1において、16はクリーニング装置、18はスクラバー、20は入側ルーパー、22bは焼鈍炉22の均熱帯、22cは同じく冷却帯、24は出側ルーパー、26は焼鈍後のコイル10を巻取るテンションリールである。
従来、板温目標値(即ち板温設定値)の切り替えは、板温目標値の異なるコイルの境界点が加熱帯22aの入側又は出側に到達した際に、一気に炉温を切り替える制御が行なわれており、一方、特許文献1のように、コイルの境界点が加熱炉の出口に到達する前に1つのコイル内で一定量ずつ徐々に板温目標値を変更していく制御方法も提案されている。
特開平5−117766号公報
しかしながら、前者のように、板温目標値の異なるコイルの溶接点が加熱帯入側に到達した際に、各コイルに定められた一定の板温目標値に切り替える制御の場合、境界点が加熱帯入側に到達すると板温目標値が一気に切り替るので、板温目標値が切り替った直後は、板温目標値と板温実績値の偏差が大きくなる。従って、板温実績値の立上りあるいは立下りが急になり、板温設定値を上げた場合は図2に例示する如く板温目標値をオーバーシュート、又は、板温設定値を下げた場合は図3に例示する如く板温目標値をアンダーシュートしてしまうことがある。従って、オーバーシュート又はアンダーシュートの絶対値が大きい場合は、板温が許容範囲を外れてしまい、鋼板の材質不良につながる可能性があった。
一方、図4に例示する如く、後者の特許文献1のように、1つのコイル内で一定量ずつ徐々に板温目標値を変更していく制御の場合、板温目標値が徐々に変化していくので、板温実績値も徐々に変化していく。しかし、板温実績値の上昇度合い又は下降度合いが小さい場合、所定の板温目標値に到達できないまま次のコイルへと切り替り、板温実績値がコイル毎に定められた板温の許容範囲を外れてしまう可能性があった。
なお、このような板温外れを防止するため、コイルの炉内通板速度(炉速と称する)を低下させることも考えられるが、生産能力が低下してしまうという問題点を有していた。
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、オーバーシュートやアンダーシュートによる板温外れ、及び、板温実績値の板温目標値への到達遅れによる板温外れの発生を防止して、炉温調節のための炉速の減速を不要とし、板温実績値を確実に板温目標値に到達させることを課題とする。
本発明は、板温目標値がΔT℃だけ異なるコイルを連続焼鈍炉入側でつないで連続焼鈍する際に、板厚、板幅、鋼種から選ばれる少なくとも1つ以上の、制御対象コイルと条件を同じくしたコイルで、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の板温到達値を予め求めておき、板温目標値の異なるコイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で、前記板温到達値と次の板温目標値との差に相当する所定値ΔT1℃だけ、板温目標値を瞬時に変化させ、次いで、当該1コイル内で板温目標値を、次の板温目標値まで前記一定の割合で徐々に変化させると共に、前記所定値ΔT1℃を、前記コイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で板温目標値について異なるコイルの全変化量ΔT℃だけ瞬時に変化させた場合において、板温実績値のオーバーシュート量(又はアンダーシュート量)をΔA1℃として板温目標値と板温許容上限値(又は下限値)との差をΔB1℃とし、前記コイル先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点から前記コイル尾端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達するまでに前記全変化量ΔT℃だけ一定の割合で徐々に板温目標値を変化させた場合において、前記コイル尾端の板温目標値と板温実績値の差をΔA2℃として板温目標値と板温許容下限値(又は上限値)との差をΔB2℃とすると、次式
|ΔA2−ΔB2|≦ΔT1≦ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)
の範囲に限定することにより、前記課題を解決したものである。
本発明は、又、板温目標値がΔT℃だけ異なるコイルを連続焼鈍炉入側でつないで連続焼鈍する際に用いる連続焼鈍炉の板温制御装置であって、板厚、板幅、鋼種から選ばれる少なくとも1つ以上の、制御対象コイルと条件を同じくしたコイルで、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の板温到達値を予め求める手段と、板温目標値の異なるコイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で、前記板温到達値と次の板温目標値との差に相当する所定値ΔT1℃だけ、板温目標値を瞬時に変化させる手段と、板温目標値を瞬時に変化させた後、当該1コイル内で板温目標値を、次の板温目標値まで前記一定の割合で徐々に変化させる手段と、前記所定値ΔT1℃を、前記コイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で板温目標値について異なるコイルの全変化量ΔT℃だけ瞬時に変化させた場合において、板温実績値のオーバーシュート量(又はアンダーシュート量)をΔA1℃として板温目標値と板温許容上限値(又は下限値)との差をΔB1℃とし、前記コイル先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点から前記コイル尾端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達するまでに前記全変化量ΔT℃だけ一定の割合で徐々に板温目標値を変化させた場合において、前記コイル尾端の板温目標値と板温実績値の差をΔA2℃として板温目標値と板温許容下限値(又は上限値)との差をΔB2℃とすると、次式
|ΔA2−ΔB2|≦ΔT1≦ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)
の範囲に限定する手段と、を備えたことを特徴とする連続焼鈍炉の板温制御装置を提供するものである。
本発明によれば、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の板温到達値と次の板温目標値の差に相当する所定値ΔT1℃だけ、板温目標値を瞬時に変化させるようにしたので、板温目標値を徐々に変化させたときの板温実績値の板温目標値への到達遅れによる板温外れを防止することができる。又、板温目標値を瞬時に変化させる量ΔT1℃は、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させたときの板温到達値と次の板温目標値の差に制限されているので、板温の許容範囲を外れるようなオーバーシュートやアンダーシュートを生じることも無い。
従って、板温外れを防止する目的で炉速を低下させること無く、板温外れを防止することが可能となり、生産能力の低下やライン生産量の低下を防ぐことができる。
板温調節のために減速していた平均時間は、従来板温切替時間全体の30%であったが、本発明法による板温制御を行なうと、減速せずに精度良く板温を変更することができる。又、鋼板の板温外れ部分の切捨ても無くなる。
連続焼鈍ラインの一例の全体構成を示す図 板温目標値がΔT℃異なる次のコイルの先端が加熱帯入側に到達した時点で、板温目標値をΔT℃一気に上昇させた際に、板温実績値の板温目標値に対するオーバーシュートが発生している状態を示す図 板温目標値がΔT℃異なる次のコイルの先端が加熱帯入側に到達した時点で、板温目標値をΔT℃一気に下降させた際に、板温実績値の板温目標値に対するアンダーシュートが発生している状態を示す図 1コイル内で徐々に板温目標値を変更する場合、コイルの尾端で実績値の上昇速度が小さくて板温実績値の板温目標値への到達遅れ量ΔA2℃が発生している状態を示す図 本発明の実施形態における温度設定方法を示す図 板温目標値がΔT℃異なる次のコイルの先端が加熱帯入側に到達した時点で、板温目標値をΔT℃一気に下降させた際に、板温実績値の板温目標値に対するアンダーシュート量ΔA1℃が発生している状態を示す図 1コイル内で徐々に板温目標値を変更する場合、コイルの尾端で実績値の下降速度が小さくて板温実績値の板温目標値への到達遅れ量ΔA2℃が発生している状態を示す図 板温許容範囲が狭いコイル間に板温許容範囲が広いコイルを挟んだ温度変化状態の例を示す図 コイル先端のオーバーシュート量ΔA1℃の測定例を示す図 コイル尾端の到達遅れ量ΔA2℃の測定例を示す図 図9及び図10の実験結果に基づき設定した本発明の板温目標値と板温実績値の例を示す図
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態は、図5に例示する如く、板温目標値の異なるコイル間でΔT℃だけ板温目標値を変化(図5は上昇の例)させる必要があった場合、次のコイルの先端の溶接点が加熱炉入側に到達した時点で、板温目標値を先ずΔT1℃だけ瞬時に変化させ、次いで、当該コイルの尾端の溶接点まで一定の割合で徐々に次の板温目標値まで変化させる(ΔT2℃)ようにしたものである。
上記により、板温目標値の異なる次のコイルの先端が加熱帯入側に到達した時点で、ΔT1℃だけ瞬時に変化させるようにしたので、後述する板温目標値を徐々に変化させたときの板温実績値の板温目標値への到達遅れによる板温外れを防止できる。
又、当該コイルの先端から尾端まで一定の割合で徐々に次の板温目標値まで変化させるので、板温の許容範囲を外れるようなオーバーシュートやアンダーシュートを生じることが無い。
ここで、ΔT1℃は、以下のようにして、決定することができる。即ち、予め1つのコイル(サンプル使用)が通板する際に、図2に例示する如く、コイル先端が加熱帯入側に到達した時点で、板温目標値を全変化量ΔT℃だけ瞬時に昇温させ、板温実績値のオーバーシュート量ΔA1℃を測定する。
又、予め他の1つのコイル(サンプル使用)が通板する際に、図4に例示する如く、コイル先端が加熱炉入側に到達した時点からコイル尾端が加熱帯入側に到達するまでに、前記全変化量ΔT℃だけ一定の割合で徐々に板温目標値を昇温させ、コイル尾端での板温目標値と板温到達値の差(到達遅れ量と称する)ΔA2℃を測定する。
ここで、図2に例示した板温目標値と板温許容上限値の差をΔB1℃とし、図4に例示した板温目標値と板温許容下限値の差をΔB2℃とすると、ΔT1℃を次式のように設定することができる。
|ΔA2−ΔB2|≦ΔT1≦ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)…(1)
なお、前述の板温到達値は、板厚、板幅、鋼種から選ばれる少なくとも1つ以上の条件を同じくしたコイルで、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の、過去の実績の平均値としてもよく、あるいは、計算により求めた値としてもよい。
上記(1)式の右辺は、板温実績値がオーバーシュートしても、板温許容上限値から外れないようにするための条件である。又、(1)式の左辺は、板温実績値の到達遅れが発生しても、板温許容下限値から外れないようにするための条件である。
なお、ΔT1℃は上記に限らず、図6に示すコイル先端が加熱帯入側に到達した時点で板温目標値をΔT℃だけ瞬時に降温させてアンダーシュート量ΔA1℃を測定し、又、コイル尾端が加熱炉入側に到達するまでΔT℃だけ板温目標値を一定の割合で徐々に降温させΔA2℃を測定して、(1)式のΔT1℃の範囲としてもよい。
実際にはオーバーシュートによる板温外れ量|ΔA1−ΔB1|℃と、板温実績値の到達遅れによる板温外れ量|ΔA2−ΔB2|℃の大小の違いによる影響を考慮に入れて、ΔT1℃の設定を、次式のように上限と下限の中央の値とすることが望ましい。
ΔT1=(1/2){ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)+(|ΔA2−ΔB2|)}
…(2)
このようにして板温を設定すると共に、図8に例示する如く、板温の許容範囲が狭いコイル(例えば、2コイル目と4コイル目)の間に板温の許容範囲が広いコイル(例えば、3コイル目)を挟むことにより、全てのコイルについて板温の許容範囲を満足させることが可能となる。
板温目標値が異なる、鋼種がT4CAとDTS、サイズが0.20×900mmの冷延鋼板を溶接して連続焼鈍する際に、ΔT=40℃だけ板温目標値を変化させた場合、次コイル先端の溶接点が加熱炉入側に到達した時点で板温目標値をΔT℃だけ瞬時に変化させた場合、図9に例示する実績値から、オーバーシュート量ΔA1=15℃を求め、板温目標値と板温許容上限値の差ΔB1=10℃とした。又、次コイル先端が加熱炉入側に到達した時点から次コイル尾端が加熱炉入側まで到達するまでΔT℃を一定割合で徐々に板温目標値まで変化させた場合、図10に例示する実績値から、次コイル尾端での板温目標値と板温実績値の差ΔA2=15℃を求め、板温目標値と板温許容下限値の差ΔB2=10℃とした。これらの値から、本発明により(1)式及び(2)式を用いてΔT1=20℃を設定し、操業したところ、図11に示すように、板温外れを発生させることなく、板温を変更(上昇)できることが確認できた。従来は、板温のオーバーシュートや到達遅れを防ぐ温度調節のために通板速度を減速する必要があり、その時間が板温切替時間の30%を占めていたのが、本発明では、減速する時間が0%となり、生産能率を10%向上することが確認できた。
なお、温度の操作量は、本実施例に限定されることなく、コイルのサイズ(厚さ、幅、断面積等)に応じて変えることができる。
前記説明ではコイルの温度を上昇させる場合について説明していたが、コイルの温度を下降させる場合についても、同様に本発明が適用できる。
10…鋼板(コイル)
12…ペイオフリール
14…溶接機
22…焼鈍炉
22a…加熱帯
26…テンションリール

Claims (2)

  1. 板温目標値がΔT℃だけ異なるコイルを連続焼鈍炉入側でつないで連続焼鈍する際に、
    板厚、板幅、鋼種から選ばれる少なくとも1つ以上の、制御対象コイルと条件を同じくしたコイルで、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の板温到達値を予め求めておき、
    板温目標値の異なるコイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で、前記板温到達値と次の板温目標値との差に相当する所定値ΔT1℃だけ、板温目標値を瞬時に変化させ、
    次いで、当該1コイル内で板温目標値を、次の板温目標値まで前記一定の割合で徐々に変化させると共に、
    前記所定値ΔT1℃を、前記コイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で板温目標値について異なるコイルの全変化量ΔT℃だけ瞬時に変化させた場合において、板温実績値のオーバーシュート量(又はアンダーシュート量)をΔA1℃として板温目標値と板温許容上限値(又は下限値)との差をΔB1℃とし、前記コイル先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点から前記コイル尾端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達するまでに前記全変化量ΔT℃だけ一定の割合で徐々に板温目標値を変化させた場合において、前記コイル尾端の板温目標値と板温実績値の差をΔA2℃として板温目標値と板温許容下限値(又は上限値)との差をΔB2℃とすると、次式
    |ΔA2−ΔB2|≦ΔT1≦ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)
    の範囲に限定することを特徴とする連続焼鈍炉の板温制御方法。
  2. 板温目標値がΔT℃だけ異なるコイルを連続焼鈍炉入側でつないで連続焼鈍する際に用いる連続焼鈍炉の板温制御装置であって、
    板厚、板幅、鋼種から選ばれる少なくとも1つ以上の、制御対象コイルと条件を同じくしたコイルで、板温目標値を一定の割合で徐々に変化させた時の板温到達値を予め求める手段と、
    板温目標値の異なるコイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で、前記板温到達値と次の板温目標値との差に相当する所定値ΔT1℃だけ、板温目標値を瞬時に変化させる手段と、
    板温目標値を瞬時に変化させた後、当該1コイル内で板温目標値を、次の板温目標値まで前記一定の割合で徐々に変化させる手段と、
    前記所定値ΔT1℃を、前記コイルの先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点で板温目標値について異なるコイルの全変化量ΔT℃だけ瞬時に変化させた場合において、板温実績値のオーバーシュート量(又はアンダーシュート量)をΔA1℃として板温目標値と板温許容上限値(又は下限値)との差をΔB1℃とし、前記コイル先端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達した時点から前記コイル尾端が焼鈍炉の加熱帯入側に到達するまでに前記全変化量ΔT℃だけ一定の割合で徐々に板温目標値を変化させた場合において、前記コイル尾端の板温目標値と板温実績値の差をΔA2℃として板温目標値と板温許容下限値(又は上限値)との差をΔB2℃とすると、次式
    |ΔA2−ΔB2|≦ΔT1≦ΔT−(|ΔA1−ΔB1|)
    の範囲に限定する手段と、
    を備えたことを特徴とする連続焼鈍炉の板温制御装置。
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