まず、図1を用いて複写機1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
複写機1は、箱型形状の複写機本体2を備えており、複写機本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納した給紙カセット3が設けられ、複写機本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。複写機本体2の上端には、排紙トレイ4の上方に画像読取装置5が設けられている。
複写機本体2の中央部には中間転写ベルト6が設けられ、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置7が配置されている。中間転写ベルト6の下側には、4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応するトナーコンテナ15が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
複写機本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路16が上下方向に設けられている。搬送経路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送経路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部18が設けられ、搬送経路16の下流部には定着装置20が設けられ、搬送経路16の下流端には排紙口21が設けられている。
次に、このような構成を備えた複写機1の画像形成動作について説明する。複写機1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置20の温度設定等の初期設定が実行される。そして、画像読取装置5によって原稿画像が読み取られると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光装置7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ15から供給されるトナーによって現像器11が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
一方、給紙部17によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部18へと搬送され、二次転写部18において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路16を下流側へと搬送されて定着装置20に進入し、この定着装置20において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口21から排紙トレイ4上に排出される。
次に、定着装置20について説明する。以下、説明の便宜上、図2における紙面手前側を定着装置20の正面側(前側)とする。各図に適宜付される矢印Frは、定着装置20の正面側(前側)を示している。
図2に示されるように、定着装置20は、定着ユニット22と、定着ユニット22の左方に設けられるIHユニット23と、を備えている。
まず、定着ユニット22について説明する。図2等に示されるように、定着ユニット22は、箱型形状の定着フレーム24と、定着フレーム24の左端側に配置される加熱ローラー25と、加熱ローラー25の右方に配置される定着ローラー26と、加熱ローラー25の右上方且つ定着ローラー26の左上方に配置されるテンションローラー27と、加熱ローラー25、定着ローラー26及びテンションローラー27(以下、「複数のローラー25〜27」と称する。)に張架される定着ベルト28(定着部材)と、定着ベルト28の右方に配置される加圧ローラー30(加圧部材)と、定着フレーム24の前後両端側に配置されるニップ圧切り替え機構31(図3等参照)と、定着ベルト28の右上方に配置される分離部材32(図2等参照)と、を備えている。
図2に示されるように、定着フレーム24は、固定フレーム部40と、固定フレーム部40に左右方向スライド可能に支持される可動フレーム部41と、を備えている。
図3に示されるように、固定フレーム部40の前後両壁部42(図3では前壁部42のみ表示)の左端部には、当接片43が設けられている。固定フレーム部40の前後両壁部42の左端部には、当接片43の下方に係合溝44が設けられている。係合溝44は、左右方向に長い横向きU字状を成している。固定フレーム部40の前後両壁部42の左側部には、係合溝44の右方に係合穴45が設けられている。係合穴45は、左右方向に長い長穴状を成している。図4に示されるように、固定フレーム部40の前後両壁部42(図4では図示せず)の内面には、固定片38が固定されている。固定片38の上端部には、フレーム側ギア39が設けられている。フレーム側ギア39は、直線状に配列されている(図4の二点鎖線A参照)。
図3等に示されるように、可動フレーム部41の左下隅部には、回転可能な被検知部材46が設けられている。被検知部材46の左方には、第1センサー47が設けられている。第1センサー47は、例えばPIセンサー(Photo Interrupter Sensor)によって構成されている。図5に示されるように、可動フレーム部41の前後両板48(図5では前板48のみ表示)の内面には、支点部49が内側に向かって突設されている。
加熱ローラー25(図2等参照)は、例えば、基材層と、この基材層に周設される離型層と、を備えている。加熱ローラー25の基材層は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。加熱ローラー25の離型層は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。
加熱ローラー25は、第1回転軸50を有している。図3等に示されるように、第1回転軸50の前後両端部は、可動フレーム部41に軸受51を介して軸支されている。これにより、加熱ローラー25が可動フレーム部41に回転可能に支持されている。第1回転軸50の前後両端部は、固定フレーム部40の前後両壁部42に設けられた係合溝44に左右方向スライド可能な状態で係合している。
加熱ローラー25の前後両端部には、円盤状のベルトフランジ52(図3等参照)が固定されている。加熱ローラー25の前端部に固定されるベルトフランジ52の外周には、回転検知用ギア53が設けられている。回転検知用ギア53は、接続ギア(図示せず)を介して被検知部材46に接続されている。
定着ローラー26(図2等参照)は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、によって構成されている。定着ローラー26の基材層は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。定着ローラー26の弾性層は、例えば、シリコンゴムやシリコンスポンジによって形成されている。
定着ローラー26は、定着ベルト28を挟んで加圧ローラー30と対向している。定着ローラー26は、可動フレーム部41に回転可能に支持されている。定着ローラー26は、第2回転軸54を有している。図3に示されるように、第2回転軸54の前後両端部は、固定フレーム部40の前後両壁部42に設けられた係合穴45に左右方向スライド可能な状態で係合している。
図4に示されるように、第2回転軸54の前後両端部には、装着部材55が回転可能に装着されている。装着部材55の外周には、第1取付片56が突設されている。装着部材55の外周には、装着部材側ギア59が設けられている。装着部材側ギア59は、円弧状に配列されている(図4の二点鎖線B参照)。装着部材側ギア59は、固定フレーム部40(図4では図示せず)の固定片38に設けられたフレーム側ギア39に噛合している。
テンションローラー27(図2等参照)は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。テンションローラー27は、コイルバネ(図示せず)によって右上方に付勢されており、定着ベルト28を右上方に押圧している。これにより、定着ベルト28に一定の張力が付与されている。テンションローラー27は、可動フレーム部41に回転可能に支持されている。
定着ベルト28は、可撓性を有する無端状のベルトによって形成されている。定着ベルト28は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。定着ベルト28の基材層は、例えばニッケル電鋳やステンレス等の金属やPI(ポリイミド)等の樹脂によって形成されている。定着ベルト28の弾性層は、例えばシリコンゴムによって形成されている。定着ベルト28の離型層は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。なお、本実施形態では、前後方向(図2における紙面奥行き方向)が定着ベルト28の幅方向である。
定着ベルト28は、複数のローラー25〜27を介して可動フレーム部41に回転可能に支持されている。図5等に示されるように、定着ベルト28は、最大サイズの用紙が通過する通紙領域R1と、通紙領域R1外に設けられ、最大サイズの用紙が通過しない非通紙領域R2と、を備えている。
図2に示されるように、定着ベルト28の下方には、定着ベルト28の温度を検出するための第1サーミスター57が配置されている。定着ベルト28の下方には、定着ベルト28の過昇温を防止するための第1サーモスタット58が配置されている。
加圧ローラー30は、例えば、円筒状の芯金と、この芯金に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。加圧ローラー30の芯金は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。加圧ローラー30の弾性層は、例えばシリコンゴムやシリコンスポンジによって形成されている。加圧ローラー30の離型層は、例えばPFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。
加圧ローラー30は、定着ベルト28に圧接しており、定着ベルト28と加圧ローラー30の間には定着ニップ60が形成されている。加圧ローラー30の前後両端部は、固定フレーム部40の前後両壁部42に第3軸受61(図3等参照)を介して軸支されている。これにより、加圧ローラー30が固定フレーム部40に回転可能に支持されている。
図2に示されるように、加圧ローラー30の右上方には、加圧ローラー30の温度を検出するための第2サーミスター62が配置されている。加圧ローラー30の右上方には、加圧ローラー30の過昇温を防止するための第2サーモスタット63が配置されている。
図3等に示されるように、ニップ圧切り替え機構31の前側部分は、駆動モーター64と、駆動モーター64の右下方から後下方に亘って設けられる減速ギア機構65と、減速ギア機構65の上方に設けられる駆動部材66と、駆動部材66の左方に設けられるレバー67と、レバー67の左方に設けられる第1コイルスプリング68及び第2コイルスプリング69と、を備えている。
駆動モーター64は、固定フレーム部40の前壁部42の前側に配置されている。駆動モーター64は、下方に延びるモーター軸71を有している。モーター軸71には、ウォームギア72が同心状に固定されている。なお、図6においては、駆動モーター64の後方の部材を分かりやすく表示するために、駆動モーター64のウォームギア72のみが表示されている。
図6等に示されるように、減速ギア機構65は、第1ギア73と、第1ギア73の左後方に設けられる第2ギア74と、第1ギア73の右方に設けられる第3ギア75と、を備えている。第1ギア73の前段部は、駆動モーター64のウォームギア72と噛合している。第2ギア74は、第1ギア73の後段部と噛合している。第3ギア75は、第1ギア73と噛合している。
駆動部材66の上下方向略中央部には、揺動軸76が設けられており、この揺動軸76を中心に駆動部材66が揺動可能となっている。駆動部材66の下端部には、駆動ギア77が設けられている。駆動ギア77は、減速ギア機構65の第2ギア74と噛合している。これにより、減速ギア機構65を介して、駆動モーター64と駆動部材66が接続されている。換言すると、減速ギア機構65は、駆動モーター64と駆動部材66の間に介装されている。
駆動部材66の上端部には、駆動片78が設けられている。駆動部材66の上端部には、駆動片78から左方に向かって突出する押圧片80が設けられている。押圧片80は、左右方向に長い直棒状を成している。押圧片80の先端部(左端部)には、円盤状の鍔部81が設けられている。駆動部材66の前方には、駆動片78の変位を検知するための第2センサー82が設けられている。第2センサー82は、例えばPIセンサー(Photo Interrupter Sensor)によって構成されている。
レバー67は、上下方向に延びている。レバー67の下端側には支軸83が設けられ、この支軸83を中心にレバー67が揺動可能となっている。レバー67の上端側には貫通穴84が設けられており、この貫通穴84を駆動部材66の押圧片80が貫通している。図3に示されるように、レバー67の下部には押圧突起85が設けられている。押圧突起85は、定着ローラー26の第2回転軸54に当接している。
図6等に示されるように、第1コイルスプリング68は、駆動部材66の押圧片80の外周に巻回されている。第1コイルスプリング68の左端部は、駆動部材66の押圧片80の鍔部81に当接している。第1コイルスプリング68の右端部は、レバー67の上端部に当接している。つまり、第1コイルスプリング68は、駆動部材66の押圧片80とレバー67の間に介装されている。
第2コイルスプリング69の左端部は、固定フレーム部40の前後両壁部42に設けられた当接片43に当接している。第2コイルスプリング69の右端部は、レバー67の上部に当接している。つまり、第2コイルスプリング69は、固定フレーム部40とレバー67の間に介装されている。
ニップ圧切り替え機構31の後側部分(図示せず)の構成は、駆動モーター64が設けられていない点を除き、上述したニップ圧切り替え機構31の前側部分の構成と同様である。ニップ圧切り替え機構31の後側部分は、ニップ圧切り替え機構31の前側部分の第3ギア75と、連結シャフト86(図5参照)を介して連結されている。
図2等に示されるように、分離部材32は、用紙の搬送方向(本実施形態では下から上に向かう方向)において定着ニップ60の下流側に配置されている。図5等に示されるように、分離部材32は、支持板87と、支持板87に支持される分離板88と、支持板87の前後両端部に固定される接触片89と、を備えている。
支持板87は、前後方向に長い形状を成している。支持板87は、例えば板金によって形成されている。図7等に示されるように、支持板87は、平板状の本体部90と、本体部90の前後両端部から左下方に向かって屈曲される取付部91と、本体部90の左上部から左下方に向かって屈曲される屈曲部92と、を備えている。
支持板87の本体部90の前後両端部には、位置決め穴93が設けられている。支持板87の本体部90の前後両端部には、位置決め穴93よりも前後方向内側に、ビス穴94が設けられている。支持板87の本体部90の前後両端部には、右下方に向かって延びる保持部95が設けられている。保持部95の先端部には、L字状の第2取付片96が前後方向内側に向かって設けられている。図5等に示されるように、第2取付片96には、装着部材55の第1取付片56に下端部(一端部)を取り付けられたコイルスプリング97(弾性部材)の上端部(他端部)が取り付けられている。このように、コイルスプリング97は、装着部材55と分離部材32の支持板87の間に介装されている。
図7等に示されるように、支持板87の各取付部91の左上部には、丸穴100が設けられている。支持板87の各取付部91の中央部には、軸穴101が設けられている。軸穴101には、可動フレーム部41の前後両板48の内面に突設された支点部49(図5参照)が挿入されている。これにより、分離部材32が支点部49に回転可能に支持されている。
図8等に示されるように、支持板87の屈曲部92の上方には、規制部99が設けられている。規制部99は、例えば、可動フレーム部41に固定されている。規制部99は、僅かな隙間を介して支持板87の屈曲部92に対向することで、分離部材32の回転範囲を規制している。
図7等に示されるように、分離板88は、前後方向に長い平板状を成しており、支持板87の本体部90の上面に接合されている。分離板88には、フッ素樹脂のコーティングが施されている。分離板88の前後両端部には、支持板87の本体部90の位置決め穴93と対応する位置に位置決め孔102が設けられている。分離板88の前後両端部には、位置決め孔102よりも前後方向内側に、挿通穴103が設けられている。分離板88の上下方向中央には、分離板88を支持板87の本体部90に溶接するための溶接穴104が、前後方向に間隔をおいて列設されている。
分離板88の前下隅部と後下隅部には、略矩形の切り欠き部105が形成されている。図8に示されるように、分離板88の先端部88a(下端部)は、定着ベルト28の通紙領域R1と間隔dを介して対向している。
各接触片89は、支持板87及び分離板88とは別部材として設けられている。各接触片89は、平板状の固定部106と、固定部106から右下方に向かって延びる延出部107と、を備えている。
各接触片89の固定部106の中央部には、ビス孔110が設けられている。そして、支持板87の本体部90に設けられたビス穴94と固定部106のビス孔110にビス109を挿入することで、各接触片89が支持板87に固定されている。
図5等に示されるように、各接触片89の延出部107の右下端部には、横向き円柱状の接触部112が設けられている。接触部112は、定着ベルト28の非通紙領域R2と接触している。これにより、定着ベルト28の通紙領域R1と分離板88の先端部88aの間隔d(図8参照)が所定値に規制されている。
次に、IHユニット23について説明する。図2に示されるように、IHユニット23は、ケース部材113と、ケース部材113内に収納され、定着ベルト28の外周に沿って円弧状に設けられるIHコイル114(熱源)と、ケース部材113内に収納され、IHコイル114の外周に沿って設けられるアーチコア115と、を備えている。
次に、定着装置20の制御システムについて説明する。
図9に示されるように、定着装置20には、制御部120が設けられている。制御部120は、記憶部121と接続されている。記憶部121は、制御部120が実行する制御プログラムを記憶している。
制御部120は、ニップ圧切り替え機構31の駆動モーター64に接続されており、制御部120からの信号に基づいて駆動モーター64のウォームギア72が回転すると、この回転が減速ギア機構65を介して駆動部材66に伝達され、駆動部材66が揺動するようになっている。
制御部120は、IHコイル114と接続されている。そして、制御部120からの信号に基づいてIHコイル114に高周波電流が流れることで、IHコイル114に高周波磁界が発生するとともに、この高周波磁界によって定着ベルト28が発熱するように構成されている。つまり、IHコイル114によって定着ベルト28を加熱するようになっている。
制御部120は、駆動源122に接続されている。駆動源122は、例えば、モーターによって構成されている。駆動源122は、加圧ローラー30に接続されている。そして、制御部120からの信号に基づいて駆動源122が加圧ローラー30を回転させると、加圧ローラー30に圧接する定着ベルト28が加圧ローラー30とは逆方向に回転するようになっている。つまり、駆動源122によって定着ベルト28及び加圧ローラー30を回転させるようになっている。
上記のように構成されたものにおいて、用紙にトナー像を定着させる動作(以下、「定着動作」と称する)について説明する。定着動作を行う際には、定着ベルト28をIHコイル114によって加熱すると共に駆動源122によって定着ベルト28及び加圧ローラー30を回転させる。この状態で、用紙が定着ニップ60を通過すると、用紙とトナー像が加熱及び加圧されて、用紙にトナー像が定着される。定着ニップ60を通過した用紙は、分離部材32の分離板88によって定着ベルト28から分離される。
上記のような定着装置20においては、定着ローラー26の弾性層の熱膨張等に伴って定着ベルト28が僅かに変形することがある。本実施形態では、支点部49によって分離部材32を回転可能に支持しているため、定着ベルト28が変形した場合に、この変形に追従して分離部材32を回転させることができる。そのため、定着ベルト28の非通紙領域R2に接触片89が食い込んで定着ベルト28の非通紙領域R2が損傷を受けるのを回避することが可能となる。
一方で、上記のように分離部材32を回転可能とすると、特に印字率の高い用紙に対して定着動作を行う場合などに、用紙によって分離板88が持ち上げられてしまう可能性がある。このように用紙によって分離板88が持ち上げられると、分離板88と定着ベルト28の間に用紙が侵入して、JAM(紙詰まり)が引き起こされる恐れがある。一旦分離板88と定着ベルト28の間に用紙が侵入すると、ユーザーが用紙を除去することは困難であり、サービスマンによる対応が必要となる場合もある。
しかしながら、本実施形態では図8に示されるように、規制部99によって分離部材32の回転範囲が規制されている。そのため、分離板88と定着ベルト28の間に用紙が侵入してJAM(紙詰まり)が発生するような事態を回避することが可能となる。
ところで、本実施形態では、ファーストコピータイムを短縮するために、待機時において、IHコイル114によって定着ベルト28を加熱すると共に駆動源122によって定着ベルト28及び加圧ローラー30を定着動作時よりも低速で回転させている。なお、待機時とは、例えば、定着動作が可能な温度に定着ベルト28を加熱して待機するレディー時や、定着動作が可能な温度よりも低い温度に定着ベルト28を加熱して待機する省エネモード時等である。
待機時にも定着ベルト28が回転しているため、定着ベルト28の非通紙領域R2が接触片89との摺擦によって摩耗する。待機時における定着ベルト28の回転時間は、定着動作時における定着ベルト28の回転時間よりも長いのが通常であるため、待機時における定着ベルト28の非通紙領域R2の摩耗が放置されると、定着ベルト28の非通紙領域R2の離型層、弾性層、基材層が順次摩耗していき、定着ベルト28の破断に繋がる恐れがある。そこで、本実施形態では以下のようにして、待機時における定着ベルト28の非通紙領域R2の摩耗を抑制している。
定着動作時においては、図3、図6に示されるように、レバー67が略鉛直な姿勢を保持しており、定着ニップ60の圧力は、第1の圧力P1となっている。また、図4、図5に示されるように、コイルスプリング97が自然長よりも伸長しており、コイルスプリング97のバネ荷重W(>0)が接触片89に作用している。これにより、接触片89が第1の荷重F1で定着ベルト28の非通紙領域R2に接触している。
これに対して、定着動作が終了すると、制御部120からの信号に基づいて、ニップ圧切り替え機構31の駆動モーター64のウォームギア72が所定方向に回転する。この回転が減速ギア機構65を介して駆動部材66に伝達されると、図10、図11に示されるように、駆動部材66が正面視で反時計方向に揺動する。これに伴って、駆動部材66の駆動片78及び押圧片80が左方に移動すると共に、レバー67が左方に揺動する。このようにレバー67が左方に揺動すると、レバー67の押圧突起85が左方に移動し、定着ローラー26が左方にスライドする。これに伴って、定着ベルト28が左方(加圧ローラー30から離間する方向)にスライドし、定着ニップ60の圧力が第1の圧力P1から第2の圧力P2(第1の圧力P1よりも低い圧力)に切り替わる。
また、上記のように定着ローラー26が左方にスライドすると、図12、図13に示されるように、装着部材55が一の方向に回転して、装着部材55の第1取付片56が上方に移動する。これに伴って、コイルスプリング97が収縮し、コイルスプリング97が自然長となる。これにより、コイルスプリング97のバネ荷重が0になり、接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重が、第1の荷重F1から第2の荷重F2(第1の荷重F1よりも低い荷重)に切り替わる。
待機時においては、接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重が第2の荷重F2に保持される。一方で、定着動作が再開されると、制御部120からの信号に基づいて、ニップ圧切り替え機構31の駆動モーター64のウォームギア72が上記の所定方向とは逆方向に回転する。この回転が減速ギア機構65を介して駆動部材66に伝達されると、図3、図6に示されるように、駆動部材66が正面視で時計方向に揺動する。これに伴って、駆動部材66の駆動片78及び押圧片80が右方に移動し、レバー67が右方に揺動して略鉛直な姿勢に復帰する。このようにレバー67が右方に揺動すると、レバー67の押圧突起85が右方に移動して定着ローラー26の第2回転軸54を右方に押圧し、定着ローラー26が右方にスライドする。これに伴って、定着ベルト28が右方(加圧ローラー30に近接する方向)にスライドし、定着ニップ60の圧力が第2の圧力P2から第1の圧力P1に切り替わる。
また、上記のように定着ローラー26が右方にスライドすると、図4、図5に示されるように、装着部材55が上記一の方向とは逆方向に回転して、装着部材55の第1取付片56が下方に移動する。これに伴って、コイルスプリング97が伸長し、コイルスプリング97が自然長よりも長くなる。これにより、コイルスプリング97のバネ荷重W(>0)が接触片89に作用し、接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重が、第2の荷重F2から第1の荷重F1に切り替わる。
本実施形態では上記のように、定着動作時に接触片89を第1の荷重F1で定着ベルト28の非通紙領域R2に接触させている。そのため、用紙によって分離板88が持ち上げられるのを防止することが可能となり、分離板88と定着ベルト28の間に用紙が侵入してJAM(用紙の詰まり)が発生するような事態を一層確実に回避することが可能となる。
また、待機時に第1の荷重F1よりも低い第2の荷重F2で接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触している。そのため、常に第1の荷重F1で接触片89を定着ベルト28の非通紙領域R2に接触させておく場合よりも、接触片89との摺擦によって定着ベルト28の非通紙領域R2が摩耗するのを抑制することが可能となり、定着ベルト28の長寿命化を図ることが可能となる。
また、ニップ圧切り替え機構31が定着ニップ60の圧力を第1の圧力P1から第2の圧力P2に切り替えるのに連動して接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重が第1の荷重F1から第2の荷重F2に切り替わり、ニップ圧切り替え機構31が定着ニップ60の圧力を第2の圧力P2から第1の圧力P1に切り替えるのに連動して接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重が第2の荷重F2から第1の荷重F1に切り替わるように構成されている。このような構成を採用することで、定着ニップ60の圧力を切り替えるのに連動して接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重を切り替えることが可能となる。そのため、定着ニップ60の圧力の切り替えと接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重の切り替えを別個に行う場合と比較して、作業者の負担を軽減することが可能となる。
また、レバー67が揺動すると、レバー67の押圧突起85が定着ローラー26の第2回転軸54を押圧し、定着ローラー26がスライドすると共に装着部材55が回転して、コイルスプリング97が伸長する(コイルスプリング97の長さが変化する)ように構成されている。このような構成を採用することで、接触片89が定着ベルト28の非通紙領域R2に接触する荷重を容易且つ確実に切り替えることが可能となる。
また、コイルスプリング97は、接触片89が第2の荷重F2で定着ベルト28の非通紙領域R2に接触している状態において、自然長になっている。このような構成を採用することで、第2の荷重F2を0又は0に近い小さな荷重とすることが可能となる。そのため、接触片89との摺擦によって定着ベルト28の非通紙領域R2が摩耗するのを一層効果的に抑制することが可能となり、定着ベルト28の長寿命化を図ることが可能となる。
また、定着ベルト28を加熱する熱源としてIHコイル114を用いているため、定着ベルト28を加熱する熱源としてハロゲンヒーター等を用いる場合と比較して、ウォームアップタイムを短縮することが可能となる。
本実施形態では、1個のコイルスプリング97によって弾性部材が構成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、図14に示されるように、互いに連結された複数個(例えば2個)のコイルスプリング97によって弾性部材が構成されていても良い。
本実施形態では、レバー67の揺動に連動して装着部材55が回転する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、減速ギア機構65のうちの一のギア(例えば、第3ギア75)の回転に連動して装着部材55が回転しても良い。
本実施形態では、定着ベルト28に内設される複数のローラー25〜27に定着ベルト28が張架される方式の定着装置20に本発明の構成を適用する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルト28に内設される1個のローラーに定着ベルト28が周設される方式の定着装置20や、定着ベルト28に内設される押圧部材に対して定着ベルト28を摺動させる方式の定着装置20に本発明の構成を適用しても良い。
本実施形態では、定着ベルト28を定着部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ローラー状の定着部材を用いても良い。
本実施形態では、IHコイル114を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等のヒーターを熱源として用いても良い。
本実施形態では、複写機1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、プリンター、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。