以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムについて説明する。
〔厚鋼板の圧延ラインについて〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムによるスラブ抽出時刻の決定及び圧延スケジュールの作成の対象である厚鋼板の圧延ラインについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムが対象とする厚鋼板の圧延ラインを説明するための模式図である。図1に示すように、厚鋼板の圧延ラインには、リソース(設備)として、上流から順にスラブを所定の温度に加熱する加熱炉1と、リバース式の粗圧延機2と、圧延材Sを空冷または水冷により冷却して温度調整を行なう冷却装置3と、リバース式の仕上圧延機4と、圧延材Sを待機させるための仕上ミル後面テーブル5とが配設されている。
加熱炉1で所定の温度に加熱されたスラブは、圧延材Sとして所定の時刻に所定の順番で抽出され、粗圧延機2および仕上圧延機3により圧延される。圧延の工程には、スケールの剥離およびの均一化を図る1〜4パス程度の調整圧延工程と、所定の板厚を得るために行なう厚さ出し圧延工程と、所定の板幅を得るために圧延材Sを厚さ出し圧延と直交する方向にターニングして行なう幅出し圧延工程との3工程がある。調整圧延工程と幅出し工圧延程とは、粗圧延機2で行なわれる。厚さ出し圧延工程は、主に仕上圧延機4で行われるが、2種の圧延機の負荷を調整するために粗圧延機2で行なう場合もある。
機械強度に優れた高級厚鋼板を製造する場合には、圧延材Sの温度変化に伴う材質変化を図って制御圧延(CR)や制御冷却が行なわれる。制御圧延材(CR材)は、材質設計に基づいて設定された目標温度にて所定の厚さまで圧延される。すなわち、CR材に対しては、圧延の途中に、所定の板厚(CR厚)で水や空気による冷却を行ないながら所定の温度(CR温度)に制御する必要がある。なお、温度を制御する際には、主に冷却装置3が利用されるが、圧延ラインの稼動状況に応じて仕上ミル後面テーブル5が利用される場合もある。また、粗圧延機2および仕上圧延機4との間には2台の冷却装置(31,32)が配設され、圧延材Sの長さに応じて最大2本の圧延材Sを待機(冷却)させることができる。また、仕上ミル後面テーブル5には最大1本の圧延材Sを待機させることができる。
本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムは、図1に示す厚鋼板の圧延ラインにおいて、スラブ抽出時刻を決定し、圧延ラインの粗圧延機や仕上圧延機での圧延スケジュール(通過工程スケジュール)を作成する。
〔ミルペーシングシステムの構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムの構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の一実施形態であるミルペーシングシステム10は、仕掛中圧延材データベース(DB)11と、圧延材仕様データベース(DB)12と、仕様コードマスタデータベース(DB)13と、設備制約マスタデータベース(DB)14と、パラメータデータベース(DB)15と、パターンデータベース(DB)16と、ミルペーシング装置100と、を主な構成要素として備える。ミルペーシング装置100は、本発明に係る工程パターン作成手段、モード作成手段、最適圧延スケジュール作成手段として機能する。
仕掛中圧延材DB11は、仕掛中圧延材に関する情報を仕掛中圧延材データとして格納する。ここで、図3を参照して、仕掛中圧延材について説明する。図3は、圧延材Sが各リソースを通過する時刻を例示した図である。仕掛中圧延材とは、既に加熱炉1から抽出され、かつ、仕上圧延機4等での厚さ出し工程(仕上圧延工程)が未完了である圧延材Sのことであり、図3に示すS(−2)、S(−1)、S(0)のような圧延材Sをいう。ここで、括弧内の数字が小さいほど先行する圧延材Sであることを示し、括弧内の数字が0以下であることはその圧延材Sが仕掛中圧延材であることを示す。
図4は、仕掛中圧延材データを例示する図である。図4に示すように、仕掛中圧延材データは、圧延材ID、加熱炉抽出順、工程順、工程名、工程完了区分、工程開始時刻、工程終了時刻、工程終了板幅、工程終了板長、工程終了板厚、工程終了板温、工程変更サインの情報を含む。なお、各項目には上位コンピュータによりデータ更新された最新の予定および実績のデータが記録されている。
圧延材IDとは、圧延材Sを特定するための固有の識別情報を意味する。加熱炉抽出順とは、該当の圧延材Sが加熱炉に装入された順序(=加熱炉から抽出される順序)を示し、昇順に早く抽出されることを意味する。仕掛中圧延材については、直近に抽出された圧延材Sに0が付与され、それ以前の圧延材Sには負の番号が付与される。工程順とは、通過予定もしくは通過した(実績の)工程の順序を示す。工程名とは、通過予定もしくは通過した工程の名称を意味する。工程完了区分とは、該当の工程が予定、実行中、実績のいずれの区分に該当するかを示す。
工程開始時刻とは、該当の工程の開始時刻を意味し、工程完了区分が予定の場合には、予定の開始時刻を示し、工程完了区分が実行中もしくは実績の場合には、実績の開始時刻を示す。工程終了時刻とは、該当の工程の終了時刻を意味し、工程完了区分が予定もしくは実行中の場合には、予定の終了時刻を示し、工程完了区分が実績の場合には、実績の終了時刻を示す。
工程終了板幅とは、該当の工程の終了後の圧延材Sの板幅を意味し、工程完了区分が予定もしくは実行中の場合は予定の板幅を示し、工程完了区分が実績の場合は実績の板幅を示す。工程終了板長とは、該当の工程の終了後の圧延材Sの板長を意味し、工程完了区分が予定もしくは実行中の場合は予定の板長を示し、工程完了区分が実績の場合は実績の板長を示す。工程終了板厚とは、該当の工程の終了後の圧延材Sの板厚を意味し、工程完了区分が予定もしくは実行中の場合は予定の板厚を示し、工程完了区分が実績の場合は実績の板厚を示す。工程終了板温とは、該当の工程の終了後の圧延材Sの温度を意味し、工程完了区分が予定もしくは実行中の場合は予定の温度を示し、工程完了区分が実績の場合は実績の温度を示す。
工程変更サインとは、仕掛途中で通過する工程が変更されたことを意味し、当初の予定の工程に付与されるコードを示す。なお、新たに追加された工程については、レコードが追加される。
圧延材仕様DB12は、仕掛中圧延材および材源圧延材に関する仕様の情報を圧延材仕様データとして格納する。圧延材仕様データは、各圧延材Sに1対1に対応するデータである。ここで、材源圧延材とは、本実施の形態のミルペーシング装置100により、今後、加熱炉抽出時刻や通過工程スケジュールが作成される予定の圧延材Sのことである。本実施の形態で取り扱う材源圧延材の本数は、入力部101から与えられるものとする。
図5は、圧延材仕様データを例示する図である。図5に示すように、圧延材仕様データは、加熱炉抽出順、圧延材ID、スラブ幅、スラブ長、スラブ厚、加熱炉抽出温度、幅出圧延幅、幅出圧延厚、製品幅、製品長、製品厚、仕様コード、CR厚、CR温度、仕上温度、スケジュールID、スケジュール確定サインの情報を含む。
加熱炉抽出順とは、圧延材Sが加熱炉1から抽出される順番を示し、仕掛中圧延材については、仕掛中圧延材データに含まれる加熱炉抽出順と同一値が設定される。圧延材IDとは、上記の仕掛中圧延材DB11と同様に、圧延材Sを特定するための固有の識別情報を意味する。スラブ幅とは、圧延材Sの板幅を意味する。スラブ長とは、圧延材Sの板長を意味する。スラブ厚とは、圧延材Sの板厚を意味する。加熱炉抽出温度とは、加熱炉1から抽出する際の圧延材Sの温度を意味し、先述の加熱炉抽出順が0以下の場合は実績の温度を示し、加熱炉抽出順が0より大きい場合には目標の温度を示す。
幅出圧延幅とは、粗圧延機2における幅出し圧延工程完了時の圧延材Sの板幅を意味する。幅出圧延厚とは、粗圧延機2における幅出し圧延工程完了時の圧延材Sの板厚を意味する。製品幅とは、仕上圧延工程完了時の圧延材Sの板幅を意味する。製品長とは、仕上圧延工程完了時の圧延材Sの板長を意味する。製品厚とは、仕上圧延工程完了時の圧延材Sの板厚を意味する。
仕様コードとは、ミルペーシング装置100で通過工程スケジュールを作成する場合の制約条件を意味し、特殊な制約条件がある場合に、対応するコードを示し、特に制約条件がない場合にはブランクが設定される。なお、各仕様(制約条件)に対応するコードは、後述する仕様コードマスタDB13に格納される。
CR厚とは、圧延材SがCR材の場合に、調整温度下での圧延材Sの板厚を意味し、圧延材SがCR材ではない場合には0が設定される。CR温度とは、圧延材SがCR材の場合の調整温度を意味し、圧延材SがCR材ではない場合には0が設定される。仕上温度とは、仕上圧延工程完了時の圧延材Sの温度を意味する。
スケジュールIDとは、該当の圧延材Sについて既に本実施の形態のミルペーシング装置100により、加熱炉抽出時刻や通過工程スケジュールが作成されている場合に、該当するスケジュールを識別するコード(スケジュールID)を意味し、通過工程スケジュールが作成されていない場合にはブランクが設定される。スケジュール確定サインとは、該当の圧延材Sについて既に本実施の形態のミルペーシング装置100により、加熱炉抽出時刻や通過工程スケジュールが作成されている場合に、該当するスケジュールが確定されていることを意味し、確定されている場合に1が設定され、その他の場合には0が設定される。
仕様コードマスタDB13は、前述した圧延材仕様データに含まれる仕様コードの内容に関する情報を仕様コードマスタデータとして格納する。図6は、仕様コードマスタデータを例示する図である。図6に示すように、仕様コードマスタデータは、仕様コードと、通過不可工程と、移送厚最小値と、移送長最大値を含む。
仕様コードとは、仕様(制約条件)の内容を特定するためのコードを意味する。通過不可工程とは、該当の圧延材Sが通過することができない工程を意味する。通過不可工程には、後述するResource名が設定される。移送厚最小値とは、粗圧延機2から仕上圧延機4に移送する際の圧延材Sの板厚の最小値を意味する。移送長最大値とは、粗圧延機2から仕上圧延機4に移送する際の圧延材Sの板長の最大値を意味する。
設備制約マスタDB14は、圧延ライン上の設備の制約に関する情報を設備制約マスタデータとして格納する。図7は、設備制約マスタデータを例示する図である。図7に示すように、設備制約マスタデータは、粗ミル最小圧延厚、粗ミル最大圧延長、ミル間2本待機可能圧延長、冷却装置最大冷却温度差、後面テーブル待機可能圧延長、後面テーブル最大待機時間を含む。なお、前述した圧延材仕様データにおいて仕様コードにブランクが設定されている場合に、設備制約マスタデータが参照される。
粗ミル最小圧延厚とは、粗圧延機2にて圧延できる圧延材Sの板厚の最小値を意味する。粗ミル最大圧延長とは、粗圧延機2にて圧延できる圧延材Sの板長の最大値を意味する。ミル間2本待機可能圧延長とは、粗圧延機2と仕上圧延機4との間の冷却装置3に2本の圧延材Sを待機させることができる場合の圧延材Sの板長の最大値を意味する。冷却装置最大冷却温度差とは、冷却装置3が冷却できる温度差の最大値を意味する。後面テーブル待機可能圧延長とは、仕上ミル後面テーブル5で待機させることができる圧延材Sの板長の最大値を意味する。後面テーブル最大待機時間とは、仕上ミル後面テーブル5で圧延材Sを待機させることができる時間の最大値を意味する。
パラメータDB15は、リレーショナルデータベース等で構成され、後述する圧延スケジュール作成処理において適用される各種パラメータを格納する。
パターンDB16は、各圧延材Sが通過する各工程の占有時間に関する情報を格納する。図8は、パターンDB16に格納されるデータを例示する図である。図8に示すように、パターンDB16に格納されるデータは、加熱炉抽出順、圧延材ID、パターンID、工程順、工程名、占有時間、パス数、工程終了板幅、工程終了板長、工程終了板厚、工程終了板温を含む。
加熱炉抽出順とは、圧延材Sが加熱炉1から抽出される順番を示し、圧延材仕様データおよび仕掛中圧延材データに含まれる加熱炉抽出順と同一値が設定される。圧圧延材IDとは、仕掛中圧延材DB11と同様、圧延材Sを特定するための固有の識別情報を意味する。パターンIDとは、圧延材Sが通過する工程のパターンを識別する情報を意味し、同一の圧延材Sの一連の通過工程に対しては、パターンDB16内で同一のパターンIDが付与される。このパターンIDは、後述するモードを特定するモードIDをも意味する。工程順とは、同一のパターンIDが付与された一連の通過工程における各工程の通過順を意味する。
工程名とは、各工程の名称を意味する。占有時間とは、該当する工程での占有時間を意味し、後述する圧延スケジュール作成処理で算出される値が設定される。パス数とは、該当する工程が粗圧延機2または仕上圧延機4における工程の場合に、1方向の圧延を1パスと計上する際のパスの数を意味し、後述する圧延スケジュール作成処理で算出される値が設定される。
工程終了板幅とは、該当する工程が完了した際の圧延材Sの板幅を意味する。工程終了板長とは、該当する工程が完了した際の圧延材Sの板長を意味する。工程終了板厚とは、該当する工程が完了した際の圧延材Sの板厚を意味する。工程終了板温とは、該当する工程が完了した際の圧延材Sの温度を意味する。
ミルペーシング装置100は、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどの汎用の情報処理装置によって構成されている。ミルペーシング作成装置100は、図示しないCPUなどの演算処理装置が図示しないROMなどの記憶装置に記憶されているミルペーシングプログラムを実行することによって、入力部101、データ読込部102、パターン作成部103、最適圧延スケジュール作成部104、および出力部105として機能する。これら各部の機能については後述する。
〔圧延スケジュール作成処理〕
このような構成を有するミルペーシングシステム10では、ミルペーシング装置100が以下に示す圧延スケジュール作成処理を実行することによって、粗圧延機2や仕上圧延機4での圧延スケジュール(通過工程スケジュール)を作成する。以下、図9に示すフローチャートを参照して、この圧延スケジュール作成処理を実行する際のミルペーシング装置100の動作について説明する。
図9は、本発明の一実施形態である圧延スケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、オペレータがキーボードやマウスポインタなどの図示しない操作入力装置を介して、例えば加熱炉抽出時や粗圧延工程の開始時や完了時、冷却工程の開始時や完了時、仕上圧延工程の開始時や完了時などに、圧延スケジュールを作成する期間(計画期間)に関する情報を現在時刻とともに入力し、入力部101がオペレータによって入力された計画期間に関する情報をパラメータDB15に格納し、上位システムがパラメータDB15を参照し、格納されたタイミングで処理が開始され、圧延スケジュール作成処理はステップS1の処理に進む。なお、本実施形態では、オペレータは、たとえば「YYYY年MM月DD日の時間帯tsからyyyy年mm月dd日の時間帯teまで」という形式で計画期間に関する情報を入力する。
ステップS1の処理では、データ読込部102が、仕掛中圧延材DB11、圧延材仕様DB12、仕様コードマスタDB13、設備制約マスタDB14を参照し、計画期間に製造予定の仕掛中圧延材および材源圧延材に関する情報を抽出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、圧延スケジュール作成処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、パターン作成部103が、後述する工程パターン作成処理により、ステップS1で抽出された各圧延材Sについての工程パターンを作成し、パターンDB16に格納する。これにより、ステップS2の処理は完了し、圧延スケジュール作成処理はステップS3の処理に進む。
ここで、図10を参照して、Job、工程パターン、モードについて説明する。圧延材Sが通過する工程のそれぞれを、以下、Jobと呼ぶ。例えば、一般に材源圧延材が通過する、粗圧延機2での粗圧延工程(調整圧延工程と幅出し工圧延程)、冷却装置31での冷却工程、冷却装置32での冷却工程、仕上圧延機4での仕上圧延工程、仕上ミル後面テーブル5の通過工程のそれぞれがJobに相当する。例えば、圧延材Sが粗圧延工程、冷却装置31での冷却工程、冷却装置32での冷却工程、仕上圧延工程、仕上ミル後面テーブル5の通過工程という一連の通過工程を経て圧延される場合、図10に示すように、当該圧延材Sは5つのJobを持つということができる。
なお、一般に、加熱炉1から抽出された材源圧延材の通過工程は、上記工程例の他、粗圧延機2での粗圧延工程、冷却装置31での冷却工程、冷却装置32での冷却工程、仕上圧延機4での仕上圧延工程、仕上ミル後面テーブル5での待機工程(空冷冷却など)、仕上圧延機4での仕上圧延工程、仕上ミル後面テーブル5の通過工程という順に7つのJobを通過する場合がある。また、粗圧延機2での粗圧延工程、冷却装置31での冷却工程、冷却装置32での冷却工程、仕上圧延機4での仕上圧延工程、冷却装置32での冷却工程、仕上圧延機4での仕上圧延工程、仕上ミル後面テーブル5の通過工程という順に7つのJobを通過する場合もある。
工程パターンとは、図10に示すように、各圧延材Sについて通過し得る工程(Job)それぞれの操業パターンに応じた占有時間を意味する。ステップS2においては、各圧延材Sの同一工程について、選択し得る占有時間により複数の工程パターンが作成される。
各Jobが占有するリソース(設備)を特定する情報を、以下、Resourceと呼ぶ。図11は、Resourceのデータ構成を例示した図である。図11に示すように、Resourceは、設備名とResource名を示すコードとResource容量(同時にJobを処理できる数)とを対応付けて構成され、適当な記憶部に記憶される。Resourceは、前述した仕様コードマスタDB13の通過不可工程に設定される。なお、図11に示す設備名「ダミー」は、同一の圧延材Sについての複数の通過工程を比較する際に、Job数を合わせるために設定されるものである。
また、各圧延材Sの一連の通過工程において、各ResourceでのJobについて1つの占有時間(工程パターン)が選択される。図10に示すように、各圧延材Sについて、各ResourceでのJobにつき1つ選択された工程パターンを組み合わせた一連の通過工程を、以下、モードと呼ぶ。本実施の形態では、通過工程スケジュールの作成を、既知のマルチモード・資源制約付きプロジェクトスケジューリング問題(RCPSP)として定式化して最適解を得る。
なお、JobとResourceとの対応関係は1対1とは限らず、1つのJobが複数のResourceを占有する場合もある。図12および14は、JobとResourceとの対応関係を説明するための概念図である。例えば、圧延材Sの板長が粗圧延機2と仕上圧延機4との間で2本待機できる板長の最大値(設備制約マスタDB14参照)以下の場合には、図12に示すように、1台の冷却装置3に1枚ずつ圧延材Sを待機させることができる。すなわち、JobとResourceとの対応関係は1対1である。一方、圧延材Sの板長が粗圧延機2と仕上圧延機4との間で2本待機できる板長の最大値より大きい場合には、図13に示すように、2台の冷却装置3に1枚の圧延材Sを待機させることになる。JobとResourceとの対応関係は1対2である。
ステップS3の処理では、最適圧延スケジュール作成部104が、ステップS2においてパターンDB16に格納された各圧延材Sについての工程パターンに基づいて、各圧延材SについてJob数(通過工程の工程数の最大値)を決定し、複数のモード(工程パターンの組み合わせ)を作成する。これにより、ステップS3の処理は完了し、圧延スケジュール作成処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、最適圧延スケジュール作成部104が、後述する制約条件を適用して、全圧延材Sについて最適なモードの組み合わせ(圧延材Sの処理順と各圧延材Sについての最適なモード)を選定する。その手段として、最適圧延スケジュール作成部104は、後述する目的関数を設定し、この目的関数を制約条件のもとで評価することにより、総圧延時間が最短となるモードの組み合わせを最適解として選定する。これにより、ステップS4の処理は完了し、圧延スケジュール作成処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、出力部105が、選定された最適なモードに対応した通過工程スケジュールを図示しない液晶ディスプレイなどの表示装置に出力すると共に、この選定されたモードに対応した通過工程スケジュールに関する情報を上位システムに出力する。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連の圧延スケジュール作成処理は終了する。
[工程パターン作成処理]
上記ステップS2においてパターンDB16に格納される工程パターンを作成する処理(工程パターン作成処理)について、図14〜19を参照して説明する。工程パターン作成処理は、ステップS1で抽出された圧延材Sが材源圧延材か仕掛中圧延材かにより分岐する。さらに、工程パターン作成処理は、圧延材Sが仕掛中圧延材の場合に(仕掛中圧延材データおよび圧延材仕様データの加熱炉抽出順が0以下である圧延材Sを仕掛中圧延材と識別する)、どのリソース(粗圧延機2、冷却装置3、仕上圧延機4、仕上ミル後面テーブル5)での工程が未完了であるか(仕掛工程=仕掛圧延材データの工程完了区分が実行中である工程、または直近に予定される工程)により分岐する。なお、以下の処理において、占有時間(粗圧延機2および仕上げ圧延機のメタルイン時間とターン等のミル外時間を含んだ占有時間、冷却装置3での冷却時間、仕上ミル後面テーブル5での待機時間)は、上位システムのパススケジュール作成プログラムや水冷計算プログラム、空冷計算プログラムなどにより算出される値を利用する。
図14は、材源圧延材についての工程パターン作成処理手順を示すフローチャートである。図14に示すように、圧延材Sが材源圧延材の場合に、パターン作成部103は、まず、粗圧延機2で幅出し圧延工程が完了するまでの粗圧延機2の占有時間とパス数としての粗圧延機2でのパス数とを算出するとともに、パターンIDに初期値0を設定する(ステップS101)。
圧延材SがCR材ではない場合には(ステップS102,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS103)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、(粗圧延機での)粗圧延、××秒)、(2、(仕上圧延機での)仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS104)。
次に、パターン作成部103は、粗圧延機2でのパス数を1繰り上げて(ステップS105)、このパス数に基づいて粗圧延機2での占有時間を算出する(ステップS106)。さらに、パターン作成部103は、圧延材Sの板厚や板長が粗ミル最小圧延厚、CR厚、ミル間2本待機可能圧延長を満たすか否か、あるいは後述する最終サインが設定されている否かを判定する(ステップS107)。圧延材Sの板厚や板長が粗ミル最小圧延厚、CR厚、ミル間2本待機可能圧延長を満たす場合、あるいは最終サインが設定されてない場合には(ステップS107,No)、パターン作成部103は、工程パターン作成処理をステップS102の処理に戻し、次のパターンを作成する。一方、操業上の制約である圧延材Sの板厚や板長が粗ミル最小圧延厚、CR厚、ミル間2本待機可能圧延長を満たさない場合、あるいは最終サインがある場合には(ステップS107,Yes)、一連の材源圧延材についての工程パターン作成処理は終了する。
圧延材SがCR材の場合には(ステップS102,Yes)、パターン作成部103は、粗圧延機2での圧延完了時の板厚がCR厚を満たすか否かを判定する(ステップS111)。粗圧延機2での圧延完了時の板厚がCR厚を満たす場合には(ステップS111,Yes)、CR温度を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS112)、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS113)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、粗圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS114)。その後、パターン作成部103は、ステップS105の処理に進める。
ステップS111で粗圧延機2での圧延完了時の板厚がCR厚を満たさない場合には(ステップS111,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4でCR厚を満たすまで圧延すると、圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たすか否かを判定する(ステップS121)。仕上圧延機4での圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たす場合には(ステップS121,Yes)、パターン作成部103は、CR温度を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS122)、仕上圧延機4の占有時間を算出する(ステップS123)。そして、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、粗圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS124)。その後、パターン作成部103は、ステップS105の処理に進める。
ステップS121で仕上圧延機4での圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たさない場合には(ステップS121,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4で圧延中にCR温度およびCR厚を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS131)、可能解があるか否かを判定する(ステップS132)。可能解がある場合には(ステップS132,Yes)、パターン作成部103は、算出された条件のもとで仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS133)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、粗圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS134)。
次に、パターン作成部103は、CR厚を満たすまでの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS135)、仕上圧延機4で圧延中にCR温度を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS136)、CR厚から製品厚になるまでの仕上圧延機4の占有時間を算出する(ステップS137)。そして、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、粗圧延、××秒)、(2、仕上圧延、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、冷却装置32での冷却、××秒)、(5、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS138)。なお、ステップS132で可能解がない場合にも(ステップS132,No)、パターン作成部103は、ステップS135に処理を進める。
続いて、パターン作成部103は、仕上圧延機4で圧延中にCR温度を満たすための空冷による仕上ミル後面テーブル5での冷却時間を算出し(ステップS139)、可能解があるか否かを判定する(ステップS140)。可能解がない場合には(ステップS140,No)、パターン作成部103は、ステップS105の処理に進める。
ステップS140で可能解がある場合には(ステップS140,Yes)、パターン作成部103は、算出された条件のもとでCR厚から製品厚になるまでの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS141)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、粗圧延、××秒)、(2、仕上圧延、××秒)(3、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS142)。その後、パターン作成部103は、ステップS105の処理に進める。
図15は、仕掛中圧延材が粗圧延機2での工程が未完了である場合の仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理手順を示すフローチャートである。図15に示すように、圧延材Sが仕掛中圧延材であって粗圧延機2での工程が未完了である場合に、パターン作成部103は、まず、粗圧延機2での工程の実績の開始時間から現在時刻までの時間(既圧延時間)を算出する(ステップS201)。
次に、パターン作成部103は、粗圧延機2での工程の予定が確定しているか否かを判定し(ステップS202)、確定していない場合には(ステップS202,No)、粗圧延機2での幅出し圧延工程が完了しているか否かを判定する(ステップS203)。幅出し圧延工程が完了していない場合には(ステップS203,No)、粗圧延機2での圧延のパス数の実績値をパス数として設定し、パス数にもとづいて占有時間を算出し、(算出された占有時間−既圧延時間)を占有時間として設定するとともに、パターンIDに初期値0を設定する(ステップS204)。その後、パターン作成部103は、材源圧延材についての工程パターン作成処理手順(図14参照)のステップS102に処理を進める。
ステップS202の処理で粗圧延機2での工程の予定が確定している場合には(ステップS202,Yes)、パターン作成部103は、最終パス数をパス数として設定するとともに最終サインを設定する。また、パターン作成部103は、パス数にもとづいて占有時間を算出し、(算出された占有時間−既圧延時間)を占有時間として設定するとともに、パターンIDに初期値0を設定する(ステップS211)。その後、パターン作成部103は、材源圧延材についての工程パターン作成処理手順(図14参照)のステップS102に処理を進める。
ステップS203の処理で幅出し圧延工程が完了している場合には(ステップS203,Yes)、パターン作成部103は、粗圧延機2での幅出し圧延工程の完了時までの占有時間とパス数とを算出する。パターン作成部103は、算出されたパス数をパス数として設定し、(算出された占有時間−既圧延時間)を占有時間として設定するとともに、パターンIDに初期値0を設定する(ステップS221)。その後、パターン作成部103は、材源圧延材についての工程パターン作成処理手順(図14参照)のステップS102に処理を進める。
図16は、仕掛中圧延材が冷却装置3での工程が未完了である場合の仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、圧延材Sが仕掛中圧延材であって冷却装置3での工程が未完了である場合には、パターン作成部103は、まず、現在時刻から冷却工程あるいは待機工程の工程終了予定時刻までの時間(冷却占有時間)を占有時間として算出するとともに、パターンIDを初期値0に設定する(ステップS301)。
圧延材SがCR材ではない場合には(ステップS302,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS303)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS304)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
圧延材SがCR材である場合には(ステップS302,Yes)、パターン作成部103は、冷却完了時の板厚がCR厚を満たすか否かを判定する(ステップS311)。冷却完了時の板厚がCR厚を満たす場合には(ステップS311,Yes)、冷却完了時の温度がCR温度を満たすか否かを判定する(ステップS312)。冷却完了時の温度がCR温度を満たす場合は(ステップS312,Yes)、パターン作成部103は、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS313)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS314)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS312で冷却完了時の温度がCR温度を満たさない場合(ステップS312,No)、パターン作成部103は、冷却完了時の温度がCR温度以上の場合には(ステップS321,No)、CR温度を満たすまで冷却時間を延長し(ステップS323)、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS324)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS325)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。なお、ステップS321の処理で冷却完了時の温度がCR温度より低い場合には(ステップS321,Yes)、パターン作成部103は、エラー表示を出力し(ステップS322)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS311の処理で冷却完了時の板厚がCR厚を満たさない場合には(ステップS311,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4でCR厚を満たすまで圧延すると、圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たすか否かを判定する(ステップS331)。仕上圧延機4での圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たす場合には(ステップS331,Yes)、パターン作成部103は、仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS332)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS333)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
仕上圧延機4での圧延完了時の圧延材Sの温度がCR温度を満たさない場合には(ステップS331,No)、パターン作成部103は、仕上圧延機4で圧延中にCR温度およびCR厚を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を再度算出し(ステップS341)、可能解があるか否かを判定する(ステップS342)。可能解がある場合には(ステップS342,Yes)、パターン作成部103は、算出された条件のもとで仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS343)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS344)。
次に、パターン作成部103は、CR厚を満たすまでの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS345)、仕上圧延機4で圧延中にCR温度を満たすための2台の冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS346)、CR厚から製品厚になるまでの仕上圧延機4の占有時間を算出する(ステップS347)。そして、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)、(4、冷却装置31での冷却、××秒)、(5、冷却装置32での冷却、××秒)、(6、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS348)。なお、ステップS342で可能解がない場合にも(ステップS342,No)、パターン作成部103は、ステップS345に処理を進める。
続いて、パターン作成部103は、仕上圧延機4で圧延中にCR温度を満たすための空冷による仕上ミル後面テーブル5での冷却時間を算出し(ステップS349)、可能解があるか否かを判定する(ステップS350)。可能解がない場合には(ステップS350,No)、パターン作成部103は、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS350の処理で可能解がある場合には(ステップS350,Yes)、算出された条件のもとでCR厚から製品厚になるまでの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS351)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、冷却装置31での冷却、××秒)、(2、冷却装置32での冷却、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)、(4、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(5、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS352)、一連の冷却装置3での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
図17は、仕掛中圧延材が仕上圧延機4での工程が未完了である場合の仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理手順を示すフローチャートである。図17に示すように、圧延材Sが仕掛中圧延材であって仕上圧延機4での工程が未完了である場合に、パターン作成部103は、まず、現在時刻から仕上圧延工程の工程終了予定時刻までの時間を占有時間として算出するとともに、パターンIDを初期値0に設定する(ステップS401)。
仕上圧延工程の予定が確定している場合には(ステップS402,Yes)、パターン生成部103は、冷却装置(31,32)での冷却工程の予定があれば(ステップS403,Yes)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS404)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS403の処理で冷却装置(31,32)での冷却工程の予定がなく(ステップS403,No)、仕上ミル後面テーブル5での待機工程の予定がある場合には(ステップS405,Yes)、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS406)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS405の処理で仕上ミル後面テーブル5での待機工程の予定がない場合には(ステップS405,No)、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS407)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
仕上圧延工程の予定が確定していない場合には(ステップS402,No)、冷却装置(31,32)での冷却や仕上ミル後面テーブル5での待機の予定がなければ(ステップS411,No)、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS412)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS411の処理で冷却装置(31,32)での冷却や仕上ミル後面テーブル5での待機の予定があれば(ステップS411,Yes)、パターン作成部103は、現在時刻から仕上圧延工程の既定の工程中断予定時刻までの時間を占有時間として算出する(ステップS421)。ここで工程中断予定時刻は、圧延材SがCR材の場合にはCR厚を満たすまでの時間として算出される。
圧延材SがCR材ではない場合には(ステップS422,No)、パターン作成部103は、既定の冷却装置3による冷却時間を含めた、工程中断予定時刻から製品厚までの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS423)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS424)。
続いて、パターン作成部103は、既定の空冷による冷却(待機)時間を含めた、工程中断予定時刻から製品厚までの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS425)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS426)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
圧延材SがCR材である場合には(ステップS422,Yes)、パターン作成部103は、仕上圧延機4での圧延中断後にCR温度を満たすための冷却装置(31,32)での冷却時間を算出し(ステップS431)、製品厚までの残りの仕上圧延機4の占有時間を算出する(ステップS432)。そして、パターン作成部103は、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、冷却装置31での冷却、××秒)、(3、冷却装置32での冷却、××秒)、(4、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納する(ステップS433)。
続いて、パターン作成部103は、仕上圧延機4での圧延中断後にCR温度を満たすための空冷による仕上ミル後面テーブル5での冷却(待機)時間を算出し(ステップS434)、可能解があるか否かを判定する(ステップS435)。可能解がない場合には(ステップS435,No)、パターン作成部103は、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
ステップS435の処理で可能解がある場合には(ステップS435,Yes)、パターン作成部103は、製品厚までの残りの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS436)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上圧延、××秒)、(2、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(3、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS437)、一連の仕上圧延機4での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
図18は、仕掛中圧延材が仕上ミル後面テーブル5での工程が未完了である場合の仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理手順を示すフローチャートである。図18に示すように、圧延材Sが仕掛中圧延材であって仕上ミル後面テーブル5での工程が未完了である場合に、パターン作成部103は、まず、現在時刻から仕上ミル後面テーブル5での待機工程の工程終了予定時刻までの時間を占有時間として算出するとともに、パターンIDを初期値0に設定する(ステップS501)。
パターン作成部103は、製品厚までの残りの仕上圧延機4の占有時間を算出し(ステップS502)、パターンIDを1繰り上げるとともに、工程パターンとして(工程順、工程名、占有時間)=(1、仕上ミル後面テーブルでの待機、××秒)、(2、仕上圧延、××秒)をパターンDB16に格納して(ステップS503)、一連の仕上ミル後面テーブル5での工程が未完了である仕掛中圧延材についての工程パターン作成処理を完了する。
[モード作成処理]
上記ステップS3において各圧延材Sについて複数のモードを作成する処理(モード作成処理)について、図19を参照して説明する。図19は、モード作成処理手順を示すフローチャートである。図19に示すように、最適圧延スケジュール作成部104は、パターンDB16から圧延材Sについての工程パターンを圧延材IDごとに抽出する(ステップS601)。
ここで、圧延材IDをSlabID、パターンIDをPatternID、工程順をProcNo、Jobの識別情報をJobID、Jobのモードの識別情報をModeIDと表す。また、圧延材IDがi、圧延材のもつJobの識別情報がj、Jobのもつモードの識別情報がkの場合に、圧延材iのもつJobjのモードkを示すデータとして、Slab[i][j][k]を定義する。また、Slab[i][j][k].R[]は、圧延材iのJobjのモードkで占有されるResourceと定義する。また、Slab[i][j][k].Timは、圧延材iのJobjのモードkで占有されるResourceの占有時間と定義する。
最適圧延スケジュール作成部104は、取り出した工程パターンのデータを、パターンID(PatternID)を第1優先キー、工程順(ProcNo)を第2優先キーとして昇順にソートする(ステップS602)。また、最適圧延スケジュール作成部104は、初期値として、PatternID=1、ProcNo=1、JobID=1、ModeID=1を設定する(ステップS603)。
次に、最適圧延スケジュール作成部104は、パターンIDが当該PatternIDの工程パターンについて、工程順(ProcNo)を参照する(ステップS610)。
工程名=粗圧延では(ステップS611,Yes)、粗圧延に関する制約条件を満たしている場合には(ステップS612,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(1)を設定し(ステップS613)、JobIDを1繰り上げるとともに(ステップS614)、当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照していない場合には(ステップS615,No)、ProcNoを1繰り上げて(ステップS616)、ステップS611の処理に戻る。なお、粗圧延に関する制約条件を満たしていない場合には(ステップS612,No)、最適圧延スケジュール作成部104は、後述するステップS619に処理を進める。
工程名=冷却では(ステップS611,No、かつ、ステップS621,Yes)、冷却に関する制約条件を満たしている場合には(ステップS622,Yes)、2台の冷却装置(31,32)の間に圧延材Sを2本待機可能であれば(ステップS623,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(2)を設定し(ステップS624)、JobIDを1繰り上げるとともに(ステップS614)、当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照していない場合には(ステップS615,No)、ProcNoを1繰り上げて(ステップS616)、ステップS611の処理に戻る。
ステップS623の処理にて2本待機可能でなければ(ステップS623,No)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(3)を設定する(ステップS625)。なお、式(3)において、CLRNとは2台の冷却装置とも確保するという意味である。そして、JobIDを1繰り上げるとともに(ステップS614)、当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照していない場合には(ステップS615,No)、ProcNoを1繰り上げて(ステップS616)、ステップS611の処理に戻る。なお、冷却に関する制約条件を満たしていない場合には(ステップS622,No)、最適圧延スケジュール作成部104は、後述するステップS619に処理を進める。
工程名=仕上圧延では(ステップS621,No、かつ、ステップS631,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(4)を設定し(ステップS632)、JobIDを1繰り上げるとともに(ステップS614)、当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照していない場合には(ステップS615,No)、ProcNoを1繰り上げて(ステップS616)、ステップS611の処理に戻る。
工程名=待機では(ステップS631,No、かつ、ステップS641,Yes)、仕上ミル後面テーブル5での待機に関する制約条件を満たしている場合には(ステップS642,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(5)を設定し(ステップS643)、JobIDを1繰り上げるとともに(ステップS614)、当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照していない場合には(ステップS615,No)、ProcNoを1繰り上げて(ステップS616)、ステップS611の処理に戻る。なお、待機に関する制約条件を満たしていない場合には(ステップS642,No)、最適圧延スケジュール作成部104は、後述するステップS619に処理を進める。また、ステップS641の処理にて工程名=待機ではない場合には(ステップS641,No)、最適圧延スケジュール作成部104は、エラー表示を出力して(ステップS644)、後述するステップS619の処理に進める。
ステップS615の処理にて当該PatternIDについて、全てのProcNoについて参照した場合には(ステップS615,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、次式(6)を設定する(ステップS617)。ここで、Jobの残りがある場合、残りのJobにはTim=0のDMYを割り付けるモードを定義する。そして、ModeIDを1繰り上げるとともに(ステップS618)、全てのPatternIDについて参照していない場合には(ステップS619,No)、PatternIDを1繰り上げ、ProcNo=1、JobID=1を設定し(ステップS620)、ステップS610の処理に戻る。
ステップS619の処理にて、全てのPatternIDについて参照した場合は(ステップS619,Yes)、最適圧延スケジュール作成部104は、一連のモード作成処理を完了する。
[制約条件]
上記ステップS4の処理で適用される制約条件について説明する。
[Jobの先行制約]
全ての圧延材の全Jobについて、以下の式(7)で与えられる制約条件が成立することが必要である。ここで、Slab[i][j][].StartTimeは、圧延材(圧延材ID=i)のJob(JobID=j)の開始時刻を示し、Slab[i][j][].EndTimeは、圧延材(圧延材ID=i)のJob(JobID=j)の終了時刻を示す。ここで、Jobの先行制約は、選択されるモードには依存しないため、式(7)にモードkについて記載がないが、任意のモードに対して式(7)の関係が成立することを要求するものである。
[圧延材の先行制約]
加熱炉1から抽出された順序は変更できないことから、全圧延材の最初のJob(JobID=1)について、以下の式(8)で与えられる制約条件が成立することが必要である。
[モードの選択条件制約]
同一圧延材で選ばれるモードの識別情報(ModeID)は、異なるJobについても同一であり、同一圧延材で同一モードは同一の通過工程であることから、次式(9)で与えられる制約条件が成立することが必要である。ここで、式(9)の配列(Slab[i][][k])内にJobの記載がないが、これは選択されるJobに依存しないことを示す。
[目的関数]
上記ステップS4の処理でモードの組み合わせを最適化する際の目的関数について説明する。最適圧延スケジュール作成部104は、以下の式(10)で与えられる総圧延時間を目的関数として設定し、この目的関数(総圧延時間)が最短となるモードの組み合わせを最適解として選定する。ここで、first_slabは順序が最初の圧延材の圧延材ID、first_modeは最初の圧延材の1番目のJobで選ばれたモードのモードID、last_slabは順序が最終の圧延材の圧延材ID、last_jobはlast_slabの最終JobのJobID、last_modeはlast_jobにおいて選ばれたモードのモードIDとする。この場合、Slab[last_slab][last_job][last_mode].EndTimeは、順序が最終の圧延材の最終Jobの終了時刻を示し、Slab[first_slab][1][first_mode].StartTimeは、順序が最初の圧延材の1番目のJobの開始時刻を示す。
また、ステップS3の処理において、圧延材Sの品質評価を加味した最適解を選定することも出来る。その場合には、評価値としてSlab[i][][k].ModeValueを用意し、図19のS619の手前で、例えば、実操業などから得られた品質上望ましい粗圧延終了時の板厚、板温度等を、入力部101を介してパラメータDB15に格納しておき、これらを含むモードに対しては0以下の数値を与え、それ以外のモードに対しては0より大きな値を定義するステップを加え、評価値を上記目的関数に加味する。例えば、以下の式(11)で与えられるように、上記式(10)に各モードの所定の重み係数を掛け合わせて各モードの組み合わせの目的関数を算出し、この目的関数が最小となるモードの組み合わせを最適解として選定する。この重み係数は、入力部101を介してパラメータDB15に予め格納しておけばよい。ここで、W(0<=W<=1)は、それぞれの評価値に掛け合わされる重み係数を示す。
以上のように選定されたモードの組み合わせに基づいて、ミルペーシング装置100は、圧延材Sの通過工程の各工程の占有時間を決定することにより、通過工程スケジュールを作成する。
以上のように定式化することにより、温度調整を考慮した通過工程スケジュールは、マルチモード・RCPSP問題として、IBM ILOG Scheduler、数理システム社製Nuopt、LogOpt社製OptSeq等の市販の汎用のRCPSPソルバを活用して解くことができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である圧延スケジュール作成処理によれば、パターン作成部103が、圧延材Sごとに通過工程の各工程と当該工程の設備の占有時間とを組み合わせた工程パターンを複数作成し、最適圧延スケジュール作成部104が、圧延材ごとに通過工程の各工程ごとに1つずつ選択した工程パターンを組み合わせてモードを作成し、製品品質上の制約条件と設備の制約条件とに基づいて、総圧延時間が最短となるモードの組み合わせを選定することにより、スラブ抽出時刻を決定し、圧延ラインの温度調整を考慮しつつ粗圧延機2や仕上圧延機4での圧延スケジュール(通過工程スケジュール)を作成する。これにより、熱間圧延により製造される厚鋼板の圧延能率の向上と製品品質条件の充足とを両立させて製造能率を向上させることができる。
なお、上記実施例において、最適化とは、総圧延時間が最短となることとしているが、製品品質上の制約条件と設備の制約条件とに基づいて、所定範囲で選択することとしてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。