以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基及びそれに対応するメタクリロイルオキシ基を意味する。
また、本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC−8020
検出器:東ソー株式会社製 RI−8020
カラム:日立化成工業株式会社製 Gelpack GL−A−160−S+GL−A150
試料濃度:120mg/3ml
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μl
圧力:2.94×106Pa(30kgf/cm2)
流量:1.00ml/min
本実施形態に係る回路接続用接着剤は、(a)熱可塑性樹脂、(b)ラジカル重合性化合物、(c)ラジカル重合開始剤、及び(d)無機フィラーを含有する。
((a):熱可塑性樹脂)
(a)熱可塑性樹脂は、融点又はガラス転移温度以上の温度で加熱すると、粘度の高い液状状態になって外力により自由に変形し、冷却し外力を取り除くとその形状を保ったままで硬くなり、この過程を繰り返し行える性質を持つ樹脂(高分子)をいう。また、(a)熱可塑性樹脂は、上記の性質を有する反応性官能基を有する樹脂(高分子)であってもよい。(a)熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30℃以上190℃以下が好ましく、−25℃以上170℃以下がより好ましく、−20℃以上150℃以下が更に好ましい。
(a)熱可塑性樹脂は、例えば、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂(例えばポリビニルブチラール樹脂)、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂、並びに、酢酸ビニルを構造単位として有する共重合体(酢酸ビニル共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことができる。これらの中でも、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含むことがより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、これら(a)熱可塑性樹脂中にはシロキサン結合及びフッ素置換基が含まれていてもよい。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶する状態、又は、ミクロ相分離が生じて白濁する状態であることが好ましい。
回路接続用接着剤をフィルム状にして利用する場合、(a)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が大きいほど、良好なフィルム形成性が容易に得られ、また、フィルム状回路接続用接着剤としての流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。(a)熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、5000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。(a)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が5000以上であると、接着剤組成物の流動性を維持しつつ、フィルム形成性が更に向上する傾向がある。(a)熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、150000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、80000以下が更に好ましい。(a)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が150000以下であると、他の成分との相溶性を維持しつつ、フィルム形成性が更に向上する傾向がある。
回路接続用接着剤における(a)熱可塑性樹脂の含有量は、接着剤成分(回路接続用接着剤における導電性粒子を除く成分)の全質量を基準として、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。(a)熱可塑性樹脂の含有量が5質量%以上であると、回路接続用接着剤をフィルム状にして利用する場合に特に、フィルム形成性が更に向上する傾向がある。(a)熱可塑性樹脂の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。(a)熱可塑性樹脂の含有量が80質量%以下であると、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、フィルム形成性が更に向上する傾向がある。
((b)ラジカル重合性化合物)
(b)ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合開始剤の作用でラジカル重合を生じる化合物をいうが、光、熱等の活性化エネルギーを付与することでそれ自体ラジカルを生じる化合物であってもよい。(b)ラジカル重合性化合物としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、マレイミド基等の、活性ラジカルによって重合する官能基を有する化合物を好適に使用可能である。
(b)ラジカル重合性化合物としては、具体的には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンアクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンアクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基にエチレングリコール及びプロピレングリコールを付加させた化合物に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入した化合物、下記一般式(A)又は一般式(B)で示される化合物などが挙げられる。
[式(A)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、a及びbはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。]
[式(B)中、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、c及びdはそれぞれ独立に0〜8の整数を示す。]
また、(b)ラジカル重合性化合物としては、単独で30℃に静置した場合にワックス状、ろう状、結晶状、ガラス状、粉状等の流動性が無く固体状態を示すものであっても、特に制限することなく使用することができる。このような(b)ラジカル重合性化合物としては、具体的には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、N−フェニルマレイミド、N−(o−メチルフェニル)マレイミド、N−(m−メチルフェニル)マレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−(o−メトキシフェニル)マレイミド、N−(m−メトキシフェニル)マレイミド、N−(p−メトキシフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N−メタクリロキシマレイミド、N−アクリロキシマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、N−メタクリロイルオキシコハク酸イミド、N−アクリロイルオキシコハク酸イミド、2−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−ポリスチリルエチルメタクリレート、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、テトラメチルピペリジルメタクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、オクタデシルアクリレート、N−t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−(ヒドロシキメチル)アクリルアミド、下記一般式(C)〜(L)で示される化合物等が挙げられる。
[式(C)中、eは1〜10の整数を示す。]
[式(E)中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、fは15〜30の整数を示す。]
[式(F)中、R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、gは15〜30の整数を示す。]
[式(G)中、R9は水素原子又はメチル基を示す。]
[式(H)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、hは1〜10の整数を示す。]
[式(I)中、R11は水素原子、又は下記一般式(i)若しくは(ii)で表される有機基を示し、iは1〜10の整数を示す。ただし、複数存在するR11のうち少なくとも一つは下記一般式(i)又は(ii)で表される有機基である。]
[式(J)中、R12は水素原子、又は下記一般式(iii)若しくは(iv)で表される有機基を示し、jは1〜10の整数を示す。ただし、複数存在するR12のうち少なくとも一つは下記一般式(iii)又は(iv)で表される有機基である。]
[式(K)中、R13は水素原子又はメチル基を示す。]
[式(L)中、R14は水素原子又はメチル基を示す。]
また、(b)ラジカル重合性化合物として、ウレタンアクリレートを用いることができる。ウレタンアクリレートは、単独で使用してもよく、ウレタンアクリレート以外の(b)ラジカル重合性化合物と併用してもよい。ウレタンアクリレートを、単独で使用、又は、ウレタンアクリレート以外の(b)ラジカル重合性化合物と併用することで、可とう性が向上し、接着強度を更に向上させることができる。
ウレタンアクリレートとしては、特に制限はないが、下記一般式(M)で表されるウレタンアクリレートが好ましい。ここで、下記一般式(M)で表されるウレタンアクリレートは、脂肪族系ジイソシアネート又は脂環式系ジイソシアネートと、脂肪族エステル系ジオール及び脂環式エステル系ジオール並びに脂肪族カーボネート系ジオール及び脂環式カーボネート系ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種との縮合反応により得ることができる。
[式(M)中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R17はエチレン基又はプロピレン基を示し、R18は飽和脂肪族基又は飽和脂環式基を示し、R19は、エステル基を含有する飽和脂肪族基又は飽和脂環式基、若しくは、カーボネート基を含有する飽和脂肪族基又は飽和脂環式基を示し、kは1〜40の整数を示す。なお、式(M)中、複数存在するR17同士、R18同士はそれぞれ同一でも異なってもよい。]
上記ウレタンアクリレートを構成する脂肪族系ジイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリメチルキシリレンジイソシアネート等から選択される。
また、上記ウレタンアクリレートを構成する脂肪族エステル系ジオールは、低分子ジオール類、二塩基酸又はこれらに対応する酸無水物を脱水縮合させて得られるポリエステルジオール類、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を脱水縮合させて得られるポリエステルジオール類等から選択される。
低分子ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−デカンジオール、ドデカンジオール、ピナコール、1,4−ブチンジオール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、3−メチルアジピン酸、2,2,5,5−テトラメチルアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2−エチル−2−メチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、2,4−ジメチルグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が挙げられる。
上記脂肪族エステル系ジオールは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記ウレタンアクリレートを構成する脂肪族ポリカーボネート系ジオール及び脂環式カーボネート系ジオールは、少なくとも1種類の上記ジオール類とホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネートジオール類から選択されてもよい。上記グリコール類とホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネート系ジオールは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記ウレタンアクリレートは、接着強度を更に向上させる観点から、5000以上30000未満の範囲内で重量平均分子量を自由に調整し、好適に使用することができる。上記ウレタンアクリレートの重量平均分子量が上記範囲内であれば、柔軟性と凝集力の双方を十分に得ることができ、PET、PC、PEN等の有機基材との接着強度が更に向上し、更に優れた接続信頼性を得ることができる。また、このような効果をより充分に得る観点から、上記ウレタンアクリレートの重量平均分子量は、8000以上25000未満がより好ましく、10000以上20000未満が更に好ましい。なお、この重量平均分子量が5000以上であると、接着剤組成物の流動性を維持しつつ、可とう性が更に向上する傾向があり、重量平均分子量が30000未満であると、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、可とう性が更に向上する傾向がある。
また、上記ウレタンアクリレートの含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上記含有量が5質量%以上であると、硬化後の耐熱性が更に向上する傾向がある。また、上記ウレタンアクリレートの含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。上記含有量が95質量%以下であると、回路接続用接着剤をフィルム状接着剤として使用する場合に、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、可とう性が更に向上する傾向がある。
(b)ラジカル重合性化合物は、リン酸基含有ビニル化合物(リン酸基を有するビニル化合物)と、当該リン酸基含有ビニル化合物以外のラジカル重合性化合物と、をそれぞれ1種以上含んでいてもよい。(b)ラジカル重合性化合物は、N−ビニル化合物及びN,N−ジアルキルビニル化合物からなる群より選ばれるN−ビニル系化合物と、当該N−ビニル系化合物以外のラジカル重合性化合物と、をそれぞれ1種以上含んでいてもよい。リン酸基含有ビニル化合物を他のラジカル重合性化合物と併用すると、接続端子を有する基板に対する回路接続用接着剤の接着性を更に向上させることができる。また、N−ビニル系化合物の併用により、回路接続用接着剤の橋かけ率を向上させることができる。
リン酸基含有ビニル化合物としては、リン酸基及びビニル基を有する化合物であれば特に制限はないが、下記一般式(N)〜(P)で表される化合物が好ましい。
[式(N)中、R20は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R21は水素原子又はメチル基を示し、l及びmはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。なお、式(N)中、複数存在するR20同士、R21同士、l同士及びm同士はそれぞれ同一でも異なってもよい。]
[式(O)中、R22は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、n、o及びpはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。なお、式(O)中、複数存在するR22同士、n同士、o同士及びp同士はそれぞれ同一でも異なってもよい。]
[式(P)中、R23は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、R24は水素原子又はメチル基を示し、q及びrはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。]
リン酸基含有ビニル化合物としては、具体的には、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシジエチルホスフェート、エチレンオキシド(EO)変性リン酸ジメタクリレート、リン酸変性エポキシアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、リン酸ビニル等が挙げられる。
N−ビニル系化合物としては、具体的には、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、N−ビニルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等が挙げられる。
上述したリン酸基含有ビニル化合物及びN−ビニル系化合物の含有量のそれぞれは、リン酸基含有ビニル化合物及びN−ビニル系化合物以外のラジカル重合性化合物の含有量とは独立に、接着剤成分の全質量を基準として、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。上記含有量が0.2質量%以上であると、接着強度が更に向上する傾向がある。上述したリン酸基含有ビニル化合物及びN−ビニル系化合物の含有量のそれぞれは、接着剤成分の全質量を基準として、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。上記含有量が15質量%以下であると、回路接続用接着剤の硬化後の物性低下を抑えつつ、信頼性の確保が更に容易になる傾向がある。
また、上述したリン酸基含有ビニル化合物又はN−ビニル系化合物に該当する化合物を除いた(b)ラジカル重合性化合物の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上記含有量が5質量%以上であると、硬化後の耐熱性が更に向上する傾向がある。上述したビニル系化合物に該当する化合物を除いた(b)ラジカル重合性化合物の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。上記含有量が95質量%以下であると、回路接続用接着剤をフィルム状接着剤として使用する場合に、接着剤組成物の流動性を維持しつつ、可とう性が更に向上する傾向がある。
((c)ラジカル重合開始剤)
(c)ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物、アゾ化合物等、外部からのエネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。(c)ラジカル重合開始剤としては、安定性、反応性、相溶性の観点から、1分間半減期温度が90〜175℃であり、且つ重量平均分子量が180〜1000の有機過酸化物が好ましい。1分間半減期温度がこの範囲にあることで、貯蔵安定性に更に優れ、ラジカル重合性も充分に高く、短時間で硬化できる。
有機過酸化物としては、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
アゾ化合物としては、具体的には、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、(c)ラジカル重合開始剤としては、150〜750nmの光照射によってラジカルを発生する化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、Photoinitiation,Photopolymerization,and Photocuring,J.−P. Fouassier,Hanser Publishers(1995年、p17〜p35)に記載されているα−アミノアセトフェノン誘導体及びホスフィンオキサイド誘導体といった光照射に対する感度が高い化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いる他に、上記有機過酸化物及びアゾ化合物と混合して用いてもよい。
上記(c)ラジカル重合開始剤の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。上記含有量が0.5質量%以上であると、回路接続用接着剤がより硬化しやすくなる傾向がある。上記(c)ラジカル重合開始剤の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。上記含有量が40質量%以下であると、貯蔵安定性を維持しつつ、回路接続用接着剤がより硬化しやすくなる傾向がある。
((d)無機フィラー)
(d)無機フィラーは、片状である。片状とは扁平状もしくは薄片の不定形状をいい、平面を有し、且つ該平面に直交する方向に厚みを有する形状のものを包含する。片状の一例としては、板状、皿状、鱗片状、フレーク状と呼ばれる形状を含み、平面の形状は円形、楕円形、多角形、不定形等が挙げられる。無機フィラーのSEM像の一例を図6に示す。図6(a)は窒化ホウ素からなる片状の無機フィラーのSEM像であり、図6(b)は図6(a)の拡大図である。
(d)無機フィラーの平均粒子径は、平面平均幅に関しては、0.5〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。また、平面平均長径と平面平均幅との比(平面平均長径/平面平均幅)は、1〜200が好ましく、1.2〜150がより好ましく、1.3〜120がさらに好ましい。ここで、無機フィラーの平面の幅とは、無機フィラーの平面の端部に接する二つの平行線の組合せを、無機フィラーを平面方向に挟むように選択したときに、それらの組合せのうち最短間隔になる二つの平行線間の距離であり、平面平均幅とは、個数分布による平面の幅のメジアン径(D50)で定義されるものである。一方、平面の長径とは、上記のように選択した二つの平行線の組合せのうち最長間隔になる二つの平行線間の距離であり、平面平均長径とは、個数分布による平面の長径のメジアン径(D50)で定義されるものである。なお、個数分布は、例えば、SEM像より500〜1000個程度の微粒子を抽出し、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアを用いて評価することができる。平面平均幅が0.5μm以上であると、粒子の表面積が小さくなり、接続時の流動性が更に向上する傾向がある。一方、20μm以下であると、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、回路接続用接着剤の物性が更に向上する傾向がある。平面平均長径と平面平均幅との比が1以上であると、平面の部分の面積が大きくなり、回路接続接着材の物性がさらに向上する傾向がある。一方、200以下であると、平面部分の面積が小さくなり回路接続用接着剤の流動性が向上する傾向がある。
(d)無機フィラーの平均厚みは0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.8μmがより好ましく、0.04〜0.6μmがさらに好ましい。ここでいう平均厚みとは、ランダムに選んだ5個の無機フィラーについて求めた平均値と定義する。平均厚みが0.01μm以上であると、接着性及び接続信頼性が更に向上する傾向がある。一方、1μm以下であると、対向する接続端子間の電気的な接続を維持しつつ、回路接続用接着剤の物性が更に向上する傾向がある。
(d)無機フィラーのアスペクト比(平面平均幅/平均厚み)は2〜500が好ましく、2〜400がより好ましく、2〜300が更に好ましい。アスペクト比が2以上であるとより接着剤組成物が高弾性化する傾向がある。一方、500以下であるとであると、対向する接続端子間の電気的な接続がより確実になる。
本実施形態に用いられる無機フィラーは、例えばアルミナ、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミックを用いることができ、分散性の観点から、窒化ホウ素を用いることが好ましい。なお、無機フィラーが球状の場合、表面積の増加によって、回路接続用接着剤の流動性が十分でなく、十分な接続信頼性が得られない場合がある。また、無機フィラーが繊維状の場合、回路接続用接着剤中で無秩序に充填されるため、十分な接続信頼性が得られない場合がある。
片状の窒化ホウ素の種類としては、六方晶窒化ホウ素(h−BN)があり、高い潤滑性及び耐熱性を有する。
(d)無機フィラーの含有量は、回路接続用接着剤全体に対して、0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。0.5質量%以上であると、無機フィラーによる耐熱性向上の効果を十分に発揮することができる。一方、20質量%以下であると、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、接続信頼性が更に向上する傾向にある。
本実施形態の回路接続用接着剤に含まれる無機フィラーの表面をシランカップリング剤等で処理をすることが好ましい。無機フィラーの表面をシランカップリング剤で処理することで、回路接続用接着剤の他の成分との濡れ性、密着性を向上させ、流動性及び接着強度を更に向上させることができる。無機フィラーの表面処理の有無に関しては、EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて確認することができる。
((e)導電性粒子)
(e)導電性粒子は、その全体又は表面に導電性を有する粒子であればよいが、接続端子を有する部材の接続に使用する場合は、接続端子間の距離よりも平均粒径が小さい粒子が好ましい。
(e)導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、Pd、はんだ等の金属から構成される金属粒子及びカーボン等から構成される粒子が挙げられる。また、(e)導電性粒子は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核に上記金属、金属粒子又はカーボンを被覆した粒子であってもよい。(e)導電性粒子が、プラスチックの核に上記金属、金属粒子又はカーボンを被覆したもの及び熱溶融金属粒子は、加熱加圧により変形性を有することから、接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するため好ましい。(e)導電性粒子は、例えば、銅からなる金属粒子に銀を被覆した粒子であってもよい。また、(e)導電性粒子として、特開2005−116291号公報に記載されるような、微細な金属粒子が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を用いることもできる。
また、これらの(e)導電性粒子の表面を高分子樹脂等で更に被覆した微粒子、及びハイブリダイゼーション等の方法により(e)導電性粒子の表面に絶縁性物質からなる絶縁層が設けられたものを用いることで、導電性粒子の含有量が増加した場合の粒子同士の接触による短絡が抑制されて、電極回路間の絶縁性が向上することから、適宜これを単独あるいは(e)導電性粒子と混合して用いてもよい。
(e)導電性粒子の平均粒径は、分散性及び導電性の点から、1〜18μmが好ましい。このような(e)導電性粒子を含有する場合、回路接続用接着剤を異方導電性接着剤として好適に用いることができる。
(e)導電性粒子の含有量は、特に制限は受けないが、接着剤成分の全体積を基準として、0.1体積%以上が好ましく、0.2体積%以上がより好ましい。上記含有量が0.1体積%以上であると、対向する接続端子間の導電性を確保しつつ、隣接する接続端子間の絶縁性が更に向上する傾向がある。(e)導電性粒子の含有量は、接着剤成分の全体積を基準として、30体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましい。上記含有量が30体積%以下であると、回路の短絡がより生じにくくなる傾向がある。なお、「体積%」は23℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定されるが、各成分の体積は、比重を利用して質量から体積に換算することができる。また、メスシリンダー等にその成分を溶解したり膨潤させたりせず、その成分をよく濡らす適当な溶媒(水、アルコール等)を入れたものに、その成分を投入し増加した体積をその成分の体積として求めることもできる。
(その他の成分)
本実施形態に係る回路接続用接着剤には、硬化速度の制御及び貯蔵安定性を更に向上させるために、安定化剤を添加することできる。このような安定化剤としては、特に制限なく公知の化合物を使用することができるが、ベンゾキノン、ハイドロキノン等のキノン誘導体;4−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール等のフェノール誘導体;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のアミノキシル誘導体;テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体などが好ましい。安定化剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
安定化剤の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。上記含有量が0.005質量%以上であると、硬化速度をより制御しやすくなると共に貯蔵安定性が更に向上しやすい傾向がある。安定化剤の含有量は、接着剤成分接着剤成分の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。上記含有量が10質量%以下であると、硬化性を損なわずに、更に貯蔵安定性が向上する傾向がある。
また、本実施形態に係る回路接続用接着剤には、アルコキシシラン誘導体及びシラザン誘導体に代表されるカップリング剤、密着向上剤、レベリング剤等の接着助剤を適宜添加してもよい。カップリング剤としては、具体的には、下記一般式(Q)で表される化合物が好ましい。カップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
[式(Q)中、R25、R26及びR27はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基又はアリール基を示し、R28は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアナート基、イミダゾール基、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、ウレイド基又はグリシジル基を示し、sは1〜10の整数を示す。]
本実施形態に係る回路接続用接着剤は、応力緩和及び接着性向上を目的に、ゴム成分を含有してもよい。ゴム成分とは、そのままの状態でゴム弾性(JIS K6200)を示す成分又は反応によりゴム弾性を示す成分をいう。ゴム成分は、室温(25℃)で固形でも液状でもよいが、流動性向上の観点から液状であることが好ましい。ゴム成分としては、ポリブタジエン骨格を有する化合物が好ましい。ゴム成分は、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基を有していてもよい。また、接着性向上の観点から、高極性基であるシアノ基及びカルボキシル基のうち少なくもいずれかを側鎖又は末端に含むゴム成分が好ましい。なお、ポリブタジエン骨格を有していても、熱可塑性を示す場合は(a)熱可塑性樹脂に分類し、ラジカル重合性を示す場合は(b)ラジカル重合性化合物に分類する。
ゴム成分としては、具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマー末端に含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール等が挙げられる。ゴム成分の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、3〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
また、上記高極性基を有し、室温で液状であるゴム成分としては、具体的には、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマー末端に含有する液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。高極性基を有し、室温で液状であるゴム成分の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、3〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
これらのゴム成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本実施形態に係る回路接続用接着剤には、応力緩和及び接着性向上を目的に、有機微粒子を添加してもよい。有機微粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmが好ましい。なお、有機微粒子が上述のゴム成分からなる場合は、有機微粒子ではなくゴム成分に分類し、有機微粒子が上述の(a)熱可塑性樹脂からなる場合は、有機微粒子ではなく(a)熱可塑性樹脂に分類する。
有機微粒子としては、具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマー末端に含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール(メタ)アクリル酸アルキル−ブタジエン−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル−シリコーン共重合体又はシリコーン−(メタ)アクリル共重合体、若しくは、これらの複合体からなる有機微粒子等が挙げられる。
また、後述する基板がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する基材から構成されている接続構造体を製造するための回路接続用接着剤としては、シリコーン微粒子を含有していてもよい。
基板がポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する基材から構成されている接続構造体を製造するための回路接続用接着剤がシリコーン微粒子を含有することで、内部応力を十分に緩和することができるため、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリエチレンナフタレートに対する接着強度が更に向上し、接続端子を有する部材への接着強度を更に向上させることができる。また、長時間の信頼性試験後にも更に安定した性能を維持することができる。
上記シリコーン微粒子としては、ゴム弾性を有するポリオルガノシルセスキオキサン樹脂の微粒子が知られており、球状又は不定形のシリコーン微粒子が用いられる。また、分散性及び内部応力の緩和の観点から、シリコーン微粒子が100万以上の重量平均分子量を有することが好ましい。また、シリコーン微粒子は、三次元架橋構造を有することが好ましい。このようなシリコーン微粒子は、樹脂に対する分散性が高く、硬化後の応力緩和性に一層優れる。100万以上の重量平均分子量を有する及び/又は三次元架橋構造を有するシリコーン微粒子は、いずれも熱可塑性樹脂等のポリマー、モノマー、溶媒への溶解性が低いため、上述の効果を一層顕著に得ることができる。ここで「三次元架橋構造を有する」とは、ポリマー鎖が三次元網目構造を有していることを示す。また、シリコーン微粒子のガラス転移温度は、−130℃以上−20℃以下が好ましく、−120℃以上−40℃以下がより好ましい。このようなシリコーン微粒子は、回路接続材料としての回路接続用接着剤の内部応力を十分に緩和することができる。
このような構造を有するシリコーン微粒子としては、具体的には、ビニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンと、白金系触媒との反応によって得られるシリコーン微粒子(例えば、特開昭62−257939号公報);アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン及び白金系触媒を用いて得られるシリコーン微粒子(例えば、特開昭63−77942号公報);ジオルガノシロキサン、モノオルガノシルセスキオキサン、トリオルガノシロキシ及び白金系触媒を用いて得られるシリコーン微粒子(例えば、特開昭62−270660号公報);メチルシラントリオール及び/又はその部分縮合物の水/アルコール溶液をアルカリ水溶液に滴下し重縮合反応を行わせて得られるシリコーン微粒子(例えば、特許第3970453号公報)等を用いることができる。また、分散性及び基材との密着性を向上させるために、エポキシ化合物を添加又は共重合させたシリコーン微粒子(例えば、特開平3−167228号公報)、アクリル酸エステル化合物を添加又は共重合させたシリコーン微粒子等も用いることもできる。
また、分散性を更に向上させるためには、コアシェル型の構造を有するシリコーン微粒子を用いることが好ましい。コアシェル型の構造としては、核材(コア層)表面のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する表面層(シェル層)を形成した構造、及び核材(コア層)の外部にグラフト層(シェル層)を有する構造があり、コア層とシェル層で組成が異なるシリコーン微粒子を用いることができる。具体的には、シリコーンゴム球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質又はアルカリ性水溶液とオルガノトリアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合反応したコアシェル型シリコーン微粒子(例えば、特許第2832143号公報)、国際公開2009/051067号に記載されるようなコアシェル型シリコーン微粒子を用いることもできる。また、分子末端若しくは分子内側鎖に水酸基、エポキシ基、ケチミン、カルボキシル基、メルカプト基等の官能基を含有したシリコーン微粒子を用いることができる。このようなシリコーン微粒子は、フィルム形成成分及びラジカル重合性物質への分散性が向上するため好ましい。
前記シリコーン微粒子の平均粒径は、0.05〜25μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましい。平均粒径が0.05μm以上であると、回路接続用接着剤の流動性を維持しつつ、内部応力の緩和が更に向上する傾向がある。また、平均粒径が25μm以下であると、内部応力を緩和する効果が十分に発揮されやすくなる傾向がある。
前記シリコーン微粒子の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。シリコーン微粒子の含有量が3質量%以上であると、内部応力を緩和する効果が十分に発揮されやすくなる傾向がある。シリコーン微粒子の含有量は、接着剤成分の全質量を基準として、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。シリコーン微粒子の含有量が40質量%以下であると、回路接続用接着剤の可とう性(弾性率、伸び)が更に向上し、接着強度が更に向上する傾向がある。
これらのシリコーン微粒子は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態に係る回路接続用接着剤は、当該回路接続用接着剤が常温で液状である場合にはペースト状で使用することができる。回路接続用接着剤が室温で固体の場合には、加熱して使用する他、溶媒を使用してペースト化してもよい。使用できる溶媒としては、回路接続用接着剤及び添加剤と反応性がなく、且つ十分な溶解性を示すものが好ましく、常圧での沸点が50〜150℃であるものが好ましい。沸点が50℃以上であると、室温で放置しても揮発がより少なくなり、開放系での使用が容易となる傾向にある。また、沸点が150℃以下であると、溶媒が容易に揮発しないため、相溶性を維持しつつ、ペーストを塗布でき、接着後の信頼性が更に向上し易い傾向がある。
また、本実施形態に係る回路接続用接着剤は、フィルム状にして用いることもできる。フィルム状の接着剤は、上述の成分を含む組成物を有機溶剤に溶解あるいは分散することにより、液状化して、剥離性基材上、不織布等の基材上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより得ることができる。剥離性基材としては、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離型紙等を用いることができる。フィルムの形状で使用すると、取扱性等の点から一層便利である。
本実施形態に係る回路接続用接着剤は、加熱及び加圧を併用して接着させることができる。加熱温度は、100〜200℃の温度が好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲が好ましく、一般的には0.1〜10MPaが好ましい。これらの加熱及び加圧は、0.5〜120秒間の範囲で行うことが好ましく、120〜190℃、3MPa、10秒の加熱でも接着させることが可能である。
本実施形態に係る回路接続用接着剤は、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として使用することができる。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料、チップサイズパッケージ(Chip Size Package、CSP)用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、リードオンチップ(Lead On Chip、LOC)テープ等に代表される半導体素子接着材料として使用することができる。
(接続構造体)
次に、上述した回路接続用接着剤を用いて製造される接続構造体について説明する。図1は、第1実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。図2は、図1に示す接続構造体の製造方法を示す模式断面図である。図1に示す回路部材の接続構造体100は、(e)導電性粒子を含有しない回路接続用接着剤を用いて製造される。
図1に示す回路部材の接続構造体100は、回路部材(第一の回路部材)10と、回路部材(第二の回路部材)20と、接続部材30とを備える。回路部材10は、回路基板(第一の基板)12と、回路基板12の主面12a上に配置された接続端子(第一の接続端子)14と、を有している。回路部材20は、回路基板(第二の基板)22と、回路基板22の主面22a上に配置された接続端子(第二の接続端子)24と、を有している。
接続部材30は、回路部材10及び回路部材20の間に配置されている。接続部材30は、主面12a及び主面22aが互いに略平行に対向するように、回路部材10及び回路部材20を接続している。接続構造体100において接続端子14と接続端子24とは、対向配置されていると共に、互いに接することにより電気的に接続されている。接続部材30は、後述する回路接続用接着剤30aの硬化物からなる。
接続構造体100は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、図2に示すように、回路部材10と、回路部材20と、回路接続用接着剤30aと、を用意する。回路接続用接着剤30aは、例えば、上述の回路接続用接着剤がフィルム状に形成されてなる。次に、回路部材20における接続端子24が形成されている主面22a上に回路接続用接着剤30aを載せる。そして、接続端子14が接続端子24と対向するように回路接続用接着剤30aの上に回路部材10を載せる。続いて、回路部材10及び回路部材20を介して回路接続用接着剤30aを加熱しながら回路接続用接着剤30aを硬化させると共に主面12a、22aに垂直な方向に加圧し、回路部材10,20の間に接続部材30を形成する。これにより、接続構造体100が得られる。
回路接続用接着剤30aの硬化物中で、回路接続用接着剤30aに含まれる無機フィラーの平面と回路部材とが略平行になっていることが好ましく、更に、無機フィラーの長径の方向が略一致していることがより好ましい。無機フィラーの平面と回路部材とが略平行になっていることによって、耐湿信頼性試験中における回路部材の面方向に対する熱膨張による伸縮によって発生する回路部材と回路接続用接着剤間の応力を更に抑制することができる。
また、硬化物を厚み方向にみたときに、無機フィラーの濃度が濃い箇所と薄い箇所とが層状に分布していることが好ましい。特に、硬化物の厚み方向にみたときに、無機フィラーが存在する箇所と全く存在しない箇所との層構造になっていることがより好ましい。
上記回路接続用接着剤が導電性粒子を含む場合、このような回路接続用接着剤を使用して作製した異方導電フィルムを、相対峙する接続端子間に介在させて加熱加圧することで、導電性粒子を介して接続端子同士を電気的に接続しつつ回路部材同士を接着することにより、回路部材の接続構造体を得ることができる。図3は、第2実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。図4は、図3に示す接続構造体の製造方法を示す模式断面図である。図3に示す回路部材の接続構造体200は、(e)導電性粒子を含有する回路接続用接着剤を用いて製造される。
図3に示す回路部材の接続構造体200は、接続構造体100と同様に回路部材10及び回路部材20と、接続部材40とを備える。接続構造体200において接続端子14と接続端子24とは、互いに離隔した状態で対向配置されている。
接続部材40は、回路部材10及び回路部材20の間に配置されている。接続部材40は、後述する回路接続用接着剤40aの硬化物からなり、接着剤成分42と、接着剤成分42中に分散した導電性粒子44とを有している。接着剤成分42は、後述する接着剤成分42aの硬化物からなる。接続構造体200では、対向する接続端子14と接続端子24との間において導電性粒子44が接続端子14,24に接することにより、導電性粒子44を介して接続端子14,24が互いに電気的に接続されている。
接続構造体200は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、図4に示すように、回路部材10と、回路部材20と、上記回路接続用接着剤からなる回路接続用接着剤40aとを用意する。回路接続用接着剤40aは、例えば、上記回路接続用接着剤がフィルム状に形成されてなる。回路接続用接着剤40aは、接着剤成分42aと、接着剤成分42a中に分散した導電性粒子44とを有している。その後、上記の回路部材の接続構造体100を得る方法と同様の方法により回路接続用接着剤40aを介して回路部材10及び回路部材20を接続する。これにより、接続構造体200が得られる。
上記回路部材の接続構造体100,200における回路基板12及び回路基板22の少なくとも一方は、ガラス転移温度が200℃以下の熱可塑性樹脂を含有する基材から構成されていてもよい。例えば、回路基板12及び回路基板22の少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む有機基材から構成されていてもよい。これにより、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート等の有機基材を用いる場合において、回路基板における回路接続用接着剤との濡れ性が向上することにより、低温の硬化条件においても優れた接着強度を得ることができる。そのため、長時間の信頼性試験(高温高湿試験)後においても安定した性能(接着強度及び接続抵抗)を維持することが可能であり、優れた接続信頼性を得ることができる。
また、回路基板12及び回路基板22のうちの一方の回路基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する基材から構成される場合に、回路基板12及び回路基板22のうちの他方の回路基板が、ポリイミド及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する基材から構成されていてもよい。これにより、回路基板における回路接続用接着剤との濡れ性及び接着強度が更に向上し、更に優れた接続信頼性を得ることができる。
なお、回路基板12,22は、半導体、ガラス、セラミック等の無機質;ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物;ガラス/エポキシ等のこれらの複合材料を含有する基材から構成されていてもよい。また、回路基板12,22は、フレキシブル基板であってもよい。
図5は、第3実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。図5に示す太陽電池モジュール300は、太陽電池セル310a,310bと、配線部材320と、接続部材330とを備えている。
太陽電池セル310a,310bは、基板312と、基板312の表面(主面)312a上に配置された表面電極(接続端子)314と、基板312の裏面(主面)312b上に配置された裏面電極(接続端子)316とを有している。基板312は、例えば、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ガラス/エポキシ等の複合材料から構成されている。また、基板312は、フレキシブル基板であってもよい。表面312aは、受光面である。
配線部材320は、太陽電池セル310aと他の部材とを電気的に接続するための部材であり、例えば、一の太陽電池セルと他の太陽電池セルとを電気的に接続する。図5においては、配線部材320により、太陽電池セル310aの表面電極314と、太陽電池セル310bの裏面電極316とが電気的に接続されている。
接続部材330は、太陽電池セル310a及び配線部材320の間、並びに、太陽電池セル310b及び配線部材320の間にそれぞれ配置されており、太陽電池セル310a,310bと配線部材320とを接続している。接続部材330は、上記回路接続用接着剤の硬化物を含有しており、絶縁性物質を含有している。接続部材330は、導電性粒子を更に含有していてもよく、導電性粒子を含有していなくてもよい。接続部材330が導電性粒子を含有する場合、太陽電池セル310aの表面電極314と配線部材320とは、導電性粒子を介して電気的に接続され得る。また、太陽電池セル310bの裏面電極316と配線部材320もまた、導電性粒子を介して電気的に接続され得る。接続部材330が導電性粒子を含有していない場合、例えば、太陽電池セル310aの表面電極314及び太陽電池セル310bの裏面電極316は、配線部材320と接触していてもよい。
太陽電池モジュール300は、接続部材330が上記回路接続用接着剤の硬化物により構成されている。これにより、太陽電池セル310a及び配線部材320間及び太陽電池セル310b及び配線部材320間における接続部材330の接着強度は十分高く、且つ太陽電池セル310a及び配線部材320間の接続抵抗は十分小さくなっている。また、高温高湿環境下に長期間置かれた場合であっても、接着強度の低下及び接続抵抗の増大を十分に抑制することができる。さらに、接続部材330は低温短時間の加熱処理により形成され得るものである。よって、図5に示す太陽電池モジュールは、接続時に太陽電池セル310a,310bを劣化させることなく製造することができ、従来よりも高い信頼性を有することが可能である。
太陽電池モジュール300は、上述した接続構造体100,200の製造方法における回路部材10及び回路部材20に代えて太陽電池セル310a,310b及び配線部材320を用いて、上述した接続構造体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
なお、接続構造体100,200及び太陽電池モジュール300において、接続部材として用いられる上記回路接続用接着剤は、完全硬化(所定硬化条件で達成できる最高度の硬化)している必要はなく、上記特性を生じる限りにおいて部分硬化の状態であってもよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<熱可塑性樹脂>
(ポリエステルウレタンの準備)
ポリエステルウレタン樹脂(東洋紡株式会社製、UR−4800(商品名)、重量平均分子量:32000、ガラス転移温度:106℃)をメチルエチルケトンとトルエンの重量比1:1の混合溶媒に溶解して樹脂分30質量%の溶液を準備した。
(フェノキシ樹脂の準備)
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50(東都化成株式会社製)、重量平均分子量:60000、ガラス転移温度:80℃)40質量部をメチルエチルケトン60質量部に溶解して、樹脂分40質量%の溶液を準備した。
<ラジカル重合性化合物>
(ウレタンアクリレート(UA1)の合成)
攪拌機、温度計、及び塩化カルシウム乾燥管を備えた還流冷却管と、窒素ガス導入管とを備えた反応容器に、数平均分子量1000のポリ(1,6−ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製)2500質量部(2.50mol)及びジブチルスズジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部を投入した。充分に窒素ガスを導入した後、70〜75℃に加熱し、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)を3時間で均一に滴下し、反応させた。滴下完了後、約10時間反応を継続した。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53重量部を投入し、空気雰囲気下70℃で6時間反応させ、ウレタンアクリレート(UA1)を得た。得られたウレタンアクリレートの重量平均分子量は15000であった。
(リン酸基を有するビニル化合物(P−2M)の準備)
リン酸基を有するビニル化合物として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート(商品名:ライトエステルP−2M、共栄社化学株式会社製)を準備した。
(イソシアヌル酸変性2官能アクリレート(M−215)の準備)
イソシアヌル酸変性2官能アクリレート(東亞合成株式会社製、M−215(商品名)を準備した。
<無機フィラーの準備>
無機フィラーとして、鱗片状窒化ホウ素粒子(商品名:デンカボロンナイトライドHGP、電気化学工業株式会社製)、鱗片状アルミナ粒子(商品名:セラフ02025、キンセイマテック株式会社製)、シリカ粒子(商品名:アエロジルR805、日本アエロジル社製)を準備した。
デンカボロンナイトライドHGP(以下、「HGP」と略す)は、平面平均幅が5μmであり、平均厚みが0.5μmであり、アスペクト比が10であった。セラフ02025(以下、「02025」と略す)は、平面平均幅が2μmであり、平均厚みが0.08μmであり、アスペクト比が25であった。
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤として、ジベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBW、日油株式会社製)を準備した。
<導電性粒子>
(導電性粒子の作製)
ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚み0.2μmのニッケル層を設けた後、このニッケル層の外側に厚み0.02μmの金層を設けて、平均粒径10μm、比重2.5の導電性粒子を作製した。
[実施例1〜10及び比較例1〜5]
(回路接続用接着剤の作製)
固形質量比で表1に示すように熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤、及び、無機フィラーを配合し、さらに、接着剤成分(回路接続用接着剤における導電性粒子を除いた成分)の全体積を基準として導電性粒子を1.5体積%配合し、分散させて、回路接続用接着剤を得た。得られた回路接続用接着剤を、塗工装置を用いて厚み80μmのフッ素樹脂フィルム上に塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが16μmのフィルム状回路接続用接着剤を得た。
(接続抵抗、接着強度の測定)
実施例1〜10及び比較例1〜5の回路接続用接着剤を、ポリイミドフィルム上にライン幅25μm、ピッチ50μm、厚み8μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)と、0.2μmのITOの薄層を形成した厚み1.1mmのガラス(ITO、表面抵抗20Ω/□)との間に介在させた。これを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング社製)を用いて、160℃、3MPaで10秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続し、接続構造体Aを作製した。この接続構造体Aの隣接回路間の抵抗値を、接続直後と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に240時間保持した後(高温高湿試験後)とにおいて、マルチメータを用いて測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗37点の平均で示した。
また、接続直後と高温高湿試験後とにおいて、接続構造体Aの接着強度をJIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定した。ここで、接着強度の測定装置としては、東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。
実施例1〜10及び比較例1〜5の回路接続用接着剤を、ポリイミドフィルム(Tg350℃)上にライン幅150μm、ピッチ300μm、厚み8μmの銅回路を80本有するフレキシブル回路板(FPC)と、厚み5μmのAgペーストの薄層を形成した厚み0.1μmのPET基板(Ag)との間に介在させた。これを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング社製)を用いて、140℃、2MPaで20秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続し、接続構造体Bを作製した。FPCと、Agペーストの薄層を形成したPET基板とで構成される接続構造体Bの隣接回路間の抵抗値を、接続直後と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に240時間保持した後(高温高湿試験後)とにおいて、マルチメータを用いて測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗37点の平均で示した。
また、接続直後と高温高湿試験後とにおいて、接続構造体Bの接着強度を上記接続構造体Aと同様の条件で測定し、評価した。
以上のように測定した接続構造体A,Bの接続抵抗及び接着強度の測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜10の回路接続用接着剤を用いて製造されたFPC/ITOの接続構造体Aは、加熱温度160℃における接続直後と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に240時間保持した後(高温高湿試験後)とで、約3.8Ω以下の良好な接続抵抗、及び、610N/m以上の良好な接着強度を示した。また、FPC/PETの接続構造体Bにおいても、加熱温度140℃における接続直後と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に240時間保持した後(高温高湿試験後)とで、約1.9Ω以下の良好な接続抵抗、及び、600N/m以上の良好な接着強度を示した。実施例1〜10で得られる回路接続用接着剤が、接着性及び接続信頼性に優れることが確認された。
これに対して、比較例1〜5の回路接続用接着剤を用いて製造された接続構造体では、接着力が低い(比較例1〜3)、あるいは接続後、及び高温高湿槽中に240時間保持した後(高温高湿試験後)の接続抵抗が増加する(比較例4、5)ことが確認された。