JP6025015B2 - 磁性シート、伝送コイル部品及び非接触充電装置 - Google Patents

磁性シート、伝送コイル部品及び非接触充電装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気シールド、磁気ヨーク等として機能する磁性シートに関する。さらにそれを用いた伝送コイル部品や非接触充電装置に関する。
近年、小型の電子機器、情報通信機器の高性能化、高機能化が進められており、特に、携帯電話、Web端末、ミュージックプレイヤー等は携帯機器としての利便性のため、長時間の連続使用が可能であることが求められている。これら小型情報通信機器では電源としてリチウムイオン電池などの二次電池が使用されている。この二次電池の充電方法には受電側の電極と給電側の電極とを直接接触させて充電を行う接触充電方式と、給電側と受電側の両方に伝送コイルを設け、電磁誘導を利用した電力伝送によって充電する非接触充電方式とがある。非接触充電方式は給電装置と受電装置を直接接触させるための電極が必要ないため、同じ給電装置を用いて異なる受電装置に充電することも可能である。
非接触充電方式において、一次伝送コイルに発生した磁束は給電装置と受電装置の筐体を介して二次伝送コイルに起電力を発生させることで給電が行われる。したがって非接触充電方式において高い電力伝送効率を得るためには、一次コイル及び二次コイルの中心軸を一致させる必要がある。
一方、高い電力伝送効率を得るためには、伝送コイルに対して、給電装置と受電装置の接触面とは反対側に磁性シートなどのコイルヨークが設置される。かかるコイルヨークには以下のような役割がある。第一の役割は、磁気シールド材としての役割である。非接触充電装置の充電作業中に発生した漏れ磁束が二次電池を構成する金属部材などの他の部品に流れると、これらの部品が渦電流によって発熱する。コイルヨークは、磁気シールド材としてこの発熱を抑制できる。コイルヨークの第二の役割は、充電中にコイルで発生した磁束を還流させるヨーク部材として作用することである。
電力伝送効率の低下を抑制しつつ、簡単な構造の非接触充電装置の提供を目的とし、磁気吸着手段を伝送コイルの内側に配置して一次コイル及び二次コイルの中心軸を一致させる構成が特許文献1に開示されている。特許文献1では、例えばドーナツ板状のコイルヨークの中央穴に、磁気吸着部材を同心円状に配置することにより、コイルヨークの磁気飽和を抑制し、電力伝送効率の低下を抑制している。
WO2011/096569公報
特許文献1に記載された構成によれば、簡単な構成でありながら、電力伝送効率の低下を抑制しつつ、給電装置と受電装置の確実な位置決めが可能である。しかしながら、コイルヨークの磁気飽和を抑制するというアプローチによる電力伝送効率の改善にはおのずと限界がある一方、特許文献1は、電力伝送効率に対する主要なファクターである渦電流損失を低減する具体的な手段を提供するものではなかった。
これらの点に鑑み、本発明は、非接触充電装置の電力伝送効率の改善に寄与しうる磁性シートおよび伝送コイル部品を提供することを目的とする。
本発明の磁性シートは、非接触充電装置の給電装置または受電装置において、コイルに対向するように配置して用いられる磁性シートであって、外形が略矩形であり、少なくとも四隅に磁性シートの中心側に向かう角部をもって凹んだ矩形又は楔形の切り欠き部を有し、前記磁性シートの中心と前記切り欠き部との最短距離d1と、前記磁性シートの中心と最近接辺との距離d2との比d1/d2が0.5〜1.1であることを特徴とする。かかる構成は、渦電流損失の抑制、電力伝送効率の向上に寄与しうる。
また、前記磁性シートにおいて、前記切り欠き部が矩形状であり、前記磁性シートの中心と前記切り欠き部との最短距離d1が、前記中心と前記中心からの最近接辺との距離d2よりも小さいことが好ましい。かかる構成によれば、渦電流損失の抑制等の効果をいっそう高めることができる。
また、本発明の伝送コイル部品は、平面状コイルと、前記平面状コイルと対向するように配置された磁性シートとを備える、非接触充電装置の給電装置または受電装置用の伝送コイル部品であって、前記磁性シートとして上述の本発明に係る磁性シートを用いる。
さらに、前記伝送コイル部品において、前記磁性シートは、前記平面状コイルの巻回軸上の位置に開口部を有することが好ましい。かかる構成によれば、前記開口部に磁気吸着部材を配置することができ、非接触充電装置の給電装置または受電装置用の伝送コイル部品の小型化が可能となる。
さらに、前記伝送コイル部品において、前記磁性シートは、前記平面状コイルの巻回軸上の位置に、環状の開口部に囲まれた部分を有することが好ましい。かかる構成によれば、環状の開口部に囲まれた部分を、永久磁石に対向配置される磁気吸着部材として機能させることができる。しかも環状の開口部があるため、前記部分以外の磁性シート部分の磁気飽和が抑制される。
本発明の非接触充電装置は、互いに対置させて用いる給電装置および受電装置を有する非接触充電装置であって、前記受電装置が上記伝送コイル部品を備えることを特徴とする。
さらに、前記非接触充電装置において、前記給電装置は給電用の平面状コイルを備え、前記磁性シートの二組の対辺の間隔が、いずれも前記給電用の平面状コイルの寸法よりも大きく、前記給電装置および受電装置を対置させたとき、前記切り欠き部の一部が前記給電用の平面状コイルと重なることが好ましい。かかる構成によれば、磁性シートが磁気シールドおよび磁気ヨークとして有効に機能しつつ、渦電流損失も抑制された非接触充電装置を構成することができる。
本発明によれば、電力伝送効率の向上に好適な磁性シート、伝送コイル部品および非接触充電装置を提供することができる。
給電装置と受電装置を備えた非接触充電装置を示す図である。 本発明に係る磁性シートの実施形態を示す図である。 本発明に係る磁性シートの他の実施形態を示す図である。 本発明に係る磁性シートの他の実施形態を示す図である。 本発明に係るコイル部品の実施形態を示す図である。 本発明に係る磁性シートの他の実施形態を示す図である。
以下、本発明に係る磁性シート、伝送コイル部品および非接触充電装置の実施形態を、図を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各実施形態において説明する構成は、他の実施形態の趣旨を損なわない限りにおいて他の実施形態においても適用することが可能であり、その場合、重複する説明は適宜省略する。
図1は二つの伝送コイル部品を対向させて前記伝送コイル部品間で電力伝送を行う非接触充電装置を示す断面図である。各伝送コイル部品は、平面状コイルと、前記平面状コイルと対向するように配置された磁性シートとを備える。伝送コイル部品の一方が受電装置であり、他方が給電装置である。非接触充電装置の具体例は、例えば携帯通信端末とその充電器である。給電装置および/または受電装置に本発明に係る伝送コイル部品を適用する。受電装置には携帯端末など、受電機能を備えた電子機器本体の他、バッテリーユニット単体も含まれる。
交流電源10に接続される給電装置12は回路部11を有する。回路部11は、交流電流を整流する整流回路、整流された直流電流を所定の周波数の高周波電流に変換するスイッチング回路を備える。給電装置12は、平面状コイル7と、平面状コイル7の内側に配置された磁気吸着部材8とを有する。回路部11から出力された高周波電流は一次伝送コイルである平面状コイル7に流れる。平面状コイル7は共振用コンデンサ(図示せず)に接続され、スイッチング回路によって変換される所定周波数と同じ周波数で共振する。給電装置12にはスイッチング回路の動作を制御するための制御回路を設けても良い。
受電装置5は、二次伝送コイルである平面状コイル2と、コイルヨークとして前記平面状コイル2の後面側に配置された磁性シート1とを備える。なお、一次伝送コイルと対向する側を前面側、逆側を後面側と称することとする。二次伝送コイルである平面状コイル2に加えて共振用コンデンサを配置することで共振回路を構成できる。平面状コイル2には、整流回路(図示せず)を介して二次電池4が接続されており、電磁誘導によって平面状コイル2に誘起された誘導電流は整流回路で整流され、二次電池4が充電される。
給電装置12および受電装置5は、例えば樹脂等の非磁性の筐体に収容される。かかる筐体はそれぞれ平坦面を有し、該平坦面同士を対向させて充電を行う。給電装置と受電装置とは、上述の磁気吸着部材8を用いて互いに位置決め、固定される。例えば磁気吸着部材8は、磁石または該磁石からの磁束を誘導する磁気ヨークである。受電装置側にも磁石を設けて位置決め、固定することができるが、図1に示す構成の受電装置側では、磁性シート1に磁気吸着部材としての機能を持たせている。すなわち、給電装置側の磁気吸着部材8と受電装置側の磁性シート1とが対向して配置されており、これらの間の磁気的な吸着力によって給電装置12と受電装置5とが位置決め、固定される。
上記平面状コイル2、7は、その巻回軸が前記平坦面に垂直になるように(平面状のコイルの面が前記平坦面に平行になるように)筐体の内側に配置される。平面状コイル2、7の、前記平坦面の反対側(後面側)には、それぞれ磁性シート1、6が隣接して配置される。筐体内部には、例えば樹脂基板などの基板3、9が配置される。なお、磁性シートと磁気吸着部材の構成は、受電装置と給電装置とで互いに入れ替えて構成することも可能である。ただし、受電装置の小型化の要請が強いため、磁性シートとは別個の磁気吸着部材を備える構成は受電装置側では用いないことがより好ましい。給電装置側の磁性シート6は受電側の磁性シート1と同じ材質の磁性体を用いてもよいが、別の材質のものを用いてもよい。また、受電側の基板3を省略して、磁性シート1を二次電池4に直接貼付してもよい。磁性シート1、6は、二次電池4等を設置した基板3、9と平面状コイル2、7との間において、その主面が平面状コイル2、7と重なるように、または覆うように配置される。したがって、渦巻き状に巻回された平面状コイル7によって発生した磁束が磁性シート1、6に収束して通るようになり、磁性シートが磁気ヨークまたは磁気シールドとして機能する。平面状コイル2、7の巻回軸方向に対置された磁性シート1、6の部分について、以下具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図2に、本願発明に係る磁性シートの一例として、上述の非接触充電装置の受電装置5に用いられる磁性シートを示す。図2は平面状の磁性シートを主面の法線方向から見た平面図である。図2に示す磁性シート21は外形が略矩形であり、四隅に切り欠き部22を有する。矩形には長方形と正方形を含み、略矩形とは、切り欠き部等の部分的な凹凸を除き、全体として正方形または長方形と認識できればよいという趣旨である。また、図2では、切り欠き部22を設ける前の四隅の磁性シート部分を点線で示してあり、図2に示した実施形態では、各切り欠き部は正方形であり、切り欠き部を設けていない状態での磁性シートの外形は正方形である。切り欠き部を設ける理由は以下の通りである。例えば円形の平面状コイルによって給電する場合、対置して用いる磁性シートに流れる磁束は径方向であり、該磁束の変化によって生じる渦電流の方向は周方向である。したがって、矩形の磁性シートの四隅に切り欠き部を設けることで、渦電流の流路を分断するように作用し、渦電流損失の低減、伝送効率の向上を図ることができる。切り欠き部の形状は正方形に限定するものではなく、例えば、長方形でもよいし、磁性シートの中心に先端が向かう楔形(切り欠き部の磁性シート中心側の角が鋭角である構成)でもよい。但し、切り欠き部の形成のしやすさ、すなわちコストの観点からは、切り欠き部は、矩形であることが好ましい。また、四隅の切り欠き部に加えて、四隅以外の部分に切り欠き部を設けてもよい。
上述のように切り欠き部を設けることで渦電流損失の低減の効果が期待できるが、切り欠き部の大きさに関しては、磁性シート21の中心Cと切り欠き部22との最短距離d1が、磁性シートの中心Cとそれからの最近接辺との距離d2よりも小さくなるように形成することがより好ましい。渦電流の流路を分断する作用が高められるからである。図2に示す磁性シート21は正方形であるため、中心からの最近接辺は四辺となるが、長方形の場合であれば、一組の長辺が最近接辺となる。また、切り欠き部の大きさの上限は、渦電流の流路の分断の観点からは特にこれを限定するものではないが、切り欠き部が大きくなりすぎると、磁気ヨークやシールドとして機能する磁性体部分が減ってしまう。切り欠き部が矩形の場合であれば、磁性シートの各辺において、切り欠き部の長さの合計が、切り欠き部がないとした場合の前記各辺の長さの2/3以下にするとよい。また、切り欠き部の実効性を高めるためには1/10以上にするとよい。
(第2の実施形態)
図3に、本願発明に係る磁性シートの他の実施形態を示す。図3は平面状の磁性シートを主面の法線方向から見た平面図である。図3に示す磁性シート31は外形が略矩形であり、円形の開口部33を有する。切り欠き部32など、開口部33以外の部分は図2に示す実施形態と同様であるので説明を省略する。図3に示す実施形態では、開口部33は磁性シート31の中央に設けられているが、これに限定されるものではない。平面状コイルと対向するように配置して伝送コイル部品を構成する場合には、開口部33は、前記平面状コイルの巻回軸上の位置に配置されるように設ければよい。給電装置と受電装置は、それに含まれるコイルの巻回軸が一致するように配置される。したがって、給電装置のコイルの中心軸上に磁気吸着部材を備える場合、受電装置の磁性シートの対応する部分に開口部を設けておくことによって、かかる開口部に受電装置側の吸着部材を配置し、受電装置を小型化することが可能である。また、その場合磁性シートが給電装置側の磁気吸着部材によって磁気的に飽和することも抑制される。開口部33の形状は円形の他、楕円形、正方形、長方形、等にすることができる。但し、開口部の形状は、対置される磁気吸着部材の端面形状や該磁気吸着部材の周囲に配置される平面状コイルの内形の相似形状とすることが好ましく、円形がより好ましい。なお、この場合の相似とは、矩形の場合であれば、角部分のアールや微小な凹凸などの相違にかかわらず、全体形状が相似形状であればよいという趣旨である。
(第3の実施形態)
図4に、本願発明に係る磁性シートの他の実施形態を示す。図4は平面状の磁性シートを主面の法線方向から見た平面図である。図4に示す磁性シート41は外形が略矩形であり、切り欠き部42を有する点では図3に示す実施形態と同様であるため、これらの説明は省略する。図4に示す実施形態では、開口部を有するものの、その形態が図3に示す実施形態と異なる。図3に示す実施形態では、円で囲まれた部分全体が開口しているのに対して、図4に示す実施形態では、磁性シート41が環状の開口部43に囲まれた部分44を有する。以下、環状の開口部43に囲まれた部分44を第2の磁性シート部44、それ以外の部分を第1の磁性シート部ともいう。第2の磁性シート部は一部を除き開口部43の縁から離間して配置され、前記一部を除き、全体として円形であり、開口部43の内形と相似となっている。ここでいう「一部」とは、後述する連結部45が構成される部分のことである。
磁性シートを平面状コイルの後面側に配置して非接触充電装置用受電装置などの伝送コイル部品を構成する際、コイルヨークや磁気シールドとしての機能は主に第1の磁性シート部が発揮する。そのため、非接触充電装置を構成する際には、第1の磁性シート部が給電側の平面コイルを覆うように、すなわち、第1の磁性シート部の外縁が、給電側の平面コイルの外縁よりも外側になるような形状・配置にすることが好ましい。
磁性シートと平面状コイルとを用いて伝送コイル部品を構成したときに、第2の磁性シート部は、平面状コイルの巻回軸上に位置するように配置される。給電装置と受電装置は、それに含まれるコイルの巻回軸が一致するように配置される。したがって、給電装置のコイルの中心軸上に磁気吸着部材を備える場合、環状の開口部43に囲まれた部分44(第2の磁性シート部44)は、永久磁石に対向配置される磁気吸着部材として機能させることができる。そのような場合でも、第2の磁性シート部44は開口部43の縁から離間して配置されているため、第2の磁性シート部44から第1の磁性シート部への磁束の流れやそれによる第1の磁性シート部の磁気飽和を抑制することができる。開口部43の内形と第2の磁性シート部44の外形を異なる形状にすることも可能であるが、図4に示す実施形態では、磁束が特定の部分に集中しないよう、開口部43の内形と第2の磁性シート部44の外形をともに円形とし、開口部43の縁と該縁と対向する第2の磁性シート部44の外縁との間隔が、第2の磁性シート部44の外縁に沿って一定になるようにしてある。開口部43の縁と該縁と対向する第2の磁性シート部の外縁との間隔は、微結晶軟磁性合金薄帯などの薄帯を用いて磁性シートを構成する場合、例えば1mm以上にするとよい。該間隔は、より好ましくは1.5mm以上である。一方、間隔が大きくなりすぎると、後面側への漏れ磁束が多くなる。漏れ磁束を低減するためには4mm以下にするとよい。該間隔は、より好ましくは3mm以下である。
図4に示す磁性シートは、第1の磁性シート部と第2の磁性シート部とが一体で構成され、第2の磁性シート部44の一部と第1の磁性シート部の一部とを連結する連結部45を備えている。平面状コイルの巻回軸上の位置に環状の開口部に囲まれた部分を有する磁性シートとしては、連結部45を設けずに、第2の磁性シート部44と第1のシート部とが完全に離間した構成でもよい。かかる構成であっても、上述した、永久磁石に対向配置される磁気吸着部材としての機能や第1の磁性シート部の磁気飽和を抑制する効果が得られる。図4に示す実施形態では、第1の磁性シート部と第2の磁性シート部とが一体で構成されているので、第1の磁性シート部及び第2の磁性シート部は同材質であり、形状以外は実質的に同じ性状を有する。この場合、第1の磁性シート部と第2のシート部の厚さは実質的に同じになる。かかる構成の典型例は急冷薄帯である。連結部45があることで上述のように異なる機能を備える複数の磁性シート部を一体で構成することが可能である。例えば、永久磁石に対向配置される磁気吸着部材を、第1の磁性シート部と一体で形成されている第2の磁性シート部44で構成できるため、部品点数の低減、磁気吸着部材の低背化を通じて、非接触充電装置やそれに用いる伝送コイル部品の小型化、構成の簡略化、製造・使用プロセスの簡略化が可能である。
ここで、連結部45は第2の磁性シート部の一部と第1の磁性シート部の一部とを連結するものであり、第2の磁性シート部44が片持ち梁のような形態で磁性シート部に接続されている。少なくとも連結部45の幅は、同方向の第2の磁性シート部44の幅よりも小さく、第2の磁性シート部44の外形が円形、矩形等と認識できる程度であることが必要である。これらの構成を満たせば、連結部を分割して形成することも可能であるが、開口部の機能の確保、工程の簡略化の観点からは、連結部は一か所で構成することが好ましい。第2の磁性シート部44から第1の磁性シート部への磁束の流れを抑制する観点からは、連結部45の幅は第2の磁性シート部44の外周全体に対する比で0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。一方、連結部の幅が小さすぎると強度が落ちるため、前記比は0.01以上を確保することが好ましい。非接触充電装置用の場合であれば、連結部45の幅の絶対値の上限は、例えば6mm以下、より好ましくは5mmにするとよい。また、その下限は1mm以上にするとよい。
図4に示した磁性シートは図1に示すような非接触充電装置に好適に用いられる。この場合、図1に示すように、磁気吸着部材8と第2の磁性シート部の対向方向から見て、磁気吸着部材8の対向面よりも第2の磁性シート部44の対向面の方を大きくして、第2の磁性シート部が磁気吸着部材8全体を内側に包含する構成にすることがより好ましい。かかる構成によれば磁気吸着部材8からの磁束が第1の磁性シート部に流れることを、より効果的に抑制することができる.また、磁気吸着部材8の対向面よりも第2の磁性シート部44の対向面の方を大きくすることで、受電装置と給電装置との位置ずれの許容量も増える。前記対向方向から見て第2の磁性シート部44の外縁が磁気吸着部材の外縁よりも1mm以上外側になるような大小関係、配置にすることがより好ましい。
また、図4に示す磁性シートは、開口部43と第1の磁性シート部の外縁側とを連通させる連通部46を有する。図4に示す構成では連通部46は、その長手方向が開口部43の中心に向かう向きに配置されている。連通部46が形成されていることで、開口部43は第1の磁性シート部の外縁まで続く、オープンな開口部となる。例えば磁性金属薄帯から磁性シートを取り出す場合、開口部43を形成するにあたって、開口部43に対応する部分の薄帯は除去する必要がある。開口部43がクローズした開口であると、かかる部分の薄帯の除去がしにくい。これに対して、磁性シート部の外縁に対してオープンな開口であれば、磁性シート部の外側の部分を除去する際に、かかる外側の部分とつながっている開口部43に対応する部分の薄帯も同時に除去でき、工程の簡略化が可能である。
連通部46の位置は連結部45と干渉しない位置であればよいが、連通部46は第2の磁性シート部44を挟んで連結部45の反対側に配置されていることがより好ましい。例えば、磁性シートを母材から取り出すために、母材を一方向に引きはがす場合、連通部と連結部が近すぎると開口部に対応する母材をスムーズに除去できない。これに対して、連通部46を第2の磁性シート部44を挟んで連結部45の反対側に配置することで、前記除去がしやすくなる。図4に示す構成では、連通部46の連通方向と連結部45の連結方向が同じ直線状に乗るような配置、すなわち第2の磁性シート部の中心からこれらを見た角度が180度になるような配置になっている。
本発明に係る磁性シートを用いて構成した伝送コイル部品および非接触充電装置についてさらに説明する。図1に示したように、非接触充電装置は、互いに対置させて用いる給電装置および受電装置を有する。図4に示した磁性シートを用いて伝送コイル部品を構成し、かかる伝送コイル部品を受電装置に適用した例について以下説明する。
図5は受電装置側の磁性シート51、54と、給電装置に備えられた給電用の平面状コイルの配置を、対置方向(磁性シートの主面、平面状コイルの主面の法線方向)から見た図である。図中、給電装置の給電用のコイルは点線で表されており、小さい方の円がコイルの内形を、大きい方の円がコイルの外形である。図5の実施形態では、給電用コイルの内形は、環状の開口部および該開口部に囲まれた部分よりも小さく形成されているが、給電用コイルの内形は、環状の開口部および該開口部に囲まれた部分と同じ大きさまたはそれ以上の大きさで形成してもよい。給電装置は、給電用の平面状コイルの巻回軸上に、受電装置を吸着するための磁石を備える。磁石を給電用コイルの内側に収まるような大きさにして配置することで、非接触充電装置の小型化が図られる。図5の(a)および(b)は、受電装置の磁性シート51、54のそれぞれ二組の対辺の間隔が、いずれも給電装置の給電用の平面状コイル53の寸法よりも大きい構成を示している。かかる構成により、給電用コイルによって発生する磁束を誘導するコイルヨークとしての機能および磁気シールドとしての機能を高めている。図5の(a)では、かかる機能を重視して、矩形の切り欠き部52は給電用のコイル53と重ならない大きさに形成されている。一方、図5の(b)では、矩形の切り欠き部55を(a)における切り欠き部52よりも大きくして、給電装置および受電装置を対置させたとき、切り欠き部55の一部が給電用の平面状コイル53と重なるように構成されている。かかる構成により、給電用コイル53によって発生する磁束の変化によって生じる渦電流の流路を切り欠き部55が分断するように作用し、渦電流損失の低減、伝送効率の向上を図ることができる。なお、図5(b)の構成では、磁性シート54の中心と切り欠き部55との最短距離も、磁性シートの中心と最近接辺との距離よりも小さくなるように形成されている。
磁性シートに用いる軟磁性体は、フェライト、ケイ素鋼板、ロール急冷により製造された磁性薄帯(以下、単に薄帯ともいう)およびこれらと樹脂の複合材などを用いることができる。渦電流損失を低減し、充電の伝送効率を向上させるためには、軟磁性体を薄くすることが好ましい。この点、ロール急冷等により製造される磁性合金の薄帯が好適である。具体的には高飽和磁束密度を有するFe系アモルファス薄帯、Co系アモルファス薄帯、Fe系ナノ結晶軟磁性合金薄帯、Co系ナノ結晶軟磁性合金薄帯などからなる厚さ50μm以下の薄帯を用いるとよい。このうち、Fe系ナノ結晶軟磁性合金薄帯などの微結晶軟磁性合金薄帯は高透磁率を有するため、一体で構成された、前記第1の磁性シート部、前記第2の磁性シート部および前記連結部をかかる微結晶軟磁性合金薄帯で構成することが特に好ましい。一方、一般に高透磁率材料は磁気的に飽和しやすい。本願発明に係る磁性シートは、第1の磁性シート部と第2の磁性シート部とが離間しており、コイルヨークとして磁気飽和しにくい構成を採用しているため、微結晶軟磁性合金薄帯を用いて構成すると特に有効である。薄帯の一枚の厚さは、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。ロール急冷等により製造される磁性薄帯を用いる場合、薄帯単層で磁性シートを構成してもよいし、複数の薄帯が樹脂等を介して積層された積層体で磁性シートを構成してもよい。磁性シートを積層体で構成することで磁気飽和もしにくくなる。
積層等によって構成された磁性シートは、破損を防ぐために補強部材に固着されていることが好ましい。具体的には、樹脂シートなどで金属薄帯をラミネート加工した磁性シートを用いることが好ましい。表裏二つの主面の一方に樹脂シートを設けても良いし、両方に設けても良い。但し、強度の確保、破損時の破片の飛散防止等の観点からは、表裏二つの主面の両方に樹脂シートを設けることがより好ましい。樹脂シートを用いることで磁性シートに優れた可撓性を付与することができる。なお、上述のように切り欠き部は磁性体部分において形成されている趣旨なので、前記樹脂シートの部分はかならずしも切り欠きになっていなくてもよい。ただし、樹脂シート部分も含めて切り欠き部を構成することで、切り欠き部の空間を他の部材のために利用することもできる。磁性シートを軟磁性合金の薄帯で構成する場合、例えば2〜30層程度で構成すればよい。但し、コスト低減の観点からは薄帯の積層数は10層以下にすることがより好ましい。磁性シートに用いる全ての軟磁性体の厚さを足した厚さは500μm以下とすることができる。低背化のためには該厚さは300μm以下にするとよい。
(実施例1)
図2に示す、正方形の切り欠き部を有する磁性シートを用いて伝送コイル部品を構成した。磁性シートの軟磁性体には微結晶軟磁性合金薄帯を用いた。微結晶軟磁性合金薄帯として日立金属株式会社製のファインメット(登録商標)(FT3M材、厚さ18μm)を使用した。この薄帯に両面接着シート(厚さ10μm)を貼り付けたものを6枚積層し、最上面に露出する薄帯には厚さ31μmのPET樹脂を貼り付けた。この積層磁性シート全体の厚さは199μm、そのうち磁性体部分の総厚は108μmであった。第1の磁性シート部の外形は正方形であり、縦、横が45mmである。切り欠き部の大きさが異なる複数の積層磁性シートを用意した。また、比較のために切り欠き部を設けていない磁性シートも用意した。積層磁性シートと平面状コイルを組み合わせて受電側(二次側)の伝送コイル部品を構成した。平面状コイルは線径0.32mmの2パラ線を15ターン巻回して構成し、コイルの外形は40×20mmの矩形、内形は20mm×10mmの矩形とした。一方、給電側(一次側)の平面状コイルは、線径1mmのリッツ線を20ターン(10ターン、2段)巻回して構成し、コイルの外形は直径40mmの円形、内形は直径20mmの円形とした。なお、一次側の磁性シートにはフェライトを使用した。磁性シートと平面状コイルの中心を合わせて伝送コイル部品を構成し、給電側の伝送コイル部品と受電側の伝送コイル部品を図1と同様に配置して、120kHzでインダクタンスLsとQ値を測定した。結果を表1に示す。なお、表中、切り欠き部と給電用コイルとの重なりは、給電用コイルの外形の半径と、磁性シートの中心と切り欠き部との最短距離d1との差で表した。
Figure 0006025015
切り欠き部を設けたNo.2等の構成は、切り欠き部を設けていないNo.1の構成に比べてQ値が向上していることがわかる。また、磁性シートの中心と切り欠き部との最短距離d1が、磁性シートの中心と最近接辺との距離d2よりも小さいNo.3等の構成では、Qがさらに向上していることがわかる。さらに、切り欠き部の一部が給電用の平面状コイルと重なるNo.4〜6の構成では、Qの向上する割合がいっそう大きくなっていることがわかる。なお、切り欠き部と給電用の平面状コイルと重ならないようにしつつ、切り欠き部を大きくした場合(No.2、No.3)は、Qの改善量はやや小さくなるものの、Lsの低下を抑えることができることもわかる。
(実施例2)
図6に示す、楔型の切り欠き部を有する磁性シートを用いて伝送コイル部品を構成した。なお、図6に示す磁性シートでは、四隅以外に四隅の間にも切り欠き部を設けた。切り欠き部の形状が異なる点と、微結晶軟磁性合金薄帯を7層用いた点以外は実施例1と同様にして磁性シートおよび伝送コイル部品を構成し、評価を行った。また比較のために楔形の切り欠き部を設けていない、開口部と連通部のみを設けた磁性シートを用意して、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006025015
楔形の切り欠き部を設けたNo.8の構成は、切り欠き部を設けていないNo.7の構成に比べて、Q値が向上した。すなわち、矩形以外の楔形の切り欠き部を設けた場合も、Lsの低下を抑えつつ、Q値の向上が実現できることが分かる。
(実施例3)
図4に示す、正方形の切り欠き部を有する磁性シートを用いて実施例1と同様にして伝送コイル部品を構成し、評価した。切り欠き部の大きさが5mm×5mmの磁性シートおよび7.5mm×7.5mmの磁性シートの他、比較のために切り欠き部を設けていない磁性シートも用意した。なお、磁性シートの開口部の内形の大きさ(直径)は25mm、環状の開口部に囲まれた部分(第2の磁性シート部)の直径は20mm、連通部の幅は4mmとした。評価結果を表3に示す。
Figure 0006025015
切り欠き部を設けたNo.10の構成は、切り欠き部を設けていないNo.9の構成に比べて、Q値が向上した。さらに、No.10の構成は、同じ切り欠き部を有し、開口部および第2の磁性シート部を設けていないNo.3の構成に比べてインダクタンス、Q値とも優れていることがわかる。また、第2の磁性シート部を有するNo.10の構成は、伝送コイル部品同士の位置決め・固定も良好であった。
1、6:磁性シート
2、7:平面状コイル
3、9:基板
4:二次電池
5:受電装置
8:磁気吸着部材
10:交流電源
11:回路部
12:給電装置
21、31、41、51、61:磁性シート
22、32、42、52、62:切り欠き部
33、43、63:開口部
44:環状の開口部43に囲まれた部分(第2の磁性シート部)
45:連結部
46:連通部
53:平面状コイル

Claims (7)

  1. 非接触充電装置の給電装置または受電装置において、コイルに対向するように配置して用いられる磁性シートであって、
    外形が略矩形であり、少なくとも四隅に磁性シートの中心側に向かう角部をもって凹んだ矩形又は楔形の切り欠き部を有し、
    前記磁性シートの中心と前記切り欠き部との最短距離d1と、前記磁性シートの中心と最近接辺との距離d2との比d1/d2が0.5〜1.1であることを特徴とする磁性シート。
  2. 前記切り欠き部が矩形状であり、前記磁性シートの中心と前記切り欠き部との最短距離d1が、前記磁性シートの中心と最近接辺との距離d2よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の磁性シート。
  3. 平面状コイルと、前記平面状コイルと対向するように配置された磁性シートとを備える、非接触充電装置の給電装置または受電装置用の伝送コイル部品であって、
    前記磁性シートが請求項1または2に記載の磁性シートであることを特徴とする伝送コイル部品。
  4. 前記磁性シートは、前記平面状コイルの巻回軸上の位置に開口部を有することを特徴とする請求項3に記載の伝送コイル部品。
  5. 前記磁性シートは、前記平面状コイルの巻回軸上の位置に、環状の開口部に囲まれた部分を有することを特徴とする請求項3に記載の伝送コイル部品。
  6. 互いに対置させて用いる給電装置および受電装置を有する非接触充電装置であって、
    前記受電装置が請求項3〜5のいずれか一項に記載の伝送コイル部品を備えることを特徴とする非接触充電装置。
  7. 前記給電装置は給電用の平面状コイルを備え、前記磁性シートの二組の対辺の間隔が、いずれも前記給電用の平面状コイルの寸法よりも大きく、
    前記給電装置および受電装置を対置させたとき、前記切り欠き部の一部が前記給電用の平面状コイルと重なることを特徴とする請求項6に記載の非接触充電装置。
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