以下、本明細書において、
(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを「1233E」と表すことがあり、
3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンを「244fa」と表すことがあり、
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを「240fa」と表すことがあり、
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを「245fa」と表すことがあり、
2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを「235da」と表すことがあり、
2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを「1224」と表すことがあり、
1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを「1336」と表すことがある。
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンにはシス−トランス異性体である(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが存在し、シス体を上記の通り「1233Z」、トランス体を「1233E」、異性体を考慮しない場合や混合物を「1233」と表すことがある。
1,3,3,3−テトラフルオロプロペンにはシス−トランス異性体が存在し、シス体を「1234Z」、トランス体を「1234E」、異性体を考慮しない場合や混合物を「1234」と表すことがある。
2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンにはシス−トランス異性体が存在し、シス体を「1224Z」、トランス体を「1224E」、異性体を考慮しない場合や混合物を「1224」と表すことがある。
1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンにはシス−トランス異性体が存在し、シス体を「1336Z」、トランス体を「1336E」、異性体を考慮しない場合や混合物を「1336」と表すことがある。
以下の実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明は、1233Zを、水の存在下で、塩基であるアルカリ金属の水酸化物と、連続的または半連続的に接触させることによる、TFPyの製造方法であって、生成した前記TFPyは、反応系から連続的に抜き出されることを特徴とする、TFPyの製造方法である。以下に反応式を示す。
本発明において、「連続的に接触させる」とは、1233Zおよびアルカリ金属の水酸化物を連続的に導入して接触させることを意味する。
「半連続的に接触させる」とは、1233Zおよびアルカリ金属の水酸化物を一括で仕込んで接触させることを意味する。
ここで、後述の比較例で示すように、バッチ式の反応では、目的物は得られる一方で、反応系内で生成したTFPyがさらに塩基(本発明においてはアルカリ金属の水酸化物)と反応し、副生成物を生じやすく、結果としてTFPyの収率の低下、およびアルカリ金属の水酸化物の使用量の増加を招くことがある。「バッチ式」とは、1233Z、水およびアルカリ金属の水酸化物を導入後、新たに1233Z、水またはアルカリ金属の水酸化物を追加導入することなく、かつ、反応途中に反応生成物の抜き出しをせずに反応を行う方式のことを示す。
そこで、生成したTFPyを反応系から連続的に抜き出すことで、この副反応を抑制することができ、TFPyを効率的に製造できるだけでなく、塩基の使用量を低減することができる。さらには、副反応により生じる廃棄物量も低減することができる。
本発明に係るTFPyの製造方法を以下に示す。
TFPyの製造には所定の反応器を用いる。前記反応器には、所定の凝縮器が備えられており、前記凝縮器と、所定の捕集器が、所定の抜き出し管を介して接続されており、前記抜き出し管には、反応器内の圧力を調節するための抜き出し弁が備えられている。
前記反応器には、所定の攪拌翼が備えられており、さらに圧力計が備えられていてもよい。
本発明において、「連続的に接触させる」場合には、前記反応器に1233Zを加え、前記攪拌翼で攪拌しながら、所定の内温、所定の圧力下で、アルカリ金属の水酸化物の水溶液と反応させる。アルカリ金属の水酸化物の水溶液は、所定の滴下装置を用いて、所定の時間をかけて反応系に滴下する。反応で生成するTFPy(沸点:−47℃)は、常温・常圧で気体として存在する。前記抜き出し弁で反応圧力を所定の圧力に調節して、反応開始から所定の温度に冷却した前記凝縮器に、反応で生成するTFPyの蒸気を流通させて、所定の温度に冷却された前記捕集器にて反応生成物を液化して捕集する。これにより、特別な後処理をすることなく、高純度のTFPyを得ることができる。さらに、捕集したTFPyを蒸留することで、より高純度のTFPyを得ることができる。
前記製造方法において、反応原料は、逆の方法で反応させてもよい。すなわち、前記反応器にアルカリ金属の水酸化物と水溶液を加え、前記攪拌翼で攪拌しながら、所定の内温、所定の圧力下で、1233Zと反応させることも、本発明の好ましい態様の一つである。
「半連続的に接触させる」場合には、「連続的に接触させる」場合において、前記反応器に1233Zとアルカリ金属の水酸化物と水を加えればよい。
蒸留を行う場合には、常圧でも良いが、目的生成物であるTFPyの沸点が−47℃と常温(特に加熱、または冷却しない雰囲気温度であり、通常5〜35℃である。明細書において、以下同じ。)より低いため、加圧条件にすることが好ましい。蒸留塔の材質には特に制限はなく、ガラス製のもの、ステンレス製のもの、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスなどを内部にライニングしたものなどを用いることができる。蒸留塔中には、充填剤を詰めることもできる。
反応器は、加圧下で反応を行う際に圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はない。例えば、一般的なステンレス鋼、ガラス、フッ素樹脂、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされた材料の反応容器などが挙げられる。
凝縮器は、反応で生成したTFPyの蒸気は前記捕集器へと流通させるが、反応で生成し得る1233Zの蒸気(沸点:40℃)は流通させずに液化して反応系に戻すために用いられる。したがって、前記凝集器は、−47〜+40℃で冷却する必要があり、−47〜0℃に冷却することが好ましい。
また、凝集器は、管を隔てて、TFPyの蒸気と冷媒が間接的に接触する表面凝縮器が好ましい。前記凝縮器は、加圧下で反応を行う際、圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はなく、例えば、一般的なステンレス鋼、ガラス、フッ素樹脂、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされた材料の管などを用いることができる。
攪拌翼は、内容物を流動させるために用いられる。アンカー翼、パドル翼、傾斜パドル翼、ツインスター翼、3枚後退翼などの攪拌翼が挙げられるが、一般的に有機合成などで用いられている攪拌翼を用いることができる。
抜き出し管は、加圧下で反応を行う際、圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はない。例えば、一般的なステンレス鋼、ガラス、フッ素樹脂、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされた材料の管などが挙げられる。
滴下装置は、加圧下で反応を行う際、圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はない。例えば、一般的なステンレス鋼、ガラス、フッ素樹脂、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされた材料の管などが挙げられる。
本発明において、圧力調節が別途可能であれば、凝縮器と捕集器は直接接続されていてもよい。
捕集器は、前記凝集器から流通してきたTFPyの蒸気を液化して捕集するのに用いられる。材質は、後述の冷却温度に耐えるものであれば特に制限はない。例えば、一般的なステンレス鋼、ガラス、フッ素樹脂、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされたものが挙げられる。TFPyを液化して捕集器で捕集するために、捕集器は、−47℃以下に冷却する。
内温は、0〜100℃であればよいが、好ましくは40〜80℃であり、さらに好ましくは40〜60℃である。
圧力は、0.05〜2MPaG、好ましくは0.1〜0.5MPaで操作できる。反応圧力が2MPaGを超えると反応生成物であるTFPyと塩基(本発明においては、アルカリ金属の水酸化物)の接触を促すため、副反応が起こりやすく、収率が低下することがある。一方、反応圧力が0.05MPaGより低いと十分な反応温度が得られず、反応速度が低下することがある。
アルカル金属の水酸化物の水溶液または1233Zの滴下時間は、反応スケールに依るが、滴下により反応系の急激な温度上昇が起きないよう、当業者は滴下速度を適宜調節する。
捕集器の冷却温度は、TFPyを液化するために−47℃以下に保持する。例えば、氷水、ドライアイス入りメタノール、ドライアイス入りアセトンなどの寒剤を用いて前記凝縮器を冷却することができる。冷却温度が−47℃よりも高いと、TFPyが気化するため捕集し難く、TFPyを連続的に反応系から抜き出し難くなることがある。
本発明に使用されるアルカリ金属の水酸化物は、本反応において塩基として反応に寄与する。アルカリ金属の水酸化物には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムが挙げられる。中でも、安価であり、入手が容易であることから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
本発明に用いる水は、本反応における溶媒としての役割を果たす。市水、純水(イオン交換樹脂などによって脱塩処理を行った水)、超純水(無機イオンのみではなく、有機物、生菌、微粒子、溶存気体などを除去した水)などが挙げられる。
本発明に用いるアルカリ金属の水酸化物は、反応性の良さ、作業性の容易さから、水溶液として用いることが好ましい。その水溶液の濃度は、アルカリ金属により異なるが、例えば、水酸化カリウム水溶液の場合、通常は5〜60質量%とし、10〜55質量%が好ましく、15〜48質量%の範囲がより好ましい。
本発明に用いるアルカリ金属の水酸化物は、1種類または2種類以上を併用して用いることもできる。
本発明に用いるアルカリ金属の水酸化物は、1モルの1233Zに対して、化学量論量上、1モルを必要とする。通常1〜10モルの範囲を適宜選択できるが、好ましくは1〜4モルであり、1.0〜2.5モルがより好ましい。1モル未満を用いる場合には、反応の変換率が低下することがある。10モル超を用いることもできるが、大量に用いる利点は特にない。
本発明に用いる1233Zは、どのような経緯で得られたものであってもよい。例えば、下記の製造方法(A)〜(C)により得られる1233Zを用いることができる。
以下、1233Zの製造方法(A)〜(C)についてそれぞれ説明する。
[(A)フッ素化工程、蒸留工程および異性化工程を含む1233Zの製造方法]
本発明に用いる1233Zは、以下の第1工程〜第3工程を含む製造方法(以下、この製造方法を「1233Z製造法(A)」と呼ぶことがある。)により製造されたものであってもよい。
(1)第1工程
240faまたは1,3,3,3,−テトラクロロプロペン(以下、「1230」と表すことがある。)をフッ化水素と反応させて、(A)1233Eと、(B)244fa、235da、及び、1−クロロ−1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン(1335)から選ばれる少なくとも1種からなる化合物、を含む第1組成物を得る工程。
(2)第2工程
第1工程で得られた第1組成物から、3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン(244fa)、2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(235da)、及び、1−クロロ−1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン(以下、「1335」と表すことがある。)から選ばれる少なくとも1種からなる化合物を蒸留により除去して、1233Eを含む第2組成物を得る工程。
(3)第3工程
第2工程で得られた第2組成物に含まれる1233Eを異性化させ、1233Zを含む第3組成物を得る工程。
以下、第1工程、第2工程および第3工程について詳細を説明する。
(1)第1工程
第1工程はフッ素化反応工程である。具体的には、240faまたは1230をフッ化水素と反応させて、1233を含む第1組成物を得る工程である。240faが分子内で脱HClすると1230に転化するので、240faと1230は等価体と見なすことができる。
第1組成物中には、反応条件によるが、通常、(A)1233Zと1233Eが所定の割合で含まれている。さらに、副生成物として、(B)244fa、235da、1335等の1233Zと沸点が近接した蒸留分離困難物質の何れかが含まれる場合がある。
1233を含む第1組成物は、240faとフッ化水素を反応させ、粗蒸留、水洗、乾燥等行う、公知の方法を用いることができる(特開平9−183740号公報、特許3031465号参照)。なお、240faは、塩化ビニルのクロロホルム付加により得ることができる。
(2)第2工程
第2工程は蒸留工程である。具体的には、第1工程で得られた第1組成物から、244fa、235da、1335から選ばれる少なくとも1種からなる化合物を蒸留により除去して、1233Eを主成分とする第2組成物を得る工程である。
フッ素化反応で得られる第1組成物には、目的化合物である1233Z(沸点:39℃)と、いずれも沸点が40度近傍で1233Zと蒸留分離が困難な244fa、235da、1335等の不純物が含まれている場合がある。
1233E(沸点:19℃)は、目的化合物である1233Zより沸点が低く、244fa、235da、1335と容易に蒸留分離することができる。したがって、第2工程によれば、第3工程の異性化反応において、蒸留困難な不純物を含まない1233Eを原料とすることができるため、より高純度な1233Zを得ることが可能となる。
もちろん、当業者が製品中にこれらの不純物の混入を許容する場合は、蒸留操作を省略することができるが、通常、第3工程(異性化反応)の原料となる1233E中に244fa、235da、1335等の不純物は実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、具体的にこれら各々の含有率が、2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満である。最終的に1233Zの純度や蒸留効率は原料である1233E中のこれらの純度に依存する。
これらの不純物を除去するための方法は、蒸留が最も簡便で効率的な第1組成物の精製方法であるが、吸着等の他の方法で精製することも可能である。蒸留は公知の方法を用いることができる。充填等、泡鐘塔など何れの形式でもよく、充填剤はヘリパック、ラシヒリング、ポーリングなど特に限定されない。蒸留圧力は特に限定されず、減圧、常圧、加圧下で行うことができるが、常圧蒸留もしくは加圧蒸留の操業が容易である。
第3工程(異性化反応)の原料中に1233Zを含むことも許されるが、理論的に、熱力学的な平衡組成に収束されるので、もし、平衡組成以上の1233Zを含有する1233Eを用いた場合、1233Zを所望する場合は無意味である。
また、1234E、1234Z、1234Eと1234Zの混合物、245fa等の低沸成分も240faのフッ素化反応で副生することがあるが、これらは、予め蒸留等により分離していてもよいし、第3工程(異性化反応)の原料となる1233Eに混入していてもよい。なぜならば、これらは目的化合物である1233Zと最終蒸留で容易に分離できることが判明したからである。また、本発明者らが鋭意検討した異性化反応条件においては、これらの低沸分は、有機物が分解する高温条件にも関わらず、蒸留困難物質へ、実質的に転化しないことが判明した。
以上より、第2工程の操業は1233Eよりも高沸のフラクションを除去するだけで、蒸留分離困難な244fa、235da、1335を除去できるので、操業が容易である。また、酸分、水分は装置の腐食を引き起こすことがあるので、もし、これらを含む1233Eを使用する場合は、水洗、乾燥等の前処理を行うことが好ましい。
(3)第3工程
第3工程は異性化反応工程である。具体的には、第2工程で得られた第2組成物に含まれる1233Eを異性化させ、1233Zを主成分とする第3組成物を得る工程である。
異性化工程は、無触媒条件下の高温領域において行うことができる。
通常、1233Eを1233Zに変換する異性化反応は、金属酸化物または金属化合物を担持した担持触媒等を用いて行われる。しかしながら、反応温度を高温領域(例えば、450℃以上)で行う場合、触媒表面上で原料がコーキングしたり、タール化することがある。また、1233は分子内に二重結合を有し反応性が高いため、反応温度が450℃以上の高温になると、不純物として好ましくない、タールやオイル成分又はトリフルオロプロピン類などが副生してしまうことがある。さらに、反応温度を高温にすると、消費電力等のランニングコストが高くなってしまう。
このように、接触反応において、反応温度を高温にすれば、1233Zの生成は有利になるが、反応温度を高温にした場合、触媒表面上でのコーキング、タール化など不純物の副生やランニングコストなどの生産性の観点から、1233Zの生成に有利な平衡条件に見合う、工業的規模で、高純度かつ効率的な1233Zの製造は難しいのが現状である。
このような高温反応では、予期せぬ熱分解反応等が懸念されるが、本反応の選択率は非常に高く、生成物には蒸留分離困難な244fa、235da、1335等の不純物を実質的に含まないので、リサイクルした1233Eを用いて再反応しても、容易に高純度化可能な1233Zが得られることが特徴である。もちろん、未反応の1233Eを発泡剤等に活用したり、フッ素化して、245faや1234等の有用物質に誘導することも可能である。
異性化反応は、反応器を用いて、1233Eを主成分とする第2組成物を反応系へ導入する気相反応によって行われる。
反応器の材質はカーボン、セラミックス、ステンレス、ニッケル、ハステロイ、モネル、インコネル等の耐蝕材が好ましく、ニッケル、モネル、ハステロイ、インコネルがより好ましい。
反応形式は、バッチ式でも流通式でも特に限定されないが、一般的な気相流通方式が好ましい。原料と一緒に窒素等のイナートガスを同伴させることも可能である。反応圧力は、加圧下でも減圧下でも特に制限が無いが、常圧近傍での操業が容易である。但し、1MPa以上の加圧反応は高価な耐圧性の装置が必要となるだけでなく、原料もしくは生成物の重合が懸念されるので好ましくない。
空の管を加熱するだけでよいが、所望によりスタティックミキサーやラシヒリング等の充填材を入れるようにしてもよい。これらの材質も上記のような耐蝕材が好ましい。もし、アルミナ等を充填材として用いたい場合、触媒活性を無くすために、例えば1300℃以上で焼成してイナート化する処理が好ましい。さもなければ、充填材表面上で原料がアルミナ上でコーキングしたり、タール化することがある。また、予期せぬ蒸留難分離物質が副生することもありうる。この状態で反応を継続すると、触媒上にコーク分が堆積して閉塞する危険も有する。充填物の比表面積は5m2/g以下のものが好ましい。5m2/gよりも大きい場合は触媒活性を示す事があり、上記のようなタール化等が起こりうる。
なお、装置(反応器)の加熱方法は特に制限されないが、電気ヒーターやバーナーで直接加熱する方法か、または、溶融塩、砂を用いて間接的に加熱する方法が好ましい。
異性化反応を行う温度は、450〜750℃、好ましくは500〜700℃、さらに好ましくは550〜650℃である。所定温度に加熱した管を流通させることによって、効率的にその一部が1233Zに異性化される。1233Eから1233Zへの異性化反応は吸熱的であり、熱力学的に温度が高ければ高い程有利である。即ち、熱力学的平衡において不利な1233Zを所望する場合、平衡の制限があるので、上記のような実用的な温度領域において、概ね20%以上の収率を望むことはできない。その場合、反応生成物を蒸留分離することによって、目的化合物である1233Zと回収原料である1233Eに蒸留分離し、この1233Eをリサイクルすることができる。
また、アレニウス式によると反応温度が高ければ高い程、反応速度が大きくなることが示されているので、当然高温の方が平衡に達するのも速くなるが、特許文献(米国特許出願公開第2010/0152504号明細書)において有効と記載されているような触媒を用いた場合、400℃以上の高温下で反応させると、原料および生成物は多重結合を有する化合物であるので、重合してコークやタールに変質してしまうことが多い。特に長時間400℃以上で反応を行うと、コーキングによって触媒活性が低下したり、場合によれば閉塞することがある。本発明で見出した無触媒の異性化方法で実施すると、平衡が有利な450℃以上の反応温度でもタールやコークの発生を抑制できることが判明した。言い換えれば、無触媒の場合400℃未満においては、実質的に異性化が進行しにくいが、450℃から750℃の温度領域において、効率的に異性化が可能である。しかし、750℃よりも反応温度が高い場合、条件によって、予期せぬ蒸留分離困難物質が副生したり、不純物であるTFPyや1336の副生が顕著となり、オイルやタール分が増加することがある。
異性化反応の滞留時間(触媒は存在しないが、接触時間と同等の概念)は、通常、0.01秒から50秒であり、好ましくは0.05秒から20秒である。一般に滞留時間が0.01秒より短いと転化率が低くなることがあり、50秒よりも長いと、TFPyが副生したり、コーキングしたりタール分が出ることがある。すなわち、最適な滞留時間は反応温度に依存する。例えば、450℃で滞留時間が極端に短いと実質的に反応が進行しない場合があり、750℃において滞留時間が極端に長いと、予期せぬ蒸留分離困難物質が副生したり、触媒存在下の反応と同様にタールやオイルが副生したり、それらによって管が閉塞することがある。
なお、本明細書において、滞留時間とは、反応器を用いた気相流通方式において、反応器の容積(ml)を原料供給速度(ml/秒)で除した値(秒)を表す。
ベストモード(反応温度600℃、滞留時間:0.3秒)で、24時間連続運転で年間300日稼動の場合、僅か12リットルの容量の反応器で1800トン/年の1233Eが処理可能であり、理論上200トン/年の精製1233Zが見込めるので、150℃から350℃の触媒法(米国特許出願公開第2010/0152504号明細書)のベストモードと比較して、非常に効率的なプロセスである。
1233Z製造法(A)は、上述の第1工程〜第3工程に加えて適宜、下記の第4工程又は第5工程を含むようにしてもよい。
(4)第4工程
第4工程は、第3工程で得られた1233Zを主成分とする第3組成物を蒸留して、1233Zの純度を高める工程である。
異性化反応により異性化されて反応器より流出する1233Zを主成分とする第3組成物は、蒸留など公知の分離・精製方法を用いて、容易に1233Zの純度を高めることができる。
具体的には、異性化で得られた1233Eと1233Zの混合物は水洗で酸分を除去し、ゼオライト等で乾燥後、通常の蒸留操作で容易に1233Zと1233Eをそれぞれ、高純度で分離することができる。勿論、1233Eの品質は原料の1233Eの品質と同等であるので、もう一度同じ異性化反応に供することも可能であるし、そのまま硬質ウレタンフォーム発泡剤などとして製品化することもできる。
蒸留操作における蒸留塔の段数は特に制限が無いが、10段から50段の蒸留塔が推奨される。好ましい高純度1233Zの純度は98%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。1233Z製造法(A)の第4工程を用いれば、99.9%以上の超高純度1233Zも容易に製造可能である。
(5)第5工程
第5工程は、第4工程で分離された1233Eを回収し、第1工程〜第3工程の何れかで再利用する工程である。分離された1233Eは再度異性化反応工程、フッ素化工程に戻すことができる。また、そのまま硬質ウレタンフォーム発泡剤などとして製品化することもできる。この工程によれば、回収した1233Eを有効に活用することができ生産性の向上が期待できる。
[(B)気相反応による1233Zの製造方法]
本発明に用いる1233Zは、気相中、触媒存在下において、1234を塩化水素と反応させる製造方法(以下、この製造方法を「1233Z製造法(B)」と呼ぶことがある。)で製造されたものであってもよい。
この1234は、240fa及び/又は1230をフッ素化することにより得られたものであってもよい。
1233Z製造法(B)の原料化合物である1234は、任意の方法で製造されたものが使用できるが、工業的に大量生産されている245faを公知の方法(例えば、特開2008−19243号公報参照)で脱HFして製造されたものが経済的である。245faの接触脱HF反応の生成物は蒸留後、1234E、1234Z、245faに分離することが好ましい。
ここで、特筆すべきことは、1233Z製造法(B)は、245faをも1233に変換する能力を有している。したがって、245fa等の、一般式
CF3CH2CHR1R2 (R1、R2は、それぞれ独立して、フッ素原子もしくは塩素原子)
で表される化合物を含有する1234Eもしくは1234Zを原料として、1233に変換することが可能である。
例えば、1234の使用済み混合冷媒を発泡剤用の1233に変換したい場合も、本方法が有効である。1233Z製造法(B)は、1234E、1234Z、 CF3CH2CHR1R2が任意の比率でも有用な1233に変換することを可能とする。なお、本発明の原料は水洗、乾燥したものが好ましい。勿論、少量のHFを含有する原料も使用可能であるが、装置の腐食等の留意が必要である。
1233Z製造法(B)に使用可能な塩化水素は、超高純度塩化水素でも工業用塩化水素でも副生塩化水素でもよい。副生塩化水素の場合は245faもしくは、245faの前駆体を合成するフッ素化工程で副生した塩化水素が好ましい。通常、副生塩化水素はHF分や有機物分を高度に分離しないと有価物にならない。そのために、高性能の蒸留塔等の精製設備が必要なので、中和処理して廃棄されることが多々ある。フッ素化反応の副生塩化水素を活用することは資源保護、廃棄物削減の点で好ましいといえる。
245faまたはフッ素化による前駆体製造工程で副生した塩化水素に含まれるCF3を有するC3化合物(炭素数が3の化合物)は、目的化合物に誘導可能もしくは分離可能な化合物が多いので好ましい。具体的には、CF3−CH=CHR3 (R3は、塩素原子またはフッ素原子)、CF3−CH2CHR1R2 (R1、R2は、それぞれ独立して塩素原子またはフッ素原子)は1233に変換されうる好ましい化合物である。勿論、全く関連の無い他のプロセスにおいて副生した塩化水素も使用可能であるが、含有する不純物が1233と分離可能であることと、触媒毒にならないことの確認が必要である。
通常、245faもしくはフッ素化によるその前駆体合成工程における副生塩化水素は、HFを含有していることが多い。一般に、腐食性の毒性高圧ガスであるHFを少量でも含有している副生塩化水素は、商品価値が無い。しかし、特筆すべきは、そのHFを含有する副生塩化水素は、1233Z製造法(B)には非常に有効である。なぜならば、少量のHFを含有する塩化水素は触媒活性化する効果があるからである。後に詳細に述べるが、本発明におけるベストモードの触媒は、使用前にHFで処理したものである。
1233Z製造法(B)で使用可能な塩化水素は粗蒸留品でも良い。副生塩化水素は通常HClとHFとの混合ガスとして回収されるが、本反応に用いる場合は、粗蒸留で分離したクルードが使用可能である。好ましいHF濃度は、0.001〜10質量%、さらに好ましくは、0.1質量%〜5質量%である。
高純度塩化水素でも実施可能であるので、HFを全く含まない塩化水素も可能であるが、上記の範囲のHFを含有する塩化水素は触媒のコンディションを保つ効果があるので好ましい。但し、この範囲よりもHFの含量が多くなると、1233や1234にHFが付加した化合物の比率が増えることがある。なお、塩化水素とHFの比率の調製は乾式の加圧蒸留が好ましい。
次に、本反応におけるHCl(塩化水素)/有機物原料比について説明する。ここで記載する「有機物」とは、原料組成物のことである(1234E、1234Z、CF3CH2CHR1R2を主成分とする組成物)。「HCl/有機物比」はそれぞれのモル比である。HCl/有機物原料比は、0.1〜30が好ましい。さらに好ましくは0.5〜20が推奨される。比が、0.1よりも低い場合は、転化率が不十分であったり、有機物のコーキングが促進されたり、触媒が経時的に低下することがあるので、好ましくない。また、比が、30よりも大きい場合は、塩化水素回収の負荷が大きくなったり、生産量が低下することがある。
また、所望によりHFを添加することも可能であるが、その場合は、モル比でHCl/HF=2以上が好ましい。過剰にHFを添加すると温暖化物質である245faの副生が増加することがある。また、当業者の所望により、窒素、アルゴン等のイナートガスを添加することも可能である。
次に、1233Z製造法(B)にかかる触媒について説明する。該触媒は、ハロゲン化された金属が好ましい。ハロゲン化された金属とは金属原子がハロゲンによって酸化された状態を指し、一般に、金属−ハロゲン結合(M−X結合、M:金属、X:ハロゲン原子)を有すると言うこともある。ここで言う金属とは0価の金属に限定されず、金属酸化物や金属塩も含む。例えば、燐酸アルミ、硫酸アルミ、アルミナ等の金属塩や金属酸化物をフッ素化もしくは塩素化して、表面の一部にM−X結合(例えば、Al−F結合)を有する活性種等が本発明の固体触媒として挙げられる。フッ化アルミの粉末を成型した触媒は、使用前にフッ素化することが好ましいが、予めAl−F結合を有しているので、そのまま触媒として使用することができる。M−F結合の有無の確認方法は、EZAFS、XAFS、XRF、XPS、IR、XRDによる機器分析が好ましい。
簡便な方法としては、反応終了後の触媒を300℃で焼成して表面に物理吸着されたハロゲンを除去後、上記のいずれかの分析で金属原子とハロゲン原子が検出されれば、本発明に有効な触媒であると言える。物理吸着されたハロゲン原子を除去するのに必要な焼成時間は12時間から120時間が好ましい。また、窒素流通下や減圧下で焼成すると、より効率的に、物理吸着されたハロゲンが除去できる。特に、XAFSやXPSは金属−ハロゲン結合の状態を詳細に分析できるので好ましい。通常、物理吸着されたハロゲンはハロゲン化水素として吸着されていることが多い。
好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、特にフッ素、塩素が好ましく、特にフッ素が好ましい。フッ化水素等で積極的に金属表面の一部もしくは大部分をフッ素化することも有効である。本反応のように原料にハロゲン元素を含む化合物等を用いる場合は、原料そのものを金属と接触させることにより金属−ハロゲン結合を形成することも可能である。よって、金属と前記のM−X結合を形成させうる化合物とを同時に用いることで、結果としてM−X結合を有する本発明の固体触媒となり、さらに原料を作用させて本反応を起こすことが可能である(この場合、反応後の触媒を分析するとM−X結合が確認されると推測される)。但し、フッ化水素等で積極的にフッ素化する工程を省略して、原料のオゾン層破壊物質を流通させることによってM−X結合を有する活性種を発生させる方法は、金属のハロゲン化工程において、オゾン層破壊物質が分解する欠点がある。
好ましい金属として、周期律表の4〜15族に属する金属が例示される。中でも、アルミ原子(原子番号13番)と原子番号22番〜78番の遷移金属が好ましい。具体的には、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、ニッケル、銅、コバルト、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、アンチモン、タンタルが例示される。これらを単独で用いても良いが、複数の金属を用いることも好ましい。また、助触媒として、マグネシウム、ナトリウム、カリウム等の当業者所望の元素を添加することが可能である。
M−X結合を有する触媒において、電気陰性度の大きいハロゲン原子(X)はMの電子を吸引するので、通常Mは電子が不足している状態である。このような状態の金属はルイス酸性を示すことが多い。特に、電気陰性度の大きいフッ素原子や塩素原子がXである触媒や、M−F結合の多い触媒はより強いルイス酸性を示す傾向にある。よって、ルイス酸性を示す触媒も本反応に好適な触媒といえる。特に、XがFもしくはClであり、M−F結合が多いものは、本反応において好ましい触媒と言える。具体的にXPS測定において、X/M(原子比)が2以上のものは好適である。
触媒の大きさは、反応に用いる反応管の内径の1/30〜1/3が好ましく、1/20〜1/5がより好ましい。これらの範囲よりも大きいと、原料が触媒と接触せずにすり抜けてしまうことがあり、これらの範囲よりも小さいと、圧力損失が大きくなったり、閉塞したりすることがある。具体的には0.5mmから20mm程度、より好ましくは2mmから10mmの大きさの触媒が推奨される。
このような大きさの触媒の調製方法として、原子番号が13番から78番の金属酸化物や金属塩等を球状やペレット状に成型する方法が挙げられる。当業者自身が圧縮成型機を用いて、金属酸化物や金属塩等を加圧成型することも可能であるが、アルミナ(γアルミナ、αアルミナ等)、チタニア、ジルコニアを主成分としたペレットやボール(球状物)が市販されている。また、活性炭(ヤシガラ炭、木炭、泥炭等)やこれらの金属酸化物を担体として、上記の有効な金属成分を含む溶液を含浸させる方法も有効である(この触媒は含浸触媒という)。また、担体は予めHF等でフッ素化処理することが望ましい。
含浸触媒の調製方法は特に限定されないが、硝酸塩、塩化物、オキシハロゲン化物等の可溶性化合物を溶解した溶液に担体に含浸させるか、スプレーし、次いで乾燥した後、金属塩の担持された担体を加熱下においてフッ化水素、塩化水素、塩化フッ化炭化水素等と接触させることで、担持させた金属または担体の一部または全部をハロゲン修飾させることで得られる。またアルミナ、チタニア、ステンレス鋼等をフッ素化したもの(例えば、フッ素化アルミナ)や活性炭も触媒として使用できる。フッ素化方法はどの様な方法でも良いが、例えば、フッ素化アルミナは乾燥用や触媒担体用として市販されているアルミナに加熱しながら気相でフッ化水素を流通させたり、または常温付近でフッ化水素水溶液をスプレーしたりその水溶液に浸漬し、次いで乾燥することで調製することができる。
常温付近で液体である化合物、例えば、五塩化アンチモン、四塩化スズまたは四塩化チタンなどの場合、そのまま活性炭やアルミナ等に含浸することもできる。
何れの方法で調製した触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化または含フッ素炭化水素などのフッ素化剤と接触させて活性化させるのは好ましい方法である。
特に好ましい触媒は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、クロム/活性炭、ニッケル/活性炭、鉄/活性炭、アンチモン/活性炭、クロム/アルミナ、クロム/ジルコニアである。反応前にこれらの触媒をHFガスで処理することは本発明の好ましい形態の一つであり、該操作によって得られた触媒は本反応に用いる特に好ましいものである。
次に、1233Z製造法(B)の反応条件について説明する。まず、1233Z製造法(B)の反応方式は、気相流通方式が好ましく、具体的には固定床流通方式、固定床循環方式、流動床流通方式等の反応方式が例示されるが、固定床気相流通方式が簡便である。反応は減圧でも加圧でも良いが、常圧近傍の操業が容易である。
1233Z製造法(B)の最適反応温度は、触媒の種類、状態、接触時間に依存するが、200℃〜500℃が好ましい。さらに好ましくは250℃〜400℃である。200℃よりも低い場合は転化率が低くなる。また、400℃以上の場合は、好ましくない副反応が増加したり、コーキングの原因となる。
また、接触時間は、原料組成に依存するが、通常0.1秒から200秒が好ましく、さらに好ましくは2秒から150秒である。0.1よりも短い場合は、転化率が低くなったり、圧損が大きくなることがある。
長期間の操業によって、触媒活性が低下した場合は、250〜800℃で空気や塩素を用いて酸化処理すると触媒表面についたコーキング物質を除去できる。この時、100%の空気や塩素を用いて処理を行うと、急激な発熱が起こることがあるので、安全上、窒素等で希釈して行うことが望ましい。窒素の希釈率はヒートスポットの温度を確認しながら制御することが好ましい。また、酸化処理後、HFやHClによる処理を行うことが推奨される。
気相流通方式の場合、冷却することによって、容易に生成物を回収することができる。冷却温度は−80℃から+5℃が好ましい。この温度領域が低い場合は、特殊な冷凍機が必要となるだけでなく、場合によっては凝固することがある。また、この温度よりも高い場合は、捕集効率が低くなることがある。捕集された生成物は、水または塩基性水溶液でフッ素イオンや塩素イオンを洗浄することが好ましい。洗浄方法はバッチ式でも連続式でも良い。アルカリ性水溶液を用いて洗浄する場合、中和熱が発生する可能性があるので、先ず、水で大部分の塩素イオンやフッ素イオンを除去した後、アルカリ性水溶液で洗浄し、アルカリ分の除去のために水洗浄する方法が好ましい。洗浄後のサンプルはゼオライト等の固体脱水剤で乾燥することが好ましい。
一般的に、有機物は200℃から300℃で分解すると言われているので、本発明のような高温反応は原料や生成物の分解や予期せぬ反応によって、蒸留精製が困難な不純物の副生が懸念される。安全および品質安定の観点で、特に、作動流体、洗浄剤、溶剤、発泡剤の用途では高純度品が要求されるので、どんなに高収率の反応でも分離困難物質を副生するとそのプロセス成立しない。しかし、1233Z製造法(B)の反応条件では、実質的に蒸留困難物質は認められず、容易に高純度化が可能である。
蒸留設備は特に制限されないが、理論段数が10段から30段のものが好ましい。10段よりも段数が少ないと蒸留収率が低下することがあり、30段よりも段数が多い場合は、精製の観点では特に問題が無いが、設備費やランニングコストが高くなることがある。1233Eの沸点は19℃であるので、蒸留塔の冷媒は−50℃から+5℃が好ましく、−20℃から0℃が特に好ましい。冷媒温度が−50℃よりも低い場合は、特殊な冷凍設備が必要であり、ランニングコストが高くなる。冷媒温度が+5℃よりも高いと加圧条件で蒸留する必要があり、ロスが増える。
作動流体、洗浄剤、溶剤、発泡剤等の用途の場合、先に述べた有機純度だけでなく、ハロゲンイオン濃度、水分管理が必要となる。フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオンや水分は、作動流体の場合は装置の腐食、金属部品用の洗浄剤の場合は部品の腐食、発泡剤の場合はアミン触媒の被毒の原因となる。言い換えれば、有機純度、ハロゲンイオン濃度、水分が好ましい領域ならば作動流体、洗浄剤、溶剤、発泡剤等の用途に使用可能な品質であると言える。通常、有機純度は99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。水分は100ppm以下が好ましく、さらに好ましくは30ppm以下である。酸分は5ppm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5ppm以下が推奨される。
1233Z製造法(B)は、下記の工程[1]〜[4]を含むようにしてもよい。なお、蒸留等の工程は公知の方法を適用できる。
1230及び/又は240faから1233を製造するための方法であって、1230及び/又は240faをフッ化水素でフッ素化して、245faと塩化水素を含む第1組成物を得る工程[1]と、第1組成物から蒸留により、240faと塩化水素を分離する工程[2]と、工程[2]にて分離された245faを脱フッ化水素反応させて、1234を含む第2組成物を得る工程[3]と、第2組成物と工程[2]にて分離された塩化水素を反応させて、1233を得る工程[4]と、を含む、1233の製造方法。
[(C)ラジカル異性化による1233Zの製造方法]
本発明に用いる1233Zは、
少なくとも1233Eまたは1233Zを含む原料を、ラジカル存在下で反応させ、前記原料中の1233Eと1233Zの比率を変化させるラジカル異性化工程を含む、1233Zの製造方法(以下、この製造方法を「1233Z製造法(C)」と表すことがある。)
によって製造されたものであってもよい。
「ラジカル異性化」とは、反応管系内に触媒量のラジカルが存在している状態で、1233のトランス体(1233E)またはシス体(1233Z)を相互変換する(すなわち、1233Eを1233Zに、1233Zを1233Eに異性化する。)ことを指す。低温域において、ラジカルが存在しない状態では、実質的に1233の異性化反応が進行しないが、ラジカル発生剤をごく少量添加すると、驚くべき速度で異性化反応が進行する。したがって、1233Z製造法(C)においては、ラジカルが触媒として効率的に働くので、固体触媒は特に必要でない。
本発明の原料となる1233は、1233Eもしくは1233Zまたはこれらの混合物であってもよい。1233は、公知の方法で製造されたものが使用可能であり、例えば、気相中で240faをフッ化水素と反応させ得られる1233Eと1233Zの混合物、また、この混合物を公知の精製処理に付して得られた組成物であってもよい。
上述の240faをフッ化水素と反応させ得られる1233Eと1233Zの混合物は、通常、1233Zと蒸留分離が困難な244faや235daを含有することがあるが、1233Z製造法(C)においては、1233Zから244faや235daを分離しなくても実施できることは利点の一つであり、使用する原料の製造に由来する副生成物が含まれていても問題ない。
通常、公知の製造方法によって得られた1233は、1233Eと1233Zの混合物であり、1233Eと1233Zの比率は熱力学的な平衡に支配される。この平衡比は、温度条件に依存し、また、反応容器の種類や形状、触媒の存在などの反応条件によっても変化する。
1233Z製造法(C)における異性化反応は、ラジカル反応によって1233E対1233Zの平衡比を熱力学平衡点に到達させるものであり、1233Z対1233Eの異性体比(1233Z/1233E)が平衡比よりも大きい場合、1233Zの少なくとも一部は1233Eに変換される。一方、1233Z対1233Eの異性体比(1233Z/1233E)が平衡比よりも小さい場合、1233Eの少なくとも一部は1233Zに変換される。なお、1233E/1233Zの比率は熱力学的な平衡に支配されているため、1233Eの含有率が高い原料を用いると、1233Zから1233Eへの見かけ上の転化率は小さくなる。同様に、1233Zの含有率が高い原料を用いると、1233Eから1233Zへの見かけ上の転化率は小さくなる。
目的化合物として1233Zを得たい場合、つまり、1233Eから1233Zに変換する場合、原料中に存在する1233Eの割合は、少なくとも50質量%、好ましくは70質量%、より好ましくは90質量%含まれていることが好適である。また、原料中の1233Z/1233Eの異性体比は、0から2が好ましく、この異性体比が0に近いほど好ましい。
目的化合物として1233Eを得たい場合、つまり、1233Zから1233Eに変換する場合、原料中に存在する1233Zの割合は、少なくとも30質量%、好ましくは50質量%、より好ましくは90質量%含まれていることが好適である。また、原料中の1233E/1233Zの異性体比は、0から3が好ましく、さらに好ましくは、0から1であり、異性体比が0に近いほど好ましい。
1233Eと1233Zは、沸点の違いから容易に蒸留分離できるので、1233Zと1233Eの混合物を原料として使用する場合、予め蒸留分離を行うことが好ましい。1233Zを目的化合物とする場合、1233Zと1233Eの混合物を蒸留分離し、1233Zは製品として、1233Eを原料として使用することが好ましい。一方、1233Eを目的化合物とする場合、1233Zと1233Eの混合物を蒸留分離し、1233Eは製品として、1233Eを原料として使用することが好ましい。
また、1233Z製造法(C)の異性化反応により得られた生成物を捕集し、目的化合物である1233Eまたは1233Zを蒸留等によって単離後、未反応の1233Zまたは1233Eを再び原料として使用することは原料を効率的に使用する観点から合理的で好ましい。
1233Z製造法(C)は、反応系内にラジカルを発生させることができれば、1233の異性体(トランス体である1233Eとシス体である1233Z)を相互変換する異性化反応を進行させることができる。系内にラジカルを発生させる方法は、特に制限されないが、例えば、光、熱、触媒によってラジカルを発生させる方法が挙げられる。なお、光によってラジカルを発生させる場合は、増感剤等を併用することも可能である。操作性や簡便さの観点から、外部からのエネルギー付与により、ラジカルを容易に発生する添加剤(以下、便宜上、本明細書において、「ラジカル発生剤」と呼ぶことがある。)を添加する方法は、本発明において好ましい態様の一つである。
ラジカルと1233を含む原料を接触させる方法としては、例えば、気相反応で行う場合、ラジカル発生剤に光や熱を加えて、ラジカル発生剤を予め活性化してから反応管に導入する方法、ラジカル発生剤と1233を含む原料の混合物を反応管に導入して、光や熱で活性化させる方法などが挙げられ、ラジカルを効率的に接触させるためには、ラジカル発生剤と1233を含む原料の混合物を同時に反応管に供給する方法が好ましい。なお、1233を含む原料を供給する際には、過剰に添加して生産性が低下しない範囲で、原料と一緒に窒素等の不活性ガスを同伴させることも勿論可能である。
工業的には、加熱した反応管にラジカル発生剤と1233を含む原料の混合物を同時に供給し、反応管内で該混合物に熱エネルギーを付与し熱ラジカルを発生させる方法が簡便で好ましい。
具体的には、目的化合物として1233Zを得たい場合には、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、塩素、酸素、臭素、空気、過酸化水素、オゾン、窒素酸化物、ハロゲン化炭素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加剤と、を含む混合物を加熱し、ラジカル反応により、1233Eを1233Zに異性化する方法が好ましい。ラジカル反応により、1233Eの少なくとも一部を1233Zに変換し、1233Eに対する1233Zの比率を増加させることができる。
目的化合物として、1233Eを得たい場合には、
1233Zと、
塩素、酸素、臭素、空気、過酸化水素、オゾン、窒素酸化物、ハロゲン化炭素からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加剤と、
を含む混合物を加熱し、ラジカル反応により、1233Zを1233Eに異性化する方法が好ましい。ラジカル反応により、1233Zの少なくとも一部を1233Eに変換し、1233Zに対する1233Eの比率を増加させることができる。
本発明におけるラジカルとは、不対電子を有する原子、分子、あるいはイオンなどの化学種を意味し、化学種の電荷がプラスのラジカルカチオン、化学種の電荷がマイナスのラジカルアニオン、化学種の電荷が中性のラジカル、ビラジカル、カルベンなどを含む。具体的には、フッ素ラジカル、塩素ラジカル、臭素ラジカル、ヨウ素ラジカル、酸素ラジカル、水素ラジカル、ヒドロキシラジカル、ニトロキシドラジカル、窒素ラジカル、アルキルラジカル、ジフルオロカルベン、炭素ラジカル等が例示される。
1233Z製造法(C)におけるラジカル発生剤とは、光や熱などの外部エネルギーの付与によってラジカルを発生するものであればよく特に限定されない。ラジカル発生剤の具体例としては、反応系内に容易にラジカルを発生させるものが好ましく、例えば、塩素、臭素等のハロゲンガス、空気、酸素、オゾン、過酸化水素、窒素酸化物等の酸素含有ガス、または、ハロゲン化炭素などが挙げられる。ハロゲン化炭素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類や、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン類や、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン等のアルキン類中の一部または全部の水素原子をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子で置換されたハロゲン化炭素を挙げることができる。なお、ハロゲン化炭素は、少なくとも一以上の塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を含むものが好ましい。また、フッ素原子の数が4以上の化合物はラジカル解裂が起こりにくい場合があるが、その場合は、温度等のラジカル発生条件の最適化を適宜行うことが好ましい。
ハロゲン化炭素の具体例としては、CH3Cl、CH3Cl、CH2Cl2、CHCl3、CCl4、CH3CH2Cl、CH3CCl3、CH2ClCH2Cl、CH2=CCl2、CHCl=CCl2、CCl2=CCl2、CHCl2CHCl2、CCl3CH2Cl、CH3CH2CH2Cl、CH3CHClCH3、CH3CHClCH2Cl、CH3Br、CH2Br2、CHBr3、CBr4、CH3CH2Br、CH3CBr3、CH2BrCH2Br、CH2=CBr2、CHBr=CBr2、CBr2=CBr2、CHBr2CHBr2、CBr3CH2Br、CH3CH2CH2Br、CH3CHBrCH3、CH3CHBrCH2Br、CH3I、CH2I2、CHI3、CI4、CH3CH2I、CH3CI3、CH2ICH2I、CH2=CI2、CHI=CI2、CI2=CI2、CHI2CHI2、CI3CH2BI、CH3CH2CH2I、CH3CHICH3、CH3CHICH2I、CF2HCl、CF3I、CF2I2、CF3Br、CF2Br2が例示される。
上記のラジカル発生剤の中で、安価で入手のし易さから、酸素、空気または塩素が好ましいラジカル発生剤である。塩素はラジカル発生剤として好適であるが、塩素は非常に腐食性が高く、1233Zまたは1233Eへの溶解度も高いので、異性化反応終了後に、還元剤を添加した塩基性水溶液等で洗浄除去する必要がある。一方、空気または酸素は、生成物との分離が容易であるので、特に好ましいラジカル発生剤である。
1233Z製造法(C)の好ましい形態は、ラジカル発生剤を添加することである。ラジカルの生成は連鎖することが知られているので、ラジカル発生剤は微量添加することが好ましい。なぜならば、過剰のラジカル発生剤の添加は副資材の無駄となるだけでなく、反応後にラジカル発生剤と1233の分離工程に負荷がかかる。比較的、分離が容易な空気の場合でも、空気添加量が多くなると、凝縮工程や蒸留工程の能力が低下する。また、塩素を過剰に添加すると、二重結合に塩素が付加した化合物が副生する。特に、1233に塩素がした化合物は、地球温暖化、オゾン層破壊物質であるHCFCであるので、塩素付加体の副生は少ない方が好ましい。
ラジカル発生剤の添加比を変化させた実験を行った結果、実験に塩素流量計の計量下限まで添加量を絞っても、実質的に変換率に影響が認められなかったので、ラジカル発生剤の添加量は極微量でもよいことが判明した(実施例3参照)。但し、ラジカル発生剤の最適添加量は、ラジカル発生剤の種類や反応管の構造に依存する。例えば、空気、酸素、塩素を比較した場合、活性の高さは 塩素>酸素>空気の序列となる。また、ラジカル発生剤より発生したラジカルと1233の衝突は非常に重要である。管の径や長さ、スタティックミキサー等の充填物の有無によって、1233とラジカルとの衝突確率は変化するので、ミキシングに優れた反応管の場合は、微量のラジカル発生剤の添加でも、所望する転化率を達成できるが、そうで無い場合は、ラジカル発生剤の添加量を増やして、ラジカル濃度を上げることによって、転化率を向上させることができる。
具体的に、ラジカル発生剤の添加量は、ラジカル発生剤の種類や反応管の形状に依存するが、原料となる1233Zまたは1233Eに対して通常は0.0001モル%〜10モル%、さらには、0.0001モル%から0.005モル%がより好ましい。ラジカルと1233の接触に優れた反応管では、1233とラジカルが十分衝突できるので、ラジカル発生剤の添加量は、0.0001モル%から0.005モル%が好ましい。
ラジカルと1233の接触に優れた反応管の一例として、反応に不活性なスタティックミキサーやラシヒリング、ポールリング、金網等の充填物を備えたものが例示される。本発明において、反応管に充填物を配置することはもちろん可能であるが、長さ/内径の比の大きい反応管は、上記のような充填物が無い空塔でも効率的にラジカルと1233Eの接触が可能であるだけでなく、伝熱にも優れているので特に好ましい。具体的には、長さ/内径の比が10〜1000、好ましくは20から500である。長さ/内径の比が10より小さい場合は、ラジカルと1233の接触が十分でないことがあり、長さ/内径の比が、1000よりも大きいと、装置コストが増大したり、操業条件によっては圧力損失が大きくなることがある。通常、反応管の内径は、8mm〜150mm、長さは、1mから200mの範囲で実施され、内径が10mm〜60mmで、長さが2mから50mの空塔の反応管が特に好ましい範囲である。なお、反応管の形状は、特に制限されるものではなく、直管でもコイル状でもよく、継ぎ手等を用いて折り返してもよい。
上述したとおり、1233Z製造法(C)において、ラジカルの生成は連鎖的に進行する。したがって、ラジカル発生剤がラジカルを発生しうる反応温度にすると、ラジカル開始剤が再結合したとしても容易に再開裂するので、結果的にごく僅かな触媒量でも本異性化反応は促進される。すなわち、本異性化反応は、わずかな触媒量の添加でよいことは利点の一つである。
反応装置の材質は、カーボン、セラミックス、ステンレス、ニッケル、ハステロイ、インコネル、モネル等が好ましい。また、小型設備ならば石英管等も使用できる。何も充填されていない反応管を用いてもよいが、所望によりスタティックミキサーを使用してもよい。また、ラシヒリング、ポールリング等の充填材を入れることもできる。これらの材質も上記のような耐蝕材が好ましい。なお、反応装置を加熱する場合、加熱方法は特に制限されないが、電気ヒーターやバーナーで直接加熱する方法か溶融塩、砂を用いて間接的に加熱するとよい。
1233Z製造法(C)において、固体の異性化触媒は必須ではないが、勿論、当業者の所望により使用することも可能である。具体例として、金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、活性炭などの固体触媒が例示され、これらの複合物(例えば、金属担持活性炭)も使用可能である。例えば、350℃以上の反応温度の高い領域にて、固体触媒を用いる場合、1233Eや1233Zが触媒表面上でコーキングが起こる、またはオイルを生成することがあるため、窒素雰囲気下、1300℃以上で焼成して不活性化した固体触媒を用いることが好ましい。
1233Z製造法(C)において、固体の異性化触媒を使用してもよいが、ラジカル反応の効率を低下させないために、触媒や充填物などを使用しない空塔の反応器を用いて異性化反応を行うことが好ましい。本明細書において、「空塔」とは反応器または反応塔の内部空間に触媒や充填物などの物体が存在しないことを意味する。異性化の反応領域に触媒や充填物などの物体が存在する場合、発生したラジカルが消滅してラジカルの連鎖反応が停止してしまい異性化の効率が低下する場合がある。そのため、1233Z製造法(C)は、気相流通方式の空塔で行うことが特に好ましい(実施例3参照)。
また、固体の異性化触媒を入れると、異性化反応ではなく、ラジカル発生剤と1233(1233Eや1233Z)とが予期せぬ反応を起こしてしまう場合がある。この場合、反応原料の1233が好ましくない副生物に変換されるだけで、ラジカル発生剤が1233との反応に消費されてしまうので、好ましくないことがある。
反応温度は、通常、150〜800℃の範囲であり、好ましくは、150〜450℃、より好ましくは、200〜350℃である。好ましい反応温度は、ラジカル発生剤からラジカルが効率的に発生する温度と言い換えることができる。150℃よりも反応温度が低いとラジカルが十分に発生しないので、非常に反応速度が遅くなることがある。一方、800℃よりも高い場合は、原料または精製生物が、オイル状の高沸物になったり、コーキングしたりすることがある。
高温側では、目的化合物を1233Eとする場合は、熱力学的平衡が不利になる。1233Eを目的化合物とする場合、反応温度は、通常150〜800℃の範囲であり、好ましくは、150〜450℃、より好ましくは、200〜350℃である。一方、1233Zを目的化合物とする場合は、150〜800℃の範囲が好ましく、さらに、300〜700℃、より好ましくは、350〜600℃である。
反応はバッチ式または流通式を適用することができるが、工業的に生産性の高い気相流通方式が好ましい。反応圧力は特に制限が無いが、常圧近傍での操業が容易である。但し、1MPa以上の加圧反応は高価な耐圧性の装置が必要となるだけでなく、原料または生成物の重合が懸念されるため好ましくない。
通常、気相流通方式の場合、反応系の容積を原料供給速度で除した値で、生産性を議論することが多い。もし、反応系に触媒を充填した場合は、接触時間と呼ばれている。1233Z製造法(C)の場合、固体触媒を用いていないが、便宜上、同様に接触時間と呼ぶ。
1233Z製造法(C)における接触時間は、十分に異性化が進行すれば特に制限はないが、通常、0.01秒から50秒であり、好ましくは0.05秒から20秒である。一般に、これらよりも接触時間が短いと熱力学的平衡組成から大きく乖離した転化率しか示さないことがある。逆に、これらよりも大きい場合は、平衡組成に近い転化率を示しても、生産性が悪くなる、または、タール化することがある。
異性化で得られた1233Eと1233Zの混合物は洗浄によって、ラジカル発生剤や酸分を除去し、ゼオライト等で乾燥後、通常の蒸留操作によって、1233Eと1233Zを単離することが出来る。また、得られた1233E、1233Zは反応の原料として利用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限られない。
有機物の組成は、別途注釈のない限り、FID検出器によるガスクロマトグラフィーにより測定し、記録された「面積%」を「GC%」と表示した。
<1233Z製造法(A)>
[実施例1−1]
フード内に、それぞれ独立して温度制御可能な2本のシースヒーターを巻いた何も充填していない反応管(外径8mm、内径6mm、長さ600mm)を縦置きした。反応管上部には圧力ゲージ、窒素導入口、有機物導入口を設置し、出口にはガスサンプリング口を設置した。上部の加熱ゾーン(予備加熱部、250℃設定)の長さは200mmであり、下部の加熱ゾーン(反応部温度は表1記載)の長さは300mm(反応部の容積:8.48ml)である。反応管出口には、氷で冷却したガス洗浄瓶(内容物:10gの重曹を190gのイオン交換水にとかしたもの)を経由後、合成ゼオライト(MS−3A)を充填した乾燥塔、ドライアイス-アセトンで冷却したステンレススチール製(SUS製)トラップ(出口はピンホールを開けたゴム風船)を設置した(図1参照)。
窒素(300ml/分)を流通させながら、上部の予備加熱部を250℃、下部の反応部を500℃に加熱後、純度99.19%の1233Eを0.6g/分の速度で供給し、1分後に窒素の供給を停止した。4時間後にガスサンプリング口から、ガスタイトシリンジで採取したガスを分析した結果を表1に示す。また、目視観察した結果、オイル分の生成は認められなかった。
[実施例1−2〜1−13]
反応温度、有機物供給速度(滞留時間)を変更した以外、実施例1−1と同様の実験を行った。その結果を表1に示す。また、目視観察の結果、オイル分の生成は認められなかった。
[実施例1−14]
窒素100ml/分を同伴する以外、実施例1−13と同様の実験を行った。その結果を表1に示す。窒素同伴により、TFPy等の低沸分の副生が抑制された。
[比較例1−1〜1−3]
反応温度、有機物供給速度(滞留時間)を変更した以外、実施例1−1と同様の実験を行った。その結果を表1に示す。なお、比較例1−1、1−2においては、オイルの生成は認められなかったが、転化率は実用的なレベルに至らなかった。比較例1−3においては大量のオイル分の生成が認められた(ガスサンプリング口がオイルで汚れてガスクロ分析できなかった)。
[比較例1−4]
γアルミナビーズを粉砕して、約0.5mmから1.5mmの粒8.5mlを上記の反応管に充填後、表1に記載の条件で実施例1−1と同様の実験を行った。オイルの生成が認められた後、反応管が閉塞したので、実験を中止した。
[比較例1−5]
AlF3ペレットを用いる以外は比較例1−4と同じ実験を行った。同様にオイルの生成が認められた後、反応管が閉塞したので、実験を中止した。
[実施例1−15]
物質収支を求めるために実施例1−10のサンプリング後、ガス洗浄瓶(内容物:イオン交換水(200ml))とSUS製トラップを交換し同条件で反応を継続した。124.59gフィード後(約85分後)、ガス洗浄瓶およびSUS製トラップ内の液体の両方を予め冷蔵庫で冷却した分液ロートに入れて分液した。その結果、有機物が124.33g回収された(有機物回収率は99.8%、組成はTFPy:0.04%、1234E:0.43%、1336:0.00%、245fa:0.09%、1234Z:0.17%、1233E:82.81%、1233Z:15.82%、その他:0.64%)。また、上層の水相を水酸化ナトリウムによる中和滴定及び硝酸銀滴定したところ、有機物中の塩酸含有量は0.002wt%、フッ化水素含有量は0.05wt%であった。以上より、本条件において、オイル生成やコーキングが実質的に起こっていないことが示された。
[実施例1−16]
5質量%の重曹水(500ml)を入れたSUS製ガス洗浄瓶(3000ml)を用いる以外、実施例1−8と同様の実験を12時間行った。ガス洗浄瓶とトラップの液体を合わせて、分液することによって、2092.5gの有機物を得た。これに102gの5質量%の重曹水を加えて洗浄、分液すると、2047.7gの有機物が得られた。これに101gのイオン交換水を加えて洗浄、分液することによって、2012.1gの有機物が得られた(この時の水相のpHは8であった)。この有機相に105gのイオン交換水を加えて、同様に洗浄、分液した結果、1979.1gの有機物が得られた(この時の水相のpHは7であった)。この有機物に合成ゼオライト(MS−3A)を50g加えて、一晩冷蔵庫で保管後、濾過することによって水分8ppmのサンプルが1910.1g得られた。このサンプルを理論段数35段の蒸留塔で分留した結果を表2に示す。有機物は−5℃に冷却したマイクロシリンジを用いて液体のサンプルをガスクロマトグラフィーで分析した。フラクション8において、99.94GC%の高純度1233Zが得られ、このフラクションにおいて244fa、235daは検出されなかった。
[実施例1−17]
実施例1−16の蒸留で得られたフラクション2から6をブレンドしたリサイクル原料(1233E:純度99.61%)として、実施例1−8と同様の実験を行った結果を表1に示す。リサイクル原料でも同じ結果が得られた。
<1233Z製造法(B)>
実施例2において、表示桁数以下は四捨五入した。例えば、表中の0.00GC%は0.005GC%未満であることを示している。
[調製例2−1]
長さ240mm×内径3/4インチのステンレス鋼(SUS316製)反応管にγ−アルミナビーズ(住友化学製、KHS−46)を36g充填した。ジャケット温度を50℃に制御し、窒素(50cc/分)を流通させながら、気化器経由でHFを0.4g/分で流通させた。アルミナへのHFの吸着熱および反応熱によって、特に入り口部に発熱が観測され、その発熱帯は徐々に出口方向に移動した。この時、温度が最も高いヒートスポットが400℃を超えた場合、HF供給速度を0.1g/分に下げて、局所発熱を抑制した。発熱帯が出口に達した後、ジャケット設定温度を50℃ずつ350℃まで上げて、上記と同じ作業を繰り返した。
この後、ジャケット設定温度を350℃に設定し、HF流量をゆっくりと0.7g/分まで上げた。この時のヒートスポットの温度が400℃を超えた場合は、同様にHF流量を0.1g/分に下げた。ジャケット温度350℃、HF流量0.4g/分の条件で、実質的にヒートスポットが観測されなくなった時点から、さらに同じ条件で2時間処理を継続し、その後、窒素だけを流通させながら、ヒーターの電源を切り、冷却し、HF処理したアルミナ触媒を得た。
[実施例2−1](原料:1234E)
窒素を15ml/分で流しながら電気炉を加熱した。触媒の温度が350℃に達した時に、HFを2.3質量%含む塩化水素(HCl)166ml/分で気化器を通して導入した。HClを流通させたまま、1000mlのシリンダーに充填した1234E(99.9GC%、表3に詳細な原料組成を記載)を0.14g/分(27.5ml/分)で気化器を通して導入した直後に、窒素の流通を停止した。反応温度が360℃で定常状態を確認した後、分析を行った。サンプリング方法は、下記の通りである。水(10g)を入れた容量100ccのポリエチレン製バッグにサンプルを採取し、振って酸分を水で吸収した後、オーブンで50℃に加熱し、気相部分をFID検出器のガスクロマトグラフで分析した結果を表3に示す。
[実施例2−2〜2−4]
実施例2−1と同様な手順で、表3に示す条件で実験を行った。なお、使用する塩化水素は、純度99.99GC%の高純度塩化水素を使用した。
実施例2−1〜2−4より、本発明の方法によれば、原料として1234Eを使用した場合、1233を高い収率で得られることが分かる。
[実施例2−5〜2−9](原料:1234Z)
使用する原料を1234Zとし、実施例2−1と同様な手順で、表3に示す条件で実験を行
った。実施例2−5、2−7、2−8、2−9では99.99GC%の高純度塩化水素を使用した。実施例2−6では、実施例2−1と同様にHFを含有する塩化水素を用いた。
実施例2−5〜2−9より、本発明の方法によれば、原料として1234Zを使用した場合でも、実施例2−1〜2−4と同様に、1233を高い収率で得られることが分かる。
[実施例2−10]
実施例2−5の反応条件で、反応を約100時間継続した。ドライアイスで冷却したステンレスシリンダーで生成物を捕集し、氷水で洗浄後、ゼオライトで乾燥して、790gの粗体を得た。これを理論段数20段の硝子製蒸留塔で蒸留した。99.9GC%のフラクションを実施例2−11に提供し、38℃から41℃の1233Zを主成分とする留分を実施例2−12に提供した。
[実施例2−11](用途:洗浄剤)
実施例2−10の蒸留で得られた純度99.9GC%の1233E(310g)のフラクションを温度10℃の冷蔵庫で保管した。このサンプル100gを超音波洗浄機に入れて、指紋が付いたガラスレンズを100秒間洗浄した。洗浄後、ドライヤーで60秒間乾燥し、目視にて観察したところ、指紋は消失し、シミも認められなかった。
[実施例2−12](用途:洗浄剤)
実施例2−10の蒸留における38℃から41℃の留分(36g、主成分:1233Z)を用いて実施例2−11と同様の実験を行った。その結果、実施例2−11と同様に、指紋は消失し、シミも認められなかった。
<1233Z製造法(C)>
図1に示す気相反応装置を用いて、1233の異性化反応を行った。図1に示すように、気相反応装置は、それぞれ独立して温度制御可能な2本のシースヒーター(上部の予備加熱部、下部の反応加熱部)を巻いた反応管を備えており、反応管の上部には、圧力計、キャリアガス導入口、原料導入口を設け、反応管の下部にはガスサンプリング口を設置した。さらに、反応管の出口の後段には、順に、氷で冷却したガス洗浄瓶、乾燥塔、ドライアイス−アセトントラップで冷却したステンレススチールトラップを設置した。ガス洗浄瓶には、10gの重曹を190gのイオン交換水で溶かした溶液を充填した。乾燥塔には、合成ゼオライト(MS−3A)を充填した。また、トラップの出口には、ピンホールを空けたゴム風船を設置した。なお、反応管には、触媒等の充填物は使用せずに、空塔(空の状態)で異性化を行った。
異性化反応の手順として、窒素をキャリアガス導入口から流通させながら、反応管の上部と下部のシースヒーターを、PID式温度コントローラーを用いて所定温度に制御し、次いで、原料導入口から原料化合物を所定の供給速度で導入すると同時に窒素の流通を止めた。反応が定常状態を示したときに、生成ガスをガスサンプリング口で採取してガスクロマトグラフで分析した。実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−3の実験条件と得られたガス組成の結果について表4に示す。
[1233Eから1233Zへの異性化反応]
[実施例3−1]
窒素(300ml/分)を流通させながら、上部の予備加熱部を250℃、下部の反応
加熱部を450℃に加熱後、原料導入口から純度99.23%の1233E(1233Z:0.09%含有)を1.27g/分、ラジカル発生剤として塩素(Cl2)を4.3ml/分の供給速度で供給し、1分後に窒素の供給を停止した。4時間後にガスサンプリング口から、ガスタイトシリンジで採取したガスを分析した。原料の供給方法としては、1233Eとラジカル発生剤となる塩素(Cl2)の混合物を同時に反応管に供給した。また、目視観察した結果、オイル分の生成は認められなかった。なお、実施例3−1においては、反応管の材質として石英を使用した。塩素/1233Eのモル比は0.020である。
[実施例3−2、3−3]
反応温度、原料供給速度を変更した以外は、実施例3−1と同様の実験を行った。また、目視観察の結果、オイル分の生成は認められなかった。なお、実施例3−2、3−3において、塩素/1233Eのモル比は、実施例3−1と同様に0.020である
[実施例3−4]
石英製反応管の代わりに同じ大きさのNi製反応管を用いる以外、実施例3−3と同じ実験を行った。その結果を表4に示す。また、目視観察の結果、オイル分の生成は認められなかった。特に、反応管の材質の違いの有意差は特に認められなかったことから、壁効果よりもラジカルの存在が大きいことが示唆された。
また、実施例3−1〜3−4では、ラジカル発生剤として塩素を加えた場合においても、1233Eに塩素が付加されたCF3−CHCl−CHCl2の副生は僅か0.1%程度であり、副反応は起こりくいことが分かった。
[比較例3−1〜3−3]
比較例3−1〜3−3として、塩素を添加しない以外は、実施例3−1〜3−3と同じ実験条件で反応を行った。その結果、塩素を添加しない場合、異性化反応は進行しなかった。
[1233Zから1233Eへの異性化反応]
1233Zを主成分として含む原料を用いて異性化反応を行った。実施例3−5〜3−8及び比較例3−4〜3−6の結果を表5〜表7に示す。なお、1233Zから1233Eへの異性化反応は、図1に示す気相反応装置を用い、実施例3−1と同様な手順で反応を行った。
[実施例3−5]
ラジカル発生剤として、四塩化炭素(CCl4)を所定量含有させた1233Zを原料として、異性化反応を行った。
[比較例3−4]
比較例として四塩化炭素(CCl4)を含まない1233Zを原料として、異性化反応を行った。
表5に示すように、異性化反応後の組成物の組成は、1233E/1233Zの比が71.75/14.05=5.16であり、わずか0.3%の四塩化炭素(CCl
4)でも異性化反応が進行していることが分かる。一方、比較例3−4の異性化反応後の組成物の組成は、1233E/1233Z比は9.05/78.68=0.115であり、実施例3−5と比較して、1233Zの異性化反応が十分に進行してないことが分かる。
[実施例3−6]
原料として純度99.67%の1233Zを0.41g/分の供給速度で、ラジカル発生剤として塩素ガスを2.4ml分の供給速度で(塩素/1233Zのモル比は0.034であり、塩素の添加量は3.4mol%)、200℃に加熱された反応管(ハステロイC276製)に導入する以外、実施例3−5と同じ実験を行った。
[比較例3−5]
塩素ガスを添加しない以外は、実施例3−6と同じ実験を行った。
表6において、実施例3−6では、異性化反応後の組成物において、1233E/1233Z比は79.69/19.70=4.05であり、ラジカル発生剤を添加すると高い収率で1233Zを1233Eに変換できるのに対して、比較例3−5のラジカル発生剤が無い系では、1233E/1233Z比は1.05/98.6=0.011であり、実質的に異性化進行していなかった。
[実施例3−7、3−8]
塩素ガスの代わりに空気をラジカル発生剤として、実施例3−5と同様の実験を行った。なお、空気中の酸素がラジカル発生剤としての有効成分であり、空気の組成における酸素成分は、20.9%なので、実施例3−7、3−8における酸素/1233Zのモル比は、実質的にそれぞれ0.028、0.0028である。
表7により、ラジカル発生剤として空気を添加することによって、高い収率で1233Zを1233Eに変換できることが分かる。なお、比較例3−6では、窒素のみをラジカル発生剤として添加したが、十分な異性化反応は進行しなかったため、空気中の酸素がラジカル発生剤としての有効な成分であることが示唆された。
<TFPyの製造>
実施例1〜3において製造した1233Zを用いて、以下の比較例4−1、実施例4−1〜4−3を行った。
[比較例4−1]
まず、1L容量のステンレス鋼製反応器に、圧力計、二重管式凝縮器、攪拌翼をとりつけ、さらに二重管式凝縮器に、抜き出し弁を設けた抜き出し管を取り付けて、捕集器と接続させて、TFPy製造装置とした。
次に、該反応器に、水酸化カリウム(89.60g、1.6モル)、水507.70gおよび1233Z(104.40g、0.8モル)を仕込み、密閉後、該攪拌翼で撹拌しつつ、60〜70℃で4時間加熱した。その時の最終圧力は1.0MPaGであった。反応終了後、該凝縮器に−20℃の冷媒を流通させ、該抜き出し弁を開き、メタノール+ドライアイスで冷却させた該捕集器にて有機物を液化して捕集した。
回収した有機物は43.44gであった。TFPyの収率は58.3%であった。回収液をガスクロマトグラフで分析したところ、TFPyの純度は98.9%であった。
[実施例4−1]
比較例4−1と同様のTFPy製造装置において、該反応器に、水酸化カリウム(168.00g、3.0モル)、水504.00gおよび1233Z(195.75g、1.5モル)を仕込んだ。密閉後、該攪拌翼で撹拌しつつ、50℃で2時間加熱した。反応開始から該凝縮器に−20℃の冷媒を流通させ、反応圧力が0.2MPaGを超えないように該抜き出し弁を調節し、メタノール+ドライアイスで冷却させた該捕集器にて有機物を液化して捕集した。
回収した有機物は118.68gであった。TFPyの収率は83.5%であった。回収液をガスクロマトグラフで分析したところ、TFPyの純度は99.4%であった。
[実施例4−2]
比較例4−1と同様のTFPy製造装置において、該反応器に滴下ポンプを備えつけた。該反応器に、1233Z(104.40g、0.8モル)を仕込み、密閉後、該攪拌翼にて撹拌しつつ50℃に加熱し、水酸化カリウム水溶液[水酸化カリウム(89.60g、1.6モル)、水507.70g]を2時間かけてポンプ導入した。反応開始から該凝縮器に−20℃の冷媒を流通させ、反応圧力が0.2MPaGを超えないように該抜き出し弁を調節し、メタノール+ドライアイスで冷却させた該捕集器にて有機物を液化して捕集した。
回収した有機物は64.58gであった。TFPyの収率は85.9%であった。回収液をガスクロマトグラフで分析したところ、TFPyの純度は97.5%であった。
[実施例4−3]
実施例4−2と同様の装置を用いて、該反応器に水酸化カリウム(89.60g、1.6モル)、水507.70gを仕込み、密閉後、該攪拌翼にて撹拌しつつ50℃に加熱し、1233Z(104.40g、0.8モル)を2時間かけてポンプ導入した。反応開始から該凝縮器に−20℃の冷媒を流通させ、反応圧力が0.2MPaGを超えないように該抜き出し弁を調節し、メタノール+ドライアイスで冷却させた該捕集器にて有機物を液化して捕集した。
回収した有機物は54.43gであった。TFPyの収率は72.4%であった。回収液をガスクロマトグラフで分析したところ、TFPyの純度は98.5%であった。