JP6035546B2 - ソフトフォーカスフィルター - Google Patents

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本発明はカメラのレンズ前面に装着して画像又は映像の輪郭線の周囲に光や影がにじむような効果を与えるために使用するソフトフォーカスフィルターに関するものである。
カメラで撮影した画像(又は映像)に特殊効果を与えるために使用するフィルターとしてソフトフォーカスフィルターがある。これは画像(又は映像)の輪郭線の周囲に光や影がにじむ(ぼかす)ような効果を与えることができるもので、像を柔らかく(つまりソフトに)することができるためソフトフォーカスフィルターと呼ばれている。
このようなソフトフォーカスフィルターの一例として特許文献1及び2を挙げる。ソフトフォーカスフィルターは意図的に屈折による球面収差を付与することでソフト効果を得るものであるが、一般的にこの特許文献1(特に段落0003)にあるようにガラス表面にサンドブラスト処理を施してレモンピール状の凹凸面や梨地面(つまり粗い曇りガラス状)とすることで構成される。
特許文献2は簡易なソフトフォーカスフィルターといえるもので、網目の布をフィルター代わりにレンズの前面に配置して光の回折効果を利用して光や影のにじみを付与するものである。
特開2005−55491号公報 特開平11−38500号公報
しかしながら、特許文献1のようなソフトフォーカスフィルターは基本的に光の拡散(散乱)と屈折を利用して透過する光をにじませるものであって、いわゆるハイキーな調子のにじみを得ることしかできず、影をにじませる作用はないものである。また、特許文献2のように網をフィルターとして使用する場合では同じ調子の繰り返しの網目によって干渉が生じて多重像が生じてしまうという欠点がある。
そのため、これらのような従来のフィルターにおける欠点を解決するソフトフォーカスフィルター、つまり、光も影もにじませることができ、多重像が生じることもないソフトフォーカスフィルターが求められていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。本発明の目的は、光も影もにじませることができ、多重像が生じにくいソフトフォーカスフィルターを提供することにある。
上記課題を解決するために手段1では、10〜200μm幅の線によって直列でかつ連続的又は不連続的に構成される同一又は異なる形状の基準図形群を、隣接する前記基準図形同士の最接近間隔が300μm以下となる部分を有するように透明基板上に散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成し、前記透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置されるようにしたことをその要旨とする。
このように透明基板上に基準図形群を散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成すると、10〜200μm幅の線と最接近間隔が300μm以下となる部分との小さな透過孔によって回折及び干渉現象が生じるため、回折像が光や影がにじむ一種のぼかし効果を基本画像の周囲に与えることとなる。一方、回折現象に伴って回折像が重なることで干渉が生じるが、透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるため、干渉が生じても規則的ではなく多重像が発生しにくくなる。
このような構成によって、ソフトフォーカスフィルターに光をにじませるだけでなく、影の部分をもにじませるような効果を与えることができるとともに、多重像が発生しにくく全体としてきれいな「ぼけ」の効果を得ることができる。
ここに「10〜200μm幅の線」としたのは、200μmよりも太い線であると線自体が影として撮像に写りこんでしまう可能性があるからである。10μmよりも細い線であると回折効果が画像に及ぼす割合が小さくなり、ソフト効果が極めて微弱となるためである。
また、「線は直列でかつ連続的又は不連続的に構成される同一又は異なる形状の基準図形群」であるが、これはある図形を線で表現する場合に途切れている部分があっても線がすべてつながっているような形態であってもよいことを意味する。同じ基準図形を組み合わせても異なる基準図形を組み合わせてもよい。
また、「最接近間隔が300μm以下」としたのは300μm以下に接近した部分によって回折像の相互干渉が生じるためである。
また、「透過光遮蔽紋様」とは基準図形群を散布状に配置して基準図形位置において基本的に光の透過を遮蔽し、それ以外の部分で透過を許容するような平面的な模様をいう。
また、「透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置される」ようにするのは、基準図形群を局部的には光の透過量が位置によって不均一とすることで上記の多重像の発生を防止するとともに、広域的には均等な分散率で配置することでフィルターとしての均等な効果を得るようにしたものである。
透明基板としては、ガラスの他、硬質の透明プラスチックを使用することが可能である。透過光遮蔽紋様は透明基板上へ印刷、真空蒸着、蝕刻等で形成させることが可能である。このような手法で透過光遮蔽紋様を形成することができるので、様々な紋様を簡単に透明基板に形成させることが可能である。また、基材に反射防止のためのコーティングを施したり、形成した透過光遮蔽紋様を保護被膜で覆うようにしてもよい。
また、本発明はソフトフォーカスフィルターであるが、コントラスト低減フィルタとして使用することも念頭においている。
また、手段2では、前記基準図形を所定の鏡像非対称形状となるように構成し、複数の鏡像非対称形状の前記基準図形を最接近間隔が300μmを部分を有するように連続的に配置したことをその要旨とする。
このような構成とすることで上記作用に加えて、「基準図形群が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置される」ことを容易に実現することが可能となる。基準図形群を局部的に光の透過量が位置によって不均一とする場合に基準図形が鏡像対称形状であると、同じ基準図形を連続的に配置すると向きを考えなければ局部的には光の透過量が位置によって不均一とならない場合がある。そのため、基準図形を所定の鏡像非対称形状となるように構成することで容易に局部的にはの透過量が位置によって不均一となるようにするものである。そして、そのような鏡像非対称形状の基準図形を広域的に均等な分散率で散布状に配置させることでフィルターとしての均等な効果を得ることが可能となる。
また、手段3では、前記基準図形は交差部分のない輪郭のみを有することをその要旨とする。
交差部分があるとその部分の見かけ上の面積が大きくなり撮像に写りこんでしまう可能が増すからである。理論的には交差部分の最大幅が200μmを超えなければ本発明が適用している写真撮影の光学系の実用範囲では写りこむ可能性は低い。
また、手段4では、前記基準図形は環状に閉じた大きさの異なる複数の図形を大きさの順に内部に包囲させた図形群から構成されていることをその要旨とする。
これは真円を中心をずらして配置させるような下記具体的な実施例を想定している。このような図形群は全体として鏡像非対称形状であるため、散布状に配置することが容易である。また、真円以外の形状を大きさの順に内部に包囲させるようにしてもよい。
また、手段5では、前記基準図形は渦巻形状であることをその要旨とする。
これも下記具体的な実施例を想定している。
また、手段6では、10〜200μm幅の同一又は異なる形状の点群を、隣接する前記点同士の最接近間隔が300μm以下となる部分を有するように透明基板上に散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成し、前記透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置されるようにしたことをその要旨とする。
このように透明基板上に基準図形群を散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成すると、10〜200μm幅の点群と最接近間隔が300μm以下となる部分との小さな透過孔によって回折及び干渉現象が生じるため、回折像が光や影がにじむ一種のぼかし効果を基本画像の周囲に与えることとなる。一方、回折現象に伴って回折像が重なることで干渉が生じるが、透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるため、干渉が生じても規則的ではなく多重像が発生しにくくなる。
このような構成によって、ソフトフォーカスフィルターに光をにじませるだけでなく、影の部分をもにじませるような効果を与えることができるとともに、多重像が発生しにくく全体としてきれいな「ぼけ」の効果を得ることができる。
手段1の発明においては線を構成要件としたが、手段6では局部的に光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置するために、点群を構成要件とする。点群は密度差によって不均一となるように配置するようにしてもよく、請求項7のように特定の図形輪郭上をなぞるように配置してもよい。
ここに「透過光遮蔽紋様」とは点群を散布状に配置して点位置において光の透過を遮蔽し、それ以外の部分で透過を許容するような平面的な模様をいう。その他、上記段落0006に記載されている内容は手段6について対応する内容について同様に適用される。
また、手段7では、前記点群は所定の鏡像非対称形状となるように構成された交差部分のない輪郭からなる図形形状に沿って配列されることをその要旨とする。
また、手段8では、前記基準図形は濃色に着色されていることをその要旨とする。
このような構成によって、回折及び干渉現象が実現できる。濃色とは黒色を含む概念である。
また、手段9では、前記基準図形は可視域全般に渡る波長の光線が乱反射された色に着色されていることをその要旨とする。
このような構成によって、回折及び干渉現象が実現できると同時に、散乱現象が生じるため、若干ハイライトが強調されたぼかし加減のソフトフォーカスフィルターを得ることができる。「可視域全般に渡る波長の光線が乱反射された色」とは白〜白交じりの彩度のある色が挙げられる。
本発明では、光も影もにじませることができ、多重像が生じることもないソフトフォーカスフィルターを提供することが可能となる。
本発明の実施の形態のソフトフォーカスフィルターのカメラに対する使用方法を説明する説明図。 基準図形の一例を説明する説明図。 (a)〜(c)は透過光遮蔽紋様の一例を説明する説明図。 (a)はソフトフォーカスフィルターを使用しない通常のレンズのみでの画像(b)は実施例1の透過光遮蔽紋様を使用したソフトフォーカスフィルターによる画像。 実施例2における基準図形の一例を説明する説明図。
以下、本発明の具体的な実施の形態及び実施例について図面に基づいて説明する。
本実施の形態は図1に示すようにカメラ10のレンズ11の先端に取り付けて使用するソフトフォーカスフィルター12である。ソフトフォーカスフィルター12は透明基板としての円板形状のガラス13とガラス13の全外周を保持させたフレーム枠14から構成されている。フレーム枠14にはレンズ11に螺合させるための図示しない雌ネジが形成されている。取り付け時にレンズ側(内側)となるガラス13表面には印刷によって透過光遮蔽紋様15が形成されている。ソフトフォーカスフィルター12はレンズ11の前端外周に形成された雄ネジに対して螺合されて使用される。
以下、実施例としてこのようなソフトフォーカスフィルター12のガラス13表面に形成される透過光遮蔽紋様15について説明する。
(実施例1)
本実施例1では、図2に示すような径の異なる5種類の真円を自身よりも大きな径の円に内包されるように、かつ隣接する径の大きさ同士において中心をずらした状態で非接触状態となるように配置した多数の基準図形B1を使用している。5種類の真円の径のサイズはフィボナッチ級数に基づいて設計した(他の設計手法でも構わない)。基準図形Bを縦横に近接配置させてかつ、2つの小円を基準とするサブ図形B2を4つの基準図形B1によって包囲される空間に配置して黒色で透過光遮蔽紋様15を形成した(図3(a))。
サブ図形B2は径の異なる2つの真円を基準とし、以下の4種類が用意され、ランダムに選択される。
1)中心をずらした状態で非接触状態で配置したもの
2)ずらさない状態で非接触状態で配置したもの
3)1)又は2)でその中心に小黒点を配置したもの
4)1)又は2)でその中心に小黒点を配置しないもの
基準図形B1及びサブ図形B2を構成する線の太さは90μm、基準図形B1を構成する円の径は大きいほうから順に3.5mm、2.8mm、2.1mm、1.4mm、0.5mm、サブ図形B2を構成する円の径は大きいほうから1.4mm、0.5mm、0.1mm、基準図形B1同士の最も接近した位置の間隔は20μmである。
このような透過光遮蔽紋様15を透明なガラスに印刷していくつかの条件で撮影したところ良好な効果が得られた。図4(a)は実施例1を使用しないで撮影した画像の例であり、図4(b)は実施例1を使用した例である。
(実施例2)
実施例2では実施例1と同じ輪郭の基準図形B1とサブ図形B2によって実施例1と同様の配列パターンで黒色で透過光遮蔽紋様15を形成した(図3(b))。実施例2では実施例1と異なり線分を破線で表現した。1線分の長さは300μm、破線の間隔は300μmである。このような透過光遮蔽紋様15を透明なガラスに印刷していくつかの条件で撮影したところ実施例1と同様に良好な効果が得られた。
(実施例3)
実施例3では実施例1及び2と同じ輪郭の基準図形B1とサブ図形B2によって実施例1と同様の配列パターンで黒色で透過光遮蔽紋様15を形成した(図3(c))。実施例3では実施例2と同様に破線で表現した。しかし、実施例3では1線分の長さが700μm、破線の間隔は800μmであり、実際には点描の密度を変えて透過光遮蔽紋様15を表現したものと考えよい。このような透過光遮蔽紋様15を透明なガラスに印刷していくつかの条件で撮影したところ実施例1及び2と同様に良好な効果が得られた。
(実施例4)
実施例4では実施例1と同じ透過光遮蔽紋様15を白色で表現した。このような透過光遮蔽紋様15を透明なガラスに印刷して撮影したところ実施例1及び2と同様に良好な効果が得られた。但し、上記各実施例よりもハイライト側がいくぶん強調された効果が得られた。
(実施例5)
実施例5では図5に示すような螺旋(渦巻き)の間隔が異なるフェルマーの螺旋(の中央寄り)を使用した基準図形B1を実施例1と同様に配置した。線の太さは実施例1と同様である。4つの基準図形B1によって包囲される空間に実施例1と同じサブ図形B2を配置して黒色で透過光遮蔽紋様15を形成した。このような透過光遮蔽紋様15を透明なガラスに印刷していくつかの条件で撮影したところ実施例1〜3と同様に良好な効果が得られた。
(比較例1)
線径30μmのステンレス製の金網をフィルターとみなしてメッシュ100(100本/インチ=254μm)で上記実施例と同じ条件で撮影したところ、点光源が視野内にある場合に多重像の発生が見られた。
(比較例2)
透明ガラスの表面に微細な凹凸を形成させたソフトフォーカスフィルターとしてマルミ光機株式会社製「フォギライザー」を上記実施例と同じ条件で撮影したところハイライトのみによってぼけ(にじみ)作用が得られた。
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施例では透過光遮蔽紋様15は黒色又は白色の印刷で形成するようにしていたが、これら以外の色を単一又は複数で使用することも可能である。また、形成手段として印刷以外の真空蒸着、蝕刻等で形成するようにしてもよい。
また印刷色として透明色を使用することも可能である。透明な樹脂を印刷用基材として使用することで基材との屈折率差、図形の厚みによるレンズ効果を生じ、屈折を主体としたぼかしを加味することができるからである。
・ガラスに反射防止のためのコーティングを施したり、形成し透過光遮蔽紋様15を保護被膜で覆うようにしてもよい。
・単層の印刷等ではなく、重ねて図形形成を行なったり基材の両面に図形を配置するなど重層的な構造をとることも自由である。
・上記各実施例の基準図形B1の形状は一例である。
・上記各実施例の線分のサイズや基準図形B1の配置間隔は一例であって、他の態様で透過光遮蔽紋様15を形成することも可能である。
・基準図形B1として上記のような複雑な鏡像非対形状だけでなく、単純な直線や円を使用してそれを局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置されるようにしてもよい。
・実施例1では基準図形B1サブ図形B2を真円の組み合わせで構成したが、真円以外の「閉じた平面形状」で構成するようにしてもよい。
・閉じてなく、かつ交差しない線分の鏡像非対称形状として実施例5のようなフェルマーの螺旋を挙げたが、その他の等間隔ではない螺旋として放物線螺旋や双曲線螺旋のように代数で表現できる螺旋を用いることも可能である。また、螺旋を複数組み合わせるようにしてもよい。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない態様で変更して実施することは自由である。
12…ソフトフォーカスフィルター、13…透明基板としてのガラス、15…透過光遮蔽紋様、B1…基準図形。

Claims (7)

  1. 10〜200μm幅の濃色に着色された線のみによって直列でかつ連続的又は不連続的に構成される同一又は異なる形状の基準図形群を、隣接する前記基準図形同士の最接近間隔が300μm以下となる部分を有するように透明基板上に散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成し、前記透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置されるようにしたことを特徴とするソフトフォーカスフィルター。
  2. 前記基準図形を所定の鏡像非対称形状となるように構成し、複数の鏡像非対称形状の前記基準図形を最接近間隔が300μm部分を有するように連続的に配置したことを特徴とする請求項1に記載のソフトフォーカスフィルター。
  3. 前記基準図形は交差部分のない輪郭のみを有することを特徴とする請求項2に記載のソフトフォーカスフィルター。
  4. 前記基準図形は環状に閉じた大きさの異なる複数の図形を大きさの順に内部に包囲させた図形群から構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のソフトフォーカスフィルター。
  5. 前記基準図形は渦巻形状であることを特徴とする請求項2又は3に記載のソフトフォーカスフィルター。
  6. 10〜200μm幅の同一又は異なる形状の点群を、隣接する前記点同士の最接近間隔が300μm以下となる部分を有するように透明基板上に散布状に配置して透過光遮蔽紋様を形成し、前記透過光遮蔽紋様が局部的には光の透過量が位置によって不均一となるようにランダムに配置されるとともに広域的には均等な分散率で配置されるようにしたことを特徴とするソフトフォーカスフィルター。
  7. 前記点群は所定の鏡像非対称形状となるように構成された交差部分のない輪郭からなる図形形状に沿って配列されることを特徴とする請求項6に記載のソフトフォーカスフィルター。
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