JP6036616B2 - 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで疲労き裂の発生を抑制するために、付加溶接を施して溶接止端部の形状を改善することによって、応力集中を低減する技術、あるいはショットピーニング等で圧縮の残留応力を導入する技術が検討されている。しかし溶接構造物には多数の溶接止端部が存在するので、付加溶接やショットピーニング等の処理を工業的規模で実施することは不可能に近く、また実施すれば溶接構造物の建造コストの大幅な上昇を招く。
たとえば特許文献1には、フェライト相が70%以上を占め、鋼板表面に平行な測定面で鋼板内部のα(111)面強度比とα(100)面強度比との比を1.25〜2.0として、耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した鋼板が開示されている。
特許文献4には、板厚方向の特定の位置における板面に平行な(110)面のX線強度比を2.0以上として、板厚方向の耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した厚鋼板が開示されている。
特許文献6には、Z方向(板厚方向)の深さt/4(t=板厚)の位置において、アスペクト比(長径/短径)を2以上とし、かつγ粒内方向に成長した針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、長径5〜100μmの範囲内の針状フェライトの個数割合を80%以上として、耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した鋼板が開示されている。
特許文献8には、再結晶フェライト相からなる軟質部、およびマルテンサイト相とベイナイト相の1種以上からなる硬質部で構成された複相組織を有し、その複相組織にて、硬質部の面積分率15〜85%、平均円相当径10μm以上、平均硬さHv200〜700、かつ硬質部と軟質部の平均硬さの差Hv100以上、再結晶フェライト粒の平均円相当径20μm以下、マルテンサイトとベイナイトの平均ラス長さ5μm以下とすることによって、母材靭性と耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した厚鋼板が開示されている。
特許文献1〜4に開示された技術では、フェライト相とオーステナイト相の2相域、あるいはフェライト相の単相域でフェライト相を強加工して集合組織を発達させる。そのため、圧延機の負荷が大きくなり、トラブルの原因になるばかりでなく、圧延能率が大幅に低下するので、大量生産には適していない。また、加工によってフェライト相が硬化するので、母材靭性の著しい低下を引き起こす。さらに、板厚方向という限られた方向の疲労き裂伝ぱ速度を低減するものであることから、板厚方向以外の板幅方向や板長方向に疲労き裂が加速度的に伝ぱすることによって、溶接構造物が急速に破壊に至る惧れがある。つまり、一方向の疲労き裂伝ぱを極度に抑える代償として、板幅方向や板長方向の疲労き裂が進展しやすくなるという問題を内包している。
特許文献6に開示された技術では、針状フェライトを有効に活用して、疲労き裂の進展を抑制している。しかし溶接構造物で使用する鋼板は強度、延性、靭性、溶接性等のバランスが重要であるにも関らず、耐疲労き裂伝ぱ特性以外の特性については考慮されていない。
本発明は、これら従来技術の問題点を解消するために、伝ぱ方向の制約を受けることなく耐疲労き裂伝ぱ特性を向上し、かつ強度、延性、靭性、溶接性のバランスを図った溶接構造物用鋼板を提供することを目的とする。
ΔK=Δσ(πa)1/2F(a/W)
(ここで、F(a/W)=1.12−0.231(a/W)+10.55(a/W)2−21.72(a/W)3+30.39(a/W)4)
を用いて計算し、ΔK≒15MPa(m)1/2で一定となるように応力範囲を設定した。式中のΔσは応力範囲、aはき裂長さ(機械切欠き2と疲労き裂3との合計長さ)、Wは試験片幅である。また、図1中の寸法を示す数字の単位はmmである。
以上のように、ベイナイト組織においてもブロックやパケットの境界では、伝ぱ速度の低下が見込まれる。そして、先に述べたX線回折強度比のバランスを図り、所定の範囲に制御し集合組織を最適化することで、ベイナイト組織の特定のすべり系を発達させることができ、さらに伝ぱ速度は低下すると考えられる。
そして、所定のX線回折強度比によってもたらされる方位差と、上記した組織との相乗効果で疲労き裂伝ぱ速度を効果的に低下させることができる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.058質量%を含有し、さらに、Nb:0.012〜0.1質量%、V:0.038〜0.1質量%、Ti:0.007〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、次(1)式
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15) ・・・(1)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される炭素当量Ceqが0.38質量%以下である組成を有し、かつ板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと(110)Mが1.5以下であり、板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100)Mと(111)Mが次(2)〜(4)式
1.5×(110)M ≦ (100)M ≦ 4.0×(110)M ・・・(2)
2.0×(110)M ≦ (111)M ≦ 4.5×(110)M ・・・(3)
(100)M ≦(111)M ・・・(4)
を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が70%を超え、残部がパーライト組織からなる組織を有することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板である。
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ・・・(6)
を満足する冷却速度CR(℃/s)で650〜200℃の温度域まで加速冷却して、板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110) Q と(110) M が1.5以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100) M と(111) M が次(2)〜(4)式
1.5×(110) M ≦ (100) M ≦ 4.0×(110) M ・・・(2)
2.0×(110) M ≦ (111) M ≦ 4.5×(110) M ・・・(3)
(100) M ≦ (111) M ・・・(4)
を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が70%を超え、残部がパーライト組織からなる組織を有する鋼板とすることを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法である。
C:0.02〜0.25質量%
Cは、溶接構造物用鋼板の強度を確保するために、0.02質量%以上の添加が必要である。しかし、0.25質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性が阻害される。したがって、Cの含有量は0.02〜0.25質量%とする。好ましくは0.02〜0.20質量%である。
Siは、素材の溶製工程で脱酸剤として有効であり、溶接構造物用鋼板の強度を確保するために、0.01質量%以上が必要である。しかし、0.50質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性が劣化する。したがって、Siの含有量は0.01〜0.50質量%とする。好ましくは0.05〜0.40質量%である。
Mnは、安価に入手することができ、溶接構造物用鋼板の焼入れ性を高めて強度を向上し、かつ靭性を向上する観点から、0.5質量%以上が必要である。しかし、2.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性が劣化する。したがって、Mnの含有量は0.5〜2.0質量%とする。好ましくは0.5〜1.8質量%である。
Pは、溶接構造物用鋼板の靭性を劣化させる作用を有するので、その含有量はできるだけ低くする必要がある。したがって、Pの含有量は0.05質量%以下とする。好ましくは0.0001〜0.03質量%である。
S:0.02質量%以下
Sは、溶接構造物用鋼板の靭性を劣化させる作用を有するので、その含有量はできるだけ低くする必要がある。したがって、Sの含有量は0.02質量%以下とする。好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
以上が本発明の溶接構造物用鋼板の基本の成分であるが、強度、靭性、溶接性のさらなる向上をバランス良く図るために、選択成分として、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B、Ca、希土類元素(以下、REMという)のうちの1種または2種以上を含有しても良い。
Cuは、固溶によって溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なうばかりでなく、鋼板の製造工程にて疵が発生しやすくなる。したがって、Cuの含有量は1.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
Niは、溶接構造物用鋼板の低温靭性を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。さらに、Cuを添加した場合に生じる熱間脆性を抑える効果を有する。しかし、その含有量が2.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なうばかりでなく、製造コストの上昇を招くことがある。したがって、Niの含有量は2.0質量%以下が好ましい。
Crは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Crの含有量は1.0質量%以下が好ましい。
Mo:1.0質量%以下
Moは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Moの含有量は1.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
Nbは、溶接構造物用鋼板を得るための圧延工程におけるオーステナイト再結晶を抑制して、結晶粒を細粒化させるとともに、析出によって強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性を損なうことがある。したがって、Nbの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.05質量%である。
Vは、析出によって溶接構造物用鋼板の強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Vの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.07質量%である。
Tiは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、かつ溶接部の靭性を改善する作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の製造コストの上昇を招くことがある。したがって、Tiの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.05質量%である。
Bは、溶接構造物用鋼板の焼入れ性を高めて強度を向上する作用を有する。しかし、その含有量が0.005質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なう。したがって、Bの含有量は0.005質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.003質量%である。
Ca:0.010質量%以下
Caは、介在物の形態制御を通じて、溶接構造物用鋼板の強度と靭性を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.010質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性が劣化することがある。したがって、Caの含有量は0.010質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.005質量%である。
REMは、介在物の形態制御を通じて、溶接構造物用鋼板の延性と靭性を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.010質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性が劣化することがある。したがって、REMの含有量は0.010質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.005質量%である。
本発明の溶接構造物用鋼板では、上記した通り、溶接性も考慮して成分を設計しているが、溶接性を一層向上するために、次(1)式
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15) ・・・(1)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される炭素等量Ceqを0.38質量%以下とする。
本発明の溶接構造物用鋼板は、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mがいずれも1.5以下であり、かつ板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)Mと(111)面のX線回折強度比(111)Mが次(2)〜(4)式
1.5×(110)M ≦ (100)M ≦ 4.0×(110)M ・・・(2)
2.0×(110)M ≦ (111)M ≦ 4.5×(110)M ・・・(3)
(100)M ≦ (111)M ・・・(4)
を満足することを特徴とする。
そこで本発明では、過度に板厚方向のみの疲労き裂伝ぱ速度が低下しないように、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mを、いずれも1.5以下に限定する。(110)Qと(110)Mが1.5を超えると、板幅方向や板長方向の疲労き裂伝ぱ速度が上昇し、疲労き裂伝ぱ速度の方向依存性が大きくなるからである。
1.5×(110)M ≦ (100)M ≦ 4.0×(110)M ・・・(2)
2.0×(110)M ≦ (111)M ≦ 4.5×(110)M ・・・(3)
(100)M ≦ (111)M ・・・(4)
を満足するように規定する。(2)〜(4)式を満足しない場合、板厚方向、板幅方向、板長方向のいずれか1つ以上で伝ぱ速度の改善が認められなくなる。
所定の成分を有する鋼材(たとえばスラブ等)を、900〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上で累積圧下率を50%以上となる圧延を行なった後、Ar3−80℃以上の温度域から、板厚t(mm)と次(5)式
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(6)
を満足する冷却速度CR(℃/s)で650〜200℃の温度域まで加速冷却する。
ここで、上記の鋼材の加熱温度、および加速冷却における鋼板の温度は、いずれも表面温度である。冷却速度は、鋼板の板厚方向の平均値である。
そして、Ar3変態点以上で累積圧下率を50%以上となる圧延を行なうことによって、旧オーステナイト粒が微細化し、耐疲労き裂伝ぱ特性および強度、靭性の向上を図ることができる。なお、Ar3変態点は次式
Ar3(℃)=910−310[C]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo]
(ここで、[C]、[Mn]、[Cu]、[Cr]、[Ni]、[Mo]:各元素の含有量(質量%))
で算出される。
Ar3変態点以上の累積圧下率が50%未満では、旧オーステナイト粒の微細化は困難であり、溶接構造物用鋼板の強度や靭性の向上は得られない。
加速冷却の開始温度がAr3−80℃未満、あるいは加速冷却の停止温度が650℃を上回る場合、フェライト組織とパーライト組織の混合組織が形成されるので、溶接構造物用鋼板の強度の向上は得られない。一方、加速冷却の停止温度が200℃を下回ると、冷却停止後の復熱による焼戻し効果が小さくなり延性や靭性が低下したり、歪みが大きくなり板反りが生じたりする。
RK=6673×t-1.65 ‥‥(7)
の累乗則で概ね近似できることを見出した。(7)式は、同一冷却形式で冷却した場合に、板厚tにより決まる板厚1/4位置における冷却速度の上限を表わしている。
鋼板の組織は、化学成分と、オーステナイト域からの冷却速度と、の組合せにより、決まることはすでに広く知られており、このことから、上記した所望の組織を得るためには、化学成分と冷却速度との関係を考慮する必要がある。
そこで、本発明者らは、板厚が厚い場合を想定し、板厚:100mmの鋼板について、所望の組織を得るための下限の冷却速度を調査した。
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(6)
を得た。
なお、(6)式では、板厚が薄い場合には、計算される下限の冷却速度CRは、実際に目標組織が得られる下限の冷却速度より大きくなるが、生産性の向上という観点から、(6)式を用いることとした。
さらに、本発明では、加速冷却が終了した後に、400℃以上Ac1変態点未満の温度域に加熱して焼戻しを行なうこともできる。加速冷却の後に、400℃以上Ac1変態点未満の温度域で焼戻しを施すことによって、溶接構造物用鋼板の延性と靭性のバランスを調整することができる。焼戻し温度が400℃未満では、このような効果は得られない。一方、Ac1変態点以上では、一部にオーステナイト相が形成され、その後の冷却にて島状マルテンサイトが生成するので、溶接構造物用鋼板の靭性の劣化を招く。なお、Ac1変態点は次式
Ac1(℃)=723−14[Mn]+22[Si]−14.4[Ni]+23.3[Cr]
(ここで、[Mn]、[Si]、[Ni]、[Cr]:各元素の含有量(質量%))
で算出される。
また、板厚の1/4位置から採取した試験片を研磨した後に、2%ナイタール腐食液でエッチングし、さらにその面を光学顕微鏡(倍率×100〜×400)で観察してベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率、パーライト組織の面積分率を求めた。その結果を表3に示す。なお面積分率は、1試験片について5視野ずつ測定し、その平均値を表3に示す。
引張特性は、日本海事協会鋼船規則に準じて、試験片長さ方向を圧延直角方向とし、板厚40mm以下の鋼板では全厚で採取したU1号試験片、板厚40mm超えの鋼板では板厚の1/4位置から採取したU14A号試験片で引張試験を行ない、降伏点または0.2%耐力が315MPa以上、引張強さが440MPa以上、伸びが22%以上を合格とした。
耐疲労き裂伝ぱ特性は、CT試験片を用いて、ASTM規格E647に準拠して調査した。CT試験片は、板厚25mm以下の鋼板では全厚、板厚25mm超え50mm以下の鋼板では板厚/2中心−25mm両面減厚、板厚50mmの鋼板では板厚/4中心−25mm両面減厚とし、圧延直角方向(すなわち板幅方向)に疲労き裂が進展する試験片、圧延方向(すなわち板長を方向)に疲労き裂が進展する試験片を作製して、応力比0.1、周波数20Hz、室温大気中にて試験した。
ΔK=Δσ(πa)1/2F(a/W)
(ここで、F(a/W)=1.12−0.231(a/W)+10.55(a/W)2−21.72(a/W)3+30.39(a/W)4)
を用いて計算した。式中のΔσは応力範囲、aはき裂長さ(機械切欠き2と疲労き裂3との合計長さ)、Wは試験片幅(板厚)である。
得られた結果は表4に示す通りである。
これに対して、CとSiの含有量が本発明の範囲を超える鋼板No.14、MnとPとSの含有量が本発明の範囲を超える鋼板No.15は、炭素当量Ceqが0.38質量%を超えており、延性、靭性、溶接性が劣る。
加熱温度が本発明の範囲を下回り、結果としてAr3変態点以上の累積圧下率が50%に満たず、フェライトの生成温度域で圧延し、冷却開始温度が本発明の範囲を下回る鋼板No.17は、(110)Qと(110)Mが1.5を超え、(110)Mと(100)Mと(111)Mが(2)〜(4)式を満足しない。また、パーライト組織が多く生成したため、ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積率が70%を下回る。それ故、鋼板No.17は、強度が低くなり、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度は低いが、その他の方向の疲労き裂伝ぱ速度は高い。
冷却停止温度が本発明の範囲を下回る鋼板No.22は、延性、靭性が劣る。
2 機械切欠き
3 疲労き裂
4 SENT試験片
5 クラックゲージ
Claims (5)
- C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.058質量%を含有し、さらに、Nb:0.012〜0.1質量%、V:0.038〜0.1質量%、Ti:0.007〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で算出される炭素当量Ceqが0.38質量%以下である組成を有し、かつ板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと(110)Mが1.5以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100)Mと(111)Mが下記(2)〜(4)式を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が70%を超え、残部がパーライト組織からなる組織を有することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板。
記
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15)・・・(1)
ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合には0とする。
1.5×(110)M ≦ (100)M ≦ 4.0×(110)M ・・・(2)
2.0×(110)M ≦ (111)M ≦ 4.5×(110)M ・・・(3)
(100)M ≦ (111)M ・・・(4) - 前記溶接構造物用鋼板が、前記組成に加えて、Cu:1.0質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cr:1.0質量%以下、Mo:1.0質量%以下、B:0.005質量%以下、Ca:0.010質量%以下、REM:0.010質量%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板。
- C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.058質量%を含有し、さらに、Nb:0.012〜0.1質量%、V:0.038〜0.1質量%、Ti:0.007〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で算出される炭素当量Ceqが0.38質量%以下である組成を有する鋼材を、900〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上で累積圧下率を50%以上となる圧延を行なった後、Ar3−80℃以上の温度域から、板厚t(mm)と下記(5)式で定義する成分指標βから算出される下記(6)式を満足する冷却速度CR(℃/s)で650〜200℃の温度域まで加速冷却して、板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110) Q と(110) M が1.5以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100) M と(111) M が下記(2)〜(4)式を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が70%を超え、残部がパーライト組織からなる組織を有する鋼板とすることを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
記
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15)・・・(1)
ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合には0とする。
1.5×(110) M ≦ (100) M ≦ 4.0×(110) M ・・・(2)
2.0×(110) M ≦ (111) M ≦ 4.5×(110) M ・・・(3)
(100) M ≦ (111) M ・・・(4)
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ・・・(6) - 前記鋼材が、前記組成に加えて、Cu:1.0質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cr:1.0質量%以下、Mo:1.0質量%以下、B:0.005質量%以下、Ca:0.010質量%以下、REM:0.010質量%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
- 前記加速冷却が終了した後に、さらに400℃以上Ac1変態点未満の温度域に加熱して焼戻しを行なうことを特徴とする請求項3または4に記載の耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
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