JP6049571B2 - 窒化物半導体薄膜を備えた複合基板の製造方法 - Google Patents
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上記の対策として、GaN基板の両面からイオン注入をすることによりGaN基板の反りを改善することが検討されているが、この方法ではサファイア基板全面への薄膜転写は成されず、最大でも直径数mmサイズの転写しか成されていない。また、両面にイオン注入を行うと反りは改善されるが、イオン注入の回数が2倍になるためコストがかかる。基板が剥がれる他の要因として基板の表面粗さについても考えられるが、GaN基板表面にSiO2層を設けた場合、その表面粗さは0.2nm程度と十分貼り合わせが可能なレベルである。そのため、剥がれが生じる原因は反りが大きく、接合後の熱処理によって剥がれが生じるものと推測する。このように、表面粗さ若しくは反りの改善のみでは、支持基板全面へのGaN薄膜の転写を達成することが困難であった。
以上のことから、イオン注入を用いたGaN基板の薄膜転写は、基板面全体における転写が困難であるという問題があった。
本発明の一つの態様では、表面からイオンを注入して内部にイオン注入層を有する窒化物半導体基板を得る工程であって、前記窒化物半導体基板が前記イオン注入した表面を上側としたときに凸状に反った10μm以上で300μm以下のWarpを有する形状である工程と、前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と前記窒化物半導体基板と貼り合わせる支持基板の表面との少なくとも一方に表面活性化処理を施す工程と、前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と前記支持基板の前記表面とを対向して重ね合わせ、1.0MPa以上で4.0MPa以下の圧力下で貼り合わせる工程と、前記窒化物半導体基板を前記イオン注入層に沿って剥離し、前記支持基板上に窒化物半導体薄膜を転写する工程とを少なくとも含む、窒化物半導体薄膜を支持基板に備えた複合基板の製造方法が提供できる。
GaN単結晶ウェハにおいて、貼り合わせる面はGa面、N面のいずれの面も用いることができる。しかし、通常デバイスにはGa面が用いられるため、貼り合わせ面にはN面を用い、転写後に露出する面をGa面とすることが好ましい。
注入イオンとして水素イオン(H+)を用いる場合、そのドーズ量は、例えば1.0×1016atom/cm2〜3.0×1017atom/cm2であることが好ましい。また、注入イオンとして水素分子イオン(H2 +)を用いる場合、そのドーズ量は、例えば5.0×1015atoms/cm2〜1.5×1017atoms/cm2であることが好ましい。
この処理は、GaNウェハのイオン注入した表面、及び、GaNウェハと貼り合わせる支持基板の表面の両方について行うのがより好ましいが、いずれか一方だけ行ってもよい。表面活性化処理をしないと、貼り合わせ面での接合力が弱く、熱処理時に基板間の剥がれが生じGaN薄膜の転写はほとんど生じない。
加圧方法としては、静水圧プレス、一軸加圧プレス、加圧ロール、平板プレス、熱プレス等が挙げられる。加圧の圧力は、0.5〜5.0MPaが好ましい。より好ましくは0.7〜4.5MPa、さらに好ましくは1.0〜4.0MPaである。圧力が0.5MPaより低いと支持基板の一部にしか転写せず加圧する効果が小さく、5.0MPaを超えると基板が破損する恐れがある。また、加圧の保持時間は圧力によって異なるが、好ましくは1〜600秒、より好ましくは10〜500秒、さらに好ましくは30〜400秒である。加圧時間が1秒より短いと支持基板の一部にしか転写せず加圧する効果が不十分な場合があり、600秒を超えると支持基板全面に転写はするが、効果は変わらずプロセス時間が長くなる。
熱処理温度は、好ましくは100〜300℃である。熱処理時間は、熱処理温度と材料に応じて決められ、好ましくは10分〜24時間の範囲で選択される。熱処理温度が高すぎたり、熱処理時間が長すぎたりすると、ひび割れ、剥離等が発生する恐れがある。場合によって、熱処理は、好ましくはアルゴン、窒素、ヘリウム、またはこれらの混合ガスの存在下で行われることができる。
可視光照射による剥離の場合、GaNウェハの内部に形成されたイオン注入界面近傍がアモルファス化していることによって、可視光の吸収を受けやすく、エネルギーを選択的に受容しやすいという機構によってイオン注入層を脆化させ剥離することが可能である。また、この剥離方法は、機械的剥離よりも簡易であるため好ましい。可視光の光源は、Rapid Thermal Annealer(RTA)、グリーンレーザー光、又はフラッシュランプ光であることが好ましい。
また、イオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行う場合、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、貼り合わせた面の剥離等が発生するおそれがない。機械的剥離は、一端部から他端部に向かうへき開によるものが好ましい。へき開用部材として、好ましくは楔状の部材、例えば楔(くさび)をイオン注入層(注入界面)に挿入し、楔による変形でへき開を進行させて剥離する方法であってもよい。この方法の使用に際しては、楔が接触する部分での傷やパーティクルの発生や、楔を打ち込むことにより生じるウェハの過大な変形による基板割れの発生を回避するように留意する。イオン注入層に衝撃を与えるためには、例えば、ガスや液体等の流体のジェットを貼り合わせたウェハの側面から連続的又は断続的に吹き付ければよいが、衝撃による機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
このようにして、GaNウェハの表面にイオン注入することにより生じるウェハに反りのある状態でもGaN薄膜を支持基板面全体に転写することが可能となる。
窒化物半導体基板として、外径2インチ、厚さ350μmの単結晶GaNウェハを用い、そのN面側にプラズマCVD法を用いてSiO2を300nm堆積し成膜した。GaNウェハのSiO2膜面側からH+イオンを2.0×1017atoms/cm2で注入した。イオン注入後のGaNウェハはイオン注入面を上側としたときに凸形状であり、Warpは40μmであった。なお、WarpはFlatMaster200XRA−Wafer装置(Corning Tropel社製)を用いてアンクランプの状態で測定した。続いて、GaNウェハ上のSiO2膜の表面にCMPを行い、表面粗さRMS(JIS B 0601)が0.2nmとなるように調整し、貼り合わせが可能なレベルの粗さRMSとした。
支持基板として上記GaNウェハと同サイズのサファイアウェハを用いた。サファイアウェハ及びGaNウェハのSiO2膜面にイオンビーム照射で表面活性化処理を実施した。その後、表面活性化処理した各面を対向させて重ね合わせ、一軸加圧プレスを用いて4.0MPaの圧力で60秒保持し、GaNウェハとサファイアウェハとを貼り合わせて接合体を得た。これを250℃で熱処理を行った後、楔状の部材を用いて機械的衝撃を加えることでGaNウェハの剥離を行い、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
1.0MPaの圧力で300秒保持し、GaNウェハとサファイアウェハとを貼り合わせて接合体を得た以外は、実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
実施例1と同様の条件で、GaNウェハのN面側にSiO2を300nm堆積し、SiO2膜面側からH+イオンを4.3×1017atoms/cm2で注入した。イオン注入後の基板はイオン注入面を上側としたときに凸形状であり、Warpは260μmであった。続いて、GaNウェハ上のSiO2膜の表面にCMPを行い、表面粗さRMSが0.2nmとなるように調整し、貼り合わせが可能なレベルの粗さとした。
支持基板としてサファイアウェハを用い、その後の工程においては、加圧時間を120秒とした以外は、実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
支持基板としてシリコンウェハを用いた以外は実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したシリコンウェハを得た。
実施例1と同様の条件で、GaNウェハのN面側にSiNを300nm堆積し、SiN膜面側からH+イオンを4.3×1017atoms/cm2で注入した。イオン注入後の基板形状はイオン注入面側を上側としたときに凸形状であり、Warpは50μmであった。続いて、GaNウェハ上のSiN膜の表面にCMPを行い、表面粗さRMSが0.2nmとなるように調整し、貼り合わせが可能なレベルの粗さとした。
支持基板としてサファイアウェハを用い、その後の工程は実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
貼り合わせ時に未加圧の状態で外周部をピンで押すことで接合を行った以外は、実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
加圧する前に表面活性化処理を行わない以外は、実施例1と同様にして、GaN薄膜が転写したサファイアウェハを得た。
7.0MPaの圧力で60秒保持し、GaNウェハとサファイアウェハとを貼り合わせて接合体を得た以外は、実施例1と同様にして、接合を行った。得られた接合体を取り出したところ、サファイア基板にクラックが発生していた。
実施例1と同様の条件で、GaNウェハのN面側にSiO2を300nm堆積し、SiO2膜面側からH+イオンを5.0×1017atoms/cm2で注入した。イオン注入後の基板形状はイオン注入面を上側としたときに凸形状であり、Warpは350μmであった。続いて、GaNウェハ上のSiO2膜の表面にCMPを行い、表面粗さRMSが0.2nmとなるように調整し、貼り合わせが可能なレベルの粗さとした。
サファイアを支持基板として、その後の表面活性化処理、加圧による接合及び熱処理に至る工程は、実施例1と同じ条件で行った。熱処理後の接合体の状態を観察したところ、中心付近のみ転写されており、外周部分には転写されなかった。
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1]表面からイオンを注入して内部にイオン注入層を有する窒化物半導体基板を得る工程であって、前記窒化物半導体基板が前記イオン注入した表面を上側としたときに凸状に反った10〜300μmのWarpを有する形状である工程と、
前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と、前記窒化物半導体基板と貼り合わせる支持基板の表面との少なくとも一方に表面活性化処理を施す工程と、
前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と前記支持基板の前記表面とを対向して重ね合わせ、0.5〜5.0MPaの圧力下で貼り合わせる工程と、
前記窒化物半導体基板を前記イオン注入層に沿って剥離し、前記支持基板上に窒化物半導体薄膜を転写する工程と
を少なくとも含む、窒化物半導体薄膜を支持基板に備えた複合基板の製造方法。
[請求項2]前記貼り合わせる工程において前記圧力下で貼り合わせながら100〜300℃で熱処理を施すか、または、前記貼り合わせる工程の後であって前記支持基板上に前記窒化物半導体薄膜を転写する工程前に、前記貼り合わせた基板を100〜300℃で熱処理を施す工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
[請求項3]前記貼り合わせる工程における前記圧力が、1〜600秒間保持される請求項1または2に記載の製造方法。
[請求項4]前記窒化物半導体基板に前記イオンを注入する工程の前に、前記窒化物半導体基板の前記イオンを注入する表面にSiO 2 、Si 3 N 4 及びSiO x N y (0<x<2、0<y<1.3)から選択される膜を形成する工程を含む請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造方法。
[請求項5]前記貼り合わせる工程における前記窒化物半導体基板及び前記支持基板の各貼り合わせ表面の表面粗さRMSが、1nm以下である請求項1〜4のいずれか一つに記載の製造方法。
[請求項6]前記窒化物半導体基板が、GaN基板またはAlN基板である請求項1〜5のいずれか一つに記載の製造方法。
[請求項7]前記支持基板が、シリコン、サファイア、アルミナ、SiC、AlN、SiN及びダイヤモンドからなる群から選択される請求項1〜6のいずれか一つに記載の製造方法。
1a GaN薄膜
1b 剥離後のGaNウェハ
2 SiO2膜
2a イオン注入した表面
3 イオン
4 イオン注入層
5 サファイア基板(支持基板)
5a 貼り合わせ面
6 イオンビーム
7 圧力
8 貼り合わせた基板
9 複合基板
Claims (7)
- 表面からイオンを注入して内部にイオン注入層を有する窒化物半導体基板を得る工程であって、前記窒化物半導体基板が前記イオン注入した表面を上側としたときに凸状に反った10μm以上で300μm以下のWarpを有する形状であり、前記WarpがSEMI規格のMF1390によって評価されるアンクランプ状態での反りを表す工程と、
前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と、前記窒化物半導体基板と貼り合わせる支持基板の表面との少なくとも一方に表面活性化処理を施す工程と、
前記窒化物半導体基板の前記イオン注入した表面と前記支持基板の前記表面とを対向して重ね合わせ、1.0MPa以上で4.0MPa以下の圧力下で貼り合わせる工程と、
前記窒化物半導体基板を前記イオン注入層に沿って剥離し、前記支持基板上に窒化物半導体薄膜を転写する工程と
を少なくとも含む、窒化物半導体薄膜を支持基板に備えた複合基板の製造方法。 - 前記貼り合わせる工程において前記圧力下で貼り合わせながら100℃以上300℃以下で熱処理を施すか、または、前記貼り合わせる工程の後であって前記支持基板上に前記窒化物半導体薄膜を転写する工程前に、前記貼り合わせた基板を100℃以上300℃以下で熱処理を施す工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記貼り合わせる工程における前記圧力が、1秒間以上で600秒間以下保持される請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記窒化物半導体基板に前記イオンを注入する工程の前に、前記窒化物半導体基板の前記イオンを注入する表面にSiO2、Si3N4及びSiOxNy から選択される膜を形成する工程を含み、前記式中、xとyがそれぞれ0<x<2、0<y<1.3を満たす請求項1ないし3のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記貼り合わせる工程における前記窒化物半導体基板及び前記支持基板の各貼り合わせ表面の表面粗さRMSが、1nm以下である請求項1ないし4のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記窒化物半導体基板が、GaN基板またはAlN基板である請求項1ないし5のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記支持基板が、シリコン、サファイア、アルミナ、SiC、AlN、SiN及びダイヤモンドからなる群から選択される請求項1ないし6のいずれか一つに記載の製造方法。
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