以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
(電力変換器の回路構成)
図1は、本発明の実施の形態1に従う電力変換器を含む電源システムの構成を示す回路図である。
図1を参照して、電源システム5は、複数の直流電源10aおよび10bと、負荷30と、電力変換器50とを備える。
本実施の形態において、直流電源10aおよび10bの各々は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池のような二次電池、あるいは、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等の出力特性に優れた直流電圧源要素により構成される。直流電源10aおよび直流電源10bは、「第1の直流電源」および「第2の直流電源」にそれぞれ対応する。
直流電源10aおよび10bは、同種および同容量の直流電源によって構成することも可能であり、特性および/または容量が異なる直流電源によって構成することも可能である。上述のように、直流電源10a,10bは、大容量のキャパシタを含む概念である。
電力変換器50は、直流電源10aおよび10bと、電力線20との間に接続される。電力変換器50は、負荷30と接続された電力線20上の直流電圧(以下、出力電圧VHとも称する)を電圧指令値VH*に従って制御する。すなわち、電力線20は、直流電源10aおよび10bに対して共通に設けられる。
負荷30は、電力変換器50の出力電圧VHを受けて動作する。電圧指令値VH*は、負荷30の動作に適した電圧に設定される。電圧指令値VH*は、負荷30の状態に応じて可変に設定されてもよい。さらに、負荷30は、回生発電等によって、直流電源10a,10bの充電電力を発生可能に構成されてもよい。
電力変換器50は、スイッチング素子S1〜S4と、リアクトルL1,L2とを含む。本実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるい
は電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子S1〜S4に対しては、逆並列ダイオードD1〜D4が配置されている。また、スイッチング素子S1〜S4は、制御信号SG1〜SG4にそれぞれ応答して、オンオフを制御することが可能である。すなわち、スイッチング素子S1〜S4は、制御信号SG1〜SG4がハイレベル(以下、Hレベル)のときにオンする一方で、ローレベル(以下、Lレベル)のときにオフする。
スイッチング素子S1は、電力線20およびノードN1の間に電気的に接続される。リアクトルL2は、ノードN1と直流電源10bの正極端子との間に接続される。スイッチング素子S2はノードN1およびN2の間に電気的に接続される。リアクトルL1はノードN2と直流電源10aの正極端子との間に接続される。
スイッチング素子S3は、ノードN2およびN3の間に電気的に接続される。ノードN3は、直流電源10bの負極端子と電気的に接続される。スイッチング素子S4は、ノードN3および接地配線21の間に電気的に接続される。接地配線21は、負荷30および、直流電源10aの負極端子と電気的に接続される。
図1から理解されるように、電力変換器50は、直流電源10aおよび直流電源10bの各々に対応して昇圧チョッパ回路を備えた構成となっている。すなわち、直流電源10aに対しては、スイッチング素子S1,S2を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S3,S4を下アーム素子とする電流双方向の第1の昇圧チョッパ回路が構成される。同様に、直流電源10bに対しては、スイッチング素子S1,S4を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S2,S3を下アーム素子とする電流双方向の第2の昇圧チョッパ回路が構成される。
そして、第1の昇圧チョッパ回路によって、直流電源10aおよび電力線20の間に形成される電力変換経路と、第2の昇圧チョッパ回路によって、直流電源10bおよび電力線20の間に形成される電力変換経路との両方に、スイッチング素子S1〜S4が含まれる。
制御装置40は、負荷30への出力電圧VHを制御するために、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを制御する制御信号SG1〜SG4を生成する。なお、図1では図示を省略しているが、直流電源10aの電圧(以下、Vaと表記する)および電流(以下、Iaと表記する)、直流電源10bの電圧(以下、Vbと表記する)および電流(以下、Ibと表記する)、ならびに、出力電圧VHの検出器(電圧センサ,電流センサ)が設けられている。さらに、直流電源10aおよび10bの温度(以下、TaおよびTbと表記する)の検出器(温度センサ)についても配置することが好ましい。これらの検出器の出力は、制御装置40へ与えられる。
図1の構成において、スイッチング素子S1〜S4は、「第1のスイッチング素子」〜「第4のスイッチング素子」にそれぞれ対応し、リアクトルL1およびL2は、「第1のリアクトル」および「第2のリアクトル」にそれぞれ対応する。
図2は、負荷30の構成例を示す概略図である。
図2を参照して、負荷30は、たとえば電動車両の走行用電動機を含むように構成される。負荷30は、平滑コンデンサCHと、インバータ32と、モータジェネレータ35と、動力伝達ギヤ36と、駆動輪37とを含む。
モータジェネレータ35は、車両駆動力を発生するための走行用電動機であり、たとえば、複数相の永久磁石型同期電動機で構成される。モータジェネレータ35の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ36を経由して、駆動輪37へ伝達される。駆動輪37に伝達されたトルクにより電動車両が走行する。また、モータジェネレータ35は、電動車両の回生制動時には、駆動輪37の回転力によって発電する。この発電電力は、インバータ32によってAC/DC変換される。この直流電力は、電源システム5に含まれる直流電源10a,10bの充電電力として用いることができる。
モータジェネレータの他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ35を協調的に動作させることによって、電動車両に必要な車両駆動力が発生される。この際には、エンジンの回転による発電電力を用いて直流電源10a,10bを充電することも可能である。
このように、電動車両は、走行用電動機を搭載する車両を包括的に示すものであり、エンジンおよび電動機により車両駆動力を発生するハイブリッド自動車と、エンジンを搭載
しない電気自動車および燃料電池車との両方を含むものである。
(電力変換器の動作モード)
電力変換器50は、直流電源10a,10bと電力線20との間での直流電力変換の態様が異なる複数の動作モードを有する。
図3には、電力変換器50が有する複数の動作モードが示される。
図3を参照して、動作モードは、スイッチング素子S1〜S4の周期的なオンオフ制御に伴って直流電源10aおよび/または10bの出力電圧を昇圧する「昇圧モード(B)」と、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを固定して直流電源10aおよび/または10bを電力線20と電気的に接続する「直結モード(D)」とに大別される。
昇圧モードには、直流電源10aおよび10bと電力線20との間で並列なDC/DC変換を行なう「パラレル昇圧モード(以下、PBモード)」と、直列接続された直流電源10aおよび10bと電力線20との間でDC/DC変換を行なう「シリーズ昇圧モード(以下、SBモード)」とが含まれる。PBモードは、特許文献2に示された「パラレル接続モード」に対応し、SBモードは、特許文献2に示された「シリーズ接続モード」に対応する。
さらに、昇圧モードには、直流電源10aのみを用いて電力線20との間でDC/DC変換を行なう「直流電源10aによる単独モード(以下、aBモード)」と、直流電源10bのみを用いて電力線20との間でDC/DC変換を行なう「直流電源10bによる単独モード(以下、bBモード)」とが含まれる。aBモードでは、出力電圧VHが直流電源10bの電圧Vbよりも高く制御されている限りにおいて、直流電源10bは、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。同様に、bBモードでは、出力電圧VHが直流電源10aの電圧Vaよりも高く制御されている限りにおいて、直流電源10aは、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。
昇圧モードに含まれる、PBモード、SBモード、aBモードおよびbBモードの各々では、電力線20の出力電圧VHは、電圧指令値VH*に従って制御される。これらの各モードにおけるスイッチング素子S1〜S4の制御については、後述する。なお、上述のように、電圧指令値VH*を負荷30の動作に適した可変電圧とすることにより、昇圧モードに含まれる各モードでは、負荷30での電力損失を抑制することができる。
直結モードには、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して並列に接続した状態を維持する「並列直結モード(以下、PDモード)」と、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して直列に接続した状態を維持する「シリーズ直結モード(以下、SDモード)」とが含まれる。
PDモードでは、スイッチング素子S1,S2,S4をオンに固定する一方で、スイッチング素子S3がオフに固定される。これにより、出力電圧VHは、直流電源10a,10の出力電圧Va,Vb(厳密にはVa,Vbのうちの高い方の電圧)と同等となる。Va,Vb間の電圧差は直流電源10a,10bに短絡電流を生じさせるので、当該電圧差が小さいときに限定して、PDモードを適用することができる。
SDモードでは、スイッチング素子S2,S4がオフに固定される一方で、スイッチング素子S1,S3がオンに固定される。これにより、出力電圧VHは、直流電源10a,10の出力電圧Va,Vbの和と同等となる(VH=Va+Vb)。
さらに、直結モードには、直流電源10aのみを電力線20と電気的に接続する「直流電源10aの直結モード(以下、aDモード)」と、直流電源10bのみを電力線20と電気的に接続する「直流電源10bの直結モード(以下、bDモード)」とが含まれる。
aDモードでは、スイッチング素子S1,S2がオンに固定される一方で、スイッチング素子S3,S4がオフに固定される。これにより、直流電源10bは電力線20から切り離された状態となり、出力電圧VHは、直流電源10aの電圧Vaと同等となる(VH=Va)。aDモードでは、直流電源10bは、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。なお、Vb>Vaの状態でaDモードを適用すると、スイッチング素子S2を介して直流電源10bから10aに短絡電流が生じる。このため、aDモードの適用には、Va>Vbが必要条件となる。
同様に、bDモードでは、スイッチング素子S1,S4がオンに固定される一方で、スイッチング素子S2,S3がオフに固定される。これにより、直流電源10aは電力線20から切り離された状態となり、出力電圧VHは、直流電源10bの電圧Vbと同等となる(VH=Vb)。bDモードでは、直流電源10aは、電力線20と電気的に切り離された状態を維持されて不使用とされる。なお、Va>Vbの状態でbDモードを適用すると、ダイオードD2を介して直流電源10aから10bに短絡電流が生じる。このため、bDモードの適用には、Vb>Vaが必要条件となる。
直結モードに含まれる、PDモード、SDモード、aDモードおよびbDモードの各々では、電力線20の出力電圧VHは、直流電源10a,10bの電圧Va,Vbに依存して決まるため、直接制御することができなくなる。このため、直結モードに含まれる各モードでは、出力電圧VHが負荷30の動作に適した電圧に設定できなくなることにより、負荷30での電力損失が増加する虞がある。
一方で、直結モードでは、スイッチング素子S1〜S4がオンオフされないため、電力変換器50の電力損失が大幅に抑制される。したがって、負荷30の動作状態によっては、直結モードの適用によって、負荷30の電力損失増加量よりも電力変換器50での電力損失減少量が多くなることにより、電源システム5全体での電力損失が抑制できる可能性がある。
図3において、PBモードは「第1のモード」に対応し、SBモードは「第2のモード」に対応し、aBモードおよびbBモードは「第3のモード」に対応する。また、aDモードおよびbDモードは「第4のモード」に対応し、PDモードは「第5のモード」に対応し、SDモードは「第6のモード」に対応する。
図4は、直流電源10a,10bを異なる種類の電源で構成した場合における両直流電源の特性の一例を示す概念図である。図4には、横軸にエネルギ、縦軸に電力をプロットした、いわゆるラゴンプロットが示される。一般的に、直流電源の出力パワーおよび蓄積エネルギはトレードオフの関係にあるため、高容量型のバッテリでは高出力を得ることが難しく、高出力型のバッテリでは蓄積エネルギを高めることが難しい。
したがって、直流電源10a,10bは、一方が、蓄積エネルギが高い、いわゆる高容量型の電源で構成されるのに対して、他方が、出力パワーが高い、いわゆる高出力型の電源で構成されることが好ましい。このようにすると、高容量型の電源に蓄積されたエネルギを平準的に長期間使用する一方で、高出力型の電源をバッファとして使用して、高容量型の電源による不足分を出力することができる。
図4の例では、直流電源10aが高容量型の電源で構成される一方で、直流電源10bは高出力型の電源で構成される。したがって、直流電源10aの動作領域110は、直流電源10bの動作領域120と比較して、出力可能な電力範囲が狭い。一方で、動作領域120は、動作領域110と比較して、蓄積可能なエネルギ範囲が狭い。
負荷30の動作点101では、高パワーが短時間要求される。たとえば、電動車両では、動作点101は、ユーザのアクセル操作による急加速時に対応する。これに対して、
負荷30の動作点102では、比較的低パワーが長時間要求される。たとえば、電動車両では、動作点102は、継続的な高速定常走行に対応する。
動作点101に対しては、主に、高出力型の直流電源10bからの出力によって対応することができる。一方で、動作点102に対しては、主に、高容量型の直流電源10aからの出力によって対応することができる。これにより、電動車両では、高容量型のバッテリに蓄積されたエネルギを長時間に亘って使用することによって、電気エネルギによる走行距離を延ばすことができるとともに、ユーザのアクセル操作に対応した加速性能を速やかに確保することができる。
また、直流電源がバッテリによって構成される場合には、低温時に出力特性が低下する可能性や、高温時に劣化進行を抑制するために充放電が制限される可能性がある。特に、電動車両では、搭載位置の差異によって、直流電源10a,10bの間に温度差が発生するケースも生じる。したがって、電源システム5では、直流電源10a,10bの状態(特に温度)に応じて、あるいは、上述したような負荷30の要求に応じて、いずれか一方の直流電源のみを使用した方が、効率的であるケースが存在する。上述したような、直流電源10a,10bの一方のみを使用するモード(aBモード,bBモード,aDモード,bDモード)を設けることによって、これらのケースに対応することができる。
すなわち、本実施の形態1に従う電力変換器50では、直流電源10a,10bおよび/または負荷30の状態に応じて、図3に示した、複数の動作モードのうちのいずれかの動作モードが選択される。そして、出力電圧VHは、電力変換器50が選択された動作モードで動作することによって制御される。
(各動作モードでの回路動作)
次に、各動作モードにおける電力変換器50の回路動作を説明する。まず、直流電源10aおよび10bと電力線20との間で並列なDC/DC変換を行なうPBモードでの回路動作について、図5〜図8を用いて説明する。
図5および図6に示されるように、スイッチング素子S4またはS2をオンすることによって、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して並列に接続することができる。ここで、並列接続モードでは、直流電源10aの電圧Vaと直流電源10bの電圧Vbとの高低に応じて等価回路が異なってくる。
図5(a)に示されるように、Vb>Vaのときは、スイッチング素子S4をオンすることにより、スイッチング素子S2,S3を介して、直流電源10aおよび10bが並列に接続される。このときの等価回路が図5(b)に示される。
図5(b)を参照して、直流電源10aおよび電力線20の間では、スイッチング素子S3のオンオフ制御によって、下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。同様に、直流電源10bおよび電力線20の間では、スイッチング素子S2,S3を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S1は、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。
一方、図6(a)に示されるように、Va>Vbのときには、スイッチング素子S2をオンすることにより、スイッチング素子S3,S4を介して、直流電源10aおよび10bが並列に接続される。このときの等価回路が図6(b)に示される。
図6(b)を参照して、直流電源10bおよび電力線20の間では、スイッチング素子S3のオンオフ制御によって、下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。同様に、直流電源10aおよび電力線20の間では、スイッチング素子S3,S4を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S1は、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。
次に、図7および図8を用いて、電力変換器50のPBモードにおける昇圧動作について詳細に説明する。
図7には、PBモードにおける直流電源10aに対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図7(a)を参照して、スイッチング素子S3,S4のペアをオンし、スイッチング素子S1,S2のペアをオフすることによって、リアクトルL1にエネルギを蓄積するため
の電流経路150が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図7(b)を参照して、スイッチング素子S3,S4のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S2のペアをオンすることによって、リアクトルL1の蓄積エネルギを直流電源10aのエネルギとともに出力するための電流経路151が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S3,S4のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S1,S2の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S2のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S3,S4の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図7(a)の電流経路150および図7(b)の電流経路151が交互に形成される。
この結果、スイッチング素子S1,S2のペアを等価的に上アーム素子とし、スイッチング素子S3,S4のペアを等価的に下アーム素子とする昇圧チョッパ回路が、直流電源10aに対して構成される。図7に示されるDC/DC変換動作では、直流電源10bへの電流流通経路がないため、直流電源10aおよび10bは互いに非干渉である。すなわち、直流電源10aおよび10bに対する電力の入出力を独立に制御することが可能である。
このようなDC/DC変換において、直流電源10aの電圧Vaと、電力線20の出力電圧VHとの間には、下記(1)式に示す関係が成立する。(1)式では、スイッチング素子S3,S4のペアがオンされる期間のデューティ比をDaとする。
VH=1/(1−Da)・Va …(1)
図8には、PBモードにおける直流電源10bに対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図8(a)を参照して、スイッチング素子S2,S3のペアをオンし、スイッチング素子S1,S4のペアをオフすることによって、リアクトルL2にエネルギを蓄積するための電流経路160が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図8(b)を参照して、スイッチング素子S2,S3のペアをオフするとともに、スイッチング素子S1,S4のペアをオンすることによって、リアクトルL2の蓄積エネルギを直流電源10bのエネルギとともに出力するための電流経路161が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S2,S3のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S1,S4の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1,S4のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S2,S3の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図8(a)の電流経路160および図8(b)の電流経路161が交互に形成される。
この結果、スイッチング素子S1,S4のペアを等価的に上アーム素子とし、スイッチング素子S2,S3のペアを等価的に下アーム素子とする昇圧チョッパ回路が、直流電源10bに対して構成される。図8に示されるDC/DC変換動作では、直流電源10aを含む電流経路がないため、直流電源10aおよび10bは互いに非干渉である。すなわち、直流電源10aおよび10bに対する電力の入出力を独立に制御することが可能である。
このようなDC/DC変換において、直流電源10bの電圧Vbと、電力線20の出力電圧VHとの間には、下記(2)式に示す関係が成立する。(2)式では、スイッチング素子S2,S3のペアがオンされる期間のデューティ比をDbとする。
VH=1/(1−Db)・Vb …(2)
直流電源10a,10bの一方のみを用いる昇圧モード(aBモード,bBモード)における回路動作は、図7および図8における回路動作と共通する。aBモードにおいては、図7(a),(b)に示すスイッチング動作によって、直流電源10bを不使用とする一方で、直流電源10aおよび負荷30の間で双方向のDC/DC変換を実行することができる。
同様に、bBモードにおいては、図8(a),(b)に示すスイッチング動作によって、直流電源10aを不使用とする一方で、直流電源10bおよび負荷30の間で双方向のDC/DC変換を実行することができる。
次に、直列接続された直流電源10aおよび10bと電力線20との間でDC/DC変換を行なうSBモードでの回路動作を、図9および図10を用いて説明する。
図9(a)に示されるように、スイッチング素子S3をオン固定することによって、直流電源10aおよび10bを電力線20に対して直列に接続することができる。このときの等価回路が図9(b)に示される。
図9(b)を参照して、SBモードでは、直列接続された直流電源10aおよび10bと電力線20との間では、スイッチング素子S2,S4を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S1は、スイッチング素子S2,S4のオフ期間にオンされることによって、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。また、オン固定されたスイッチング素子S3により、リアクトルL1をスイッチング素子S4と接続する配線15が等価的に形成される。
次に、図10を用いて、SBモードにおけるDC/DC変換(昇圧動作)を説明する。
図10(a)を参照して、直流電源10aおよび10bを直列接続するためにスイッチング素子S3がオン固定される一方で、スイッチング素子S2,S4のペアがオンし、スイッチング素子S1がオフされる。これにより、リアクトルL1,L2にエネルギを蓄積するための電流経路170,171が形成される。この結果、直列接続された直流電源10a,10bに対して、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図10(b)を参照して、スイッチング素子S3をオン固定したままで、図10(a)とは反対に、スイッチング素子S2,S4のペアがオフし、スイッチング素子S1がオンされる。これにより、電流経路172が形成される。電流経路172により、直列接続された直流電源10a,10bからのエネルギと、リアクトルL1,L2に蓄積されたエネルギとの和が電力線20へ出力される。この結果、直列接続された直流電源10a,10bに対して、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S3がオン固定された下で、スイッチング素子S2,S4のペアがオンされる一方でスイッチング素子S1がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S1がオンされる一方でスイッチング素子S2,S4がオフされている第2の期間とを交
互に繰返すことにより、図10(a)の電流経路170,171および図10(b)の電流経路172が交互に形成される。
SBモードのDC/DC変換では、直流電源10aの電圧Va、直流電源10bの電圧Vb、および、電力線20の出力電圧VHの間には、下記(3)式に示す関係が成立する。(3)式では、スイッチング素子S2,S4のペアがオンされる第1の期間のデューティ比をDcとする。
Vo=1/(1−Dc)・(Va+Vb) …(3)
ただし、VaおよびVbが異なるときや、リアクトルL1,L2のインダクタンスが異なるときには、図10(a)の動作終了時におけるリアクトルL1,L2の電流値がそれぞれ異なる。したがって、図10(b)の動作への移行直後には、リアクトルL1の電流の方が大きいときには電流経路173を介して差分の電流が流れる。一方、リアクトルL2の電流の方が大きいときには電流経路174を介して、差分の電流が流れる。
直結モードでは、図3に従ってスイッチング素子S1〜S4のオンオフを固定することによって、PDモード、SDモード、aDモードおよびbDモードのいずれかが実現されることが理解される。
(電力変換器の制御動作)
次に、本実施の形態1に従う電力変換器50の制御について説明する。以下の説明で明らかになるように、各動作モードにおいて共通の制御演算が適用される点が、本実施の形態に従う電力変換器制御の特徴の1つである。
図11は、本実施の形態1に従う電力変換器制御の基本的な概念を説明する図である。
図11を参照して、直流電源10aの出力電力Paおよび直流電源10bの出力電力Pbの和を総電力PHとする。なお、以下では、各直流電源10a,10bの放電時および負荷30の力行動作時の電力値を正値で表し、各直流電源10a,10bの充電時および負荷30の回生動作時の電力値を負値で表すこととする。
出力電圧VHは、総電力PHが負荷30への出力電力PLよりも大きい状態(PH>PL)では上昇する一方で、PH<PLの状態では低下する。したがって、本実施の形態1に従う電力変換器制御では、出力電圧VHの電圧指令値VH*に対する電圧偏差ΔVHに応じて総電力PHの指令値を設定する。さらに、総電力PHを出力電力PaおよびPbの間で分配することにより、各直流電源10a,10bの出力を電力制御(電流制御)する。
(PBモードにおける基本的な制御動作)
実施の形態1では、基本となるPBモードでの制御動作について説明を進める。
図12および図13は、本実施の形態1に従う電力変換器制御を説明するためのブロック図である。図12には、各直流電源の電力指令値を設定する制御演算のための構成が示されるとともに、図13には、設定された電力指令値に従って各直流電源の出力を制御する制御演算のための構成が示される。
図12および図13に示された各機能ブロックの機能は、制御装置(ECU)40による、所定プログラムの実行によるソフトウェア処理または専用の電子回路等によるハードウェア処理によって実現される。
図12を参照して、制御装置40は、電圧制御部200と、パワー管理部290とを含む。
パワー管理部290は、直流電源10a,10bおよび/または負荷30の状態に基づいて、総電力PHに関する電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminと、直流電源10aの電力上限値Pamaxおよび電力下限値Paminと、直流電源10aおよび10bの間の電力分配比kとを設定する。
各電力上限値は、放電電力の上限値を示しており、0または正に設定される。電力上限値=0に設定されたときは、直流電源からの放電が禁止されることを意味する。
同様に、各電力下限値は、充電電力の上限値を示しており、0または負に設定される。電力下限値=0に設定されたときは、直流電源の充電が禁止されることを意味する。
たとえば、直流電源10aのSOC(State of Charge)および/または温度Ta等に基づいて、電力上限値Pamaxおよび電力下限値Paminが設定される。また、直流電源10bについても同様に電力上限値Pbmaxおよび電力下限値Pbminを設定することができるため、直流電源10a,10b全体の電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminを設定することができる。たとえば、PHmax=Pamax+Pbmax、PHmin=Pamin+Pbminとすることができる。また、負荷電力PLについても、PHmax〜PHminの範囲内に制限される必要がある。すなわち、負荷30が回生動作または力行動作を行なうための動作指令値は、負荷電力PLがPHmin≦PL≦PHmaxとなる範囲内に制限して生成される。たとえば、図2の構成例では、モータジェネレータ35による負荷電力PLは、トルクおよび回転速度の積によって決まるため、必要に応じてトルク指令値が制限される。
電力分配比kは、たとえば、直流電源10a,10b間のSOCバランス、または、上下限電力のバランス等に基づいて決めることができる。0≦k≦1.0の任意の値に、電力分配比kを設定することができる。後程詳細に説明するように、電力分配比kは、動作モードに応じて切替えられる
パワー管理部290は、さらに、直流電源10a,10bの間で充放電を行なうための循環電力Prを設定する。
循環電力値Prは、直流電源10bを充電するための直流電源10aからの出力電力に相当する。たとえば、力行動作時には、k=1とした上でPr>0に設定すると、直流電源10aの出力電力によって、総電力PHを電力線20に対して供給しつつ、直流電源10bを充電することができる。反対に、k=0とした上でPr<0に設定すると、直流電源10bの出力電力によって、総電力PHを電力線20に対して供給しつつ、直流電源10aを充電することができる。
また、回生動作時(PH<0)には、k=0とした上でPr>0に設定すると、負荷30からの回生電力と、直流電源10aからの出力電力との両方によって、直流電源10bを充電することができる。反対に、k=1とした上でPr<0に設定すると、負荷30からの回生電力と、直流電源10bからの出力電力との両方によって、直流電源10aを充電することができる。
循環電力値Prが設定されないとき(Pr=0)には、直流電源10aおよび10bの間での充放電は実行されない。パワー管理部290は、たとえば、直流電源10a,10bのSOCが不均衡である場合に、低SOC側の直流電源の充電を促進するように循環電力値Prを設定する。
電圧制御部200は、出力電圧VHの電圧偏差に基づいて、直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を設定する。電圧制御部200は、偏差演算部210と、制御演算部220と、リミッタ230と、電力分配部240と、循環電力加算部250と、リミッタ260と、減算部270とを有する。図12の構成において、リミッタ260は「第1の保護手段」に対応し、リミッタ230は「第2の保護手段」に対応する。
偏差演算部210は、電圧指令値VH*および出力電圧VHの検出値の差に従って電圧偏差ΔVH(ΔVH=VH*−VH)を算出する。制御演算部220は、電圧偏差ΔVHに基づいて、電圧制御のために要求される総電力PHrを算出する。たとえば、制御演算部220は、PI演算によって、下記(4)式に従ってPHrを設定する。
PHr=Kp・ΔVH+Σ(Ki・ΔVH) …(4)
式(4)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインには、平滑コンデンサCHの容量値も反映される。式(4)に従って総電力PHrを設定することにより、電圧偏差ΔVHを低減するためのフィードバック制御を実現できる。
あるいは、負荷30の動作状態から負荷30への出力電力PLを予測できる場合には、この予測値PL*をさらに反映して、式(5)に従って要求される総電力PHrを設定することも可能である。このようにすると、負荷30での電力消費をフィードフォワードする形で出力電圧VHを制御することができる。
PHr=Kp・ΔVH+Σ(Ki・ΔVH)+PL* …(5)
リミッタ230は、パワー管理部290によって設定されたPHmax〜PHminの範囲内となるように、電力指令値PH*を制限する。もし、PHr>PHmaxのときには、リミッタ230によりPH*=PHmaxに設定される。同様に、PHr<PHmimのときには、リミッタ230は、PH*=PHminに設定する。また、PHmax≧PHr≧PHminのときには、そのままPH*=PHrに設定される。これにより、総電力指令値PH*が確定する。
電力分配部240は、総電力指令値PH*および電力分配比kに基づいて、直流電源10aが分担すべき出力電力k・PH*を算出する。循環電力加算部250は、電力分配部240によって算出されたk・Pa*と、パワー管理部290によって設定された循環電力値Prとを加算することによって、直流電源10aが要求される電力Parを算出する(Par=k・Pa*+Pr)。
リミッタ260は、パワー管理部290によって設定されたPamax〜Paminの範囲内となるように、直流電源10aの電力指令値Pa*を制限する。もし、Par>Pamaxのときには、リミッタ260によりPa*=Pamaxに修正される。同様に、PHa<Pamimのときには、リミッタ260は、Pa*=Paminに修正する。また、Pamax>Par>Paminのときには、そのままPa*=Parとされる。これにより、直流電源10aの電力指令値Pa*が確定する。
減算部270は、総電力指令値PH*から電力指令値Pa*を減算することによって、直流電源10bの電力指令値Pb*を設定する(Pb*=PH*−Pa*)。
図14は、図12に従って設定された電力指令値による電源システム内のパワーフローを説明するための概念図である。
図14を参照して、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御するために必要な総電力指令値PH*は、電力分配比kに従って電力指令値Pa*,Pb*に分配される。すなわち、基本的には、Pa*=k・PH、Pb*=(1−k)・PH*に設定される。これにより、直流電源10a,10b間での電力比を制御した上で、出力電圧VHを制御するための総電力指令値PH*に従った電力を、電力線20へ入出力することができる。
さらに、循環電力値Prを設定することにより、直流電源10aからの出力電力によって直流電源10bを充電(Pr>0)、あるいは、直流電源10bからの出力電力によって直流電源10aを充電(Pr<0)することができる。
また、電力指令値Pa*がリミッタ260によってPamax〜Paminの範囲内に確実に制限されるので、直流電源10aを過電力から保護できる。すなわち、直流電源10aの過充電および過放電を防止できる。
また、負荷電力PLをPHmin〜PHmaxの範囲内に制限するとともに、総電力指令値PH*がリミッタ230によってPHmax〜PHminの範囲内に確実に制限されることにより、直流電源10bについても過電力から保護できる。すなわち、直流電源10bの過充電および過放電についても防止することができる。
図13を参照して、制御装置40は、電力指令値Pa*,Pb*に従って直流電源10a,10bからの出力を制御するための、電流制御部300、電流制御部310、PWM(Pulse Width Modulation)制御部400、およびキャリア波発生部410を含む。電流制御部300は、電流制御によって直流電源10aの出力を制御する。電流制御部310は、電流制御によって直流電源10aの出力を制御する。図13の構成において、電流制御部300および310は「制御手段」に対応し、PWM制御部400は「信号生成手段」に対応する。
電流制御部300は、電流指令生成部302と、偏差演算部304と、制御演算部306と、FF加算部308とを有する。
電流指令生成部302は、電力指令値Pa*と、電圧Vaの検出値とに基づいて、直流電源10aの電流指令値Ia*を設定する(Ia*=Pa*/Va)。偏差演算部304は、電流指令値Ia*および電流Iaの検出値の差に従って電流偏差ΔIa(ΔIa=Ia*−Ia)を算出する。制御演算部306は、電流偏差ΔIaに基づいて、電流フィードバック制御の制御量Dfbaを算出する。たとえば、制御演算部306は、PI演算によって、下記(6)式に従って制御量Dfbaを算出する。
Dfba=Kp・ΔIa+Σ(Ki・ΔIa) …(6)
式(6)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインは、式(4)とは別個に設定される。
一方で、電圧フィードフォワード制御のFF制御量Dffaは、式(1)をDaについて解くことで得られるDa=(VH−Va)/VHに沿って、式(7)に従って設定される(図16参照)。
Dffa=(VH*−Va)/VH* …(7)
FF加算部308は、FB制御量DfbaおよびFF制御量Dffaを加算することによって、直流電源10aの出力制御に関するデューティ比Daを算出する。デューティ比Daは、式(1)と同様に、直流電源10aの電圧Vaと出力電圧VHとの間でDC/DC変換を行なう際の、昇圧チョッパ回路(図7)の下アーム素子(スイッチング素子S3,S4)がオンされる期間のデューティ比に相当する。
同様に、直流電源10bに対応する電流制御部310は、電流指令生成部312と、偏差演算部314と、制御演算部316と、FF加算部318とを有する。
電流指令生成部312は、電力指令値Pb*と、電圧Vbの検出値とに基づいて、直流電源10bの電流指令値Ib*を設定する(Ib*=Pb*/Vb)。偏差演算部314は、電流指令値Ib*および電流Ibの検出値の差に従って電流偏差ΔIb(ΔIb=Ib*−Ib)を算出する。制御演算部316は、電流偏差ΔIbに基づいて、電流フィードバック制御の制御量Dfbbを算出する。たとえば、制御演算部316は、PI演算によって、下記(8)式に従って制御量Dfbbを算出する。
Dfbb=Kp・ΔIb+Σ(Ki・ΔIb) …(8)
式(8)中のKpは比例制御ゲインであり、Kiは積分制御ゲインである。これらの制御ゲインは、式(4)および式(6)とは別個に設定される。
一方で、電圧フィードフォワード制御のFF制御量Dffbは、式(2)をDbについて解くことで得られるDb=(VH−Vb)/VHに沿って、式(9)に従って設定される(図16参照)。なお、式(9)中において、電圧指令値VH*は出力電圧VHの検出値としてもよい。
Dffb=(VH*−Vb)/VH* …(9)
FF加算部318は、FB制御量DfbbおよびFF制御量Dffbを加算することによって、直流電源10bの出力制御に関するデューティ比Dbを算出する。デューティ比Dbは、式(2)と同様に、昇圧チョッパ回路(図8)の下アーム素子(スイッチング素子S2,S3)がオンされる期間のデューティ比に相当する。
PWM制御部400は、電流制御部300,310によって設定されたデューティ比Da,Db、ならびに、キャリア波発生部410からのキャリア波CWa,CWbに基づくパルス幅変調制御によって、スイッチング素子S1〜S4の制御信号SG1〜SG4を生成する。
図15には、PBモードにおけるPWM制御に従うスイッチング素子の制御動作例を示す波形図が示される。図15には、同一位相のキャリア波CWa,CWbを用いたPBモードの制御動作例が示される。
図15を参照して、直流電源10aのPWM制御に用いられるキャリア波CWaと、直流電源10bのPWM制御に用いられるキャリア波CWbとは、同一周波数かつ同一位相である。
直流電源10aの出力を制御するためのデューティ比Daと、キャリア波CWaとの電圧比較に基づいて、制御パルス信号SDaが生成される。同様に、直流電源10bの出力を制御するためのデューティ比Dbと、キャリア波CWbとの比較に基づいて制御パルス信号SDbが生成される。制御パルス信号/SDa,/SDbは、制御パルス信号SDa,SDbの反転信号である。
図16には、PBモードにおける制御信号SG1〜SG4およびFF制御量Dffa,Dffbを設定するための論理演算式および設定式が示される。
図16に示されるように、制御信号SG1〜SG4は、制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)の論理演算に基づいて設定される。また、FF制御量Dffa,Dffbは、上述の式(7),(9)に従って設定される。
スイッチング素子S1は、図7および図8の昇圧チョッパ回路の各々で上アーム素子を形成する。したがって、スイッチング素子S1のオンオフを制御する制御信号SG1は、制御パルス信号/SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。この結果、スイッチング素子S1は、図7の昇圧チョッパ回路(直流電源10a)の上アーム素子および、図8の昇圧チョッパ回路(直流電源10b)の上アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
スイッチング素子S2は、図7の昇圧チョッパ回路では上アーム素子を形成し、図8の昇圧チョッパ回路では下アーム素子を形成する。したがって、スイッチング素子S2のオンオフを制御する制御信号SG2は、制御パルス信号/SDaおよびSDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S2は、図7の昇圧チョッパ回路(直流電源10a)の上アーム素子および、図8の昇圧チョッパ回路(直流電源10b)の下アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
同様にして、スイッチング素子S3の制御信号SG3は、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S3は、図7の昇圧チョッパ回路(直流電源10a)の下アーム素子および、図8の昇圧チョッパ回路(直流電源10b)の下アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
また、スイッチング素子S4の制御信号SG4は、制御パルス信号SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S4は、図7の昇圧チョッパ回路(直流電源10a)の下アーム素子および、図8の昇圧チョッパ回路(直流電源10b)の上アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
PBモードでは、制御信号SG2およびSG4が相補のレベルに設定されているので、スイッチング素子S2およびS4は相補的にオンオフされる。これにより、図5に示したVb>Vaのときの動作と、図6に示したVa>Vbの動作とが、自然に切替えられる。さらに、スイッチング素子S1,S3が相補にオンオフされることにより、直流電源10a,10bについて、デューティ比Da,Dbに従った直流電力変換が実行できる。
再び図15を参照して、制御信号SG1〜SG4は、図16に示された論理演算式に従って、制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)に基づいて生成される。制御信号SG1〜SG4に基づいてスイッチング素子S1〜S4をオンオフすることにより、リアクトルL1を流れる電流I(L1)およびリアクトルL2を流れる電流I(L2)が制御される。電流I(L1)は直流電源10aの電流Iaに相当し、電流I(L2)は直流電源10bの電流Ibに相当する。
このように、PBモードでは、直流電源10a,10bと電力線20との間で並列にDC/DC変換を実行した上で、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御することができる。特に、出力電圧VHの電圧偏差を電力指令値に変換して、各直流電源10a,10bの出力を電流制御することにより、出力電力ベースでの確実な過電力からの保護が可能となる。また、直流電源10a,10b間での電力分配比kや循環電力値Prを簡易に制御することが可能である。
特に、直流電源10a,10bの一方に対しては、電力指令値を直接制限することができる。図12の構成例では、リミッタ260により、直流電源10aの電力指令値Pa*を、Pamin≦Pa*≦Pamaxの範囲内に確実に制限することができる。これにより、直流電源10aの過電力を厳密に防止できる。
なお、総電力指令値PH*をPHmin〜PHmaxの範囲内に制限して直流電源10bの電力指令値Pb*を設定するとともに、負荷電力PLをPHmin〜PHmaxの範囲内に制限することによって、直流電源10bについても間接的に過電力から保護することができる。ただし、図12の構成例では、リミッタ260によって電力指令値Pa*が直接制限される直流電源10aの方が、直流電源10bよりも過電力から厳格に保護されることになる。したがって、より厳格に過電力からの保護が必要な直流電源の電力指令値に対して、リミッタ260による直接の制限が行なわれる構成とすることが好ましい。
(PBモードにおけるPWM制御の変形例)
図17には、キャリア波CWa,CWb間に意図的に位相差を設けた場合におけるPBモードの制御動作例が示される。
図17を参照して、キャリア波CWaおよびキャリア波CWbは、同一周波数であるが、両者の間には位相差φが設けられている。図17の例では、位相差φ=180度である。
図15と同様に、キャリア波CWaおよびデューティ比Daの比較に基づいて制御パルス信号SDaが生成されるとともに、キャリア波CWbおよびデューティ比Dbの比較に基づいて、制御パルス信号SDbが生成される。
図17において、デューティ比Da,Dbは図15と同一値である。したがって、図17の制御パルス信号SDaは、図15の制御パルス信号SDaと比較して、位相は異なるもののHレベル期間の長さは同じである。同様に、図17の制御パルス信号SDbは、図
15の制御パルス信号SDbと比較して、位相は異なるもののHレベル期間の長さは同じである。
したがって、キャリア波CWa,CWb間に位相差φを設けることにより、図17の制御信号SG1〜SG4は、図15の制御信号SG1〜SG4とは異なった波形となる。図15および図17の比較から、キャリア波CWa,CWbの間の位相差φを変化させることにより、電流I(L1)および電流I(L2)の位相関係(電流位相)が変化することが理解される。
一方で、同一のデューティ比Da,Dbに対して、電流I(L1),I(L2)の平均値は、図15および図17の間で同等となることが理解される。すなわち、直流電源10a,10bの出力は、デューティ比Da,Dbによって制御されるものであり、キャリア波CWa,CWbの位相差φを変化させても影響が生じない。
このため、本発明の実施の形態に従う電力変換器50では、PBモードにおいて、キャリア波CWaおよびCWbの間の位相差φを適切に調整するキャリア位相制御によって、スイッチング素子S1〜S4のスイッチング損失の低減を図ることができる。
以下では、代表的な例として、直流電源10aおよび10bの両方が力行状態、すなわち電流I(L1)>0かつ電流I(L2)>0である状態での制御について説明する。
図18は、電力変換器50においてPBモードにおけるキャリア位相制御による電流位相を説明する波形図である。
図18を参照して、時刻Taまでは、スイッチング素子S2〜S4がオンされるので、直流電源10a,10bの両方に対して、昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンされた状態となる、このため、電流I(L1)およびI(L2)の両方は上昇する。
時刻Taにおいて、スイッチング素子S2がターンオフされることにより、直流電源10bに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオフされた状態となるので、電流I(L2)が下降を開始する。スイッチング素子S2のターンオフと入替わりに、スイッチング素子S1がターンオンされる。
時刻Ta以降では、直流電源10aに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンされ、直流電源10bに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオフされた状態となる。すなわち、電流I(L1)が上昇する一方で、電流I(L2)が下降する。このとき、電力変換器50での電流経路は、図19(a)のようになる。
図19(a)から理解されるように、時刻Ta以降では、スイッチング素子S4には、電流I(L1)およびI(L2)の差電流が通過することになる。すなわち、スイッチング素子S4の通過電流が小さくなる。
再び図18を参照して、時刻Ta以降の状態から、スイッチング素子S4がターンオフすると、直流電源10aに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオフされた状態となるので、電流I(L1)が下降を開始する。また、スイッチング素子S2がターンオンすると、直流電源10bに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンされた状態となるので、電流I(L2)が再び上昇を開始する。すなわち、電力変換器50での電流経路が、図19(a)の状態から、図19(b)の状態に変化する。図19(b)の状態では、スイッチング素子S2には、電流I(L1)およびI(L2)の差電流が通過することになるため、スイッチング素子S2の通過電流が小さくなる。
図19(a)の状態でスイッチング素子S4をターンオフさせることにより、スイッチング素子S4のターンオフ時の電流、すなわち、スイッチング損失を低減できる。また、図19(b)の状態でスイッチング素子S2をターンオンさせることにより、スイッチング素子S2のターンオン時の電流、すなわち、スイッチング損失を低減できる。
したがって、電流I(L1)の下降開始タイミング(極大点)と、電流I(L2)の上昇タイミング(極小点)とが重なるように、電流位相、すなわち、キャリア波CWa,CWbの位相差φを調整する。これにより、図18の時刻Tbにおいて、スイッチング素子S2がターンオンされるとともに、スイッチング素子S4がターンオフされる。
再び図18を参照して、時刻Tcでは、スイッチング素子S1がターンオフされるとともに、スイッチング素子S4がターンオンされる。これにより、直流電源10a,10bの各々に対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンされた状態となる。これにより、上述した時刻Ta以前の状態が再現されて、電流I(L1)およびI(L2)の両方が上昇する。
図20には、図18に示した電流位相におけるスイッチング素子S2,S4の電流波形が示される。図20(a)には、スイッチング素子S2の電流I(S2)の波形が示され、図20(b)には、スイッチング素子S4の電流I(S4)の波形が示される。
図20(a)を参照して、電流I(S2)は、時刻Taまでの期間および時刻Tc以降の期間では、I(S2)=I(L2)となる。時刻Ta〜Tbの期間では、スイッチング素子S2がオフされるので、I(S2)=0である。そして、時刻Tb〜Tcの期間では、図19(b)に示したように、I(S2)=−(I(L1)−I(L2))となる。
図20(b)を参照して、電流I(S4)は、時刻Taまでの期間および時刻Tc以降の期間では、I(S4)=I(L1)となる。時刻Ta〜Tbの期間では、図19(a)に示したように、I(S4)=−(I(L2)−I(L1))となる。そして、時刻Tb〜Tcの期間では、スイッチング素子S4がオフされるので、I(S4)=0である。
図21には、図18と比較するための、図18と同等のデューティ比の下でキャリア波間の位相差φ=0としたときの電流位相が示される。
図21を参照して、キャリア波CWa,CWbの位相差φ=0のときには、電流I(L1),I(L2)が上昇/下降するタイミング(Tx,Ty,Tz,Tw)はそれぞれ別個のものとなる。
具体的には、時刻Tx以前での、スイッチング素子S1がオフしスイッチング素子S2〜S4がオンしている状態では、電流I(L1)およびI(L2)の両方が上昇する。そして、時刻Txでスイッチング素子S4がターンオフすることによって、電流I(L1)が下降を開始する。スイッチング素子S1は、スイッチング素子S4のターンオフと入替わりにターンオンする。
そして、時刻Tyでは、スイッチング素子S3がターンオフすることによって、電流I(L2)が下降を開始する。スイッチング素子S4は、スイッチング素子S3のターンオフと入替わりにターンオンする。これにより、電流I(L1)およびI(L2)の両方が下降する。
時刻Tzでは、スイッチング素子S2がターンオフするとともに、スイッチング素子S
3がターンオンする。これにより、直流電源10aに対して昇圧チョッパ回路の下アーム素子がオンした状態となるので、電流I(L1)が再び上昇する。さらに、時刻Twでは、スイッチング素子S1がターンオフするとともに、スイッチング素子S2がターンオンする。これにより、時刻Tx以前の状態が再現されるので、電流I(L1)およびI(L2)の両方が上昇する。
図22には、図21に示した電流位相におけるスイッチング素子S2,S4の電流波形が示される。図22(a)には、スイッチング素子S2の電流I(S2)の波形が示され、図22(b)には、スイッチング素子S4の電流I(S4)の波形が示される。
図22(a)を参照して、電流I(S2)は、時刻Txまでの期間および時刻Tw以降の期間では、I(S2)=I(L2)となる。時刻Tx〜Tyの期間では、図19(b)と同様の電流経路が形成されるので、I(S2)=−(I(L1)−I(L2))となる。そして、時刻Ty〜Tzの期間では、直流電源10aに対する上アーム素子として動作するので、I(S2)=−I(L1)となる。電流I(L1),I(L2)の両方が下降する時刻Ty〜Tzの期間では、スイッチング素子S2は直流電源10aに対して上アーム素子として動作するので、I(S2)=−I(L1)となる。時刻Tz〜Twの期間では、スイッチング素子S2がオフされるので、I(S2)=0である。
図22(b)を参照して、電流I(S4)は、時刻Txまでの期間および時刻Tw以降の期間では、I(S4)=I(L1)となる。時刻Tx〜Tyの期間では、スイッチング素子S4がオフされるので、I(S4)=0である。電流I(L1),I(L2)の両方が下降する時刻Ty〜Tzの期間では、スイッチング素子S4は直流電源10bに対する上アーム素子として動作するので、I(S4)=−I(L2)となる。時刻Tz〜Twの間では、図19(a)と同様の電流経路が形成されるので、I(S2)=−(I(L2)−I(L1))となる。
図20(a)の時刻Tbで生じる電流I(S2)と、図22(a)の時刻Twで生じる電流I(S2)との比較から、図18の電流位相となるように位相差φを調整することによって、スイッチング素子S2のターンオン電流、すなわち、ターンオン時のスイッチング損失が低減されることが理解される。さらに、図20(a)の時刻Tb〜Tcでの電流I(S2)と、図22(a)の時刻Ty〜Tzでの電流I(S2)との比較から、スイッチング素子S2の導通損失についても低減されることが理解される。
同様に、図20(b)の時刻Tbでの電流I(S4)と、図22(b)の時刻Txでの電流I(S4)との比較から、図18の電流位相となるように位相差φを調整することによって、スイッチング素子S4のターンオフ電流、すなわち、ターンオフ時のスイッチング損失が低減されることが理解される。さらに、図20(b)の時刻Ta〜Tbでの電流I(S4)と、図22(a)の時刻Ty〜Tzでの電流I(S4)との比較から、スイッチング素子S4の導通損失についても低減されることが理解される
このように、キャリア波CWa,CWbの間に位相差φを設けることにより、スイッチング素子S1〜S4での損失を低減できる。図18に示したように、直流電源10aおよび20の両方が力行となる状態では、電流I(L1)の下降開始タイミング(極大点)と、電流I(L2)の上昇タイミング(極小点)が重なるように、すなわち、スイッチング素子S2のターンオンタイミングと、スイッチング素子S4のターンオフタイミングとが一致するように、位相差φを設定することによって、スイッチング素子S1〜S4での損失が抑制される。
この結果、直流電源10aおよび20と電力線20(負荷30)との間の直流電力変換を高効率で実行することができる。このような位相差φでは、制御パルス信号SDaの立下りタイミング(または立上りタイミング)と、制御パルス信号SDbの立上りタイミング(または立下りタイミング)とが重なることになる。言い換えると、制御パルス信号SDaのパルスの遷移タイミングと、制御パルス信号SDbのパルスの遷移タイミングとを合わせるように、位相差φを調整することが必要となる。なお、遷移タイミングとは、パルスのHレベル/Lレベルが切り換わるタイミングを示すものである。
図15および図17からも理解されるように、制御パルス信号SDa,SDbは、デューティ比Da,Dbによって変化する。したがって、図18のような電流位相が実現できる位相差φ、すなわち、キャリア位相制御による位相差φについても、デューティ比Da,Dbに応じて決定されることが理解できる。このため、デューティ比Da,Dbと、キャリア位相制御による位相差φとの関係を予め求めるとともに、その対応関係を予めマップ(以下、「位相差マップ」とも称する)あるいは関数式(以下、「位相差算出式」とも称する)として制御装置40に記憶することが可能である。
そして、図12および図13で説明した、PBモードにおける直流電源10a,10bでの電流制御のためのPWM制御では、算出されたデューティ比Da,Dbに基づいて、キャリア位相制御のための位相差φを算出することができる。そして、キャリア波発生部410(図13)が、算出された位相差φを有するようにキャリア波CWa,CWbを発生させることにより、スイッチング素子S1〜S4での損失を抑制した高効率のDC/DC変換を実現することができる。
図18〜図22では、直流電源10aおよび20の両方が力行の状態を説明したが、その他の状態においても、同様のキャリア位相制御が実行できる。
図23は、直流電源の各動作状態における本発明の実施の形態1に従うキャリア位相制御を説明するための図表である
図23を参照して、状態Aでは、上述した、直流電源10aおよび10bの両方が力行状態である。図18に示したように、電流I(L1)の下降タイミング(極大点)と、電流I(L2)の上昇タイミング(極小点)とが図中のTbで重なるような電流位相となるように、キャリア波の位相差φを調整する。これにより、Tbにおけるスイッチング素子S2のターンオン損失およびスイッチング素子S4のターンオフ損失を低減できる。さらに、上述のように、Ta〜Tbの期間におけるスイッチング素子S4の導通損失および、Tb〜Tcの期間におけるスイッチング素子S2の導通損失を低減することができる。
状態Bでは、直流電源10aおよび10bの両方が回生状態である。この状態では、電流I(L1)の上昇タイミング(極小点)と、電流I(L2)の下降タイミング(極大点)とが図中のTbで重なるような電流位相となるように、キャリア波の位相差φを調整する。これにより、Tbにおけるスイッチング素子S4のターンオン損失およびスイッチング素子S2のターンオフ損失を低減できる。さらに、上述のように、Ta〜Tbの期間におけるスイッチング素子S2の導通損失および、Tb〜Tcの期間におけるスイッチング素子S4の導通損失を低減することができる。
状態Cでは、直流電源10aが回生状態である一方で、直流電源10bは力行状態である。この状態では、電流I(L1)の下降タイミング(極大点)と、電流I(L2)の下降タイミング(極小点)とが図中のTaで重なるような電流位相となるように、キャリア波の位相差φを調整する。これにより、Taにおけるスイッチング素子S3のターンオン損失およびスイッチング素子S1のターンオフ損失を低減できる。さらに、上述のように、Ta〜Tbの期間におけるスイッチング素子S1の導通損失および、Tc〜Taの期間におけるスイッチング素子S3の導通損失を低減することができる。
さらに、状態Dでは、直流電源10aが力行状態である一方で、直流電源10bは回生状態である。この状態では、電流I(L1)の上昇タイミングと、電流I(L2)の上昇タイミングとが図中のTcで重なるような電流位相となるように、キャリア波の位相差φを調整する。これにより、Tcにおけるスイッチング素子S1のターンオン損失およびスイッチング素子S3のターンオフ損失を低減できる。さらに、上述のように、Tb〜Tcの期間におけるスイッチング素子S1の導通損失および、Tc〜Taの期間におけるスイッチング素子S3の導通損失を低減することができる。
このように、直流電源10aおよび10bの力行/回生状態の組合せによって、スイッチング素子S1〜S4での損失を低減するための位相差φが異なる。したがって、力行/回生状態の組合せ(図23での状態A〜D)ごとに、上述した、位相差マップまたは位相差算出式を設定することが好ましい。
このように、本実施の形態に従う電力変換器50では、図12および図13に示された制御演算に従う、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御するためのPBモードでのDC/DC変換において、キャリア波発生部410(図13)によるキャリア位相制御を組み合わせることができる。これにより、出力電圧VHの電圧偏差を電力指令値に変換して各直流電源10a,10bの出力を電流制御する際に、スイッチング素子S1〜S4の損失が低減された高効率のDC/DC変換を実行することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、図12および図13の制御構成に従うPBモードにおける制御動作について説明した。図3に示したように、本実施の形態1に従う電力変換器50には、出力電圧VHが電圧指令値VH*へ制御される昇圧モードとして、PBモードの他にも、aBモード、bBモードおよびSBモードが存在する。実施の形態2では、これらの動作モードにおける本実施の形態に従う電力変換器制御を説明する。
aBモード、bBモードおよびSBモードについても、実施の形態1で説明した図12および図13に従う制御構成を共有して、出力電圧VHが電流指令値VH*へ制御される。
図24は、昇圧モードに属する各動作モードにおける制御信号および制御データの設定を説明する図表である。
図24を参照して、昇圧モードにおける各動作モードでは、図12および図13に示された制御構成が共有される。そして、電力分配比k、電流フィードバック制御の実行対象となる直流電源、および制御信号SG1〜SG4の演算ロジックを変更することにより、動作モードの違いに対応している。
PBモードでは、実施の形態1で説明したように、電力分配比kは、0≦k≦1.0の範囲内で任意に設定することができるとともに、循環電力値Prについても制御上は任意の値で設定することができる。上述のように、PBモードでは、出力電圧VHを制御するための電力指令値に基づいて設定された電流指令値Ia*,Ib*に従って、直流電源10a,10bの両方の電流Ia,Ibが制御される。
(aBモードの制御動作)
aBモードでは、図7(a),(b)に示すスイッチング動作によって、スイッチング素子S1〜S4が形成する昇圧チョッパ回路によって、直流電源10bを不使用とする一方で、直流電源10aおよび電力線20(負荷30)の間で双方向のDC/DC変換が実行される。したがって、aBモードでは、直流電源10aの出力を制御するためのデューティ比Daに基づく制御パルス信号SDaに従って、スイッチング素子S1〜S4が制御される。具体的には、図7(a),(b)に示した昇圧チョッパ回路の下アーム素子を構成するスイッチング素子S3およびS4は、制御パルス信号SDaに従って共通にオンオフ制御される。同様に、昇圧チョッパ回路の上アーム素子を構成するスイッチング素子S1およびS2は、制御パルス信号/SDaに従って共通にオンオフ制御される。
図24ならびに図12を参照して、aBモードにおいても、PBモードと同様に、偏差演算部210、制御演算部220および、リミッタ230によって、出力電圧VHの電圧偏差ΔVHに基づいて総電力指令値PH*が設定される。なお、直流電源10bは不使用とされるので、リミッタ230に与えられる電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminは、直流電源10aの電力上限値Pamaxおよび電力下限値Paminと同等に設定することができる。これに対応して、aBモードでは、負荷30の動作指令値は、Pamin≦PL≦Pamaxとなる範囲内に制限して生成される。
aBモードでは、直流電源10bが非使用(充放電回避)とされるので、循環電力Pr=0に固定される。さらに、電力分配比k=1.0に固定することにより、電力指令値Pa*=PH*に設定される一方で、電力指令値Pb*=0に設定される。この際に、リミッタ260によっても、電力指令値Pa*がPamax〜Paminの範囲から外れないように、すなわち、直流電源10aに過電力が生じないように保護することができる。したがって、aBモードにおいては、リミッタ230および260の一方を非作動とすることも可能である。
さらに、図13の構成において、電流フィードバック制御は、直流電源10aに対してのみ実行される。すなわち、電流制御部300は、PBモードと同様に、電力指令値Pa*に従って設定された電流指令値Ia*と電流Iaの検出値との電流偏差に基づく式(6)に示されたフィードバック制御と、式(7)に示された電圧比に基づくフィードフォワード制御とによって、デューティ比Daを算出する(Da=Dfba+Dfba)。
これに対して、aBモードでは、上述のように制御パルス信号SDbは不要であるので、電流制御部310の動作は停止することができる。すなわち、デューティ比Dbの演算は停止される。
図25には、aBモードでの電源システム内のパワーフローを説明するための概念図が示される。
図25を参照して、aBモードでは、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御するための電力指令値PH*は、全て直流電源10aに分配される。すなわち、負荷30に対して入出力される電力PLは、直流電源10aのみによってカバーされる。また、循環電力値Pr=0に固定されるため、直流電源10a,10bの間での充放電は生じない。
aBモードにおいても、負荷電力PLおよび電力指令値Pa*がリミッタ260および/または290によってPamax〜Paminの範囲内に確実に制限される。このため、単独使用する直流電源10aを過電力から保護できる。また、aBモードにおいて、直流電源10aの電流Iaのフィードバック制御によってデューティ比Daを演算することにより、出力電力VHのフィードバック制御のみによってデューティ比Daを演算する制御と比較して、電圧偏差ΔVHを速やかに解消することができる。
(bBモードの制御動作)
bBモードでは、図8(a),(b)に示すスイッチング動作によって、スイッチング素子S1〜S4が形成する昇圧チョッパ回路によって、直流電源10aを不使用とする一方で、直流電源10bおよび負荷30の間で双方向のDC/DC変換が実行される。したがって、bBモードでは、直流電源10bの出力を制御するためのデューティ比Dbに基づく制御パルス信号SDbに従って、スイッチング素子S1〜S4が制御される。具体的には、図8(a),(b)に示した昇圧チョッパ回路の下アーム素子を構成するスイッチング素子S2およびS3は、制御パルス信号SDbに従って共通にオンオフ制御される。同様に、昇圧チョッパ回路の上アーム素子を構成するスイッチング素子S1およびS4は、制御パルス信号/SDbに従って共通にオンオフ制御される
図24ならびに図12を参照して、bBモードにおいても、PBモードおよびaBモードと同様に、出力電圧VHの電圧偏差ΔVHに基づいて総電力指令値PH*が設定される。bBモードでは直流電源10aは不使用とされるので、リミッタ230に与えられる電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminは、直流電源10bの電力上限値Pbmaxおよび電力下限値Pbminと同等に設定される。同様に、循環電力Pr=0に固定される。
さらに、電力分配比k=0に固定することにより、電力指令値Pb*=PH*に設定される一方で、電力指令値Pa*=0に設定される。この際には、リミッタ260による制限は不要である。すなわち、bBモードにおいては、リミッタ230によって、直接直流電源10bを過電力から保護することができる。
さらに、図13の構成において、電流フィードバック制御は、直流電源10bに対してのみ実行される。すなわち、電流制御部310は、PBモードと同様に、電力指令値Pb*に従って設定された電流指令値Ib*と電流Ibの検出値との電流偏差に基づく式(8)に示されたフィードバック制御と、式(9)に示された電圧比に基づくフィードフォワード制御とによって、デューティ比Dbを算出する(Db=Dfbb+Dfbb)。
これに対して、bBモードでは、上述のように制御パルス信号SDaは不要であるので、電流制御部300の動作は停止することができる。すなわち、デューティ比Daの演算は停止される。
図26には、bBモードでの電源システム内のパワーフローを説明するための概念図が示される。
図26を参照して、bBモードでは、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御するために必要な電力指令値PH*は、全て直流電源10bに分配される。すなわち、負荷30に対して入出力される電力PLは、直流電源10bのみによってカバーされる。また、循環電力値Pr=0に固定されるため、直流電源10a,10bの間での充放電は生じない。
bBモードにおいても、リミッタ230に与えられる電力上限値PHmaxおよび電力下限値PHminを、直流電源10bの電力上限値Pbmaxおよび電力下限値Pbminと同等に設定することができる。これにより、電力指令値Pb*がPbmax〜Pbminの範囲内に確実に制限される。また、bBモードでは、負荷30の動作指令値は、Pbmin≦PL≦Pbmaxとなる範囲内に制限して生成されることになる。この結果、単独使用する直流電源10bを過電力から保護できる。また、bBモードにおいて、直流電源10bの電流Ibをフィードバック制御することにより、直流電圧VHを直接フィードバック制御によって解消する制御と比較して、発生した電圧偏差ΔVHを速やかに解消することができる。
(SBモードの制御動作)
次に、SBモードにおける制御動作について説明する。
図27には、SBモードでの電源システム内のパワーフローを説明するための概念図が示される。
図27を参照して、SBモードでは、直流電源10aおよび10bが直列接続された状態で、電力線20(負荷30)との間で双方向のDC/DC変換が実行される。したがって、直流電源10aおよび直流電源10bを流れる電流は共通となる(Ia=Ib)。このため、直流電源10aの出力電力Paおよび直流電源10bの出力電力Pbを直接制御することができない。
電力Pa,Pbの比は、電圧Va,Vbの比によって、下記(10)式に従って自動的に決まる。
Pa:Pb=Va:Vb …(10)
また、両直流電源からの出力電力の和(Pa+Pb)によって電力線20へ入出力される電力PHが得られることは、PBモードと同様である(PH=Pa+Pb)。
基本的には、SBモードでは、直流電圧(Va+Vb)と、出力電圧VHとの間のDC/DC変換が、図10に示された昇圧チョッパ回路によって実行される。このため、図28に示されるように、上述の式(3)に示されたデューティ比Dcに従って、下アーム素子を構成するスイッチング素子S2,S4のペアがオンされる期間と、上アーム素子を構成するスイッチング素子S1がオンされる期間とが相補的に設けられる。すなわち、デューティ比Dcとキャリア波との比較によって生成される制御パルス信号SDcが、制御信号SG2,SG4とされる。同様に、制御信号SG1は、制御パルス信号SDcを反転した制御パルス信号/SDcによって得られる。制御信号SG3は、スイッチング素子S3のオンを維持するために、Hレベルに固定される。
実施の形態2に従う電力変換器制御では、SBモードにおいても、実施の形態1で説明した図12および図13に従う制御構成を共有して、出力電圧VHが電流指令値VH*へ制御される。さらに、実施の形態1で説明したキャリア位相差制御を組み合わせることによって、図13の制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)を用いて、SBモードにおける制御信号SG1〜SG4が生成される。
再び図24および図12を参照して、SBモードでは、電力分配比kは、式(10)に沿って求められる式(11)に従って、直流電源10a,10bの電圧Va,Vbの現在値(検出値)に基づいて設定される。
k=Va/(Va+Vb) …(11)
また、SBモードでは、直流電源10a,10b間での充放電はできないので、循環電力値Pr=0に設定される。
これにより、図12の構成において、SBモードと同様に、出力電圧VHの電圧偏差ΔVHに基づいて総電力指令値PH*が設定される。総電力指令値PH*は、リミッタ230によって、PHmax〜PHminの範囲内に設定することができる。さらに、式(11)に従って、直列接続された直流電源10a,10bの間での、現在の電圧Va,Vbに基づく電力分配比kに従って、総電力指令値PH*が、電力指令値Pa*およびPb*に分配される。この際に、リミッタ260によって、電力指令値Pa*は、Pamax〜Paminの範囲内に制限される。
図24に示されるように、SBモードでは、Ia=Ibのため電流フィードバック制御は、直流電源10a,10bの一方のみで実行する。たとえば、直接電力指令値を制限することが可能である、すなわち、厳格に過電力から保護される直流電源10aに対して電流フィードバック制御が実行される。
再び図13を参照して、電流制御部300は、PBモードと同様に、電力指令値Pa*に従って設定された電流指令値Ia*と電流Iaの検出値との電流偏差に基づく式(6)に示されたフィードバック制御と、式(7)に示された電圧比に基づくフィードフォワード制御とによって、デューティ比Daを算出する(Da=Dfba+Dfba)。
一方、電流制御部310では、制御演算部316における制御ゲイン、具体的には、式(8)中のKp,Kiを零とすることによって、電流フィードバック制御が非実行とされる。したがって、電流制御部310は、電圧Vbに基づくフィードフォワード制御のみによって、デューティ比Dbを算出する(Db=Dffb)。FF制御量Dffbは、式(9)に従って設定することができる。
PWM制御部400は、電流制御部300,310によって設定されたデューティ比Da,Db、ならびに、キャリア波発生部410からのキャリア波CWa,CWbに基づくパルス幅変調制御によって、スイッチング素子S1〜S4の制御信号SG1〜SG4を生成する。
SBモードでは、制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)を用いて、制御信号SG1〜SG4を生成するために、以下に説明するようなキャリア位相差制御が実行される。
図29に示されるように、SBモードでは直流電源10aおよび10bが直列に接続されるので、直流電源10aおよび10bの両方が力行となる状態(図23での状態A)および直流電源10aおよび10bの両方が回生となる状態(図23の状態B)のいずれかの状態しか存在しない。
したがって、SBモードにおける制御動作では、キャリア波間の位相差φは、図23の状態A,Bに示されるように、スイッチング素子S2のターンオンとスイッチング素子S4のターンオフとが重なるように、あるいは、スイッチング素子S4のターンオンとスイッチング素子S2のターンオフとが重なるように設定される。
すなわち、制御パルス信号SDaの立下りタイミングと制御パルス信号SDbの立上りタイミング、または、制御パルス信号SDaの立上りタイミングと制御パルス信号SDbの立下りタイミングとが重なるように、キャリア波CWa,CWbの位相差φを設定することによって、図23の状態A,Bに示した電流位相が実現されることになる。
このときのデューティ比Da,Dbを考える。式(1)を変形することにより、Daについて下記(12)式が得られる。
Da=(VH−Va)/VH …(12)
同様に、式(2)を変形することにより、Dbについて下記(13)式が得られる。
Db=(VH−Vb)/VH …(13)
図28に示されるように、PBモードにおける制御信号SG3は、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理和に基づいて生成される。したがって、制御パルス信号SDaの立下り(または立上り)タイミングと、制御パルス信号SDbの立上り(または立下り)タイミングとが重なるように位相差φを設定すると、VH>(Va+Vb)が成立するとき、PBモードにおける制御信号SG3のHレベル期間の比率が1.0を超えることが理解される。すなわち、VH>(Va+Vb)のときには、デューティ比Da,DbによるPBモードと共通のPWM制御によっても、制御信号SG3がHレベルに固定される。
図30には、キャリア位相制御を適用したときのSBモードにおける制御パルス信号を示す波形図が示される。
図28に示されるように、PBモードにおける制御信号SG1は、制御パルス信号/SDaおよび/SDbの論理和に基づいて生成される。
図30を参照して、上述のように位相差φを設定すると、制御パルス信号/SDaの立上りタイミングと、制御パルス信号/SDbの立上りタイミングとが重なる。このため、制御信号SG1のデューティ比DSG1=(1−Da)+(1−Db)で示される。すなわち、DSG1は、下記(14)式で示される。
DSG1=(Va+Vb)/VH …(14)
一方で、デューティ比Dcは、式(3)を変形することにより、下記(15)式で示される。
Dc=1−(Va+Vb)/VH …(15)
したがって、図28のSBモードでの論理演算に従って、SG1=/SGcとすると、制御信号SG1のデューティ比DSG1は、下記(16)式で示される。
DSG1=1−Dc=(Va+Vb)/VH …(16)
このように、上述のキャリア位相制御に従って位相差φを設定した場合には、デューティ比Da,Dbによる制御パルス信号SDa,SDbに基づく論理演算、具体的には、/SDaおよび/SDbの論理和によって、デューティ比Dcに基づく制御パルス信号/SDcとデューティ比が等しい信号を生成することができる。すなわち、制御パルス信号SDa,SDbに基づいて、SBモードにおける制御信号SG1を生成することができる。
また、図28に示されるように、SBモードにおける制御信号SG2,SG4は、制御信号SG1の反転信号である。not(/SDb or /SDa)の論理演算結果は、SDaおよびSDbの論理積(SDb and SDa)となる。したがって、制御パルス信号SDcに従って設定されるべき制御信号SG2,SG4についても、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理演算に基づいて生成することができる。
このように、SBモードでは、キャリア位相制御を適用して、制御パルス信号SDa(/SDa)および制御パルス信号SDb(/SDb)の間でパルスの遷移タイミングを合わせるように、位相差φが設定される。このような位相差φを有するようにキャリア波発生部410がキャリア波CWa,CWbを生成することにより、図28に示されるように、SBモードにおける、デューティ比Dcに基づいて設定されるべき制御信号SG1〜SG4を、デューティ比Da,Dbに基づく制御パルス信号SDa,SDbから生成することが可能である。
具体的には、上述のように、制御信号SG3は、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理和によって、Hレベルに固定された信号となる。また、制御信号SG1は、制御パルス信号/SDaおよび/SDbの論理和によって、デューティ比Dcに基づくPWM制御と同等のデューティを有するように生成できる。また、SBモードにおいて、制御信号SG1と相補に設定される制御信号SG2,SG4についても、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理積によって生成できる。
なお、SBモードにおける位相差φについても、PBモードにおけるキャリア位相制御と同様に、予め設定された、デューティ比Da,Dbと位相差φとの関係を記憶する位相差マップないし位相差算出式に従って、SBモードにおいて算出されたデューティ比Da,Db(図13)に基づいて算出することができる。
図31には、本実施の形態2に従う電力変換器制御におけるPBモードおよびSBモードの動作例を示す波形図が示される。
図31を参照して、キャリア波CWaの山でPBモードからSBへの切替指令が発せられる。切替指令の発生前では、直流電源10a,10bのそれぞれの電流制御によって算出されたデューティ比Da,Dbに基づいて、制御信号SG1〜SG4が生成される。
切替指令が発せられると、図28に示した論理演算式に従って、デューティ比Dcを新たに算出することなく、その時点での制御パルス信号SDa,SDbに基づいて、即座にSBモードでの制御信号SG1〜SG4を生成することができる。
このため、PBモードを始めとする昇圧モードに属する他の動作モードと共通に、デューティ比Da,Dbを用いてSBモードにおける制御信号SG1〜SG4を生成することができる。特に、図31で説明したように、動作モードの切替時に、制御遅れを発生することなく、PBモードおよびSBモードの間の切替処理を実行することができる。
このように、本実施の形態1および2に従う電力変換器制御により、図1に示した電力変換器50の制御動作について、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御する昇圧モードに属する各動作モード間で、図12および図13に示した制御構成を共有することができる。
具体的には、電力分配比kや電流制御部300,310の制御ゲインを動作モード間で切替えることによって、図12および図13に従った共通の制御演算を、各動作モード間で適用することが可能となる。このため、複数の動作モードを選択的に適用する電力変換器50の制御における制御演算負荷を軽減することが可能である。
さらに、直流電源10aの電流フィードバック制御によってデューティ比Daを演算できるので、出力電圧VHのフィードバック制御によってデューティ比(Dc)を演算する制御と比較して、SBモードでの電圧偏差ΔVHを速やかに解消することができる。
なお、概略的には、VH>(Va+Vb)の領域では、SBモードの適用により電流レベルを低下させることが電源システムの効率を向上させるので、PBモードを選択することが好ましい。ただし、SBモードでは、直流電源10a,10b間の電力分配を制御することができないので、SOCの不均衡等が生じた場合や、いずれかの直流電源の出力が制限に掛かるような場合(Par>PamaxないしPar<Pamin等の場合)には、動作モードをPBモードへ切替えることが好ましい。上述のように、制御演算を各動作モード間で共通化することによって、動作モードを円滑に切替えることが可能となるので、制御性をさらに向上することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、図1とは異なる構成の電力変換器に対する、本実施の形態に従う電力変換器制御の適用について説明する。
図32は、本発明の実施の形態3に従う電力変換器を含む電源システムの構成例を示す回路図である。
図32を参照して、実施の形態3に従う電力変換器50♯は、昇圧チョッパ回路6,7を有する。昇圧チョッパ回路6は、直流電源10aと、負荷30と接続された電力線20との間で双方向のDC/DC変換を実行する。昇圧チョッパ回路6は、スイッチング素子S5,S6およびリアクトルL1を含む。
昇圧チョッパ回路7は、直流電源10bと、直流電源10aと共通の電力線20との間で双方向のDC/DC変換を実行する。昇圧チョッパ回路7は、スイッチング素子S7,S8およびリアクトルL2を含む。
スイッチング素子S5〜S8に対しては、逆並列ダイオードD5〜D8が配置されている。また、スイッチング素子S5〜S8は、制御装置40からの制御信号SG5〜SG8にそれぞれ応答して、オンオフを制御することが可能である。
このように、電力変換器50♯は、本実施の形態に従う電力変換器50とは異なり、直流電源10aおよび10bのそれぞれに対して独立に昇圧チョッパ回路6,7が設けられた構成となっている。昇圧チョッパ回路6および7は、独立に制御することができる。
制御装置40は、出力電圧VHを制御するために、スイッチング素子S5〜S8のオンオフを制御する制御信号SG5〜SG8を生成する。
図33は、図32に示された電力変換器50♯が有する複数の動作モードが示される。
図33を参照して、電力変換器50♯では、電力変換器50におけるSBモードおよびSDモードを除く、他の昇圧モードおよび直結モードを選択することができる。すなわち、電力変換器50♯の動作モードは、昇圧モードに属するPBモード、aBモードおよびbBモード、ならびに、直結モードに属するPDモード、aDモードおよびbDモードを有する。
PBモードでは、昇圧チョッパ回路6,7を独立に制御することにより、実施の形態1でのPBモードと同様に制御することができる。すなわち、図12および図13の構成に従って、電力分配比k(0≦k≦1.0)および循環電力値Prを、直流電源10a,10bの状態に応じて設定することができる。これにより、図12の構成により、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御するための総電力指令値PH*から、電力分配比kおよび循環電力値Prを反映して、直流電源10a,10bの電力指令値Pa*,Pb*を設定することができる。
さらに、図13の構成に従って、出力電圧VHを制御するための電力指令値に基づいて設定された電流指令値Ia*,Ib*に従って、直流電源10a,10bの両方の電流Ia,Ibを制御するように、デューティ比Da,Dbを算出することができる。昇圧チョッパ回路6,7が独立に制御されるので昇圧チョッパ回路6のスイッチング素子S5,S6の制御信号SG5,SG6は、制御パルス信号SDaに基づいて生成される。具体的には、下アーム素子を構成するスイッチング素子S6の制御信号SG6=/SGaとなり、上アーム素子を構成するスイッチング素子S5の制御信号SG5=SGaとなる。
同様に、昇圧チョッパ回路7のスイッチング素子S7,S8の制御信号SG7,SG8は、制御パルス信号SDbに基づいて生成される。具体的には、下アーム素子を構成するスイッチング素子S8の制御信号SG8=/SGbとなり、上アーム素子を構成するスイッチング素子S7の制御信号SG7=SGbとなる。
電力変換器50♯のPBモードにおいても、図12および図13に示された制御構成に従って、出力電圧VHの電圧偏差を電力指令値に変換して電力指令値Pa*,Pb*を設定することによって、各直流電源10a,10bの出力を電流制御することができる。さらに、リミッタ230,260により、出力電力ベースでの確実な過電力からの保護が可能となる。また、直流電源10a,10b間での電力分配比kや循環電力値Prを簡易に制御することができる。
なお、電力変換器50♯のPBモードでは、スイッチング素子S5,S6の電流経路と、スイッチング素子S7,S8の電流経路が重なっていないので、キャリア位相制御を適用してもスイッチング素子S5〜S8の電力損失を低減することはできない。したがって、キャリア位相制御の適用は不要であり、位相差φは固定(代表的には、φ=0に固定)することができる。
aBモードでは、昇圧チョッパ回路6のみを動作させることにより、直流電源10bを不使用とする一方で、直流電源10aおよび電力線20の間での双方向のDC/DC変換によって、出力電圧VHを電圧指令値VH*へ制御することができる。すなわち、電力変換器50のaBモード(実施の形態1)と同様に、電力分配比k=1.0かつ循環電力値Pr=0とすることにより、リミッタ230または260によりPamin≦Pa*≦Pamaxの電力保護を行なった上で、使用される直流電源10aの電力指令値Pa*を設定することができる(Pa*=PH*)。
さらに、図13の構成において、直流電源10aに対応する電流制御部300は、電力変換器50のPBモードと同様に動作して、電流フィードバック制御(電流指令値Ia*)と、電圧比に基づくフィードフォワード制御とによって、デューティ比Daを算出する(Da=Dfba+Dfba)。これに対して、aBモードでは、制御パルス信号SDbの算出は不要であるので、電流制御部310の動作は停止することができる。
aBモードでは、昇圧チョッパ回路7を構成するスイッチング素子S7,S8はオフに維持される。一方で、昇圧チョッパ回路6を構成するスイッチング素子S5,S6は、デューティ比Daに基づくパルス幅変調制御によって生成される制御パルス信号SDa(/SDa)に従ってオンオフされる。
bBモードでは、昇圧チョッパ回路7のみを動作させることにより、直流電源10aを不使用とする一方で、直流電源10bおよび電力線20の間での双方向のDC/DC変換によって、出力電圧VHを電圧指令値VH*へ制御することができる。これにより、電力変換器50のbBモード(実施の形態1)と同様に、電力分配比k=0かつ循環電力値Pr=0とすることにより、リミッタ230によりPbmin≦Pb*≦Pbmaxの電力保護を行なった上で、使用される直流電源10bの電力指令値Pb*を設定することができる(Pb*=PH*)。
図13の構成では、直流電源10bに対応する電流制御部310は、電力変換器50のPBモードと同様に動作して、電流フィードバック制御(電流指令値Ib*)と、電圧比に基づくフィードフォワード制御とによって、デューティ比Dbを算出する(Db=Dfbb+Dfbb)。これに対して、bBモードでは、制御パルス信号SDaの算出は不要であるので、電流制御部300の動作は停止することができる。
bBモードでは、昇圧チョッパ回路6を構成するスイッチング素子S5,S6はオフに維持される。一方で、昇圧チョッパ回路7を構成するスイッチング素子S7,S8は、デューティ比Dbに基づくパルス幅変調制御によって生成される制御パルス信号SDb(/SDb)に従ってオンオフされる。
PDモードでは、スイッチング素子S5,S7をオンに固定する一方で、スイッチング素子S6,S8がオフに固定される。これにより、電力変換器50でのSDモードと同様に、出力電圧VHは、直流電源10a,10の出力電圧Va,Vb(厳密にはVa,Vbのうちの高い方の電圧)と同等となる。電力変換器50と同様に、Va,Vb間の電圧差は直流電源10a,10bに短絡電流を生じされるので、当該電圧差が小さいときに限定して、PDモードを適用することができる。
aDモードでは、スイッチング素子S5がオンに固定される一方で、スイッチング素子S6〜S8がオフに固定される。これにより、電力変換器50でのaDモードと同様に、直流電源10bは電力線20から切り離された状態となり、出力電圧VHは、直流電源10aの電圧Vaと同等となる(VH=Va)。上述のように、aDモードの適用には、Va>Vbが必要条件となる。
bDモードでは、スイッチング素子S7がオンに固定される一方で、スイッチング素子S5,S6,S8がオフに固定される。これにより、電力変換器50でのbDモードと同様に、直流電源10aは電力線20から切り離された状態となり、出力電圧VHは、直流電源10bの電圧Vbと同等となる(VH=Vb)。上述のように、bDモードの適用には、Vb>Vaが必要条件となる。
このように、実施の形態3に従う電力変換器50♯においても、実施の形態1,2で説明した電力変換器50と同様に、出力電圧VHを電圧指令値VH*に制御する昇圧モードに属する複数の動作モード(PBモード、aBモード、bBモード)間で、図12および図13に示した制御構成を共有することができる。また、電力変換器50と同様に、直結モードとして、PDモード、aDモードおよびbDモードを実現することができる。
具体的には、電力分配比k等を動作モード間で切替えることによって、図12および図13に従った共通の制御演算を、各動作モード間で適用することが可能となる。このため、複数の動作モードを選択的に適用する電力変換器50♯の制御における制御演算負荷を軽減することが可能である。さらに、昇圧チョッパ回路6,7のデューティ比Da,Dbを電流Ia,Ibのフィードバック制御によって演算できるので、出力電圧VHのフィードバック制御によって演算する制御と比較して、発生した電圧偏差ΔVHを速やかに解消することができる。
なお、本実施の形態では、2個の直流電源10a,10bと、共通の電力線20との間でDC/DC変換を実行する電力変換器50,50♯を例示したが、3個以上の直流電源が設けられる構成に対しても、図12および図13の制御構成を適用することが可能である。たとえば、n個(n≧3)の直流電源のそれぞれに対応して昇圧チョッパ回路を並列に設けるように電力変換器50♯を拡張することができる。この場合には、n個(n≧3)の直流電源に対して、n個の直流電源間での電力分配比を設定するとともに、(n−1)個の直流電源に対してはリミッタ260(図13)によるのと同等の電力指令値の制限を実行することができる。このときの残りの1個の直流電源に対する電力保護は、リミッタ230(図13)による総電力指令値PH*の制限によって間接的に担保されることになる。また、電力変換器50♯の構成については、並列配置されるコンバータについて、例示した昇圧チョッパのみならず、少なくとも1つの直流電源に対して昇圧チョッパに代えて昇降圧コンバータを適用することも可能である。
さらに、負荷30は、直流電圧VHによって動作する機器であれば、任意の機器によって構成できる点について確認的に記載する。すなわち、本実施の形態では、電動車両の走行用電動機を含むように負荷30が構成される例を説明したが、本発明の適用はこのような場合に限定されるものではない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。