JP6058599B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層は、潤滑剤および磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレンに対する接触角を調整可能な1−ブロモナフタレン接触角調整剤を含み、
磁性層表面において測定される接触角は、1−ブロモナフタレンに対して45.0°〜55.0°の範囲であり、かつ水に対して90.0°〜100.0°の範囲である磁気記録媒体、
を新たに見出し、本発明を完成させた。
上記の点に関し、一態様では、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下であることができる。
原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、磁性層表面の面積40μm×40μmの領域において測定される中心線平均表面粗さRaをいうものとする。原子間力顕微鏡としては、例えば一例として、DIGITALINSTRUMENT社製のNANO SCOPE(登録商標)IIIをコンタクトモードで用いることができる。具体的な測定条件の一例については、後述の実施例の記載を参照できる。
先に記載したように、単に潤滑剤を使用するのみでは、潤滑剤に起因するスペーシングロスが発生してしまう。このような潤滑剤に起因するスペーシングロスは、潤滑剤のタンクとしての機能を果たし得る非磁性層が薄くなり、薄くなった非磁性層からの供給不足を補うために磁性層への潤滑剤の添加量を増量すると顕在化する傾向がある。
そこで本発明者らは、潤滑剤の増量のみによらずに走行耐久性を高めるための手段について鋭意検討を重ねた結果、1−ブロモナフタレン接触角に着目するに至った。この点について更に説明すると、本発明者らは、磁性層表面の表面自由エネルギーを北崎−畑の理論(三液法)に基づき検討した。三液法による表面自由エネルギーは、分散成分、水素結合成分および分極成分の和として求められるが、磁気記録媒体の磁性層表面で測定される表面自由エネルギーでは、磁性層の構成成分の物性に起因して分散成分が支配的であると考えられる。したがって、磁性層表面とヘッドとの親和性には、主に、分散成分が寄与すると推察される。そして本発明者らは、分散成分の指標について更に検討を重ねた結果、1−ブロモナフタレン接触角を採用するに至り、この値に基づき磁性層表面の表面性を制御することを検討した。ただし、1−ブロモナフタレン接触角は潤滑剤の添加により高めることは可能であるが、潤滑剤の添加のみにより1−ブロモナフタレン接触角を制御した場合には、先に記載したように、潤滑剤に起因するスペーシングロスが発生してしまう。そこで本発明者らは、1−ブロモナフタレン接触角とともに、磁性層表面における潤滑剤存在量の指標として水接触角を採用し、これら2つの接触角をともに制御することにより、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体の提供が可能になることを新たに見出した。より詳しくは、潤滑剤とともに、1−ブロモナフタレン接触角を調整可能な接触角調整剤を使用し、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角をともに制御することにより、磁性層表面の削れ物に起因するスペーシングロスおよび潤滑剤に起因するスペーシングロスの発生を抑制することが可能になることを新たに見出し、本発明を完成させた。
ただし、以上は本発明者らによる推察を含むものであり、本発明を何ら限定するものではない。
なお磁性層表面の潤滑剤存在量の指標としては、特許文献4の段落0101、0186および0187に、ヨウ化メチレンに対する接触角が挙げられている。しかるにヨウ化メチレンに対する接触角は、三液法による表面自由エネルギーを構成する3成分中の分散成分に加えて分極成分による影響も含むと考えられ、磁性層表面とヘッドとの親和性の指標としては適切でないと推察される。このようなヨウ化メチレンに対する接触角を開示するに過ぎない特許文献4は、本発明に対して何ら示唆を与えるものではない。
(1−1.磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角、水接触角)
上記磁気記録媒体において、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角は45.0°〜55.0°の範囲であり、水接触角は90.0°〜100.0°の範囲である。磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角、水接触角がそれぞれ上記範囲である磁気記録媒体は、良好な走行耐久性を示すことができる。より詳しくは、繰り返し走行後のヘッド表面に、スペーシングロスの原因となる磁性層表面の削れ物の付着や、やはりスペーシングロスの原因となる潤滑剤の多量付着が起こることを防ぐことによって、良好な走行耐久性を示すことができる。なお1−ブロモナフタレン接触角とともに水接触角を規定することに関する本発明者らによる推察は、先に記載した通りである。
磁性層表面の削れの発生をより効果的に防ぐ観点から、1−ブロモナフタレン接触角は、46.0°以上であることが好ましく、47.0°以上であることがより好ましい。同様の観点から、水接触角は93.0°以上であることが好ましく、95.0°以上であることがより好ましい。
また、ヘッドに付着する潤滑剤をより少なくする観点から、1−ブロモナフタレン接触角は、53.0°以下であることが好ましく、52.0°以下であることがより好ましい。同様の観点から、水接触角は、99.5°以下であることが好ましく、99.0°以下であることがより好ましい。
磁性層に含まれる潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の磁気記録媒体に通常使用される各種潤滑剤を挙げることができる。
例えば、脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸エステルとしては、上記各種脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
脂肪酸アミドとしては、各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
脂肪酸と一種以上の脂肪酸の誘導体とを併用することが好ましく、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される一種以上と脂肪酸とを併用することがより好ましく、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドを併用することがより好ましい。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(エステル、アミド等)とを併用する場合、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合には、ステアリン酸エステルやステアリン酸アミドを使用することは好ましい。
また、潤滑剤としては、特開2009−96798号公報段落0111に記載されているものを用いることもできる。
磁性層の潤滑剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば6.0〜12.0質量部であり、好ましくは7.0〜11.0質量部、より好ましくは8.0〜10.0質量部である。なお潤滑剤として二種以上の異なる潤滑剤を使用する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
磁性層には、潤滑剤とともに1−ブロモナフタレン接触角調整剤が含まれる。1−ブロモナフタレン接触角調整剤とは、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角を調整可能な成分である。ここで調整可能とは、1−ブロモナフタレン接触角を変化させる作用を奏することができることをいい、1−ブロモナフタレン接触角を高める作用を奏することが好ましい。かかる作用を奏することは、接触角調整剤の有無により、磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレン接触角が変化することによって、確認することができる。なお1−ブロモナフタレン接触角調整剤により、水接触角は変化(上昇または低下)してもよく、しなくてもよい。
(1−3−1−a.ポリアルキレンイミン鎖)
ポリアルキレンイミン系ポリマーとは、ポリアルキレンイミン鎖を1つ以上含むポリマーである。また、ポリアルキレンイミン鎖とは、同一または異なるアルキレンイミン鎖の2つ以上を含む重合構造である。含まれるアルキレンイミン鎖としては、下記の式Aで表されるアルキレンイミン鎖、および式Bで表されるアルキレンイミン鎖を挙げることができる。下記式で表されるアルキレンイミン鎖の中で、式Aで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖との結合位置を含み得るものである。また、式Bで表されるアルキレンイミン鎖は、他のポリマー鎖と塩架橋基(詳細は後述する。)により結合することができる。また、ポリアルキレンイミン鎖は、直鎖構造のみからなるものであっても、分岐した三級アミン構造を有するものであってもよい。分岐構造を含むものとしては、下記式A中の*1において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するもの、下記式B中の*2において隣接するアルキレンイミン鎖と結合するものを挙げることができる。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とは、ポリアルキレンイミン系ポリマーを加水分解して得られたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。こうして求められる値は、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値と同様である。したがって、ポリアルキレンイミン系ポリマーを合成するために用いたポリアルキレンイミンについて求めた数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量として採用することができる。ポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量の測定条件については、後述の実施例を参照できる。なおポリアルキレンイミンとは、アルキレンイミンの開環重合により得ることができるポリマーである。
また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの加水分解は、エステルの加水分解法として通常用いられている各種方法により行うことができる。そのような方法の詳細については、例えば、「実験化学講座14 有機化合物の合成II−アルコール・アミン(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年8月発行)95〜98頁に記載の加水分解法に関する記載、「実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)10〜15頁に記載の加水分解法に関する記載等を参照できる。
得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィー等の公知の分離手段によりポリアルキレンイミンを分離し、数平均分子量を求めることができる。
以上記載したポリアルキレンイミン鎖の占める割合は、例えば、合成時に用いるポリアルキレンイミンとポリエステルとの混合比によって制御することができる。
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、以上説明したポリアルキレンイミン鎖とともに、他のポリマー鎖を含むことが好ましい。他のポリマー鎖としては、疎水性部として機能し得るもの(疎水性鎖)が好ましい。疎水性鎖は、好ましくは、ポリエステル鎖である。ポリエステル鎖は、一態様では、式Aで表されるアルキレンイミン鎖と、式A中の*1において、式Aに含まれる窒素原子Nとカルボニル結合−(C=O)−により結合し、−N−(C=O)−を形成することができる。また、他の一態様では、式Bで表されるアルキレンイミン鎖とポリエステル鎖とが、式B中の窒素カチオンN+とポリエステル鎖が有するアニオン性基により塩架橋基を形成することができる。塩架橋基としては、ポリエステル鎖に含まれる酸素アニオンO−と式B中のN+とにより形成されるものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
R10で表されるアルキル基については、X1、X2で表されるアルキル基について記載した通りである。R11で表されるアルキレン基の詳細については、X1、X2で表されるアルキル基に関する上記の記載を、これらアルキレン基から水素原子を1つ取り去ったアルキレン基に読み替えて(例えば、メチル基はメチレン基に読み替えて)適用することができる。nは2以上の整数であり、例えば10以下、好ましくは5以下の整数である。
カルボン酸は、R12(C=O)OHで表すことができ、R12(C=O)−部が、式1で表されるポリエステル鎖において、X1−(C=O)−部として存在し得る。式2で表されるポリエステル鎖におけるX2−(C=O)−部についても同様である。
R12は、非環状構造(直鎖構造または分岐構造)であってもよく、環状構造であってもよい。R12の詳細は、先に式1中のX1、式2中のX2について記載した通りである。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、シクロヘキシル酢酸、アダマンタンカルボン酸、アダマンタン酢酸、リシノール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2,2−ビス(ヒロドキシメチル)酪酸、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)]酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ノナフルオロ吉草酸、ヘプタデカフルオロノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、アセチル酢酸、4−オキソバレリン酸、安息香酸、4−フェニル安息香酸、2−ナフトエ酸等が挙げられる。中でも、1分子中の総炭素数(置換基を有するものは置換基の炭素数も含む)が、1〜20のカルボン酸が好ましい。より好ましくは、R12がポリアルキレンオキシアルキル基であるカルボン酸(ポリアルキレンオキシアルキルカルボン酸)、R12がハロアルキル基であるカルボン酸(ハロアルキルカルボン酸)、炭素数6〜20の直鎖脂肪族カルボン酸、炭素数1〜20のヒドロキシル基含有カルボン酸である。
ポリアルキレンイミン系ポリマーの分子量は、重量平均分子量として、例えば1,000以上であり、また例えば80,000以下である。また、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましい。また、一態様では、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、35,000以下であることが更に好ましく、34,000以下であることが一層好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミン系ポリマーの重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求められる値をいう。測定条件については、後述の実施例を参照できる。
ポリアルキレンイミン系ポリマーの合成方法は、特に限定されるものではない。合成方法の好ましい一態様としては、ポリアルキレンイミン(以下、「成分A−1」と記載する。)とポリエステル(以下、「成分A−2」と記載する。)とを反応させる方法を挙げることができる。
なお上記では酸性基を水中または水性溶媒に関して規定したが、ポリアルキレンイミン系ポリマーは、水系(ここで「系」とは、「含む」の意味で用いる。)溶媒中で用いられるものに限定されるものではなく、非水系溶媒中で好ましく使用され得る。また、後述する磁性層、非磁性層等の各層形成用組成物に含まれる溶媒も、水系溶媒に限定されるものではなく、非水系溶媒でもよく、好ましくは非水系溶媒である。
ポリアルキレンイミン系ポリマーは、ポリマー鎖として、ポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよく、ポリエステル鎖とともにポリエステル鎖以外のポリマー鎖を有するものであってもよい。そのようなポリマー鎖も、ポリエステル鎖の導入について上記した方法と同様の方法によって、ポリアルキレンイミン系ポリマーに導入することができる。
以上説明したポリアルキレンイミン系ポリマーは、アミン系ポリマーの一種であるが、アミン系ポリマーとしては、ポリアルキレンイミン系ポリマー以外のアミン系ポリマーを用いることもできる。または、ポリアルキレンイミン系ポリマーとともに、他のアミン系ポリマーを併用することもできる。
次に、潤滑剤および接触角調整剤とともに磁性層に含まれる強磁性粉末について説明する。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
本発明の磁気記録媒体は、好ましくは塗布型磁気記録媒体である。塗布型磁気記録媒体は、結合剤を含む塗布層を有する磁気記録媒体である。磁性層に含まれる結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤については、特開2014−080563号公報段落0014〜0027および同公報の実施例の記載、特開2013−065381号公報0012〜0016、0040〜0136および同公報実施例の記載も参照できる。結合剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば5.0〜50.0質量部の範囲、好ましくは10.0〜30.0質量部の範囲とすることができる。
また、上記樹脂とともに硬化剤を使用することも可能である。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
磁性層には、潤滑剤および接触角調整剤が含まれ、必要に応じて他の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、研磨剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
添加剤の一例として、特開2013−131285号公報段落0012〜0022に記載の分散剤を研磨剤の分散性を向上するための分散剤として挙げることができる。また、研磨剤については、同公報段落0023〜0024も参照できる。
他の一例としては、非磁性フィラーを挙げることもできる。非磁性フィラーは、磁性層表面に適度に突出する突起を形成する突起形成剤として機能することができる。非磁性フィラーとしては、無機酸化物粉末や無機酸化物コロイド粒子を用いることができる。非磁性フィラーについては、特開2011−048878号公報段落0013〜0028を参照できる。なお後述の実施例に示すコロイダルシリカの平均粒子サイズは、特開2011−048878号公報段落0015に平均粒径の測定方法として記載されている方法により求められた値であり、変動係数は同段落に記載されている方法により求められた値であり、真球度は同公報段落0020に円形度の測定方法として記載されている方法により求められた値である。
次に非磁性層について説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150、特開2013−049832号公報段落001〜0020を参照できる。
非磁性層における非磁性粉末の含有量は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラック、またはカーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。
磁気記録媒体は、テープ状のものとディスク状のものに大別され、テープ状のもの(磁気テープ)は、通常、磁気テープカートリッジ内でリールに巻き取られた状態にある。バックコート層を有する磁気テープでは、巻き取られた状態で磁性層表面とバックコート層表面が接触することにより、バックコート層表面から磁性層表面へ潤滑剤が移行し得る。したがって、バックコート層に潤滑剤を含有させることは、1−ブロモナフタレン接触角や水接触角制御のための一手段となり得る。また、バックコート層表面に潤滑剤をオーバーコートしバックコート層表面に潤滑剤を偏在させることも、1−ブロモナフタレン接触角や水接触角制御のための一手段として挙げることができる。前者の手段と比べ後者の手段は、バックコート層表面から磁性層表面への潤滑剤の移行量が多い傾向がある。
バックコート層に潤滑剤を添加する態様、バックコート層表面に潤滑剤をオーバーコートする態様のいずれの態様についても、潤滑剤量は、バックコート層に含まれるカーボンブラックおよび無機粉末の合計含有量(カーボンブラック単独使用の場合にはカーボンブラック含有量)100.0質量部に対し、例えば1.0〜6.0質量部であり、好ましくは2.0〜5.0質量部、より好ましくは2.5〜4.5質量部である。
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜80.00μm、より好ましくは3.00〜50.00μm、特に好ましくは3.00〜10.00μmである。
なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および抗磁力を持たないことが好ましい。
高密度記録化の観点から、本発明の磁気記録媒体は、一態様では、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下であることが好ましい。より好ましくは2.7nm以下、更に好ましくは2.5nm以下である。また、例えば、磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、1.0nm以上であることが好ましい。ただし、先に記載した通り、磁性層表面粗さが低くなり磁性層表面が平滑になるほど、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦が増大し走行耐久性が低下する傾向がある。そのような場合にも、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角を前述の範囲に制御することにより、優れた走行耐久性を実現することができる。
磁性層表面粗さは、磁性層、非磁性層における各種成分の分散性を高めることにより低減することができる。また、磁性層表面を表面処理することによっても低減することができる。例えば、磁性層表面の表面処理としては、特開平5−62174号公報に記載の研磨手段を用いる研磨処理を挙げることもできる。上記表面処理については、同公報段落0005〜0032および全図面を参照できる。
本発明の磁気記録媒体は、塗布型磁気記録媒体であり、磁性層、非磁性層、および任意に設けられるバックコート層等の各層を形成するための組成物(塗布液)を用いて製造することができる。以下に、磁気記録媒体の製造工程の具体的態様を説明する。ただし本発明の磁気記録媒体は、磁性層表面の1−ブロモナフタレン接触角および水接触角が前述の範囲のものであればよく、下記態様の製造工程により製造されるものに限定されるものではない。
磁性層形成用組成物(塗布液)は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。磁性層形成用組成物における溶媒含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば100.0〜800.0質量部に範囲であり、好ましくは200.0〜600.0質量部の範囲である。
非磁性層は、非磁性層形成用組成物(塗布液)を、非磁性支持体表面に、例えば直接塗布することにより、形成することができる。非磁性層形成用組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。その他、非磁性層形成用組成物の調製の詳細については、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
バックコート層形成用組成物(塗布液)の調製の詳細についても、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
磁気記録媒体製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報段落0067〜0070を参照できる。また、磁性層表面の表面処理については、先に記載した通り、特開平5−62174号公報も参照できる。
下記の1−ブロモナフタレン接触角調整剤Bとしては、市販のアミン系ポリマー(ビックケミー社製DISPERBYK−102)を用いた。
下記の酸価およびアミン価は、電位差法(溶媒:テトラヒドロフラン/水=100/10(体積比)、滴定液:0.01N(0.01mol/l)水酸化ナトリウム水溶液(酸価)、0.01N (0.01mol/l)塩酸(アミン価))により決定した。
(ポリエステルの平均分子量の測定条件)
測定器:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super HZ 2000/TSKgel Super HZ 4000/TSKgel Super HZ−H(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.35mL/min、
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折(RI)検出器
測定器:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel Super AWM−H(東ソー社製)3本
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン(添加剤として10mM臭化リチウム添加)
流速:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
合成したポリアルキレンイミン系ポリマーを、エステル加水分解法により、例えば、実験化学講座16 有機化合物の合成IV−カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(第5版)」(日本化学会編、丸善出版、2005年3月発行)11頁に記載の酸加水分解法により加水分解する。得られた加水分解物から、液体クロマトグラフィーによりポリアルキレンイミンを分離し上記測定条件により測定される数平均分子量を、ポリアルキレンイミン系ポリマーに含まれるポリアルキレンイミン鎖の数平均分子量とすることもできる。
500mL3口フラスコに、カルボン酸としてn−オクタン酸(和光純薬社製)16.8g、ラクトンとしてε−カプロラクトン(ダイセル工業化学社製プラクセルM)100g、触媒としてモノブチルすずオキシド(和光純薬社製)(C4H9Sn(O)OH)2.2gを混合し、160℃で1時間加熱した。ε−カプロラクトン100gを5時間かけて滴下し更に2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しポリエステル(i-1)を得た。
合成スキームを以下に示す。
ポリエチレンイミン(日本触媒製SP-006、数平均分子量600)2,4gおよびポリエステル(i−1)100gを混合し、110℃で3時間加熱して、ポリエチレンイミン系ポリマーを得た。
得られたポリアルキレンイミン系ポリマーについて、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果および燃焼法による元素分析の分析結果から、ポリアルキレンイミン系ポリマーに占めるポリアルキレンイミン鎖の割合(ポリアルキレンイミン鎖比率)を算出した。結果を表1に示す。算出されたポリアルキレンイミン鎖比率は、ポリアルキレンイミンおよびポリエステルの仕込み量から算出された値と同様の値であった。
[実施例1]
各層形成用組成物の処方を、下記に示す。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末A):100.0部
(Hc:196kA/m(2460Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)24nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂:4.0部
(重量平均分子量70000、SO3Na基:0.07meq/g)
1−ブロモナフタレン接触角調整剤A:10.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(研磨剤液)
α−アルミナ(比表面積19m2/g、真球度1.4):6.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量70000、SO3Na基:0.1meq/g):0.6部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.6部
シクロヘキサノン:23.0部
(非磁性フィラー液)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm、変動係数=7%、真球度1.03):2.0部
メチルエチルケトン:8.0部
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:3.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6.0部
メチルエチルケトン:110.0部
シクロヘキサノン:110.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート(登録商標)L):3部
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP(Dibutyl phthalate)吸油量74cm3/100g):100.0部
トリオクチルアミン:4.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):19.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SO3Na基:0.07meq/g):12.0部
メチルエチルケトン:370.0部
シクロヘキサノン:370.0部
ステアリン酸:2.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部
ベンガラ(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET法によって測定された比表面積(SBET):52m2/g):80.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP吸油量74cm3/100g):20.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SO3Na基:0.07meq/g):8.0部
アルミナ粉末(比表面積17m2/gのα−アルミナ):5.0部
メチルエチルケトン:370.0部
シクロヘキサノン:370.0部
ステアリン酸:1.0部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
磁性層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
上記磁性液をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理後、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。
研磨剤液は、 上記成分を混合して粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、非磁性フィラー液および研磨剤液と、その他の成分としての潤滑剤・硬化剤液をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、1μmのフィルタで濾過して磁性層形成用組成物を作製した。
非磁性層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を除く上記成分を、オープン型ニーダーにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層形成用組成物を作製した。
バックコート層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
ポリイソシアネートおよび潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を除く上記成分を、ディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、ポリイソシアネートおよび潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層形成用組成物を作製した。
厚さ4.00μmの非磁性支持体(ポリアミド支持体)上に、乾燥後の厚さが0.10μmになるように非磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた後、バックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の反対面に乾燥後の厚さが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。一度巻き取りロールに巻き取った非磁性支持体を70℃の環境下で36時間熱処理した。
熱処理後の非磁性層上に、乾燥後の厚さが0.07μmになるように磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度100℃で表面平滑化処理(カレンダ処理)を行った。その後、70℃の環境下で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ幅にスリットを行った。
続いて、特開平5−62174号公報に記載のダイヤモンドホイールによる表面処理(同公報の図1〜図3に示されている態様)を行って得られた磁気テープをロール状にリールに巻き取った後、下記の評価方法によりその特性を評価した。
なお本実施例および後述の実施例、比較例について、各層の厚さは、製造条件から算出される設計厚みである。また、上記および後述のSO3Na基含有ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、以下の測定条件により測定された値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
(接触角測定法)
接触角測定機(協和界面科学(株)製 接触角測定装置 DropMaster700)により、以下の方法により接触角測定を行った。
ロール状に巻き取った磁気テープをロールの端部から一定長さ切り取り得られたテープサンプルを、バックコート層表面がスライドガラス表面と接触するようにスライドガラス上に設置した。テープサンプル表面(磁性層表面)に測定用液体(1−ブロモナフタレンまたは水)2.0μlを滴下し、滴下した液体が安定した液滴を形成したことを目視で確認した後、上記接触角測定機に付随の接触角解析ソフトウェアFAMASにより液滴像を解析し、テープサンプルと液滴の接触角を測定した。接触角の算出はθ/2法によって行い、1サンプルにつき6回測定した平均値を接触角とした。測定は温度20℃相対湿度25%RHの環境で行い、以下の解析条件で接触角を求めた。
また、参照のため、測定用液体としてヨウ化メチレンを用いて同様の方法で磁性層表面のヨウ化メチレンに対する接触角(ヨウ化メチレン接触角)も求めた。
・手法:液滴法(θ/2法)
・着滴認識:自動
・着滴認識ライン(針先からの距離):50dot
・アルゴリズム:自動
・イメージモード:フレーム
・スレッシホールドレベル:自動
温度40℃相対湿度80%RHの環境において、IBM社製LTO(登録商標)G5(Linear Tape−Open Generation 5)ドライブから取り外した磁気記録再生ヘッドをテープ走行系に取り付け、0.6Nのテンションをかけながらテープ長20mの磁気テープを、送り出しロールからの送り出しおよび巻き取りロールへの巻き取りを行いつつ4.0m/sで3000サイクル走行させ、走行後のヘッド全面を倍率100倍のマイクロスコープで観察し画像処理ソフト(Win Roof(Mitani Corporatipon製)による画像処理により汚れ面積(付着物が付着している部分の面積)を求めた。ヘッド面に対する汚れ面積の割合をヘッド面汚れの指標とし、以下の基準により評価した。AおよびBを走行耐久性良好と判断した。
A:0%、B:0%超5%未満、C:5%以上10%未満、D:10%以上30%未満、E:30%以上。
また、ヘッドエッジ汚れも同様にマイクロスコープによりヘッド全面を観察し画像処理ソフトによる画像処理を行い評価した。ヘッドエッジの汚れ(付着物)が付着した範囲の割合をヘッドエッジ汚れの指標とし、以下の基準により評価した。4〜2を走行耐久性良好と判断した。なお、ヘッドの幅方向とは、磁気テープの幅方向と一致する方向である。
4:ヘッドエッジに汚れが認められない、3:ヘッドの幅方向の50%以下の部位に汚れが認められる、2:ヘッドの幅方向の50%超70%以下に汚れが認められる、1はヘッドの幅方向の70%超に汚れが認められる。
図1に、ヘッド面汚れおよびヘッドエッジ汚れの説明図を示す。図中、実線2本で磁気テープの長手方向の端辺を示している。また、図中に示すヘッド面汚れおよびヘッドエッジ汚れの個数、形状、付着位置は、模式的に示したものに過ぎない。
原子間力顕微鏡としてDIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPEIIIをコンタクトモードで用いて、先に記載した方法により磁性層表面の中心線平均表面粗さRaを測定した。具体的には、AFMによる測定後にofflineモードに移行し、flatten処理をy方向に、plane fit処理をx方向に行って歪み補正をした後、roughness処理を行い、Raを算出した。
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更した点以外、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を4.0部に変更した以外は、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更し、バックコート層形成用組成物Aを以下のバックコート層形成用組成物Bに変更した点以外は、実施例1と同様の方法により磁気テープを得た。
(バックコート層形成用組成物B)
カーボンブラック(DBP吸油量74cm3/100g):100.0部
ニトロセルロース:27.0部
スルホン酸(塩)基含有ポリエステルポリウレタン樹脂:62.0部
ポリエステル樹脂:4.0部
アルミナ粉末(比表面積SBET17m2/gの):0.6部
メチルエチルケトン:600.0部
トルエン:600.0部
ステアリン酸:4.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):15.0部
下記(1)〜(5)の変更を行った点以外、実施例2と同様の方法により磁気テープを作製した。
(1)実施例2における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外は実施例2と同様の方法で磁性層形成用組成物を作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SO3Na基含有ポリエステルポリウレタン樹脂:4.0部
(重量平均分子量60000、SO3Na基:0.6meq/g)
1−ブロモナフタレン接触角調整剤A:10.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(2)実施例2における非磁性層形成用組成物Aを、以下の非磁性層形成用組成物Bに変更した。
(非磁性層形成用組成物B)
ベンガラ(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、比表面積SBET:52m2/g):75.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)16nm、DBP吸油量74cm3/100g):25.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SO3Na基:0.07meq/g):8.0部
メチルエチルケトン:370.0部部
シクロヘキサノン:370.0部部
ステアリン酸:2.0部部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2.0部部
(3)非磁性支持体を、厚さ6.00μmのポリエチレンナフタレート支持体に変更した。
(4)バックコート層表面に以下の方法により潤滑剤のオーバーコート処理を行った。
バックコート層表面に以下の潤滑剤溶液をφ50μmのコイルが巻かれたコイルバーを使用して塗布し、さらに70℃の環境で12時間熱処理を行った。
(バックコート層へのオーバーコート処理用潤滑剤溶液)
ステアリン酸:0.6部
ステアリン酸アミド:0.2部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
実施例5における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外、実施例5と同様の方法により磁気テープを作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SO3Na基:0.07meq/g):4.0部
1−ブロモナフタレン接触角調整剤B:6.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
下記(1)、(2)の変更を行った点以外、実施例2と同様の方法により磁気テープを作製した。
(1)実施例1における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末A):100.0部
(Hc:196kA/m(2460Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)24nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):13.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂:5.0部
(重量平均分子量70000、SO3Na基:0.07meq/g)
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
(2)実施例1における磁性層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を2.0部に変更した。
実施例4におけるバックコート層形成用組成物の潤滑剤の中で、ステアリン酸の添加量を6.0部に変更した点以外、実施例4と同様の方法により磁気テープを得た。
実施例6における磁性層形成用組成物の磁性液を、1−ブロモナフタレン接触角調整剤Aを添加せず作製した点以外、実施例6と同様の方法により磁気テープを得た。
実施例6における磁性層形成用組成物の磁性液を、下記磁性液に変更した点以外、実施例6と同様の方法により磁気テープを作製した。
(磁性液)
強磁性粉末(強磁性六方晶バリウムフェライト粉末B):100.0部
(Hc:189kA/m(2380Oe)、平均粒子サイズ(平均板径)22nm)
オレイン酸:2.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10.0部
SO3Na基含有ポリウレタン樹脂
(重量平均分子量50000、SO3Na基:0.07meq/g):4.0部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:6.0部
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
実施例、比較例について評価を行った繰り返し走行後のヘッド面汚れは、少ないほど、走行中の磁性層表面とヘッドとの摺動性が安定化され走行耐久性が良好である(磁性層表面の削れの発生が抑制されている)ことを示している。
また、実施例、比較例について評価を行った繰り返し走行後のヘッドヘッジ汚れは、少ないほど、磁性層表面からヘッドに付着した潤滑剤、磁性層削れ物によるスペーシングロスが少ないことを意味している。
表2に示す結果から、実施例1〜5の磁気テープは、繰り返し走行後のヘッド面汚れ、ヘッドエッジ汚れがともに少ないことが確認できる。かかる実施例1〜5の磁気テープによれば、繰り返し走行後も、ヘッドへの磁性層の削れ物や潤滑剤の付着によるスペーシングロス、およびこれによる出力低下を抑制することができる。
なお表2に示すように、特許文献4に記載されているヨウ化メチレン接触角と評価結果との間には良好な相関は見られなかったのに対し、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角との間には良好な相関が見られている。
以上の結果から、1−ブロモナフタレン接触角および水接触角に基づき磁気記録媒体の磁性層表面状態を規定することにより、優れた走行耐久性を示し、繰り返し走行後の出力低下が抑制された磁気記録媒体の提供が可能になることが確認できる。
Claims (12)
- 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、潤滑剤および磁性層表面において測定される1−ブロモナフタレンに対する接触角を調整可能な1−ブロモナフタレン接触角調整剤を含み、
前記磁性層表面において測定される接触角は、1−ブロモナフタレンに対して45.0°〜55.0°の範囲であり、かつ水に対して90.0°〜100.0°の範囲である磁気記録媒体。 - 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリマーである請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、含窒素ポリマーである請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン系ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、ポリアルキレンイミン鎖およびポリエステル鎖を含むポリアルキレンイミン系ポリマーである請求項4に記載の磁気記録媒体。
- 前記1−ブロモナフタレン接触角調整剤は、アミン系ポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性層の厚みは、0.80μm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性層は、潤滑剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含む請求項9に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層表面において原子間力顕微鏡により測定される中心線平均表面粗さRaは、3.0nm以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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