JP6064228B2 - レーザ切断装置およびレーザ切断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ切断装置およびレーザ切断方法に関する。
近年、携帯型電子機器の需要の増加に伴い、電池容量の大きなリチウムイオン電池等の二次電池が広く用いられるようになってきており、携帯型電子機器の更なる高性能化に向けて、二次電池の高効率化が求められている。また、電気自動車、定置用リチウムイオン蓄電池などの用途においては、高出力の二次電池が求められている。
高出力リチウムイオン電池には、薄板状の正極電極と薄板状の負極電極がセパレータを挟んで交互に積層された構造を持つものが多い。一般的に、正極電極には、活物質素材が塗布されたアルミニウム箔が用いられ、負極電極には、活物質素材が塗布された銅箔が用いられている。詳しくは、アルミニウム箔の所定の位置に活物質が塗布され、その活物質が塗布されたアルミニウム箔が、乾燥工程、圧縮工程等の工程を経た後に、金型によって打ち抜かれることにより、所定の形状の正極電極が切り出される。同様に、銅箔の所定の位置に活物質が塗布され、その活物質が塗布された銅箔が、乾燥工程、圧縮工程等の工程を経た後に、金型によって打ち抜かれることにより、所定の形状の負極電極が切り出される。
積層型のリチウムイオン電池では、積層された各正極電極それぞれの、活物質が塗布されていないタブ部が、集電接続用の板材に溶接される。同様に、積層された各負極電極それぞれのタブ部が、集電接続用の板材に溶接される。このため、積層された各正極電極それぞれのタブ部が集電接続用の板材へ向けて折り曲げられたときに、それらの先端が一致するように、積層された各正極電極それぞれのタブ部は切り揃えられている必要がある。積層された各負極電極それぞれのタブ部も、同様に切り揃えられている必要がある。しかし、特に積層されたアルミニウム箔は、金型で切り出すことが困難である。このため、薄板状の正極電極と薄板状の負極電極はそれぞれ、積層前の打ち抜き工程において、タブ部の長さが調節されて、1枚ごとに切り出されている。具体的には、薄板状の正極電極と薄板状の負極電極がセパレータを挟んで交互に積層された構造の積層体の上層部の正極電極と負極電極のそれぞれのタブ部は、その積層体の下層部の正極電極と負極電極のそれぞれのタブ部に比べて長くなるように調整されている。
一方、特許文献1には、ガルバノミラーによってレーザを走査して板材を高速切断するレーザ加工方法およびレーザ加工装置が提案されている。この特許文献1に記載されたレーザ加工方法およびレーザ加工装置では、被加工材である板材の上側および下側にそれぞれ箱体が設けられ、上側の箱体の内圧が正圧に調整され、下側の箱体の内圧が、上側の箱体内の圧力よりも低い圧力に調整される。図6は特許文献1に記載されたレーザ加工装置を示す図である。
図6において、レーザ加工装置61は、レーザ光を発振する発振器62と、図示しないガルバノミラーを備えるガルバノヘッド63と、発振器62で発振されたレーザ光をガルバノヘッド63へ伝送する光ファイバー64を備える。ガルバノヘッド63は、被加工部材65に対して上方からレーザ光66を照射し、かつ、その被加工部材65に対してレーザ光66を切断方向に走査する。さらに、レーザ加工装置61は、第1の箱体67と、第2の箱体68と、第1の箱体67へガスを供給するためのガスボンベ69と、第2の箱体68からガスを吸引するための吸引装置70を備える。第1の箱体67へガスボンベ69から供給されるガスには、Arガス、N2ガス、または酸素ガスなどが使用される。
被加工部材65が切断される際には、ガスボンベ69内のガスが第1の箱体67へ送られて、第1の箱体67の内圧が正圧に調整されてから、発振器62が起動して、レーザ光を発振する。発振器62で発振されたレーザ光は、光ファイバー64によってガルバノヘッド63に伝送される。ガルバノヘッド63は、被加工部材65に対して上方からレーザ光66を照射し、かつ、その被加工部材65に対してレーザ光66を切断方向に走査する。このとき、レーザ光66は、透明な箱体67を透過する。これにより、被加工部材65が所望の形状に切断加工される。また、被加工部材65の切断が進行して、レーザ光が照射される被加工部材65のレーザ照射面から、そのレーザ照射面とは反対側の被加工部材65の裏面まで貫通する部分が、被加工部材65の一部に生じると、第1の箱体67内のガスが第2の箱体68へ流れ始める。このとき、吸引装置70によって第2の箱体68内のガスが吸引されて、第1の箱体67の内圧と第2の箱体68の内圧との差圧が一定にされる。これにより、被加工部材65の裏面に溶融金属が残る不具合を防ぐことが可能となり、切断面の品質低下が防止される。
特開2011−125877号公報
被加工部材65が金属製の板材である場合、被加工部材65にレーザ光66が照射されることにより、金属の一部が蒸発してキーホールと呼ばれる穴部が形成され、そのキーホールの内壁でレーザ光66が反射して、被加工部材65の厚み方向深くまでレーザ光66が到達する。しかし、被加工部材65が、複数枚の金属箔が積層された積層体である場合、被加工部材65にレーザ光66が照射されることによって形成される穴部は積層状となる。積層された金属箔の間には空気層が形成されるため、その穴部の内壁でレーザ光は反射せずに拡散する。このため、被加工部材65の厚み方向深くまでレーザ光66が到達できない。さらに、レーザ光により溶融した金属が空気層に留まってレーザ光66を遮るおそれがある。これらのことから、従来のレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、複数枚の金属箔が積層された積層体を切断できなかった。
本発明は、切断面の品質を低下させることなく積層体をレーザ切断することが可能なレーザ切断装置およびレーザ切断方法を提供することを目的とする。
本発明のレーザ切断装置は、レーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を走査するレーザ走査部と、加工対象の積層体のレーザ照射面に、前記レーザ走査部によって走査される前記レーザ光を集光するレンズと、前記レンズと前記積層体との間に配置されたチャンバと、を備え、前記チャンバには、前記レーザ光を前記チャンバ内に入射するための透過窓と、前記チャンバ内へアシストガスを導入するためのガス送入口と、前記レーザ光を前記チャンバから出射させ、かつ、前記アシストガスを前記チャンバから噴出させるためのスリットが設けられており、前記スリットは、前記レーザ光が走査される領域に倣った形状であり、前記レーザ光の照射位置の前記積層体の厚みが、前記アシストガスの噴出によって減少することを特徴とするものである。
本発明のレーザ切断装置において、前記スリットの長手方向の長さは、前記レーザ光が走査される領域の長手方向の長さより長くてもよい。
本発明のレーザ切断装置において、前記スリットの幅は、前記スリットの長手方向において変化してもよい。
本発明のレーザ切断装置において、前記積層体は、厚み20μm以下の金属箔が複数枚積層されたものであってもよい。
本発明のレーザ切断方法は、加工対象の積層体とレンズとの間に配置されたチャンバ内にアシストガスを導入し、前記チャンバのスリットから前記積層体へ向けて前記アシストガスを噴出させる工程と、レーザ発振器から出射されたレーザ光を、レーザ走査部と、前記レンズと、前記チャンバの透過窓および前記スリットを介して、前記積層体のレーザ照射面に集光させる工程と、集光した前記レーザ光を前記レーザ走査部により走査させて、前記積層体を切断加工する工程と、を具備し、前記スリットは、前記レーザ光が走査される領域に倣った形状であり、前記レーザ光による前記積層体の切断加工中に、前記アシストガスが前記積層体に向けて噴出されて、前記レーザ光の照射位置の前記積層体の厚みが減少することを特徴とするものである。
本発明のレーザ切断方法において、前記アシストガスの噴出範囲の長手方向の長さは、前記レーザ光が走査される領域の長手方向の長さより長くてもよい。
本発明のレーザ切断方法において、前記アシストガスの噴出流量は、前記レーザ光の走査方向において変化してもよい。
本発明のレーザ切断方法において、前記積層体は、厚み20μm以下の金属箔が複数枚積層されたものであってもよい。
本発明によれば、切断面の品質を低下させることなく積層体をレーザ切断することが可能となる。
本発明の実施の形態におけるレーザ切断装置の構成の概略を示す模式図 本発明の実施の形態におけるチャンバの構成例を示す図 本発明の実施の形態におけるレーザ照射部を示す図 本発明の実施の形態におけるスリットの幅とアシストガスの噴出流量との関係を示す図 本発明の実施の形態におけるレーザ切断時の積層体の状態を示す図 特許文献1に記載されたレーザ加工装置の模式図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、同じ構成要素には同じ符号を付与して、重複する説明を省略する。また、図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。また図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は図面作成の都合上から、実際とは異なる。なお、以下の実施の形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
図1は本実施の形態におけるレーザ切断装置の構成の概要を示す模式図である。本実施の形態のレーザ切断装置は、レーザ発振器1から出射されたレーザ光2によって、複数枚の金属箔が積層された積層体10を切断加工するものであり、積層体10の切断部へ向けてアシストガス8を噴出するように構成されている。
図1に示すように、本実施の形態のレーザ切断装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器1と、レーザ発振器1より出射されたレーザ光2を走査するレーザ走査部3と、レーザ走査部3によって走査されているレーザ光2を積層体10のレーザ照射面に集光するためのレンズ4と、レンズ4と積層体10との間に配置されたチャンバ5を備える。レーザ走査部3には、例えば、ガルバノスキャナが使用されてもよい。ガルバノスキャナにより、積層体10に対して上方からレーザ光2を照射し、かつ、その積層体10に対してレーザ光2を切断方向に走査することが容易になる。また、レンズ4には、fθレンズが使用されてもよい。fθレンズを使用することにより、ガルバノスキャナによって反射され、偏向されたレーザ光2を、積層体10のレーザ照射面に集光することが容易になる。
レンズ4を透過したレーザ光2は、チャンバ5を介して積層体10に照射される。チャンバ5には、レンズ4側に透過窓6が設けられており、積層体10側にスリット9が形成されている。この透過窓6によって、レンズ4を透過したレーザ光2をチャンバ5内へ入射させることが可能となる。また、後述するように、チャンバ5の内圧を正圧に調整することが可能となる。チャンバ5内に入射したレーザ光2は、スリット9より出射されて、積層体10に照射される。スリット9は、レーザ光が走査される領域の形状に倣った形状をしている。これにより、チャンバ5を移動させることなくレーザ光2を切断方向へ走査することが可能となる。さらに、このチャンバ5にはアシストガス8が導入される。これにより、チャンバ5の内圧は正圧に調整され、スリット9から積層体10の切断部へ向けてアシストガス8が噴出される。このため、チャンバ5内にアシストガス8を送入するためのガス送入口7が、チャンバ5に設けられている。
なお、積層体10は固定されるのが好適であり、例えば、図1に示すように、積層体10を上下より挟んで押える治具11が使用されてもよい。この治具11によって、切断方向と垂直な方向に積層体10をシワ無く張った状態で固定することが可能となる。
以下、本実施の形態のレーザ切断装置の具体例について詳細に説明する。なお、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
レーザ発振器1は、その内部にレーザ光をコリメートする機能を有し、レーザ発振器1の出射口からは、平行なレーザ光2が出射される。この実施の形態では、レーザ発振器1として、波長1070nm、最大出力3kW、連続発振のシングルモードファイバレーザが用いられる。シングルモードファイバレーザは、焦点深度が深く、また、集光スポット径を小さくできる。
レーザ走査部3には、レーザ光2を反射させ、偏向させるためのX軸方向用ガルバノミラーおよびY軸方向用ガルバノミラーを備えるガルバノスキャナが用いられる。このガルバノスキャナによって、レーザ光2を任意の軌道で照射することが可能となる。
レンズ4には、レーザ走査部3(ガルバノスキャナ)によって照射の向きを制御されたレーザ光2の焦点を同一平面上に結ぶことができるfθレンズが用いられる。この実施の形態では、fθレンズの焦点距離は255mmである。
図2(a)はチャンバ5の平面図、図2(b)はチャンバ5の断面図である。詳しくは、図2(b)は、図2(a)に示すA−A線に沿った断面を示している。
チャンバ5の外壁部材の素材および厚みは、アシストガスが導入されたチャンバ5の内圧に耐えうるように選択される。また、チャンバ5は、レーザ光と干渉しない位置に少なくとも1個のガス送入口7を備える。
透過窓6の素材と厚みは、アシストガスが導入されたチャンバ5の内圧に耐えうるように選択される。また、透過窓6には、レーザ光2の波長の光が透過できる素材が選択される。例えば、この実施の形態では、波長1070nmの光が透過できる合成石英が使用されてもよい。
ガス送入口7はアシストガスをチャンバ5内に送入するためのものであり、チャンバ5の内圧を所定の圧力にするのに十分な配管径のガス送入口7が設けられる。また、図示していないが、チャンバ5の内圧を所定の圧力にするために、ガス送入口7は、レギュレータ機能を有するのが好適である。
チャンバ5の内部は2重構造になっている。くわしくは、ガス送入口7に連通する圧力安定化流路21と、スリット9に連通するガス噴出流路22が形成されており、圧力安定化流路21とガス噴出流路22は、オリフィス23で接続されている。
図3(a)はレーザ照射部を示す平面図、図3(b)はレーザ照射部を示す正面図である。図3(a)は、図3(b)に示すB−B線に沿って切断されたチャンバ5の断面を示している。図3(a)に、レーザ光2の走査方向を矢印Eで示す。
図3(a)に示すように、スリット9は、レーザ光2によって切断される積層体10の切断部に位置合わせされる。また、スリット9の長手方向の長さCは、レーザ光が走査される領域の長手方向の長さよりも長い。つまり、スリット9の長手方向の長さCは、積層体10の切断部の長さDよりも長い。具体的には、スリット9は、積層体10の切断部の前方に長さC1だけ長く、かつ、積層体10の切断部の後方に長さC2だけ長い。こうすることで、アシストガスによって確実に積層体10を非接触で押さえることが可能となる。
スリット9の幅Bは、スリット9より噴出するアシストガスの流量に影響する。つまり、スリット9の長手方向においてスリット9の幅Bを変化させることにより、スリット9より噴出するアシストガスの流量を局所的に変えることができる。図4(a)〜図4(c)にスリット9の幅Bとアシストガスの噴出流量との関係を示す。図4(a)に示すようにスリット9の幅が一定であれば、アシストガスの噴出流量もスリット9の長手方向において一定となる。一方、図4(b)および図4(c)に示すように、スリット9の幅がスリット9の長手方向において変化する場合、スリット9の幅が狭い箇所ではアシストガスの噴出流量は少なくなり、スリット9の幅が広い箇所ではアシストガスの噴出流量は多くなる。この実施の形態では、レーザ照射開始位置におけるアシストガスの噴出流量を少なくし、レーザ照射終了位置に近づくにしたがってアシストガスの噴出流量を増加させるために、スリット9の形状として、図4(b)に示す形状が採用され、レーザ照射開始位置のスリット9の幅は0.5mm、レーザ照射終了位置のスリット9の幅は1.0mmとした。
また、この実施の形態では、積層体10の切断部に、正極電極のタブ部のアルミニウム箔または負極電極のタブ部の銅箔が積層されている。具体的には、厚み10〜20μmのアルミニウム箔が5〜50枚積層されているか、または、厚み5〜15μmの銅箔が5〜50枚積層されている。
アシストガスには、N2ガス、Arガスなどの不活性ガス、あるいは酸化反応熱を切断のエネルギーに利用するために酸素ガスなどが使用される。この実施の形態では、アルミニウム箔の切断にN2ガスが使用され、銅箔の切断に酸素ガスが使用される。
図3(b)に示すように、スリット9と積層体10との間の距離Fは1mmとした。治具11は積層体10を上下方向より押さえて固定するものであり、レーザ光2が走査される積層体10の切断部を露出する開口部が、積層体10の上側と下側にそれぞれ設けられている。
図2に示す構成によれば、レーザ照射開始前に、ガス送入口7よりチャンバ5内へ送入されたアシストガスが、圧力安定化流路21に導入され、オリフィス23を通過してガス噴出流路22に移動し、スリット9より噴出される。アシストガスは、オリフィス23を通過することにより、ガス圧分布が均一化された状態でガス噴出流路22へ移動する。この実施の形態では、スリット9より噴出されるアシストガスの流量が、レーザ光の走査方向において変化する。具体的には、アシストガスの噴出流量は、積層体10の切断開始部で少なく、積層体10の切断終了部で多くなる。レーザ発振器1から出射されたレーザ光2はレーザ走査部(ガルバノスキャナ)3によって偏向され、レンズ(fθレンズ)4と、チャンバ5の透過窓6およびスリット9を通過して、被加工材である積層体10に照射される。
続いて、この実施の形態のレーザ加工装置の動作について、図5(a)〜図5(d)を参照して説明する。なお、理解し易くするために、図5(a)には、レーザ光2とアシストガス8と積層体10のみが図示されている。また、図5(b)〜図5(d)には、レーザ光2と積層体10のみが図示されている。
図5(a)はレーザ照射開始時の積層体10の状態を示す。上述したように、レーザ照射開始より前に、アシストガスがチャンバ内に導入されて、チャンバの内圧が正圧にされ、スリットよりアシストガス8が噴出している。図5(a)に示すように、レーザ光2は、レーザ走査部によって矢印Eで示される方向へ走査され、レーザ光2が走査されるレーザ走査領域にアシストガス8が噴出している。図5(a)において、アシストガス8の矢印は、アシストガス8の噴出流量を模式的に示したものである。矢印が長いほどアシストガス8の噴出流量が多く、短いほどアシストガス8の噴出流量が少ないことを示しており、アシストガス8の噴出流量は、レーザ光2の走査方向Eにおいて変化する。具体的には、レーザ照射開始位置ではアシストガス8の噴出流量が少なく、レーザ照射終了位置ではアシストガス8の噴出流量が多い。
レーザ走査軌道上にスリットが対向することで、アシストガス8が、レーザ走査領域に吹き付けられる。これにより、積層体10を非接触で押さえながらレーザ光2で切断加工することができる。積層体10を良好に切断するは、積層体10の厚みを加工性が維持される焦点深度より小さくする必要がある。また、溶融金属を金属箔間の空気層に留めることなく効果的に排出するためには、金属箔間の空気層の幅を最小限にする必要がある。このため、この実施の形態では、アシストガス8が、積層体10を非接触で押さえて、積層体10の厚みを減少させることができる流量で、噴出される。これにより、積層体10の厚みを、加工性が維持される焦点深度より小さくすることが可能となる。また、溶融金属を金属箔間の空気層に留めることなく効果的に排出することが可能となる。
さらに、この実施の形態では、上述したように、アシストガス8の噴出範囲の長手方向の長さが、レーザ走査領域の長手方向の長さよりも長いので、アシストガス8によって確実に積層体10が非接触で押さえられる。
図5(b)はレーザ照射開始位置の近傍箇所が切断されている様子を示している。レーザ照射開始位置の近傍は、積層体10の端部であり、熱の逃げが小さい箇所である。ただし、レーザ照射開始時の積層体10は、金属箔が溶融し始めた状態であるので、除去すべき溶融金属が少なく、アシストガスの流量は少なくて構わない。溶融金属はアシストガスによって吹き飛ばされ、積層体10の裏面より下方向に排出される。
図5(c)は積層体10の中央部まで切断が進行した状態を示している。積層体10の中央部では熱の逃げが増加するが、それ以上に熱が蓄熱されて、金属箔の溶融量が増加する。このため、アシストガスの流量は、レーザ照射開始位置に比べ増加させる必要がある。
図5(d)はレーザ照射終了位置まで切断が進行した状態を示している。レーザ照射終了位置は、積層体10の端部であり、蓄熱量が最も大きい箇所であるため、金属箔の溶融量が最大となる。また、切断済み領域では、アシストガスは、積層体10のレーザ照射面から積層体10の裏面方向へ切断溝を通過するので、積層体10を押える力として機能しない。レーザ照射終了位置の近傍では、アシストガスが積層体10を押えることが可能な未切断領域の面積が小さく、非接触の押さえ力が低下するため、アシストガスの流量は、さらに増加させる必要がある。そうすることで、積層体10を非接触で押さえる力が維持され、かつレーザ照射によって生じる溶融金属が除去される。
以上のように、この実施の形態によれば、アシストガスによって積層体10が非接触で押さえられて、レーザ光2の照射位置の積層体10の厚みが減少する。これにより、積層体10の厚みを加工性が維持される焦点深度より小さくすることが可能となり、また溶融金属を金属箔間の空気層に留めることなく効果的に排出することが可能となる。したがって、切断面の品質を低下させることなく積層体10をレーザ切断することが可能となる。さらに、アシストガスによって切断面のバリおよびドロス等を除去することが可能となり、切断面の品質を高めることができる。
なお、以上説明した実施の形態は一例であって、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態では、レーザ発振器1として連続発振のシングルモードファイバレーザが使用されたが、レーザ発振器はシングルモードファイバレーザに限定されるものではない。積層体の材料、厚み、金属箔の積層枚数に応じて、YAGレーザ、CO2レーザなどの中から、最適な波長のレーザが選択されてもよい。また、発振形態も連続発振に限定されるものではなく、パルス発振であっても構わない。レンズ4などの光学部品も、作動距離、集光スポット径、加工範囲に応じて変更することができる。また、この実施の形態では、積層体10は、正極電極のタブ部のアルミニウム箔または負極電極のタブ部の銅箔が積層されたものであり、厚み10〜20μmのアルミニウム箔または厚み5〜15μmの銅箔が5〜50枚積層されている場合について説明したが、金属箔の厚みと金属箔の積層枚数は電池の仕様により変化するものであって、金属箔の厚みと金属箔の積層枚数は、この実施の形態の例に限定されるものではない。また、この実施の形態のレーザ加工装置は、積層型電池の製造にのみ適用されるものではなく、例えば、積層型キャパシタの製造に適用することも可能である。また、この実施の形態では、積層体10が直線状に切断されたが、レーザ切断形状は曲線状や円形状であってもよい。スリット9の形状は、レーザ光が走査される領域の形状に倣った形状であればよい。
本発明にかかるレーザ切断装置およびレーザ切断方法は、切断面の品質を低下させることなく積層体をレーザ切断することができ、積層型電池の製造や積層型キャパシタの製造に適用できる。
1 レーザ発振器
2 レーザ光
3 レーザ走査部
4 レンズ
5 チャンバ
6 透過窓
7 ガス送入口
8 アシストガス
9 スリット
10 積層体
11 治具
21 圧力安定化流路
22 ガス噴出流路
23 オリフィス
61 レーザ加工装置
62 発振器
63 ガルバノヘッド
64 光ファイバー
65 被加工部材
66 レーザ光
67 第1の箱体
68 第2の箱体
69 ガスボンベ
70 吸引装置

Claims (8)

  1. レーザ発振器と、
    前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を走査するレーザ走査部と、
    加工対象の積層体のレーザ照射面に、前記レーザ走査部によって走査される前記レーザ光を集光するレンズと、
    前記レンズと前記積層体との間に配置されたチャンバと、
    を備え、
    前記チャンバには、前記レーザ光を前記チャンバ内に入射するための透過窓と、前記チャンバ内へアシストガスを導入するためのガス送入口と、前記レーザ光を前記チャンバから出射させ、かつ、前記アシストガスを前記チャンバから噴出させるためのスリットが設けられており、
    前記スリットは、前記レーザ光が走査される領域に倣った形状であり、
    前記レーザ光の照射位置の前記積層体の厚みが前記アシストガスの噴出によって減少する
    ことを特徴とするレーザ切断装置。
  2. 前記スリットの長手方向の長さが、前記レーザ光が走査される領域の長手方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断装置。
  3. 前記スリットの幅が、前記スリットの長手方向において変化することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ切断装置。
  4. 前記積層体は、厚み20μm以下の金属箔が複数枚積層されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーザ切断装置。
  5. 加工対象の積層体とレンズとの間に配置されたチャンバ内にアシストガスを導入し、前記チャンバのスリットから前記積層体へ向けて前記アシストガスを噴出させる工程と、
    レーザ発振器から出射されたレーザ光を、レーザ走査部と、前記レンズと、前記チャンバの透過窓および前記スリットを介して、前記積層体のレーザ照射面に集光させる工程と、
    集光した前記レーザ光を前記レーザ走査部により走査させて、前記積層体を切断加工する工程と、
    を具備し、
    前記スリットは、前記レーザ光が走査される領域に倣った形状であり、
    前記レーザ光による前記積層体の切断加工中に、前記アシストガスが前記積層体に向けて噴出されて、前記レーザ光の照射位置の前記積層体の厚みが減少する
    ことを特徴とするレーザ切断方法。
  6. 前記アシストガスの噴出範囲の長手方向の長さが、前記レーザ光が走査される領域の長手方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項5に記載のレーザ切断方法。
  7. 前記アシストガスの噴出流量が、前記レーザ光の走査方向において変化することを特徴とする請求項5または6に記載のレーザ切断方法。
  8. 前記積層体は、厚み20μm以下の金属箔が複数枚積層されたものであることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のレーザ切断方法。
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