JP6065712B2 - 還元鉄の誘導加熱方法及び還元鉄の誘導加熱装置 - Google Patents

還元鉄の誘導加熱方法及び還元鉄の誘導加熱装置 Download PDF

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Description

本発明は、還元鉄の誘導加熱方法及び還元鉄の誘導加熱装置に関し、特に、還元鉄を加熱して還元鉄の金属化率を高めるために用いて好適なものである。
従来から、粉状の鉄酸化物と粉状の炭素質物質とを混合した塊成化物を、例えば、回転炉床炉(RHF:Rotary Hearth Furnace)を用いて加熱処理することにより還元鉄(DRI:(Direct Reduced Iron))を製造することが行われている(特許文献1を参照)。
このようにして製造される還元鉄の金属化率を高めると、後工程の溶解炉で溶銑を製造する際の溶解時間を短縮することができる。これにより、溶銑の製造量[ton/hour]を増やすことができ、溶銑を安価に製造することができる。
ここで、金属化率とは、以下の(1)式にて表現される。
金属化率[%]={(還元鉄中の金属鉄分)/(還元鉄中の全鉄分)}×100 ・・・(1)
(1)式において、還元鉄中の金属鉄分及び還元鉄中の全鉄分の単位は、同じであれば、[質量]、[重量]、[体積]の何れであってもよい。
そこで、還元鉄の金属化率を高めるために、回転炉床炉における加熱時間を長くすることが考えられる。
特開2007−298202号公報
しかしながら、このようにすると、回転炉床炉における処理時間が長くなる。このため、金属化率を高めた還元鉄の製造量(ton/hour)が低下してしまうという虞がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、製造量(ton/hour)の低下を抑制しつつ、還元鉄の金属化率を向上できるようにすることを目的とする。
本発明の還元鉄の誘導加熱方法は、還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱方法であって、複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルに交流電力を与えることにより、前記収容部の内部に収容された複数の還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成され状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を変えるようにしたことを特徴とする。
本発明の還元鉄の誘導加熱装置は、還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱装置であって、複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部と、前記収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルと、前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を変えるために前記収容部を駆動する駆動部と、を有し、前記コイルに交流電力を与えることにより、当該還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成され状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を、前記駆動部が前記収容部を駆動することにより変えることを特徴とする。
本発明によれば、還元鉄が溶着することなく、還元反応を起こす温度以上の温度に還元鉄を誘導加熱することができる。したがって、製造量(ton/hour)の低下を抑制しつつ、還元鉄の金属化率を向上することができる。
還元鉄の断面の様子の一例を示す図(写真)である。 1つの還元鉄に流れる渦電流の浸透深さの一例を概念的に示す図である。 還元鉄同士が溶着する様子の一例を概念的に示す図である。 還元鉄の金属化率を上昇させることができることを概念的に説明する図である。 還元鉄の誘導加熱装置の構成の一例を示す図である。 還元鉄の誘導加熱装置の構成の第1の変形例を示す図である。 コイルの第1の変形例の構成を示す図(平面図)である。 還元鉄の誘導加熱装置の構成の第2の変形例を示す図である。 図5に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。 図7(a)に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。 図7(b)に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。 図8に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。
(本発明者らが得た知見)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明者らが得た知見について説明する。
図1は、還元鉄の断面の様子の一例を示す図(写真)である。
回転炉床炉で塊成化物が加熱処理される過程で収縮が起こる。これにより、還元鉄の内部には、図1に示すように気孔が生じる。また、前述した回転炉床炉では一般に、バーナーによる輻射加熱を利用して塊成化物を加熱する。すなわち、回転炉床炉では、塊成化物・還元鉄は、外部からの伝熱によって加熱される。したがって、回転炉床炉のような伝熱を利用した加熱方法では、還元鉄の内部の気孔により伝熱が阻害される。このため、回転炉床炉における加熱時間を長くする方法では、還元鉄を効率よく加熱することができず、金属化率を高めた還元鉄の製造量[ton/hour]を増加させることは容易ではない。
そこで、本発明者らは、外部からの伝熱を利用して還元鉄を加熱するのではなく、還元鉄そのものを直接的に加熱する方法について検討した。このような方法として誘導加熱による方法が考えられる。誘導加熱とは、コイルに交流電力を供給することにより発生する磁界を対象物(磁性体)に与えることにより当該対象物に流れる渦電流によって当該対象物を加熱するものである。
図2は、1つの還元鉄に流れる渦電流の浸透深さの一例を概念的に示す図である。
図2において、温度がキュリー温度(770[℃]程度)以下である場合、還元鉄は強磁性体であるため、渦電流の浸透深さδは小さい。したがって、温度がキュリー温度以下であれば、還元鉄の内部に渦電流201を流すことができる。
これに対し、温度がキュリー温度以上である場合、還元鉄は常磁性体であるため、渦電流の浸透深さδが大きくなる。このため、大きさが小さい還元鉄では、その内部に渦電流を流すことができず、キュリー温度よりも高い温度に加熱することができない。
ここで、還元反応が起こる温度は950[℃]程度であり、還元鉄のキュリー温度よりも高い。したがって、大きさが小さい還元鉄については、単に誘導加熱を行うだけでは、還元反応が起こる温度にまで還元鉄の温度を上昇させることができず、還元鉄の金属化率を向上させることができない。
本発明者らは、以上のような知見を踏まえつつ、回転炉床炉で製造された還元鉄を誘導加熱することを試みた。
ここでは、外周にソレノイドが巻き回された中空円筒状の収容部の内部に、回転炉床炉で製造された複数の還元鉄を充満させて誘導加熱を試みた。その結果、試験後の複数の還元鉄の中に、還元鉄同士が溶着したものが存在した。
図3は、還元鉄同士が溶着する様子の一例を概念的に示す図である。図3を参照しながら、このような還元鉄の溶着が起こる現象について説明する。
前述したように、大きさ小さい還元鉄が単独で存在する場合には、当該還元鉄を誘導加熱により、還元反応が起こる温度よりも高い温度に加熱することはできない。これに対し、図3に示すように、相互に接触する還元鉄で閉路が形成されるように、3つ以上の還元鉄301a〜301fが相互に接触すると、それらの隙間に生じる磁界302によって、当該還元鉄301a〜301fに渦電流303が流れ、還元反応が起こる温度よりも高い温度に加熱することができる。しかしながら、還元鉄301a〜301fの接触部分304a〜304fの電気抵抗が大きいため、3つ以上の還元鉄301a〜301fの接触位置が変わらないと、渦電流303によって、還元鉄301a〜301fの接触部分304a〜304fにおける発熱量が大きくなり、還元鉄の溶着が起こる。
以上のように、本発明者らは、大きさが小さい還元鉄では、相互に接触する還元鉄で閉路が形成されるように、3つ以上の還元鉄が相互に接触する状態が、当該還元鉄の接触位置が変わらない状態で維持されると、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度よりも高い温度に還元鉄を加熱することはできるが、還元鉄の溶着が生じるという知見を得た。
このような知見から、本発明者らは、還元鉄の他の還元鉄との接触位置が動く状態で、3つ以上の還元鉄が相互に接触して閉路を形成する状態にすれば、還元鉄の溶着を起こさずに、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度よりも高い温度に還元鉄を加熱することができるという技術的思想に想到した。
図4は、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態にした場合に、当該還元鉄の金属化率を上昇させることができることを概念的に説明する図である。以下の説明では、「閉路が形成されるように相互に接触した3つ以上の還元鉄」を、必要に応じて「還元鉄群」と称する。
図4(a)は、還元鉄群の一例を概念的に示す図である。図4(a)に示す両矢印線は、還元鉄が動くことを表している。
図4(a)において、図3を参照しながら説明したように、誘導加熱を行うと、還元鉄群401の内部には、渦電流402が流れる。
図4(b)、図4(c)は、還元鉄群401を構成する1つの還元鉄401aの金属化前・金属化後の様子の一例を概念的に示す図である。
回転炉床炉で製造された還元鉄401aでは、表面側は金属化率が高い還元部403になっているのに対し、中心側は金属化率が低い未還元部404になっている(図4(b)を参照)。本発明者らの知見によると、還元部403の金属化率は90[%]程度であるのに対し、未還元部404の金属化率は30〜40[%]程度である。
未還元部404は還元部403よりも電気抵抗が大きいため、図4(b)に示すように、高電流密度の渦電流402は、還元部403(すなわち未還元部404の周囲)を流れる。これにより、未還元部404の温度が上昇し、未還元部404が還元反応により金属化する。これにより、図4(c)に示すように、未還元部404の領域が減少し、還元化部404の領域が増大する。
ここで、大きさが小さすぎる還元鉄では、還元鉄群が形成されづらい。また、還元鉄群が形成されたとしても高い電流密度の渦電流が形成されづらい。したがって、大きさが小さすぎる還元鉄については、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度にまで加熱することが容易ではない。
一方、大きさが大きすぎる還元鉄では、前述したように渦電流の浸透深さδが大きくなってもその内部に渦電流が流れるため、単独で存在していても(前述した閉路が形成されていなくても)、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度にまで加熱することができる。
以上の観点から、以下に示す実施形態では、金属化率を向上させる対象(誘導加熱の対象)となる還元鉄の直径の範囲を5[mm]〜100[mm]とする。ここで、還元鉄の直径とは、還元鉄の重心を介して相互に対向する還元鉄の表面の2点間の距離の最大値をいう。
また、誘導加熱を行う前の還元鉄の金属化率が小さすぎる場合には、高い電流密度の渦電流が形成されづらいため、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度にまで還元鉄を加熱することが容易ではない。このような観点から、以下に示す実施形態では、誘導加熱を行う前の還元鉄の金属化率を40[%]以上とする。
(実施形態)
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明の一実施形態に想到した。以下に、本発明の一実施形態を説明する。尚、各図において、x、y、z座標は、各図の方向の対応関係を表すものであり、x、y、z座標の原点は各図に示す位置に限定されない。
図5は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の一例を示す図である。図5(a)は、還元鉄の誘導加熱装置500を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図である。図5(b)は、還元鉄の誘導加熱装置500を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図である。
図5において、還元鉄の誘導加熱装置500は、収容部501と、コイル502と、回転部503と、支持部504と、モータ505と、ギア506と、を備えて構成される。
収容部501の内部には、還元鉄が収容される。
本実施形態の収容部501について以下に説明する。
収容部501の形状は、中空円筒状である。また、収容部501の内壁面には断熱材が取り付けられている。収容部501の開口部分の一端部501aから、回転炉床炉で製造された還元鉄が、収容部501の内部に搬送され、収容部501の開口部分の他端部501bから、誘導加熱されて金属化率が高められた還元鉄が、圧縮成形機に搬送される。圧縮成形機により、HBI(Hot Briquetted Iron)が製造される。尚、圧縮成形機に搬送される前に、還元鉄に付着した粉末を除去してもよい。
図5(a)に示すように、収容部501は、その軸が、水平方向(y軸方向)と略一致するように配置される。還元鉄の搬送を容易にするために、収容部501の開口部分の一端部501aの方が、他端部501bよりも高い位置になるように、収容部501の軸が、水平方向に対して傾くようにしてもよい。収容部501の軸と水平方向とのなす角度を大きくしすぎると(90[°]に近づけすぎると)、収容部501の内部において相互に接触する還元鉄の接触位置を動かすことできず、前述した還元鉄の溶着を起こしやすくなる。このような観点から、収容部501の軸と水平方向とのなす角度を適宜決定することができる。
本実施形態のコイル502は、収容部501の外周面に対して巻き回されたソレノイドである。コイル502の両端には、交流電源が接続され、交流電源からコイルに交流電力が供給される。これにより、収容部501の内部に交流磁界が発生し、前述したようにして還元鉄の内部に渦電流を流すことが可能になる。尚、コイル502は、収容部501と絶縁された状態で、収容部501の外周面に取り付けられる。コイル502の巻き数は、コイル502の設置スペースや、還元鉄の目標到達温度等に応じて適宜決定することができる。
本実施形態では4つの回転部503がある。収容部501の底部の四隅の位置に1つずつ回転部503が配置される。回転部503a〜503cの回転軸511a〜511cは、収容部501a〜503cの軸方向と略平行な方向(y軸方向)となる。尚、図5では、3つの回転部503a〜503cのみを示しているが、図5に示していない収容部501の残りの隅にも回転部503a〜503cと同一の構成の回転部が配置される。
回転部503と収容体501は相互に接触しており、回転部503の回転に伴い、収容体501もその軸方向を回転軸として回転する。
支持部504の内部には、モータ505が設置される。モータ505からの動力が、ギア506を介して回転部503に伝達され、全ての回転部503a〜503cが一方向(同じ方向)に回転する。このようにして回転部503が回転することにより、収容部501もその軸を回転軸として一方向に回転する。以上のように本実施形態では、回転部503、モータ505、及びギア506を用いることにより、収容部501の駆動部が構成される。また、モータ505の回転方向により収容部501の回転方向が定まり、モータ505の回転数により収容部501の回転数(回転速度)が定まる。
本実施形態では、収容部501における還元鉄の占積率と、収容部501の回転速度と、に応じて、収容部501の内部の還元鉄の動きが定まる。
まず、収容部501における還元鉄の占積率が小さくなるほど、3つ以上の還元鉄が閉路を形成するように相互に接触しづらくなる。一方、収容部501における還元鉄の占積率が大きくなるほど、還元鉄の他の還元鉄との接触位置が変わらない状態が維持されやすくなる。また、収容部501における還元鉄の占積率が大きくなると、モータ505等の駆動部の能力によっては、収容部501を回転させることができなくなることがある。
また、収容部501の回転速度が速くなるほど、3つ以上の還元鉄が閉路を形成するように相互に接触しづらくなる。一方、収容部501の回転速度が遅くなるほど、還元鉄の他の還元鉄との接触位置が変わらない状態が維持されやすくなる。
本実施形態では、以上のような観点から、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態になるように、収容部501における還元鉄の占積率の範囲(上下限)と、収容部501の回転速度の範囲(上下限)とが適宜決定される。
次に、以上の本実施形態の還元鉄の誘導加熱装置500を用いて還元鉄を誘導加熱した結果について説明する。
ここでは、以下のようにして還元鉄の誘導加熱装置500を構成し動作させた。
還元鉄が収容される領域の軸方向の長さL1=300[mm]
コイル502が巻き回される領域の軸方向の長さL2=250[mm]
コイル502の巻き数=8[Turn]
コイル502に与える電力=6kW[W]、26.5[kHz]
収容部501の内径D=100[mm]
収容部501における還元鉄の占積率=100[%]
還元鉄の直径=10[mm]〜30[mm]
モータ505の回転数=6[rpm]
加熱時間=30[min]
尚、軸方向が水平方向と略一致するように収容部501を配置した。また、コイル502の軸方向の中心と収容部501の軸方向の中心とが略一致するようにコイル502を収容部501の外周面に対して取り付けた。また、収容体501の内部の領域であって、図5(a)に示す長さL1の両端よりも外側の領域に還元鉄が移動しないように、当該領域に断熱材を配置した。
収容部501に収容した加熱前の還元鉄の成分と金属化率を表1に示す。
Figure 0006065712
表1の番号1〜4は、回転炉床炉で製造された還元鉄から、20[mm]〜30[mm]程度の直径を有する還元鉄をサンプリングして測定した結果を示し、番号5〜10は、同じく回転炉床炉で製造された還元鉄から、10[mm]〜20[mm]程度の直径を有する還元鉄をサンプリングして測定した結果を示す。
表1の「T−Fe」、「M−Fe」、「FeO」、「Fe23」、「C」は、還元鉄に含まれている成分を表し、これらの欄に示されている数字は、質量%[wt%]を表す。また、「M/T」は、金属化率[%]を表す。また、「ave」は、「M/T」の欄に示されている金属化率の算術平均値[%]である。この「ave」の欄に示されている値と各還元鉄の重量比とによって、加熱前の還元鉄の金属化率が定まる。具体的に、番号1〜4の還元鉄の重量比が41[%]であり、番号5〜10の還元鉄の重量比が59[%]であったので、加熱前の還元鉄の金属化率は約75.5[%](≒0.41×72+0.59×78)となった。
表2は、以上のような還元鉄を前述した条件で加熱した結果を示す図である。表2では、図5(a)に示す長さL2の両端よりも内側の3つの領域から加熱後の還元鉄をサンプリングして測定した結果を示す。尚、表2の各項目は、表1に示す項目と同じである。
Figure 0006065712
表1と表2から、本実施形態の還元鉄の誘導加熱装置500を用いることにより、30[min]程度の加熱処理で、金属化率を10[%]以上、向上させることができ、伝熱の方式では短時間で加熱することが困難である、還元鉄の中心側の金属化率を増加させることができることが分かる。尚、前述したように、加熱前の還元鉄では、中心側の金属化率が低く、表面側の金属化率が高い。したがって、表1及び表2に示す金属化率は、還元鉄の内部全体での平均的な金属化率を示す。
以上のように本実施形態では、内部に還元鉄が収容された収容体501を回転させながら、収容体501の外周面に対して取り付けられたコイル502に交流電力を供給する。このようにして収容体501を回転させるに際し、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態にする。これにより、還元鉄に渦電流を発生させて、還元反応を起こす温度以上の温度に還元鉄を誘導加熱することができる。誘導加熱では、このような還元鉄を直接的に加熱するので、外部からの伝熱によって還元鉄を加熱する場合よりも効率的に還元鉄を加熱することができる。よって、製造量(ton/hour)の低下を抑制しつつ、還元鉄の金属化率を向上させることができる。
尚、還元鉄群を構成する3つ以上の還元鉄の他の還元鉄との接触位置が変わるように動いていれば、還元鉄は、動く前と後とでどの還元鉄に接触してもよい。すなわち、図4(a)では、説明を簡単にするために、還元鉄群を構成する3つ以上の還元鉄の位置関係が変わらない場合を例に挙げて示したが、時間の経過とともに還元鉄群を構成する3つ以上の還元鉄の位置関係が変わることもある。このように、還元鉄群を構成する3つ以上の還元鉄の他の還元鉄との接触位置が変わるように動いていれば、時間の経過とともに還元鉄群を構成する3つ以上の還元鉄の位置関係は変わっても、変わらなくてもよい。
また、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態が、収容体501の内部の全ての還元鉄で形成されるようにするのが最も好ましい。しかしながら、必ずしもこのような状態が収容体501の内部の全ての還元鉄で形成されている必要はない。例えば、複数の還元鉄の加熱後の金属化率の算術平均値が、複数の還元鉄の加熱前の金属化率の算術平均値よりも5[%]以上大きくなり、且つ、収容部501に収容された全ての還元鉄のうち、溶着が行っている還元鉄の体積割合が5[体積%]以下である場合には、収容体501の内部でこのような状態が概ね形成されていると見なすことができる。したがって、このような条件を満たすように、収容体における還元鉄の占積率と収容体501の回転数等を決定すればよい。
(変形例)
<変形例1>
本実施形態では、コイル502がソレノイドである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、コイル502は、ソレノイドに限定されない。
[変形例1−1]
図6は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の第1の変形例を示す図である。図6(a)は、還元鉄の誘導加熱装置600を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図であり、図5(a)に対応する図である。図6(b)は、還元鉄の誘導加熱装置600を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図であり、図5(b)に対応する図である。
本変形例の還元鉄の誘導加熱装置600は、図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500のコイル502を、コイル602a、602bに替えたものである。本変形例の還元鉄の誘導加熱装置600のその他の構成は、図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500と同じである。
図7は、コイル602a、602bの第1の変形例の構成を示す図(平面図)である。図7(a)は、コイル602a、602bの形状の第1の例を示す図であり、図7(b)は、コイル602a、602bの形状の第2の例を示す図である。
図6において、2つのコイル602a、602bは、同じものであり、収容体501の軸方向(y軸方向)に沿って同じ向きで並べられる。図6(a)に示すように、コイル602a、602bのコイル面は、収容体501の外周面の下半分の領域と略平行になるように湾曲している。図7に示す例では、図7に示す破線の部分が底部になるように、各コイル602a、602bは、収容体501の外周面に沿って湾曲している。このようなコイル602a、602bが、収容体501の外周面の下半分の領域に対して配置される。
図7(a)に示す例では、コイル602a、602bの巻方向は、同じ方向である。具体的に図7(a)に示す例では、コイル602a、602bの巻方向は、紙面に向かって右回りである。一方、図7(b)に示す例では、コイル602a、602bの巻方向は、最外周の部分とその他の部分とで異なる。具体的に図7(b)に示す例では、コイル602a、602bは、最外周のところで折り返されており、コイル602a、602bの最外周の部分の巻方向は、紙面に向かって右回りであるのに対し、その他の部分の巻方向は、紙面に向かって左回りである。図7(a)及び図7(b)に示す矢印線は、あるタイミングにおける電流の流れる向きを示す。このように、コイル602a、602bから発生する磁界が相互に強め合うように、コイル602a、602bに流す電流の向きを逆にしている。
[変形例1−2]
図8は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の第2の変形例を示す図である。図8(a)は、還元鉄の誘導加熱装置800を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図であり、図5(a)に対応する図である。図8(b)は、還元鉄の誘導加熱装置800を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図であり、図5(b)に対応する図である。
図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500では、収容体501の外周面に対してコイル502を配置した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本変形例では、図8に示すように、収容体501の内部に対してコイル802を配置したものである。具体的に、収容体501の軸と略同軸になるように、収容体501の内部に配置された円筒状の巻軸部801に対してコイル802が、巻軸部801と絶縁された状態で巻き回され、ソレノイドとなる。尚、巻軸部801は強磁性体で構成するのが好ましい。また、コイル802は、還元鉄との接触による損傷が生じないように、その表面に、絶縁被覆が施されている。本変形例の還元鉄の誘導加熱装置800のその他の構成は、図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500と同じである。
[各コイルを用いた場合の磁界の解析結果]
図9〜図12は、それぞれ、図5、図7(a)、図7(b)、図8に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。具体的に説明すると、図9は、図5(b)のA−A方向から見たときの磁界の分布を表す。図10(a)、図11(a)は、図6(a)のA−A方向から見たときの磁界の分布を表し、図10(b)、図11(b)は、図6(b)のB−B方向から見たときの磁界の分布を表す。図12は、鵜8(b)のB−B方向から見たときの磁界の分布を表す。
ここでは、コイル以外の条件を同じ条件にして電磁場解析を行った。
まず、図8及び図12の結果から、コイルを、収容部501の外部に配置しても収容部501の内部に配置しても、還元鉄が存在する収容体501の内部の下半分の領域における磁束密度は大きく変わらない。したがって、コイルの巻き数等を調整すれば、コイルを、収容部501の外周面に対して配置しても収容部501の内部に対して配置しても、同等の効果が得られることが分かる。尚、例えばコイル502、802の双方を用いて、収容部501の外周面と内部の双方に対してコイルを配置してもよい。
また、図9、図10(b)及び図11(b)の結果から、コイルを、ソレノイドにするよりも(図5、図9を参照)、コイル面が収容部501の下半分の外周面と対向するようにコイルを構成して配置した方が(図7、図10(b)、図11(b)を参照)、還元鉄が存在する収容体501の内部の下半分の領域における磁束密度をより大きくできることが分かる。
また、図7(b)に示すように、相対的に外周側の部分の巻方向を相対的に内周側の部分の巻方向と逆向きにすることにより、図11に示すように、相対的に外周側の部分から発生する磁界により、相対的に内周側の部分から発生する磁界をコイル面の方向に押し戻すことができる。このように、図10及び図11の結果から、コイル面が収容部501の下半分の外周面と対向するようにコイルを構成して配置する場合には、相対的に外周側の部分の巻方向を相対的に内周側の部分の巻方向と逆向きにした方が(図7(b)、図11を参照)、巻方向を同じにするよりも(図7(a)、図10を参照)、還元鉄が存在する収容体501の内部の下半分の領域における磁束密度をより一層大きくできることが分かる。
<変形例2>
本実施形態では、収容体501を360°同じ方向に回転させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態にしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、収容体501を回動させる角度を360°未満にしてもよいし、回転・回動する方向を時間の経過とともに変えてもよい。また、収容体501を揺動させてもよい。さらに、収容体501が、その内部に、収容体501の軸と同軸で回転するスクリュー状の撹拌棒を有し、収容体501の本体を動かさずに、当該撹拌棒をモータにより回転(駆動)させるようにしてもよい。
<変形例3>
本実施形態では、回転炉床炉で製造された還元鉄を誘導加熱し、誘導加熱した還元鉄を圧縮成形機により圧縮成型してHBIを製造する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、前述した条件の還元鉄を加熱対象にしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
401 還元鉄群
402 渦電流
403 還元部
404 未還元部
500、600、800 還元鉄の誘導加熱装置
501 収容部
502、602、802 コイル
503 回転部
504 支持部
505 モータ
506 ギア

Claims (4)

  1. 還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱方法であって、
    複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルに交流電力を与えることにより、前記収容部の内部に収容された複数の還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成され状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を変えるようにしたことを特徴とする還元鉄の誘導加熱方法。
  2. 前記還元鉄の直径は、5[mm]〜100[mm]の範囲内であり、
    前記誘導加熱される前の前記還元鉄の金属化率は、40[%]以上であることを特徴とする請求項1に記載の還元鉄の誘導加熱方法。
  3. 還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱装置であって、
    複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部と、
    前記収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルと、
    前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を変えるために前記収容部を駆動する駆動部と、を有し、
    前記コイルに交流電力を与えることにより、当該還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成され状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容の内部における位置を、前記駆動部が前記収容部を駆動することにより変えることを特徴とする還元鉄の誘導加熱装置。
  4. 前記還元鉄の直径は、5[mm]〜100[mm]の範囲内であり、
    前記誘導加熱される前の前記還元鉄の金属化率は、40[%]以上であることを特徴とする請求項3に記載の還元鉄の誘導加熱装置。
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