JP6065712B2 - 還元鉄の誘導加熱方法及び還元鉄の誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
このようにして製造される還元鉄の金属化率を高めると、後工程の溶解炉で溶銑を製造する際の溶解時間を短縮することができる。これにより、溶銑の製造量[ton/hour]を増やすことができ、溶銑を安価に製造することができる。
ここで、金属化率とは、以下の(1)式にて表現される。
金属化率[%]={(還元鉄中の金属鉄分)/(還元鉄中の全鉄分)}×100 ・・・(1)
(1)式において、還元鉄中の金属鉄分及び還元鉄中の全鉄分の単位は、同じであれば、[質量]、[重量]、[体積]の何れであってもよい。
そこで、還元鉄の金属化率を高めるために、回転炉床炉における加熱時間を長くすることが考えられる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、製造量(ton/hour)の低下を抑制しつつ、還元鉄の金属化率を向上できるようにすることを目的とする。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明者らが得た知見について説明する。
図1は、還元鉄の断面の様子の一例を示す図(写真)である。
回転炉床炉で塊成化物が加熱処理される過程で収縮が起こる。これにより、還元鉄の内部には、図1に示すように気孔が生じる。また、前述した回転炉床炉では一般に、バーナーによる輻射加熱を利用して塊成化物を加熱する。すなわち、回転炉床炉では、塊成化物・還元鉄は、外部からの伝熱によって加熱される。したがって、回転炉床炉のような伝熱を利用した加熱方法では、還元鉄の内部の気孔により伝熱が阻害される。このため、回転炉床炉における加熱時間を長くする方法では、還元鉄を効率よく加熱することができず、金属化率を高めた還元鉄の製造量[ton/hour]を増加させることは容易ではない。
図2において、温度がキュリー温度(770[℃]程度)以下である場合、還元鉄は強磁性体であるため、渦電流の浸透深さδは小さい。したがって、温度がキュリー温度以下であれば、還元鉄の内部に渦電流201を流すことができる。
ここで、還元反応が起こる温度は950[℃]程度であり、還元鉄のキュリー温度よりも高い。したがって、大きさが小さい還元鉄については、単に誘導加熱を行うだけでは、還元反応が起こる温度にまで還元鉄の温度を上昇させることができず、還元鉄の金属化率を向上させることができない。
ここでは、外周にソレノイドが巻き回された中空円筒状の収容部の内部に、回転炉床炉で製造された複数の還元鉄を充満させて誘導加熱を試みた。その結果、試験後の複数の還元鉄の中に、還元鉄同士が溶着したものが存在した。
図3は、還元鉄同士が溶着する様子の一例を概念的に示す図である。図3を参照しながら、このような還元鉄の溶着が起こる現象について説明する。
前述したように、大きさ小さい還元鉄が単独で存在する場合には、当該還元鉄を誘導加熱により、還元反応が起こる温度よりも高い温度に加熱することはできない。これに対し、図3に示すように、相互に接触する還元鉄で閉路が形成されるように、3つ以上の還元鉄301a〜301fが相互に接触すると、それらの隙間に生じる磁界302によって、当該還元鉄301a〜301fに渦電流303が流れ、還元反応が起こる温度よりも高い温度に加熱することができる。しかしながら、還元鉄301a〜301fの接触部分304a〜304fの電気抵抗が大きいため、3つ以上の還元鉄301a〜301fの接触位置が変わらないと、渦電流303によって、還元鉄301a〜301fの接触部分304a〜304fにおける発熱量が大きくなり、還元鉄の溶着が起こる。
このような知見から、本発明者らは、還元鉄の他の還元鉄との接触位置が動く状態で、3つ以上の還元鉄が相互に接触して閉路を形成する状態にすれば、還元鉄の溶着を起こさずに、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度よりも高い温度に還元鉄を加熱することができるという技術的思想に想到した。
図4(a)は、還元鉄群の一例を概念的に示す図である。図4(a)に示す両矢印線は、還元鉄が動くことを表している。
図4(b)、図4(c)は、還元鉄群401を構成する1つの還元鉄401aの金属化前・金属化後の様子の一例を概念的に示す図である。
回転炉床炉で製造された還元鉄401aでは、表面側は金属化率が高い還元部403になっているのに対し、中心側は金属化率が低い未還元部404になっている(図4(b)を参照)。本発明者らの知見によると、還元部403の金属化率は90[%]程度であるのに対し、未還元部404の金属化率は30〜40[%]程度である。
一方、大きさが大きすぎる還元鉄では、前述したように渦電流の浸透深さδが大きくなってもその内部に渦電流が流れるため、単独で存在していても(前述した閉路が形成されていなくても)、誘導加熱によって、還元反応が起こる温度にまで加熱することができる。
以上の観点から、以下に示す実施形態では、金属化率を向上させる対象(誘導加熱の対象)となる還元鉄の直径の範囲を5[mm]〜100[mm]とする。ここで、還元鉄の直径とは、還元鉄の重心を介して相互に対向する還元鉄の表面の2点間の距離の最大値をいう。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明の一実施形態に想到した。以下に、本発明の一実施形態を説明する。尚、各図において、x、y、z座標は、各図の方向の対応関係を表すものであり、x、y、z座標の原点は各図に示す位置に限定されない。
図5は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の一例を示す図である。図5(a)は、還元鉄の誘導加熱装置500を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図である。図5(b)は、還元鉄の誘導加熱装置500を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図である。
収容部501の内部には、還元鉄が収容される。
本実施形態の収容部501について以下に説明する。
収容部501の形状は、中空円筒状である。また、収容部501の内壁面には断熱材が取り付けられている。収容部501の開口部分の一端部501aから、回転炉床炉で製造された還元鉄が、収容部501の内部に搬送され、収容部501の開口部分の他端部501bから、誘導加熱されて金属化率が高められた還元鉄が、圧縮成形機に搬送される。圧縮成形機により、HBI(Hot Briquetted Iron)が製造される。尚、圧縮成形機に搬送される前に、還元鉄に付着した粉末を除去してもよい。
支持部504の内部には、モータ505が設置される。モータ505からの動力が、ギア506を介して回転部503に伝達され、全ての回転部503a〜503cが一方向(同じ方向)に回転する。このようにして回転部503が回転することにより、収容部501もその軸を回転軸として一方向に回転する。以上のように本実施形態では、回転部503、モータ505、及びギア506を用いることにより、収容部501の駆動部が構成される。また、モータ505の回転方向により収容部501の回転方向が定まり、モータ505の回転数により収容部501の回転数(回転速度)が定まる。
まず、収容部501における還元鉄の占積率が小さくなるほど、3つ以上の還元鉄が閉路を形成するように相互に接触しづらくなる。一方、収容部501における還元鉄の占積率が大きくなるほど、還元鉄の他の還元鉄との接触位置が変わらない状態が維持されやすくなる。また、収容部501における還元鉄の占積率が大きくなると、モータ505等の駆動部の能力によっては、収容部501を回転させることができなくなることがある。
本実施形態では、以上のような観点から、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態になるように、収容部501における還元鉄の占積率の範囲(上下限)と、収容部501の回転速度の範囲(上下限)とが適宜決定される。
ここでは、以下のようにして還元鉄の誘導加熱装置500を構成し動作させた。
還元鉄が収容される領域の軸方向の長さL1=300[mm]
コイル502が巻き回される領域の軸方向の長さL2=250[mm]
コイル502の巻き数=8[Turn]
コイル502に与える電力=6kW[W]、26.5[kHz]
収容部501の内径D=100[mm]
収容部501における還元鉄の占積率=100[%]
還元鉄の直径=10[mm]〜30[mm]
モータ505の回転数=6[rpm]
加熱時間=30[min]
収容部501に収容した加熱前の還元鉄の成分と金属化率を表1に示す。
表1の「T−Fe」、「M−Fe」、「FeO」、「Fe2O3」、「C」は、還元鉄に含まれている成分を表し、これらの欄に示されている数字は、質量%[wt%]を表す。また、「M/T」は、金属化率[%]を表す。また、「ave」は、「M/T」の欄に示されている金属化率の算術平均値[%]である。この「ave」の欄に示されている値と各還元鉄の重量比とによって、加熱前の還元鉄の金属化率が定まる。具体的に、番号1〜4の還元鉄の重量比が41[%]であり、番号5〜10の還元鉄の重量比が59[%]であったので、加熱前の還元鉄の金属化率は約75.5[%](≒0.41×72+0.59×78)となった。
<変形例1>
本実施形態では、コイル502がソレノイドである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、コイル502は、ソレノイドに限定されない。
[変形例1−1]
図6は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の第1の変形例を示す図である。図6(a)は、還元鉄の誘導加熱装置600を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図であり、図5(a)に対応する図である。図6(b)は、還元鉄の誘導加熱装置600を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図であり、図5(b)に対応する図である。
図7は、コイル602a、602bの第1の変形例の構成を示す図(平面図)である。図7(a)は、コイル602a、602bの形状の第1の例を示す図であり、図7(b)は、コイル602a、602bの形状の第2の例を示す図である。
図8は、還元鉄の誘導加熱装置の構成の第2の変形例を示す図である。図8(a)は、還元鉄の誘導加熱装置800を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に直交する水平方向(x軸方向)に沿って見た図であり、図5(a)に対応する図である。図8(b)は、還元鉄の誘導加熱装置800を、還元鉄が搬送される方向(y軸方向)に沿って見た図であり、図5(b)に対応する図である。
図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500では、収容体501の外周面に対してコイル502を配置した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本変形例では、図8に示すように、収容体501の内部に対してコイル802を配置したものである。具体的に、収容体501の軸と略同軸になるように、収容体501の内部に配置された円筒状の巻軸部801に対してコイル802が、巻軸部801と絶縁された状態で巻き回され、ソレノイドとなる。尚、巻軸部801は強磁性体で構成するのが好ましい。また、コイル802は、還元鉄との接触による損傷が生じないように、その表面に、絶縁被覆が施されている。本変形例の還元鉄の誘導加熱装置800のその他の構成は、図5に示した還元鉄の誘導加熱装置500と同じである。
図9〜図12は、それぞれ、図5、図7(a)、図7(b)、図8に示すコイルを用いた場合に還元鉄の誘導加熱装置に発生する磁界の分布の解析結果を示す図である。具体的に説明すると、図9は、図5(b)のA−A方向から見たときの磁界の分布を表す。図10(a)、図11(a)は、図6(a)のA−A方向から見たときの磁界の分布を表し、図10(b)、図11(b)は、図6(b)のB−B方向から見たときの磁界の分布を表す。図12は、鵜8(b)のB−B方向から見たときの磁界の分布を表す。
ここでは、コイル以外の条件を同じ条件にして電磁場解析を行った。
本実施形態では、収容体501を360°同じ方向に回転させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、3つ以上の還元鉄が相互に接触することにより当該3つ以上の還元鉄による閉路が形成され、且つ、当該3つ以上の還元鉄のそれぞれの他の還元鉄との接触位置が動く状態にしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、収容体501を回動させる角度を360°未満にしてもよいし、回転・回動する方向を時間の経過とともに変えてもよい。また、収容体501を揺動させてもよい。さらに、収容体501が、その内部に、収容体501の軸と同軸で回転するスクリュー状の撹拌棒を有し、収容体501の本体を動かさずに、当該撹拌棒をモータにより回転(駆動)させるようにしてもよい。
本実施形態では、回転炉床炉で製造された還元鉄を誘導加熱し、誘導加熱した還元鉄を圧縮成形機により圧縮成型してHBIを製造する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、前述した条件の還元鉄を加熱対象にしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。
402 渦電流
403 還元部
404 未還元部
500、600、800 還元鉄の誘導加熱装置
501 収容部
502、602、802 コイル
503 回転部
504 支持部
505 モータ
506 ギア
Claims (4)
- 還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱方法であって、
複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルに交流電力を与えることにより、前記収容部の内部に収容された複数の還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成される状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容部の内部における位置を変えるようにしたことを特徴とする還元鉄の誘導加熱方法。 - 前記還元鉄の直径は、5[mm]〜100[mm]の範囲内であり、
前記誘導加熱される前の前記還元鉄の金属化率は、40[%]以上であることを特徴とする請求項1に記載の還元鉄の誘導加熱方法。 - 還元鉄を誘導加熱する還元鉄の誘導加熱装置であって、
複数の前記還元鉄を内部に収容する収容部と、
前記収容部の外周面及び内部の少なくとも何れか一方に対して配置されたコイルと、
前記複数の還元鉄の前記収容部の内部における位置を変えるために前記収容部を駆動する駆動部と、を有し、
前記コイルに交流電力を与えることにより、当該還元鉄を誘導加熱するに際し、接触位置が動く状態で3つ以上の前記還元鉄が相互に接触して閉路が形成される状態になるように、前記収容部に収容された前記複数の還元鉄の前記収容部の内部における位置を、前記駆動部が前記収容部を駆動することにより変えることを特徴とする還元鉄の誘導加熱装置。 - 前記還元鉄の直径は、5[mm]〜100[mm]の範囲内であり、
前記誘導加熱される前の前記還元鉄の金属化率は、40[%]以上であることを特徴とする請求項3に記載の還元鉄の誘導加熱装置。
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