JP6067320B2 - コンクリート製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート製品の遠心成形による製造方法であって、スラッジ水に含有される固形分量を低減できると共に、内面状態のよいコンクリート製品を提供できる方法に関する。
コンクリートパイル、ポール、ライニング管及びヒューム管等のコンクリート製品は、遠心力を利用して製造されている。この遠心成形の工程により、コンクリートの原材料組成物中、比重の大きい成分は外側に、そして比重の小さい成分は内側に偏在するようになる。そして、遠心成形工程では、比重の小さい成分の代表例である水にセメントや砂微粒子成分等の混じった水分散液(以下、「スラッジ水」という)が、成形品から分離して排出される。
遠心成形工程において、セメントや砂微粒子成分等の排出量が多いと、遠心成形後のコンクリート製品の内表面に、軟らかい層が形成されやすい。また、スラッジ水は、その中に含有されている固形分が沈澱等の方法によって回収された後、上澄み液は中和処理に供されている。この固形分の回収には、長い時間と多大な費用とを要する。したがって、遠心成形工程において排出されるセメントや砂微粒子成分等の量を低減させる方法の開発が続けられてきた。
特許文献1には、遠心成形中のコンクリート内面に凝集剤を投入する方法が開示されている。特許文献1に開示されている凝集剤は、ソジウムジオクチルスルフォサクシネート系のもののみである。
特許文献2には、遠心成形時に生ずるノロ(=スラッジ水)中の固形分をコンクリート内面に凝結せしめるために用いられる凝結促進剤として、種々の化合物が開示されている。特許文献2には、このような凝結促進剤を、非イオン又は陰イオン界面活性剤と併用することにより、ノロ中の固形分含有割合が低下し、内面のコテ仕上げが容易になった旨の記載がある。その実施例によると、有機系凝結促進剤のみを使用し、上記界面活性剤を使用しなかった場合には、コテ仕上げが必ずしも容易ではなかったことが分かる。また、特許文献2の実施例には、無機系凝結促進剤を使用した例はない。
特許文献3には、スラッジ水の発生量を低減させることに有用なスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び凝結調節剤を含有してなるセメント混和剤、セメントと、このようなセメント混和剤とを含むセメント組成物、及びこのようなセメント組成物を用いる遠心力成形製品の製造方法が開示されている。特許文献3に開示されたセメント混和剤は、セメントと共に使用するもの、換言すれば、セメント組成物の調製に使用されるものである。
特開昭51−68621 特開昭56−160358 特開2007−191334
上記のように、スラッジ水に含有される固形分量を低減する方法は提案されている。しかしながら、さらに優れたスラッジ水に含有される固形分量の低減方法であって、内面状態の良好な遠心成形コンクリート製品を提供できる方法の開発が求められている。
本発明者らは、遠心成形によるコンクリート製品の製造方法であって、スラッジ水に含有される固形分量を低減できると共に、優れた内面仕上がり状態のコンクリート製品を提供できる方法について、鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、遠心成形によるコンクリート製品の製造方法であって、中速遠心成形工程中であって、当該工程の目標回転速度に到達したとき以降に、炭酸カリウムを含有する水性液体を、遠心成形中のコンクリート内面に投入することを特徴とするコンクリート製品の製造方法に関する。炭酸カリウムを含有する水性液体の投入時期は、中速遠心成形工程中であって、中速遠心成形工程の目標回転速度に到達したときと中速遠心成形工程終了時との中間の時点以降であることが好ましく、中速遠心成形工程終了間際であることがさらに好ましい。
炭酸カリウムを含有する水性液体の投入量は、炭酸カリウムの質量が、投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積当たりの量で表して、5乃至1,000g/mとなる量であることが好ましい。
本発明においては、凝集促進剤も使用することが好ましい。凝集促進剤の投入は、例えば、炭酸カリウムを含有する水性液体に代わって炭酸カリウムと凝集促進剤とを含有する水性液体を使用するか、又は、炭酸カリウムを含有する水性液体の投入の前もしくは後にあるいは炭酸カリウムを含有する水性液体の投入と同時に、凝集促進剤を含有する水性液体を遠心成形中のコンクリート内面に投入することによる。凝集促進剤の、その質量で表した投入量は、投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積当たりの量で表して、0.1乃至20g/mであることが好ましい。
コンクリート製品の製造に使用するコンクリート組成物は、スルホコハク酸(エステル)塩を含有しないものであってもよい。
本発明の方法によってコンクリート製品を製造すると、スラッジ水に含有される固形分の量が少なくなり、且つ、製造されるコンクリート製品は、締まりがよい良好な内面状態のものとなる。コンクリート内面に投入する混和剤として、炭酸カリウムのみならず、凝集促進剤をも併用した場合には、スラッジ水に含有される固形分の量はさらに低減され、且つ、コンクリート製品の内面の仕上がり状態(締まり)は、さらに優れたものとなる。
本発明の方法では、スラッジ水に含有される固形分の量が少ないため、スラッジ水中の固形分の回収に要する時間が短縮されると共に、スラッジ水の処理に要する費用を低減できる。
本発明は、遠心成形によるコンクリート製品の製造方法である。遠心成形によって製造されるコンクリート製品の例としては、コンクリートパイル、ポール、ライニング管、ヒューム管等が挙げられる。
本発明の方法は、その製造方法が遠心成形法である限り、コンクリートの種類や組成にかかわらず、適用可能である。したがって、コンクリートを構成するセメントに関しては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、マグネシアセメント等の、いずれのセメントが使用されてもよい。また、型枠に投入、即ち、打設されるコンクリート組成物には、細骨材、粗骨材、そして膨張材、超微粉末、結合材等の各種混和材が適宜使用されるが、これらについても、特に制限はない。
コンクリート組成物には、各種混和剤も使用される。混和剤の例としては、陰イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤等のAE剤、リグニンスルホン酸系化合物、オキシカルボン酸系化合物、ポリオール系化合物等の減水剤やAE減水剤、ポリカルボン酸系化合物、ナフタリン系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン酸系化合物等の高性能減水剤、ポリカルボン酸系化合物、ナフタリン系化合物、メラミン系化合物、ポリスチレン系化合物等の流動化剤、各種高分子化合物からなる分離低減剤、硬化調節剤及び凝集調節剤等が挙げられる。本発明の方法で製造される遠心成形コンクリート製品の製造に際し、コンクリート組成物にこれらの混和剤を添加することは、原則として制限されない。しかし、硬化促進剤である炭酸カリウムは、遠心成形工程でコンクリートの内面に投入されるので、コンクリート組成物は硬化促進剤を含有しないものであってもよい。また、凝集促進剤についても、炭酸カリウムと同時に又はそれとは別途に、遠心成形工程でコンクリートの内面に投入する場合には、コンクリート組成物は凝集促進剤を含有しないものであってもよい。
なお、コンクリート組成物用添加剤として、陰イオン界面活性剤であるスルホコハク酸塩やスルホコハク酸エステル塩(以下、「スルホコハク酸(エステル)塩」と記載する)も使用され得るが、本発明の製造方法の適用に際し、使用するコンクリート組成物は、スルホコハク酸(エステル)塩を含まないものであってよい。スルホコハク酸(エステル)塩の例としては、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウム等が挙げられる。
遠心成形によるコンクリート製品の製造条件は、製品の種類や大きさにより、種々様々であるが、例えば、次のようにしてコンクリート製品を製造する。先ず、所望のスランプ及び空気量となるような処方で原材料を練混ぜ、コンクリート組成物を調製する。そのコンクリート組成物を横置きした遠心成形用型枠に投入し、低速、中速及び高速の順に回転速度を上げながら、成形を行う。ここで、低速遠心成形工程は、回転を開始したときから、低速工程の目標回転速度に到達してそれ以上の加速は行わずに(換言すれば、目標回転速度を保持して)回転を行っている状態の終了まで(換言すれば、中速遠心成形工程の直前まで)をいい、中速遠心成形工程は、加速を再開したときから、中速工程の目標回転速度に到達してそれ以上の加速は行わずに(換言すれば、目標回転速度を保持して)回転を行っている状態の終了まで(換言すれば、高速遠心成形工程の直前まで)をいい、高速遠心成形工程は、加速を再開したときから、高速工程の目標回転速度に到達してそれ以上の加速は行わずに(換言すれば、目標回転速度を保持して)回転を行う工程を経て、速度を落として回転停止までを、または高速遠心成形工程が最終の場合には、所定の低い速度に到達して、その後の仕上げ工程を開始する直前までをいう。仕上げ工程では、スラッジ水の排水やセメント系材料の散布が行われる。
各成形工程の目標回転速度は、製品の種類やコンクリート組成物の打設量等に応じて決定され、様々である。一般的には、低速遠心成形工程の目標回転速度は5乃至10G(重力加速度)であり、中速遠心成形工程の目標回転速度は10乃至20G(重力加速度)であり、高速遠心成形工程の目標回転速度は20乃至50G(重力加速度)である。また、低速遠心成形工程の所要時間は、製品の種類やコンクリート組成物の打設量等に応じて決定され、様々であり、中速遠心成形工程の所要時間は、一般的には1乃至10分間程度であり、高速遠心成形工程の所要時間は、一般的には5乃至60分間程度である。
本発明では、中速遠心成形工程において、回転速度がこの工程の目標値に到達したときから中速遠心成形工程の終了までの間に、遠心成形中のコンクリートの内面に、炭酸カリウムを含有する水性液体を投入する。炭酸カリウムを含有する水性液体の投入時期は、中速遠心成形工程中であって、この工程の目標回転速度に到達したときと中速遠心成形工程終了時との中間の時点以降であることが好ましく、中速遠心成形工程終了間際であることがさらに好ましい。投入方法は、例えば、水性液体の噴霧、型枠の両端からの柄杓による水性液体の投入(散布)等である。
「炭酸カリウムを含有する水性液体」において、「水性液体」とは、水溶液、水分散液、溶媒が水及び水と混和する液体である溶液、分散媒が水及び水と混和する液体である分散液をいう。炭酸カリウムは、水に対する溶解度が大きいので、通常は、その水溶液を使用する。水溶液等の溶液を使用することは、コンクリート内面への炭酸カリウムの均一散布の観点からも好ましい。水性液体中の炭酸カリウムの濃度は特に限定されないが、コンクリート内面への水性液体の投入の作業性を考慮し、例えば、投入作業を行い易い粘度や液体量となる濃度を選択することが好ましい。
炭酸カリウムを含有する水性液体の投入量は、型枠に投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積当たりの炭酸カリウムの質量に換算して、5乃至1,000g/mであることが好ましく、20乃至500g/mであることがさらに好ましい。
本発明では、中速遠心成形工程中であって、その工程の目標回転速度に到達したとき以降に、遠心成形途中のコンクリートの内面に、凝集促進剤をも投入することが好ましい。凝集促進剤の例としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム等のアルミニウム系凝集促進剤、塩化第二鉄、ポリ塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄等の鉄系凝集促進剤、並びに陽イオン性、陰イオン性及び非イオン性の有機高分子凝集剤が挙げられる。凝集促進剤として、アルミニウム系凝集促進剤や鉄系凝集促進剤等の無機凝集促進剤の使用が好ましく、アルミニウム系凝集促進剤の使用が特に好ましい。
凝集促進剤の投入は、例えば、炭酸カリウムと凝集促進剤とを含有する水性液体を使用するか、あるいは、炭酸カリウムを含有する水性液体の投入の前もしくは後、又は炭酸カリウムを含有する水性液体の投入と同時に、凝集促進剤を含有する水性液体を遠心成形中のコンクリート内面に投入することによる。なお、「水性液体」の定義は、「炭酸カリウムを含有する水性液体」の場合と同様である。また、凝集促進剤が適切な濃度で水に溶解するものである場合には、その水溶液を使用することが好ましい。凝集促進剤が水に溶解し難いものである場合には、凝集促進剤を溶解し、水と混和する有機溶媒を使用することも好ましい。
水性液体中の凝集促進剤の濃度は特に限定されないが、コンクリート内面への水性液体の投入の作業性を考慮し、例えば、投入作業を行い易い粘度や液体量となる濃度を選択することが好ましい。また、炭酸カリウムの水性液体とは別途に凝集促進剤の水性液体を投入する場合には、その投入方法は、例えば、水性液体の噴霧、型枠の両端からの柄杓による水性液体の投入(散布)等である。
凝集促進剤の投入量も、投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積1m当たりの質量(g)で表す。本発明では、凝集促進剤の投入量は、0.1乃至20g/mであることが好ましく、0.2乃至10g/mであることがさらに好ましく、0.3乃至5.0g/mであることが特に好ましい。なお、ポリ塩化アルミニウムについては、Al換算で10乃至11%が含有されている液状品を、有効成分100%として取り扱う(JIS K1475)。
遠心成形によるコンクリート製品の製造に際し、打設、すなわち遠心成形用型枠へのコンクリート組成物の投入は、1回とは限らない。コンクリート組成物の投入は、2回以上の複数回に分けて行われることもある。コンクリート製品の直径が大きい場合には、通常は2乃至3回に分けて、コンクリート組成物が型枠に投入される。
コンクリート組成物の投入が複数回に分けて行われる場合、その投入毎に、低速、中速及び高速での遠心成形が行われる。すなわち、1回目のコンクリート組成物の投入の後に、低速遠心成形工程、中速遠心成形工程及び高速遠心成形工程が実施され、回転が停止されてスラッジ水の排出が行われる。次いで、2回目のコンクリート組成物の投入が行われ、その後、2回目の遠心成形が、1回目とほぼ同様に行われる。コンクリート組成物の投入が複数回に分けて行われる場合、高速遠心成形工程は、最終回を除き、回転の停止によって終了し、最終回については、所定の低い速度となり、仕上げ工程が開始される直前で終了する。仕上げ工程では、スラッジ水の排水と、セメント系材料の散布等が行われる。
コンクリート組成物の投入、即ち打設が複数回に分けて行われる場合には、炭酸カリウムを含有する水性液体、炭酸カリウムと凝集促進剤とを含有する水性液体、又は、炭酸カリウムを含有する水性液体及び凝集促進剤を含有する水性液体は、打設毎に、中速遠心成形工程において投入される。また、先に示した炭酸カリウムや凝集促進剤の質量(g)は、1回毎の打設における使用量を示している。なお、複数回の打設が実施される場合、投入されたコンクリートによって成形される管の内表面の面積は、毎回変わる。1回目よりは2回目、2回目よりは3回目の方が、管の内表面の面積は小さくなる。
遠心成形工程及び仕上げ工程が終了した後、コンクリート管は、通常の条件にて養生に供される。
以下に、実施例により、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
以下の条件で遠心成形を行い、スラッジ水の発生量とその固形分量を測定し、また、内面仕上がり状態を観察した。
(1)使用材料
セメント(記号:C):市販のポルトランドセメント、密度=3.15g/cm
水(記号:W):上水道水
細骨材(記号:S):大井川旧河川砂、密度=2.58g/cm
粗骨材(記号:G):青梅産砕石1505、密度=2.65g/cm
混和剤(記号:AD):市販のポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名:スーパー300CF、液状、有効成分=18.8質量%、グレースケミカルズ社製)
硬化促進剤:工業用炭酸カリウム(粉体、有効成分=100%、旭硝子社製)
(2)硬化促進剤水溶液の調製
硬化促進剤を上水道水に溶解させた。その濃度は、各試験において、表2に示す噴霧質量を達成するために遠心成形途中のコンクリートに噴霧添加する硬化促進剤水溶液の量が同じになるように、試験毎に変化させた。なお、対照例(試験No.1)用には、硬化促進剤水溶液の代わりに上水道水を用意した。
(3)練混ぜによるコンクリート組成物の調製
上記の材料を用い、表1に示す配合により、強制二軸ミキサを使用して、コンクリート量30リットルで練混ぜを行った。なお、混和剤(AD)の使用量は、目標スランプ8±2.5cmが得られるようにその量を調整したものであり、表1に示した値は有姿での量である。練混ぜ後、スランプ及び空気量を測定し、その結果を表2に示した。コンクリート組成物の温度は21乃至22℃であった。
Figure 0006067320
(4)コンクリートの遠心成形及び硬化促進剤の添加
遠心成形用型枠(内径20cm×長さ16cm)に必要量(8.5kg)の練混ぜられたコンクリート組成物を投入し(成形される管の内表面積:502cm)、低速(目標回転速度:5G)2分間、中速(目標回転速度:15G)2分間及び高速(目標回転速度:30G)10分間の条件で遠心成形を行った。但し、中速遠心成形工程の終了間際(高速遠心成形工程の開始直前)に、コンクリートの内面に、所定量(硬化促進剤の量が表2に示す質量となる量)の硬化促進剤水溶液を噴霧した。各試験において、硬化促進剤水溶液の噴霧量は同一であり、対照例(試験No.1)では、同量の上水道水を噴霧した。なお、遠心成形管は、各々のコンクリート配合につき、3本ずつ作製した。
(5)スラッジ水の回収及び測定と、遠心成形後のコンクリート内面の評価
遠心成形終了後、遠心成形用型枠よりスラッジ水を採取し、スラッジ水の発生量と、固形分量を測定した。なお、固形分量は、JIS A5308付属書Cに準じ、110℃で恒量となるまで乾燥を行って測定した。表2に、コンクリート1mあたりに換算したスラッジ水発生量(kg)、スラッジ水発生率(%)、スラッジ水中の固形分量(kg)、スラッジ水の固形分率(%)及びスラッジ水の固形分率の相対値(%)を示す。なお、表2に示した数値は、各試験において、3回(3本の遠心成形管作製時)の平均値である。また、相対値は、硬化促進剤を使用しなかった対照例(試験No.1)のスラッジ水の固形分率を100%としたときの値である。
遠心成形後のコンクリート管について、それらの内面の仕上がり状態を目視観察し、その結果も表2に示した。表2から明らかなように、ポリカルボン酸系高性能減水剤を含有するコンクリート組成物を使用し、本発明の方法でコンクリート管を製造すると、スラッジ水に含まれる固形分の量は少なく、且つ、成形された管の内面は、良好な締まり状況を示した。
Figure 0006067320
(実施例2)
以下の条件で遠心成形を行い、スラッジ水の発生量とその固形分量を測定し、また、内面仕上がり状態を観察した。
(1)使用材料
セメント(記号:C):市販のポルトランドセメント、密度=3.15g/cm
水(記号:W):上水道水
細骨材(記号:S):大井川旧河川砂、密度=2.61g/cm
粗骨材(記号:G):青梅産砕石1505、密度=2.63g/cm
混和剤(記号:AD):市販のポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名:スーパー300CF、液状、有効成分=18.8質量%、グレースケミカルズ社製)
硬化促進剤:工業用炭酸カリウム(粉体、有効成分=100%、旭硝子社製)
凝集促進剤:工業用ポリ塩化アルミニウム(PAC)、液状、有効成分=100%、酸化アルミニウム換算で10.2%含有、大明化学工業社製
凝集促進剤:工業用硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、粉体、有効成分=56質量%、大明化学工業社製
(2)硬化促進剤と凝集促進剤とを含有する水溶液の調製
硬化促進剤及び凝集促進剤を上水道水に溶解させた。その濃度は、各試験において、表4に示す噴霧質量を達成するために遠心成形途中のコンクリートに噴霧添加する硬化促進剤と凝集促進剤とを含有する水溶液の量が同じになるように、試験毎に変化させた。なお、対照例(試験No.1)用には、上水道水を用意した。表4において、PACは、有効成分が100%であるから有姿での量(=有効成分量)が、硫酸バンドは、有効成分としての量が記載されている。
(3)練混ぜによるコンクリート組成物の調製
上記の材料を用い、表3に示す配合により、強制二軸ミキサを使用して、コンクリート量30リットルで練混ぜを行った。なお、混和剤(AD)の使用量は、目標スランプ8±2.5cmが得られるようにその量を調整したものであり、表3に示した値は有姿での量である。練混ぜ後、スランプ及び空気量を測定し、その結果を表4に示した。コンクリート組成物の温度は21乃至22℃であった。
Figure 0006067320
(4)コンクリートの遠心成形と、硬化促進剤及び凝集促進剤の添加
遠心成形用型枠(内径20cm×長さ16cm)に必要量(8.5kg)の練混ぜられたコンクリート組成物を投入し(成形される管の内表面積:502cm)、低速(目標回転速度:5G)2分間、中速(目標回転速度:15G)2分間及び高速(目標回転速度:30G)10分間の条件で遠心成形を行った。但し、中速遠心成形工程の終了間際(高速遠心成形工程の開始直前)に、コンクリートの内面に、所定量(硬化促進剤及び凝集促進剤の量が表4に示す質量となる量)の硬化促進剤と凝集促進剤とを含む水溶液を噴霧した。各試験において、水溶液の噴霧量は同一であり、対照例(試験No.1)では、同量の上水道水を噴霧した。なお、遠心成形管は、各々のコンクリート配合につき、3本ずつ作製した。
(5)スラッジ水の回収及び測定と、遠心成形後のコンクリート内面の評価
遠心成形終了後、遠心成形用型枠よりスラッジ水を採取し、スラッジ水の発生量と、固形分量を測定した。なお、固形分量は、JIS A5308付属書Cに準じ、110℃で恒量となるまで乾燥を行って測定した。表4に、コンクリート1mあたりに換算したスラッジ水発生量(kg)、スラッジ水発生率(%)、スラッジ水中の固形分量(kg)、スラッジ水の固形分率(%)及びスラッジ水の固形分率の相対値(%)を示す。なお、表4に示した数値は、各試験において、3回(3本の遠心成形管作製時)の平均値である。また、相対値は、対照例(試験No.1)のスラッジ水の固形分率を100%としたときの値である。
遠心成形後のコンクリートについて、それらの内面の仕上がり状態を目視観察し、その結果も表4に示した。表4から明らかなように、硬化促進剤である炭酸カリウムと凝集促進剤とを併用してそれらをコンクリート内面に投入すると、スラッジ水に含まれる固形分の量はさらに少なくなり、且つ、成形された管の内面は、さらに良好な締まり状態となった。
Figure 0006067320
(実施例3)
以下の条件で遠心成形を行い、スラッジ水の発生量とその固形分量を測定し、また、内面仕上がり状態を観察した。
(1)使用材料
セメント(記号:C):市販のポルトランドセメント、密度=3.15g/cm
水(記号:W):上水道水
細骨材(記号:S):大井川旧河川砂、密度=2.58g/cm
粗骨材(記号:G):青梅産砕石1505、密度=2.62g/cm
混和剤(記号:AD):市販のナフタリン系高性能減水剤(商品名:デンカFT−500、液状、有効成分=41.5質量%、電気化学工業社製)
硬化促進剤:工業用炭酸カリウム(粉体、有効成分=100%、旭硝子社製)
凝集促進剤:工業用ポリ塩化アルミニウム(PAC)、液状、有効成分=100%、酸化アルミニウム換算で10.2%含有、大明化学工業社製
(2)硬化促進剤と凝集促進剤とを含有する水溶液の調製
硬化促進剤及び凝集促進剤を上水道水に溶解させた。それらの濃度は、表6に示す噴霧質量を達成するために適切な濃度であった。なお、対照例用には、上水道水を用意した。表6において、凝集促進剤(PAC)は、有姿での量(=有効成分量)が記載されている。
(3)練混ぜによるコンクリート組成物の調製
上記の材料を用い、表5に示す各々の配合により、強制二軸ミキサを使用して、コンクリート量30リットルで練混ぜを行った。なお、混和剤(AD)を含有するコンクリートでは、混和剤の使用量は、目標スランプ8±1.5cmが得られるようにその量を調整したものであり、表5に示した値は有姿での量である。練混ぜ後、スランプ及び空気量を測定し、その結果を表6に示した。コンクリート組成物の温度は21乃至22℃であった。
Figure 0006067320
(4)コンクリートの遠心成形と、硬化促進剤及び凝集促進剤の添加
遠心成形用型枠(内径20cm×長さ16cm)に必要量(8.5kg)の練混ぜられたコンクリート組成物を投入し(成形される管の内表面積:502cm)、低速(目標回転速度:5G)2分間、中速(目標回転速度:15G)2分間及び高速(目標回転速度:30G)10分間の条件で遠心成形を行った。但し、中速遠心成形工程の終了間際(高速遠心成形工程の開始直前)に、コンクリートの内面に、所定量(硬化促進剤及び凝集促進剤の量が表6に示す質量となる量)の硬化促進剤と凝集促進剤とを含む水溶液を噴霧した。各試験において、水溶液の噴霧量は同一であり、対照例(試験Nos.1&3)では、同量の上水道水を噴霧した。なお、遠心成形管は、各々のコンクリート配合につき、3本ずつ作製した。
(5)スラッジ水の回収及び測定と、遠心成形後のコンクリート内面の評価
遠心成形終了後、遠心成形用型枠よりスラッジ水を採取し、スラッジ水の発生量と、固形分量を測定した。なお、固形分量は、JIS A5308付属書Cに準じ、110℃で恒量となるまで乾燥を行って測定した。表6に、コンクリート1mあたりに換算したスラッジ水発生量(kg)、スラッジ水発生率(%)、スラッジ水中の固形分量(kg)、スラッジ水の固形分率(%)及びスラッジ水の固形分率の相対値(%)を示す。なお、表6に示した数値は、各試験において、3回(3本の遠心成形管作製時)の平均値である。また、相対値は、対照例(試験No.1又は試験No.3)のスラッジ水の固形分率を100%としたときの値である。
遠心成形後のコンクリートについて、それらの内面の仕上がり状態を目視観察し、その結果も表6に示した。表6から明らかなように、本発明の方法でコンクリート管を製造すると、使用する組成物がプレーン・コンクリート用組成物である場合も、ナフタリン系高性能減水剤を含有する組成物である場合も、スラッジ水に含まれる固形分の量は非常に少なく、且つ、成形された管の内面の締まり状況は、非常に良好となった。
Figure 0006067320
(実施例4)
遠心成形工場において、以下の条件で遠心成形を行い、スラッジ水の発生量とその固形分量を測定し、また、製品強度を測定し、内面仕上がり状態を観察した。
(1)使用材料
セメント(記号:C):市販のポルトランドセメント、密度=3.15g/cm
水(記号:W):上水道水
細骨材(記号:S):大井川旧河川砂、密度=2.58g/cm
粗骨材(記号:G):青梅産砕石1505、密度=2.62g/cm
膨張材:デンカCSA#20,電気化学工業社製
混和剤(記号:AD):市販のポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名:スーパー300CF、液状、有効成分=18.8質量%、グレースケミカルズ社製)
硬化促進剤:工業用炭酸カリウム(粉体、有効成分=100%、旭硝子社製)
凝集促進剤:工業用ポリ塩化アルミニウム(PAC)、液状、有効成分=100%、酸化アルミニウム換算で10.2%含有、大明化学工業社製
(2)硬化促進剤と凝集促進剤とを含有する水溶液の調製
先ず、工業用炭酸カリウムの22.5%水溶液を調製した。その水溶液を使用して、凝集促進剤(PAC)を希釈した。PACの濃度は、0.125%とした。
(3)練混ぜによるコンクリート組成物の調製
上記の材料を用い、表7に示す配合により練混ぜを行って、コンクリート組成物を調製した。なお、混和剤(AD)の使用量は、目標スランプ8±2cmが得られるようにその量を調整したものであり、表7に示した値は有姿での量である。練混ぜ後、スランプ及び空気量を測定し、その結果を表8に示した。コンクリート組成物の温度は約25℃であった。
Figure 0006067320
(4)コンクリートの遠心成形と、硬化促進剤及び凝集促進剤の添加、スラッジ水の回収
外圧管B形I種(内径900mm×長さ2430mm;公称内面積=6.87m)用型枠に、必要量(約1,000kg)の練混ぜられたコンクリート組成物を投入し、低速(目標回転速度:5G)2分間、中速(目標回転速度:15G)3分間及び高速(目標回転速度:30G)21分間の条件で遠心成形を行い、一層目を成形した。成形された管(一層目のみ)の内表面積は、約7.3mであった。但し、中速遠心成形工程の終了間際(高速遠心成形工程の開始直前)に、コンクリートの内面に、所定量(一層目のみの管の内表面積1mあたり800g)の硬化促進剤と凝集促進剤とを含む水溶液を噴霧した。対照例(試験No.1)では、同量の上水道水を噴霧した。高速遠心成形工程終了後(即ち、回転停止後)、スラッジ水(以下、「スラッジ水1」という)を排出させ、それを採取した。次いで、再度、必要量(約650kg)のコンクリート組成物を投入し、一層目と同様の条件で遠心成形と硬化促進剤及び凝集促進剤の添加とを行い、二層目を成形した。成形された管(二層目まで)の内表面積は、約6.87mであった。本実施例では、測定用スラッジ水を採取するため、二層目(最終回)の高速遠心成形工程後に低速での回転を継続しつつスラッジ水を排出させるのではなく、一層目の成形の場合と同様に、回転を停止させてスラッジ水(以下、「スラッジ水2」という)を排出させ、それを採取した。
(5)スラッジ水の測定
スラッジ水1とスラッジ水2とを同量ずつ秤取って混合した。混合後のスラッジ水の固形分量を、JIS A5308付属書Cに準じ、110℃で恒量となるまで乾燥を行って測定した。表8に、スラッジ水の固形分率(%)及びスラッジ水の固形分率の相対値(%)を示す。相対値は、対照例(試験No.1)のスラッジ水の固形分率を100%としたときの値である。
(6)コンクリート管の養生と、製品強度の測定及び内面の観察
成形されたコンクリート管を、通常の条件にて、蒸気養生に供した(養生時間:5〜6時間)。常温常圧下に2週間放置した後、JIS A5363(プレキャストコンクリート製品−性能試験方法通則)に従い、製品の曲げ強度試験を行った。その試験結果は、JIS A5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に従って評価した。また、内面の仕上がり状態を目視観察した。
結果を表8に示した。表8から明らかなように、本発明の方法でコンクリート管を製造すると、スラッジ水に含まれる固形分の量は非常に少なく、且つ、成形された管の内面の状態は非常に良好であった。また、製造された製品の強度は、規定に適合するものであった。
Figure 0006067320
(実施例5)
硬化促進剤として、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム又は工業用炭酸カリウムを表9に記載の量で使用し、且つ、凝集促進剤である工業用ポリ塩化アルミニウム(PAC)の使用量を表9に記載の量に変更した以外は、実施例2と同様の条件にて遠心成形を行い、スラッジ水の発生量とその固形分量を測定し、また、内面仕上がり状態を観察した。なお、対照例(試験No.1)では、硬化促進剤及び凝集促進剤を含有する水溶液の代わりに、同量の上水道水を噴霧した。結果を表9に示す。
表9から明らかなように、炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムを使用した場合には、スラッジ水中の固形分量は低減されなかった。
Figure 0006067320

Claims (7)

  1. 遠心成形によるコンクリート製品の製造方法であって、型枠に投入されたコンクリート組成物の中速遠心成形工程中であって、当該工程の目標回転速度に到達したとき以降に、炭酸カリウムを含有する水性液体を、遠心成形中のコンクリート内面に投入することを特徴とし、ここで、炭酸カリウムの投入量が、投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積当たりの量で表して5乃至1,000g/m である、コンクリート製品の製造方法。
  2. 炭酸カリウムを含有する水性液体の投入を、中速遠心成形工程中であって、中速遠心成形工程の目標回転速度に到達したときと中速遠心成形工程終了時との中間の時点以降に行う、請求項1に記載のコンクリート製品の製造方法。
  3. 炭酸カリウムを含有する水性液体が、さらに、凝集促進剤を含有する、請求項1又は2に記載のコンクリート製品の製造方法。
  4. 炭酸カリウムを含有する水性液体の投入の前もしくは後、又は当該水性液体の投入と同時に、凝集促進剤を含有する水性液体を投入する、請求項1又は2に記載のコンクリート製品の製造方法。
  5. 凝集促進剤の投入量が、投入されたコンクリート組成物によって成形される管の内表面の面積当たりの量で表して0.1乃至20g/m である、請求項3又は4に記載のコンクリート製品の製造方法。
  6. コンクリート製品の製造に使用するコンクリート組成物がスルホコハク酸(エステル)塩を含有しない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンクリート製品の製造方法。
  7. 投入されたコンクリート組成物が硬化促進剤及び/又は凝集促進剤を含有しない、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンクリート製品の製造方法。
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