JP6070332B2 - 炭素繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維強化複合材料の製造方法及び炭素繊維強化複合材料に関する。
耐摩耗性材料として、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの構造用セラミックスが鉄などの金属材料より優れた耐摩耗性を有する。しかしながら、このようなセラミックス材料は、靱性が低く衝撃に弱い欠点がある。セラミックスの靱性を改善し、耐衝撃性を高める材料として繊維強化セラミックスの開発が進められてきた。
一般的なセラミックスの製造方法である、成形体を焼結する手法では焼結に伴い収縮が起こるが、繊維を複合化した場合、繊維が収縮を妨げるため、緻密化させることが困難であり、割れ等が起こり、健全な焼結体を得ることが困難である。このため、繊維を2次元方向に配向させたホットプレスや繊維のプリフォームにCVIによりセラミックスを浸透させる方法などが開発されてきたが、得られる形状や厚みが制限されてしまい、プロセス自体が高コストであるなどの問題があった。また、繊維には、炭化ケイ素、アルミナなどのセラミックス繊維が用いた場合、繊維自体が高価であるなどの問題があった。
これを解決するためには、安価な繊維を用いて、低コストかつ形状の自由度の高いプロセスで繊維強化複合材料を製造する技術が必要である。炭素繊維は、セラミックス繊維より安価であり、剛性も高く材料の耐衝撃性を高めるために有効である。
また、炭素繊維強化材料として、高い耐摩耗性を得るためには、マトリックスにセラミックスを用いることが有効であり、安価な製造プロセスにより炭素繊維強化セラミックスを得る手法として、反応焼結炭化ケイ素の手法を用いることができる。
このため、炭素繊維とマトリックスとなる炭素からなる成形体にシリコンを溶融含浸させて、炭素とシリコンを反応させることにより、炭化ケイ素を生成させることで、炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を得る手法が特許文献1などで開示されている。
しかし、前記炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を得る手法の技術的課題としては、まず、(1)炭素繊維とシリコンの反応により炭素繊維が脆くなるという問題がある。即ち、高い耐摩耗性と耐衝撃性を得るためには、シリコンを溶融含浸させて、炭素とシリコンを反応させる際、炭素繊維以外のマトリックスとなる炭素分とシリコンを効率良く反応させて炭化ケイ素を生成させることが必要であるが、炭素繊維とシリコンの反応も同時に進むため、繊維が炭化ケイ素となって脆くなり、高い耐衝撃性が得られなくなる等の問題がある。
これに対しては、炭素繊維をグラファイト化された炭素から成る2層以上のシェルにより表面をコーキングすることにより、炭素のケイ素化に際し、シリコンが炭素繊維にまで侵入することを防止する発明の記載がある(特許文献1)。
次に、(2)炭素繊維とマトリックスとなる炭素が均一に分散し、局所的に組成あるいは密度が偏ることなく均質な材料を作成することが必要である。特に、ディスクブレーキのディスクのような大面積で比較的肉厚という特定の形状においては、組成等が不均一になりやすく強度低下を引き起こす原因となる問題がある。
これに対しては、炭化ケイ素粉と炭素繊維と炭素粉にゲル化能を有する有機物を添加し、得られたスラリーをゲルキャスト成型と加圧又は減圧成型を併用し成型体を作成し、その後、焼成とシリコン含浸により均質緻密で高強度の炭素繊維強化シリコン含浸炭化ケイ素セラミックスを製造する発明の記載がある(特許文献2)。
更に、(3)炭素繊維と熱処理により炭化した炭素からなる成形体にシリコンを溶融・含浸する際に、浸透したシリコンが炭素と接触して反応することで、炭化ケイ素の生成が十分に促進されることが重要である。
マトリックスの炭素を効率良くケイ素と反応させるためには、マトリックスの組織を制御することが重要であり、より微細な部分に溶融ケイ素が浸透する構造にすることが必要である。マトリックスの構造を制御する方法としては、マトリックスに粒子を添加して、マトリックスの構造を制御することが有効と考えられる。
例えば、特許文献2の記載では、成型体の作成に用いられる炭化ケイ素粉の粒径は、サブミクロン(平均粒径で0.8μm程度)である。しかしながら、炭化ケイ素粉の粒径がサブミクロンの場合は、マトリックスの炭素中に微細な粒子が点在しているだけの構造となるため、マトリックスの組織を大きく変えることができないため、マトリックスでの炭素とシリコンの反応を制御することは困難である。
特許4226100号公報 特開2010−254541号公報
炭素繊維強化炭化ケイ素系複合材料において、マトリックスとなる炭素とシリコンの反応を制御して、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた材料を得ることは、従来の技術では困難であった。
本発明の目的は、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた炭素繊維強化複合材料の製造方法及び炭素繊維強化複合材料を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 原料となる炭素繊維とマトリックス材料を、混合、成形し、成形体を熱処理した後に、溶融シリコンをマトリックスに含浸させて製造する炭素繊維強化複合材料の製造方法であって、
前記マトリックス材料は、合成樹脂、ピッチ、タールのうちいずれか1種以上と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、および炭化タングステンのうちいずれか1種以上の炭化物粉体と、からなり、
前記炭化物粉体は、平均粒径30〜200μmであり、
前記炭化物粉体を、前記マトリックス材料の合計に対し10〜60体積%とし、前記原料となる炭素繊維と前記マトリックス材料を混合、成形して、成形体を成型する工程と、
前記成形体を500〜2000℃に熱処理する工程と、
前記熱処理により得られた成形体を、更に熱処理することにより、前記成形体に溶融シリコンを含浸させる工程を実施することを特徴とする炭素繊維強化複合材料の製造方法。
(2) 前記炭化物粉体が炭化ケイ素粉体であることを特徴とする(1)に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
(3) 前記原料となる炭素繊維が繊維束を形成しており、繊維長が2〜20mmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
(4) 前記炭素繊維強化複合材料の全体に対し、前記炭素繊維を10〜50体積%含むことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
本発明により、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた炭素繊維強化複合材料の製造方法及び炭素繊維強化複合材料を提供することができる。
本発明者らは、炭素繊維強化複合材料において、マトリックス中に平均粒径30〜200μmの炭化物粉体を添加することにより、マトリックスの組織を微細化し、マトリックス中で炭素とシリコンが反応して炭化珪素が生成する反応が促進され、耐摩耗性および耐衝撃性を改善できることを新たに見出した。
炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維と炭素源となる熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ピッチなどを混合、成形し、炭素繊維と熱処理により炭化した炭素からなる成形体にシリコンを溶融・含浸して作製する。炭素源の樹脂等を炭化する工程でマトリックスとなる炭素に空隙が生じ、この空隙に溶融シリコンが毛細管現象により浸透し、浸透したシリコンが炭素と接触して反応することで、炭化ケイ素を生成する。シリコンと炭素の反応は、両者が接触した部分で起こり、拡散により炭化ケイ素への反応が進んでいく。したがって、マトリックスは少なくとも炭素、シリコン、炭化ケイ素からなり、炭化ケイ素を主体とする。
しかしながら、一般に炭素源の樹脂等を炭化した際に形成される空隙は、100μm〜数百μmの幅を有し、空隙によって分断される炭素部分が数百μmのサイズで存在する組織となる。このような組織の場合、炭素が浸透してきたケイ素と接触して炭化ケイ素を生成する反応は、空隙の周囲に限られ、炭素部分の内部は反応せずに炭素のまま残存してしまう。このような組織の場合、マトリックスでの炭化ケイ素の生成率を高めることが困難であり、耐摩耗性の高い材料を得ることができない。
これを解決する方法として、マトリックスとなる炭素源に平均粒径30〜200μmの炭化物粉体を添加することで、炭化後の組織は微細化し、微細な空隙と微細な炭素部分からなるマトリックスを形成することができることを見出し本発明に至った。炭素源となる熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ピッチなどに平均粒径30〜200μmの炭化物粉体を添加した場合、この粒子を中心として空隙が発生するため、100μm以下の微細な空隙が多数形成され、炭素とシリコンとの反応箇所が増え、空隙で分断される炭素部分のサイズも小さくなり、炭素部分の内部まで炭化ケイ素を生成することができ、耐摩耗性、耐衝撃性を大幅に向上させることが可能となる。
添加する粒子は、平均粒径30〜200μmの粒状の炭化物粒子を用いる。平均粒径が30μmより小さい粒子を添加した場合、添加粒子はマトリックスの炭素部分に存在しても、炭素部分に小さな粒子が点在している構造となり、樹脂を炭化する際に微細な空隙を生じる基点とならないため、炭素部分のサイズを変える効果がなく、組織を微細化することができない。平均粒径が200μmより大きい粒子を添加した場合、同体積の粒子を添加してもマトリックス中に存在する粒子の数が少なくなり、組織を微細化する効果が得られなくなる。また、200μmより大きい粒子では、粒子自体が破壊基点となり、強度等の特性を低下させてしまうため、望ましくない。平均粒径30〜200μmの粒子を添加した場合に、マトリックス中に微細な組織が形成され、炭化ケイ素の生成率を高める効果が得られ好ましい。平均粒径55〜110μmの粒状の炭化物粒子を用いると、炭素繊維強化複合材料の密度がより緻密になり、耐摩耗性、耐衝撃性がより向上し、更に好ましい。
平均粒径30〜200μmの炭化物粒子は、マトリックスの10〜60体積%の量を添加することにより、マトリックスを微細化する効果が得られ好ましい。10体積%より少ない場合、マトリックスの微細化が十分に起こらず、緻密な材料を得ることができない。60体積%より多く粒子を添加した場合、炭素源となる樹脂等の量が少なくなるため、炭素繊維とマトリックスの結合が不十分となり、シリコン含浸の際にクラックが発生するなどの問題が生じ、健全な材料を得ることができない。炭化物粒子は、マトリックスの40〜60体積%の量を添加すると、炭素繊維強化複合材料の密度がより緻密になり、耐摩耗性、耐衝撃性がより向上し、更に好ましい。
添加する炭化物粉体として酸化物や窒化物を添加した場合、溶融シリコンとの濡れ性が悪いため、溶融シリコンの浸透が妨げられてしまい、材料全体に均一にシリコンを浸透させることが困難である。炭化物は全般に溶融シリコンとの濡れ性が酸化物や窒化物より良いため、添加する粒子は炭化物を用いることが望ましい。添加する炭化物としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステンなどを用いることができる。また、炭化ケイ素、炭化ホウ素などの高硬度の粒子を用いることが望ましいが、シリコンとの濡れ性が良い炭化ケイ素を用いることが更に望ましい。
炭素繊維の含有量は、炭素繊維強化複合材料全体の10〜50体積%が望ましい。10体積%より少ない場合、繊維による強化の効果が得られず、耐衝撃性に優れた材料を得ることができない。50体積%より多い場合、マトリックスに対する繊維の量が多くなるため、成形することが困難となるため、望ましくない。
炭素繊維は、繊維束のものを用いることが望ましい。炭素繊維は束ねず、1本ずつバラけた状態で添加しても、炭素繊維単体は、数μm〜十数μmで単体としての強度は高くないため、束にした状態で用いることにより繊維が破断し難くなるため、繊維強化による靱性向上の効果を得ることができる。用いる繊維束の本数は、100〜10000本であることが望ましい。繊維束が100本より少ない場合、繊維が破断しやすいため、炭素繊維による十分な強化効果を得ることができない。10000本を超える繊維束の場合、繊維束のサイズが大きくなりすぎるため、マトリックスと結合していない繊維束内部の繊維が摩耗等の際に脱落しやすいため、耐摩耗性の高い材料を得ることができない。耐摩耗性、耐衝撃性の高い複合材料を得るためには、繊維束が1000〜8000本の繊維束を用いることが望ましく、更に特性の優れた材料を得るためには3000〜6000本の繊維束を用いることが最も望ましい。
繊維長が1〜20mmの長さの炭素繊維を用いることが望ましい。1mmより短い繊維では、強化効果が低く、耐衝撃性の高い材料を得ることができない。繊維束が20mm以上の繊維を用いると、マトリックスとなる炭素含有原料、添加粒子と混合した際に繊維束が解けやすく、繊維束としての強化効果が得られなくなるとともに、樹脂等と均一に混合することが困難となる。このため、炭素繊維は繊維長が1〜20mmのものを用いることが望ましく、均一な組織を有し、耐摩耗性、耐衝撃性の高い複合材料を得るためには繊維長が2〜10mmの繊維を用いることが最も望ましい。
炭素繊維強化複合材料を得る方法は、炭素繊維と添加粒子と炭素源となる炭素含有原料を混合、成形したものを熱処理して得られた成形体にシリコンを含浸させる方法を用いる。炭素源の炭素含有原料としては、合成樹脂である熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂など、熱可塑性樹脂としてはエポキシ樹脂などを用いることができる。また、合成樹脂の他にピッチ、タール等を用いることができる。特に熱処理により炭化した際、炭素分が残る量(残炭率)が高いフェノール樹脂を用いることが望ましい。
添加粒子をマトリックス中に均一に分散させるために、炭素源となる炭素含有原料と添加粒子を混合した後、炭素繊維と混合することが望ましい。特に繊維束状の炭素繊維を用いる場合、炭素含有原料、添加粒子と混合する際、繊維束がほどけてしまうと強化繊維としての効果が得られなくなる。このため、炭素含有原料と添加粒子を予め混合し、添加粒子が均一に分散するように混合してから、繊維束が保つように炭素繊維を混合することが望ましい。また、炭素繊維には、繊維束を予めエポキシ樹脂、フェノール樹脂等で固定するサイジング処理を施したものを用いることが望ましい。
次に炭素繊維、炭素含有原料、添加粒子を混合したものを所望の形状に成形する。成形はプレス成形等を用いることができる。炭素含有原料にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる場合、成形の際に加熱することで、樹脂が一旦溶融した後に硬化するため、繊維間などの隙間に樹脂が充填され緻密な成形体を得ることができる。
得られた成形体は、炭化処理と呼ばれる熱処理をすることにより炭素含有原料を分解させて炭素に変換する。炭素含有原料が完全に分解していない場合、シリコンを含浸する際、分解成分が揮発したり、溶融シリコンの浸透を阻害して、健全な材料を得ることができなくなるため、炭素含有原料を完全に分解して炭素化することが望ましい。炭化処理は、600〜2000℃で行うことが望ましい。600℃より低い温度では、炭素含有原料が完全に分解しない可能性があるため望ましくない。また、2000℃より高い温度で処理した場合、炭素がグラファイト化し、シリコンと反応して炭化ケイ素を生成する反応が進みにくくなるため、2000℃以下の温度で熱処理することが望ましい。また、炭化処理は、酸化雰囲気中で行った場合、炭素含有原料および炭素繊維の酸化、燃焼による損耗が起こるため、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で行うことが望ましい。
炭化処理後の成形体をシリコンの融点以上の温度で溶融シリコンを含浸させ、炭素繊維強化複合材料を得る。溶融シリコンの含浸は、炭素分の酸化が起こらないように、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で行うことが望ましいが、成形体の細部へシリコンを浸透させるためには、真空中で処理を行うことが最も望ましい。
溶融シリコン含浸後のマトリックス中の炭化ケイ素が50〜95体積%になることが望ましい。マトリックス中の炭化ケイ素が50体積%より少ない場合、未反応の炭素含有原料に由来する炭素およびシリコンが残存しており、耐摩耗性、耐衝撃性が低下してしまう。また、マトリックス中の炭化ケイ素が95体積%より多くなるように反応を進めることは、それ自体が困難であるが、95体積%より多くする場合、溶融シリコンとの反応温度を上げたり、溶融シリコンとの反応時間を長時間で行うことになる。この場合、溶融シリコンとの反応は、炭素繊維まで及び、炭素繊維が炭化ケイ素となってしまうため、脆性破壊し易くなってしまい、耐衝撃性の高い材料を得ることができなくなるため、好ましくない。
以上の方法により、本発明のマトリックスが微細な組織を有し、耐摩耗性および耐衝撃性において優れた炭素繊維強化複合材料を得ることが可能となる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示す。
(実施例1)
マトリックス中の炭化ケイ素粒子の粒径を変更する試験を行った。
残炭率59%の粉末状フェノール樹脂と粒径の異なる炭化ケイ素粒子と繊維長6mm、繊維束6000本のピッチ系炭素繊維を表1の配合で混合し、50×50×10mmに160℃で加熱成形した成形体を作製した。得られた成形体をアルゴン中1000℃で熱処理し、フェノール樹脂を炭化した後、真空中1600℃でシリコンを含浸した炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を作製した。得られた材料の密度をアルキメデス法により測定した。
本発明による材料は、密度が2.4g/cm3以上の緻密な材料が得られた(表1)。
マトリックスに平均粒径57μm、106μmの炭化ケイ素粉体を配合したサンプルは、シリコン含浸後の密度が高かった。
得られたサンプルのマトリックス中の炭化ケイ素含有量は、X線回折の回折ピーク強度から算出した。また、高温での耐摩耗性については、800℃に加熱したS45C(φ100×15mm)のディスクを1000rpmで回転させ、10×10×20mmに加工したサンプルの10×10mm面を490Nの押し力で10min間押し付けて試験し、摩擦係数、摩耗量を測定した。耐衝撃性については、70kgの錘を載せた幅20mm、厚み10mmの衝突治具を用い、これを4.5m高さから落下させ、20°の角度で衝突するように設置したサンプルに衝突させ、損傷が発生するかどうかで耐衝撃性を評価した。
Figure 0006070332
(実施例2)
マトリックス中の炭化ケイ素粒子の含有量を変更する試験を行った。
残炭率59%の粉末状フェノール樹脂と平均粒径57μmの炭化ケイ素粒子と繊維長6mm、繊維束6000本のピッチ系炭素繊維を表2の配合で混合し、50×50×10mmに160℃で加熱成形した成形体を作製した。得られた成形体をアルゴン中1000℃で熱処理し、フェノール樹脂を炭化した後、真空中1600℃でシリコンを含浸した炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を作製した。表2に得られた炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を示す。得られた材料の密度をアルキメデス法により測定した。
本発明による材料は、密度が2.4g/cm3以上の緻密な材料が得られた。マトリックスに42.9〜60体積%を配合したサンプルは、シリコン含浸後の密度が高かった。
また、本発明の範囲より炭化ケイ素添加量の多いNo.18のサンプルでは割れが発生し、健全な材料を得ることができなかった。
Figure 0006070332
(実施例3)
マトリックス中の添加剤の種類を変更する試験を行った。
残炭率59%の粉末状フェノール樹脂と平均粒径30μmの各種炭化物粒子と繊維長6mm、繊維束6000本のピッチ系炭素繊維を表3の配合で混合し、50×50×10mmに160℃で加熱成形した成形体を作製した。得られた成形体をアルゴン中1000℃で熱処理し、フェノール樹脂を炭化した後、真空中1600℃でシリコンを含浸した炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を作製した。得られた材料の密度をアルキメデス法により測定した。結果を表3に示す。
本発明による炭化物を添加した材料は、相対密度(TD)が84%以上の材料が得られた。一方、窒化ケイ素を添加したNo.28のサンプルではSiが内部に十分に浸透せず、相対密度(TD)が70%以下の材料しか得られなかった。
Figure 0006070332
(実施例4)
マトリックス中の炭素繊維の含有量を変更する試験を行った。
残炭率59%の粉末状フェノール樹脂と平均粒径57μmの炭化ケイ素粒子と繊維長6mm、繊維束6000本のピッチ系炭素繊維を表4の配合で混合し、50×50×10mmに160℃で加熱成形した成形体を作製した。得られた成形体をアルゴン中1000℃で熱処理し、フェノール樹脂を炭化した後、真空中1600℃でシリコンを含浸した炭素繊維強化炭化ケイ素複合材料を作製した。得られた材料の密度をアルキメデス法により測定した。また、70kgの錘を載せた幅20mm、厚み10mmの衝突治具を用い、これを4.5m高さから落下させ、20°の角度で衝突するように設置したサンプルに衝突させる落重衝撃試験により、損傷が発生するかどうかで耐衝撃性を評価した。
その結果、炭素繊維を添加していないNo.29のサンプルでは衝撃による割れが発生した。本発明によるサンプルでも炭素繊維の添加量が5体積%のサンプルでは微小クラックが発生したが、炭素繊維添加量10〜50体積%のサンプルでは大きな損傷は見られず、55体積%以上のサンプルでは炭素繊維の束に剥離が見られた。
Figure 0006070332
耐摩耗性、耐衝撃性に優れた炭素繊維強化複合材料の製造に利用することができる。

Claims (4)

  1. 原料となる炭素繊維とマトリックス材料を、混合、成形し、成形体を熱処理した後に、溶融シリコンをマトリックスに含浸させて製造する炭素繊維強化複合材料の製造方法であって、
    前記マトリックス材料は、合成樹脂、ピッチ、タールのうちいずれか1種以上と、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、および炭化タングステンのうちいずれか1種以上の炭化物粉体と、からなり、
    前記炭化物粉体は、平均粒径30〜200μmであり、
    前記炭化物粉体を、前記マトリックス材料の合計に対し10〜60体積%とし、前記原料となる炭素繊維と前記マトリックス材料を混合、成形して、成形体を成型する工程と、
    前記成形体を500〜2000℃に熱処理する工程と、
    前記熱処理により得られた成形体を、更に熱処理することにより、前記成形体に溶融シリコンを含浸させる工程を実施することを特徴とする炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 前記炭化物粉体が炭化ケイ素粉体であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記原料となる炭素繊維が繊維束を形成しており、繊維長が2〜20mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 前記炭素繊維強化複合材料の全体に対し、前記炭素繊維を10〜50体積%含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
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